特許第6722104号(P6722104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6722104基準マーカーによる術中撮影画像の重ね合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722104
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】基準マーカーによる術中撮影画像の重ね合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20200706BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20200706BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20200706BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20200706BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20200706BHJP
【FI】
   A61B34/20
   A61B6/03 F
   A61B6/03 360Q
   A61B6/00 390A
   A61B6/00 360B
   A61B5/055 380
   A61B34/10
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-513400(P2016-513400)
(86)(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公表番号】特表2016-522719(P2016-522719A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】EP2014060172
(87)【国際公開番号】WO2014184382
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2017年5月9日
(31)【優先権主張番号】102013209158.3
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515316436
【氏名又は名称】フィアゴン ゲーエムベーハー
(74)【復代理人】
【識別番号】100135345
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 政彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100142457
【弁理士】
【氏名又は名称】立川 幸男
(74)【復代理人】
【識別番号】100158816
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 智満
(74)【復代理人】
【識別番号】100162444
【弁理士】
【氏名又は名称】勝見 陽介
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー、ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ミュシャ、ディルク
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2001/0021806(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0262345(US,A1)
【文献】 欧州特許第1278458(EP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0060213(US,A1)
【文献】 特開2000−20696(JP,A)
【文献】 特表2002−531209(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0093866(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0130576(US,A1)
【文献】 米国特許第6118845(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0281385(US,A1)
【文献】 MAINTZ, J. B. Antonie, VIERGEVER, Max A.,A survey of medical image registration,Medical Image Analysis,Oxford University Press,1998年,Vol.2, No.1,p.1-36
【文献】 Registration of Head Volume Images Using Implantable Fiducial Markers,IEEE Transactions on Medical Imaging,1997年 8月,Vol.16, No. 4,p.447-462
【文献】 DANG, H. et al.,Robust methods for automatic image-to-world registration in cone-beam CT interventional guidance,Medical Physics,2012年,vol.39, No.10,p.6484-6498
【文献】 HOFSTETTER, R. et al.,Fluoroscopy as an Imaging Means for Computer-Assisted Surgical Navigation,Computer Aided Surgery,1999年,Vol.4 No.2,p.65-76
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10−34/20
A61B 6/00
A61B 6/03
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の断層撮像画像データまたはX線技術によって得られた画像データを取り込んで用いる術中ナビゲーションのためのシステムの作動方法であって、
既知の3次元形状を有する第1の基準体を提供するステップであって、前記既知の3次元形状は、前記第1の基準体の利用可能な形状データによって表され、前記利用可能な形状データは、非変形状態での前記第1の基準体の形状を表す、該ステップと、
前記システムが、前記システムの少なくとも1つの第1の記録デバイスによって、前記患者の少なくとも1つの特定の身体領域の断層撮像画像データまたは前記X線技術によって得られた画像データを記録するステップ(S1)であって、前記特定の身体領域とともに、患者の少なくとも一箇所の身体表面に配置された前記第1の基準体(1、11、21)の断層撮像画像データまたはX線技術によって得られた画像データも同時に前記第1の記録デバイスによって記録する、該ステップ(S1)と、
前記システムが、変形情報を得るために、前記第1の基準体の形状を表す前記既知の形状データと、前記患者の上に配置された前記第1の基準体を表す記録された前記画像データとを比較するステップ(S2)と、
前記システムが、修正された画像データを得るために、前記システムのコンピュータユニットにより、前記変形情報に基づいて記録された前記画像データを修正するステップ(S3)と、
前記システムが、重畳画像データを得るために、前記修正された画像データに、前記システムの第2の記録デバイスが記録した前記患者の同じ身体領域の別の画像データを重畳するステップ(S4)と、
前記システムが、前記重畳画像データを前記システムのディスプレイ上に表示するステップ(S5)とを含むことを特徴とする作動方法。
【請求項2】
前記第1の基準体の利用可能な形状データが、非変形状態で前記第1の基準体の実際の形状を画像化する画像データであることを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記患者の同じ身体領域の別の画像データが、前記第1の基準体の形状データを画像データとして含むことを特徴とする請求項1または2に記載の作動方法。
【請求項4】
前記第1の基準体が、前記別の画像データを記録するときに、前記断層撮像画像データを記録するときと、前記記録デバイス及び/または患者に対して同じ位置を有することを特徴とする請求項3に記載の作動方法。
【請求項5】
前記第1の基準体が、前記別の画像データを記録するときに、前記断層撮像画像データを記録するときと、前記記録デバイスから同じ距離を有することを特徴とする請求項3または4に記載の作動方法。
【請求項6】
前記第1の基準体が、前記断層撮像画像データを記録するときに前記第1の基準体の表面の最大限に大きい部分が前記記録デバイスに対向するように位置合わせされることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の作動方法。
【請求項7】
前記第1の基準体が、前記患者のある身体上の位置に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の作動方法。
【請求項8】
前記患者の同じ身体領域の別の画像データは、第2の記録デバイスによって記録され、前記第2の記録デバイスは、X線デバイスであり、前記別の画像データはX線透視画像を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の作動方法。
【請求項9】
前記第1の基準体は、リング形状または円形であり、及び/またはリング形状及び/または円形の領域及び/または要素を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の作動方法。
【請求項10】
前記別の画像データが、術中に記録されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の作動方法。
【請求項11】
前記患者の少なくとも1つの特定の身体領域は、脊柱を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の作動方法。
【請求項12】
第2の基準体が、前記患者の少なくとも1つの特定の身体領域に含まれる前記患者の身体の手術部位に配置され、前記第1の基準体及び前記第2の基準体は、手術の計画と実施のためのナビゲーションシステムにおいて重ね合わせられ、前記ナビゲーションシステムによって、前記第1の基準体及び前記第2の基準体の位置データが基準点に対して決定され、前記断層撮像画像データ及び前記別の画像データは、前記ナビゲーションシステムにおける前記第1の基準体及び前記第2の基準体の位置データによって、重畳された形で前記ディスプレイ上に表示されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の作動方法。
【請求項13】
前記断層撮像画像データの少なくとも一部は、検査中または手術中に記録されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の作動方法。
【請求項14】
前記第1の基準体及び/または前記第2の基準体は、電磁気的及び/または光学的位置検出システムによって位置を検出されることを特徴とする請求項12に記載の作動方法。
【請求項15】
前記位置の検出は、前記画像データの記録と同時に、及び/または前記別の画像データの記録と同時に実施されることを特徴とする請求項14に記載の作動方法。
【請求項16】
前記第1の基準体は、複数の基準マーク(19)を有し、前記複数の基準マーク同士の相対的な位置は、既知であり一定であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の作動方法。
【請求項17】
前記第1の基準体は、電磁界発生器(50)に配置され、前記電磁界発生器及び/または前記電磁界発生器の電磁界発生要素は、フレーム形状を有し、前記フレームは、放射線透過性のウィンドウの外周に延在しており、前記ウィンドウ内に位置する放射線不透過性の基準マーク(19)から離隔して配置されることを特徴とする請求項16に記載の作動方法。
【請求項18】
術中ナビゲーションのための医療用システムであって、
前記コンピュータユニットと、
患者の身体領域の断層撮像画像データを記録するための少なくとも1つの前記第1の記録デバイスと、
前記患者の身体領域と同じ身体領域の別の画像データを記録するための少なくとも1つの前記第2の記録デバイスと、
前記第1の基準体とを含み、
請求項1〜14のいずれかのシステムの作動方法を実施することを特徴とする医療用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある撮像方法、特に断層撮像法によって得られた画像データを、手術計画及び/または術中ナビゲーションのためのシステムに組み入れる方法に関する。該方法において、前記画像データは、X線及び/またはコンピュータ断層撮影等の撮像方法によって初めに得られるものか、または以前に得られたものである。本発明はまた、そのような方法の実施の際に使用するための、基準体、電磁気発生器、および医療用システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術の前に得られた患者の通常はデジタル形式の画像データの使用、例えば侵襲的外科的介入の計画および実施のためのX線またはコンピュータ断層撮影法または磁気共鳴映像法によって得られた画像データの使用が知られている。そのような方法は、器官または身体の部分の「内部像」を提供する。いくつかの方法では、これらの画像データは、記録された対象に起こり得る変化、例えば検知できないかまたはフィルム式のカメラまたはビデオカメラではうまく検出できない外科的介入に対する身体の反応または手術の進捗を可視化するために、手術中も形成されるか、更新される。断層撮影法によって得られた画像データから、1以上の身体の部分及び/または器官の三次元モデルを計算することができる。
【0003】
更に、例えば内視鏡を用いる等による手術中の患者の写真またはビデオ画像等の光学的記録情報を記録し、それらの情報を外科手術の前に生成された断層撮影画像データとともにモニタ上に別々の画像として、または重畳される形で表示することは従来から行われている。このようにして、例えば、手術対象領域に存在し外科的介入により危険にさらされる神経路や血管または除去される組織を、外科医に対しより明確に可視化することができる。この画像データの表示により、外科医が術中に使用される医療器具を、患者の周囲の組織に与える悪影響を最小限にして、より効率的に使用することが可能となる。
【0004】
コンピュータ断層撮影によって得られた画像データ(以下、断層撮影画像データという)またはX線技術によって得られた画像データにより、写真またはビデオ技術によって得られた画像データ(以下、F/V画像データという)の生成のための侵襲的方法が必要であった人体の領域の可視化が可能となる。但し、断層撮影画像データは、記録された領域を縮尺に準じて表示するのでなく歪んだ形で表示する点で、F/V画像データに対して不利である。断層撮影画像データの歪みはシステムに起因するものであり、所定の補正アルゴリズムで補正可能となるような予測可能な法則に従うものではない。したがって、手術計画及び/または術中ナビゲーションのためのシステム(例えば位置検出システム)に、断層撮影画像データを組み入れるためには、所望の精度を達成するために可能な限り誤差がなくなる層撮影画像の修正が必要となる。
【0005】
既存の修正方法は、歪んだ断層撮影画像データを、同じ領域を、好ましくは同じ視点から撮像した対応するF/V画像データと比較し、断層撮影画像データのF/V画像データからの確立された偏差に基づいて断層撮影画像データの修正を行う。その後、例えば画像データを、重畳する方式でディスプレイに表示することができる。
【0006】
そのような断層撮影画像データを修正するための既存の方法には、誤った結果を生成することが多いという不都合がある。このようになる理由は、断層撮影画像データ及びF/V画像データを生成するとき、同じ視点を正確に得ることができず、したがって異なる視点からのF/V画像データに基づいて修正が行われることになるからである。更に、多くの場合、異なる画像データは異なる時間に撮影され、したがって、例えば急性の腫れ、損傷等が、断層撮影画像データの修正の際に誤差を生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、手術計画または術中ナビゲーションのためのシステムに断層撮影画像データを組み入れるためのより信頼性の高い方法を特定するという目的に基づいてなされたものである。また本発明は、そのような方法で使用するのに適した、基準体、電磁界発生器、及び医療用システムを提供するという目的に基づいてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、前記目的は、手術計画及び/または術中ナビゲーションのためのシステムに患者の画像データを組み入れる方法であって、
少なくとも1つの第1の記録デバイスによって患者の少なくとも1つの特定の身体領域のX線技術によって得られた断層撮像画像データまたは術中画像データを記録するステップであって、少なくとも1つの表面を有する第1の基準体が、前記患者に配置され、同時に前記第1の記録デバイスによって記録される、該ステップと、
変形情報を得るために前記第1の基準体の既知の形状データと、前記第1の基準体を表す記録された前記画像データとを比較するステップと、
修正された画像データを得るため、前記変形情報に基づいてコンピュータユニットにより記録された前記画像データを修正するステップと、
重畳画像データを得るため、前記修正された画像データに前記患者の同じ身体領域の別の画像データを重畳するステップと、
前記重畳画像データをディスプレイ上に表示するステップとを含むことを特徴とする方法によって達成される。
【0009】
前記方法は、手術の前にコンピュータ断層撮影画像を作成し、C字型アームを用いて術中X線画像(透視画像)を作製する手法を含む。既知の形状を有する基準体を用いる結果、術中に記録されたX線画像(透視画像)を修正することが可能となり、したがって手術前に例えばコンピュータ断層撮影スキャナによって記録されたものから仮想的に生成されたX線画像と比較することが可能となる。このことは、医師が、X線画像を用いた手術計画の間及び手術の実施の際に、手術前に記録されたX線画像と術中に記録されたX線画像の両方を用いて、より正確に自分の行う処置を適合させることが可能になる点で有利である。X線技術によって得られる画像データの代わりに、画像データを、異なる撮像方法(例えば超音波ベースの方法)を用いて記録することも可能である。同様に、断層画像データは、コンピュータ断層撮影スキャナ、磁気共鳴撮像スキャナ、超音波撮像スキャナ等によって得ることもできる。
【0010】
第1の基準体の形状データは、歪んでいない形で第1の基準体の実際の形状を表示する画像データとして利用可能であることが好ましい。
【0011】
好ましくは、患者の同じ身体の領域の別の画像データが、第1の基準体の形状データを画像データとして含む。
【0012】
更に、別の画像データを記録するときに、第1の基準体が、記録デバイス及び/または患者に対して断層撮像画像データを記録するときと同じ位置を有するようにして、画像データを修正するときに異なる位置を考慮に入れる必要がなくなるようにするのが好ましい。
【0013】
また、別の画像データを記録するときに、第1の基準体が、記録デバイスから断層撮像画像データを記録するときと同じ距離を有するようにして、可能なところでは異なる歪みが生じないようにするのが有利である。
【0014】
断層撮像画像データを生成するときに、第1の基準体の表面の最大限に大きい部分が記録デバイスに対向するように第1の基準体を位置合わせして、可能な限り意味をなす基準体の画像データを記録できるようにすることも有利である。
【0015】
好ましくは、第1の基準体をある身体上の位置に配置し、身体上の位置と第1の基準体が可能な限り詳細な記録をもって検出され得るようにする。
【0016】
患者の同じ身体上の領域の別の画像データは、第2の記録デバイス、好ましくはX線デバイスによって生成され、X線画像または透視画像を含み得る。
【0017】
好ましくは、基準体は、定位装置(ローカライザ)、例えばセンサコイルまたは光学定位装置を有する。これにより、記録された画像データを、修正のために既知の形状データと比較するのみならず、術中ナビゲーションのための基準電磁界(reference field)とも比較することが可能となる。それ自体は既知の電磁気ナビゲーションの場合には、これは電磁界発生器によって生成された交番磁界であり得、交番磁界はセンサコイルによって検出することができる。そのような、術中ナビゲーションのための、記録された画像データと既知の形状データ及び基準電磁界との比較により重ね合わせ(registration)が可能となり、この重ね合わせは外科手術の前だけでなく術中にも行うことが可能である。
【0018】
第1の基準体は、好ましくはリング形状または円形であり、及び/またはリング形状及び/または円形の領域及び/または要素を有する。
【0019】
好ましくは、別の画像データは術中に記録され、したがって最新状態を示すものとなる。
【0020】
ディスプレイは、好ましくはモニタを含む。
【0021】
患者の特定の身体領域は、好ましくは脊柱を含み、すなわち、前記方法は、脊柱の領域の検査や処置を補助するために特に有利である。
【0022】
断層撮影画像データの少なくとも一部は、検査または手術の前に、検査や手術中に使用したとすればその障害となる断層撮影スキャナ、例えば磁気共鳴撮像スキャナにおいて記録することができる。
【0023】
特に好ましくは、第2のすなわち別の基準体が、患者の特定の身体領域に含まれる患者の身体の手術部位に配置される。第1の基準体及び第2基準体は、手術の計画と実施のためのナビゲーションシステムにおいて重ね合わせられ、ナビゲーションシステムによって第1の基準体及び第2の基準体の位置データが基準点に対して決定される。この重ね合わせのために、第1の基準体及び第2の基準体は、例えばセンサコイルまたは光学定位装置のような定位装置(ローカライザ)を有するのが有利である。そのようなナビゲーションシステムにおけるセンサコイルの使用は、それ自体は公知である。断層撮像画像データ及び別の画像データは、ナビゲーションシステムにおける第1の基準体及び第2の基準体の決定された位置データによって、重畳される形でディスプレイ上に表示することができる。それにより、術中に取得され修正されたX線画像の補助による正確なナビゲーションが可能となる。画像データの重畳の精度は、ナビゲーションシステムにおいて第1の基準体及び第2の基準体を重ね合わせることによって最適化される。
【0024】
手術部位において、第1の基準体は既知の形状を有するものであり、第2の基準体は比較的小型の局所定位装置を有するものである2つの基準体を組み合わせて用いることにより、術中に空間情報を取得し、それを術中に生成されたX線画像に重畳させることが可能となる。
【0025】
2つの基準体は、既知の形状を有する物体であってもよい。例えば、これにより、例えばX線技術によって得られた透視画像から、特に深さ情報のない複数の2次元画像(例えばX線技術によって得られる画像)が異なる視点から記録されたものであって互いに関連付けられている場合に、空間情報を得ることが可能となる。
【0026】
第1の基準体及び/または第2の基準体が、電磁気的及び/または光学的位置検出システムによってその位置について検出されれば有益である。好ましくは、位置検出は、画像データの記録と同時に及び/または別の画像データと同時に行われる。
【0027】
基本的に、電磁気的及び光学的位置検出システムの両方が従来より公知である。例えば、電磁界発生器を含む電磁気的位置検出システムが知られている。電磁界発生器は、手術領域において概ね交番する交番電界を発生する。コイルを有する定位要素は、この手術領域においてナビゲートされる医療器具上に配置される。交番電磁界が、その交番電磁界に対する各コイルの位置整合状態に応じてこれらのコイルにおいて特徴的な電流が誘導され、その電流からコイルの位置情報を決定することができる。
【0028】
第1の基準体及び/または第2の基準体は、定位装置としてのセンサコイル及び/または光学的定位装置を有することができ、この定位装置は基準体に固定されるか、または基準体と一体化されるのが好ましい。好ましくは、基準体の定位装置に対する位置が既知である。第1の基準体及び/または第2の基準体は、患者に取り付け可能及び/または配置可能で、位置検出及び/またはナビゲーションのための患者の定位装置及び/または患者の基準体としての役目を果たすような形で実現することができる。
【0029】
好ましくは、第1の基準体は、患者の上に配置され、一旦重ね合わせがされたら取り外されるように設けられる。好ましくは、第2の基準体は、患者の上に配置され、重ね合わせがされた後も少なくとも一時的にその位置に残されるように設けられる。第1及び第2の基準体が患者の上に同時に配置され、それらの相互の相対的な位置が画像記録によって記録され、及び/または位置検出システムによって決定されるようにすることもできる。
【0030】
追加的または代替的に、断層撮影またはX線技術によって得られた画像の少なくとも一部を、手術の間(術中)に記録することもでき、したがってそれぞれが最新状態を示すものとなる。特にこの場合に役立つことは、例えばC字型のアームのようなコンパクトなX線デバイスによって術中に画像データを記録する点である。多くの場合、術中に記録されたそのような画像データは、深さ方向の情報のない透視画像であり、断層撮影画像を含まない。それにも関わらず、既知の形状を有する1つ以上の基準体の補助により、それから空間情報を得ることができる。基準体は、特に、限定するものではないが、例えば手術の前に取得された空間情報を有する画像データ、例えばコンピュータ断層撮影画像または磁気共鳴撮像画像も利用可能で、それらを術中に得られた画像データに術中にリンクさせる場合に利用される。
【0031】
医療用システムについては、本発明の目的は、手術計画及び/または術中ナビゲーションのための医療用システムであって、少なくとも1つのコンピュータユニットと、患者の身体領域の断層撮像画像データを記録するための少なくとも1つの第1の記録ユニットと、前記患者の身体領域と同じ身体領域の別の画像データを記録するための少なくとも1つの第2の記録ユニットと、第1の基準体とを含み、上述したタイプの方法を実施するべく構成されていることを特徴とする医療用システムによって達成される。
【0032】
基準体は、部分的に放射線透過性であり得る。好ましくは、基準体は放射線不透過性の要素、特に放射線不透過性の基準マークを有し、好ましくは、基準マーク同士の相互の相対位置は既知であり、基準体上に固定される。このようにして、基準マークの相互の相対位置に基づき、記録された画像データの上述の比較及び修正が可能となる。代替的に、または追加的に、基準体固有の形状に基づき、記録された画像データの比較及び修正を行うこともできる。
【0033】
好ましくは、基準マークは平坦な形態を有し、少なくとも2つ、好適には少なくとも3つのマークが同一平面に平坦に延びるように配置される。
【0034】
基準マークは、好ましくはリング形状または円形であり、及び/またはリング形状及び/または円形の領域及び/または要素を有する。
【0035】
電磁界発生器に関する目的は、所定の基準体を有するか、または形成する電磁界発生器によって達成される。基準体及び/または基準体上に配置された基準マークは、電磁界発生器に対して、特に電磁界発生器の電磁界発生要素に対して固定された位置に配置されるのが有利であることが判明した。好ましくは、基準マークの相互の相対位置は既知であり、基準体上に固定される。
【0036】
電磁界発生器及び/または電磁界発生器の電磁界発生要素は、フレーム形状を有することができ、より具体的には、そのフレームが、放射線透過性のウィンドウの外周に沿って延在しており、そのウィンドウ内に位置する放射線不透過性の基準マークから離隔して配置される。放射線透過性のウィンドウは、平坦な放射線透過性の基準体によって形成することができ、その上に放射線不透過性の基準体が配置される。更に好ましくは、電磁界発生器の表面は、動作時に手術台の上に載せられるように平坦な形態を有する。電磁界発生器は、その動作中に患者が手術台の上に横臥している場合、好ましくは患者と手術台との間に配置される。電磁界発生器は、患者の身体の表面上に圧迫点が招ずるのを避けるために、クッション要素を有することができる。
【0037】
本発明については、後に、図面を参照しながら種々の例示的な実施形態に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による第1の基準体の第1の実施形態の概略的な上面図である。
図2】本発明による第1の基準体の第2の実施形態の概略的な上面図である。
図3】本発明による第1の基準体の第3の実施形態の概略的な上面図である。
図4】基準マークを有する、本発明による第1の基準体の第4の実施形態の概略的な上面図である。
図5】基準マークを有する、本発明による第1の基準体の第5の実施形態の概略的な上面図である。
図6】基準マークを有する、本発明による第2の基準体の第1の実施形態の概略的な上面図である。
図7図6の第2の基準体の別の概略図である。
図8】基準マークを有する、本発明による第2の基準体の第2の実施形態の概略図である。
図9】本発明による電磁界発生器の実施形態の概略図である。
図10】術中画像記録のための構成の概略図である。
図11】手術計画及び/または術中ナビゲーションのためのシステムに患者の画像データを組み入れるための、本発明による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に概略的に示された、本発明による第1の基準体1の第1の実施形態は、破線で示されたリング形状の主本体部2を含み、主本体部は、中心点3、外周部4、及び小さい内周部5を有する。主本体部2を貫通する円形の通孔6は、内周部5によって画定されており、通孔は主本体部を同心である。主本体部2は、好ましくは、X線ビームに対する低い透過性を示す材料から形成される。この目的のためには、特に、例えば鉛のような金属が好適である。この図においては、主本体部2の2つの表面が平坦な形態であることは確認できない。代替的実施形態では、一方または両方の表面が、中心点3に向かって径方向に延びる、突出するアーチ形状を有していてもよい。
【0040】
主本体部2は、主本体部2の材料とは異なる材料から作製されたカバー層7に完全に封入される。この第1の例示的な実施形態では、カバー層7は、完全に主本体部2の形態に倣って配置される。好ましくは、カバー層7は、主本体部2より顕著に高いX線ビームの透過性を示すものとする。特に、ポリマーが、カバー層7のための材料として好適である。カバー層7は任意選択で設けられ、例えば衛生的な面の有利さを与える。更に、適切なカバー層7は、第1の基準体1の寸法の安定性を確実なものとすることもできる。後者の利点は、特に、主本体部2が鉛等の非常に延性の高い材料から作製されているときに重要である。カバー層7の滑らかな表面及び高い脆性は、特に有利である。ここで、カバー層は、第1の基準体1における弾力的な変形可能性を超える強い変形が、少なくともカバー層の局所的な破壊を生じさせるような脆性を有するべきである。したがって、破壊されたカバー層は、変形し、したがってこれ以上使用すべきでない第1の基準体1の表示手段としての役目を果たす。
【0041】
図2に示された、本発明による第1の基準体11の第2の実施形態は、主本体部12を含み、主本体部は、中心点13、外周部14を有する。図示された第2の例示的実施形態ではカバー層は設けられていないが、必要な場合には加えることもできる。
【0042】
図3は、本発明による第1の基準体21の第3の実施形態を示す。第1の基準体21は、正方形の主本体部22を有し、主本体部は、中心点23、外周部24、及び主本体部22と同心の円形の通孔26を有する。通孔26は、主本体部22の内周部25の内周部によって径方向外向きの側を画定される。
【0043】
主本体部2、12、22が、意図された使用条件の下で永久的に変形しない程度の十分な剛性を有している場合には、例えば主本体部2、12、22を衝撃等の外部からの影響から保護するために、可能な上側層7を弾性材料から形成することができる。具体的には、ゴム様の弾性物質、シリコーン等が、ここでは対象となる。好ましくは、カバー層は、その内部に主本体部2、12、22を挿入可能な弾性のまたは硬質の外皮材として実現することもできる。
【0044】
カバー層7が、主本体部2より有意に高いX線ビームの透過性を有する限りにおいて、カバー層7は、通孔6、26とともに主本体部2、12、22を完全に外囲することもできる。したがって、主本体部2、12、22は、第1の基準体1、11、21のX線記録上で特定可能である。
【0045】
図4に示す基準体30は、籠状体として実現され、例えば露出された椎骨などの開放された手術領域内に配置するべく提供される。基準体30は複数の基準マーク19を有し、複数の基準マークの相互の位置関係は予め知られており、かつ一定である。基準体30は、基準マーク19より高いX線透過性を有する材料から作られる。基準体30は複数のU字型部分31を有し、U字型部分は互いに横から見て重なる位置に配置され、2つのウェブ32、33によって相互に結合される。2つの平坦な基準マーク19は、基準体30の表面31'上に、両者が同一平面上、すなわち表面31'上で延在するように配置される。図4(a)〜(e)のそれぞれは、同一の基準体30を異なる視点からみた図である。
【0046】
図5に示す代替的な基準体30はキノコ形状の形態を有し、例えば最小限の侵襲的介入の範囲内でトロカールによって切開された外科的な皮膚の開口内に配置するべく提供される。基準体30は平坦なキャップ36を有し、キャップの中央にピン37が取り付けられる。基準体30は、キャップ36及びピン37の両方の上に複数の基準マーク19を有し、複数の基準マークの相互の位置関係は予め知られており、かつ一定である。基準体30は、基準マーク19より高いX線透過性を有する材料から作られる。図5(a)〜(e)のそれぞれは、同一の基準体30を異なる視点からみた図である。
【0047】
図6に示す別の代替的な基準体30はスリーブ形状の形態を有し、例えば、外科用ワイヤ(例えばキルシュナー鋼線)上に引き寄せて、骨に留め、骨上に固定するべく提供される。この目的のために、基準体は、外側スリーブ38と、挿入可能な固定スリーブ39とを有する。外側スリーブ38上に、基準体30は複数の基準マーク19を有し、複数の基準マークの相互の位置関係は予め知られており、かつ一定である。基準マーク19は、外側スリーブ38上で周方向に均一に配置される。基準体30は、基準マーク19より高いX線透過性を有する材料から作られる。図6(a)〜(c)のそれぞれは、同一の基準体30を異なる視点からみた図である。
【0048】
図7は、固定位置にある図6の基準体30、すなわち基準体が外科用ワイヤ(図示せず)に固定されているところを示す。この目的のために、固定スリーブ39が外側スリーブ38内に押し込まれる。図7(a)〜(c)のそれぞれは、同一の基準体30を異なる視点からみた図である。
【0049】
図8に示す更に別の代替的な基準体30はクランプ形状の形態を有し、例えば椎骨に固定するために提供される。この目的のために、基準体30は屈曲した主ブラケット34を有し、主ブラケットにはクランプブラケット35が枢動可能に取り付けられる。基準体30は複数の基準マーク19、19'を有し、複数の基準マークの相互の位置関係は予め知られており、かつ一定である。この実施形態では、基準マーク19、19'は、屈曲した主ブラケット34の表面上のみに配置され、異なる寸法を有する。基準体30は、基準マーク19より高いX線透過性を有する材料から作られる。図8(a)〜(d)のそれぞれは、同一の基準体30を異なる視点からみた図である。
【0050】
図9(a)は、手術台200の上面図であり、ここでは本発明による電磁界発生器50がその手術台200の上に載置されている。電磁界発生器50及び電磁界発生器50の(一体化されているため図示されていない)電磁界発生要素は、フレーム形状の形態を有している。電磁界発生器50のフレーム50'は、放射線透過性のウィンドウ(斜線部分)の外周に沿って延在している。本実施形態では、放射線透過性のウィンドウは、平坦な放射線透過性の基準体30によって形成されている。放射線透過性の基準体30上に配置されているのは基準マーク19であり、基準マークはそれぞれ電磁界発生器50に対して、及び電磁界発生器に一体化され、したがって図示されていない出磁界発生要素に対して固定された位置に配置されている。放射線不透過性の基準マーク19の相互の位置関係は予め知られており、かつ一定である。
【0051】
図9(b)の側面図にみられるように、電磁界発生器50は平坦な表面50"を備える形態であり、手術台200の上に載置される。
【0052】
術中撮影画像記録のための構成が図10に示されている。第1の基準体1は、例えば図1を参照して前に説明した基準体であり、手術台200の上に横臥している患者Pの腹部上に配置される。患者P及び基準体1は、C字型アームにおいて、X線技術によって得られる画像データが患者Pの特定の身体領域(この場合は腹部)とそこに配置された基準体1の両方を含むように位置付けられる。
【0053】
図11に示す、手術計画及び/または術中ナビゲーションのためのシステムに患者の画像データを組み入れるための本発明による方法では、第1のステップS1において、患者の少なくとも1つの特定の身体領域のX線技術によって得られた画像データまたは断層撮像画像データを、その用途に適した少なくとも1つの第1の記録デバイスによって記録し、このとき少なくとも1つの表面を有する第1の基準体が、患者に配置され、同時に第1の記録デバイスによって記録される。
【0054】
第2のステップS2では、変形情報を得るために第1の基準体の既知の形状データと、第1の基準体を表す記録された前記画像データとを比較する。第1の基準体の既知の形状データは、歪んでいない形で第1の基準体の実際の形状を表示する利用可能な画像データである。
【0055】
第3のステップS3では、修正された画像データを得るため、変形情報に基づいてコンピュータユニットにより記録された画像データを修正する。
【0056】
第4のステップS4では、重畳画像データを得るため、修正された画像データに患者の同じ身体領域の別の画像データを重畳する。
【0057】
第5のステップS5では、重畳画像データをディスプレイ上に表示する。
【符号の説明】
【0058】
1,11,21,30 基準体
2,12,22 主本体部
3,13,23 中心点
4,14,24 外周部
5,25 内周部
6,26 円形通孔
7 カバー層
19,19' 基準マーク
31 U字型部分
31' 基準体の表面
32,33 ウェブ
34 主ブラケット
35 クランプブラケット
36 キャップ
37 ピン
38 外側スリーブ
39 固定スリーブ
50 電磁界発生器
50' 電磁界発生器のフレーム
50" 電磁界発生器の平坦な表面
100 C字型アーム
200 手術台
P 患者
S1,S2,S3,S4,S5 実施方法の各ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11