【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
N末端にIIGG、IVGGまたはILGGを有する短縮型セリンプロテアーゼと融合した、選択されたプロテアーゼによる切断を受けやすい切断部位を含む組換えポリペプチドであって、前記選択されたプロテアーゼによる前記ポリペプチドの切断の際に、N末端にイソロイシンを有する前記短縮型セリンプロテアーゼが前記ポリペプチドから放出される、組換えポリペプチド。
(項目2)
前記プロテアーゼ切断部位がカスパーゼ切断配列、フューリン切断配列、グランザイムB切断配列または第Xa因子切断配列である、項目1に記載のポリペプチド。
(項目3)
前記プロテアーゼ切断配列がカスパーゼ−3切断配列である、項目2に記載のポリペプチド。
(項目4)
前記切断部位に対してN末端側に位置する細胞結合性部分をさらに含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目5)
前記細胞結合性部分が、GP240、5T4、HER1、HER2、CD−33、CD−38、VEGFR−1、VEGFR−2、CEA、FGFR3、IGFBP2、Fn14またはIGF−1Rに結合する、項目4に記載のポリペプチド。
(項目6)
前記細胞結合性部分が、VEGF、BLyS、抗体または前述のいずれかの細胞結合性部分である、項目4に記載のポリペプチド。
(項目7)
前記細胞結合性部分が抗体重鎖または抗体軽鎖である、項目6に記載のポリペプチド。(項目8)
前記抗体重鎖または前記抗体軽鎖がヒトIgG抗体重鎖またはヒトIgG抗体軽鎖である、項目7に記載のポリペプチド。
(項目9)
前記セリンプロテアーゼがグランザイムである、項目1に記載のポリペプチド。
(項目10)
前記グランザイムが、配列番号1と少なくとも80%同一のグランザイムB(GrB)である、項目9に記載のポリペプチド。
(項目11)
前記選択されたプロテアーゼにより切断された際に生じる前記GrBポリペプチドがアミノ末端に配列IIGGHEAK(配列番号27)を含む、項目10に記載のポリペプチド。
(項目12)
配列YVDEVDIIGGHEAK(配列番号26);RVRRIIGGHEAK(配列番号29);RVRRIIGGHEAK(配列番号30);(I/A)(E/D)GRIIGGHEAK(配列番号31);YEVDIIGGHEAK(配列番号32);WEHDIIGGHEAK(配列番号33);DVADIIGGHEAK(配列番号34);DEHDIIGGHEAK(配列番号35);DEVDIIGGHEAK(配列番号36);DMQDIIGGHEAK(配列番号37);LEVDIIGGHEAK(配列番号38);LEHDIIGGHEAK(配列番号39);VEIDIIGGHEAK(配列番号40);VEHDIIGGHEAK(配列番号41);IETDIIGGHEAK(配列番号42);LETDIIGGHEAK(配列番号43)またはIEADIIGGHEAK(配列番号44)を含む、項目11に記載のポリペプチド。
(項目13)
配列YVDEVDIIGGHEAK(配列番号26)を含む、項目12に記載のポリペプチド。
(項目14)
細胞透過性ペプチド(CPP)をさらに含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目15)
前記GrBコード配列が、以下の特徴:
(a)Asp37に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(b)Asn51に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(c)Asn84に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(d)Arg96に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(e)Arg100に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(f)Arg102に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(g)Asp150に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(h)Arg201に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(i)Cys210に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(j)Lys221に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(k)Lys222に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(l)Lys225に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;または
(m)Arg226に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失
の1つまたは複数を含む、項目10に記載のポリペプチド。
(項目16)
前記GrBコード配列が、Lys27およびArg28に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、項目10に記載のポリペプチド。
(項目17)
Lys27およびArg28に対応する位置における前記アミノ酸置換がK27EまたはK27LおよびR28Aである、項目16に記載のポリペプチド。
(項目18)
前記GrBコード配列が、
82PKN
84に対応する位置において置換された配列PVPNを含む、項目10に記載のポリペプチド。
(項目19)
ヒト抗体重鎖およびヒト抗体軽鎖を含む抗体標的化部分であって、前記抗体軽鎖、前記抗体重鎖またはその両方が、前記抗体軽鎖および/または前記抗体重鎖に対してC末端側に位置する短縮型セリンプロテアーゼを含む、抗体標的化部分。
(項目20)
前記短縮型セリンプロテアーゼが、項目10から18までのいずれか一項に記載のGrBポリペプチドである、項目19に記載の抗体標的化剤。
(項目21)
前記抗体がヒトIgGである、項目19に記載の抗体標的化剤。
(項目22)
前記抗体がヒトIgG1である、項目21に記載の抗体標的化剤。
(項目23)
血清安定性のあるGrBポリペプチドを提供する方法であって、項目10から18までのいずれか一項に記載の組換えポリペプチドを得るステップを含む、方法。
(項目24)
配列番号1と少なくとも80%同一なグランザイムB(GrB)コード配列を含む組換えポリペプチドであって、前記GrBコード配列が、以下の特徴:
(a)Asp37に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(b)Asn51に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(c)Asn84に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(d)Arg96に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(e)Arg100に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(f)Arg102に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(g)Asp150に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(h)Arg201に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(i)Cys210に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(j)Lys221に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(k)Lys222に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;
(l)Lys225に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;または
(m)Arg226に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失
の1つまたは複数を含む、組換えポリペプチド。
(項目25)
Cysを含むアミノ酸配列をさらに含み、前記アミノ酸配列が前記GrBコード配列に対してC末端側に位置する、項目24に記載のポリペプチド。
(項目26)
前記GrBコード配列に対してC末端側に位置する配列SSCSGSA(配列番号12)をさらに含む、項目25に記載のポリペプチド。
(項目27)
前記GrBコード配列が、前記特徴のうちの2つ、3つ、4つまたは5つを含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目28)
Asp37に対応する位置に極性側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目29)
Asp37に対応する位置におけるAsn置換を含む、項目28に記載のポリペプチド。
(項目30)
Asp150に対応する位置に極性側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目31)
Asp150に対応する位置におけるAsn置換を含む、項目30に記載のポリペプチド。
(項目32)
Asn51に対応する位置におけるAlaまたはSer置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目33)
Asn84に対応する位置におけるAlaまたはSer置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目34)
Cys210に対応する位置におけるAla置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目35)
Arg96に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目36)
Arg100に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目37)
Arg102に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目38)
Arg201に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目39)
Lys221に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目40)
Lys222に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目41)
Lys225に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目42)
Arg226に対応する位置に極性または正に荷電した側鎖を有する残基のアミノ酸置換を含む、項目24に記載のポリペプチド。
(項目43)
細胞結合性部分と結合体化または融合している、項目24に記載のポリペプチド。
(項目44)
前記細胞結合性部分とチオエステル連結によって結合体化している、項目43に記載のポリペプチド。
(項目45)
前記GrBコード配列に対してC末端側に位置する細胞結合性部分と融合している、項目24に記載のポリペプチド。
(項目46)
前記細胞結合性部分がVEGF、BLyS、抗体または前述のいずれかの細胞結合性部分である、項目43に記載のポリペプチド。
(項目47)
前記抗体が、モノクローナル、キメラ抗体、Fab’、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、Fv、または単鎖Fv(scFv)抗体である、項目46に記載のポリペプチド。
(項目48)
前記抗体がヒト抗体、ヒト化抗体または脱免疫化抗体である、項目46に記載のポリペプチド。
(項目49)
前記抗体が、15A8抗体、ZME−018抗体、ScFvMEL抗体、セツキシマブ抗体またはトラスツズマブ抗体である、項目46に記載のポリペプチド。
(項目50)
前記細胞結合性部分ががん細胞において発現されるタンパク質、炭水化物または脂質に結合する、項目43に記載のポリペプチド。
(項目51)
前記細胞結合性部分が、GP240、5T4、HER1、HER2、CD−33、CD−38、flt1、Flk−1、CEA、FGFR3、IGFBP2またはIGF−1Rに結合する、項目43に記載のポリペプチド。
(項目52)
前記ポリペプチドまたは前記細胞結合性部分が画像化剤とさらに結合体化している、項目43に記載のポリペプチド。
(項目53)
(a)配列番号1と少なくとも80%同一な組換えグランザイムB(GrB)ポリペプチド、
(b)細胞透過性ペプチド(CPP)、および
(c)細胞標的化ポリペプチド
を含む組換えポリペプチドであって、前記CPPが前記GrBポリペプチドと前記細胞標的化ポリペプチドの間に位置するか、または前記CPPが前記細胞標的化ポリペプチドに対してC末端側に位置する、組換えポリペプチド。
(項目54)
前記CPPがT1、T2、INF7または26である、項目53に記載の組換えポリペプチド。
(項目55)
前記細胞標的化ポリペプチドがZMEまたは4D5である、項目53に記載の組換えポリペプチド
(項目56)
N末端からC末端までに、前記GrBポリペプチド、第1のリンカー、T1またはINF7 CPP、第2のリンカーおよびZME抗体を含む、項目53に記載の組換えポリペプチド。
(項目57)
N末端からC末端までに、前記GrBポリペプチド、第1のリンカー、4D5抗体、第2のリンカーおよび26 CPPを含む、項目53に記載の組換えポリペプチド。
(項目58)
(a)細胞標的化scFv抗体ドメイン、
(b)抗体重鎖定常(Fc)ドメイン、および
(c)短縮型セリンプロテアーゼ
を含む細胞標的化構築物。
(項目59)
前記ポリペプチドが、NからC末端までに、(c)短縮型セリンプロテアーゼ、(b)Fcドメイン、および(a)scFvドメインを含む、項目58に記載の細胞標的化構築物。
(項目60)
前記ポリペプチドが、NからC末端までに、(a)scFvドメイン、(b)Fcドメイン、(d)プロテアーゼ切断部位を含むペプチドおよび(c)短縮型セリンプロテアーゼを含む、項目58に記載の細胞標的化構築物。
(項目61)
前記短縮型セリンプロテアーゼが配列番号1と少なくとも80%同一なグランザイムB(GrB)ポリペプチドである、項目58に記載の細胞標的化構築物。
(項目62)
前記プロテアーゼにより切断された際に生じる前記GrBポリペプチドが、アミノ末端に配列IIGGHEAK(配列番号27)を含む、項目61に記載の細胞標的化構築物。(項目63)
前記プロテアーゼ切断部位がカスパーゼ切断配列、フューリン切断配列、グランザイムB切断配列または第Xa因子切断配列である、項目60に記載の細胞標的化構築物。
(項目64)
前記ポリペプチドが、配列YVDEVDIIGGHEAK(配列番号26);RVRRIIGGHEAK(配列番号29);RVRRIIGGHEAK(配列番号30);(I/A)(E/D)GRIIGGHEAK(配列番号31);YEVDIIGGHEAK(配列番号32);WEHDIIGGHEAK(配列番号33);DVADIIGGHEAK(配列番号34);DEHDIIGGHEAK(配列番号35);DEVDIIGGHEAK(配列番号36);DMQDIIGGHEAK(配列番号37);LEVDIIGGHEAK(配列番号38);LEHDIIGGHEAK(配列番号39);VEIDIIGGHEAK(配列番号40);VEHDIIGGHEAK(配列番号41);IETDIIGGHEAK(配列番号42);LETDIIGGHEAK(配列番号43)またはIEADIIGGHEAK(配列番号44)を含む、項目61に記載の細胞標的化構築物。
(項目65)
前記プロテアーゼ切断部位がカスパーゼ−3切断配列である、項目60に記載の細胞標的化構築物。
(項目66)
前記ポリペプチドが配列YVDEVDIIGGHEAK(配列番号26)を含む、項目61に記載の細胞標的化構築物。
(項目67)
前記FcドメインがヒトIgG Fcドメインである、項目58に記載の細胞標的化構築物。
(項目68)
前記FcドメインがヒトIgG1 Fcドメインである、項目67に記載の細胞標的化構築物。
(項目69)
前記scFvドメインが、GP240、5T4、HER1、HER2、CD−33、CD−38、VEGFR−1、VEGFR−2、CEA、FGFR3、IGFBP2、Fn14またはIGF−1Rに結合する、項目69に記載の細胞標的化構築物。
(項目70)
前記scFvドメインがFn14に結合する、項目69に記載の細胞標的化構築物。
(項目71)
前記ポリペプチドが、配列番号45と少なくとも90%同一な配列を含む、項目70に記載の細胞標的化構築物。
(項目72)
組換えGrBが、項目24に記載の配列を含む、項目61に記載の細胞標的化構築物。
(項目73)
前記GrBコード配列が、Lys27およびArg28に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、項目61に記載の細胞標的化構築物。
(項目74)
Lys27およびArg28に対応する位置における前記アミノ酸置換がK27EまたはK27LおよびR28Aである、項目73に記載の細胞標的化構築物。
(項目75)
前記GrBコード配列が、
82PKN
84に対応する位置において置換された配列PVPNを含む、項目58に記載の細胞標的化構築物。
(項目76)
項目1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは項目58から75までのいずれか一項に記載の細胞標的化構築物を薬学的に許容される担体中に含む組成物。
(項目77)
項目1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは項目58から75までのいずれか一項に記載の細胞標的化構築物をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド分子。
(項目78)
項目77に記載のポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞。
(項目79)
項目1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは項目58から75までのいずれか一項に記載の細胞標的化構築物を発現する、項目78に記載の宿主細胞。
(項目80)
哺乳動物細胞、酵母細胞、細菌細胞、繊毛虫細胞または昆虫細胞である、項目78に記載の宿主細胞。
(項目81)
ポリペプチドを製造する方法であって、
(a)項目77に記載のポリヌクレオチド分子を、コードされるポリペプチドを産生する条件下で細胞において発現させるステップ、および
(b)前記ポリペプチドを前記細胞から精製するステップ
を含む方法。
(項目82)
細胞増殖性疾患を有する被験体を処置するための、項目1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは項目58から75までのいずれか一項に記載の細胞標的化構築物の使用であって、前記ポリペプチドが細胞標的化部分と結合体化している、使用。
(項目83)
前記細胞増殖性疾患が自己免疫疾患である、項目82に記載の使用。
(項目84)
前記細胞増殖性疾患ががんまたは前がん状態である、項目82に記載の使用。
(項目85)
前記がんが、肺がん、乳がん、脳がん、前立腺がん、脾臓がん、膵臓がん、子宮頸部がん、卵巣がん、頭頸部がん、食道がん、肝臓がん、皮膚がん、腎臓がん、白血病、骨がん、精巣がん、結腸がん、または膀胱がんである、項目84に記載の使用。
(項目86)
少なくとも第2の抗がん療法を前記被験体に施すことをさらに含む、項目84に記載の使用。
(項目87)
前記第2の抗がん療法が、外科的療法、化学療法、放射線治療、遺伝子療法または免疫療法である、項目86に記載の使用。
(項目88)
細胞増殖性疾患を処置するための医薬の製造において使用するための、項目1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは項目58から75までのいずれか一項に記載の細胞標的化構築物。
(項目89)
細菌またはウイルス感染症を処置するための、項目1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは項目58から75までのいずれか一項に記載の細胞標的化構築物の使用であって、前記ポリペプチドが細胞標的化部分と結合体化している、使用。
(項目90)
項目1から57までのいずれかに記載のポリペプチドまたは項目58から75までのいずれか一項に記載の細胞標的化構築物を含む、被験体の処置において使用するための組成物。
(項目91)
前記ポリペプチドが細胞結合性部分と結合体化している、項目90に記載の組成物。
(項目92)
(a)組換えグランザイムB(GrB)コード配列、
(b)標的化ポリペプチド、および
(c)配列番号22の配列を有する細胞透過性ペプチド(CPP)
を含む標的化剤。
(項目93)
前記標的化ポリペプチドが、Her2/neuに結合する、項目92に記載の標的化剤。
(項目94)
前記標的化ポリペプチドがscFv 4D5である、項目93に記載の標的化剤。
(項目95)
N末端からC末端までに、(a)組換えGrBコード配列、(i)第1のリンカーペプチド、(b)標的化ポリペプチド、(ii)第2のリンカーペプチド、および(c)配列番号22の配列を有する細胞透過性ペプチド(CPP)を含む、項目92に記載の標的化剤。
(項目96)
前記第1のリンカーペプチドまたは前記第2のリンカーペプチドが、配列番号13の配列を含む、項目95に記載の標的化剤。
(項目97)
前記組換えGrBが、項目24に記載の配列を含む、項目92に記載の標的化剤。
(項目98)
配列番号24と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、項目92に記載の標的化剤。
(項目99)
配列番号24のアミノ酸配列を含む、項目98に記載の標的化剤。
(項目100)
ラパチニブ耐性がんまたはトラスツズマブ耐性がんを有する被験体を処置するための、Her2/neuを標的とするグランザイム治療薬の使用。
(項目101)
前記被験体が乳がんを有する、項目100に記載の使用。
(項目102)
前記被験体が、ラパチニブまたはトラスツズマブで以前に処置されている、項目100に記載の使用。
(項目103)
前記被験体がラパチニブ耐性がんを有する、項目100に記載の使用。
(項目104)
前記被験体がトラスツズマブ耐性がんを有する、項目100に記載の使用。
(項目105)
前記Her2/neuを標的とするグランザイム治療薬が、細胞透過性ペプチド(CPP)を含む、項目100に記載の使用。
(項目106)
前記Her2/neuを標的とするグランザイム治療薬が、項目92から99までのいずれか一項に記載の標的化剤である、項目100に記載の使用。
(項目107)
ラパチニブ耐性がんまたはトラスツズマブ耐性がんを有する被験体を処置するための医薬の作製において使用するための、Her2/neuを標的とするグランザイム治療薬。
本発明のある特定の実施形態は、短縮型セリンプロテアーゼポリペプチドおよびそのようなセリンプロテアーゼを含む融合タンパク質に関する。本明細書で使用される場合、短縮型セリンプロテアーゼポリペプチドとは、IIGG配列、IVGG配列またはILGG配列に対してN末端側に位置するリーダー配列が除去されるまたは異種配列で置き換えられるように短縮された、操作されたセリンプロテアーゼを指す。そのような短縮型セリンプロテアーゼポリペプチドの例は
図1に示されている。いくつかの態様では、短縮型セリンプロテアーゼポリペプチドを細胞標的化部分と結合体化または融合して、細胞を標的とする細胞傷害性構築物をもたらす。そのような構築物は、例えば、がんなどの細胞増殖性疾患の処置において使用することができる。
【0006】
したがって、ある特定の実施形態では、選択されたプロテアーゼによって切断されると、N末端にイソロイシンを有する短縮型セリンプロテアーゼが放出されるような、N末端にIIGG、IVGGまたはILGGを有する短縮型セリンプロテアーゼと融合した、選択されたプロテアーゼによる切断を受けやすい切断部位を含む組換えポリペプチドが提供される。いくつかの態様では、プロテアーゼ切断部位は、細胞内プロテアーゼまたは細胞外プロテアーゼのためのものである。例えば、切断部位は、カスパーゼ、フューリン、グランザイムBまたは第Xa因子の切断配列であってよい。例えば、選択されたプロテアーゼ切断部位は、カスパーゼ1〜10の切断部位(例えば、YEVD、WEHD、DVAD、DEHD、DEVD、DMQD、LEVD、LEHD、VEID、VEHD、IETD、LETDまたはIEAD)、フューリン切断部位(RVRR)、グランザイムB切断部位(IEPD)または第Xa因子切断部位((I/A)(E/D)GR;配列番号28)であってよい。さらに、好ましい態様では、組換えポリペプチドは、切断部位に対してN末端側に位置する細胞結合性部分をさらに含む。例えば、細胞結合性部分は、抗体またはリガンド(例えば、VEGFまたはBLyS)、例えば、GP240、5T4、HER1、HER2、CD−33、CD−38、VEGFR−1、VEGFR−2、CEA、FGFR3、IGFBP2、Fn14またはIGF−1Rに結合する部分などであってよい。
【0007】
一部の特定の態様では、当該実施形態に従って使用するための短縮型セリンプロテアーゼは、グランザイムB(配列番号1)、グランザイムA(配列番号46)、グランザイムH(配列番号47)、グランザイムK(配列番号48)、グランザイムM(配列番号49)、カテプシンG(配列番号50)、キマーゼ(配列番号51)、ミエロブラスチン(配列番号52)、カリクレイン−14(配列番号53)、補体因子D(配列番号54)、PRSS3タンパク質(配列番号55)、トリプシン−1(配列番号56)、セリンプロテアーゼ57(配列番号57)またはPRSSL1タンパク質(配列番号58)と少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。ある特定の態様では、短縮型セリンプロテアーゼは、ヒトグランザイム、例えば、グランザイムB(GrB)などと少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である。
【0008】
当該実施形態のさらに別の態様では、当該実施形態のセリンプロテアーゼ(例えば、GrBポリペプチド)または標的化剤は、Cysを含むアミノ酸配列をさらに含み、当該アミノ酸配列は、セリンプロテアーゼコード配列に対してC末端側に位置する。例えば、ポリペプチドは、セリンプロテアーゼコード配列に対してC末端側に位置する配列SSCSGSA(配列番号12)を含んでよい。いくつかの態様では、Cys(セリンプロテアーゼに対してC末端側に位置する)を使用して、例えば、ジスルフィド架橋を形成することなどによって、プロテアーゼと別の部分(例えば、細胞標的化部分)を結合体化することができる。
【0009】
さらなる実施形態では、本発明は、安定性および/または活性が増強された組換えグランザイムB(GrB)ポリペプチドを提供する。いくつかの態様では、そのようなGrBポリペプチドを細胞標的化部分と結合体化または融合し、それにより、高度に特異的な標的化細胞傷害性構築物をもたらすことができる。例えば、細胞標的化部分は、がん細胞標的化ポリペプチド(例えば、がん細胞に特異的な抗原に結合する抗体)であってよい。そのような態様では、所与の抗原を発現するがん細胞を特異的に死滅させる一方で、他の細胞はインタクトなままにすることを可能にする標的化がん療法の方法が提供される。好ましい態様では、GrBポリペプチドおよび/または標的化部分は、実質的なヒトアミノ酸配列で構成される。したがって、いくつかの態様では、当該実施形態のポリペプチドは、ヒト被験体に投与された際に堅固な免疫応答を惹起しない。
【0010】
ある特定の具体的な態様では、当該実施形態に従って使用するためのグランザイムは、ヒトGrB配列、例えば配列番号1など(参照により本明細書に組み込まれるNCBI受託番号AAA75490.1およびEAW66003.1も参照されたい)と比較して1つまたは複数のアミノ酸欠失および/または置換を含むGrBコード配列である。例えば、組換えGrBは、配列番号1と少なくとも80%同一(例えば、配列番号1と少なくとも約または約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一)であってよい。ある特定の態様では、GrBポリペプチドは、異なる種のGrB由来の対応するアミノ酸に対して1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。例えば、実質的なヒトGrBポリペプチドは、
図1で提供されるGrBポリペプチド(例えば、霊長類GrB、ブタGrB、ウシGrBまたはマウスGrB)のうちの1つに由来する対応するアミノ酸のアミノ酸位における1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の置換を含んでよい。いくつかの態様では、組換えGrBは、以下の特徴の1つまたは複数を含む:(a)Asp37に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失、(b)Asp150に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失、(c)Asn51に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失、(d)Asn84に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;および/または(e)Cys210に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失。別の態様では、GrBポリペプチドは、特徴(a)〜(e)のうちの2つ、3つ、4つまたは5つを含む。ある特定の態様では、組換えGrBは、実質的にグリコシル化されていないGrBポリペプチドと定義される。
【0011】
さらなる実施形態では、当該実施形態の組換えGrBポリペプチドは、以下の特徴の1つまたは複数を含む:(a)Asp37に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(b)Asn51に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(c)Asn84に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(d)Arg96に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(e)Arg100に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(f)Arg102に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(g)Asp150に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(h)Arg201に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(i)Cys210に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(j)Lys221に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(k)Lys222に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;(l)Lys225に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失;および/または(m)Arg226に対応する位置におけるアミノ酸置換もしくは欠失。したがって、いくつかの態様では、当該実施形態の組換えポリペプチドは、特徴(a)〜(m)のうちの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または13個全てを含む。
【0012】
ある特定の態様では、組換えGrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のAsn51位および/またはAsn84位に対応するアミノ酸位におけるグリコシル化を欠く。いくつかの態様では、当該実施形態のGrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のAsn51位および/またはAsn84位に対応する位置におけるアミノ酸置換または欠失を含む。別の態様では、GrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のAsn51位および/またはAsn84位におけるArg置換、His置換、Lys置換、Asp置換、Glu置換、Ser置換、Thr置換、Gln置換、Cys置換、Gly置換、Pro置換、Ala置換、Val置換、Ile置換、Leu置換、Met置換、Phe置換、Tyr置換またはTrp置換を含む。例えば、一態様では、組換えGrBは、ヒトアミノ酸のAsn51位に対応する位置におけるAla置換、Ser置換、Thr置換、LysまたはGln置換を含む。その代わりにまたはそれに加えて、組換えGrBは、ヒトアミノ酸のAsn84位に対応する位置におけるAla置換、Ser置換、Thr置換、Arg置換またはGln置換を含む。
【0013】
いくつかの態様では、組換えGrBポリペプチドは、Lys27および/またはArg28に対応する位置におけるアミノ酸置換または欠失を含む。例えば、組換えGrBは、Lys27に対応する位置とArg28に対応する位置の両方における置換を含んでよい。いくつかの場合には、置換は、K27EまたはK27LおよびR28Aから選択される。さらに別の態様では、組換えGrBコード配列は、
82PKN
84に対応する位置における1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換または欠失を含む。例えば、一部の特定の態様では、GrBコード配列は、
82PKN
84に対応する位置において置換された配列PVPNを含む。
【0014】
別の態様では、当該実施形態の組換えGrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のAsp37位および/またはAsp150位に対応するアミノ酸位におけるアミノ酸欠失または置換(例えば、極性側鎖を有するアミノ酸の置換)を含む。したがって、いくつかの態様では、組換えGrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のAsp37位および/またはAsp150位におけるArg置換、His置換、Lys置換、Glu置換、Ser置換、Thr置換、Asn置換、Gln置換、Cys置換、Gly置換、Pro置換、Ala置換、Val置換、Ile置換、Leu置換、Met置換、Phe置換、Tyr置換またはTrp置換を含む。例えば、組換えGrBは、ヒトアミノ酸のAsp37位に対応する位置におけるSer置換、Thr置換、Gln置換、Glu置換またはAsn置換を含んでよい。その代わりにまたはそれに加えて、組換えGrBは、ヒトアミノ酸のAsp150位に対応する位置におけるSer置換、Thr置換、Gln置換、Glu置換またはAsn置換を含む。
【0015】
いくつかの態様では、当該実施形態の組換えGrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸Arg96位、Arg100位、Arg102位、Arg201位、および/またはArg226位に対応する位置におけるアミノ酸置換または欠失を含む。別の態様では、GrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のArg96位、Arg100位、Arg102位、Arg201位、および/またはArg226位におけるAsn置換、His置換、Lys置換、Asp置換、Glu置換、Ser置換、Thr置換、Gln置換、Cys置換、Gly置換、Pro置換、Ala置換、Val置換、Ile置換、Leu置換、Met置換、Phe置換、Tyr置換またはTrp置換を含む。ある特定の態様では、組換えGrBは、Arg96、Arg100、Arg102、Arg201、および/またはArg226に対応する位置における極性または正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基の置換を含む。例えば、組換えGrBは、ヒトアミノ酸のArg96位、Arg100位、Arg102位、Arg201位、および/またはArg226位に対応する位置におけるAla置換、Asn置換、Ser置換、Thr置換、Lys置換、His置換またはGln置換を含んでよい。さらに別の態様では、組換えポリペプチドは、前記Arg位の2つ、3つ、4つまたは5つにおける欠失または置換を含む。
【0016】
ある特定の態様では、当該実施形態の組換えGrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のLys221位、Lys222位および/またはLys225位に対応する位置におけるアミノ酸置換または欠失を含む。別の態様では、GrBポリペプチドは、ヒトアミノ酸のLys221位、Lys222位および/またはLys225位におけるAsn置換、His置換、Arg置換、Asp置換、Glu置換、Ser置換、Thr置換、Gln置換、Cys置換、Gly置換、Pro置換、Ala置換、Val置換、Ile置換、Leu置換、Met置換、Phe置換、Tyr置換またはTrp置換を含む。ある特定の態様では、組換えGrBは、Lys221、Lys222および/またはLys225に対応する位置における極性または正に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基の置換を含む。例えば、組換えGrBは、ヒトアミノ酸のLys221位、Lys222位および/またはLys225位に対応する位置におけるAla置換、Asn置換、Ser置換、Thr置換、Arg置換、His置換またはGln置換を含んでよい。さらに別の態様では、組換えポリペプチドは、前記Lys位の2つまたは3つにおける欠失または置換を含む。
【0017】
さらに別の態様では、当該実施形態の組換えGrBポリペプチドは、Cys210に対応する位置におけるアミノ酸欠失または置換を含む。いくつかの態様では、組換えGrBは、Cys210に対応する位置におけるArgアミノ酸置換、Hisアミノ酸置換、Lysアミノ酸置換、Aspアミノ酸置換、Gluアミノ酸置換、Serアミノ酸置換、Thrアミノ酸置換、Asnアミノ酸置換、Glnアミノ酸置換、Glyアミノ酸置換、Proアミノ酸置換、Alaアミノ酸置換、Valアミノ酸置換、Ileアミノ酸置換、Leuアミノ酸置換、Metアミノ酸置換、Pheアミノ酸置換、Tyrアミノ酸置換またはTrpアミノ酸置換を含む。例えば、組換えGrBポリペプチドは、Cys210に対応する位置におけるAla置換、Val置換、Ile置換、Leu置換、Met置換、Ser置換、Thr置換、Asn置換、Phe置換、Tyr置換またはGln置換を含んでよい。
【0018】
さらに別の実施形態では、複数の組換えGrBポリペプチド(またはその融合タンパク質もしくは結合体)を含む組成物であって、GrBポリペプチドの少なくとも約90%、95%、98%、99%または99.5%が活性な酵素活性を有する組成物が提供される。さらに別の実施形態では、複数の組換えGrBポリペプチド(またはその融合タンパク質もしくは結合体)を含む組成物であって、GrBポリペプチドの少なくとも約90%、95%、98%、99%または99.5%がインタクトなGrBコード配列(すなわち、タンパク質分解により切断されていないGrBポリペプチド配列)を含む組成物が提供される。さらに別の実施形態では、複数の組換えGrBポリペプチド(またはその融合タンパク質もしくは結合体)であって、その少なくとも約90%、95%、98%、99%または99.5%が単量体(すなわち、分子当たり単一のGrBポリペプチド)として組成物中に存在するGrBポリペプチドが提供される。例えば、前述の組成物はいずれも、組換えGrBポリペプチドを含む水溶液などの確定した医薬組成物であってよい。いくつかの態様では、当該実施形態の組成物は、複数の組換えGrBポリペプチドであって、その少なくとも約90%、95%、98%、99%または99.5%が(1)活性な酵素活性を有し、(2)インタクトなGrBアミノ酸配列を含み、かつ/または(3)GrBポリペプチドに関して単量体として組成物中に存在するGrBポリペプチドを含む。
【0019】
さらに別の実施形態では、(a)当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼ、(b)標的化ポリペプチド、および(c)細胞透過性ペプチド(CPP)を含む標的化剤が提供される。ある特定の態様では、標的化ポリペプチドは、Her2/neuに結合するポリペプチドなどのがん細胞標的化ポリペプチドである。例えば、標的化ペプチドは、scFv 4D5配列(配列番号23)を含んでよい。当該実施形態の標的化剤に使用するためのCPPは、本明細書において詳述されているCPP配列のいずれであってもよい。好ましい態様では、CPPは、配列番号22の配列を有する「26」CPPである。したがって、一部の特定の態様では、標的化剤は、N末端からC末端までに、(a)短縮型セリンプロテアーゼコード配列(例えば、グランザイム)、(i)第1のリンカーペプチド、(b)標的化ポリペプチド、(ii)第2のリンカーペプチド、および(c)細胞透過性ペプチド(CPP)(例えば、配列番号22の配列を有する)を含む。種々のリンカーペプチドを当該実施形態に従って使用することができ、例えば、第1のリンカーペプチドおよび/または第2のリンカーペプチドは、配列番号13の配列を含んでよい。さらに具体的な態様では、標的化剤は、N末端からC末端までに、(a)組換えGrBコード配列(例えば、当該実施形態の野生型哺乳動物GrBコード配列または改変されたコード配列)(i)第1のリンカーペプチド、(b)標的化ポリペプチド、(ii)第2のリンカーペプチド、および(c)配列番号22の配列を有する細胞透過性ペプチド(CPP)を含む。したがって、いくつかの態様では、標的化剤は、配列番号24と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチド配列(例えば、配列番号24の配列を含む標的化剤)を含む。
【0020】
さらに別の実施形態では、被験体におけるラパチニブまたはトラスツズマブ耐性がん(例えば、乳がん)を処置する方法であって、(a)ラパチニブまたはトラスツズマブ耐性がんを有する被験体を同定するステップ、および(b)当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼ(例えば、GrBポリペプチド)と連結したHer2/neu標的化治療薬を被験体に投与するステップを含む方法が提供される。例えば、いくつかの態様では、被験体は、ラパチニブまたはトラスツズマブを用いた処置を受けていた、または現在受けている。いくつかの好ましい態様では、Her2/neu標的化治療薬は、上記の標的化剤のうちの1つなどのCPP配列を含む。したがって、いくつかの態様では、ラパチニブまたはトラスツズマブ耐性がんを有する被験体の処置において使用するための組成物であって、当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼを含むHer2/neu標的化治療薬で構成される組成物が提供される。
【0021】
さらに別の実施形態では、N末端からC末端までに、(a)プロテアーゼ切断部位を含むペプチド、および(b)短縮型セリンプロテアーゼ(例えば、組換えGrBポリペプチド)を含む組換えポリペプチドが提供される。いくつかの態様では、プロテアーゼ切断部位は、プロテアーゼにより切断されると、アミノ末端にイソロイシン残基(例えば、IIGG、IVGGまたはILGG)を有するセリンプロテアーゼが生じるように位置づけられている。したがって、GrBの場合では、プロテアーゼにより切断されるとIIGGHEAK;配列番号27のアミノ末端配列を有する遊離GrBが放出される。ある特定の態様では、プロテアーゼ切断部位は、哺乳動物の細胞内プロテアーゼ(例えば、その認識配列であるC末端で切断するプロテアーゼ)によって切断される部位である。当該実施形態に従って使用するためのプロテアーゼ切断部位の例としては、限定することなく、カスパーゼ1〜10の切断部位(例えば、YEVD、WEHD、DVAD、DEHD、DEVD、DMQD、LEVD、LEHD、VEID、VEHD、IETD、LETDまたはIEAD)、フューリン切断部位(RVRR)、グランザイムB切断部位(IEPD)または第Xa因子切断部位((I/A)(E/D)GR;配列番号28)が挙げられる。ある特定の具体的な態様では、カスパーゼ−3の切断部位を使用し、当該実施形態の組換えポリペプチドは、配列番号25のカスパーゼ−3切断配列を含む。さらに別の態様では、当該実施形態の組換えポリペプチドはGrBポリペプチドであり、配列YVDEVDIIGGHEAK(配列番号26);RVRRIIGGHEAK(配列番号29);RVRRIIGGHEAK(配列番号30);(I/A)(E/D)GRIIGGHEAK(配列番号31);YEVDIIGGHEAK(配列番号32);WEHDIIGGHEAK(配列番号33);DVADIIGGHEAK(配列番号34);DEHDIIGGHEAK(配列番号35);DEVDIIGGHEAK(配列番号36);DMQDIIGGHEAK(配列番号37);LEVDIIGGHEAK(配列番号38);LEHDIIGGHEAK(配列番号39);VEIDIIGGHEAK(配列番号40);VEHDIIGGHEAK(配列番号41);IETDIIGGHEAK(配列番号42);LETDIIGGHEAK(配列番号43)またはIEADIIGGHEAK(配列番号44)を含む。上記の通り、いくつかの態様では、組換えポリペプチドは、細胞透過性ペプチド(CPP)および/またはプロテアーゼ切断配列に対してN末端側に位置する細胞結合性部分などの細胞結合性部分をさらに含んでよい。ある特定の好ましい態様では、細胞結合性部分は、抗体または抗原結合性の抗体断片である。当該実施形態の組換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子も同様に提供される。
【0022】
特定の実施形態では、(a)細胞結合性部分(例えば、その抗体または抗原結合性ドメイン)、(b)選択されたプロテアーゼによる切断を受けやすい切断部位、および(c)N末端にIIGGを有するGrBコード配列(例えば、本明細書において提供される組換えポリペプチドのうちの1つなど)を含む細胞標的化構築物が提供され、その結果、ポリペプチドが選択されたプロテアーゼによって切断されると、N末端イソロイシンを有するGrBが細胞標的化構築物から放出される。本明細書において実証されている通り、そのような細胞標的化構築物は、驚いたことに、血清に長期にわたって曝露してさえも安定であり、それにより、理想的な治療剤がもたらされる。したがって、いくつかの態様では、血清安定性のある細胞標的化構築物をもたらす方法であって、異種プロテアーゼ切断部位(例えば、細胞内プロテアーゼによって認識される切断部位)に対してC末端側に位置するGrBコード配列を含む細胞標的化構築物を得ることを含む方法が提供される。
【0023】
さらに別の実施形態では、当該実施形態のセリンプロテアーゼポリペプチドまたは構築物をコードする配列を含むポリヌクレオチド分子が提供される。いくつかの態様では、ポリヌクレオチド分子は、発現制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリアデニル化シグナル配列または転写終結配列)に作動可能に連結した発現カセット内に含まれる。さらに別の態様では、ポリヌクレオチド分子は、当該実施形態の細胞標的化構築物などのセリンプロテアーゼ融合タンパク質をコードする。
【0024】
さらに別の実施形態では、当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼ(または細胞標的化構築物)をコードする発現可能なポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞が提供される。いくつかの態様では、宿主細胞は、当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼポリペプチドをさらに含む。例えば、当該実施形態の宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、培養したヒト細胞)、酵母細胞、細菌細胞、繊毛虫細胞(ciliate cell)または昆虫細胞であってよい。したがって、さらなる実施形態では、ポリペプチドを製造する方法であって、(a)当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼをコードするポリヌクレオチド分子を、コードされるポリペプチドを産生する条件下で細胞において発現させるステップ、および(b)ポリペプチドを細胞から精製するステップを含む方法が提供される。
【0025】
さらなる実施形態では、当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼポリペプチドであって、セリンプロテアーゼが細胞標的化部分と結合体化または融合した短縮型セリンプロテアーゼポリペプチドが提供される。例えば、セリンプロテアーゼポリペプチドは細胞標的化部分とチオエステル連結によって(例えば、セリンプロテアーゼポリペプチドに含まれるまたはセリンプロテアーゼコード配列に対してC末端側に位置するCys残基を使用することによって)結合体化することができる。いくつかの態様では、細胞結合性部分をセリンプロテアーゼポリペプチドと融合して、融合タンパク質を形成する。この態様では、細胞標的化部分を短縮型セリンプロテアーゼコード配列に対してC末端側に位置づけ、それにより、プロテアーゼ酵素活性を維持するべきであることが当業者には理解されよう。例えば、ある特定の態様では、細胞標的化部分は、細胞において発現される(例えば、がん細胞において特異的にまたは優先的に発現される)タンパク質、炭水化物または脂質に結合させることができる。細胞標的化部分の例は、下にさらに詳述および例示されており、それらとして、限定することなく、GP240、5T4、HER1、HER2、CD−33、CD−38、VEGFR−1、VEGFR−2、CEA、FGFR3、IGFBP2、IGF−1R、BAFF−R、TACI、APRIL、Fn14またはHER3に結合する部分が挙げられる。
【0026】
さらに別の態様では、短縮型セリンプロテアーゼまたは細胞標的化構築物は、画像化剤とさらに結合体化している。例えば、画像化剤は、放射性核種、MRI造影剤または超音波造影剤であってよい。したがって、いくつかの態様では、被験体における標的細胞を画像化するための方法であって、画像化剤と結合体化した細胞標的化構築物を被験体に投与するステップ、および被験体における標的細胞を画像化するステップを含む方法が提供される。
【0027】
ある場合では、融合タンパク質は、短縮型セリンプロテアーゼと細胞標的化ポリペプチドの間に位置する追加的なアミノ酸を含んでよいことが理解されよう。一般に、これらの配列は、「リンカー配列」または「リンカー領域」と互換的に称される。リンカー領域は、1つまたは複数のアミノ酸の長さであってよく、多くの場合、リンカーに可撓性を付与する1つまたは複数のグリシン残基を含むことが当業者には理解されよう。いくつかの特定の実施例では、本実施形態において使用するためのリンカーとしては、限定することなく、218リンカー(GSTSGSGKPGSGEGSTKG;配列番号13)、HLリンカー(EAAAK;配列番号14)SSGおよびG
4Sリンカー(GGGGS;配列番号15)が挙げられる。そのようなリンカー配列は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれ以上繰り返すこともでき、1つまたは複数の異なるリンカーと組み合わせてリンカー配列のアレイを形成することもできる。例えば、一部の適用では、リンカー領域は、内在性細胞内プロテアーゼによって認識される切断部位などのプロテアーゼ切断部位を含んでよい。この場合、細胞標的化構築物が標的細胞に内部移行すると、タンパク質分解による切断により、セリンプロテアーゼが細胞標的化部分および/または他のポリペプチドドメインから分離され得る。そのように、この実施形態による細胞標的化構築物には、細胞標的化ポリペプチドからの潜在的な干渉が低減するので、標的化されたセリンプロテアーゼの細胞内活性が増強されるという利点があり得る。
【0028】
当該実施形態による細胞標的化構築物は、セリンプロテアーゼ、細胞標的化部分、またはその両方に付着した追加的なアミノ酸を含んでよい。例えば、細胞標的化構築物の産生または精製を補助するために追加的なアミノ酸を含めることができる。細胞標的化部分に付着させることができるアミノ酸配列のいくつかの特定の例としては、これだけに限定されないが、精製タグ(例えば、T7、MBP.GST、HA、またはポリHisタグ)、タンパク質分解の切断部位、例えば、トロンビンまたはフューリン切断部位など、細胞内局在化シグナルまたは分泌シグナルが挙げられる。したがって、ある特定の態様では、当該実施形態の細胞標的化構築物は、GrBなどのセリンプロテアーゼと細胞標的化部分の間に位置するプロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位)を含む。
【0029】
さらに別の態様では、当該実施形態の細胞標的化構築物は、細胞透過性ペプチド(CPP)をさらに含む。本明細書で使用される場合、CPPおよび膜トランスロケーションペプチド(MTP)という用語は互換的に使用され、細胞によって内部移行されるタンパク質の能力を増強するペプチド配列を指す。当該実施形態に従って使用するためのCPPの例としては、限定することなく、HIV Tat、ヘルペスウイルスVP22、ショウジョウバエアンテナペディアホメオボックス遺伝子産物、プロテグリンIに由来するペプチドセグメント、ならびに本明細書において例示されているT1ペプチド(配列番号19)、T2ペプチド(配列番号20)、INF7ペプチド(配列番号21)およびINF26ペプチド(配列番号22)が挙げられる。ある特定の態様では、当該実施形態の細胞標的化構築物は、セリンプロテアーゼと細胞標的化部分の間に位置し、または細胞標的化部分に対してC末端側に位置するCPPを含む。ある特定の態様では、CPPは、リンカー配列によってセリンプロテアーゼおよび/または細胞標的化部分と隔てられている。
【0030】
当該実施形態による細胞標的化構築物(例えば、細胞標的化部分およびセリンプロテアーゼを含む)は、2つの性質、(1)特異的な細胞の集団に対する結合親和性および(2)細胞内に内部移行する能力を有することが望ましい。しかし、内部移行しにくい細胞標的化構築物でさえ、当該実施形態による方法において使用することができることが企図される。当業者に周知の方法を使用して、特定の細胞標的化構築物が標的細胞によって内部移行されるかどうかを、例えば、細胞内抽出物の免疫組織化学的染色または免疫ブロットによって決定することができる。ある場合では、それ自体では内部移行することができない細胞標的化部分を、当該実施形態による細胞標的化構築物の状況では内部移行させることができることも企図される。当該実施形態において使用するための細胞標的化部分としては、これだけに限定されないが、抗体、増殖因子、ホルモン、ペプチド、アプタマー、アビマー(avimer)(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20060234299号および同第20060223114号を参照されたい)およびサイトカインが挙げられる。上記の通り、細胞標的化部分は、セリンプロテアーゼと共有結合または非共有結合によって結合体化することができ、また、ある場合では、標的化構築物は融合タンパク質であってよい。
【0031】
ある特定の好ましい態様では、当該実施形態において使用するための細胞標的化部分は抗体またはその断片である。一般に、抗体という用語は、これだけに限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体、脱免疫化(deimmunized)抗体、ミニボディ、ダイアボディ(dibodies)、トリボディ(tribody)ならびに抗体断片、例えば、Fab’、Fab、F(ab’)
2、単一ドメイン抗体、Fv、または単鎖Fv(scFv)抗体単一ドメイン抗体など、ならびに抗体模倣物、例えば、アンチカリン(anticalin)など、ならびにそれらの任意の混合物を包含する。いくつかの場合には、細胞標的化部分は単鎖抗体(scFv)である。関連する態様では、細胞標的化ドメインはアビマーポリペプチドであってよい。したがって、ある場合では、当該実施形態の細胞標的化構築物はGrBポリペプチドとscFvまたはアビマーとを含む融合タンパク質である。例えば、いくつかの非常に具体的な態様では、GrBポリペプチドを、15A8、scFvMEL、ZME−018、scFv23、セツキシマブまたはトラスツズマブ抗体と結合体化または融合する。同様に、GrBポリペプチドを、抗CD−33抗体または抗CD−38抗体と融合または結合体化することができる。
【0032】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、ヒト抗体重鎖および軽鎖を含む細胞標的化部分であって、抗体軽鎖、重鎖またはその両方が、抗体軽鎖および/または重鎖に対してC末端側に位置する当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼを含む、細胞標的化部分を提供する。例えば、抗体は、ヒトIgG、例えば、IgG1などであってよい。
【0033】
さらに別の実施形態では、(a)細胞標的化scFv抗体ドメイン、(b)抗体重鎖定常(Fc)ドメイン;および(c)当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼを含む細胞標的化構築物が提供される。例えば、細胞標的化構築物は、NからC末端までに、(c)短縮型セリンプロテアーゼ、(b)Fcドメイン;および(a)scFvドメインを含んでよい。あるいは、細胞標的化構築物は、NからC末端までに、(a)scFvドメイン、(b)Fcドメイン、(d)プロテアーゼ切断部位を含むペプチド(例えば、細胞内プロテアーゼによって切断可能なもの)および(c)当該実施形態の短縮型セリンプロテアーゼを含んでよい。いくつかの態様では、細胞標的化構築物は、N末端、C末端またはエレメント(a)、(b)および/もしくは(c)のいずれかの間に融合したリンカーまたはCPPのような追加的なエレメントを含んでよい。ある特定の具体的な態様では、細胞標的化構築物のscFvはFn14に結合し、セリンプロテアーゼは配列番号45の配列(または配列番号45と少なくとも約85%、90%または95%同一である配列)を含む細胞標的化構築物などのGrBである。
【0034】
別の態様では、当該実施形態の細胞標的化部分は増殖因子であってよい。例えば、形質転換増殖因子、上皮増殖因子、インスリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、Bリンパ球刺激物質(BLyS)、ヘレグリン、血小板由来増殖因子、血管内皮増殖因子(VEGF)、または低酸素症誘導因子を、当該実施形態による細胞標的化部分として使用することができる。これらの増殖因子により、構築物を同類の増殖因子受容体を発現する細胞に標的化することが可能になる。例えば、VEGFを使用して、VEGFR−2および/またはVEGFR−1を発現する細胞を標的とすることができる。さらに別の態様では、細胞標的化部分は、ポリペプチドBLyS(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20060171919号を参照されたい)であってよい。
【0035】
さらに別の態様では、細胞標的化部分はホルモンであってよい。当該実施形態において使用するためのホルモンのいくつかの例としては、これだけに限定されないが、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、アンドロゲン、エストロゲン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、オキシトシン、サイロトロピン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、コルチコトロピン−放出ホルモン、ソマトスタチン、ドーパミン、メラトニン、チロキシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、アドレナリン、ノルアドレナリン、プロゲステロン、インスリン、グルカゴン、アミリン、エリスロポエチン(erythropoitin)、カルシトリオール、カルシフェロール、心房性ナトリウム利尿性ペプチド、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、神経ペプチドY、グレリン、PYY3−36、インスリン様増殖因子1、レプチン、トロンボポエチンまたはアンジオテンシノーゲンが挙げられる。上記の通り、ホルモンを含む標的化構築物を、示されているホルモンに対する細胞外受容体を含む細胞集団を標的化する方法において使用することができる。
【0036】
当該実施形態のさらに別の態様では、細胞標的化部分はサイトカインであってよい。例えば、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL14、IL15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、IL−34、IL−35、IL−36、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、白血病抑制因子、エリスロポエチン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、オンコスタチンM、白血病抑制因子、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、LT−β、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンド、4−1BBL、TGF−β、IL 1α、IL−1β、IL−1RA、MIF、TNF様アポトーシス弱誘導因子(TNF−like weak inducer of apoptosis)(TWEAK)およびIGIFは全て、当該実施形態による標的化部分として使用することができる。
【0037】
前述の説明から、当該実施形態による細胞標的化構築物により、使用する細胞標的化部分に応じて特定の細胞の集団を標的とすることができることが当業者には明らかであろう。例えば、細胞標的化部分は、感染細胞標的化部分であってよい。この場合、細胞標的化部分は、細菌、原生動物またはウイルスなどの病原体に感染している細胞の表面で主に発現される細胞タンパク質に結合し得る。ある特定の他の態様では、細胞標的化部分は、病原体によりコードされる因子、例えば細菌タンパク質、原生動物タンパク質またはウイルスタンパク質などに結合し得る。この態様では、細胞標的化構築物は、病原体が標的細胞に進入する前、または進入する時にその病原体に結合することによって細胞を間接的に標的化し得ることが企図される。したがって、いくつかの場合には、病原体が細胞に輸送されることにより、標的化構築物の内部移行が媒介され得る。追加的な態様では、細胞標的化部分は、感染細胞の表面で発現される、病原体によりコードされるポリペプチドに結合し得る。例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した細胞の場合では、細胞標的化部分は、例えば、gp120に結合し得る。前述の方法のいずれかを使用して、感染の拡散を限定することができることが企図される。例えば、セリンプロテアーゼ(例えば、GrB)を感染細胞に送達することにより、アポトーシスを誘導することまたはアポトーシスを受けるように細胞を感作することができる。
【0038】
当該実施形態のいくつかの態様では、細胞標的化部分は、免疫細胞標的化部分と定義することができる。この場合、細胞標的化部分は、特定の免疫細胞の集団において発現される細胞表面分子に結合し得、かつ/またはそれにより内部移行され得る。したがって、セリンプロテアーゼを特定の型の免疫細胞に標的化することを用いて、例えば、自己免疫疾患またはリンパ腫を処置することができる。
【0039】
当該実施形態のさらに別の態様では、細胞標的化部分は、がん細胞標的化部分であってよい。特定の型のがん細胞は、周囲の組織と比較して独特な表面分子を異常に発現することが周知である。したがって、これらの表面分子に結合する細胞標的化部分により、がん細胞へのセリンプロテアーゼの標的化された送達が特異的に可能になる。例えば、細胞標的化部分は、肺がん細胞、乳がん細胞、脳がん細胞、前立腺がん細胞、脾臓がん細胞、膵臓がん細胞、子宮頸部がん細胞、卵巣がん細胞、頭頸部がん細胞、食道がん細胞、肝臓がん細胞、皮膚がん細胞、腎臓がん細胞、白血病細胞、骨がん細胞、精巣がん細胞、結腸がん細胞または膀胱がん細胞に結合し得、かつそれにより内部移行され得る。したがって、がん細胞を標的とするセリンプロテアーゼの有効性は、いくつかの場合には、がん細胞上の特定のがんマーカーの発現または発現レベルに左右され得る。ある特定の態様では、標的化されたセリンプロテアーゼを用いてがん患者を処置するための方法であって、患者のがん細胞が特定の細胞表面マーカーを発現しているか(またはどの程度まで発現しているか)を同定するステップ、および特定の細胞表面マーカーが発現しているがんを有すると同定された患者に標的化されたセリンプロテアーゼ療法(場合によって、別の抗がん療法と併せて)を施すステップを含む方法が提供される。別の態様では、標的化されたセリンプロテアーゼ療法の用量は、がん細胞上の細胞表面マーカーの発現レベルに応じて調整することができる。
【0040】
したがって、ある特定の実施形態では、細胞増殖性疾患を処置するための方法であって、当該実施形態による細胞標的化構築物を投与することを含む方法が提供される。本明細書で使用される場合、「細胞増殖性の状態」という句は、これだけに限定されないが、自己免疫疾患、がんおよび前がん状態を含む。例えば、当該実施形態の方法は、がん、例えば、肺がん、乳がん、脳がん、前立腺がん、脾臓がん、膵臓がん、子宮頸部がん、卵巣がん、頭頸部がん、食道がん、肝臓がん、皮膚がん、腎臓がん、白血病、骨がん、精巣がん、結腸がん、または膀胱がんなどを処置するために使用することができる。例えば、黒色腫などの皮膚がんを、皮膚がん細胞を標的とするセリンプロテアーゼを投与することによって処置するための方法が提供される。同様に、gp240陽性皮膚がんを処置するための方法であって、scFvMEL標的化部分を含む当該実施形態のセリンプロテアーゼを投与することを含む方法が提供される。
【0041】
いくつかの場合には、当該実施形態の細胞標的化構築物を、別の(例えば、第2の)抗がん療法と併せて使用することができる。したがって、特定の例では、細胞標的化部分と結合体化したセリンプロテアーゼを含む細胞標的化構築物を投与することによって細胞を抗がん療法(例えば、化学療法)に対して感作する方法が提供される。この場合、細胞標的化構築物は、抗がん療法を施す前に、それと同時に、またはその後に投与することができる。例えば、抗がん療法は、外科的療法、化学療法、放射線治療、遺伝子療法または免疫療法であってよい。いくつかの態様では、抗がん療法が化学療法である場合、化学療法は1つまたは複数のアポトーシス誘導剤を含むことが好ましい場合がある。
【0042】
当該実施形態のさらに別の態様では、自己免疫疾患または炎症性疾患を処置するための方法であって、当該実施形態による細胞標的化構築物を投与することを含む方法が提供される。例えば、細胞を標的とするセリンプロテアーゼは、関節リウマチ、乾癬、変形性関節症、炎症性腸疾患、1型糖尿病、組織もしくは臓器の拒絶反応または多発性硬化症の処置において使用することができる。これらの態様では、細胞標的化構築物は、ステロイドなどの他の処置レジメンと組み合わせて使用することができる。
【0043】
本発明の方法および/または組成物に関して考察されている実施形態は、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に対して使用することができる。したがって、1つの方法または組成物に関する実施形態を本発明の他の方法および組成物にも同様に適用することができる。
【0044】
本明細書において使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」は1つまたは複数を意味し得る。請求項(複数可)において使用される場合には、「含む(comprising)」という単語と同時に使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語は1つまたは1つ以上を意味し得る。
【0045】
請求項における「または(or)」という用語の使用は、代替物のみを指すことまたは代替物が相互排他的であることが明示されていなければ、「および/または(and/or)」を意味するために用いられるが、本開示では、代替物のみおよび「および/または(and/or)」を指すという定義が支持される。 本明細書で使用される場合、「別の(another)」という用語は、少なくとも第2、またはそれ以降のものを意味し得る。
【0046】
本出願全体を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために使用したデバイス、方法に関する誤差である固有の変動、または試験被験体の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0047】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、発明の詳細な説明および特定の実施例は本発明の好ましい実施形態を示しているが、当業者にはこの発明の詳細な説明から本発明の主旨および範囲内のさまざまな変化および改変が明らかになるので、単に例示として示されていることが理解されるべきである。
【0048】
以下の図は本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、これらの図の1つまたは複数を本明細書で提示されている特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによってよく理解することができる。