(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の電気導線が電気接続された第1接続対象部材と、当該第1接続対象部材に連結される第2接続対象部材との間に設けられ、前記複数の電気導線を前記第2接続対象部材に設けられた接続相手と電気接続させて、前記第1接続対象部材と前記第2接続対象部材との間で電力および/もしくは電気信号の授受を可能とするコネクタであって、
中央において束状に纏められた複数の電気導線の各々を外方へ放射状に広げて受容するコネクタカバー部材と、
前記コネクタカバー部材と結合されるコネクタハウジング部材と、
前記コネクタハウジング部材の中央部の周囲に略環状に配列される複数のコンタクトとを備え、
前記コネクタカバー部材は、複数の突起と、互いに隣接する突起間に凹状に形成されて前記複数の電気導線の各々を外方へ放射状に広げて受容する複数の導線受容部とを有して、前記互いに隣接する突起の高さを相違させて構成されており、
前記コネクタカバー部材と前記コネクタハウジング部材とを結合させたときに前記複数の電気導線と前記複数のコンタクトとがそれぞれ圧接接続されるように構成されたことを特徴とするコネクタ。
前記コネクタカバー部材は、前記コネクタハウジング部材に結合される第1コネクタカバー部材と、前記第1コネクタカバー部材に着脱自在に取り付けられる第2コネクタカバー部材とを備え、
前記第1コネクタカバー部材は、前記互いに隣接する突起間に形成された前記複数の導線受容部を有し、
前記第2コネクタカバー部材は、前記複数の導線受容部に受容された前記複数の電気導線に当接して当該複数の電気導線を保持する導線保持部を有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る医療機器の一例として電極カテーテル1を
図1〜
図3に示しており、まず、これらの図を参照しながら電極カテーテル1の全体構成について説明する。本実施形態の電極カテーテル1は、血管を通して患者の体内(例えば心臓の内部)に挿入され、該カテーテル電極と患者の体表に装着された対極板との間で高周波電流を流して、不整脈の原因となる心臓組織を焼灼する治療に供される、いわゆるアブレーションカテーテルである。
【0018】
[電極カテーテル]
電極カテーテル1は、
図1に示すように、可撓性を有する細線のカテーテルチューブ10と、カテーテルチューブ10を保持するハンドル20とを主体に構成されている。
【0019】
カテーテルチューブ10は、
図2に示すように、該チューブ10の中心軸Oに沿って延びる1つの内腔を有した中空構造(いわゆるシングルルーメン構造)に形成されている。カテーテルチューブ10は、例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルポリアミ
ド、ポリウレタンなどの合成樹脂を材料として形成されている。カテーテルチューブ10の軸方向の長さは、好ましくは400〜1500mm程度であり、より好ましくは700〜1200mm程度である。カテーテルチューブ10の外径は、好ましくは0.6〜3.0mm程度であり、より好ましくは1.3〜3.0mm程度である。カテーテルチューブ10の内径は、好ましくは0.5〜2.5mm程度であり、より好ましくは1.0〜1.5mm程度である。
【0020】
カテーテルチューブ10は、全体として同じ特性のチューブで構成されていてもよいが、先端側は相対的に柔らかく作用する(可撓性を有する)ことが好適であり、基端側は相対的に硬く作用する(剛性を有する)ことが好適である。つまり、カテーテルチューブ10は、中心軸Oに対して湾曲するための可撓性と、その姿勢を或る程度保持するための剛性とを兼ね備えていることが好ましい。なお、本実施形態では、カテーテルチューブ10内に1つの内腔が形成されたシングルルーメン構造を例示したが、カテーテルチューブ10内に複数の内腔が形成されたマルチルーメン構造や、1本のカテーテルチューブ10内にシングルルーメン構造からなる領域とマルチルーメン構造からなる領域とが混在した複合的な構造を採用してもよい。
【0021】
カテーテルチューブ10の遠位端には、先端電極31が固定されている。この先端電極31の近傍には、複数のリング状電極32が軸方向に等間隔で固定されている。先端電極31及びリング状電極32は、カテーテルチューブ10の表面側に露出した状態で固定されている。本実施形態の電極カテーテル1では、リング状電極32により心電位を測定し、先端電極31により体内組織に高周波エネルギーを付与して心臓組織を焼灼する。先端電極31及びリング状電極32は、例えばアルミニウム、銅、ステンレス、金、白金など、電気伝導性の良好な金属材料を用いて形成されている。また、先端電極31及びリング状電極32の外径は、カテーテルチューブ10の外径と同程度であることが好ましく、一般的には0.5〜3.0mm程度である。
【0022】
カテーテルチューブ10の内腔には、複数本の電気導線(以下、単に「導線」と称する)40と操作用ワイヤ50と板バネ55とが、互いに電気的に絶縁された状態で挿通されている。ここで、先端電極31の内側には、該先端電極31に対して導線40、操作用ワイヤ50及び板バネ55を固定するための半田60が充填されている。半田60の材質は、特に限定されるものではなく、例えばSn‐Pbが一般的に用いられるが、Sn‐Pb‐AgやSn−Pb‐Cuが用いられてもよく、更にはPbフリーのSn−Ag‐Cu、Sn‐Cu、Sn‐Ag、Sn‐Ag‐Cu‐Biなどを用いることもできる。また、カテーテルチューブ10の管壁には、当該管壁を径方向(内外方向)に貫通する側孔18が、リング状電極32の配設位置に対応して形成されている。この側孔18には導線40の先端側が挿通されてリング状電極32にスポット溶接などにより接続されている。
【0023】
各導線40は、カテーテルチューブ10に固定された各電極31,32に接続されている。本実施形態では、20個の電極31,32に対して20本の導線40が設けられており、各電極31,32と各導線40とが1対1の対応関係で接続されている。導線40の先端側は電極31,32に半田付け又はスポット溶接等により接続され、導線40の基端側はハンドル20内に配設されたコネクタユニット100(詳細後述)に圧接接続されている。各導線40は、詳細後述するが、例えば銅線などの金属芯線の周囲に電気絶縁性の樹脂が被覆されて構成されている。
【0024】
一方、操作用ワイヤ50は、カテーテルチューブ10とハンドル20との間に跨って延在している。操作用ワイヤ50の先端側はカテーテルチューブ10の遠位端に配された先端電極31の内部に半田付け等により固定され、操作用ワイヤ50の基端側はハンドル20のグリップ21の内部に固定されている。操作用ワイヤ50は、例えばSUS(ステン
レス鋼)や、NiTi(ニッケルチタン)等の超弾性金属材料を用いて形成されている。操作用ワイヤ50の直径は、好ましくは100〜200μm程度(例えば200μm)である。
【0025】
カテーテルチューブ10の内腔には、中心軸Oに対して撓み方向に変形が可能に形成された首振り部材としての板バネ55が設けられている。この板バネ55はカテーテルチューブ10の中心軸Oに沿って配設されており、板バネ55の先端側は先端電極31の内側に半田付けにより固定され、板バネ55の基端側はカテーテルチューブ10の内部に固定されている。板バネ55の軸方向の長さは特に限定されず、例えば40〜300mm程度である。板バネ55の幅は、カテーテルチューブ10の内腔に収まる程度であれば特に限定されるものではない。板バネ55の材質は、例えば、ステンレス、Ni−Ti合金、Co−Ni合金などの金属材料や、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂などの高分子材料等が好適である。
【0026】
ハンドル20は、
図3に示すように、操作者が握持可能に形成されたグリップ21と、グリップ21に対して軸方向にスライド自在に取り付けられたノブ22とを備えて構成されている。かかる構成のハンドル20を操作者が持ってノブ22を
図1のY方向にスライド操作すると、操作用ワイヤ50が基端側に引っ張られることで、カテーテルチューブ10の先端部(可撓部)が
図1のX方向に湾曲(偏向)することになる。すなわち、操作者がノブ22をスライド操作することにより、カテーテルチューブ10の首振り偏向動作を行うことができるようになっている。なお、本明細書において、カテーテルチューブ10が湾曲するとは、カテーテルチューブ10の中心軸Oが、1段又は2段以上の折れ線状に変形すること、或いは、連続的に曲線状に変形することをいう。
【0027】
グリップ21及びノブ22は、例えばポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等の合成樹脂により形成されている。
【0028】
ノブ22は、カテーテルチューブ10が挿通される第1ノブ部材23と、この第1ノブ部材23に結合される第2ノブ部材24とを有している。ノブ22は、第2ノブ部材24の基端側がグリップ21内に抜け止め状態で挿着され、該グリップ21に対して軸方向にスライド移動可能となっている。
【0029】
また、ノブ22の内部(第1ノブ部材23と第2ノブ部材24との間)には、コネクタユニット100が収容保持されている。コネクタユニット100は、詳細後述するが、第1ノブ部材23に挿通されたカテーテルチューブ10内の複数本の導線40と、第2ノブ部材24に挿通されたFPC基板80とを電気的に接続する。
【0030】
グリップ21は、操作者の手にフィットするような人間工学に基づく外形形状を呈している。このグリップ21は、軸方向の各端部が開口した中空構造となっており、この中空内部にFPC基板80が軸方向に延びて収容されている。グリップ21の基端側には、電源装置(高周波発生および電位測定用装置)などの外部機器にケーブルを介して接続される基端側コネクタ70が配設されている。
【0031】
FPC基板80は、複数の導線層(金属箔)が絶縁性フィルム上に形成されて構成されている。このFPC基板80は、グリップ21の内部を通じてノブ22の配設位置まで引き延ばされている。FPC基板80の基端側は、その基端側の導線層部分が基端側コネクタ70の丸形多芯の端子に接続されている。一方、FPC基板80の先端側は、絶縁フィルムが剥離された接続領域(コネクタ部)として形成されており、コネクタユニット100に設けられた不図示のジャック(FPC用コネクタ)に挿脱可能となっている。それにより、コネクタユニット100を介して、複数本の導線40とFPC基板80(基端側コ
ネクタ70)とが電気的に接続されることになる。
【0032】
[コネクタユニット]
次に、本実施形態に係るコネクタユニット100について
図4〜
図23を追加参照して説明する。
【0033】
コネクタユニット100は、複数本の導線40が整線される第1圧接カバー110と、第1圧接カバー110に着脱自在に取り付けられて複数本の導線40を押さえ込む第2圧接カバー140と、両圧接カバー110,140により保持された各導線40が接続される中間コネクタ150と、中間コネクタ150が半田接続されるリジッド基板180とを主体に構成されている。以下では、説明の便宜上、
図4〜
図6に示すコネクタユニット100の配設姿勢を基準として、
図4〜
図6の上側(電極カテーテル1の基端側)を「一端側」とも称し、
図4〜
図6の下側(電極カテーテル1の先端側)を「他端側」とも称する。
【0034】
第1圧接カバー110は、
図8〜
図11等に示すように、略円板状に形成されたカバー本体111と、カバー本体111の他端側の中心に設けられた中空の円筒部112とを有している。この第1圧接カバー110は、合成樹脂等の電気絶縁性の材料を用いて成形されている。カバー本体111の一端側には、第2圧接カバー140が係合される4つの係合溝118が凹設されている。また、カバー本体111の一端側には、中間コネクタ150の側壁に係合される4つの第1係合突起119が軸方向に延びて突設されている。
【0035】
第1圧接カバー110の軸心位置には、カテーテルチューブ10(複数本の導線40及び操作用ワイヤ50)が挿入される第1挿通孔113が軸方向に沿って貫通されている。なお、カテーテルチューブ10の基端部は第1挿通孔113の中間で固定されており、該基端部からは第1挿通孔113を通して複数本の導線40及び操作用ワイヤ50が引き出されている。カバー本体111の一端側の端面には、第1挿通孔113の周囲(四方)に、該第1挿通孔113から引き出された複数本の導線40を径方向外方へ略放射状に整線するための四カ所の整線部120が設けられており、一カ所の整線部120に対して各5本の導線40が整線されるように構成されている。
【0036】
整線部120は、カバー本体111の一端側に立設された複数の突起(突起群)を有して構成されている。以下では、
図12に示すように、一の整線部120における複数の突起の並び方向において、横の並び方向を「行方向」と称し、縦の並び方向を「列方向」と称する。そのため、各整線部120は、行方向及び列方向に所定間隔をもって配設された18個(3行×6列)の突起を有して構成されている。
【0037】
整線部120には、
図12に示すように、径方向の内側から外側へ向けて順に、第1行目に6個の第1突起121が設けられ、第2行目に6個の第2突起122が設けられ、第3行目に6個の第3突起123が設けられている。なお、以下では、6個の第1突起121を纏めて「第1突起群121G」とも称し、6個の第2突起122を纏めて「第2突起群122G」とも称し、6個の第3突起123を纏めて「第3突起群123G」とも称する。
【0038】
各整線部120には、第1挿通孔113から径方向外方へ引き出された各導線40を受容するための5つの導線受容溝130が形成されている。導線受容溝130は、
図13に示すように、互いに隣接する第1突起121間に設けられた第1受容溝131と、互いに隣接する第2突起122間に設けられた第2受容溝132と、互いに隣接する第3突起123間に設けられた第3受容溝133とを有している。各受容溝131〜133の底面は同一面内に位置しており、該底面上に各導線40を載置可能となっている。導線受容溝1
30の溝幅(行方向の幅)は、導線1本分の直径よりも僅かに大きく、導線40が該溝幅方向にガタツキなく受容されるようになっている。
【0039】
ここで、第1突起群121Gと第1挿通孔113との間には、カバー本体111の一端側に開放された内側凹部134が形成されている。
【0040】
また、第1突起群121Gと第2突起群122Gとの間には、カバー本体111の一端側に開放された嵌合凹部135が形成されている。この嵌合凹部135には、導線受容溝130の底面を列方向に分断するコンタクト挿込溝136が凹設されている。そのため、導線受容溝130に受容された導線40は、コンタクト挿込溝136上を列方向に横断するようになっている。
【0041】
さらに、第2突起群122Gと第3突起群123Gとの間には、カバー本体111の一端側に開放された外側凹部137が形成されている。この外側凹部137の底面は、導線受容溝130の底面よりも溝深の位置に形成されている。そのため、導線受容溝130に受容された導線40は、外側凹部137上を列方向に横断するようになっている。
【0042】
ここで、
図14等に示すように、第1突起群121Gには、行方向(横方向)の外側にいくほど背低の第1突起121が配置され、行方向(横方向)の内側にいくほど背高の第1突起121が配置されている。よって、第1突起群121Gは、行方向の外側(背低の第1突起121)から内側(背高の第1突起121)に向けて第1突起121が段階的に高くなるように形成されている。そのため、
図14に示すように、互いに行方向に隣接する第1突起121間の段差を利用して、導線40を行方向の外側から内側へ向けて略水平に持ってくることで、導線40を第1突起121の側壁に引掛けて導線受容溝130に位置決めしやすくなっている。
【0043】
第2圧接カバー140は、
図15及び
図16に示すように、平面視にて矩形状に形成されている。この第2圧接カバー140は、合成樹脂等の電気絶縁性の材料を用いて成形されている。第2圧接カバー140は、第1圧接カバー110の4カ所の整線部120を一端側から覆うことが可能な大きさに形成されている。第2圧接カバー140には、第1圧接カバー110の第1挿通孔113と整合する位置(軸心位置)に、円形の第2挿通孔141が軸方向に貫通形成されている。この第2圧接カバー140の他端側の略四隅には、第1圧接カバー110の係合溝118に係合可能な第2係合突起142が突設されている。また、第2圧接カバー140には、第1圧接カバー110の嵌合凹部135と整合する位置に、該第2圧接カバー140の各辺方向に沿って延びる嵌合開口部143が表裏に貫通しており、この嵌合開口部143が中間コネクタ150の連絡口として機能する。
【0044】
第2圧接カバー140の他端側には、第2挿通孔141の周囲に、第1圧接カバー110の内側凹部134(第1突起群121Gの内側)に挿入されて当該内側凹部134に配された導線部分に当接してこれを押さえ込むための矩形環状の内側リブ144が突設されている。また、第2圧接カバー140の他端側には、その各辺方向に沿って、第1圧接カバー110の外側凹部137(第2突起群122Gと第3突起群123Gとの間)に挿入されて当該外側凹部137に配された導線部分に当接してこれを押さえ込むための4つの外側リブ145が突設されている。そのため、導線受容溝130に受容された導線40は、内側リブ144と外側リブ145との二カ所で押さえ込まれた押圧状態にて保持される。このとき、外側凹部137は、
図13等に示すように、導線受容溝130(第1〜第3受容溝131〜133)よりも溝深に形成されているため、導線40を外側リブ145により外側凹部137内に押し込むと、内側リブ144と外側リブ145との間に配された導線部分の弛みが外側凹部137内に吸収され、各リブ144,145間で導線40が緩み無く張設された状態(後述の圧接接続に適した状態)となる。
【0045】
中間コネクタ150は、
図17〜
図19に示すように、平面視にて矩形状に形成されたハウジング160と、ハウジング160の各辺方向に沿って整列状態で保持される複数のコンタクト170とを備えて構成される。
【0046】
ハウジング160は、合成樹脂等の電気絶縁性の材料を用いて成形されている。ハウジング160は、複数のコンタクト170を保持する平板状のハウジング本体161と、ハウジング本体161の周囲に設けられた矩形枠状の側壁部167とを有している。ハウジング本体161には、各圧接カバー110,140の各挿通孔113,141と整合する位置に、軸方向に沿って表裏に貫通する中心孔162が形成されている。このハウジング本体161の他端側には、中心孔162の周囲(四方)に、該ハウジング160の該各辺方向に沿って延びる4つの嵌合凸部163が立設されている。嵌合凸部163は、第1圧接カバー110の嵌合凹部135及び第2圧接カバー140の嵌合開口部143に対して嵌挿可能な大きさに形成されている。
【0047】
ハウジング本体161には、
図20に示すように、コンタクト170を保持するためのコンタクト保持孔164が形成されている。コンタクト保持孔164は、ハウジング本体161に表裏貫通してハウジング本体161(嵌合凸部163)の一端側及び他端側に開口する内側保持孔165と、ハウジング本体161の一端側にのみ開口する外側保持孔166とを有している。
【0048】
側壁部167には、第1圧接カバー110の第1係合突起119が係合される係合段部168が形成されている。また、側壁部167の一端側には、中間コネクタ150をリジッド基板180上に位置決めするための円筒状のボス169が設けられている。
【0049】
コンタクト170は、金属等の導電性材料の薄平板にプレス加工(打ち抜き加工および曲げ加工など)を施して
図21及び
図22等に示す所定形状に形成されている。コンタクト170は、先端に二股形状を有して軸方向に延びる接続部171と、接続部171に繋がり軸方向と直交する方向に延びる連結部172と、連結部172に繋がり略U字形に屈曲する屈曲部173と、屈曲部173に繋がりリジッド基板180上の端子181に半田接続されるリード部174とを有している。コンタクト170は、その表面に例えば金(Au)などの薄膜を被覆する所要の表面処理(めっき処理)が施されている。コンタクト170の接続部171及び屈曲部173には、その板幅方向の両端において外向きに突出した圧入突起175が形成されており、接続部171は内側保持孔165に圧入され、屈曲部173は外側保持孔166に圧入される。この圧入突起175は、各保持孔165,166に挿入されたときに該保持孔165,166の内面に食い込んで抜け止めとして作用する。
【0050】
接続部171の先端側には、二股形状に形成された一対の先端突起176が設けられている。一対の先端突起176の間には、他端側(
図21では上方)に向けて開口する圧接溝177が設けられている。各コンタクト170の圧接溝177には、両圧接カバー110,140に保持された導線40が圧接接続される。
【0051】
導線40は、
図23に示すように、例えば銅などの導電性材料からなる芯線41が電気絶縁性の樹脂材料からなる絶縁被覆42により覆われて構成されている。導線40の直径は、好ましくは50〜200μm程度である。その一例として、導線40の直径が100μm程度である場合、芯線41の直径は80μm程度となる。
【0052】
ここで、各コンタクト170の先端突起176は、
図17等に示すように、ハウジング本体161(嵌合凸部163)の一端側よりも外方に突出した状態で配設される。そのた
め、中間コネクタ150が両圧接カバー110,140に装着され、中間コネクタ150の嵌合凸部163が第1圧接カバー110の嵌合凹部135に嵌挿されたとき、その突出部分(先端突起176)がコンタクト挿込溝136内に挿入され、コンタクト挿込溝136上を横断する導線部分がコンタクト170の圧接溝177内に挿し込まれるようになっている。このとき、各コンタクト170の圧接溝177の幅は、芯線41の直径よりも若干小さく形成されており、導線40が圧接溝177内に挿し込まれると、該導線40の絶縁被覆42が圧接溝177の内縁にて切り裂かれ、それにより剥き出し状態となった芯線部分が圧接溝177の内縁と接触(圧接接続)して、導線40とコンタクト170とが電気的に接続される。
【0053】
リジッド基板180は、所定の配線パターンが形成された硬質のプリント配線板である。このリジッド基板180は、第1圧接カバー110のカバー本体111とほぼ同じ大きさの略円盤状に形成されている。リジッド基板180の他端側には、中間コネクタ150の複数のコンタクト170(リード部174)が半田接続される複数の端子181が配列されている。なお、このリジッド基板181には、中間コネクタ150の位置決め用のボス169が挿入されるボス孔183が表裏に貫通されている。一方、リジッド基板180の他端側には、不図示の配線パターンを介して複数の端子181に接続される不図示のジャック(FPC用コネクタ)が実装されている。このジャックにFPC基板80のコネクタ部が装着されることで、FPC基板80とリジッド基板180とが電気的に接続される。このリジッド基板180の中央には、平面視において矩形状の基板孔182が表裏に貫通されている。そして、第1圧接カバー110の第1挿通孔113、第2圧接カバー140の第2挿通孔141、中間コネクタ150の中心孔162、及びリジッド基板180の基板孔182が軸方向に整合して相互に連通することで、これらを通じて偏向機構(操作用ワイヤ50)がハンドル20の内外へと引き回されている。
【0054】
<作用>
次に、
図24〜
図29を追加参照して、コネクタユニット100及び電極カテーテル1の作用について説明する。以下では、コネクタユニット100を組み立てる手順について説明する。なお、
図24、
図26及び
図28では、本実施形態の理解を容易なものとするため、その一部を断面図としており、その断面部分の詳細図を
図25、
図27及び
図29に示している。
【0055】
まず、カテーテルチューブ10に各電極31,32を装着し、その基端側から導線40(本実施形態では20本)及び操作用ワイヤ50が引き延ばされた状態のカテーテルチューブアセンブリを作り、そのカテーテルチューブアセンブリの基端部を第1圧接カバー110に接着固定する。このとき、導線40及び操作用ワイヤ50を第1圧接カバー110の第1挿通孔113に挿通するようにする。それにより、カテーテルチューブ10の内腔を通ってきた導線40が第1圧接カバー110の第1挿通孔113から外方へ引き出された状態となる。そして、
図24及び
図25に示すように、第1圧接カバー110の第1挿通孔113から束状に纏められた20本の導線40を径方向外方へ放射状に広げて各導線受容溝130に受容させる。それにより、導線40が5本ずつ各整線部120に割り当てられて、20本の導線40が第1挿通孔113から四方に向けて放射状に延出した状態となる。なお、
図25に示すように、各導線受容溝130に受容された導線40は、コンタクト挿込溝136及び外側凹部137上を該放射方向に沿って横断した状態となる。
【0056】
続いて、
図26及び
図27に示すように、第1圧接カバー110と第2圧接カバー140とを位置合わせして、第1圧接カバー110の係合溝118と第2圧接カバー140の第2係合突起142とを係合させることで、第1圧接カバー110に第2圧接カバー140を取り付ける。この際、第2圧接カバー140の内側リブ144が第1圧接カバー110の内側凹部134に挿入されるとともに、第2圧接カバー140の外側リブ145が第
1圧接カバー110の外側凹部137に挿入される。このとき、導線受容溝130に受容された導線40のうち、径方向内側に配された導線部分は内側リブ144の先端面と内側凹部134の底面との間に挟み込まれて固定され、径方向外側に配された導線部分は外側リブ145の先端面により外側凹部137へ押し込まれて弛みが吸収される。それにより、両リブ144,145間に延在する導線部分は弛み無く張設された状態且つ強固に保持された状態でコンタクト挿込溝136上を横断することとなる。なお、第1圧接カバー110に第2圧接カバー140が取り付けられた状態において、第1圧接カバー110の嵌合凹部135と第2圧接カバー140の嵌合開口部143とは位置整合しており、嵌合凹部135は嵌合開口部143を通じて一端側(
図27では上方)に向けて開放され、中間コネクタ150の嵌合凸部163(先端突起176)を該一端側から受容可能な状態となっている。
【0057】
続いて、
図28及び
図29に示すように、連結状態の両圧接カバー110,140に対して中間コネクタ150を位置合わせして、第1圧接カバー110の第1係合突起119と中間コネクタ150の係合段部168とを係合させることで、両圧接カバー110,140に中間コネクタ150を取り付ける。なお、
図28及び
図29では、便宜上、リジッド基板180の図示を省略しているが、実際には、中間コネクタ150の他端側にはリジッド基板180が取り付けられる。この際、中間コネクタ150の嵌合凸部163が第2圧接カバー140の嵌合開口部143を通して第1圧接カバー110の嵌合凹部135に嵌合する。このとき、コンタクト170の先端突起176(圧接溝177)は嵌合凸部163から外方に突出されているため、該先端突起176が嵌合凹部135のコンタクト挿込溝136に挿し込まれることになる。上述したとおり、コンタクト挿込溝136上には導線40が横断しており、先端突起176がコンタクト挿込溝136に挿し込まれるときに、先端突起136間の圧接溝177に導線40が入り込む。この際、絶縁被覆42が圧接溝177の内縁により切り裂かれ、それにより剥き出し状態となった芯線41が圧接溝177の内縁に接触して、コンタクト170と導線40とが圧接接続される。それにより、この中間コネクタ150を介して、各導線40が接続された各電極31,32と、FPC基板80が接続された基端側コネクタ70の各端子とが電気的に接続(電気導通)されて、各電極31,32と基端側コネクタ70との間で電力および/もしくは電気信号の授受が可能となる。こうして組み立てられたコネクタユニット1は、前述したように、カテーテルチューブ10の基端側に接着固定された状態にある。そして、このカテーテルチューブ10がハンドル20に組み付けられ、基端側コネクタ70がケーブルを介して外部の電源装置(高周波発生および電位測定用装置)に接続されることで、電極カテーテル1が作動可能となり(電極31と患者の体表に装着された対極板との間での高周波通電およびリング状電極32による心電位の測定が可能となり)、心臓の不整脈の治療や診断などの医療行為に供される。
【0058】
<効果>
以上、本実施形態に係るコネクタユニット100及び電極カテーテル1によれば、両圧接カバー110,140と中間コネクタ150とを結合させたときに、両圧接カバー110,140に保持された各導線40と中間コネクタ150に配列された各コンタクト170とが圧接接続されて電気導通される構成であるため、導線40の接続作業を簡単且つ確実に行うことでき、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係るコネクタユニット100及び電極カテーテル1によれば、中央において束状に纏められた複数の導線40の各々を外方へ放射状に広げて整線するとともに、各導線40と圧接接続可能なように複数のコンタクト170を中心孔162の周囲に略環状に配列することで、それらを一直線方向にのみ配列する場合と比べて、コネクタユニット100全体を小型化することができるため、ハンドル20の内部スペースの制約を受けることなくコネクタユニット100を省スペースに配設することができるとともに、
ハンドル20の内部においてコネクタユニット100の配設位置や導線40の引き回しの自由度を向上させることが可能になる。
【0060】
さらに、本実施形態に係るコネクタユニット100及び電極カテーテル1によれば、第1挿通孔113の周囲に配列された複数の突起間に導線受容溝130を凹設するため、中央の挿通孔113から引き出された複数の導線40を正確且つ容易に整線することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態に係るコネクタユニット100及び電極カテーテル1によれば、互いに隣接する第1突起121の高さを相違させることで、この突起121間の段差を利用して導線40を当該突起121間に形成された導線受容溝130に位置決めしやすくなるため、導線40の接続作業を一層簡単に行うことが可能となる。
【0062】
加えて、本実施形態に係るコネクタユニット100及び電極カテーテル1によれば、導線受容溝130に受容された導線40が内側リブ144及び外側リブ145により保持されることで、コンタクト170に圧接されるときに生じる荷重により導線40にズレや弛みが生じることがなく、導線40の接続作業を一層確実に行うことが可能となる。
【0063】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜変形・改良が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、複数個(20個)のコンタクトを軸線周りに矩形に配列した構成を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、コンタクトの配置や形状、個数等は、上記実施形態で例示したものに限定されるものではなく、他の配置や形状、個数等を適用してもよい。その具体例として、複数のコンタクトを矩形以外の多角形の環状に配列したり、複数のコンタクトを軸線周りに円形又は楕円形の環状に配列したり、複数のコンタクトを屈曲部と直線部とを有した異形の環状に配列してもよい。また、上記実施形態では、1本の導線に対して1個のコンタクトを接続(圧接)した構成を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、1本の導線を複数個のコンタクトに接続(圧接)したり、1本の導線を1個のコンタクトに形成された複数の圧接溝に接続したりする構成を採用してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、導線の一例として、芯線が絶縁被覆に覆われた電気導線を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば同軸ケーブルなど他の電気導線を適用することもできる。また、芯線の材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金など、様々な導体を適用することができる。なお、芯線の材料には、例えば、錫めっき等の表面処理が施されていてもよい。このとき、芯線の構造は、単線であっても寄り線であってもよい。一方、絶縁被覆の材料としては、例えば、ニトリルゴム等の絶縁性の合成ゴムや、ポリ塩化ビニル(PVC)或いはポリプロピレン(PP)等の絶縁性の合成樹脂などが好適である。なお、絶縁被覆の材料に、例えば、難燃剤、充填剤又は着色剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0066】
さらに、上記実施形態では、コネクタユニットの第1圧接カバーに複数の突起(突起群)を配列した構成を例示して説明したが、各突起の配置や形状、個数等は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、他の配置や形状、個数等を適用してもよい。例えば、上記実施形態では、互いに異なる形状の第1〜第3突起を配列した構成を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、全て同形状の突起を配列した構成を採用してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、コネクタユニットをハンドルのノブ内部に配設した構成を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、コネクタユニットをハンドル内部の他の位置に配設してもよい。つまり、導線とFPC基板(基端側コネクタ)とを電気的に接続できる位置であれば、コネクタユニットの配設位置は特に限定されない。
【0068】
さらに、上記実施形態では、カテーテルチューブの先端部(遠位端及び遠位端近傍の領域)に電極(先端電極、リング状電極)を配設した構成を例示して説明したが、電極の配置や形状、個数等は、上記実施形態で例示したものに限定されるものではなく、他の配置や形状、個数等を適用してもよい。例えば、カテーテルチューブの先端部は、略円形状をなすように形成されたループ形状であってもよい。また、カテーテルチューブの先端部は、芯材の周囲に複数本の弧状のアーム(スパイン)が周方向に等間隔で設けられ、芯材及び各アームの軸方向の両端部が相互に結合することでバスケット形(球形又はたまご形)に形成されていてもよい。さらに、カテーテルチューブの先端部は、複数本に分かれて、それぞれの先端が自由端となっていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、グリップに対してノブを軸方向にスライドさせることで、カテーテルチューブを湾曲操作(偏向操作)するスライド式のハンドルを例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、(A)カテーテルチューブの中心軸と同軸上に回転軸を有して、グリップの周囲に配されたダイヤルを当該回転軸周りに回転させることで、カテーテルチューブを湾曲操作するダイヤル式のハンドルや、(B)カテーテルチューブの中心軸と直交する回転軸を有して、グリップに配された回転盤を当該回転軸周りに回転させることで、カテーテルチューブを湾曲操作する回転盤式のハンドル、(C)グリップに配されたレバーを所定の方向にスライドさせることで、カテーテルチューブを湾曲操作するレバー式のハンドルなど、他の操作方式を備えたハンドルを適用してもよい。
【0070】
さらに、上記実施形態では、カテーテルチューブの先端部をハンドルの操作に応じて所定の方向(例えば
図1のX方向)に湾曲させるための偏向機構(操作用ワイヤ及び板バネ等)を備えた電極カテーテルを例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、バネ部材として棒バネを備えた電極カテーテルやバネ部材を用いない偏向機構を備えた電極カテーテル、あるいは、このような偏向機構を備えていない電極カテーテルを採用してもよい。但し、偏向機構を備えていない電極カテーテルであってもカテーテルチューブ自体は可撓性を有して、挿通経路や診断部位、治療部位などの形状等に応じて適宜変形(湾曲)可能であることが好ましい。その場合には、操作用ワイヤ及び板バネ等が不要となり、ハンドルの形状も異なるものとなる(すなわち、グリップのみとなる)。
【0071】
また、上記実施形態では、医療機器として、不整脈等の治療に用いられる電極カテーテル(いわゆるアブレーションカテーテル)を例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、不整脈等の診断に用いられる電極カテーテル(いわゆるEPカテーテル)や、心房細動を除去するために用いられるカテーテル(いわゆる心腔内除細動カテーテル)にも適用が可能である。
【0072】
加えて、心臓の検査(診断)・治療に用いられる医療機器以外にも、例えば食道内部の温度を測定するために用いられる食道カテーテルや、腫瘍組織等の病変部位を焼灼して除去するために用いられる焼灼用カテーテルなど、他の医療機器にも適用することが可能である。なお、上記焼灼用カテーテルは、例えば、肺癌などの肺の疾患の治療を目的として気管に挿入されて目的部位を焼灼するために用いられる。
【0073】
さらに、コネクタユニットを医療機器以外の各種の電気機器に適用することもできる。電気機器としては、例えば、生産工場で用いられる電気機器、家庭で用いられる電気機器
、オフィスで用いられる電気機器など、多種多様の電気機器が挙げられる。