(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体フレームと、前記車体フレーム上に後部側を支点として前部側が上,下方向にチルト動作するように設けられ運転室を画成するキャブと、前記キャブ内に設けられオペレータが着座する座席を有する運転席装置と、前記キャブ内に位置して前記運転席装置に設けられ前記座席に着座したオペレータによって操作される操作レバーを有するコンソール装置と、前記操作レバーの後側に位置して前記コンソール装置に設けられ前記座席に着座したオペレータが腕を乗せる腕乗せ面を有するアームレストとを含んで構成してなる建設機械において、
前記アームレストには、前記腕乗せ面から上方に立上り、前記コンソール装置の前記操作レバーを把持した状態で前記キャブの前部側が上方に傾動してチルトアップしたときに、前記腕乗せ面上に位置するオペレータの腕を後方から支える腕支え部材を設け、
前記アームレストには、前記コンソール装置の前記操作レバーに対する前記腕支え部材の前,後方向の間隔を調整する間隔調整機構が設けられていることを特徴とする建設機械。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態の油圧ショベルは、例えば、高層建築物の解体作業に用いられるブームないしアームを備えたマルチブーム仕様の油圧ショベルとして構成されている。このマルチブーム仕様の油圧ショベルでは、ブームやアームを上方に向けて延ばすことにより、高所に作業具としてカッターを配置する。オペレータは、高所のカッターを目視しながらレバー操作を行うようになっている。このために、マルチブーム仕様の油圧ショベルは、旋回フレームに対してキャブを上向きに傾転させることによって高所を目視し易くするための機構(キャブのチルト機構)を有している。
【0015】
まず、
図1ないし
図6は、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1において、建設機械の代表例である油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載され、下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられたフロント装置4とにより構成されている。
【0016】
フロント装置4は、基端側のフート部が旋回フレーム5を構成する各縦板5Bの前側に俯仰動可能に取付けられたロアブーム4Aと、ロアブーム4Aの先端部に一体的に取付けられたインサートブーム4Bと、インサートブーム4Bの先端部に一体的に取付けられたアッパブーム4Cと、アッパブーム4Cの先端部に回動可能に取付けられたミドルアーム4Dと、ミドルアーム4Dの先端部に回動可能に取付けられたアーム4Eと、アーム4Eの先端部に回動可能に取付けられた作業具としてのカッター4Fと、旋回フレーム5とロアブーム4Aとの間に設けられたブームシリンダ4Gと、アッパブーム4Cとミドルアーム4Dとの間に設けられた第1アームシリンダ4Hと、ミドルアーム4Dとアーム4Eとの間に設けられた第2アームシリンダ4Jと、アーム4Eとカッター4Fとの間に設けられた作業具シリンダ4Kとを含んで構成されている。
【0017】
ここで、フロント装置4のブームシリンダ4G、第2アームシリンダ4J、作業具シリンダ4Kは、後述する左コンソール装置12の操作レバー14と右コンソール装置16の操作レバー18によって操作される。一方、第1アームシリンダ4Hは、キャブ7内に設けられたペダルやレバー(スイッチ)によって操作される。
【0018】
なお、カッター4Fは、グラップル等の他の作業具に交換することもできる。さらに、フロント装置4は、インサートブーム4Bを取外してフロント長を短くすることができる。一方、インサートブーム4Bを追加することでフロント長を長くすることもできる。
【0019】
上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ傾転装置6、キャブ7、運転席装置8、左コンソール装置12、右コンソール装置16、左アームレスト20、左腕支え部材22、左間隔調整機構23、右アームレスト33、右腕支え部材34、右間隔調整機構35を含んで構成されている。
【0020】
旋回フレーム5は、車体フレームを構成するもので、強固な支持構造体として形成されている。
図1、
図2に示すように、旋回フレーム5は、前,後方向に延びる平坦で厚肉な底板5Aと、底板5A上に左,右方向に間隔をもって立設され、前,後方向に延びる左縦板5Bおよび右縦板(図示せず)と、底板5Aおよび各縦板5Bから左,右方向の外向きに延び、前,後方向に列設された複数本の張出しビーム(図示せず)と、各張出しビームの先端部に取付けられて前,後方向に延びる左サイドフレーム5Cおよび右サイドフレーム(図示せず)とを含んで構成されている。左,右の縦板5Bの前側には、フロント装置4を構成するロアブーム4Aのフート部が回動可能に取付けられている。
【0021】
ここで、旋回フレーム5の左前側には、後述のキャブ7を後部側を支点として前部側が上,下方向にチルト動作するように支持するキャブ傾転装置6が設けられている。このキャブ傾転装置6は、旋回フレーム5の左前側に立設されたベッド支持体(図示せず)と、基端側がベッド支持体の上部に回動可能に取付けられたL字状のベッド支持アーム6Aと、ベッド支持アーム6Aの先端側に取付けられたキャブベッド6Bと、旋回フレーム5とベッド支持アーム6Aとの間に設けられ、ベッド支持アーム6Aを介してキャブベッド6Bを上,下方向に傾転させる傾転シリンダ(図示せず)とにより構成されている。キャブベッド6Bは、前,後方向に長尺な長方形状の枠体として形成され、その上側にはキャブ7が防振状態で取付けられている。
【0022】
キャブ7は、キャブベッド6Bの上側に防振状態で取付けられている。キャブ7は、内部に運転室を画成するものである。
図2、
図3に示すように、キャブ7は、例えば、前,後方向に長尺な長方形状の板体からなる床板7Aと、床板7Aの周囲から立ち上がると共に上方が閉塞されたキャブボックス7Bとにより構成されている。キャブボックス7Bの左側面には、キャブ7に乗降するときに開閉されるドア7C(
図1参照)が設けられている。
【0023】
運転席装置8は、キャブ7内に設けられている。運転席装置8は、キャブ7の床板7Aの中央位置またはその近傍に配置されている。運転席装置8は、床板7Aに取付けられた取付台9と、取付台9の上側に取付けられ、後述の座席11の位置を前,後方向および上,下方向に調整する座席調整機構10と、座席調整機構10の上側に取付けられた座席11とにより構成されている。
【0024】
座席調整機構10は、取付台9上に取付けられた前後調整部10Aと、前後調整部10A上に取付けられた上下調整部10Bとを備えている。前後調整部10Aには、後述のコンソール装置12,16が取付けられている。座席11は、オペレータが着座するもので、座部11Aと背もたれ部11Bとを有している。
【0025】
左コンソール装置12は、運転席装置8の左側に設けられている。左コンソール装置12は、座席調整機構10の前後調整部10Aに取付けられたコンソール本体13と、コンソール本体13の前側に設けられた操作レバー14とを含んで構成されている。左コンソール装置12は、キャブ7への乗降側に位置しており、コンソール本体13の前側に位置してゲートロックレバー15が設けられている。
【0026】
コンソール本体13は、取付ブラケット13Aを介して座席調整機構10の前後調整部10Aに取付けられている。コンソール本体13は、座席11の左側位置を前,後方向に延びて設けられている。コンソール本体13の前側位置には、操作レバー14が設けられ、後側位置には、後述の左アームレスト20が設けられている。
【0027】
操作レバー14は、コンソール本体13の前側位置に設けられている。操作レバー14は、座席11に着座したオペレータの左腕(左手)で操作されるものである。操作レバー14は、コンソール本体13に取付けられた減圧弁型の油圧パイロット弁(図示せず)と、油圧パイロット弁を傾転操作するレバー14Aとにより構成されている。レバー14Aは、その先端部が座席11に着座したオペレータの左手で把持される。
【0028】
ゲートロックレバー15は、左コンソール装置12の前側に上,下方向に回動可能に設けられている。ゲートロックレバー15は、前側に倒した(押し下げた)遮断位置(
図4の位置)では、キャブ7への乗降を禁止することができる。一方、ゲートロックレバー15は、遮断位置から上側に回動して立ち上げた(引き上げた)開通位置では、キャブ7への乗降を許可することができる。
【0029】
図3に示すように、右コンソール装置16は、運転席装置8の右側に設けられている。右コンソール装置16は、左コンソール装置12とほぼ同様に、コンソール本体17と、コンソール本体17の前側に位置してオペレータの右手で把持される操作レバー18とを含んで構成されている。コンソール本体17の後側位置には、後述の右アームレスト33が設けられている。
【0030】
左,右の走行レバー・ペダル19は、運転席装置8(座席11)の前方に位置してキャブ7の床板7Aの前側部分に設けられている。各走行レバー・ペダル19は、前,後方向に傾転操作することにより、下部走行体2の走行動作を制御するものである。
【0031】
次に、本発明の特徴部分となる左,右のアームレスト20,33と左,右の腕支え部材22,34の構成について説明する。
【0032】
左アームレスト20は、操作レバー14の後側に位置して左コンソール装置12に設けられている。具体的には、左アームレスト20は、左コンソール装置12のコンソール本体13の後部から上側に延びた支持体21に取付けられている。左アームレスト20は、運転席装置8の座席11に着座したオペレータが左腕を乗せるものである。
【0033】
左アームレスト20は、例えば、樹脂材料によって形成されている。左アームレスト20は、前,後方向に延びる角柱体からなり、その後部位置が支持体21の上部に回動可能に取付けられている。左アームレスト20は、前側に倒されたときに、
図4に示すように、床板7Aとほぼ平行になる位置に固定され、この状態で、上面側の腕乗せ面20Aに座席11に着座したオペレータの左腕が乗せられる。即ち、左アームレスト20は、上側の平坦面をなす腕乗せ面20Aを有し、後部側の下部位置には、支持体21が取付けられる取付孔20Bが左,右方向に延びて設けられている。さらに、左アームレスト20の後面20Cには、後述する左間隔調整機構23の蓋体30が取付けられる。
【0034】
なお、左アームレスト20は、樹脂材料以外にも、金属材料または金属材料を骨組みとして樹脂材料で覆われた複合構造体によって形成することもできる。また、左アームレスト20の後側には、左間隔調整機構23を介して左腕支え部材22が取付けられている。
【0035】
図5に示すように、左腕支え部材22は、左アームレスト20の後側に腕乗せ面20Aから上方に立上るように設けられている。左腕支え部材22は、例えば、樹脂材料からなり左アームレスト20と同等の幅寸法をもった直方体状のブロック体として形成されている。左腕支え部材22の前面は、オペレータの左腕が後側にずれるのを抑える支持面22Aとなっている。また、左腕支え部材22の下面22Bは、左アームレスト20の腕乗せ面20Aに当接するもので、左間隔調整機構23の移動駒26が取付けられている。
【0036】
ここで、
図4に示すように、左腕支え部材22の高さ寸法は、キャブ7をチルトアップしたときの傾斜によって後側にずれようとするオペレータの左腕(左肘)を確実に保持できる寸法Hに設定されている。また、オペレータの左腕の長さには個人差があるから、左肘から操作レバー14を把持する左手までの距離寸法を調整できるように、左腕支え部材22は、左間隔調整機構23によって前,後方向に位置調整することができる。
【0037】
左間隔調整機構23は、左アームレスト20の後側に設けられている。左間隔調整機構23は、左コンソール装置12の操作レバー14に対する左腕支え部材22の前,後方向の間隔、即ち、
図4に示す操作レバー14の先端部と左腕支え部材22の支持面22Aとの距離寸法Lを調整するものである。左間隔調整機構23は、左腕支え部材22を前,後方向の複数の位置、例えば5箇所のうちの何れかの位置に固定するものである。
【0038】
左間隔調整機構23は、後述のガイド溝24、位置決め孔25A〜25E、移動駒26、固定ピン27、ストッパ29、蓋体30を含んで構成されている。
【0039】
ガイド溝24は、左アームレスト20の上部後側に設けられている。
図6に示すように、ガイド溝24は、腕乗せ面20Aに開口した上側溝部24Aが狭幅となり、腕乗せ面20Aから離れた下側溝部24Bが広幅となった逆T字状の段付溝として前後方向に延びて形成されている。また、ガイド溝24の後端は、左アームレスト20の後面20Cに開口している。
【0040】
左アームレスト20の上部後側には、ガイド溝24の下側溝部24Bを左,右方向に貫通するように複数本、例えば5本の位置決め孔25A〜25Eが設けられている。5本の位置決め孔25A〜25Eは、前,後方向に並んで配置することにより、前述した操作レバー14と左腕支え部材22との距離寸法Lを5段階で調整することができる。そして、各位置決め孔25A〜25Eには、固定ピン27が挿通される。
【0041】
移動駒26は、左腕支え部材22の下面22Bに設けられている。移動駒26は、ガイド溝24に前,後方向に移動可能に挿着されるもので、ガイド溝24よりも僅かに小さな逆T字状のブロックとして形成されている。即ち、移動駒26は、上側が狭幅部26Aとなり、下側が広幅部26Bとなっている。広幅部26Bには、各位置決め孔25A〜25Eと連通可能なピン挿通孔26Cが左,右方向に貫通して設けられている。そして、移動駒26は、狭幅部26Aの上部が左腕支え部材22の下面22Bに一体的に固着されている。
【0042】
固定ピン27は、各位置決め孔25A〜25Eのいずれか1本と移動駒26のピン挿通孔26Cに挿通されるものである。固定ピン27は、左アームレスト20の幅寸法よりも大きな長さ寸法を有し、その基端部には、抜止め用のフランジ部27Aが拡径して形成されている。固定ピン27は、例えば、移動駒26のピン挿通孔26Cを中間に位置する位置決め孔25Cに位置決めした状態で、ピン挿通孔26Cと位置決め孔25Cに挿通される。この挿通状態では、固定ピン27の先端部がピン挿通孔26Cから突出しているから、突出端部に抜止めピン28を取付けることにより、固定ピン27を抜止め状態で保持することができる。
【0043】
従って、移動駒26、即ち、左腕支え部材22は、前,後方向の調整範囲のうち、中間部となるピン挿通孔26Cの位置に固定することができる。これにより、移動駒26を位置合せする位置、固定ピン27を挿入する位置を、各位置決め孔25A〜25Eのいずれかに変更することにより、左腕支え部材22の位置を前,後方向に5段階で調整することができる。
【0044】
ストッパ29は、移動駒26の後側に位置してガイド溝24内に挿着されている。ストッパ29は、移動駒26を後側に移動したときに、移動の限界位置で移動駒26に当接して移動を制限するものである。
【0045】
蓋体30は、ガイド溝24の後端を閉塞するように左アームレスト20の後面20Cに配置され、左,右方向に離間した2本の固定ボルト31によって後面20Cに取付けられている。また、蓋体30には、中央の1本のストッパ取付ボルト32によってストッパ29が取付けられている。
【0046】
次に、左間隔調整機構23によって左腕支え部材22を前,後方向に位置調整する場合の手順の一例について述べる。
【0047】
左腕支え部材22に取付けられた移動駒26をガイド溝24に後側から挿入する。ストッパ取付ボルト32によって蓋体30にストッパ29を取付ける。この状態で、ストッパ29をガイド溝24に挿入し、各固定ボルト31によって蓋体30を左アームレスト20の後面20Cに固定する。
【0048】
左アームレスト20に左腕支え部材22を取付けたら、移動駒26のピン挿通孔26Cを各位置決め孔25A〜25Eのいずれか、例えば、位置決め孔25Cに位置決めする。この状態で、固定ピン27をピン挿通孔26Cと位置決め孔25Cに挿通し、抜止めピン28で抜止めする。これにより、左腕支え部材22の固定位置を、左アームレスト20の前,後方向で調整することができる。
【0049】
右アームレスト33は、操作レバー18の後側に位置して右コンソール装置16に設けられている。右腕支え部材34は、右アームレスト33の後側に腕乗せ面33Aから上方に立上るように設けられている。右間隔調整機構35は、操作レバー18の先端部と右腕支え部材34の支持面34Aとの距離寸法を調整するもので、右アームレスト33の後側に設けられている。ここで、右アームレスト33は、左アームレスト20と同様に構成され、右腕支え部材34は、左腕支え部材22と同様に構成され、右間隔調整機構35は、左間隔調整機構23と同様に構成されている。このために、右アームレスト33、右腕支え部材34および右間隔調整機構35の説明は省略するものとする。
【0050】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
【0051】
最初に油圧ショベル1を操縦する場合には、オペレータは、ドア7Cを開いてキャブ7内の座席11に着座する。座席11に着座したオペレータは、左,右の走行レバー・ペダル19を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。
【0052】
次に、高層建造物の解体作業を行う場合には、楽な姿勢で高所を目視できるように、キャブ傾転装置6によってキャブ7を上側に向けて傾転(チルトアップ)させる。この状態で、左,右のコンソール装置12,16の操作レバー14,18を操作することにより、フロント装置4を動作させて高層建造物の解体作業を行うことができる。
【0053】
ここで、キャブ7の前側をチルトアップしたときには、キャブ7と一緒に、運転席装置8、左,右のコンソール装置12,16および左,右のアームレスト20,33も傾斜する。この場合、アームレスト20,33の腕乗せ面20A,33Aに乗せた腕には、チルトアップに伴う傾斜によって後向きの力が作用する。この結果、腕が後側にずれないように力を入れる必要が生じるから、操作レバー14,18の操作に対する疲労が大きくなってしまう。
【0054】
然るに、第1の実施の形態によれば、アームレスト20,33の後側には、腕乗せ面20A,33Aから上方に立上る腕支え部材22,34が設けられている。この腕支え部材22,34は、コンソール装置12,16の操作レバー14,18を把持した状態で、キャブ7の前部側が上方に傾動してチルトアップしたときに、腕乗せ面20A,33A上に位置するオペレータの腕を後方から支えることができる。
【0055】
従って、アームレスト20,33の腕乗せ面20A,33Aに対し、オペレータの腕を安定的に支持することができる。これにより、オペレータは、腕が後側にずれないように力を入れる必要が無くなる。この結果、操作レバー14,18の操作性を向上できる上に、操作レバー14,18を操作したときの疲労を軽減することができる。
【0056】
ここで、腕の長さ寸法、具体的には、肘から手までの長さ寸法は、オペレータによって異なる。このために、操作レバー14,18の先端部と腕支え部材22,34の支持面22A,34Aとの距離寸法Lが腕の長さに適していない場合には、操作レバー14,18の操作性が低下してしまう。
【0057】
これに対し、第1の実施の形態では、左,右のアームレスト20,33には、左,右のコンソール装置12,16の操作レバー14,18に対する腕支え部材22,34の前,後方向の間隔寸法Lを調整する間隔調整機構23,35が設けられている。従って、オペレータの体格に応じて腕支え部材22,34の位置を適宜に調整することができる。これにより、操作レバー14,18と腕支え部材22,34との距離寸法Lを最適な値に調整することができ、操作レバー14,18の操作性を向上することができる。
【0058】
次に、
図7は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、腕支え部材は、アームレストの前,後方向の複数箇所に設けられると共に、腕乗せ面に格納される格納姿勢と腕乗せ面から上方に立上った支持姿勢とに姿勢変化が可能に構成されていることにある。また、第2の実施の形態では、左アームレストについて説明し、同様の構成を有する右アームレストについては説明を省略するものとする。さらに、左アームレスト以外の構成については、第1の実施の形態で用いた構成を適用している。
【0059】
図7において、第2の実施の形態による左アームレスト41は、第1の実施の形態による左アームレスト20と同様に、操作レバー14の後側に位置して左コンソール装置12に設けられている。左アームレスト41は、運転席装置8の座席11に着座したオペレータが左腕を乗せるものである。
【0060】
左アームレスト41は、例えば、前,後方向に延びる樹脂製の角柱体からなり、上面側の腕乗せ面41Aには、座席11に着座したオペレータの左腕が乗せられる。左アームレスト41の腕乗せ面41Aには、後述する複数個の左腕支え部材42A〜42Cが設けられている。なお、左アームレスト41は、樹脂材料以外にも、金属材料または金属材料を骨組みとして樹脂材料で覆われた複合構造体によって形成することもできる。
【0061】
左腕支え部材42A〜42Cは、左アームレスト41の前,後方向の複数箇所、例えば3箇所に設けられている。具体的には、左腕支え部材42A、左腕支え部材42B、左腕支え部材42Cの順で前,後方向に間隔をもって配置されている。また、各左腕支え部材42A〜42Cは、左アームレスト41の腕乗せ面41Aに格納される格納姿勢(
図7中の各左腕支え部材42A,42Bの姿勢)と腕乗せ面41Aから上方に立上った支持姿勢(
図7中の左腕支え部材42Cの姿勢)とに姿勢変化が可能に構成されている。
【0062】
そして、各左腕支え部材42A〜42Cは、操作レバー14を把持した状態でキャブ7の前部側が上方に傾動してチルトアップしたときに、腕乗せ面41Aに乗せられたオペレータの腕を後方から支えるものである。また、左腕支え部材42A〜42Cのうち、いずれか1つを選択して支持姿勢とすることにより、オペレータの左腕の長さに対応することができる。
【0063】
左腕支え部材42A〜42Cは、いずれも同様の構成を有しており、後述の支持板収容部43、支持板44、保持脚46を含んで構成されている。
【0064】
支持板収容部43は、左アームレスト41の腕乗せ面41Aに設けられている。支持板収容部43は、支持板44を前側に倒した格納姿勢で、支持板44が腕乗せ面41Aと同一平面をなすように支持板44を収容することができる凹溝として形成されている。
【0065】
支持板44は、例えば、左アームレスト41と同等の幅寸法をもった長方形状の板体として形成されている。支持板44の基端部は、支持板収容部43の後部に位置して左アームレスト41の上部に、左,右方向に延びる連結ピン45を介して前,後方向に回動可能に取付けられている。支持板44は、
図7中の左腕支え部材42Cのように、連結ピン45を中心にして後側に回動することにより、腕乗せ面41Aから上方に立上った支持姿勢をとることができる。この支持板44の支持姿勢では、支持板44は、キャブ7がチルトアップしたときに、オペレータの左腕が後側にずれるのを抑えるのに十分な高さ寸法(腕乗せ面41Aから上側に突出した寸法)を有している。
【0066】
保持脚46は、支持板44のうち、立上った支持姿勢での後面側に設けられている。保持脚46は、支持板44に回動可能に取付けられている。これにより、保持脚46は、支持板44の支持姿勢において、後側に回動しつつ先端部を腕乗せ面41Aに押し付けることにより、支持板44を支持姿勢で保持することができる。
【0067】
このように構成された左腕支え部材42A〜42Cは、前側に位置する左腕支え部材42Aの支持板44を立ち上げて支持姿勢とすることにより、操作レバー14に対する左腕支え部材42Aの前,後方向の間隔を短く調整することができる。一方、後側に位置する左腕支え部材42Cの支持板44を立ち上げて支持姿勢とすることにより、操作レバー14に対する左腕支え部材42Aの前,後方向の間隔を長く調整することができる。
【0068】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用、効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、左腕支え部材42A〜42Cは、左アームレスト41の前,後方向の複数箇所に設けられると共に、腕乗せ面41Aに格納される格納姿勢と腕乗せ面41Aから上方に立上った支持姿勢とに姿勢変化が可能に構成されている。従って、オペレータの左腕の長さに適した位置の左腕支え部材を支持姿勢とすることにより、操作レバー14に対する左腕支え部材42Aの前,後方向の間隔を適正な寸法に調整することができる。この結果、レバー操作時の疲労を軽減することができる。
【0069】
なお、第1の実施の形態では、左アームレスト20に前,後方向に並べて5個の位置決め孔25A〜25Eを備えた左間隔調整機構23を設けることにより、左腕支え部材22は、前,後方向の5段階で位置調整する構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、左間隔調整機構23によって左腕支え部材22を2〜4段階または6段階以上で位置調整する構成としてもよい。また、左間隔調整機構として、前,後方向に延びるねじ部材を移動駒に螺合させることにより、ねじ部材の回転によって左腕支え部材を前,後方向に無段階で位置調整する構成としてもよい。
【0070】
第2の実施の形態では、左腕支え部材42A〜42Cを前後方向の3箇所に設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、左腕支え部材を、2箇所または4箇所以上に設ける構成としてもよい。
【0071】
さらに、第1の実施の形態では、各アームレスト20,33に対して左腕支え部材22,34を前,後方向に位置調整可能に設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、腕支え部材をアームレストの後側に固定的に設ける構成としてもよい。