(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、車両100の構成を説明する図である。なお、以下では、車両100の進行方向を前方向、車両100の後退方向を後方向、車両100の進行方向に対して右側を右方向、車両100の進行方向に対して左側を左方向、鉛直上方向を上方向、鉛直下方向を下方向として説明する。
【0014】
図1に示すように、車両100は、エンジン102およびモータジェネレータ104が設けられたハイブリッド車両である。エンジン102およびモータジェネレータ104は、車体100aの前方向側のボンネット内に配されている。
【0015】
また、車両100には、バッテリ106およびパワーコントロールユニット(以下、PCUと称する)108が設けられている。バッテリ106は、車体100aの後方向側のトランクルームの下方に配されている。また、PCU108は、車体100aの後方向側の後部座席の下方に配されている。
【0016】
車両100は、エンジン102に優先してモータジェネレータ104で走行するモータ走行モードや、モータジェネレータ104とエンジン102とを併用して走行するエンジン併用モードなどの走行モードが準備されている。
【0017】
例えば、車両100では、エンジン併用モードが選択された場合には、走行状態に応じてエンジン102とモータジェネレータ104との駆動状態が切り換わり、エネルギー効率を高めるとともに、CO
2等の排気ガスを削減することが可能となる。
【0018】
PCU108は、コンバータやインバータ等の電装部品がケーシング120(
図2、
図3参照)の内部に収容されており、モータジェネレータ104およびバッテリ106と電気的に接続されている。
【0019】
PCU108は、モータジェネレータ104が駆動源として機能する場合、バッテリ106に蓄電された電力を、インバータによって直流電力から交流電力に変換するとともに、コンバータによって昇圧してモータジェネレータ104に供給する。これにより、モータジェネレータ104は、PCU108を介してバッテリ106から供給された電力によって駆動する。
【0020】
また、PCU108は、モータジェネレータ104が発電機として機能する場合、エンジン102の動力によってモータジェネレータ104で発電して得られた電力を、コンバータによって降圧するとともに、インバータによって交流電力から直流電力に変換してバッテリ106に供給する。これにより、バッテリ106は、PCU108を介してモータジェネレータ104から供給される電力を蓄電(充電)する。
【0021】
ところで、PCU108は、モータジェネレータ104およびバッテリ106間に電力を送電する際に、コンバータやインバータ等の電装部品が発熱する。そこで、PCU108は、詳しくは後述するように、内部に冷却水が供給され、冷却水によって電装部品が冷却されるようになされている。
【0022】
そして、車両100には、PCU108の内部に供給される冷却水の熱を放熱するためのラジエータ110が車体100aの前方向側のボンネット内に設けられており、PCU108とラジエータ110とが冷却配管112、114によって接続されている。なお、冷却配管112は、ラジエータ110からPCU108に向かって冷却水が流通し、冷却配管114は、PCU108からラジエータ110に向かって冷却水が流通する。
【0023】
図2は、PCU108を車体100aに固定した図である。
図3は、PCU108および固定冷却装置130、140の構成を説明する図である。PCU108は、
図2および
図3に示すように、前後方向に長い略直方体に形成されており、ケーシング120の内部に電装部品が収容されている。
【0024】
また、PCU108は、
図2に示すように、車体100aにおける左サイドフレーム116と、左サイドフレーム116と不図示の右サイドフレームとの間に架け渡されたクロスメンバ118a、118bとに、固定冷却装置130、140を介して固定されている。
【0025】
図2および
図3に示すように、ケーシング120の後側面120aには、冷却水をケーシング120の内部に供給するための供給配管(配管)122が突設されているとともに、冷却水をケーシング120の内部から排出するための排出配管(配管)124が突設されている。
【0026】
ケーシング120の右側面120bおよび左側面120cには、固定冷却装置130、140がそれぞれ設けられている。
【0027】
固定冷却装置130は、ステー部132、固定部134、側面部136およびフランジ部138によって構成されている。
【0028】
ステー部132は、内部に空間を有する円筒形状に形成されており、ケーシング120の右側面120bに沿って前後方向に延在している。
【0029】
固定部134は、ステー部132の前後方向における所定の位置に2つ設けられている。固定部134は、ステー部132に対して溶接により接続されており、ステー部132から上方向に延在するとともに、途中から曲げられて、それぞれクロスメンバ118a、118bに向けて延在している。
【0030】
また、固定部134の先端には、貫通孔134aが形成されている。クロスメンバ118a、118bには、固定部134の貫通孔134aと対向する位置にネジ溝が形成されており、貫通孔134aを通してボルトがネジ溝に螺合されることにより、固定冷却装置130がクロスメンバ118a、118bに固定される。
【0031】
側面部136は、ステー部132の前後方向における固定部134と同位置に、ステー部132からケーシング120に向かって左右方向に延在している。側面部136は、ステー部132に対して溶接により接続されているとともに、ケーシング120側の先端にフランジ部138が溶接により接続されている。
【0032】
フランジ部138は、上下方向の所定の位置に2つの貫通孔138aが形成されている。ケーシング120には、フランジ部138の貫通孔138aと対向する位置にネジ溝が形成されており、貫通孔138aを通してボルトがネジ溝に螺合されることにより、固定冷却装置130がケーシング120に固定される。
【0033】
固定冷却装置140は、固定冷却装置130と同様に、ステー部142、固定部144、側面部146およびフランジ部148によって構成されている。
【0034】
ステー部142は、内部に空間を有する円筒形状に形成されており、ケーシング120の左側面120cに沿って前後方向に延在している。
【0035】
固定部144は、ステー部142の前後方向における所定の位置に2つ設けられている。固定部144は、ステー部142に対して溶接により接続されており、ステー部142から上方向に延在するとともに、途中から曲げられて、それぞれ左サイドフレーム116に向けて延在している。
【0036】
また、固定部144の先端には、貫通孔144aが形成されている。左サイドフレーム116には、固定部144の貫通孔144aと対向する位置にネジ溝が形成されており、貫通孔144aを通してボルトがネジ溝に螺合されることにより、固定冷却装置140が左サイドフレーム116に固定される。
【0037】
側面部146は、ステー部142の前後方向における固定部144と同位置に、ステー部142からケーシング120に向かって左右方向に延在している。側面部146は、ステー部142に対して溶接により接続されているとともに、ケーシング120側の先端にフランジ部148が溶接により接続されている。
【0038】
フランジ部148は、上下方向の所定の位置に2つの貫通孔(不図示)が形成されている。ケーシング120には、フランジ部148の貫通孔と対向する位置にネジ溝が形成されており、貫通孔を通してボルトがネジ溝に螺合されることにより、固定冷却装置140がケーシング120に固定される。
【0039】
このような構成でなる固定冷却装置130は、ステー部132の前方向側の先端に、ラジエータ110から供給される冷却水が流通する冷却配管112が接続される。また、ステー部132の後方向側の末端と、供給配管122とには、ゴムホースでなる連結配管150が接続される。なお、冷却配管112および連結配管150は、バンド等によって固定される。
【0040】
また、固定冷却装置140についても同様に、ステー部142の前方向側の先端に、ラジエータ110へ排出される冷却水が流通する冷却配管114が接続される。また、ステー部142の後方向側の末端と、排出配管124とには、ゴムホースでなる連結配管152が接続される。なお、冷却配管114および連結配管152は、バンド等によって固定されている。
【0041】
したがって、ラジエータ110から供給された冷却水は、冷却配管112を通った後、ステー部132の内部の空間を流通する。その後、冷却水は、連結配管150および供給配管122を流通した後、ケーシング120の内部に供給される。そして、ケーシング120に収容された電装部品を冷却して温められた冷却水は、排出配管124および連結配管152を流通した後、ステー部142の内部の空間を流通して冷却配管114からラジエータ110に排出される。
【0042】
したがって、固定冷却装置130、140は、PCU108の前後方向に沿って冷却配管112、114を延在させることなく、ステー部132、142の内部の空間に冷却水を流通させることができる。つまり、ステー部132、142は、PCU108を車体100aに固定するための固定部材として機能するとともに、冷却水が流通する冷却配管としても機能することになる。
【0043】
ここで、ラジエータ110は、上記したように、車体100aの前方向側に設けられているため、供給配管122および排出配管124に冷却配管112、114を直接接続するためには、ケーシング120の前後方向に沿って冷却配管112、114を配さなければならない。一方で、PCU108を車体100aに固定するための固定部材を設ける必要があり、これらを両方設けると、冷却配管112、114と固定部材とが干渉したり、冷却配管112、114と固定部材とが並んで配置されて重量が増加してしまうといった問題が発生してしまう。
【0044】
これに対して、固定冷却装置130、140は、PCU108を車体100aに固定するための固定部材と、冷却水が流通する冷却配管とを別々に並行して設ける必要がなく、PCU108の搭載自由度が向上するとともに、装置全体として軽量化することができる。
【0045】
また、固定冷却装置130、140は、ステー部132、142の内部の空間に冷却水が流通することにより、冷却水の水圧により、衝突等の耐荷重性能を向上することができる。特に、本実施形態のように、PCU108が車体100aの左右方向の中央から離れた左サイドフレーム116の近傍に設けられているので、側突による耐荷重性能が高まることで、衝突によるPCU108の破損を抑制することができる。
【0046】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0047】
例えば、上述した実施形態において、ステー部132、142は、ケーシング120の右側面120bおよび左側面120cに沿って別々に設けられるようにした。しかしながら、これに限らず、ステー部132、142は、ケーシング120の右側面120bまたは左側面120cのどちらか一方に沿って設けられるようにしてもよい。また、ステー部132、142は、ケーシング120の上面または下面に沿って設けられるようにしてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態において、固定冷却装置130、140の形状は、一例に過ぎず、他の形状であってもよい。つまり、固定冷却装置130、140の形状は、少なくとも、冷却水が流通するステー部132、142、および、左サイドフレーム116、クロスメンバ118a、118bに固定するための固定部134、144が設けられていればよく、また、その形状はどのような形状であってもよい。
【0049】
また、上述した実施形態において、PCU108は、固定冷却装置130、140を介して、左サイドフレーム116、クロスメンバ118a、118bに固定されるようにした。しかしながら、これに限らず、PCU108は、固定冷却装置130、140を介して車体100aに固定されるのであれば、車体100aにおけるいずれに固定されるようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態において、PCU108は、車体100aの後方向側の後部座席の下方に配されている場合について説明した。しかしながら、PCU108の搭載位置は、これに限らず、他の位置であってもよい。