特許第6722169号(P6722169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6722169電気装置用操作ユニット、特に車両部品用操作ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722169
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】電気装置用操作ユニット、特に車両部品用操作ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/22 20060101AFI20200706BHJP
   H01H 21/00 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   H01H21/22 A
   H01H21/00 Y
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-503582(P2017-503582)
(86)(22)【出願日】2015年7月8日
(65)【公表番号】特表2017-521843(P2017-521843A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2015065587
(87)【国際公開番号】WO2016012243
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年6月22日
(31)【優先権主張番号】102014214218.0
(32)【優先日】2014年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア−ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】ベシュニット,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】フスト,ヴィンフリート
(72)【発明者】
【氏名】シュタインカンプ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フォクト,フランク
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ベーム,ニルス
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/076299(WO,A2)
【文献】 国際公開第2013/153048(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/02
H01H 3/12
H01H 21/00
H01H 21/22
H01H 23/30
H03K 17/965
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方壁(14)を有する筐体(12)と、
前記前方壁(14)を介して突出する操作板(18)であって、隣接して配置された複数の操作区域(22、24、26、28、30)を有する細長い操作面(20)を有する操作板(18)と、
前記筐体(12)内に配置された前記操作板(18)用の支持要素(32)と、を備え、
前記操作板(18)は、前記操作板(18)の前記操作区域(22、24、26、28、30)それぞれの間の領域に突出する接続ウェブ(48)によって前記支持要素(32)に接続され、
前記各操作区域ごとに前記操作板(18)から突出し前記支持要素(32)に接続される可撓性ウェブ(50)が、弾性を有して、前記接続ウェブ(48)を介した前記操作板(18)の前記支持要素(32)への接続よりも可撓性高く、前記接続ウェブ(48)間に配置され、
1以上の操作区域作動センサ(70、72)が、前記操作板(18)の操作区域(22、24、26、28、30)の1つに手動の作動力が加えられたときに前記操作板(18)の局所的屈曲を検出するために、各可撓性ウェブ(50)に対応して前記支持要素(32)上に配置され、
前記操作区域作動センサ(70、72)からの信号を受信し、前記操作板(18)の手動作動に際して一の手の指が配置された前記操作区域(22、24、26、28、30)を前記信号に基づいて決定し、決定された操作区域(22、24、26、28、30)に対応する、各操作区域(22、24、26、28、30)に関連付けられた装置の機能をトリガする評価/制御部(78)を更に備える、電気装置用操作ユニット。
【請求項2】
その形状、材料、及び/又は、前記支持要素(32)及び/又は前記操作板(18)と
の接続位置を理由として、前記接続ウェブ(48)が前記可撓性ウェブ(50)よりも剛性が高いこと、及び/又は、
特には、第1接続点において前記支持要素(32)から前記接続ウェブ(48)が突出し、第2接続点において前記支持要素(32)から前記可撓性ウェブ(50)が突出し、前記第2接続点は前記第1接続点よりも前記操作板(18)から離間していることから、前記接続ウェブ(48)が前記可撓性ウェブ(50)よりも短いこと、及び/又は前記可撓性ウェブ(50)よりもより短い自由屈曲長さを有すること、を特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項3】
前記接続ウェブ(48)が前記可撓性ウェブ(50)よりも短い場合、これらのウェブが同一形状を有し同一材料からなることを特徴とする請求項2に記載の操作ユニット。
【請求項4】
前記支持要素(32)そのものが、休止位置と1以上の枢動位置との間で枢動可能に支持され、前記休止位置に向かって前記支持要素(32)が圧縮応力をかけられていること、及び、前記操作板(18)が作動された際に前記支持要素(32)が枢動位置を取ったことを検出する1以上の枢動位置センサ(44、46)に前記評価/制御部(78)が接続されること、を特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の操作ユニット。
【請求項5】
前記接続ウェブ(48)及び前記可撓性ウェブ(50)が共通の横断ウェブ(56)から突出すること、及び、
前記支持要素(32)が、隣接する縁凹部(60)と前記凹部(60)を互いから隔てる突出領域(62)とが交互に配置された支持本体(34)を有し、前記突出領域(62)が、前記操作板(18)に対向する前記支持本体(34)の操作板縁部(58)を形成し、前記可撓性ウェブ(50)が前記縁凹部(60)内で延出しかつ前記操作板縁部(58)を超えて突出し、前記可撓性ウェブ(50)が前記縁凹部(60)内で前記支持本体(34)に固定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項6】
前記横断ウェブ(56)、前記接続ウェブ(48)、及び前記可撓性ウェブ(50)が、前記支持要素(32)に、前記操作板(18)との間の一体的な櫛状接続要素(59)を形成すること、及び、
前記支持要素(32)は、前記接続要素(59)をオーバーモールドする可塑性材料を含み得ること、もしくは別の方法で前記接続要素(59)が前記支持要素(32)に固定されることを特徴とする請求項5に記載の操作ユニット。
【請求項7】
前記接続要素(59)が金属を含むことを特徴とする請求項6に記載の操作ユニット。
【請求項8】
1以上の作動センサ支持板(74、76)が前記支持本体(34)に接続され、前記作動センサ支持板(74、76)が前記支持本体(34)の前記縁凹部(60)を被覆しかつこれら被覆領域において操作区域作動センサ(70、72)を含み、
前記センサが前記可撓性ウェブ(50)に割り当てられて前記可撓性ウェブ(50)の1方向のみ又は互いに逆の2方向への屈曲の検出を可能にすることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項9】
前記支持本体(34)が2つの作動センサ支持板(74、76)の間に配置され、各可撓性ウェブ(50)に2つの操作区域作動センサ(70、72)が割り当てられ、このうち一方は前記作動センサ支持板の一方(74)の上に配置されるよう構成され、他方は作動センサ支持板の他方(76)に配置され得ることを特徴とする請求項8に記載の操作ユニット。
【請求項10】
前記操作区域作動センサ(70、72)が、容量的、誘導的、オーム的、又は光学的に機能する、又はリミットスイッチとして設計されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項11】
前記操作板(18)が、少なくともその操作面(20)において、コーティング仕上げされた表面を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項12】
前記操作区域作動センサ(70、72)が、手指が前記操作板(18)の上側及び下側のいずれに接触した際にも前記操作板(18)の作動の検出を可能にすることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項13】
前記電気装置が車両部品であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項14】
前記車両部品が暖房、換気、及び/又は空調システムであることを特徴とする請求項13に記載の操作ユニット。
【請求項15】
前記枢動位置センサ(44、46)が、容量的、誘導的、オーム的、又は光学的に機能する、又はリミットスイッチとして設計されていることを特徴とする請求項4に記載の操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2014年7月22日付の独国特許出願第10 2014 214 218.0号の優先権を主張し、その開示が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は電気装置用の操作ユニットに関し、電気装置は特には暖房、換気、又は空調システム等の車両部品であってよい。
【背景技術】
【0003】
電気装置用の操作ユニットは、様々な形状のものが知られている。特に自動車の分野において、板状の操作要素が可動状態で支持され、操作要素が、手動で作動された際に装置の様々な機能をトリガする複数の操作区域を有し、対応するセンサシステムが操作板における手指の接触位置を検出することで装置のどの機能が選択されたかが決定可能となるような操作の構想が近年確立された。センサシステムは、例えば、近接により形成されるか、又は主に容量的に動作する接触センサであり得る。例えばデザイン上の理由で操作板全体が金属の操作面を有する場合、又は手袋をした状態での操作を可能とする場合、操作板に容量式センサシステムを実装することはできない。操作板が作動された際、支持体の様々な位置における屈曲力センサシステム又は距離センサシステムが、差動信号により手指の位置を決定することを可能にする、その他の構想も存在する(国際公開第2013/153048号参照)。
【0004】
独国特許出願公開第10 2012 221 107号によれば、前方壁を備えた筐体と、前方壁を介して突出し複数の操作区域を有する操作板と、筐体内に配置された支持要素と、評価/制御部と、を有する車両部品用の操作ユニットが周知である。
【0005】
米国特許出願第2008/0018611号によれば、前方壁と、複数の操作区域を備えた操作板と、支持要素と、評価/制御部と、を有する電気装置用の操作ユニットであって、操作板が操作区域間の接続ウェブを介して支持要素に接続され、操作板の操作区域が弾性を有して接続ウェブ間に可撓性を有して配置され、1以上の操作区域作動センサが支持要素に配置されて手動作動時の操作板の局所的屈曲を検出する、操作ユニットが周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2012 221 107号
【特許文献2】米国特許出願第2008/0018611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、操作ユニットの操作板が作動された際に、信頼性が高くかつ安全な方法で指の位置の検出を可能にする電気装置用の操作ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、電気装置用の、特には暖房、換気、及び/又は空調設備等の車両部品用の、操作ユニットを提供するものであり、上記操作ユニットは、前方壁を有する筐体と、前方壁を介して突出する操作板であって隣接して配置された複数の操作領域を有する細長い操作面を有する操作板と、筐体内に配置された操作板用の支持要素と、を備え、操作板は、操作板の前記操作区域それぞれの間の領域に突出する接続ウェブによって支持要素に接続され、操作板から各操作区域に突出し支持要素に接続される可撓性ウェブが、弾性を有して、接続ウェブを介した前記操作板の支持要素への接続よりも可撓性高く、接続ウェブ間に配置され、1以上の操作区域作動センサが、操作板の操作区域の1つに手動の作動力が加えられたときに操作板の局所的屈曲を検出するために、各可撓性ウェブに対応して支持要素上に配置され、操作区域作動センサからの信号を受信し、操作板の手動作動に際して一の手の指が配置された操作区域を信号に基づいて決定し、決定された操作区域に対応する、各操作区域に関連付けられた装置の機能をトリガする評価/操作部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の操作ユニットは、操作板がそれを介して突出する前方壁を備えた筐体を有し、操作板は、隣接して配置された複数の操作区域を備え前方壁に沿って延びる細長い操作面を有する。筐体内には支持要素が配置され、操作板は支持要素によって、操作区域間の領域においては比較的剛直に、かつ、操作区域の領域において比較的可撓性を有して、接続される。この目的のため、支持要素からは、接続ウェブと可撓性ウェブとが交互に突出する。接続ウェブしは比較的剛直であり、操作区域間のそれぞれの領域において操作板と接続される。可撓性ウェブは隣り合う2つの接続ウェブの間にそれぞれ位置され、操作板の操作区域の領域において、操作板を支持要素に可撓性を有して弾性に接続することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電気装置用の操作ユニットの正面斜視図である。
図2】枢動軸受、及び、操作板と筐体内に枢動可能に支持されている支持要素との接続を明示する図1の操作ユニットの切開斜視図である。
図3】筐体の切開図を図2における矢印III方向から見た平面図である。
図4】支持要素の構造と、その操作板への接続の構造とを明示する、キャリア要素と切開した筐体とを図3の線IV及び線Vに沿って見た断面斜視図である。
図5】支持要素の構造と、その操作板への接続の構造とを明示する、キャリア要素と切開した筐体とを図3の線IV及び線Vに沿って見た断面斜視図である。
図6】1つの可撓性ウェブに対応する2つの操作区域作動センサと可撓性ウェブとの間の相互作用を明示する、図1のVIに沿って見た筐体の断面図である。
図7図1と同様であるが、本実施形態において操作板が作動される際に手指が置かれている操作区域2の領域の屈曲を明示する正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
操作板は、手動で作動された際、すなわち手指で押された際、に局所的にわずかに弾性変形されるがそれが視覚的に認識不可能であるような材料(一般に可塑性材料)から製造され得る。手指が操作板の操作区域に接触しその後操作板を押すと、操作板はこの操作区域において操作者に感知されない程度にわずかに屈曲し、隣り合う操作区域間の操作板の比較的剛直な接続によって、この効果は実質的にそれぞれの操作区域に限定される、すなわち、この点において操作区域は互いに機械的に分断されている。本発明によれば、操作板の各操作区域は、支持要素に位置された操作区域作動センサに関連付けられる。操作板の操作区域に手動で作動力が加えられると、各操作区域作動センサは、操作板の対応する操作区域に接続された可撓性ウェブの屈曲により、操作板の局所的な屈曲を検出する。操作区域作動センサに接続された評価/制御部を介して、操作板が手動で作動されたときに手指が置かれた操作区域が、これらの操作区域作動センサの信号に基づいて決定可能である。このように、それぞれの操作区域に割り当てられた装置の機能がトリガされ得る。したがって、操作板の屈曲の機械的分断によって、作動時に手指が置かれるそれぞれの操作区域に割り当てられた操作区域作動センサは、その操作区域に隣接して配置された操作区域作動センサと比較して、最大の信号を出力する。
【0012】
このような信号パターン認識によって、操作板が作動された際に手指が置かれている操作区域に関して非常に信頼性の高い結論を導くことができる。例えば、隣り合う2つの操作区域の操作区域作動センサが略同じ振幅の信号を出力したような場合、これは、操作板が作動された際に、2つの操作区域の間の境界に手指が置かれたことを示し、このような場合装置のいかなる機能もトリガされない。
【0013】
細長い操作板が作動された際、本発明による構想では、作動時の操作板上で手指の位置をきわめて正確に決定することが可能である。
【0014】
操作板と支持要素との間の交互に異なる弾性接続は、様々な形で実現可能である。例えば、その形状、材料、及び/又は、支持要素及び/又は操作板との接続位置によって接続ウェブが可撓性ウェブよりも剛性が高くなるようにすること、及び/又は、接続ウェブと可撓性ウェブとが同じ形状かつ同じ材料であることから、第1接続点において支持要素から接続ウェブが突出するようにし、第2接続点において支持要素から可撓性ウェブが突出するようにし、第2接続点を第1接続点よりも操作板から離間させること、が考えられる。
【0015】
本発明の更なる好適な実施形態においては、支持要素そのものが、そこへ向けて圧縮応力をかけられている休止位置と1以上の枢動位置との間を枢動可能に支持され、及び、操作板が作動された際に支持要素が枢動位置を取ったことを検出する1以上の枢動位置センサに評価/操作部が接続されることが考えられる。したがって、本発明の本実施形態において、筐体内でわずかに枢動可能に支持される支持要素によって操作板はわずかに枢動可能である。この点において、支持要素は中心位置から反対の2方向へ、もしくは休止位置から1つだけの枢動方向へと枢動可能である。いずれの場合にも、操作板の作動が終了した後で支持要素が自動的にこの位置へと戻るよう、支持要素は中心位置又は休止位置に向かって圧縮応力をかけられている必要がある。支持要素が1以上の枢動位置を取ると、これが1以上の枢動位置センサによって検出可能である。枢動位置センサは、枢動位置センサの信号を基に操作板の作動が発生したかどうかが決定される評価/制御部に接続されている。操作区域作動センサを用いることで、上述のように、操作板上の指位置を検出可能となる。
【0016】
更なる好適な実施形態においては、接続ウェブ及び可撓性ウェブが共通の横断ウェブから突出するようにすること、及び、支持要素が、隣接する縁凹部と凹部を互いから隔てる突出領域とが交互に配置された支持本体を有し、突出領域が、操作板に向けて配向された支持本体の操作板縁部を形成し、可撓性ウェブが縁凹部内に延出しかつ操作板縁部を超えて突出し、可撓性ウェブが突出領域内で支持本体に固定されかつ操作板縁部を超えて突出するようにすることが考えられる。支持本体の略櫛状の構造は、より大きな自由屈曲長さによって、縁凹部内に延出しかつ操作板縁部を越えて突出する可撓性ウェブが、支持本体の突出領域内で固定されている比較的短い可撓性ウェブよりも高い可撓性を有し、そのため比較的短い距離で支持本体の操作板縁部を越えて突出することを確実にする。
【0017】
横断ウェブ、接続ウェブ、及び可撓性ウェブが、支持要素に、操作板との間の一体的な櫛状接続要素を形成し、接続要素が特に金属を含むならば構造及び組み立てに関してより有利であり、ここで支持要素は接続要素をオーバーモールドする可塑性材料を含み得る。
【0018】
本発明の上述の有利な実施形態において、支持本体は、有利には、支持本体の縁凹部を被覆する作動センサ支持板に接続され得て、これらの被覆領域において、可撓性ウェブに割り当てられた操作区域作動センサを有する。操作区域作動センサを含む作動センサ支持板はこのように、支持本体に、例えばその上側又は下側において接触する。操作区域作動センサは、被覆領域上に配置され、可撓性ウェブの屈曲を検出する。支持本体が、いずれかの側の一の作動センサ板に接続されていると有用であり得る。このようにすると、例えばそれぞれ一の可撓性ウェブに割り当てられた2つの操作区域作動センサの差動測定により、それぞれの可撓性ウェブの屈曲を高い信頼性で検出することが可能であり、また、屈曲方向も決定可能である。例えば指で操作板の上面に触れることで操作板を押し下げる、及び、指で操作板の下面に触れることで操作板を押し上げる、といったように、操作板が反対の2方向に作動可能であると有利である。
【0019】
操作板の2つの異なる作動方向は、可撓性ウェブがセンサに対して圧縮応力をかけられており、センサに加えられているその応力が、作動方向によって減弱又は増大する場合、操作区域作動センサを1つだけ用いることによっても実現可能である。
【0020】
操作区域作動センサと、設けられている場合には枢動位置センサと、について、(経路、力、又は圧力)センサシステムは、容量的、誘導的、オーム的、又は光学的に機能するものが利用可能である。また、リミットスイッチを用いることも可能である。
【0021】
設計上の理由で、操作板は、少なくともその操作区域においてコーティング仕上げされた表面を有することが有利である。これは、塗装面、又は、更なる例示的実施形態において、金属面であってよい。本発明の構想では、操作板上の指接触点検出を、操作板そのものにおいてではなく、操作板の外部、すなわち支持要素において行うことから、このような設計の自由度が与えられる。本発明によれば、手袋をした手によっても操作板を作動することも可能である。
【0022】
本発明の構想は、力検出/力フィードバックシステムと組み合わせることが可能である。この点について、操作板の作動の検出時、操作板に強制機械的動作を行わせることで、操作者に触覚作動フィードバックを与えることが考えられる。
【0023】
以下、実施形態と図面を参照し、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、単純化された操作ユニット10の正面斜視図である。操作ユニット10は、切り欠き16が設けられた前方壁14を有する筐体12を有する。操作板18は、切り欠き16を通じて、前方壁14から突出する。操作板18は、複数の操作区域22、24、26、28、30が隣接して配置された操作面20を有する。操作ユニット10は一般的に、更なる操作要素を含み、特には、ディスプレイ又はその他の典型的指示要素のような指示要素を含むが、これは本発明において重要性を持たず、そのため本明細書内で詳述も図示もされない。
【0025】
特に図2〜6から分かるように、操作板18は、筐体12内に配置された支持要素32に接続されている。支持要素32は、略板状であり、枢動軸36を中心に枢動可能であるよう筐体12内に配置された支持本体34を有する。この目的のため、筐体12は例えば、その2つの側壁の領域内に2つの枢動軸受ブロック40を含み、このブロックに支持本体34が枢動可能に配置される。このようにして、操作板18は、両矢印42で示される2つの枢動方向のうちの1つに枢動できる。支持要素32の枢動は、例えばリミットスイッチとして設計される2つの枢動位置センサ44、46により、両方向に検出可能である。
【0026】
ここで記載される実施形態で重要なのは、支持要素32に対する、操作板18の交互に異なる可撓性接続である。図2〜5を参照し、以下にこの点を説明する。
【0027】
操作板18と支持要素32との機械的接続は、例えば金属、又はその他の弾性可撓性材料からなる複数の隣接したウェブによって実現される。ここで、接続ウェブ48と可撓性ウェブ50は交互に配置される。これらのウェブは操作板18の異なる領域に接続されている。例えば、接続ウェブ48は、それぞれの隣り合う操作区域間の境界52と、操作板18の2つの最外端部54とに位置され、一方、可撓性ウェブ50は、それぞれの操作区域のおおよそ中心で操作板18に接続される。接続ウェブ48と可撓性ウェブ50とは、板ばねとして設計され、これらのウェブと一体的に接続された横断ウェブ56から突出する。このようにして、支持要素32の一部である櫛状の接続要素59が形成される。
【0028】
櫛状の接続要素59は、本実施形態においてウェブの櫛状構造にオーバーモールドされた可塑性材料を含む、支持本体34に固定される。別法として、他の実施形態の櫛状の接続要素59は、支持本体34に取り付けられていてもよい(例えば、ねじ、ホットプレス、鋲打ち等)。ここで、支持本体の操作板縁部58、すなわち操作板18に対向する支持要素32の縁部、には縁凹部60が設けられ、凹部間に突出部62が配置されていることから、支持本体34そのものも櫛状構造を有している。可撓性ウェブ50と接続ウェブ48が突出する横断ウェブ56は、具体的には支持本体34の可塑性材料に埋め込まれることによって、支持本体34に固定される。接続ウェブ48も、支持本体34の材料に埋め込まれており、これにより、突出部62に並行して延出することで支持本体34に固定され、わずかな自由長さ64のみで操作板縁部58を超えて突出する。
【0029】
これに対し、可撓性ウェブ50は縁凹部60を介して延出する、すなわち、接続ウェブ48よりも実質的により長い自由屈曲長さ66を有する。
【0030】
これは、図4に明示されており、図4では更に、可撓性ウェブ50の上面及び下面に押圧体68が成形されていることが確認でき、押圧体は図6に示すとおり操作区域作動センサ70、72と協調する。更なる実施形態としては、(可撓性ウェブに)エンボスされた押圧体、又は別個に取り付けられた押圧体が考えられる。これらの操作区域作動センサ70、72は、支持本体34の上下に配置される支持板74、76上に位置される。操作区域作動センサ70、72は、支持板74、76のブリッジ部77内に位置され、これらのブリッジ部77は支持本体34の縁凹部60を被覆する。操作区域作動センサ70、72と枢動位置センサ44、46とは、評価/制御部78に接続され、ここで、操作板18の下向きの押圧又は上向きの牽引が、具体的には枢動位置センサ44、46の信号に基づいて検出され、また、操作板が作動された際に、操作板18のどの操作区域に手指が置かれている又は係合しているかが更に検出される。
【0031】
操作区域の検出は、図7に明示されているとおり、操作板18の局所的な屈曲に基づいて行われる。操作板18の作動に際し、例えば操作区域24に手指が置かれるとき、この例では操作板は操作区域24の領域において下向きに屈曲する。操作区域24と、隣り合う操作区域22、26との境界52において、操作板18は比較的剛直に支持本体34に接続される。このため、操作区域24の領域における屈曲は、大きく減衰した形で隣り合う操作区域22、26に伝達される。操作区域24の領域における屈曲は、この操作区域24に割り当てられた可撓性ウェブ50の撓みに基づいて、すなわち、それぞれの可撓性ウェブ50の操作区域作動センサ70、72によって、検出される。操作区域24に割り当てられた操作区域作動センサ70、72は、隣り合う操作区域22、26に割り当てられた操作区域作動センサ70、72又はこれら隣り合う操作区域の可撓性ウェブ50よりも、大きな信号を出力する。
【0032】
ここで記載された、局所的に可撓性を有しかつ局所的に剛直である、つまり交互に可撓性と剛性とを有する形で結合されている操作板の構想により、操作板18の手動の作動に際して、力が加えられた点をより高い安全性と信頼性で決定することが可能である。これにより、操作板18には触覚センサシステム又は容量型センサシステムが不要となり、触覚認識用のセンサシステムによって表面設計及び表面材料が限定されず、操作板に大きな自由度が与えられる。このように、例えば操作面20又は操作板18の全面をコーティングし仕上げを施すことが可能となり、操作板18の支持材料と表面層との組み付けが十分に弾性で可撓性であり、剛直な操作板18の印象を与えるために、操作者に感知されないような形で操作板18の局所的な屈曲を検出することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
10:操作ユニット
12:操作ユニットの筐体
14:筐体の前方壁
16:前方壁の切り欠き
18:操作板
20:操作板の操作面
22:操作面の操作区域
24:操作面の操作区域
26:操作面の操作区域
28:操作面の操作区域
30:操作面の操作区域
32:操作板の支持要素
34:支持要素の支持本体
36:支持要素の枢動軸
38:筐体の側壁
40:枢動軸受ブロック
42:両矢印(操作板の枢動方向)
44:枢動位置センサ
46:枢動位置センサ
48:接続ウェブ
50:可撓性ウェブ
52:操作区域間の境界
54:操作板端部
56:横断ウェブ
58:操作板縁部
59:支持本体と操作板との間の櫛状接続要素
60:縁切り欠き
62:突出部
64:各接続ウェブの自由長さ
66:各可撓性ウェブの屈曲長さ
68:押圧体
70:操作区域作動センサ
72:操作区域作動センサ
74:センサ支持板
76:センサ支持板
77:各センサ支持板のブリッジ部
78:評価/制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7