特許第6722132号(P6722132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6722132推奨運転出力装置、推奨運転出力方法、及び推奨運転出力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722132
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】推奨運転出力装置、推奨運転出力方法、及び推奨運転出力システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-87952(P2017-87952)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-185707(P2018-185707A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤地 雅史
【審査官】 佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−75397(JP,A)
【文献】 特開2014−89579(JP,A)
【文献】 特開2012−111274(JP,A)
【文献】 特開2009−59200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−60/00
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の状況を取得する周囲状況取得部と、
前記車両の周囲の状況と、警告と、推奨運転指示と、を対応して記憶する推奨運転情報記憶部と、
前記車両の周囲の状況に応じた警告を受信する警告受信部と、
前記警告受信部の受信した前記警告と、前記周囲状況取得部の取得した前記車両の周囲の状況と、を用いて前記推奨運転情報記憶部から前記推奨運転指示を選択する推奨運転指示選択部と、
前記推奨運転指示選択部により選択された前記推奨運転指示を出力する出力処理部と、
を備えることを特徴とする推奨運転出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の推奨運転出力装置であって、
前記推奨運転情報記憶部は、運転手の運転特性を含む運転特性情報を記憶しており、
前記推奨運転指示選択部は、前記運転特性情報を用いて前記推奨運転指示を選択することを特徴とする推奨運転出力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の推奨運転出力装置であって、
前記推奨運転指示選択部は、前記推奨運転指示を選択できなかった場合に、前記警告を選択し、
前記出力処理部は、前記警告を出力することを特徴とする推奨運転出力装置。
【請求項4】
請求項1に記載の推奨運転出力装置であって、
前記車両を運転する運転手の視線方向を取得する車内状況取得部を備え、
前記推奨運転情報記憶部は、車両を運転する運転手の視線方向に関する情報を含み、
前記推奨運転指示選択部は、前記警告受信部が前記警告を受信すると、前記車内状況取得部の取得した前記視線方向を用いて、前記推奨運転指示を選択することを特徴とする推奨運転出力装置。
【請求項5】
請求項1に記載の推奨運転出力装置であって、
前記出力処理部は、前記推奨運転指示に加えて、前記車両の周囲の状況に関する情報又は前記車両を運転する運転手の視線方向に関する情報を出力することを特徴とする推奨運転出力装置。
【請求項6】
請求項1に記載の推奨運転出力装置であって、
前記推奨運転情報記憶部は、前記推奨運転指示に応じた振動パターンを記憶し、
前記出力処理部は、前記振動パターンを用いて運転席を振動させることを特徴とする推奨運転出力装置。
【請求項7】
推奨運転出力装置が行う推奨運転出力方法であって、
前記推奨運転出力装置は、推奨運転情報記憶部と、周囲状況取得部と、警告受信部と、推奨運転指示選択部と、出力処理部と、を備え、
前記推奨運転情報記憶部は、車両の周囲の状況と、警告と、推奨運転指示と、を対応して記憶しており、
前記周囲状況取得部は、前記車両の周囲の状況を取得する周囲状況取得手順を実行し、
前記警告受信部は、前記車両の周囲の状況に応じた警告を受信する警告受信手順を実行し、
前記推奨運転指示選択部は、前記警告受信部の受信した前記警告と、前記周囲状況取得部の取得した前記車両の周囲の状況と、を用いて前記推奨運転情報記憶部から前記推奨運転指示を選択する推奨運転指示選択手順を実行し、
前記出力処理部は、前記推奨運転指示選択部により選択された前記推奨運転指示を出力する出力手順を実行することを特徴とする推奨運転出力方法。
【請求項8】
推奨運転出力装置と、運転支援装置と、を備える推奨運転出力システムであって、
前記運転支援装置は、
車両の周囲の状況を検知する状況検知部と、
前記状況検知部の検知した前記車両の周囲の状況に応じた警告を通知する警告通知部と、を備え、
前記推奨運転出力装置は、前記車両の周囲の状況を取得する周囲状況取得部と、
前記車両の周囲の状況と、警告と、推奨運転指示と、を対応して記憶する推奨運転情報記憶部と、
前記車両の周囲の状況に応じた警告を受信する警告受信部と、
前記警告受信部の受信した前記警告と、前記周囲状況取得部の取得した前記車両の周囲の状況と、を用いて前記推奨運転情報記憶部から前記推奨運転指示を選択する推奨運転指示選択部と、
前記推奨運転指示選択部により選択された前記推奨運転指示を出力する出力処理部と、を備え、
前記出力処理部は、前記警告受信部が前記警告通知部からの前記警告を受信すると、該警告を用いて推奨運転指示選択部により選択された前記推奨運転指示を出力することを特徴とする推奨運転出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推奨運転出力装置、推奨運転出力方法、及び推奨運転出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転中に所定の事象が生じた場合に、運転手に対して警告を出力する技術が存在する。
【0003】
特許文献1には、運転支援システムに関する技術が開示されている。同文献の段落[0009]には、「自車両と周辺車両とが所定の距離以内で、かつ所定以上の相対速度であることが自車両で判定され、自車両と周辺車両とが所定の距離以内で、かつ所定以上の相対速度である場合、その周辺車両から自車両に対して警告表示が行われる」と記載されている。また、段落[0056]には、「運転操作状況に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転操作状況に変化がない場合、表示装置60及び警報音発生装置62を介して、自車両の運転者に警告を行う」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−59200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、自車両と周辺車両との関係に対して警告を行う技術が開示されているが、出力された警告に従って運転操作をした後に、周辺車両の状況によってはすぐに警告が出力されることがあり、複数の警告が連続して出力されることになる。複数の警告が連続して出力されると、運転手の混乱を招いてしまう結果となるため、特許文献1に開示された技術は運転手に与える影響を考慮した警告の出力となっていない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、運転手にとって好適な情報の出力を行うことができる推奨運転出力装置、推奨運転出力方法、及び推奨運転出力システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の推奨運転出力装置は、車両の周囲の状況を取得する周囲状況取得部と、前記車両の周囲の状況と、警告と、推奨運転指示と、を対応して記憶する推奨運転情報記憶部と、前記車両の周囲の状況に応じた警告を受信する警告受信部と、前記警告受信部の受信した前記警告と、前記周囲状況取得部の取得した前記車両の周囲の状況と、を用いて前記推奨運転情報記憶部から前記推奨運転指示を選択する推奨運転指示選択部と、前記推奨運転指示選択部により選択された前記推奨運転指示を出力する出力処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転手にとって好適な情報の出力を行うことができる推奨運転出力装置、推奨運転出力方法、及び推奨運転出力システムを提供することができる。
【0010】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】推奨運転出力システムの処理の概要を説明するための図である。
図2】推奨運転出力システムの機能ブロック構成の一例を示す図である。
図3】状況情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4】傾向情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5】出力内容情報のデータ構造の一例を示す図である。
図6】運転特性情報のデータ構造の一例を示す図である。
図7】操作履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
図8】推奨運転出力装置のハードウェア構成例を示す図である。
図9】運転支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
図10】推奨運転出力処理の一例を示すフローチャートである。
図11】ヘッドアップディスプレイ及びメーターディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。図1は、推奨運転出力システムの処理の概要を説明するための図である。本実施形態における推奨運転出力システム1は、車両に搭載される。以下、車両Aに搭載された推奨運転出力システム1の処理の概要を説明する。
【0013】
推奨運転出力システム1は、図1に図示しない運転支援装置と、推奨運転出力装置とを含んでいる。運転支援装置は、車両の周囲の状況(以下、「車両周囲状況」とする)を検知し、車両周囲状況が所定の状況である場合に、推奨運転出力装置に対して警告を通知する。
【0014】
図1(a)において、車両Aは左車線を走行中であり、車両Bは車両Aの前方を走行しており、車両Cは車両Aの隣の車線を走行し、車両Aよりも所定距離後方を走行している。まず、車両Aは、左車線において車両Aの前方に位置する車両Bに接近する(図1(a)の(1))。運転支援装置は、車両Aの車両Bへの接近に応じて推奨運転出力装置に警告を通知する。この警告に従って、車両Aが車両Bとの接触を避けるために隣の車線に移動すると、車両Aの後方から車両Cが接近する(図1(a)の(2))。
【0015】
従来の推奨運転出力装置は、車両Aが車両Bに接近した時点で、運転手に対して警告を出力する。運転手が警告に応じて車両Aを中央車線に移動させると、車両Cの接近に基づいて2度目の警告が出力される。運転手は、継続して2度の警告を受けることにより、混乱してしまう。
【0016】
そこで本実施形態における推奨運転出力システム1は、(1)の車両周囲状況と(2)の車両周囲状況とに応じた推奨運転指示を出力する。より具体的には、推奨運転出力装置には、車両周囲状況に応じて、車両Aの運転手に対して推奨する運転方法を示す推奨運転指示が予め記憶されている。運転支援装置から推奨運転出力装置に対して警告が通知されると、推奨運転出力装置は車両Aの車両周囲状況を特定する。特定した車両周囲状況に、(1)の車両周囲状況と(2)の車両周囲状況とが含まれている場合、推奨運転出力装置は、車両周囲状況に応じた推奨運転指示を出力する。
【0017】
図1(b)では、左車線を走行中の車両Aが、左車線において前方に位置する車両Bに接近する(図1(b)の(1))。次に、左車線において車両Aの後方から車両Cが接近する(図1(b)の(2))。従来の推奨運転出力システムでは、図1(a)の場合と同様に、車両Aが車両Bに接近する時点で警告が出力され、車両Cが車両Aに接近すると、2度目の警告が出力される。継続する複数回の警告は、運転手の混乱の要因となる。
【0018】
本実施形態の推奨運転出力システム1において、(1)の車両周囲状況の検知により運転支援装置から警告が通知されると、推奨運転出力装置は(1)の車両周囲状況を含む車両周囲状況の有無を判定する。推奨運転出力装置は、(1)の車両周囲状況に対応する(2)の車両周囲状況がある場合に、(1)の車両周囲状況及び(2)の車両周囲状況に応じた推奨運転指示を出力する。
【0019】
本実施形態により、所定の車両周囲状況が検知された場合に、該車両周囲状況に応じて運転手に対して適切な情報の出力を行うことができる。
【0020】
図2は、推奨運転出力システム1の機能ブロック構成の一例を示す図である。推奨運転出力システム1は、推奨運転出力装置10と、運転支援装置20と、を含む。推奨運転出力装置10は、ユーザーに情報を出力する、車載される装置である。推奨運転出力装置10は、例えばナビゲーション装置、エンジンコントロールユニット(ECU:engine control unit)、PC(Personal Computer)、又はスマートフォン等の情報処理装置である。推奨運転出力装置10と運転支援装置20とは通信可能に接続されていればよく、通信方法は限定しない。
【0021】
運転支援装置20は、例えば先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)の機能や、自動運転制御システムの機能を有する装置である。運転支援装置20は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置であってもよい。運転支援装置20は、カメラや赤外線等のセンサを用いて車両Aの周囲を測定し、前方や周囲を走行中の車両や歩行者等、車両Aの外にある物を検出する。
【0022】
推奨運転出力装置10は、ヘッドアップディスプレイ301と、メーターディスプレイ302と、シート振動機能303と、スピーカー304と、車内用カメラ305と、車外用カメラ306と、に通信可能に接続されている。ヘッドアップディスプレイ301は、車内のフロントガラス下部にあるインストルメントパネル上部に配置されるディスプレイである。ヘッドアップディスプレイ301は、例えばフロントガラス手前に設けられたコンバイナーに画像を投影することにより機能を発揮するディスプレイであってもよいし、フロントガラスに直接映像を投影させることによりその機能を発揮するものであってもよい。
【0023】
メーターディスプレイ302は、インストルメントパネルに設置されたLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイである。シート振動機能303は、運転席に内蔵され、例えば振動子を用いて運転席を振動させる。シート振動機能303は、例えば運転席の異なる位置に設置される複数の振動子を有し、各々の振動子は独立して制御することができる。これにより、運転手に対して通知する情報に応じて予め定められたパターンで各々の振動子を振動させることができる。
【0024】
スピーカー304は、音声を出力する装置である。車内用カメラ305及び車外用カメラ306は、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを用いた撮像装置であって、静止画又は動画を撮影する。車内用カメラ305は車内の状況を撮影し、車外用カメラ306は車外の状況を撮影する。なお、車外用カメラ306は、車両Aの外にある物の位置を取得可能であればよい。そのため、推奨運転出力装置10は、車外用カメラ306に代えて、又は車外用カメラ306に加えて、車外の物との距離を特定可能なセンサや、レーダー、又はLIDER(Light Detection and Ranging)と接続されていてもよい。
【0025】
また、車内用カメラ305及び車外用カメラ306は、運転支援装置20とも通信可能に接続されていてもよい。なお、車内用カメラ305及び車外用カメラ306は、推奨運転出力装置10と運転支援装置20との少なくとも一方に接続されていればよい。以下、車内用カメラ305及び車外用カメラ306は、推奨運転出力装置10及び運転支援装置20に各々接続されている例を用いて説明する。
【0026】
推奨運転出力装置10は、制御部110と、入力部120と、出力部130と、通信部140と、記憶部150と、を備える。制御部110は、推奨運転出力装置10の全体を統括的に制御する。入力部120は、タッチパネル等の入力装置を介して入力された情報を取得する。出力部130は、ヘッドアップディスプレイ301、メーターディスプレイ302、シート振動機能303、又はスピーカー304等の出力装置に対して情報を出力する。通信部140は、推奨運転出力装置10に接続された運転支援装置20等の装置との情報の送信及び受信を行う。記憶部150は、制御部110による処理に必要な情報を記憶する。
【0027】
制御部110は、周囲状況取得部111と、車内状況取得部112と、警告受信部113と、位置特定部114と、推奨運転指示選択部115と、出力処理部116と、を備える。周囲状況取得部111は、車両周囲状況を取得する。周囲状況取得部111は、例えば車外の物の位置に関する情報を車外用カメラ306を用いて車両周囲状況として取得する。
【0028】
また、周囲状況取得部111は、車両Aの走行経路において、車線数が減少するといったような、車両Aの位置に関する車両周囲状況を、位置特定部114から取得する。なお、周囲状況取得部111は、車外の物の位置に関する情報を、運転支援装置20から取得するものであってもよい。
【0029】
車内状況取得部112は、運転手の視線に関する情報を車内用カメラ305を用いて取得する。より具体的には、車内状況取得部112は、運転手の視線方向に関する情報を取得する。なお、車内状況取得部112は、運転手の視線に関する情報を、運転支援装置20から取得するものであってもよい。
【0030】
警告受信部113は、運転支援装置20から通知される警告情報を受信する。警告受信部113は、例えば車両Aと車両Aの前方に位置する他の車両との距離が所定距離以下である場合に通知される警告情報を受信する。
【0031】
位置特定部114は、車両Aの位置を特定する。位置特定部114は、例えばGPS(Global Positioning System)等の機能を用いて地図情報上の車両Aの位置を特定し、車両Aの走行予定の経路(車線等)に関する情報を特定する。位置特定部114は、車両Aの走行経路において所定距離内に車線数の減少があるか否かを特定する。
【0032】
推奨運転指示選択部115は、警告受信部113の受信した警告と、周囲状況取得部111の取得した車両周囲状況と、を用いて記憶部を参照し、対応する推奨運転指示を選択する。具体的には、推奨運転指示選択部115は、周囲状況取得部111の取得した車両周囲状況が、後述する推奨運転情報に含まれるか否かを判定する。また、推奨運転指示選択部115は、車両周囲状況が推奨運転情報に含まれると判定する場合に、推奨運転情報において当該車両周囲状況と関連付けられた運転特性を第1の運転特性として特定する。
【0033】
推奨運転指示選択部115は、周囲状況取得部111の取得した車両周囲状況を用いて後述する運転特性情報を参照し、当該車両周囲状況と関連付けられた運転特性を第2の運転特性として特定する。推奨運転指示選択部115は、第1の運転特性と第2の運転特性とが対応する場合に、推奨運転指示を選択する。
【0034】
また、推奨運転指示選択部115は、推奨運転指示が選択できないかった場合に、警告受信部113の受信した警告を選択する。
【0035】
なお、運転特性とは、所定の状況に置かれた場合の運転手の車両Aの操作傾向である。詳細は後述する。
【0036】
出力処理部116は、推奨運転指示選択部115により選択された推奨運転指示の出力情報を生成する。出力情報は、例えばヘッドアップディスプレイ301やメーターディスプレイ302に表示する画面の表示信号である。また例えば、出力情報は、スピーカー304を介して出力する音声の出力信号である。また例えば、出力情報は、所定のパターンでシート振動機能303を振動させる出力信号である。出力処理部116は、生成した出力情報を後述の出力部130を介して出力する。
【0037】
記憶部150は、推奨運転情報151と、操作履歴情報152と、地図情報153と、を記憶している。推奨運転情報151は、車両周囲状況と、警告と、推奨運転指示と、を対応させた情報である。操作履歴情報152は、運転手の車両Aの操作履歴に関する情報である。地図情報153は、地図を示す情報であって、車両Aの現在地を示す情報と突合することで、車両Aの走行する車線を特定することができる。また、地図情報153を参照することで、車両Aの走行する経路において、車線数の減少があるか否かが特定可能である。
【0038】
推奨運転情報151は、状況情報1511と、傾向情報1512と、出力内容情報1513と、運転特性情報1514と、を含む。状況情報1511は、車両周囲状況に関する情報である。傾向情報1512は、車両周囲状況に対し、推奨運転指示を出力すべき運転特性が関連付けられた情報である。出力内容情報1513は、車両周囲状況に対し、出力する推奨運転指示や、推奨運転指示の理由を示す状況説明情報を関連付けた情報である。運転特性情報1514は、車両Aの運転手の運転特性を示す情報であって、運転手毎に車両周囲状況に応じた運転特性が関連付けられている。
【0039】
運転支援装置20は、制御部210と、通信部220と、を備える。制御部210は、運転支援装置20の全体を統括的に制御する。通信部220は、運転支援装置20に接続された他の装置との間で情報の送信及び受信を行う。
【0040】
制御部210は、状況検知部211と、警告通知部212と、を備える。状況検知部211は、車外用カメラ306又は図示しないセンサを用いて、車両Aの車両周囲状況を検知する。警告通知部212は、車両Aの車両周囲状況が、警告要因となるか否かを判定し、警告要因となる車両周囲状況が取得された場合に、推奨運転出力装置10に対して警告情報を送信する。
【0041】
なお、運転支援装置20の図示しない記憶装置において、警告要因となる車両周囲状況と、警告理由とが関連付けられて記憶されている。警告通知部212は、当該情報を参照し、状況検知部211の検知した車両周囲状況と関連付けられた警告理由を特定可能である。警告通知部212は、例えば「前方衝突検知」や「歩行者検知」といった情報である警告理由を含む警告情報を通知する。警告情報には、警告要因となった車両周囲状況が含まれていてもよい。
【0042】
図3は、状況情報1511のデータ構造の一例を示す図である。状況情報1511は、種別1511aと、自車位置1511bと、周囲の車の状況1511cと、一次警告1511dと、視線1511eと、歩行者1511fと、車線減少1511gとを含む。
【0043】
種別1511aは、車両周囲状況の種別を特定する識別情報である。種別1511aには、1又は複数の状況情報1511のレコードが関連付けられている。自車位置1511bは、車両Aの位置を示す情報である。例えば自車位置1511bは、「左」、「中央」、及び「右」等の、走行車線を特定する情報をカラムに有しており、推奨運転指示の出力の対象となる車両Aの走行車線を示すカラムに「1」が格納される。
【0044】
周囲の車の状況1511cは、周囲の車の位置を示す情報である。例えば周囲の車の状況1511cは、「左_前」、「中央1_前」、「中央2_前」、「右_前」、「左_後」、「中央_後」、及び「右_後」等の、走行車線を特定する情報をカラムに有している。なお、「中央1_前」は中央車線の1台前に他の車が位置することを示しており、「中央2_前」は中央車線の2台前に他の車が位置することを示している。周囲の車の状況1511cにおいては、推奨運転指示の出力条件となる他の車の走行車線を示すカラムに「1」が格納される。
【0045】
一次警告1511dは、警告情報の警告理由を示す情報である。例えば一次警告1511dは、複数の警告理由をカラムに有しており、推奨運転指示の出力条件となる警告理由に「1」が格納される。
【0046】
視線1511eは、運転手の視線の方向を示す情報である。例えば視線1511eは、「右側」、「左側」、及び「下」等の、運転手の視線方向を示す情報をカラムに有しており、推奨運転指示の出力条件となる視線位置を示すカラムに「1」が格納される。
【0047】
歩行者1511fは、車両Aの前方にいる歩行者の位置を示す情報である。例えば歩行者1511fは、「左」、「中央」、及び「右」等の、歩行者のいる車線を示す情報をカラムに有しており、推奨運転指示の出力条件となる歩行者の位置を示すカラムに「1」が格納される。
【0048】
車線減少1511gは、車両Aの前方であって、車両Aから所定距離内において、車線数の減少があるか否かを示す情報である。例えば車線数の減少を推奨運転指示の出力条件とする場合、車線減少1511gには、「1」が格納される。
【0049】
なお、1つのレコードに含まれる自車位置1511bと、周囲の車の状況1511cと、一次警告1511dと、視線1511eと、歩行者1511fと、車線減少1511gとは、推奨運転指示の出力条件となる車両周囲状況を構成するといえる。
【0050】
図4は、傾向情報1512のデータ構造の一例を示す図である。傾向情報1512のレコードは、各々状況情報1511のレコードと対応している。例えば図3に示す状況情報1511の最上位のレコードは図4に示す傾向情報1512の最上位のレコードに、図3に示す状況情報1511の上から2番目のレコードは図4に示す傾向情報1512の上から2番目のレコードに、各々対応している。
【0051】
傾向情報1512は、種別1512aと、運転特性1512bと、を含む。種別1512aは、車両周囲状況の種別を特定する識別情報である。運転特性1512bは、推奨運転指示の出力条件となる一般的な運転手の運転特性を示す情報である。図4に示す運転特性1512bは、前方車両との距離が詰まった場合の避け方として、「左車線に避ける」、「中央車線に避ける」、「右車線に避ける」、及び「減速する」等の運転特性を示す情報をカラムに有しており、推奨運転指示の出力条件となる運転特性に「1」が格納される。
【0052】
なお、対応する車両周囲状況に係る状況下において、運転特性を推奨運転指示の出力条件としない場合、傾向情報1512には例えば空であることを示す情報が格納される。例えば、運転手の視線位置が下であることを示す車両周囲状況では、運転手が居眠りをしていることが想定される。このような車両周囲状況において、運転手の運転特性に関わらず推奨運転指示を出力する場合、視線位置が下であることを示す車両周囲状況と対応する運転特性1512bには、空であることを示す情報が格納される。
【0053】
図5は、出力内容情報1513のデータ構造の一例を示す図である。出力内容情報1513のレコードは、傾向情報1512と同様に、各々状況情報1511のレコードと対応している。出力内容情報1513は、種別1513aと、予測される二次警告1513bと、警告1513cと、を含む。種別1513aは、車両周囲状況の種別を特定する識別情報である。
【0054】
予測される二次警告1513bは、関連する状況情報1511のレコードに係る車両周囲状況が取得された際に、通知されることが予測される二次警告の警告理由を示す情報である。
【0055】
警告1513cは、関連する車両周囲状況が取得された場合に出力される情報であって、通知1513caと、内容1513cbと、推奨アクション1513ccと、を含む。通知1513caは、推奨運転指示に関する備考情報である。内容1513cbは、推奨運転出力指示における車両周囲状況等を示す情報である。内容1513cbは、例えば推奨運転指示に係る車両周囲状況及び指示理由を説明する状況説明情報である。
【0056】
推奨アクション1513ccは、推奨運転指示を示す情報である。通知1513caと、内容1513cbと、推奨アクション1513ccとは、例えばヘッドアップディスプレイ301やメーターディスプレイ302に出力する文字列や画像情報の識別情報であり、また例えばスピーカー304に出力する音声情報の識別情報であり、また例えばシート振動機能303の振動パターンを示す識別情報である。
【0057】
なお、図5に示す推奨アクション1513ccは、ヘッドアップディスプレイ301に表示させる文字列である。また、同図の内容1513cbは、メーターディスプレイ302に表示させる文字列である。また、同図の通知1513caは、シート振動機能303を振動させる振動パターンを特定する識別情報である。
【0058】
図6は、運転特性情報1514のデータ構造の一例を示す図である。記憶部150は、車両Aの運転手毎に運転特性情報1514を有している。運転特性情報1514のレコードは、傾向情報1512及び出力内容情報1513と同様に、各々状況情報1511のレコードと対応している。
【0059】
運転特性情報1514は、種別1514aと、運転特性1514bとを含む。種別1514aは、車両周囲状況の種別を特定する識別情報である。運転特性1514bは、運転手の運転特性を示す情報である。運転特性1514bは、対応する状況情報1511のレコード中の車両周囲状況における運転特性を示す。
【0060】
例えば、図6に示す運転特性情報1514の最上位のレコードは、図3に示す状況情報1511の最上位のレコードと対応している。状況情報1511の当該レコードは、自車位置1511bが「左」車線であって、周囲の車の状況1511cが「左_前」(左車線の前方に他の車両あり)と、「中央_後」(中央車線の後方に他の車両あり)であり、視線1511eが「右」である。なお、当該車両周囲状況において、「前方衝突」の可能性があることを示す一次警告1511dが通知される。
【0061】
運転特性情報1514の最上位のレコードを参照すると、当該車両周囲状況において、車両Aの運転手が「中央車線に避ける」という運転特性1512bを有することが分かる。
【0062】
図7は、操作履歴情報152のデータ構造の一例を示す図である。操作履歴情報152は、運転手による車両Aの操作履歴に関する情報であって、例えば運転手が所定の操作を行う毎に、推奨運転出力装置10の制御部110により生成される。操作履歴情報152は、車両Aを操作する運転手毎に生成される情報である。
【0063】
操作履歴情報152は、道路状況(自車位置)操作履歴152aと、前方車両との車間152bと、車線変更所要距離152cと、前方車間距離が詰まった時の動作152dと、後方車間距離が詰まった時の動作152eと、平均車速152fと、を含む。道路状況(自車位置)操作履歴152aは、操作履歴を取得した際の状況を示す情報である。道路状況(自車位置)操作履歴152aは、例えば車両Aの走行した地図上の位置の種別を示す情報である。
【0064】
前方車両との車間152bは、車両Aの走行する車線における前方車両との間の距離を示す情報である。なお、前方車両との車間152bは、車間距離が詰まった場合の車両Aの操作傾向を取得するための情報であって、車間距離の目安であればよい。例えば一般道と高速道路、又は車両Aの走行距離等で重み付けを行い、目安となる値が格納されるものであってもよい。
【0065】
車線変更所要距離152cは、車両Aが車線の変更に要した距離を示す情報である。前方車間距離が詰まった時の動作152dは、前方車両との距離が所定距離以下となった時に、車両Aがどのような動作を行ったかを示す情報である。前方車間距離が詰まった時の動作152dには、例えば「減速する」、片側一車線の際の動作として「前の車を避ける」、複数車線の動作として「右車線に避ける」及び「左車線に避ける」、等の情報が格納される。
【0066】
後方車間距離が詰まった時の動作152eは、後方車両との距離が所定距離以下となった時に、車両Aがどのような動作を行ったかを示す情報である。平均車速152fは、車両Aの車速の平均値である。
【0067】
図8は、推奨運転出力装置10のハードウェア構成例を示す図である。推奨運転出力装置10は、演算装置171、メモリ172、外部記憶装置173、GPS受信装置174、入力I/F(Interface)175、出力I/F176、通信装置177、及び記憶媒体駆動装置178を備え、各構成要素はバスにより接続されている。
【0068】
演算装置171はCPU(Central Processing Unit)等の中央演算装置であって、メモリ172又は外部記憶装置173に記録されたプログラムに従って処理を実行する。制御部110を構成する各処理部は、演算装置171がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0069】
メモリ172は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。外部記憶装置173は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等、書き込み及び読み出し可能な記憶メディアである。
【0070】
GPS受信装置174は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定する。位置特定部114は、GPS受信装置174によりその機能が実現される。
【0071】
入力I/F175は、運転者を含む利用者からの入力操作を受け付ける入力装置(図示略)と接続するためのインターフェイスであり、例えばタッチパネル、マイク等からの入力を受け付ける。また、入力I/F175は、車内用カメラ305及び車外用カメラ306から、運転手の視線等の車内の状況に関する情報や、車外の物の位置等の情報の入力を受け付ける。
【0072】
出力I/F176は、出力装置に対して情報を出力するためのインターフェイスである。出力I/F176には、ヘッドアップディスプレイ301、メーターディスプレイ302、シート振動機能303、及びスピーカー304を含む出力装置が接続されている。
【0073】
通信装置177は、推奨運転出力装置10を車内ネットワークに接続するための装置であって、例えばCAN(Controller Area Network)等の通信規格に準拠した通信デバイスである。なお、推奨運転出力装置10と運転支援装置20とは、車内ネットワーク経由ではなく、接続インターフェイスで直接接続されていてもよい。通信部140は、通信装置177によりその機能が実現される。記憶媒体駆動装置178は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の可搬性のメディアから情報を入出力する装置である。
【0074】
記憶部150は、メモリ172又は外部記憶装置173によりその機能が実現される。また、記憶部150は、ネットワーク上の記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0075】
図9は、運転支援装置20のハードウェア構成例を示す図である。運転支援装置20は、演算装置271、メモリ272、外部記憶装置273、入力I/F275、出力I/F276、及び通信装置277を備え、各構成要素はバスにより接続されている。
【0076】
演算装置271、メモリ272、外部記憶装置273、入力I/F275、出力I/F276、及び通信装置277は、運転支援装置20の有する演算装置171、メモリ172、外部記憶装置173、入力I/F175、出力I/F176、及び通信装置177と同様であるため、説明を省略する。なお、出力I/F276は、運転支援装置20の有する出力装置に対して情報を出力するインターフェイスである。また、運転支援装置20は、GPS受信装置や記憶媒体駆動装置を有していてもよい。
【0077】
なお、推奨運転出力装置10及び運転支援装置20の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、推奨運転出力装置10及び運転支援装置20の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0078】
図10は、推奨運転出力処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば推奨運転出力装置10において定期的に開始される。なお、本処理開始前に、推奨運転出力装置10の制御部110は、操作履歴情報152を用いて運転特性情報1514を生成する。制御部110は、例えば状況情報1511の有する車両周囲状況のレコード毎に、操作履歴情報152内の操作履歴を集計することで、車両周囲状況に係る状況下における運転手の運転特性を特定して運転特性情報1514を生成する。
【0079】
まず、位置特定部114は、自車位置を取得する(ステップS11)。具体的には、位置特定部114は、GPS受信装置174の取得した情報を用いて、車両Aの走行している車線や、車両Aから所定距離内に車線の減少があるか否かを特定する。
【0080】
次に、周囲状況取得部111は、周辺車両の位置を取得する(ステップS12)。具体的には、周囲状況取得部111は、車外用カメラ306の取得した情報を用いて、車両Aの外にある他の車両の、車両Aに対する相対的な位置(距離、方向等)を取得する。
【0081】
次に、周囲状況取得部111は、周辺の障害物の位置を取得する(ステップS13)。具体的には、周囲状況取得部111は、車外用カメラ306の取得した情報を用いて、車両Aの外にある物の、車両Aに対する相対的な位置(距離、方向等)を取得する。
【0082】
次に、車内状況取得部112は、運転手の視線方向を取得する(ステップS14)。具体的には、周囲状況取得部111は、車内用カメラ305の取得した情報を用いて、運転手の視線の方向を取得する。周囲状況取得部111の取得する視線方向は、例えば「左」、「右」、又は「下」等を示す情報である。
【0083】
次に、警告受信部113は、運転支援装置20から警告情報を受信したか否かを判定する(ステップS15)。警告受信部113が、警告情報を受信しないと判定する場合(ステップS15で「NO」の場合)、警告受信部113は、処理をステップS11に戻す。
【0084】
警告受信部113が、警告情報を受信したと判定する場合(ステップS15で「YES」の場合)、推奨運転指示選択部115は、状況情報1511に該当のレコードがあるか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、推奨運転指示選択部115は、状況情報1511を参照し、ステップS11で取得した車両Aの位置を示す情報を自車位置1511b及び車線減少1511gに含み、ステップS12で取得した周辺車両の位置を示す情報を周囲の車の状況1511cに含み、ステップS13で取得した周辺の物の位置を示す情報を歩行者1511fに含み、ステップS14で取得した運転手の視線位置に関する情報を視線1511eに含むレコードの有無を判定する。
【0085】
なお、ステップS13で取得する、周辺の物の位置を示す情報は、歩行者以外であってもよい。その場合、状況情報1511は取得する車両周囲状況に対応するカラムを有しており、推奨運転指示選択部115は、ステップS13で取得した車両周囲状況に対応するカラムを参照することにより、該当のレコードがあるか否かを判定する。
【0086】
また、推奨運転指示選択部115は、これらの情報を含む状況情報1511のレコードがある場合に、該レコードに含まれる一次警告1511dを特定する。推奨運転指示選択部115は、ステップS15で受信したと判定された警告情報に含まれる警告理由が、特定した一次警告1511dと対応する場合に、車両周囲状況を含むレコードが状況情報1511にあると判定する。推奨運転指示選択部115は、状況情報1511に該当レコードがあると判定する場合、当該レコードを特定する。
【0087】
なお、ステップS15の前段階において、運転支援装置20の状況検知部211の検知した車両周囲状況が警告要因である場合、運転支援装置20の警告通知部212は警告情報を推奨運転出力装置10に通知する。ステップS15において推奨運転出力装置10が警告情報を受信し、ステップS16において状況情報1511に該当のレコードがあると判定する場合、該当レコードに含まれる車両周囲状況には、警告要因となる車両周囲状況が含まれている。
【0088】
推奨運転指示選択部115が、状況情報1511に該当のレコードがないと判定する場合(ステップS16で「NO」の場合)、推奨運転指示選択部115は処理をステップS22に進める。
【0089】
推奨運転指示選択部115が、状況情報1511に該当のレコードがあると判定する場合(ステップS16で「YES」の場合)、推奨運転指示選択部115は、傾向情報1512の対応レコードに情報があるか否かを判定する(ステップS17)。具体的には、推奨運転指示選択部115は、傾向情報1512を参照し、ステップS15で特定したレコードに対応する傾向情報1512のレコードの運転特性1512bに、空でない情報が含まれているか否かを判定する。当該レコードの運転特性1512bに空である情報が格納されている場合、推奨運転指示選択部115は、傾向情報1512の対応レコードの情報がないと判定する。
【0090】
推奨運転指示選択部115が、傾向情報1512の対応レコードに情報がないと判定する場合(ステップS17で「NO」の場合)、推奨運転指示選択部115は、処理をステップS19に進める。
【0091】
推奨運転指示選択部115が、傾向情報1512の対応レコードに情報があると判定する場合(ステップS17で「YES」の場合)、推奨運転指示選択部115は、傾向情報1512の対応レコードと運転特性情報1514とが一致するか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、推奨運転指示選択部115は、ステップS15で特定したレコードに対応する傾向情報1512のレコードを特定する。推奨運転指示選択部115は、当該レコードに含まれる運転特性1512bを、推奨運転指示の出力条件となる第1の運転特性として特定する。
【0092】
また、推奨運転指示選択部115は、ステップS11からステップS14において取得した車両周囲状況を用いて運転特性情報1514を参照し、該車両周囲状況に対応する運転特性1514bを、運転中の運転手の該車両周囲状況下における運転特性であるとし、第2の運転特性として特定する。推奨運転指示選択部115は、第1の運転特性と、第2の運転特性とが一致するか否かを判定する。
【0093】
推奨運転指示選択部115が、傾向情報1512の対応レコードと運転特性情報1514とが一致しないと判定する場合(ステップS18で「NO」の場合)、運転手は推奨運転指示の出力条件となる運転特性を有しないものとして取り扱われ、推奨運転指示選択部115は処理をステップS22に進める。
【0094】
推奨運転指示選択部115が、傾向情報1512の対応レコードと運転特性情報1514とが一致すると判定する場合(ステップS18で「YES」の場合)、又はステップS17において傾向情報1512の対応レコードに情報がないと判定された場合(ステップS17で「NO」の場合)、推奨運転指示選択部115は、推奨運転指示を選択する(ステップS19)。具体的には、推奨運転指示選択部115は、ステップS16で特定された状況情報1511のレコードに対応する出力内容情報1513のレコードを特定する。推奨運転指示選択部115は、当該レコードの推奨アクション1513ccに含まれる推奨運転指示を選択する。
【0095】
次に、出力処理部116は、推奨運転指示を用いて出力情報を生成する(ステップS20)。具体的には、出力処理部116は、ステップS19で選択された推奨運転指示を含む出力情報を生成する。また、出力処理部116は、当該レコードの内容1513cbに含まれる状況説明情報を含む出力情報を生成する。推奨運転指示を含む出力情報と、状況説明情報を含む出力情報とは、異なる出力装置に出力される。
【0096】
例えば出力処理部116は、推奨アクション1513ccに含まれる推奨運転指示をヘッドアップディスプレイ301に表示するための出力情報を生成する。又は、出力処理部116は、例えば推奨アクション1513ccに含まれる振動パターンを用いて、シート振動機能303を振動させる信号を出力情報として生成する。例えば減速を促す推奨運転指示を出力する場合、出力処理部116は座面の前方から後方へと振動が移動するようシート振動機能303を振動させる。また例えば、右車線への車線変更を促す推奨運転指示を出力する場合、出力処理部116は座面の右側が振動するようシート振動機能303を振動させる。
【0097】
また例えば、出力処理部116は、内容1513cbに含まれる状況説明情報をメーターディスプレイ302に表示するための出力情報を生成する。また例えば、出力処理部116は、特定したレコードに含まれる推奨アクション1513ccが振動パターンを示す情報でない場合、通知1513caの振動パターンを用いて、シート振動機能303を振動させる信号を出力情報として生成する。出力内容情報1513の警告1513cに含まれる情報をどの出力装置に出力させるかについては、記憶部150の図示しない領域に予め記憶されている。
【0098】
次に、出力部130は、出力情報を出力する(ステップS21)。その後、制御部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0099】
図11は、ヘッドアップディスプレイ301及びメーターディスプレイ302の表示画面の一例を示す図である。図11(a)は、図3に示す状況情報1511の最上位のレコードに含まれる車両周囲状況が取得され、当該レコードに対応する傾向情報1512の最上位のレコードに係る運転特性を車両Aの運転手が有する場合の、ヘッドアップディスプレイ表示画面1711の一例を示す。図5において、当該レコードに対応する出力内容情報1513の最上位のレコードの推奨アクション1513ccは「減速してください」である。
【0100】
当該レコードは、図1(a)に示す車両周囲状況に対応している。即ち、車両Aが左車線を走行し、車両Aから所定距離内の前方に他の車両が走行し、中央車線において車両Aの後方から他の車両が接近し、運転手の視線が右を向いており、当該車両周囲状況下において中央車線に避ける傾向を運転手が有していた場合、図11(a)に示すように、減速を促す推奨運転指示がヘッドアップディスプレイ301に表示される。
【0101】
ヘッドアップディスプレイ表示画面1711は、推奨運転指示表示領域1712を含んでいる。出力処理部116は、「減速してください」という文字列を推奨運転指示として取り扱い、推奨運転指示を推奨運転指示表示領域1712に表示する出力情報を生成し、ヘッドアップディスプレイ表示画面1711に表示させる。
【0102】
図11(b)は、メーターディスプレイ表示画面1721の一例を示す図である。メーターディスプレイ表示画面1721は、状況説明情報表示領域1722を備える。状況説明情報表示領域1722には、状況説明情報を示す情報が表示される。状況説明情報は、文字列であってもよいし、図11(b)に示すように、車両周囲状況を模式化した画像や、実際の車両周囲状況を録画した映像で示すものであってもよい。また、状況説明情報は、運転手の視線方向に関する情報であってもよい。
【0103】
推奨運転指示をヘッドアップディスプレイ301に表示させることにより、状況に応じた推奨運転指示を運転手が容易に認識することができる。また、推奨運転指示の出力に至る状況をメーターディスプレイ302に表示させることにより、推奨運転指示が出力された際の状況に関する情報を、運転手の視線移動に応じて適切に運転手に伝達することができる。
【0104】
説明を図10に戻す。ステップS16において、状況情報1511に該当するレコードがないと判定された場合(ステップS16で「NO」の場合)、又はステップS18において、傾向情報1512の対応レコードと運転特性情報1514とが一致しないと判定された場合(ステップS18で「NO」の場合)、推奨運転指示選択部115は、警告を選択する(ステップS22)。換言すれば、ステップS16において、状況情報1511に該当するレコードがないと判定された場合、又はステップS18において、傾向情報1512の対応レコードと運転特性情報1514とが一致しないと判定された場合、推奨運転指示を選択できなかったものとして取り扱われ、推奨運転指示選択部115は警告を選択する。
【0105】
具体的には、推奨運転出力装置10の記憶部150内の図示しない領域において、運転支援装置20から出力される警告情報の警告理由毎に、通知情報が関連付けられている。推奨運転指示選択部115は、ステップS11からステップS14において取得した車両周囲状況を用いて記憶部150の図示しない領域を参照し、当該領域において車両周囲状況と関連付けられた一次警告の通知情報を選択する。
【0106】
次に、出力処理部116は、選択された警告を用いて出力情報を生成する(ステップS23)。具体的には、出力処理部116は、警告の通知情報を出力するための情報を生成する。
【0107】
次に、出力部130は、出力情報を出力する(ステップS24)。具体的には、出力部130は、ステップS23において生成された一次警告の出力情報をヘッドアップディスプレイ301等の出力装置に出力させる。その後、制御部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0108】
なお、本処理のステップS15において取得された警告情報は警告理由を含んでおり、ステップS16において、推奨運転指示選択部115は、ステップS11からステップS14で取得された車両周囲状況を用いて、状況情報1511の該当レコードの有無を判定した。しかしながら、ステップS15において取得された警告情報は、警告要因となる車両周囲状況を含むものであってもよい。
【0109】
その場合、推奨運転出力装置10の周囲状況取得部111は、ステップS15において、警告情報に含まれる車両周囲状況を、警告要因となる車両周囲状況として取得する。その後、ステップS16において、推奨運転指示選択部115は、警告要因となる車両周囲状況と、ステップS11からステップS14において取得された車両周囲状況と、を用いて状況情報1511を参照し、該車両周囲状況を含む状況情報1511のレコードの有無を判定する。
【0110】
また、その場合、ステップS18において、推奨運転指示選択部115は、ステップS15において取得された警告要因となる車両周囲状況を用いて運転特性情報1514を参照し、警告要因の車両周囲状況下における運転手の運転特性を第2の運転特性として特定してもよい。
【0111】
なお、上述した車両周囲状況と推奨運転指示については、あくまでも一例であり、種々の車両周囲状況に応じて適切な推奨運転指示が出力される。
【0112】
例えば、図1(b)に示すように、車両Aの走行する車線において、車両Aの前方にいる他の車との車間距離が所定距離以下となった場合に、警告情報が出力される。この場合において、車両Aの後方に他の車両が存在し、前方との車間距離が詰まった場合の運転手の運転特性が、減速を行う傾向にあるとする。運転手が運転特性に応じて減速すると、後方から接近する車両と接触してしまう。これを防ぐため、推奨運転指示選択部115は、図5に示す出力内容情報1513の種別1513aの「02」に対応する推奨アクション1513ccのように、他の車線への移動を促す推奨運転指示を選択する。
【0113】
また例えば、車両Aの走行する車線(例えば左車線)において、車両Aの後方から他の車両が接近し、車両Aの走行する車線に隣接する車線(例えば中央車線)において後方に他の車両が走行しており、隣接する車線に移動する運転特性を運転手が有する場合を説明する。車両Aと同じ車線の後方から走行する車両を避けるため、運転特性に応じて車線を移動すれば、隣接する車線を走行中の車両と接触してしまう。これを防ぐため、推奨運転指示選択部115は、加速を促す推奨運転指示を選択する。
【0114】
本実施形態によれば、所定の車両周囲状況が検知された場合に、車両周囲状況に応じて適切に推奨運転指示を出力することができる。また、運転手の運転特性に応じて、より柔軟に出力する推奨運転指示を選択することができる。
【0115】
付言すれば、図1(a)に示す状況において、(1)の車両周囲状況に続いて(2)の車両周囲状況が発生した場合、従来では(1)の車両周囲状況と(2)の車両周囲状況が検知される毎に警告を出力していた。本実施形態において、推奨運転出力装置10が、(1)の車両周囲状況と(2)の車両周囲状況とに応じた推奨運転指示を出力することで、(2)の車両周囲状況の発生後に起こり得る事象を回避しうる。即ち、(2)の車両周囲状況の発生に対する警告は通知されない。
【0116】
以上、本発明に係る各実施形態及び変形例の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0117】
また、上記の推奨運転出力装置10及び運転支援装置20の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。推奨運転出力装置10及び運転支援装置20の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【符号の説明】
【0118】
1:推奨運転出力システム、10:推奨運転出力装置、20:運転支援装置、110・210:制御部、111:周囲状況取得部、112:車内状況取得部、113:警告受信部、114:位置特定部、115:推奨運転指示選択部、116:出力処理部、120:入力部、130:出力部、140・220:通信部、150:記憶部、151:推奨運転情報、152:操作履歴情報、153:地図情報、171・271:演算装置、172・272:メモリ、173・273:外部記憶装置、174:GPS受信装置、175・275:入力I/F、176・276:出力I/F、177・277:通信装置、178:記憶媒体駆動装置、211:状況検知部、212:警告通知部、301:ヘッドアップディスプレイ、302:メーターディスプレイ、303:シート振動機能、304:スピーカー、305:車内用カメラ、306:車外用カメラ、1511:状況情報、1512:傾向情報、1513:出力内容情報、1514:運転特性情報、1711:ヘッドアップディスプレイ表示画面、1712;推奨運転指示表示領域、1721:メーターディスプレイ表示画面、1722:状況説明情報表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11