(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、ポリチオール化合物、ポリイソ(チオ)シアナート化合物、ポリアミン化合物、(メタ)アクリレート化合物、アリルカーボネート化合物、(チオ)エポキシ化合物、オキセタン化合物、アルコキシシラン化合物、酸無水物、および一般式(1)で表される化合物以外のチエタン化合物から選択される少なくとも1種を含む、請求項2記載の重合性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のチエタニル化合物は前記一般式(1)で表される。
【0011】
一般式(1)において、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。なお、本発明のチエタニル化合物を、後述するチエタニル基と金属を有する化合物と組み合わせて用いる場合には、Xが硫黄原子である化合物の方が、より高屈折率の成形体を得ることができるため好ましい。
一般式(1)で表される本発明のチエタニル化合物は、ジチエタニルジチオカーボネートおよびジチエタニルトリチオカーボネートである。
【0012】
一般式(1)で表される本発明の新規なチエタニル化合物は以下の製造方法で製造することができる。
【0014】
原料である3−チエタノールは公知の方法により容易に合成できる。例えば、硫化水素を飽和溶解させたアルコール又は水中へ、エピハロヒドリンとアルカリを同時に装入すればよい。ここで用いるアルコールは硫化水素が溶解可能であればいかなるものでも良いが、溶解度の大きいメタノールが好ましい。エピハロヒドリンとしてはエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリンが好ましい。アルカリとしては、無機、有機何れのものでもよく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の重炭酸塩、アンモニア、3級アミン、2級アミン、1級アミン、金属アルコキシド等が好ましい。その他、1−クロロ−3−メルカプトプロパン−2−オールと前記アルカリを無溶媒または水、アルコールなどの溶媒中で反応させる方法もある。
【0015】
工程1:
得られた3−チエタノールをハロゲン化剤などにより3−ハロゲノチエタンへ変換する。ここで用いるハロゲン化剤の好ましいものとしては、塩化チオニル、三塩化リン、塩酸、塩化水素、三臭化リン、臭化水素酸、臭化水素、塩素、臭素等が挙げられるが例示化合物に限定されるわけではない。反応の際に用いる溶媒は、ハロゲン化剤の種類により異なり一概には言えないが、無溶媒またはハロゲン化を阻害しないもの、ハロゲン化剤と反応しないものであればいずれでも良い。反応温度もハロゲン化剤の種類により異なり一概には言えないが、通常−30℃〜50℃とすると良い結果が得られる場合があり、−10℃〜30℃であれば好ましい。
【0016】
工程2:
3−ハロゲノチエタンは、置換反応によってハロゲン原子をメルカプト基へ変換できる。この置換反応は、チオシアン酸塩類を用いる反応、チオ尿素を用いる反応、トリフェニルフォスフィンスルフィドを用いる反応、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム等の水硫化アルカリ金属類および硫化アルカリ金属類を用いる方法、ナトリウムポリスルフィドやカリウムポリスルフィド等の金属ポリスルフィド類を用いる方法、ナトリウムトリチオカーボネート、カリウムトリチオカーボネート等のアルカリ金属トリチオカーボネート類を用いる方法、キサントゲン酸カリウムを用いる方法、Bunte塩を用いる方法等の公知の反応である。
当該工程は、チオシアン酸塩類、チオ尿素類、トリフェニルフォスフィンスルフィド等のチア化剤、好ましくはチオシアン酸塩類、チオ尿素類を用いる方法が好適である。当該方法としては、チア化剤と水、アルコール、ケトン、エステルなどから選ばれる少なくとも1種類以上の極性溶媒中で反応させることにより、イソチウロニウム塩を形成する。このイソチウロニウム塩を含有する溶液中または取り出したイソチウロニウム塩ヘ前記同様のアルカリを加え反応させることにより、一般式(a)で表される構造を有する3−メルカプトチエタンを合成することができる。
【0017】
工程3においては、3−メルカプトチエタンを、ホスゲン誘導体またはチオホスゲンと反応させる。3−メルカプトチエタンをホスゲン誘導体と反応させ化合物(b)を得る場合を工程(A)、3−メルカプトチエタンをチオホスゲンと反応させ化合物(c)を得る場合を工程(B)として説明する。
【0018】
工程(A):
得られた化合物(a)である3−メルカプトチエタンをホスゲン誘導体(ホスゲン或いはトリホスゲン)と反応させ、化合物(b)であるジチエタニルジチオカーボネートを製造する。用いられるホスゲン或いはトリホスゲンの使用量は化合物(a)に対して凡そ0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.5当量、最も好ましくは1.0〜1.2当量の範囲である。反応温度は凡そ−50℃〜200℃、好ましくは−10〜100℃、さらに好ましくは0〜50℃の範囲である。当該工程により、化合物(b)を含む反応混合物が得られる。
【0019】
この反応の速度を向上させる目的で、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペラジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノンー5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の3級アミン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酸化カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウム、水素化ナトリム等の無機塩基などの公知の塩基性化合物を添加してもよい。これら塩基性化合物の添加量は化合物(a)に対して凡そ0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.5当量、最も好ましくは1.0〜1.2当量の範囲である。
【0020】
最後に上記で得られた反応液を公知の精製方法、例えば、水洗、蒸留、或いはカラムクロマトグラフィー等にて精製して目的の化合物(b)ジチエタニルジチオカーボネートを得る。
【0021】
工程(B):
化合物(c)であるジチエタニルトリチオカーボネートは、工程(A)のホスゲン或いはトリホスゲンをチオホスゲンに変更することによって同様に製造できる。
【0022】
工程(A)および工程(B)において、公知の溶剤が使用可能であるが、原料、中間体、および最終目的物に対して不活性で、且つ最終目的物の性状等に応じて適切な溶剤が選択される。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル類、アセトニトリル、アジポニトリル、シアノベンゼン等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミドゾリジノン等の非プロトン性極性化合物類などが挙げられる。
【0023】
[重合性組成物]
本発明の重合性組成物は、一般式(1)で表されるチエタニル化合物を含む。その含有量は重量比で0.1〜100%の範囲であり、好ましくは1〜100%の範囲であり、より好ましくは10〜100%の範囲であり、さらに好ましくは30〜100%の範囲である。
【0024】
本発明の重合性組成物は、一般式(1)のチエタニル化合物とともに、該チエタニル化合物以外のその他の重合反応性化合物を含むことができる。
本発明のチエタニル化合物は、別の高屈折率モノマーと組み合わせて使用することにより、高屈折率樹脂用モノマーとしてより好適に使用することもできる。さらに、ハンドリングにおいて問題がある別の高屈折率モノマーと組み合わせて使用することにより、極めて高い屈折率の樹脂および成形体を、一般的な注型重合等により安定的に製造することができる。
【0025】
その他の重合反応性化合物としては、一般式(1)で表されるチエタニル化合物と共重合可能な官能基を1個以上有する化合物または単独で重合可能な官能基を1個以上有する化合物が挙げられる。
【0026】
具体的には、例えば、ポリチオール化合物、ポリイソ(チオ)シアナート化合物、ポリアミン化合物、(メタ)アクリレート化合物、アリルカーボネート化合物、(チオ)エポキシ化合物、オキセタン化合物、アルコキシシラン化合物、酸無水物、および一般式(1)以外のチエタン化合物などが挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0027】
上記のポリチオール化合物は、一分子内にメルカプト基2個以上有する化合物であり、例えば、エタンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;
1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール等の芳香族ポリチオール化合物;
3,4-ジメルカプト−1−チオフェン、2,5-ビス(メルカプトメチル)−1−チオフェン、ビスムチオール、2,5-ジルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,4-ジチアン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン等の複素環ポリチオール化合物等が挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0028】
上記のポリイソ(チオ)シアナート化合物は一分子内にイソシアナート基またはイソチオシアナート基を単独または組み合わせて2個以上有する化合物であり、例えば、テトラメチレンジイソ(チオ)シアナート、ペンタメチレンジイソ(チオ)シアナート、ヘキサメチレンジイソ(チオ)シアナート、ペンタメチレンジイソ(チオ)シアナート、オクタメチレンジイソ(チオ)シアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソ(チオ)シアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソ(チオ)シアナート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソ(チオ)シアナート、キシリレンジイソ(チオ)シアナート等の脂肪族ポリイソ(チオ)シアナート化合物;
イソホロンジイソ(チオ)シアナート、ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソ(チオ)シアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソ(チオ)シアナート、2,5−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}トリシクロデカン、3,9−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}トリシクロデカン、4,8−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}トリシクロデカン、4,9−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}トリシクロデカン等の脂環族ポリイソ(チオ)シアナート化合物;
トリレンジイソ(チオ)シアナート、4,4'−ジフェニルメタンジイソ(チオ)シアナート、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソ(チオ)シアナート、フェニレンジイソ(チオ)シアナート等の芳香族ポリイソ(チオ)シアナート化合物;
2,5−ジイソ(チオ)シアナトチオフェン、2,5−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}チオフェン、2,5−ジイソ(チオ)シアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソ(チオ)シアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}−1,4−ジチアン、4,5−ジイソ(チオ)シアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス{イソ(チオ)シアナトメチル}−1,3−ジチオラン等の複素環ポリイソ(チオ)シアナート化合物、およびこれらのイソ(チオ)シアヌレート体、ダイマー体、1−ナイロン体、カルボジイミド体、(チオ)ウレア体、ビュウレット体、アロハネート体、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのアダクト体などが挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0029】
上記のポリアミン化合物は一分子内にアミノ基を2個以上有する化合物であり、例えば、フェニルアミン、1,3−ビス(3−アミノフェニルオキシ)ベンゼン、シクロヘキシルアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンビス(アミンメチル)、ビス(4−アミンシクロヘキシル)メタン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミンメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミンメチル)クロヘキサンなどが挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0030】
上記の(メタ)アクリレート化合物は、一分子内にアクリレート基、メタクリレート基、チオアクリレート基、またはチオメタクリレート基から選ばれる基を単独または組み合わせて1個以上有する化合物であり、例えば、{(メタ)アクリロイルチオ}ベンゼン、{(メタ)アクリロイルチオメチル}ベンゼン、1,2−ビス{(メタ)アクリロイルチオ}エタン、1,5−ビス{(メタ)アクリロイルチオ}−3−チアヘプタン、2,5−ビス{(メタ)アクリロイルチオ}−1,4−ジチアン、2,5−ビス{(メタ)アクリロイルチオメチル}−1,4−ジチアン、1,8−ビス{(メタ)アクリロイルチオ}−4−{(メタ)アクリロイルチオメチル}−3,6−ジチアオクタン、1,11−ビス{(メタ)アクリロイルチオ}−4,8−ビス{(メタ)アクリロイルチオメチル}−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス{(メタ)アクリロイルチオメチルチオ)}プロパン等のチオアクリレート基またはチオメタクリレート基を有する化合物が挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0031】
例えば、メチル(メタ)アクリレート、{(メタ)アクリロイオキシ}ベンゼン、{(メタ)アクリロイルオキシメチル}ベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}エタン、1,2−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}プロパン、1,3−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}プロパン、1,4−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}プタン、1,6−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}ヘキサン;
ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}エーテル、1,2−ポリプロピレングリコール−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}エーテル、1,2−ポリプロピレングリコール−ビス{(メタ)アクリロイル−ポリ(オキシエチレン)}エーテル、1,3−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ポリブチレングリコール−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}エーテルなどが挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0032】
また、例えば、ビス{2−(メタ)アクリロイルチオ−エチル}スルフィド、ビス{5−(メタ)アクリロイルチオ−3−チアペンチル}スルフィド;
シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−メチル}シクロヘキサン、ビス{7−(メタ)アクリロイルオキシ−2,5−ジオキサヘプチル}シクロヘキサン、ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)−メチル}シクロヘキサン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−プロペノイックアシッド{2−(1,1,−ジメチル−2−{(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ}エチル)−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル}メチルエステル(日本化薬社製,商品名「KAYARAD R−604」)、N,N',N"−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}イソシアヌレート、キシリレンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス{7−(メタ)アクリロイルオキシ−2,5−ジオキサヘプチル}ベンゼン、ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)−メチル}ベンゼン、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス{(メタ)アクリロイル−オキシエチル}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイル−オキシプロピル}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイル−ポリ(オキシエチレン)}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイル−ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルーオキシエチル}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−オキシプロピル}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−ポリ(オキシエチレン)}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイル−オキシエチル−オキシプロピル}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイルポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)}ビスフェノールA、ナフタレンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−オキシ}ナフタレン、9,9−フルオレンジオールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス{4−(2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ)}フルオレン、9,9−ビス{3−フェニル−4−(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}フルオレン;などが挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0033】
さらに、例えば、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート(新中村化学製,商品名「NKオリゴ EA−6320,EA−7120,EA−7420」)、グリセリン−1,3−ジ(メタ)アクリレート、1−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−プロパン、2,6,10−トリヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデカン−1,11−ジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−オキシ}−2−ヒドロキシプロパン、1,2,3−トリス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−オキシ}プロパン、1,2,3−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}プロパン、1,2,3−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}プロパン、1,2,3−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−エチレンオキシ)}プロパン、1,2,3−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}プロパン、1,2,3−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,3−プロピレンオキシ)}プロパントリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、トリメチロールプロパン−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、トリメチロールプロパン−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、トリメチロールプロパン−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、ペンタエリスリトール−テトラキス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、ペンタエリスリトール−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、ペンタエリスリトール−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、ジトリメチロール、プロパン−テトラキス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、ジトリメチロールプロパン−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、ジトリメチロールプロパン−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテル;等が挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0034】
加えて、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、ヘキサメチレンジイソシアナートとのウレタン反応物、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、イソホロンジイソシアナートとのウレタン反応物、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンとのウレタン反応物、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、ノルビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンとのウレタン反応物、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとのウレタン反応物、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、上記ポリイソ(チオ)シアナート化合物との(チオ)ウレタン反応物、等が挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0035】
上記のアリルカーボネート化合物は一分子内にアリルカーボネート基、チオアリルカーボネート基、またはジチオアリルカーボネート基を単独または組み合わせて1個以上有する化合物であり、例えば、フェニルアリルカーボネート、ベンジルアリルカーボネート、エチレングリコール−1,2−ジアリルカーボネート、1,2−ビス(アリルチオカーボナト)エタン、1,2−ビス(アリルジチオカーボナト)エタン、ジエチレングリコールジアリルカーボネート、1,5−ビス(アリルチオカーボナト)−3−オキサヘプタン、1,5−ビス(アリルジチオカーボナト)−3−オキサヘプタン、1,5−ビス(アリルチオカーボナト)−3−チアサヘプタン、1,5−ビス(アリルジチオカーボナト)−3−チアサヘプタン、トリエチレングリコールジアリルカーボネート、プロピレングリコールジアリルカーボネート、ジプロピレングリコールジアリルカーボネート、トリプロピレングリコールジアリルカーボネート等が挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0036】
上記の(チオ)エポキシ化合物は、一分子内にエポキシ基またはチオエポキシ基を単独または組み合わせて1個以上有する化合物であり、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド、
例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のポリ(チオ)エポキシ化合物;
ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピル)スルフィド、ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−1−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−4−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−4−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ化合物;
1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ化合物;
1,2−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフォン、4,4'−ビス(2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族の2,3−(チオ)エポキシプロピルチオ化合物;等を挙げることができる。
【0037】
上記のオキセタン化合物は、一分子内にオキセタニル基を1個以上有する化合物であり、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル−(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン等を挙げることができる。
【0038】
上記のアルコキシシラン化合物は、一分子内にアルコキシシリル基を1個以上有する化合物であり、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシ−プロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシ−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシ−プロピルトリメトキシシラン、3−アミノ−プロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノ−プロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イルオキシプロピル)トリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、およびそれらの加水分解縮合オリゴマーなどが挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0039】
上記の酸無水物は、一分子内に酸無水物基を1個以上有する化合物であり、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸またはドデシル無水コハク酸等が挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
【0040】
上記一般式(1)以外のチエタン化合物は、一分子内にチエタニル基を1個以上有する化合物であり、例えば、3−メルカプト−1−チエタン、1−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1,5−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−2,4−ジチアペンタン、4,6−ビス[3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−5−メルカプト−2,4−ジチアペンチルチオ]−1,3−ジチアン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、9−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,4,6,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,7−ビス{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−1,9−ジメルカプト−2,4,6,8−テトラチアノナン、4,5−ビス[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、4−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−5−{1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−4−メルカプト−3−チアブチルチオ}−1,3−ジチオラン、4−{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}−5−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラントリス(チエタニルチオ)アンチモン、ペンタキス(チエタニルチオ)アンチモン、トリス(チエタニルチオ)ビスマス、テトラキス(チエタニルチオ)ジルコニウム、ペンタキス(チエタニルチオ)タンタル、テトラキス(チエタニルチオ)スズ、ジチエタニルテトラスルフィド等を挙げられ、少なくとも一種を用いることができる。
本発明のチエタニル化合物とともに用いられるその他の重合反応性化合物としては、本発明の効果の観点から、好ましくは一分子内にチエタニル基を1個以上有する上記化合物である。
【0041】
その他の重合反応性化合物を用いる場合、本発明のチエタニル化合物とその他の重合反応性化合物との合計100重量%に対して、本発明のチエタニル化合物を99〜1重量%、好ましくは50〜2重量%、さらに好ましくは20〜2重量%、その他の重合反応性化合物1〜99重量%、好ましくは50〜98重量%、さらに好ましくは80〜98重量%で含むことができる。
【0042】
上記の重合性組成物には、一般式(1)で表される化合物以外の重合反応性化合物の他に、例えば、赤外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、重合禁止剤、染料、バインダー、分散剤、レベリング剤、溶剤等の様々な添加剤が含まれていてもよい。
本発明の重合性組成物は、従来公知の方法により、上記成分を混合することに得ることができる。
【0043】
[成形体]
本発明の重合性組成物に熱または放射線を加え、該重合性組成物を重合硬化させて、本発明の成形体および該成形体からなるプラスチックレンズ等の光学材料を得ることができる。熱により硬化させる場合には触媒または熱重合開始剤を添加することが好ましい。放射線、例えば、紫外線により硬化させる場合には、触媒または光重合開始剤を添加することが好ましい。
【0044】
上記目的で使用される触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のホウ素化合物、ジメチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジクロリド、ジオクチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の錫化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、トリブチルアミン、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムクロリド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、等の3級および4級アミン化合物、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスフィンクロリド、テトラブチルホスフィンブロミド、テトラフェニルホスフィンクロリド、テトラフェニルホスフィンブロミド等のリン化合物、ビス(3,5−ジ−t−ブチルサリシリデン)−1,2−ジアミノベンゼンと塩化クロムの錯体、ビス(3,5−ジ−t−ブチルサリシリデン)−1,2−ジアミノエタンと塩化クロムの錯体、ビス(3,5−ジ−t−ブチルサリシリデン)−1,2−ジアミノベンゼンと臭化クロムの錯体、ビス(3,5−ジ−t−ブチルサリシリデン)−1,2−ジアミノベンゼンと沃化クロムの錯体等の金属錯体化合物、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペラジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の3級アミン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ス酸化カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウム、水素化ナトリム等の無機塩基などの公知の塩基性化合物などが挙げられる。
【0045】
上記触媒の添加量は、特に限定はされないが、本発明のチエタニル化合物に対して、または当該チエタニル化合物とその他の重合反応性化合物との合計に対して、触媒は、通常0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%であり、重合開始剤は、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。
【0046】
本発明の成形体は上記重合性組成物を加熱或いは紫外線等の放射線を照射することによって得られる。本発明の重合性組成物を重合して得られる樹脂が長期間外部に曝されても変質しないようにするためには、本発明の重合性組成物に、さらに紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を添加した重合性組成物とすることが望ましい。
【0047】
上記紫外線吸収剤は特に限定はされず、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、プロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤等の種々の紫外線吸収剤を用いることができる。
【0048】
例えば、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル-1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(1−メチル-1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−オン−4−オキサ−ドデシル)−6−tert−ブチル−フェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4−(3−オン−4−オキサ−ドデシル)−6−tert−ブチル−フェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4−メチル-6−tert−ブチル−フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル6−n−ドデシルフェノール、メチル-3−{3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル}プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応性生物等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4−フェノキシ−2−ヒドロキシ−フェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘキサデシロキシ)−4,6−ジ(2,4−ジメチル-フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘプタデシロキシ)−4,6−ジ(2,4−ジメチル-フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−iso−オクチロキシ−フェニル)−4,6−ジ(2,4−ジメチル-フェニル)−1,3,5−トリアジン、商品名チヌビン326(BASF製)、商品名チヌビン400(BASF製)、商品名チヌビン405(BASF製)、商品名チヌビン460(BASF製)、商品名チヌビン479(BASF製)等のトリアジン系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤;プロパンジオック酸−{(4−メトキシフェニル)−メチレン}−ジメチルエステル、商品名ホスタビンPR−25(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンB−CAP(クラリアント・ジャパン株式会社製)等のプロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤;2−エチル−2'−エトキシ−オキサニリド、商品名Sanduvor VSU(クラリアント・ジャパン株式会社製)等のオキサニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0049】
上記ヒンダードアミン系光安定剤(Hindered Amin Light Stabilizers:略称HALS)は、通常、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物の総称であり、分子量により、低分子量HALS、中分子量HALS、高分子量HALS及び反応型HALSに大別される。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、商品名チヌビン111FDL(BASF製)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル-4−ピペリジル)セバケート(商品名チヌビン123(BASF製))、商品名チヌビン144(BASF製)、商品名チヌビン292(BASF製)、商品名チヌビン765(BASF製)、商品名チヌビン770(BASF製)、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル-4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(商品名CHIMASSORB119FL(BASF製))、商品名CHIMASSORB2020FDL(BASF製)、コハク酸ジメチル-1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(商品名CHIMASSORB622LD(BASF製))、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチル-ブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチルラウリル−4−ピペリジル)イミノ}](商品名CHIMASSORB944FD(BASF製))、商品名Sanduvor3050 Liq.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3052 Liq.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3058 Liq.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3051 Powder.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3070 Powder.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名VP Sanduvor PR−31(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN20(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN24(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN30(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN321(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンPR−31(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビン845(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ナイロスタッブS−EED(クラリアント・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0050】
上記紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、特に限定はされないが、本発明のチエタニル化合物に対して、または当該チエタニル化合物とその他の重合反応性化合物との合計に対して、紫外線吸収剤は、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であり、ヒンダードアミン系光安定剤は、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
【0051】
さらに、調光性を付与する目的で、調光色素を添加しても良い。代表的な調光色素としては、例えば、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、ビスイミダゾール化合物から所望の着色に応じて、1種または2種以上を用いることができる。
【0052】
前記スピロピラン系化合物の例としては、インドリノスピロベンゾピランのインドール環及びベンゼン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロナフトピランのインドール環及びナフタリン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロキノリノピランのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロピリドピランのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、等が挙げられる。
【0053】
前記スピロオキサジン系化合物の例としては、インドリノスピロベンゾオキサジンがインドール環及びベンゼン環で置換されたハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びナフタリン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、ピペリジノスピロナフトオキサジンのピペリジン環及びナフタリン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、等が挙げられる。
【0054】
前記フルギド系化合物の例としては、N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2'−トリシクロ〔3.3.1.1
3,7〕デカン〕、N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2'−トリシクロ〔3.3.1.1
3,7〕デカン)、6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2'−トリシクロ〔3.3.1.1
3,7〕デカン)、6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−(p−メチルフェニル)−N−ニトロメチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2'−トリシクロ〔3.3.1.1
3,7〕デカン)、N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピル−3−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2'−トリシクロ〔3.3.1.1
3,7〕デカン)、N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2'−トリシクロ〔3.3.1.1
3,7〕デカン)、N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2'−トリシクロ〔3.3.1.1
3,7〕デカン)、等が挙げられる。
【0055】
前記ナフトピラン系化合物の例としては、スピロ〔ノルボルナン−2,2'−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2'−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、7'−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2'−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、7'−メトキシスピ〔ノルボルナン−2,2'−〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕、2,2−ジメチル−7−オクトキシ〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン、スピロ〔2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2'−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、スピロ〔2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2'−〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕、6−モルホリノ−3,3−ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−3H−ベンゾ(f)クロメン、5−イソプロピル−2,2−ジフェニル−2H−ベンゾ(h)クロメン、等が挙げられる。
【0056】
これらの調光色素の添加量は、特に限定はされないが、本発明のチエタニル化合物に対して、または当該チエタニル化合物とその他の重合反応性化合物との合計に対して、およそ0.01〜10000ppm(重量)の範囲、好ましくは0.1〜1000ppm(重量)の範囲、より好ましくは1〜100ppm(重量)の範囲である。
【0057】
一般式(1)で表される化合物を含んでなる本発明の重合性組成物は加熱または放射線照射によって重合し樹脂を形成することができる。この際にガラス板とテープまたはガスケット等から形成された成型モールド内(キャビティー内)で重合を行い、重合終了後ガラス板とテープまたはガスケット等を剥離する注型重合法よって該硬化樹脂からなる成形体およびプラスチックレンズ等の光学材料を得ることができる。
【0058】
上記成形体およびプラスチックレンズ等のガラス板からの離型性を向上させる目的で、必要に応じて内部離型剤を用いても良い。好ましく用いられる内部離型剤としてリン酸エステル類が挙げられ、例えば、ジブチルリン酸、ジオクチルリン酸、モノブトキシリン酸、ジブトキシリン酸、モノメチルモノ−3,6,9−トリオキサウンデカ−1−イルリン酸、モノメチルモノ−3,6,9−トリオキサウンデカ−1−イルリン酸ナトリウム、モノエチルモノ(14−ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカ−1−イル)リン酸、モノ(14−ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカ−1−イル)モノオクチルリン酸、モノエチルモノ−3,6,9−トリオキサヘンイコサ−1−イルリン酸、モノブチルモノ−3,6,9,12,15,18,21−ヘプタオキサテトラトリアコント−1−イルリン酸、モノブチルモノ−3,6,9,12,15,18,21−ヘプタオキサテトラトリアコント−1−イルリン酸、モノメチルモノ(23−(ノニルフェノキシ)−3,6,9,12,15,18,21−ヘプタオキサトリコサ−1−イル)リン酸、モノメチルモノ(23−(ノニルフェノキシ)−3,6,9,12,15,18,21−ヘプタオキサトリコサ−1−イル)リン酸ナトリウム、モノメチルモノ(29−(4−ノニルフェノキシ)−3,6,9,12,15,18,21,24,27−ノナオキサノナコサ−1−イル)リン酸、モノエチルモノ(26−(イソオクチルフェノキシ)−3,6,9,12,15,18,21,24−オクタオキサヘキサコサ−1−イル)リン酸、モノヘキサデシルモノ(14−ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカ−1−イル)リン酸、モノドデシルモノ(17−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカ−1−イル)リン酸等が挙げられる。
【0059】
上記内部離型剤の添加量は、特に限定はされないが、本発明のチエタニル化合物に対して、または当該チエタニル化合物とその他の重合反応性化合物との合計に対して、通常0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。
【0060】
本発明の重合性組成物を加熱または放射線照射して注型重合により成形体およびプラスチックレンズを製造するに際して、組成物中に残存溶剤および水分が大量に残存していると、注入および重合硬化中に気泡が発生し易く、最終的には成形体内部に気泡が固定化(固化)されるため、重合反応性化合物を含む組成物中にはなるべく溶剤および水は含まれない方が好ましい。従って、キャビティーに注入する直前の本発明の重合性組成物中に含まれる溶剤および水の量は少なくとも20重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下であればさらに好ましい。
【0061】
加熱により本発明の成形体、該成形体からなるプラスチックレンズ等の光学材料を製造する場合、対流による重合不均一(脈理)を防止する目的で、加熱は、通常、低温から徐々に昇温して数日間もかけて重合される。代表的な加熱条件としては、例えば−25〜200℃の範囲で低温から徐々に昇温して64時間、同様に5〜150℃の範囲で40時間、同様に20〜120℃の範囲で16時間といった条件等が挙げられる。または、60〜80℃の間の一定の温度で、2〜80時間保持する条件等が挙げられる。
【0062】
UV等の放射線により重合する場合も同様に、対流による重合不均一(脈理)を防止するために、通常、放射線の照射の分割をしたり、照度を低下させたりして、徐々に重合させられる。より対流が起こらないようにする目的で、均一な重合性反応組成物をキャビティーに注入した後に一旦冷却して対流が起こり難い状態を形成し、次いで弱い放射線を照射して均一なゲル状態を形成した半硬化組成物を、加熱によって完全に硬化させるデュアルキュアー方式等が取られる場合もある。
【0063】
放射線により本発明の樹脂、該樹脂からなる成形体およびプラスチックレンズ等の光学材料を製造する場合、用いられる放射線としては波長領域が0.0001〜800nmの範囲のエネルギー線が通常用いられる。上記放射線は、α線、β線、γ線、X線、電子線、紫外線、可視光等に分類されており、上記混合物の組成に応じて適宜選択して使用できる。これら放射線の中でも紫外線が好ましく、紫外線の出力ピークは、好ましくは200〜450nmの範囲、より好ましくは230〜445nmの範囲、さらに好ましくは240〜430nmの範囲、特に好ましくは250〜400nmの範囲である。上記出力ピークの範囲の紫外線を用いた場合には、重合時の黄変及び熱変形等の不具合が少なく、且つ紫外線吸収剤を添加した場合も比較的に短時間で重合を完結できる。
【0064】
本発明においては、重合時の成型モールドを変えることにより種々の形状の成形体を得ることができる。本発明の成形体は、所望の形状とし、必要に応じて積層されるコート層や他の部材等を備えることにより、様々な光学材料として用いることができる。
【0065】
本発明の重合性組成物から得られる樹脂、該樹脂からなる成形体はエピスルフィド系樹脂よりもさらに高い屈折率を有しており、光学材料に好適に用いることができる。光学材料としては、プラスチックレンズ、発光ダイオード(LED)、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等を挙げることができる。特に、プラスチックレンズとして好適である。
【0066】
こうして得られた本発明の樹脂、該樹脂からなる成形体およびプラスチックレンズ等の光学材料は、その表面に、ハードコート、反射防止コート、防曇コート、防汚コート、調光コート、滑り性付与コートまたは滑り性付与処理、および帯電防止コート等の機能性コート層等設けたり、ファッション性付与のための染色処理を行ったり、表面およびエッジの研磨等の処理を行ったり、さらには偏光性を付与する目的で偏光フィルムを内部に入れたり表面に貼り付けたり様々な機能性を付与する加工等を行ってもよい。
【0067】
さらにそれら機能性コート層と基材との密着性を向上させる等の目的で、得られた本発明の樹脂、該樹脂からなる成形体およびプラスチックレンズ等の光学材料の表面を、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガスもしくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等による酸化処理、火炎処理等の物理的または化学的処理を施すこともできる。
【0068】
またこれら処理に替えてあるいはこれら処理に加えて、本発明の樹脂、該樹脂からなる成形体およびプラスチックレンズ等の光学材料の表面と上記の物理的または化学的処理等によって形成された最外層(大気接触面)との間に、プライマー処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理等により形成されたプライマー層を設けても良い。
【0069】
上記プライマー層に用いるコート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等の樹脂をビヒクルの主成分とするコート剤を用いることができる。上記コート剤としては、溶剤型コート剤、水性型コート剤のいずれであってもよい。
【0070】
これらコート剤の中でも、変性ポリオレフィン系コート剤、エチルビニルアルコール系コート剤、ポリエチレンイミン系コート剤、ポリブタジエン系コート剤、ポリウレタン系コート剤、ポリエステル系ポリウレタンエマルジョンコート剤、ポリ塩化ビニルエマルジョンコート剤、レタンアクリルエマルジョンコート剤、シリコンアクリルエマルジョンコート剤、酢酸ビニルアクリルエマルジョンコート剤、アクリルエマルジョンコート剤;
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスコート剤、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスコート剤、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックスコート剤、クロロプレンラテックスコート剤、ポリブタジエンラテックスのゴム系ラテックスコート剤、ポリアクリル酸エステルラテックスコート剤、ポリ塩化ビニリデンラテックスコート剤、ポリブタジエンラテックスコート剤、あるいはこれらラテックスコート剤に含まれる樹脂のカルボン酸変性物ラテックスもしくはディスパージョンからなるコート剤が好ましい。
【0071】
これらコ−ト剤は、例えば、デップコート法、スピンコート法、およびスプレーコート法などにより塗布することができ、基材への塗布量は、乾燥状態で、通常0.005g/m
2〜30g/m
2、好ましくは0.05g/m
2〜10g/m
2である。
【0072】
これらコート剤の中では、ポリウレタン系コート剤がより好ましい。ポリウレタン系のコート剤は、そのコート剤に含まれる樹脂の主鎖あるいは側鎖にウレタン結合を有するものである。ポリウレタン系コート剤は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、またはアクリルポリオールなどのポリオールとイソシアナート化合物とを反応させて得られるポリウレタンを含むコート剤である。
【0073】
これらポリウレタン系コート剤の中でも、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなどのポリエステルポリオールとトリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート等のイソシアナート化合物とを混合して得られるポリウレタン系コート剤が、密着性に優れているため好ましい。
【0074】
ポリオール化合物とイソシアナート化合物とを混合する方法は、特に限定されない。また配合比も特に制限されないが、イソシアナート化合物が少なすぎると硬化不良を引き起こす場合があるためポリオール化合物のOH基とイソシアナート化合物のNCO基が当量換算で2/1〜1/40の範囲であることが好適である。
本発明の樹脂および該樹脂からなる成形体は、成形物、フィルム、シートの形状のものも含む。
【0075】
本発明の樹脂および該樹脂からなる成形体は、プラスチックレンズ以外の光学材料に応用しても差支えない。プラスチックレンズ以外の用途としては、例えば、LED用封止材等光取出し材料、平面モールドを使用してプラスチックレンズと同様に製造されるシートおよびフィルム等が挙げられる。本発明の樹脂からなるシートおよびフィルム等は、それらの表面をプラスチックレンズと同様に物理的或いは化学的に処理されたり、前記のプライマー層および物理的或いは化学的処理等によって形成された機能性の最外層(大気接触面)が積層されていてもよい。
【0076】
本発明の樹脂からなる成形体およびプラスチックレンズ等の光学材料は、前記の物理的或いは化学的処理等によって形成された機能性の最外層(大気接触面)と硬化樹脂表面との間に上記プライマー層を含む積層体であってもよい。
【0077】
こうして得られる本発明の成形体は、メガネレンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、フルネルレンズ、プリズムレンズ、およびレンチキュラレンズ等様々なレンズ用途に使用できる。それらの中でも特に好ましい用途として、メガネレンズ、カメラレンズ、およびピックアップレンズ等のプラスチックレンズが挙げられる。
【0078】
同様に得られる本発明の成形体、シート、およびフィルムは、フラットパネル、スマートフォンパネル等の表示部材、飛散防止フィルム、特定波長カットフィルム、加飾用フィルム等のフィルム部材、建材窓ガラス、車両窓ガラス、鏡等のガラス代替部材等、透明性を要求される様々な平面部材用途としても使用できる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、硬化樹脂およびプラスチックレンズの評価は以下の方法により実施した。
<外観(透明性)>
目視により判定した。
<屈折率(ne)、アッベ数(νe)>
島津社製デジタル精密屈折計KPR−30Vを用い、25℃で測定した。
<耐熱性(ガラス転移温度:Tg)>
TMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ、昇温速度10℃/min)により、島津製作所社製 熱機械分析装置TMA−60にて測定した。
【0080】
[実施例1] ジチエタニルトリチオカーボネート(DTT)の製造
攪拌機と温度計を備えた反応器中にチオ尿素190g、35%塩酸253g、水250gを装入し攪拌しているところへ、滴下しながら3−チエタノール156gを装入し、30℃で24時間、攪拌しながら熟成を行った。次いで、30℃に維持しながら、24%アンモニア水177gを滴下しながら装入し、30℃にて、15時間攪拌しながら熟成を行った。静置後、有機層である下層134gを取り出した。取り出した下層を減圧下で蒸留を行い、106Paにて、40℃の留分を回収した。得られた留分は69gであり、3−メルカプトチエタンであった。
得られた3−メルカプトチエタン42.3g(0.40mol)にジクロロメタン470mlを加えて混合溶解し、トリエチルアミン44.4g(0.44mol)を内温5〜15℃の範囲で滴下し、次いでチオホスゲン24.2g(0.21mol)を同様に5〜15℃の範囲で滴下して10℃で3時間熟成した。得られた反応液を水200mlで2回洗浄し、次いで5wt%炭酸水素ナトリウム200mlで洗浄し、さらに水200mlで洗浄した。分液した下層の有機層に無水硫酸マグネシウム15gを加えて室温で2時間撹拌し、濾過して得られた濾液をシリカゲル(WAKO GEL C−200)150cm3が充填されたカラムを通液させた後にさらにジクロロメタン200mlも通液させた。最後に通液した液をロータリーエバポレーターにて濃縮して目的のジチエタニルトリチオカーボネート47.3gを得た。得られたジチエタニルトリチオカーボネートの屈折率(D線589nm)は1.692であり同定データ(
1H−NMR)を
図1に示す。
【0081】
[実施例2] ジチエタニルジチオカーボネート(DTD)の製造
実施例1で得られた3−メルカプトチエタン10.6g(0.10mol)にジクロロメタン20mlとトリホスゲン5.44g(0.018mol)を加えて混合溶解し、トリエチルアミン12.1g(0.12mol)とジクロロメタン40mlの混合液を内温10〜20℃の範囲で滴下し10℃で2時間熟成した。得られた反応液を水100ml、5wt%炭酸水素ナトリウム100mlで洗浄し、さらに水200mlで順次洗浄した。分液した下層の有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて室温で1時間撹拌し、濾過して得られた濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、得られた濾塊にメタノールを加えてスラッジングし、再び濾過して得られた濾塊を減圧乾燥して目的のジチエタニルトリチオカーボネート7.5gを得た。同定データ(
1H−NMR)を
図2に示す。
【0082】
[実施例3] DTTを用いたプラスチックレンズの製造
実施例1で得られたジチエタニルトリチオカーボネート0.5g、ジチエタニルテトラスルフィド3.0g、テトラキス(チエタニルチオ)スズ6.5g、およびジオクチルリン酸0.003gを65〜70℃で混合溶解し、3μmテフロンフィルターを通して得られた濾液を<10mmHgの減圧下で混合脱ガスし均一な重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物をガラスモールドとテープからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に2カーブ、中心厚:1mm)に注入してテープで密封し、65℃の重合オーブンに入れて3時間保持したあとに11時間かけて110まで昇温し、さらに110℃で2時間保持して、重合硬化させた。冷却後、ガラスモールドとテープを剥離して、内部に形成された硬化樹脂からなる成形体(プラスチックレンズ)を取り出した。得られたプラスチックレンズは透明で屈折率Ne=1.80、アッベ数νe=25であった。評価結果を表−1に示す。
【0083】
[実施例4] DTDを用いたプラスチックレンズの製造
ジチエタニルトリチオカーボネートを実施例2で得られたジチエタニルジチオカーボネートに変更し、実施例3と同様に試験した。評価結果を表−1に示す。
【0084】
[実施例5] DTDを用いたプラスチックレンズの製造
ジチエタニルジチオカーボネート2.0g、テトラキス(チエタニルチオ)スズ8.0g、およびジブチルリン酸0.003gを80℃の熱水浴で混合溶解し、<10mmHgの減圧下で10〜20分間脱ガスして均一な重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物をガラスモールドとテープからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に2カーブ、中心厚:1mm)に注入してテープで密封し、80℃の重合オーブンに入れて3日間保持して、重合硬化させ、透明なプラスチックレンズを得た。評価結果を表−1に示す。
【0085】
[比較例1] DTDを用いたプラスチックレンズの製造
ジチエタニルジチオカーボネート2.0gを加えずに実施例5と同様に試験を行おうとしたが、重合性組成物が溶解および脱泡中に増粘し、ガラスモールドとテープからなるキャビティー(カーブ形状:凹凸面共に2カーブ、中心厚:1mm)に注入することができなかった。
【0086】
【表1】
【0087】
表−1に記載の化合物は以下のとおりである。
DTT: ジチエタニルトリチオカーボネート
DTD: ジチエタニルジチオカーボネート
TTS: ジチエタニルテトラスルフィド
TMTS: テトラキス(チエタニルチオ)スズ