特許第6721949号(P6721949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6721949ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721949
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
(51)【国際特許分類】
   C03C 23/00 20060101AFI20200706BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20200706BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20200706BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   C03C23/00 A
   B08B1/04
   G02F1/13 101
   G02F1/1333 500
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-132136(P2015-132136)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-14060(P2017-14060A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】598055910
【氏名又は名称】AvanStrate株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508250914
【氏名又は名称】アヴァンストレート コリア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福島 達也
(72)【発明者】
【氏名】四元 達也
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−223084(JP,A)
【文献】 特開2003−112951(JP,A)
【文献】 特開2012−213748(JP,A)
【文献】 特開2013−211075(JP,A)
【文献】 特開2012−030150(JP,A)
【文献】 特開2003−190886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C15/00−23/00
B08B1/00−1/04,5/00−13/00
G02F1/13,1/1333,1/137−1/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の板厚方向と直交する方向を搬送方向として前記ガラス基板を搬送させながら、前記板厚方向と平行な方向に間隔をあけて前記ガラス基板の板厚方向の両側から前記ガラス基板を挟むよう配置された少なくとも1対の洗浄部材を用いて、前記ガラス基板の主表面を洗浄する洗浄工程を備えるガラス基板の製造方法であって、
検知手段によって、前記ガラス基板が所定位置に搬送されたことを検知する検知工程をさらに備え、
前記洗浄部材は、前記ガラス基板の板厚方向と平行な回転中心線を回転中心として回転する部材であり、
前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の部分はスポンジで構成され、
前記洗浄工程では、前記ガラス基板と当接する前記1対の洗浄部材同士の間隔が小さくなるように、前記検知に基づいて、前記1対の洗浄部材のうち少なくとも一方の洗浄部材を移動させることで、前記搬送方向の下流側の前記ガラス基板の端を挟むように前記洗浄部材を前記ガラス基板に当接させ、前記ガラス基板の主表面の洗浄を行う、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の接触面の形状は、前記ガラス基板側に突出し、互いに等間隔で配置された複数の凸部を有する凹凸形状である、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記スポンジは平均気孔径が20〜1000μmである、請求項1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の部分は、少なくとも一部が樹脂材料から構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記洗浄工程では、複数の洗浄対象として前記ガラス基板を互いに間隔をあけて連続的に搬送して、前記複数の洗浄対象であるガラス基板のそれぞれを洗浄し、
前記洗浄部材を移動させてから経過した時間に基づいて、前記洗浄部材の間隔を大きくし、後続する前記ガラス基板が前記所定位置に搬送されたことが検知されるまで待機する、請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項6】
ガラス基板の板厚方向と直交する方向を搬送方向として前記ガラス基板を搬送しながら前記ガラス基板を洗浄する洗浄装置を有するガラス基板製造装置であって、
前記ガラス板の板厚方向と平行な方向に間隔をあけて前記ガラス基板の板厚方向の両側から前記ガラス基板を挟むよう配置され、前記ガラス基板の主表面を洗浄する少なくとも1対の洗浄部材と、
前記ガラス基板が所定位置に搬送されたことを検知する検知部材と、
前記1対の洗浄部材の少なくとも一方の洗浄部材を移動させる洗浄部材移動機構と、を備え、
前記洗浄部材は、前記ガラス基板の板厚方向と平行な回転中心線を回転中心として回転する部材であり、
前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の部分はスポンジで構成され、
前記ガラス基板と当接する前記1対の前記洗浄部材同士の間隔が小さくなるように、前記検知に基づいて、前記洗浄部材移動機構によって前記1対の洗浄部材の少なくとも一方の洗浄部材を移動させることで、前記搬送方向の下流側の前記ガラス基板の端を挟むように前記洗浄部材を前記ガラス基板に当接させ、前記ガラス基板の主表面の洗浄を行うことを特徴とするガラス基板製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置用ディスプレイ等のFPD(Flat Panel Display)には、ガラス基板が用いられる。ガラス基板には、半導体プロセスにより、TFT(Thin Film Transistor)素子等の半導体素子が形成されるため、塵や汚れが付いておらず洗浄度が高いことが求められている。
【0003】
ガラス基板の製造工程では、シートガラスが所定の長さに切断されてガラス板が作製され、ガラス板は積層されて保管される。この後、ガラス板には、ダイヤモンドカッターあるいはレーザ光により切り込み線(スクライブ線)が入れられ、切り込み線に沿って折られることで所定のサイズに切断され、あるいは、レーザ光による溶断により切断されて、ガラス基板が作製される。
ガラス板には、保管されている間、空中に飛遊した埃や塵などがガラス面に付着する。また、ガラス板とガラス板の間に合紙が挟まれて保管される場合には、合紙の紙粉等がガラスに付着して、ガラスが汚れてしまう。また、ガラス板の切断時には、ガラスの切断された端面から数μm〜数100μmの大きさのガラス微小片が塵(カレット)となってガラス面に飛散し、塵としてガラス面に付着する。このため、ガラス基板を梱包して出荷する前に、ガラス基板が所定の製品の出荷規格を満たすように、ガラス基板を洗浄する。
【0004】
従来、ガラス基板を洗浄する方法として、ガラス基板を板厚方向に挟むようにガラス基板に当接する1対の洗浄部材を用いてガラス基板を洗浄することが知られている(例えば、特許文献1)。この洗浄方法によれば、ガラス基板の両側の主表面を一度に洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2011−529439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、1対の洗浄部材を用いてガラス基板を洗浄する方法において、ガラス基板を搬送させながら洗浄が行われる場合がる。この方法では、1対の洗浄部材のそれぞれは、ガラス板の板厚方向から前記ガラス基板を挟むよう配置されており、ガラス基板が1対の洗浄部材の間を通過する際に、1対の洗浄部材がガラス基板に両側から当接して、洗浄を行う。この方法によれば、複数のガラス基板を連続的に搬送させながら洗浄することができ、効率よく洗浄を行うことができる。
しかし、この方法では、ガラス基板の搬送方向の先端が洗浄部材と接触して、1対の洗浄部材の間にうまく進入できない場合がある。このような場合、ガラス基板の洗浄装置内部での詰まりを解消するために、洗浄部材の高さを調整して、ガラス基板に対する洗浄部材の接触圧を下げなければならず、洗浄力の低下が生じるおそれがある。また、洗浄部材と接触したガラス基板がそのまま搬送方向に移動することで、撓むように変形し、ガラス基板が割れてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、ガラス基板を搬送させながら、ガラス基板を板厚方向から挟む両側に配置された1対の洗浄部材を用いてガラス基板の洗浄をスムーズに行うことのできるガラス基板の製造方法およびガラス基板製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記(1)〜(12)を提供する。
(1)ガラス基板の板厚方向と直交する方向を搬送方向として前記ガラス基板を搬送させながら、前記板厚方向と平行な方向に間隔をあけて前記ガラス基板の板厚方向から前記ガラス基板を挟むよう配置された少なくとも1対の洗浄部材を用いて、前記ガラス基板の主表面を洗浄する洗浄工程を備えるガラス基板の製造方法であって、
検知手段によって、前記ガラス基板が所定位置に搬送されたことを検知する検知工程、をさらに備え、
前記洗浄部材は、前記ガラス基板の板厚方向と平行な回転中心線を回転中心として回転する部材であり、
前記洗浄工程では、前記ガラス基板と当接する前記1対の洗浄部材同士の間隔が小さくなるように、前記検知に基づいて、前記1対の洗浄部材のうち少なくとも一方の洗浄部材を移動させることで、前記搬送方向の下流側の前記ガラス基板の端を挟むように前記洗浄部材を前記ガラス基板に当接させ、前記ガラス基板の主表面の洗浄を行う、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
【0009】
(2)前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の接触面の形状は、前記ガラス基板側に突出し、互いに等間隔で配置された複数の凸部を有する凹凸形状である、前記(1)に記載のガラス基板の製造方法。
【0011】
)前記スポンジは平均気孔径が20〜1000μmである、前記(または前記(2)に記載のガラス基板の製造方法。
【0012】
)前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の部分は、少なくとも一部が樹脂材料から構成されている、前記(1)から前記()のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
【0013】
)前記洗浄部材は、ガラス基板の板厚方向と直交する方向に(ガラス基板の面内で)時計回りに回転する回転軸または反時計回りに回転する回転軸を有している、前記(1)から前記()のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
【0014】
)前記洗浄工程では、複数の洗浄対象として前記ガラス基板を互いに間隔をあけて連続的に搬送して、前記複数の洗浄対象であるガラス基板のそれぞれを洗浄し、
前記洗浄部材を移動させてから経過した時間に基づいて、前記洗浄部材の間隔を大きくし、後続する前記ガラス基板が前記所定位置に搬送されたことが検知されるまで待機する、前記(1)から前記()のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
【0015】
)ガラス基板の板厚方向と直交する方向を搬送方向として前記ガラス基板を搬送しながら前記ガラス基板を洗浄する洗浄装置を有するガラス基板製造装置であって、
前記ガラス板の板厚方向と平行な方向に間隔をあけて前記ガラス基板の板厚方向から前記ガラス基板を挟むよう配置され、前記ガラス基板の主表面を洗浄する少なくとも1対の洗浄部材と、
前記ガラス基板が所定位置に搬送されたことを検知する検知部材と、
前記1対の洗浄部材の少なくとも一方の洗浄部材を移動させる洗浄部材移動機構と、を備え、
前記洗浄部材は、前記ガラス基板の板厚方向と平行な回転中心線を回転中心として回転する部材であり、
前記ガラス基板と当接する前記1対の洗浄部材同士の間隔が小さくなるように、前記検知に基づいて、前記洗浄部材移動機構によって前記1対の洗浄部材の少なくとも一方の洗浄部材を移動させることで、前記搬送方向の下流側の前記ガラス基板の端を挟むように前記洗浄部材を前記ガラス基板に当接させ、前記ガラス基板の主表面の洗浄を行うことを特徴とするガラス基板製造装置。
【0016】
)前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の接触面の形状は、前記ガラス基板側に突出し、互いに等間隔で配置された複数の凸部を有する凹凸形状である、前記()に記載のガラス基板製造装置。
【0018】
)前記スポンジは平均気孔径が20〜1000μmである、前記(または(8)に記載のガラス基板製造装置。
【0019】
10)前記ガラス基板に当接する前記洗浄部材の部分は、樹脂を含有する材質から構成されている、前記()から前記()のいずれか1つに記載のガラス基板製造装置。
【0020】
11)前記洗浄部材は、ガラス基板の板厚方向と直交する方向に(ガラス基板の面内で)時計回りに回転する回転軸または反時計回りに回転する回転軸を有している、前記()から前記(10)のいずれか1つに記載のガラス基板の洗浄装置。
【0021】
12)複数の洗浄対象として前記ガラス基板が互いに間隔をあけて連続的に搬送され、
前記洗浄部材は、前記複数の洗浄対象であるガラス基板のそれぞれを洗浄し、
前記洗浄部材を移動させてから経過した時間に基づいて、前記洗浄部材の間隔を大きくし、後続する前記ガラス基板が前記所定位置に搬送されたことが検知されるまで待機する、前記()から前記(11)のいずれか1つに記載のガラス基板製造装置。
【発明の効果】
【0022】
上述のガラス基板の製造方法およびガラス基板製造装置によれば、ガラス基板を搬送させながら、ガラス基板の板厚方向からガラス基板を挟むよう配置された1対の洗浄部材を用いてガラス基板の洗浄をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図2】本実施形態の洗浄装置を模式的に説明する平面図である。
図3】本実施形態の洗浄工程で用いられる洗浄部材の配置態様を説明する図である。
図4】本実施形態の洗浄装置によって行われる洗浄工程を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態のガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置について説明する。
本実施形態のガラス基板の製造方法は、ガラス基板を搬送させながら、ガラス基板の板厚方向からガラス基板を挟むよう配置された少なくとも1対の洗浄部材を用いて、ガラス基板の主表面を洗浄する洗浄工程を備える。この方法は、ガラス基板が所定位置に搬送されたことを検知する検知工程をさらに備えており、ガラス基板と当接する1対の洗浄部材同士の間隔が小さくなるように、前記検知に基づいて、1対の洗浄部材のうち少なくとも一方の洗浄部材を移動させることで洗浄部材をガラス基板に当接させ、ガラス基板の主表面の洗浄を行う。この方法によれば、ガラス基板を搬送させながら、ガラス基板の板厚方向からガラス基板を挟むよう配置された1対の洗浄部材を用いてガラス基板の洗浄をスムーズに行うことができる。
【0025】
(ガラス基板の製造方法の概略説明)
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示す図である。
ガラス板の製造方法は、例えば、成形工程(S1)と、徐冷工程(S2)と、採板工程(S3)と、切断工程(S5)と、端面加工工程(S6)と、洗浄工程(S7)と、検査工程(S8)と、梱包工程(S9)と、を備える。また、採板工程の後に熱処理工程(S4)を備えてもよい。
【0026】
成形工程(S1)では、熔融ガラスをシートガラスに成形する。成形方法には、フュージョン法(オーバーフローダウンドロー法)、フロート法等の公知の方法が用いられる。
徐冷工程(S2)では、成形されて搬送されるシートガラスを、所望の厚さにし、内部歪および反りが生じないよう冷却する。
採板工程(S3)では、徐冷されたシートガラスを所定の長さごとに採板して複数のガラス板を得る。
熱処理工程(S4)では、例えば熱処理炉において、ガラス板に対し熱処理を行う。
切断工程(S5)では、熱処理を行ったガラス板を所定のサイズに切断して複数のガラス基板を得る。ガラス基板は、矩形形状に切断されることが好ましく、サイズは、特に制限されないが、例えば、縦長さおよび横長さがそれぞれ500mm〜3500mmである。ガラス基板の板厚は、例えば、0.1〜1.1mmである。
端面加工工程(S6)では、ガラス基板に対し、端面の研削、研磨およびコーナーカットを含む端面加工を行う。
洗浄工程(S7)では、後述する洗浄装置を用いて、ガラス基板を搬送させながら洗浄を行う。
検査工程(S8)では、洗浄されたガラス基板に対し、表面に傷、塵、汚れがないか、あるいは、気泡、異物等の内部欠陥がないか、光学的検査を行う。
梱包工程(S9)では、検査の結果、所望の品質に適合するガラス基板を梱包する。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
【0027】
(ガラス基板製造装置)
本実施形態のガラス基板製造装置は、上記説明した成形工程(S1)〜採板工程(S3)および梱包工程(S9)の各工程を行う装置として、成形装置、徐冷装置、採板装置、熱処理装置、切断装置、端面加工装置、洗浄装置、検査装置、梱包装置を備えている。このうち、成形装置は、オーバーフローダウンドロー法による成形が行われる場合、熔融ガラスを成形するための成形体を有している。洗浄装置について後で詳細に説明する。
【0028】
(ガラス基板)
本実施形態で製造されるガラス基板は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板として用いることができる。また、本実施形態で製造されるガラス基板は、高精細なディスプレイに用いられる、LTPS(低温ポリシリコン)・TFTディスプレイ、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体・TFTディスプレイ用のガラス基板として用いることができる。
【0029】
本実施形態で製造されるガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。つまり、本実施形態の方法では、以下のガラス組成のガラス基板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
SiO2 55〜80モル%、
Al23 8〜20モル%、
23 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
【0030】
SiO2は60〜75モル%、さらには、63〜72モル%であることが、熱収縮率を小さくするという観点から好ましい。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜10モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
【0031】
また、SiO2、Al23、B23、及びROを少なくとも含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.5以上であるガラスであってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/ROは0.1以上であることが好ましい。
【0032】
また、モル%表示のB23の含有率の2倍とモル%表示のROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As、Sb及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
【0033】
(洗浄装置および洗浄工程)
本実施形態の洗浄工程(S7)は、図2に示されるガラス基板の洗浄装置1を用いて行うことができる。図2は、洗浄装置1を模式的に説明する平面図である。洗浄装置1は、ガラス基板Gの板厚方向(図2の紙面奥行方向)と直交する方向を搬送方向(図2において破線の矢印Xで示す方向)としてガラス基板Gを搬送しながらガラス基板Gを洗浄する装置である。
【0034】
洗浄装置1は、ガラス基板Gの搬送路を有する。ガラス基板Gは、洗浄工程において、搬送路上を、搬送方向Xに搬送されながら、洗浄装置1によって洗浄される。なお、搬送路は、搬送方向Xに沿って延びる、ガラス基板Gが搬送されるスペースであり、搬送路に沿って、ガラス基板Gを下方から支持しながら回転することで、ガラス基板Gを搬送方向Xに送り出す複数の搬送ローラ(不図示)が配置されている。洗浄水には、例えば、水に、アルカリ性の洗浄液を溶かしたものが用いられる。洗浄水は、例えば、搬送路に沿って複数設けられるシャワーノズル(不図示)からガラス基板Gに吹き付けられる。
【0035】
洗浄装置1は、例えば、図2に示されるように、搬送方向Xに間隔をあけて配置された2つの洗浄ユニット12,14を有しており、洗浄ユニット12,14のそれぞれにおいて洗浄が行われる。なお、洗浄ユニット12,14は、ほぼ同様に構成されており、ここでは、洗浄ユニット12について説明し、洗浄ユニット14の説明を省略する。
洗浄ユニット12は、搬送方向Xに並ぶ、例えば2列の洗浄列12a、12bを備えており、洗浄列12a、12bはそれぞれ、図3に示されるように、ガラス基板Gの搬送方向Xと直交する幅方向Yに沿って並ぶよう配された複数の対の洗浄部材3を有している。図3は、洗浄部材3の配置態様を説明する図である。なお、図3には、洗浄ユニット12の構成要素と同じ機能を有する洗浄ユニット14の構成要素の参照符号が、洗浄ユニット12の参照符号の後の括弧内に示される。また、洗浄ユニット12は、さらに、検知部材5(図4参照)と、図示されない制御部と、を備える。
【0036】
(a)洗浄部材
複数の対の洗浄部材3のそれぞれの対は、ガラス基板Gの板厚方向の両側に1つずつ配置された2つの洗浄部材3が一組となって対をなしている。図3には、複数の対の洗浄部材3のうち、ガラス基板Gの板厚方向の片側に配置された洗浄部材3を示す。洗浄列12aを構成する複数の対の洗浄部材3と、洗浄列12bを構成する複数の対の洗浄部材3とは、図3に示されるように、洗浄部材3の回転中心がガラス基板Gの幅方向にオフセットされ、平面視したときに千鳥状に並ぶよう配置されている。これによって、ガラス基板Gの幅方向に洗浄ムラが生じるのを抑えることができる。
【0037】
図示される洗浄部材3は、ガラス基板Gの板厚方向と平行な回転中心線を回転中心として回転するディスク状の部材である。ディスク状の洗浄部材3の例としては、後述する洗浄部3aの平面視したときの形状が、円板状または多角形状であるもののほか、回転中心から放射状に外側に延びるよう形成された複数の部分を有する形状のものが挙げられる。なお、本実施形態の洗浄部材3の形態は、ディスク状に限定されず、例えば、ローラ状等の他の形態の部材であってもよい。ローラ状の洗浄部材3が採用される場合は、例えば、ガラス基板Gの板厚方向の両側のそれぞれにローラ状の洗浄部材3を配置して1対の洗浄部材3を構成し、それぞれの洗浄部材3をガラス基板Gの幅方向Yと平行な方向に延びるよう配置して用いることができる。この場合、1対の洗浄部材3は、ガラス基板Gを挟持して搬送方向Xに送り出すような回転方向に回転することでガラス基板Gを洗浄する。なお、以降の説明では、洗浄部材3として、上記したディスク状の部材を例にして説明する。また、洗浄部材3の回転方向は、ガラス基板Gを搬送方向Xに送り出すような回転方向に限定されるものではなく、搬送方向Xに送り出すような回転方向と反対方向に回転するようにしてもよい。
【0038】
洗浄部材3は、図4に示されるように、ガラス基板Gの主表面に当接して洗浄を行う洗浄部3aと、洗浄部3aが取り付けられた支持部3bと、を有している。図4は、洗浄装置1によって行われる洗浄工程を説明する側面図である。本明細書において、ガラス基板Gの主表面は、ガラス基板Gの板厚方向の両端においてガラス基板Gの板厚方向と直交するよう延在する表面をいう。
【0039】
洗浄部3aは、例えば、ブラシ、スポンジで構成される。ブラシで構成される洗浄部3aにおいて、ブラシを構成する複数の毛の線径は、ガラス基板Gの主表面に傷が発生するのを抑えつつ洗浄力を高める観点から、好ましくは0.05〜0.2mmであり、より好ましくは0.07〜0.12mmである。ブラシを構成する複数の毛の線径は、大きくなり過ぎると剛直になりガラスと接触することで傷が発生するおそれがある。他方、ブラシを構成する複数の毛の線径が小さすぎる変形して擦る力が弱くなるため洗浄効果が低下する。また、スポンジで構成される洗浄部3aにおいて、スポンジの平均気孔径は、洗浄力を高める観点から、好ましくは20〜1000μmであり、より好ましくは80〜180μmである。スポンジの平均気孔率は、真の固体部分と、その隙間、すなわち気孔と、の容積の比であり、例えば、試料の体積および質量から求めた見掛密度と、測定した実測密度より下式で計算することで求められる。
見掛密度ρ1=試料の質量m0/試料の体積V
平均気孔率P=(実測密度ρ−見掛密度ρ1)/実測密度ρ
洗浄部3aは、微細なパーティクルや汚れに対するより高い洗浄効果が得られる点で、スポンジで構成されるのが好ましい。スポンジで構成される洗浄部3aは、洗浄効果を高める目的で、所定の面圧でガラス基板Gに押し付けられる場合がある。このように押し付けられることで、スポンジの弾性力をガラス基板Gに作用させることができて、洗浄効果が高められる。
【0040】
洗浄部3aには、洗浄力を高める観点から、ガラス基板Gと当接する表面が凹凸形状を有しているものを用いてもよい。凹凸形状は、例えば、ガラス基板Gと向かい合った洗浄部3aの部分において、ガラス基板Gの側に突出する複数の凸部が設けられることによって形成された形状である。複数の凸部は、ガラス基板Gと当接する洗浄部3aの表面に等間隔に配置されることが好ましい。凸部の突出高さは、特に制限されない。
【0041】
また、洗浄部3aは、洗浄力を高める観点から、樹脂を含有する材質から構成されることが好ましい。樹脂は、例えば、合成樹脂であり、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。洗浄部3aがスポンジで構成される場合は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、ポリオレフィン(PO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フッ素系樹脂等が好ましく用いられる。洗浄部3aがブラシで構成される場合は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、フッ素系樹脂等が好ましく用いられる。
支持部3bは、洗浄部3aと一体に回転する部材であり、図示されない駆動機構によって回転駆動される。
【0042】
本実施形態の1対の洗浄部材3は、図4に示されるように、ガラス基板Gの板厚方向と平行な方向に間隔Sをあけて搬送路を挟む両側(図4の上側および下側)に配置されている。このうち上側の洗浄部材3は、下側の洗浄部材3に対して、図4の上下方向に移動するよう、図示しない駆動機構(洗浄部材移動機構)によって駆動される。これにより、1対の洗浄部材3は、洗浄部3aの搬送路側の部分同士の間隔Sが小さくなるよう互いに接近し(図4(b)および図4(c))、また、当該間隔が大きくなるよう互いに離反することができる(図4(a)および図4(d))。なお、図4(a)〜図4(d)は、ガラス基板Gが1対の洗浄部材3の間を通過しながら洗浄される工程を時系列に示す。1対の洗浄部材3は、制御部によって制御されて、後述するように、ガラス基板Gの洗浄時には間隔Sが小さくなるよう互いに接近し、洗浄時以外は間隔Sが大きくなるよう互いに離間して配置される。
【0043】
また、下側の洗浄部材3は、スムーズにガラス基板Gを搬送し、洗浄を開始するために、洗浄部3aの搬送路側を向く表面の高さ位置が、1対の洗浄部材3の間に搬送されるガラス基板Gの下方の主表面の高さ位置と同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0044】
以上説明した洗浄部材3は、洗浄列12a,12bの間、または、洗浄ユニット12,14の間で同じ形態のものが用いられてもよく、異なる形態のものが用いられてもよい。例えば、洗浄列12a、12bの間で、一方の列では洗浄部3aがブラシで構成され、他方の列では洗浄部3aがスポンジで構成されてもよく、洗浄部材3として、一方の列ではディスク状の部材が用いられ、他方の列ではローラ状の部材が用いられてもよい。また、例えば、洗浄ユニット12、14の間で、一方のユニットでは洗浄部3aがブラシで構成され、他方のユニットでは洗浄部3aがスポンジで構成されてもよく、洗浄部材3として、一方のユニットではディスク状の部材が用いられ、他方のユニットではローラ状の部材が用いられてもよい。
【0045】
(b)検知部材
検知部材5は、図4に示されるように、1対の洗浄部材3よりもガラス基板Gの搬送方向の上流側に設けられ、ガラス基板Gが所定位置に搬送されたことを検知する。所定位置とは、1対の洗浄部材3に隣接する搬送方向Xの上流側の位置である。検知部材5は、ガラス基板Gが所定位置に搬送されたことを検知すると、そのことを示す検知信号を制御部に向けて出力する。検知部材5は、特に限定されないが、例えば、透過型フォトインタラプタを用いることができる。この場合、発光部と受光部が搬送路を挟む両側に1つずつ配置される。なお、図4では、便宜のため、検知部材5を、搬送路の一方の側に配置した部材として表す。検知部材5の配置位置は、上側の洗浄部材3が下側の洗浄部材3に接近するよう下降を始めた時点と、ガラス基板Gが1対の洗浄部材3の間のスペース(洗浄領域)に進入した時点とのタイミングのズレを小さくするために、洗浄部材3よりも搬送方向の上流側であって、可能な限り洗浄部材3に近接した位置であることが好ましい。また、このズレを洗浄列12a、12bごとに小さくできる点で、検知部材5は、洗浄列12a、12bごとに洗浄列12a、12bの上流側に配置されることが好ましい。
【0046】
(c)制御部
制御部は、洗浄部材3の駆動機構および検知部材5と接続され、これらの構成要素を制御する。制御部は、ガラス基板Gと当接する洗浄部材3の表面(洗浄部3aの搬送路側の表面)同士の間隔Sが小さくなるように、検知部材5から出力された検知信号を受けたことに基づいて、上側の洗浄部材3を下降させてガラス基板Gに当接させ、ガラス基板Gの主表面の洗浄を行う(図4(b)、図4(c))。上側の洗浄部材3を下降させるタイミングは、具体的には、制御部が検知信号を受けてから所定時間経過後である。この所定時間は、検知部材5と洗浄部材3との搬送方向の距離、ガラス基板Gの搬送速度、洗浄部材3の下降速度等を考慮して定められる。
【0047】
本実施形態の洗浄装置1は、複数の洗浄対象として、複数のガラス基板Gを、互いに搬送方向に間隔があくよう連続的に搬送して、それぞれを順に洗浄する(図2参照)。このとき、制御部は、上側の洗浄部材3を下降させてから経過した時間に基づいて、上側の洗浄部材3を上昇させて間隔Sを大きくし(図4(d)、図4(a))、後続するガラス基板Gが、上記所定位置に搬送されたことが検知されるまで待機するよう、1対の洗浄部材3を制御する。上側の洗浄部材3を上昇させるタイミングは、具体的には、上側の洗浄部材3が下降を始めてから所定時間経過後である。この所定時間は、ガラス基板Gの搬送速度、洗浄部3aの搬送方向の長さ等を考慮して調整される。あるいは、検知部材を洗浄列12a、12bの下流側にも設け、当該検知部材によってガラス基板Gが所定位置に搬送されたことを検知した場合に、上側の洗浄部材3を上昇させるようにしてもよい。
【0048】
また、制御部は、検知部材5が上記したように洗浄列12a、12bごとに配置されている場合は、洗浄部材3の下降および上昇の動作を、洗浄列12a、12bごとに行うことができる。一方、制御部は、洗浄列12aのみに対応して検知部材5が配置され、洗浄列12bに対応して検知部材5が配置されていない場合は、下流側の洗浄列12bを構成する複数の洗浄部材3を、例えば、上流側の洗浄列12aを構成する複数の洗浄部材3と同じタイミングで下降および上昇させることができる。
【0049】
洗浄装置1は、以上説明した態様に代えて、1対の洗浄部材3のうちの下側の洗浄部材3を移動できるよう構成し、上側の洗浄部材3を定位置に固定してもよく、また、両方の洗浄部材3を移動できるよう構成されていてもよい。また、洗浄装置1は、主表面が上下方向以外の方向(例えば側方向)を向いた姿勢でガラス基板Gが搬送される場合は、1対の洗浄部材3を、搬送路を挟む両側に配置し、一方または両方の洗浄部材3を側方向に移動させて、互いに接近または離反するよう構成される。なお、側方向は、図2および図3の上下方向、図4の紙面奥行方向に相当する。
【0050】
本実施形態の方法では、ガラス基板Gの搬送路を挟む両側に配置された1対の洗浄部材3が互いに間隔をあけて待機し、ガラス基板Gが所定位置に搬送されたことが検知されたことに基づいて、少なくとも一方の洗浄部材3が移動してガラス基板Gの主表面に当接する。このため、搬送されるガラス基板Gが、洗浄部材3に対し搬送方向に接触することなく1対の洗浄部材3の間のスペース(洗浄領域)に進入することができ、洗浄領域に進入したガラス基板Gを確実に挟むことができるため、ガラス基板Gの洗浄をスムーズに行うことができる。
【0051】
特に、洗浄部材の洗浄部が、スポンジで構成され、かつ、洗浄中にガラス基板Gに押し付けられるよう構成されている場合、ガラス基板Gの主表面にかかる単位面積当たりのスポンジの押し付け力(面圧)が高く設定されていると、ガラス表面の上側よりスポンジ位置が低くなるために1対の洗浄部材の間に実質的に間隔があかず、ガラス基板Gが、1対の洗浄部材の間にスムーズに入り込むことは困難になる場合がある。従来、ディスク状の洗浄部材の洗浄部として、ブラシで構成されたものが用いられていたが、近年のディスプレイの高精細化の進展に伴って、より高い洗浄力を有するスポンジで構成されたものが用いられるようになっている。しかし、スポンジは、ブラシと比べ洗浄時の面圧が高いため、ガラス基板Gが1対の洗浄部材のスポンジ間に進入できないことが起こりうる。本発明者は、ガラス基板Gが一旦洗浄領域に進入すれば、洗浄部3aがスポンジで構成され、洗浄時の面圧が高い洗浄部材3を用いた場合であっても、1対の洗浄部材3によってガラス基板Gが挟持されることで、安定して搬送方向に搬送させることができることに知見を得て、1対の洗浄部材3を上記説明したように移動させることで、ガラス基板Gの搬送を止めることなく、また、ガラス基板Gに割れ等が生じるのを回避しつつ、スムーズに洗浄を行えることを見出した。
【0052】
(実験例)
オーバーフローダウンドロー法を用いて作製した、SiO2 67.0モル%、Al23 10.6モル%、B23 11.0モル%、RO 11.4モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)のガラス組成を有する厚さ0.5mmのシートガラスから切り出した2270mm×2000mmのサイズの複数の矩形形状のガラス基板を、洗浄液を吹き付けるためのシャワーノズルが配置された搬送路を搬送させながら、上記実施形態の洗浄装置を用いて洗浄した(実施例1〜6)。一方、上記実施形態の洗浄装置において、1対の洗浄部材の両方を定位置に固定した点を除いて、実施例と同様に、洗浄を行った(比較例1,2)。
【0053】
実施例1〜6および比較例1,2に関して、洗浄部の種類、材質、スポンジを用いた場合の平均気孔径、接触面形状、および洗浄シャワーを行ったか否かを、表1および表2に示すように種々異ならせて行った。なお、表1および表2において、接触面形状の欄の「凹凸」は、洗浄部材の接触面の形状が上記説明した凹凸形状であることを表し、「平面」は、そのような凹凸形状のない平坦な表面であることを表す。
洗浄後の実施例1〜6および比較例1,2のガラス基板について、粒子、表面有機物残渣量、洗浄部材寿命を、それぞれ下記要領で測定、評価した。結果を、表1および表2に示す。
【0054】
(粒子)
ガラス基板を自動検査機で検査し、主表面における欠陥サイズ0.5μm以上の大きさの欠陥の数を数えた。この結果、欠陥数が、1300個/枚未満のものを「◎」、1300〜1600個/枚未満だったものを「〇」、1600〜1900個/枚未満だったものを「△」、1900個/枚以上だったものを「×」と評価した。
【0055】
(表面有機物残渣)
ガラス基板をガスクロマトグラフィで測定し、ガラス基板表面1cm2当たりに付着している有機物残渣量を定量した。この結果、有機物残渣の付着量が、0.05ng個/cm〜0.50ng個/cm未満だったものを「〇」、0.50ng個/cm〜1.00ng個/cm未満だったものを「△」、1.00ng個/cm以上だったものを「×」と評価した。
【0056】
(洗浄部材寿命)
実施例1〜6および比較例1,2の各洗浄方法で、上記サイズのガラス基板240000枚を連続して洗浄し、240000枚目に洗浄したガラス基板の主表面に付着していた欠陥数を数え、1枚目に洗浄したガラス基板の主表面に付着していた欠陥数と比較した増加率を計算し、洗浄部材寿命とした。この結果、増加率が、0〜7%未満だったものを「◎」、7〜24%未満だったものを「〇」、24%以上だったものを「×」と評価した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
測定、評価の結果、実施例1〜6の洗浄方法で洗浄を行った場合、洗浄部材寿命が良好であることが確認された。特に、洗浄部の種類がスポンジである場合は、ブラシである場合と比べ、欠陥数および有機物残渣量が少なくなることが分かった。また、洗浄部の接触面形状を凹凸形状とすることで、欠陥数を極めて少なくすることができることが分かった(実施例4〜6)。
【0060】
以上、本発明のガラス基板の製造方法およびガラス基板製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
1 洗浄装置
3、4 洗浄部材
3a、4a 接触部
3b,4b 支持部
5 検知センサ(検知部材、検知手段)
7 制御部
図1
図2
図3
図4