(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722197
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】硫酸アンモニウムの造粒
(51)【国際特許分類】
C01C 1/24 20060101AFI20200706BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20200706BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20200706BHJP
B01J 2/04 20060101ALI20200706BHJP
C05C 1/02 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
C01C1/24 B
B01J2/00 C
B01J8/24
B01J2/04
C05C1/02
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-558465(P2017-558465)
(86)(22)【出願日】2016年5月25日
(65)【公表番号】特表2018-522796(P2018-522796A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】EP2016061810
(87)【国際公開番号】WO2016189036
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2017年11月7日
(31)【優先権主張番号】102015108344.2
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514088943
【氏名又は名称】ティッセンクルップ インダストリアル ソリューションズ アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Industrial Solutions AG
(73)【特許権者】
【識別番号】516135391
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Thyssenkrupp AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】バニク,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】マティアク,イェンス
【審査官】
西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭51−076199(JP,A)
【文献】
特開昭63−282183(JP,A)
【文献】
特開昭58−049683(JP,A)
【文献】
米国特許第08974763(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01C 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸アンモニウムを含む顆粒を生成するためのプロセスであって、当該プロセスが、
(a)硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムを含む組成物を提供するステップと、
(b)前記組成物を造粒するステップと、
を具え、
前記組成物中の硫酸アンモニウムの含有量が、30重量%から飽和溶液の最大値までの範囲であり、
ステップ(a)において提供される前記組成物の造粒が、
(b1)硫酸アンモニウム含有核を提供するステップと、
(b2)前記硫酸アンモニウム含有核を流動化させるステップと、
(b3)前記核に向けてステップ(a)で提供された前記組成物をアトマイズするステップと、
を含む流動床造粒によってステップ(b)において実施され、
前記組成物が、複数のノズルを介してステップ(b3)でアトマイズされ、
前記組成物の少なくとも150mlが、1分当たり各ノズルを介してアトマイズされることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
前記組成物中の純粋な硫酸アルミニウムの含有量が、乾燥した造粒物の総重量に基づいて、0.5乃至2.5重量%の範囲にあることを特徴とするプロセス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロセスにおいて、
前記流動床の温度が、50乃至100℃の範囲にあることを特徴とするプロセス。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、
前記硫酸アンモニウム含有核の直径が、0.5乃至2.0mmの範囲にあることを特徴とするプロセス。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、
前記顆粒が、2乃至5mmの範囲のサイズを有することを特徴とするプロセス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、
前記組成物が溶液であることを特徴とするプロセス。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、
完成した顆粒が、ステップ(b3)でアトマイズされた硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムの量の少なくとも95重量%を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、
前記顆粒の生成の後に3つの画分に前記顆粒を分割するステップ(c)を具えており、
1つの画分(F1)が、所望の目標サイズを有する粒子を含んでおり、
1つの画分(F2)が、前記所望の目標サイズを越えるサイズを有する粒子を含んでお
り、
1つの画分(F3)が、前記所望の目標サイズを下回るサイズを有する粒子を含む、
ことを特徴とするプロセス。
【請求項9】
硫酸アンモニウムを含む顆粒を生成するための装置において、当該装置が、少なくとも一時的に互いに有効に結合された、
(A)硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムを含む組成物を生成するよう構成された混合装置であって、前記組成物中の硫酸アンモニウムの含有量が、30重量%から飽和溶液の最大値までの範囲である、混合装置と、
(B)前記混合装置の下流側に配置され、前記混合装置で生成された前記組成物をアトマイズするよう構成されたアトマイズ装置と、
(C)前記混合装置の下流側に配置され、前記顆粒を生成するよう構成された流動床と、
から成る構成要素を具え、
前記組成物を、ノズルを介して硫酸アンモニウム含有核に向けてアトマイズし、
前記組成物の少なくとも150mlを、1分当たり各ノズルを介してアトマイズすることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記装置と有効に結合された構成要素を追加的に具えており、前記構成要素が、
(D)前記流動床の下流側に配置され、異なる粒径の画分に前記顆粒を分割するよう構成された分割装置、及び/又は
(E)流動化のために使用される空気を浄化するよう構成された浄化ステージと、
を具えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプロセスにおける、請求項9又は10記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸アンモニウムを造粒するためのプロセス及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硫酸アンモニウムは、非常に多数の用途を有する。例えば硫酸アンモニウムは、肥料又は肥料添加物として使用される。このケースでは、硫酸アンモニウムは、植物の栄養に重要な窒素の原料だけではなく、硫黄の原料である。世界の多くの土壌には硫黄欠乏があるが、硫酸アンモニウムの選択的添加によって少なくとも部分的に補い得る。
【0003】
硫酸アンモニウムは、様々な方法で生成し得る。例えば硫酸アンモニウムは、硫酸の中にアンモニアを導入することによって形成し得る。工業的には、硫酸アンモニウムは、例えばカプロラクタムを生成するための石炭炉又はプラントで副産物として生じる溶液から頻繁に結晶化する。硫酸アンモニウムの結晶化では、通常、通例的に1乃至2mmの直径を有する正方晶が形成される。
【0004】
硫酸アンモニウムは、通常、肥料の唯一の構成要素ではなく、むしろ肥料は、(例えば、窒素、リン、カリウム又は硫黄といった)様々な植物栄養素の組み合わせを含んでいる。このため硫酸アンモニウムは、使用時に、バランスの取れた肥料混合物を生成するために粒状肥料と頻繁に混合される。
【0005】
しかしながら、結晶硫酸アンモニウムは、粒状肥料混合物へのその取り込みをより困難にするいくつかの不利益な点を有する。第一に、結晶体に形成される硫酸アンモニウム粒子は、比較的小さく、第二に、摩耗及び粉塵形成により、粒子はしばしば大きくそのサイズを変える。これらの特性は、硫酸アンモニウムを含む物理的に同一の肥料混合物を生成するのを困難にする。しかしながら、肥料混合物の分布では、個々の構成要素の均一な混合及び粒径分布が重要である。さらに、過度に広い粒径分布はまた、肥料混合物の均一な排出に機械的な問題を引き起こす可能性がある。
【0006】
これらの理由から、増々頻繁に、粒状の肥料又は肥料混合物が使用され、それらはさらに、個々の構成要素を混合することによって使用の直前に提供され得る。粒状硫酸アンモニウムは、理想的には球状であり、個々の顆粒粒子が例えば2乃至4mmの直径を有する。このサイズは、世界的に最も知られた尿素の顆粒に基づいている。
【0007】
粒状硫酸アンモニウムの製造に関して、様々なプロセスが従来技術で知られている。
【0008】
米国特許第4589904号明細書は、下流側に乾燥機を備えたドラム型造粒における硫酸アンモニウムの造粒を記載しており、この溶液はプレ中和剤中で生成される。
【0009】
米国特許出願公開第2012/0231277号明細書は、流動床又は噴流床造粒によって顆粒を製造することに関する。この目的のために、前もって別に生成される造粒核が、硫酸アンモニウム含有溶液で吹き付けられ、その後乾燥される。
【0010】
硫酸アンモニウムの造粒における問題は、直径が0.5mm未満の粒子であることを理解すべきである粉塵の形成である。粉塵の形成は、実質的に、3つの要因によるものである。第一に、造粒すべき材料を噴霧するノズルが、各ケースにおいて、特定の直径分布を有する液滴を形成することであり、最も小さい液滴のいくつかは、硫酸アンモニウム粒子に衝突する前に固化し、このような態様では、形成された粉塵がこのため排気とともに造粒機を再び離れる。さらに、特に流動床における粒子の移動及び衝突による顆粒の摩耗は粉塵源として述べられ、生成される粉塵の量は、顆粒の機械的性質に顕著に依存する。最後に、言及される3つ目の要因は、過度に大きい顆粒粒子の粉砕から形成される粉塵であり、この粉塵は、通常、従来技術のプロセス及びプラントにおいて、造粒機に直接的に戻される。
【0011】
この理由のために、造粒添加剤が、このような粉塵形成を減らすことを意図して頻繁に使用される。これらの添加剤の添加により、顆粒粒子、特にその表面にはプラスチックが残っているので、回転運動及び衝突の結果として、平滑な表面及び良好な機械的安定性を有する主として円形粒子が得られる。このため、得られる顆粒は、高い圧縮強度及び衝撃強度を有し、摩耗による粉塵形成の傾向が低く、さらには、比較的長期間保存したケースでさえも、凝集体の形成の傾向は低い。しかしながら、対応する造粒添加剤は、流動床造粒で使用されるだけではなく、例えば、噴霧結晶化又はドラム造粒といった、他のプロセスでも使用される。
【0012】
従来技術において、粉塵形成を回避又は減らすための多くのプロセスが説明されている。Wangらは、造粒すべき硫酸アンモニウム溶液の添加剤として炭酸カルシウム又は二酸化ケイ素の使用を説明しており(Particuology 11(2013),483−489)、そこでは、満足のいく造粒結果を得るために、各添加剤を比較的大量に使用する必要がある。これらの添加剤は、実質的には水に不溶で、懸濁を形成するため、マイクロ粒子又はナノ粒子としてのみ使用され、これにより、それらを入手するのに顕著なコスト要因となる。第2に過度に粗い粒子が、ポンプにダメージを与え、スプレーノズルを閉塞することもある。
【0013】
しかしながら、硫酸アンモニウムの造粒のためのプロセス及び装置は、全ての点で満足のいくものではなく、プロセス及び装置を改善する必要性がある。
【0014】
本発明の目的は、硫酸アンモニウムの造粒のための改善されたプロセス及び装置を提供することである。
【0015】
この目的は、本発明及び本明細書によって達成される。
【0016】
驚くべきことに、水に高可溶性の添加剤として硫酸アルミニウムを使用すると、硫酸アンモニウムがかなり少ない粉塵形成で造粒され得ることが見出された。同時に、この添加剤をほとんど使用しないケースでさえも、粒子硬度(圧縮強度)がかなり増加する。これにより、硫酸アンモニウムの造粒において、より高い生成物含量が得られ、その結果、従来技術よりもコスト効率良くこのプロセスを実行し得る。
【発明の概要】
【0017】
本発明の第1の態様は、硫酸アンモニウムを含む顆粒を生成するためのプロセスに関し、当該プロセスが、
(a)硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムを含む組成物を提供するステップと、
(b)組成物を造粒するステップと、
を具える。
【0018】
顆粒は、好適には、均一な形状で且つ一様に構成される粒子を含んでおり、特性及び物理的挙動が当業者に知られている。顆粒の結晶粒は様々なサイズを想定でき、結晶粒径の分布幅は顆粒の品質の基準である。本発明に係る顆粒は、好適には、狭い結晶粒径分布を有しており、最も大きい粒子及び最も小さい粒子の直径が、好適には、最大でも10mm、より好適には、最大でも8mm、最大でも6mm、最大でも4mm、最大でも3mm、又は最大でも2mmだけ互いに相違する。
【0019】
好適な実施例では、本発明の顆粒が、2乃至5mmの範囲、より好適には2乃至4.5mmの範囲、さらにより好適には2乃至4mmの範囲、最も好適には2.5乃至4mmの範囲のサイズを有する。
【0020】
本発明に係るプロセスのステップ(a)で、硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムを含む組成物が生成される。好適には、組成物は、さらに、水を含んでいる。好適には、硫酸アンモニウム、硫酸アルミニウム及び水が、混合装置で混ぜられる。好適には、硫酸アンモニウム及び水の組成物、並びに硫酸アルミニウム及び水の第2の組成物が調整され、液体状態で適切な比で混合される。好適には、結晶性硫酸アンモニウム及び水の組成物を調整し、また、適切な比で液体状態で混合された硫酸アルミニウム及び水の第2の組成物が使用される。好適には、硫酸アンモニウム及び水の組成物が使用され、適切な割合で液体状態で混合/計量された硫酸アルミニウム及び水の第2の組成物が調整される。結晶性硫酸アルミニウムが対応する割合で添加された硫酸アンモニウムおよび水の組成物を使用することが好ましい。結晶性硫酸アルミニウムが対応する割合で添加された硫酸アンモニウムおよび水の組成物を調製することが好ましい。適切な混合装置は当業者に知られている。
【0021】
硫酸アルミニウムは、結晶水が無い純粋な化合物としてだけではなく、様々な比の結晶水を備えて存在する。以降で説明する全ての好適な実施例では、市販の結晶生成物(一般に化学量論的に42.4重量%)中に存在する結晶水は、硫酸アルミニウムの割合及び濃度に関して、無視すべきである。
【0022】
好適な実施例では、組成物中の硫酸アンモニウムの含有量が、飽和溶液に関して30重量%乃至最大で約50重量%の範囲、より好適には31乃至49重量%の範囲、32乃至48重量%の範囲、33乃至47重量%の範囲、34乃至46重量%の範囲又は35乃至45重量%の範囲であり、各ケースにおいて組成物の総重量に基づいて、温度依存性の結晶化限界値よりも常に下回る。
【0023】
好適な実施例では、組成物の固体分中の純粋な硫酸アルミニウムの含有量が、0.5乃至2.5重量%の範囲、より好適には0.55乃至2.3重量%の範囲、0.6乃至2.1重量%の範囲、0.65乃至1.9重量%の範囲、0.7乃至1.7重量%の範囲、0.75乃至1.5重量%の範囲、0.8乃至1.3重量%の範囲、0.85乃至1.2重量%の範囲、0.9乃至1.1重量%の範囲であり、各ケースにおいて、乾燥した造粒物の総重量に基づいている。
【0024】
別の好適な実施例では、組成物中の純粋な硫酸アルミニウムの含有量が、最大で2.5重量%、より好適には最大で2.3重量%、最大で2.1重量%、最大で1.9重量%、最大で1.7重量%、最大で1.5重量%、最大で1.3重量%、最大で1.2重量%、最大で1.1重量%、又は最大で1.0重量%であり、各ケースにおいて、乾燥した造粒物の総重量に基づいている。
【0025】
好適には、組成物中の硫酸アルミニウムに対する硫酸アンモニウムの質量比が、50:1乃至10:1の範囲であり、より好適には48:1乃至15:1の範囲であり、46:1乃至20:1の範囲であり、44:1乃至25:1の範囲であり、43:1乃至30:1の範囲であり、又は42:1乃至35:1の範囲である。
【0026】
この組成物は、好適には、混合物の形態であり、混合物は好適には溶液の形態とすることができる。
【0027】
本発明に係るプロセスのステップ(b)で、組成物が造粒される。この組成物は、例えば、噴霧結晶化(プリル化)又は流動床造粒といった、当業者に知られた慣用的方法により造粒され得る。好適には、組成物は流動床造粒によって造粒される。
【0028】
顆粒は、好適には組成物の凝固液滴を乾燥することによって、あるいは既に固化した既に存在する顆粒粒子の摩耗によって生成され得る。このような顆粒粒子がさらなる液滴で濡れることにより粒子が成長し、好適には均一な顆粒を形成する。
【0029】
好適な実施例では、ステップ(a)で提供される組成物の造粒が、流動床造粒によってステップ(b)に進行し、ステップ(b)が、
(b
1)硫酸アンモニウム含有核を提供するステップと、
(b
2)前記硫酸アンモニウム含有核を流動化させるステップと、
(b
3)前記核に向けてステップ(a)で提供された前記組成物をアトマイズするステップと、
を具える。
【0030】
本発明に係るプロセスのステップ(b
1)では、好適には硫酸アンモニウム含有核が提供される。好適には、核は、造粒された硫酸アンモニウムを篩分け及び/又は粉砕することによって生成される。
【0031】
本発明の核は、好適には狭いサイズ分布を有しており、最大及び最小の核の直径が好適には互いに最大で4mm、より好適には最大で2mm、最大で1mm、又は最大で0.5mの差がある。核の直径を判定するためのプロセスは、当業者に知られている。
【0032】
好適な実施例では、硫酸アンモニウム含有核の直径が、0.1乃至4.0mmの範囲、より好適には0.1乃至2.0mmの範囲、最も好適には0.5乃至2.0mmの範囲である。
【0033】
硫酸アンモニウム含有核は、好適には流動床で流動化される。流動床は、固体及び液体のための多くのプロセス技術に適しており、その構造が当業者に知られている。本発明に係る流動床は、好適には硫酸アンモニウム含有核によって形成される。好適には、流体は流動床を通って流れる。硫酸アンモニウム含有核は、好適には、流体の上向きの流れによって流動状態に置かれる。このケースでは、核の液体様状態が生成され、これは「流動床」とも称される。好適には、流体は空気を含む。
【0034】
好適には、硫酸アンモニウム含有核の流動化について使用される、いわゆる流体の見掛け速度は、1乃至5m/sの範囲、より好適には1.5乃至4.5m/sの範囲、2乃至4m/sの範囲、又は2.5乃至3.5m/sの範囲である。
【0035】
好適には、流動床の温度は、50℃乃至100℃の範囲、より好適には60℃乃至90℃の範囲、又は70℃乃至80℃の範囲である。流体は、流動床温度に達するために相応に予熱される。
【0036】
本発明に係るプロセスのステップ(b
3)では、ステップ(a)で提供される組成物が、好適には核にアトマイズされる。ステップ(a)で提供される組成物のアトマイズで形成される液滴は、好適には、このケースでは、流動化された硫酸アンモニウム含有核の流動床に移動する。流動床に達すると、液滴は、好適には空気によって、液滴の周囲を底部から頂部に流れ、流体は、液滴が主として核で乾燥且つ固化するように作用し、その結果、液滴は核の成長に寄与する。
【0037】
ステップ(a)で提供される組成物は、好適には、アトマイジングで形成される液滴が底部から上部に流動床の中にアトマイズされるような方式で、流動床の下方又は下でアトマイズされ、結果としてアトマイズされた組成物が流動床の粒子に移されて乾燥される。
【0038】
好適な実施例では、ステップ(a)で提供される組成物は、ノズルを介してステップ(b3)でアトマイズされ、1分当たり組成物の少なくとも150ml、より好適には、1分当たり少なくとも250ml、1分当たり少なくとも500ml、1分当たり1000ml、1分当たり1500ml、又は1分当たり2000mlが各ノズルを介してアトマイズされる。
【0039】
好適には、ステップ(a)で提供される組成物をアトマイズするために空気がステップ(b3)で使用される。好適には、わずかに減少した圧力が流動床に広がる。好適には、減圧は、最大で10mbar、より好適には最大で5mbar、又は最大で2mbarである。好適には、減圧により、できる限り少ない粉塵しか流動床から離れず、好適には全く離れないことが確実となる。
【0040】
好適には、各ノズルを介して組成物をアトマイズするためにステップ(b
3)で使用される空気の流量が、時間当たり10乃至200m3の範囲、より好適には、時間当たり20乃至180m3の範囲、時間当たり40乃至160m3の範囲、時間当たり60乃至140m3の範囲、時間当たり80乃至120m3の範囲である。
【0041】
好適には、液滴が硫酸アンモニウム含有核又は既に存在する既に固化した顆粒粒子を濡らして、それらが均一に成長し、均質な顆粒を形成するようにする。
【0042】
好適な実施例では、顆粒粒子が流動床を離れ、好適には分別装置に運ばれる。流動床からさらなる装置に顆粒粒子を運ぶための適切な手段は、当業者に知られている。例えば、特別に作成された分配プレートを使用することによって、流動状態の顆粒粒子が、鉛直方向だけではなく、加えて水平方向にも動き出し、これにより、流動床を徐々に離れる。
【0043】
好適な実施例では、ステップ(b
2)で流動化のために使用される空気の少なくとも一部が、浄化ステージで浄化される。好適には、空気が、流動床を通って流れた後に、上記の流動床から除去され、浄化ステージに送られる。好適には、空気が浄化ステージで浄化され、すなわち、特に固体粒子及び液滴から解放される。
【0044】
好適な実施例では、顆粒が、生成された後に3つの画分に分割され、
−1つの画分(F
1)は、所望の目標サイズを有する粒子を含んでいる。
−1つの画分(F
2)は、所望の目標サイズを上回るサイズを有する粒子を含んでいる。
−1つの画分(F
3)は、所望の目標サイズを下回るサイズを有する粒子を含んでいる。
【0045】
好適には、所望の目標サイズを有する粒子を含む画分(F
1)が、流動床を離れた後でさらに処理される。
【0046】
好適には、所望の目標サイズを上回るサイズを有する粒子を含む画分(F
2)が、好適には顆粒粒子を粉砕するよう構成された粉砕装置に送られる。好適には、画分(F
2)の粒子が粉砕装置で粉砕され、粉砕された粒子が、好適には、流動床に戻される。
【0047】
好適には、所望の目標サイズを下回るサイズを備える粒子を含む画分(F
3)が、流動床に戻される。
【0048】
好適な実施例では、完成した顆粒が、ステップ(b
3)でアトマイズされた少なくとも95重量%、より好適には少なくとも95.5重量%、少なくとも96重量%、より好適には96.5重量%、少なくとも97重量%、少なくとも97.5重量%、又は98重量%の硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムを含む。
【0049】
好適な実施例では、硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムの量は、例えば、最大で5重量%、より好適には、最大で4.5重量%、最大で4重量%、最大で3.5重量%、最大で3重量%、最大で2.5重量%、最大で2重量%、最大で1.5重量%、最大で1重量%、又は最大で0.5重量%であり、各ケースにおいて、アトマイズされた硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムの乾燥した総重量に基づいている。
【0050】
本発明のさらなる態様は、硫酸アルミニウム及び硫酸アルミニウムを含む顆粒に関し、全ての顆粒粒子が同等な組成を有し、顆粒中の純粋な硫酸アルミニウムの含有量が、0.5乃至2.5重量%の範囲である。
【0051】
本発明の目的に匹敵する組成は、個々の顆粒粒子の本発明に係る顆粒の個々の成分の物質量が、顆粒全体の各成分の物質量の平均値よりも、最大で2%、より好適には最大で1.5%又は最大で1%異なることを意味する。顆粒の物質量を判定する方法は、当業者に知られている。
【0052】
好適な実施例では、顆粒中の硫酸アンモニウムの含有量が、少なくとも97.5重量%、より好適には少なくとも98重量%、少なくとも98.5重量%、又は少なくとも99重量%であり、各ケースにおいて、顆粒の総重量に基づいている。
【0053】
さらなる好適な実施例では、顆粒中の純粋な硫酸アルミニウムの含有量が、0.5乃至2.5重量%の範囲、より好適には0.6乃至2重量%の範囲、0.7乃至1.5重量%の範囲、又は0.8乃至1.0重量%の範囲であり、各ケースにおいて、顆粒の総重量に基づいている。
【0054】
顆粒は、任意に、さらなる構成物を含んでいる。例えば、微粒子組成が、残余の水分として水を含んでいる。好適には、顆粒中の水の含有量は、最大で1.0重量%、より好適には最大で0.8重量%、0.6重量%、最大で0.4重量%、又は最大で0.2重量%であり、各ケースにおいて、顆粒の総重量に基づいている。
【0055】
本発明のさらなる態様が、硫酸アンモニウムを含む顆粒を生成するための装置に関し、当該装置が、少なくとも一時的に互いに有効に結合された、
(A)硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムを含む組成物を生成するよう構成された混合装置と、
(B)混合装置の下流側に配置され、混合装置で生成された組成物をアトマイズするよう構成されたアトマイズ装置と、
(C)混合装置の下流側に配置され、顆粒を生成するよう構成された流動床と、
から成る構成要素を具える。
【0056】
本発明に係るプロセスに関連して上述された好適な実施例は、本発明に係る装置にも対応して類似的に適用される。
【0057】
本発明に係る装置の構成要素は、互いに効果的に連関しており、すなわち、適切な配管等によって、装置の一般的機能を確実にするような方式で互いに結合されている。これに必要な方策は、当業者に知られている。
【0058】
本発明に係る混合装置は、好適には、硫酸アンモニウム及び硫酸アルミニウムを含む組成物を生成するよう構成される。このような混合装置の機能の構造及び方法は、当業者に知られている。
【0059】
アトマイズ装置では、本発明に係る混合装置で生成された組成物が、好適には、アトマイズされる。好適には、アトマイズ装置は、流動床の上流側であって、好適にはその下方又は中に配置され、底部から上部に流動床に向けて組成物をアトマイズする。アトマイズ装置は、アトマイズ装置に形成される液滴が狭いサイズ分布を有し、均一に分布するような方式で構成される。
【0060】
流動床は、好適には、硫酸アンモニウム核を流動化し顆粒粒子を形成するよう構成される。
【0061】
好適な実施例では、装置が装置と有効に結合された構成要素を追加的に具えており、構成要素は、
(D)流動床の下流側に配置され、異なる粒径の画分に顆粒を分割するよう構成された分割装置、及び/又は
(E)流動化のために使用される空気を浄化するよう構成された浄化ステージと、
を具える。
【0062】
分割装置は、好適には、流動床の下流側に配置され、異なる粒径の細片に顆粒を分割するよう構成される。このケースでは、所望の目標サイズを有するそれらの粒子は、好適には、流動床を出た後にさらに処理される。選択的に製品流の一部分をも有し、所望の目標サイズを上回るサイズを有する粒子は、好適には粉砕装置に供給され、そこで粉砕される。好適には、粉砕された粒子は、核として流動床に戻される。所望の目標サイズを下回るサイズを有する粒子は、核として流動床に戻される。
【0063】
浄化ステージは、好適には、流動床を通って流れる空気を浄化するよう構成され、すなわち、特に、固形粒子及び液滴から空気を除去する。好適には、浄化ステージは、湿式スクラバである。
【0064】
好適な実施例では、本発明に係る装置が、本発明に係るプロセスで使用される。