特許第6722250号(P6722250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6722250直交する折り目による波状の金属製メンブレンを含む液密熱絶縁タンク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722250
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】直交する折り目による波状の金属製メンブレンを含む液密熱絶縁タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20200706BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20200706BHJP
   B65D 90/04 20060101ALI20200706BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   F17C3/04 A
   F17C3/04 E
   B65D90/02 A
   B65D90/04 A
   B63B25/16 103
【請求項の数】26
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-187960(P2018-187960)
(22)【出願日】2018年10月3日
(62)【分割の表示】特願2015-536207(P2015-536207)の分割
【原出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2019-52758(P2019-52758A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年10月4日
(31)【優先権主張番号】1259622
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】ヘリー ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ブゴル ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シャルパンティエ バンジャマン
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−0760481(KR,B1)
【文献】 登録実用新案第3175526(JP,U)
【文献】 特表2010−528241(JP,A)
【文献】 特公昭35−017732(JP,B1)
【文献】 特開2002−181288(JP,A)
【文献】 特開2001−058693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
B65D90/02
B65D90/04
B63B25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐荷重壁を備えた耐荷重構造に組み込まれた液密熱絶縁タンクであって、
前記タンクは前記耐荷重壁(3)に取り付けられたタンク壁を有し、
前記タンク壁は、
前記耐荷重壁(3)に保持され、隣接した平行な列となって互いの間に間隙(10)を空けた直角平行6面体でできた絶縁ブロック(1)で構成された熱絶縁バリアと、
前記熱絶縁バリアに支持され、封止状態で互いに溶接された金属シート(11)で形成された金属製メンブレンを含む液密バリアと、を含み、
前記熱絶縁バリアの少なくとも幾つかの絶縁ブロックは、前記耐荷重壁(3)に対向する同一面で、前記絶縁ブロックの側面と平行に設けられた少なくとも2つの略直交した金属製連結ストリップ(5,6)を支持し、
前記絶縁ブロックに支持された前記金属製メンブレンの前記金属シート(11)は前記連結ストリップに溶接され
前記連結ストリップは前記連結ストリップを支持する前記絶縁ブロックに強固に接続され、前記連結ストリップを支持する前記絶縁ブロックに形成された凹部に着座し、
前記金属製メンブレンの前記金属シート(11)はそれぞれ前記絶縁ブロック(1)の側面に平行な少なくとも2つの直交する折り目(12a,12b)を有し、前記折り目は2つの前記絶縁ブロック間に形成された間隙(10)に挿入される
ことを特徴とする液密熱絶縁タンク。
【請求項2】
前記タンク壁が、一次要素と、前記耐荷重壁と前記一次要素の間に配置された二次要素とを有し、
前記一次要素と前記二次要素の両方が、隣接した平行な列となった直角平行6面体でできた前記絶縁ブロック(1,13)で構成された前記熱絶縁バリアを備え、
前記一次要素と前記二次要素の両方が、前記熱絶縁バリアに設けられた前記液密バリアを備え、
前記二次要素の前記熱絶縁バリアが、前記耐荷重壁(3)に強固に接続され、
前記一次要素の前記熱絶縁バリアが、取付け手段(8,18)を用いて、前記二次要素の前記熱絶縁バリアに強固に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項3】
前記二次要素の前記液密バリアが、それぞれ前記絶縁ブロック(1)の側面に平行な少なくとも2つの直交する折り目(12a,12b)を有する複数の前記金属シート(11)を含む前記金属製メンブレンで形成され、前記折り目は前記二次要素の前記絶縁ブロック間に形成された間隙(10)に挿入されることを特徴とする請求項2に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項4】
前記二次要素の前記金属製メンブレンの前記金属シート(11)が、7×10−6−1超えない膨張係数を有する鉄とニッケル又はマンガンとの合金で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項5】
前記一次要素の前記液密バリアが、前記液密熱絶縁タンクの内側に向かう折り目(16a,16b)を備えた、封止状態で互いに溶接された金属シート(15)で形成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項6】
前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロック(1,13)が、発泡層が設けられたベースプレート(2a,13a)を有し、前記ベースプレートが前記発泡層から張り出していることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項7】
前記二次要素の前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロック(1)が、前記耐荷重壁(3)に
溶接された固定具(9)を用いて前記耐荷重壁に押し付けられて、前記絶縁ブロックの前記ベースプレート(2a)の張り出し領域と協働することを特徴とする請求項6に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項8】
前記二次要素の前記絶縁バリアの前記絶縁ブロック(1)が、ボンディングによって前記耐荷重壁に保持されていることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項9】
前記二次要素の前記絶縁バリアの各絶縁ブロック(1)が、前記絶縁ブロック(1)の大きな面によって画定された矩形の対称的な2軸に沿って配置された2つの前記連結ストリップ(5,6)を支持することを特徴とする請求項2ないしのいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項10】
前記一次要素の前記熱絶縁バリアの前記取付け手段が、前記二次要素の各絶縁ブロック(1)の矩形中央で2つの前記連結ストリップ(5,6)の交差点に配置された連続的な金属プレートを備えて、前記取付け手段周りに4枚の金属シート(11)のコーナーが溶接可能な液密領域(39)を形成し、
突出部材(8,18)が前記一次要素の前記液密バリアに達することなく前記二次要素の液密バリアを横断することを特徴とする請求項9に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項11】
前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロック(1,13)が、発泡層が設けられたベースプレート(2a,13a)を有し、前記ベースプレートが前記発泡層から張り出しており、
前記突出部材がスタッド(8,18)であって、その基部が前記二次要素の前記絶縁ブロックの2つの連結ストリップの交点に設けられた前記連続的な金属プレートに取り付けられ、その中間部が、第一に前記スタッドの自由端に設けられたねじ山と協働するナット(19,22)と、第二に前記一次要素の前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロックから前記ベースプレートの張り出し部分と、の間に介在することを特徴とする請求項10に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項12】
前記一次要素の前記熱絶縁バリアの各絶縁ブロック(13)が、前記絶縁ブロックの大きな面の縁部近傍に配置された2つの連結ストリップ(14a、14b)を有することを特徴とする請求項2ないし11のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項13】
前記絶縁ブロックの前記連結ストリップ(5,6,14a,14b)が、前記絶縁ブロックの前記凹部に、ねじ留め、リベット打ち、ホチキス留め、又はボンディングで取り付けられることを特徴とする請求項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項14】
前記液密バリアの隣接する前記金属シート(11,15)が、同じ高さに重ね溶接されて、前記熱絶縁バリアにそれぞれ支持される連結ストリップ(5,6,14a,14b)になることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項15】
前記液密バリアを形成する前記金属シート(11)が矩形状で、それぞれが前記矩形状の金属シートの縁部によって矩形の対称軸に沿って形成された2つの折り目を有することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項16】
前記液密バリアの前記金属シート(11)の前記折り目の1つが、矩形の前記金属シートの中央を横切る割線であることを特徴とする請求項15に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項17】
前記液密バリアの前記金属シート(11)の前記折り目の一方が連続的であり、他方が前記金属シートの中央部で遮断されることを特徴とする請求項15に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項18】
前記液密バリアが、前記金属シートの主軸に沿った連続的な折り目を有する第一タイプの金属シート(31)と、前記金属シートの短軸に沿った連続的な折り目を有する第二タイプの金属シート(32)とを備え、
前記第一タイプと第二タイプの金属シート(31,32)がタンク壁に交互に規則正しく配置されて、1つのタイプの1つの金属シートの4つの側面が常にもう一つのタイプの4つの金属シートで囲まれることを特徴とする請求項17に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項19】
前記熱絶縁バリアの各絶縁ブロック(1)が、2列の直交する溝(53a,53b)を有し、各溝(53a,53b)が、前記絶縁ブロック(1)の2つの対向する側面に平行に配置され、
前記金属製メンブレンの前記金属シート(11)のそれぞれが、前記間隙(10)に挿入される2列の直交する前記折り目(12a,12b)とそれぞれ平行で、前記絶縁ブロック(1)に形成された前記溝(53a,53b)の1つにそれぞれ挿入される2列の直交する追加の折り目(12c,12d)を有することを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項20】
前記金属製メンブレンが複数の第二の金属シート(11)を有し、前記複数の第二の金属シートのそれぞれが、前記絶縁ブロック(1)の2つの対向する側面と平行な単一の折れ目(12a)を有し、前記折り目は2つの前記絶縁ブロックの間に形成された前記間隙(10)に挿入されることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項21】
前記熱絶縁バリアの各絶縁ブロック(1)が、前記絶縁ブロックの2つの対向する面に平行な溝を有し、
前記金属製メンブレンが複数の第二の金属シートを有し、前記複数の第二の金属シートのそれぞれが、前記絶縁ブロック(1)に形成された溝(53e)に挿入される折り目(12a)と、2つの前記絶縁ブロックの間に形成された前記間隙(10)に挿入される折り目(12b)とを有することを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項22】
2つの前記連結ストリップ(5,6)のそれぞれが、不連続であることを特徴とする請求項1ないし21のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項23】
2つの前記連結ストリップ(5,6)のそれぞれは、他の連結ストリップ(5,6)との交差部で連続しており、前記交差部から離れた並置した部分と不連続になるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし21のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク。
【請求項24】
二重船殻(72)と、前記二重船殻の内側に配置される請求項1ないし23のいずれか1項に記載の液密熱絶縁タンク(71)とを有することを特徴とする、低温液体製品を輸送するために用いられる船(70)。
【請求項25】
低温液体製品を絶縁パイプ(73,79,76,81)を通して陸上又は浮遊の貯蔵施設(77)から船のタンク(71)へ、又は前記タンクから前記貯蔵施設へ供給する際に用いる、低温液体製品の積込み又は積み降ろしのための請求項24に記載の船(70)の使用。
【請求項26】
請求項24に記載の船(70)と、
前記船の前記船殻に据え付けられた前記タンク(71)と陸上又は浮遊の貯蔵施設(77)とを接続するために配置された絶縁パイプ(73,79,76,81)と、
前記絶縁パイプを通して前記陸上又は浮遊の貯蔵施設から前記船の前記タンクへ、又は前記タンクから前記施設へ、低温液体製品の流れを駆動するためのポンプと、
を備えた低温液体製品のための輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液密熱絶縁タンクに関し、特に低温液体を収容するために設計されたタンク、例えば液化ガスを貯蔵及び/又は海上輸送するためのタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
液密熱絶縁タンクは、異なる産業の間で、高温又は低温製品を貯蔵するために用いることができる。例えば、エネルギー分野で、液化天然ガス(LNG)は、陸上貯蔵タンク又は浮遊構造板に支持されたタンクに大気圧で約−163℃で貯蔵することができる液体である。
【0003】
このようなタンクは、例えば仏国特許出願公開第2724623号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施例によれば、本発明は、耐荷重壁を備えた耐荷重構造に組み込まれた液密熱絶縁タンクであって、
前記タンクは前記耐荷重壁に取り付けられたタンク壁を有し、
前記タンク壁は、
前記耐荷重壁に保持され、隣接した平行な列となって互いの間に間隙を空けた直角平行6面体でできた絶縁ブロックで構成された熱絶縁バリアと、
前記熱絶縁バリアに支持され、封止状態で互いに溶接された金属シートで形成された金属製メンブレンを含む液密バリアと、を含み、
前記熱絶縁バリアの各絶縁ブロックは、前記耐荷重壁に対向する同一面で、前記絶縁ブロックの側面と平行に設けられた少なくとも2つの略直交した金属製連結ストリップを支持し、
前記絶縁ブロックに支持された前記金属製メンブレンの前記金属シートは溶接されて前記連結ストリップになり、
前記連結ストリップはそれを支持する前記絶縁ブロックに強固に接続され、
前記金属製メンブレンの前記金属シートはそれぞれ前記絶縁ブロックの側面に平行な少なくとも2列の直交する折り目を有し、前記折り目は2つの前記絶縁ブロック間に形成された間隙に挿入されることを特徴とする液密熱絶縁タンクを提供する。
【0005】
実施例によれば、このようなタンクは以下の特徴を1つ以上有している。
【0006】
1つの実施例によれば、金属製メンブレンの前記金属シートはそれぞれ前記絶縁ブロックの側面に平行な少なくとも2つの直交する折り目を有し、前記折り目は2つの前記絶縁ブロック間に形成された間隙に挿入される。
【0007】
1つの実施例によれば、前記タンク壁が、一次要素と、前記耐荷重壁と前記一次要素の間に配置された二次要素とを有し、前記一次要素と前記二次要素の両方が、隣接した平行な列となった直角平行6面体でできた前記絶縁ブロックで構成された前記熱絶縁バリアを備え、前記一次要素と前記二次要素の両方が、前記熱絶縁バリアに設けられた前記液密バリアを備え、前記二次要素の前記熱絶縁バリアが、前記耐荷重壁に強固に接続され、前記一次要素の前記熱絶縁バリアが、取付け手段を用いて、前記二次要素の前記熱絶縁バリアに強固に接続される。
【0008】
1つの実施例によれば、前記二次要素の前記液密バリアが、それぞれ前記絶縁ブロックの側面に平行な少なくとも2つの直交する折り目を有する複数の前記金属シートを含む前記金属製メンブレンで形成され、前記折り目は前記二次要素の前記絶縁ブロック間に形成された間隙に挿入される。
【0009】
1つの実施例によれば、前記二次要素の前記金属製メンブレンの前記金属シートが、7×10-6K-1を超えない膨張係数を有する鉄とニッケル又はマンガンとの合金で構成されている。
【0010】
1つの実施例によれば、二次液密バリアの金属シートの折り目が、前記二次要素の前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロックの間の間隙に挿入される。
【0011】
1つの実施例によれば、一次液密バリアの金属シートの折り目が、前記一次要素の前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロックの間の間隙に挿入される。他の実施例によれば、一次メンブレンは二次メンブレンとは異なる設計にしてもよく、例えば折り目がタンクに向かって突出している。換言すれば、前記一次要素の前記液密バリアが、前記液密熱絶縁タンクの内側に向かう折り目を備えた、封止状態で互いに溶接された金属シートで形成されている。
【0012】
1つの実施例によれば、前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロックが、発泡層、特にポリウレタン発泡層が設けられたベースプレートを有し、前記ベースプレートが前記発泡層に覆いかぶさる。このベースプレートは合板で構成することができる。前記二次要素が、前記耐荷重壁に溶接された固定具を用いて前記耐荷重壁に押し付けられて、前記絶縁ブロックの前記ベースプレートの覆いかぶさり領域と協働し、必要に応じて樹脂ビーズが前記耐荷重壁の欠陥部分に介在する。
【0013】
1つの実施例によれば、前記二次要素の前記絶縁バリアの前記絶縁ブロックが、ボンディングによって前記耐荷重壁に保持されている。
【0014】
特に絶縁ブロック上の連結ストリップの位置と数量に関し、絶縁ブロック上の連結ストリップの多数の異なる配置が可能である。この点で、絶縁ブロックは必ずしもすべて同一ではない。
【0015】
1つの実施例によれば、前記二次要素の前記絶縁バリアの各絶縁ブロックの連結ストリップが、前記絶縁ブロックの大きな面によって画定された矩形の対称的な2軸に沿って配置された2つの前記連結ストリップを支持する。
【0016】
1つの実施例によれば、前記一次要素の前記熱絶縁バリアの各絶縁ブロックの連結ストリップが、前記絶縁ブロックの大きな面の縁部近傍に配置される。
【0017】
1つの実施例によれば、前記絶縁ブロックはカバープレート上に配置された3つの連結ストリップを有する。
【0018】
1つの実施例によれば、前記絶縁ブロックの前記連結ストリップが、前記絶縁ブロックの対応する面の厚さを増加させないように、前記連結ストリップを支持するプレート又は発泡層に形成された凹部に着座する。
【0019】
1つの実施例によれば、前記絶縁ブロックの前記連結ストリップが、前記絶縁ブロックの前記凹部に、ねじ留め、ホチキス留め、リベット打ち、又はボンディングで取り付けられる。
【0020】
1つの実施例によれば、前記一次要素の前記熱絶縁バリアの前記取付け手段が、前記二次要素の各絶縁ブロックの2つの前記連結ストリップの交差点に配置された連続的な金属プレートを備え、突出部材が前記一次要素の前記液密バリアに達することなく前記二次要素の液密バリアを横断する。
【0021】
1つの実施例によれば、前記一次要素と前記二次要素の前記液密バリアの隣接する前記金属シートが、同じ高さに重ね溶接されて、前記一次要素と前記二次要素の前記熱絶縁バリアにそれぞれ支持される連結ストリップになる。
【0022】
1つの実施例によれば、前記突出部材がスタッドであって、その基部が前記二次要素の前記絶縁ブロックの前記連続的な金属プレートに取り付けられ、その中間部が、第一に前記スタッドの自由端に設けられたねじ山と協働するナットと、第二に前記一次要素の前記熱絶縁バリアの前記絶縁ブロックの前記ベースプレートの重なり部分と、の間に介在する。前記スタッドの基部は、前記二次要素の前記絶縁ブロックの連続的な金属プレートに溶接及び/又はねじ留めで取り付けられる。
【0023】
1つの実施例によれば、前記液密バリアを形成する前記金属製メンブレンの前記金属シートが矩形状で、それぞれが前記金属シートの縁部によって矩形の対称軸に沿って形成された2つの折り目を有する。
【0024】
1つの実施例によれば、前記一次要素の前記液密バリアの前記金属シートの前記折り目の1つが、矩形の前記金属シートの中央を横切る割線である。
【0025】
1つの実施例によれば、前記金属シートの前記折り目の一方が連続的であり、他方が前記金属シートの中央部で遮断される。
【0026】
1つの実施例によれば、第一タイプの金属シートが前記金属シートの主軸に沿った連続的な折り目を有する。
【0027】
1つの実施例によれば、第二タイプの金属シートが前記金属シートの主軸に沿った非連続的な折り目を有する。
【0028】
1つの実施例によれば、前記第一タイプと第二タイプの金属シートがタンク壁に交互に規則正しく配置されて、1つのタイプの金属シートが常に他のタイプの金属シートに隣接する。
【0029】
1つの実施例によれば、前記熱絶縁バリアの各絶縁ブロックが、2列の直交する溝を有し、各溝が、前記絶縁ブロックの2つの対向する側面に平行に配置され、前記金属製メンブレンの前記金属シートのそれぞれが、前記間隙に挿入される2列の直交する前記折り目とそれぞれ平行で、前記絶縁ブロックに形成された前記溝の1つにそれぞれ挿入される2列の直交する追加の折り目を有する。
【0030】
別の実施例によれば、前記金属製メンブレンが複数の第二の金属シートを有し、前記複数の第二の金属シートのそれぞれが、前記絶縁ブロックの2つの対向する側面と平行な単一の折れ目を有し、前記折り目は2つの前記絶縁ブロックの間に形成された前記間隙に挿入される。
【0031】
別の実施例によれば、前記熱絶縁バリアの各絶縁ブロックが、前記絶縁ブロックの2つの対向する面に平行な溝を有し、前記金属製メンブレンが複数の第二金属シートを有し、前記複数の第二の金属シートのそれぞれが、前記絶縁ブロックに形成された溝に挿入される折り目と、2つの前記絶縁ブロックの間に形成された前記間隙に挿入される折り目とを有する。
【0032】
このようなタンクは、例えばLNG貯蔵のための陸上貯蔵施設の一部とすることができるし、又は、特にLNG輸送船、浮体式貯蔵再ガス化設備(FRSU)、浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)などの沿岸の又は遠海の浮体構造物に据え付けることができる。
【0033】
1つの実施例によれば、低温液体製品を輸送するために用いられる船が、二重船殻と、前記二重船殻の内側に配置される前述のタンクとを有する。
【0034】
1つの実施例によれば、本発明は、低温液体製品を絶縁パイプを通して陸上又は浮遊の貯蔵施設から船のタンクへ、又は前記タンクから前記貯蔵施設へ供給する、そのような船への積込み又は積み降ろしのための方法も提供する。
【0035】
1つの実施例によれば、本発明は、前述の船と、前記船の前記船殻に据え付けられた前記タンクと陸上又は浮遊の貯蔵施設とを接続するために配置された絶縁パイプと、前記絶縁パイプを通して前記陸上又は浮遊の貯蔵施設から前記船の前記タンクへ、又は前記タンクから前記施設へ、低温液体製品の流れを駆動するためのポンプと、を備えた低温液体製品のための輸送システムも提供する。
【0036】
本発明の中心にある発想は、延在する面の上に組み建てるのが容易な液密で絶縁性の多層構造を提供することである。本発明の幾つかの態様は、単純形状を有し、製造コストの安い絶縁ブロックを組み立てるという発想に基づいている。本発明の幾つかの態様は、例えばアンバー(登録商標)や他の低膨張係数の、特に0.7mmを超えないように厚さの限定された鋼板で構成された液密メンブレン、特に二次メンブレンを提供し、それによって比較的小さな固定手段を用いてタンク壁のエッジのところで固定を可能にする限定された剛性を得るという発想に基づいている。
【0037】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明の中で、単に非限定的な例としての幾つかの特定の実施例において、追加の目的、詳細、特徴、及び長所と共にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は本発明に係る液密熱絶縁タンクを形成する異なる部材のアセンブリの概略斜視図であって、この全体図ではタンク壁の一次要素と二次要素の液密バリアと熱絶縁バリアを明らかにするために、異なる部分が除去されている。
図2図2は本発明に係るタンク壁の断面の概略配置図であって、一次液密バリアは耐荷重壁と対向するサイドから突出する折れ目を有している。
図3図3図1のタンク壁の二次要素の熱絶縁バリアの絶縁ブロックの斜視図であって、絶縁ブロックはその中央領域においてタンク壁の一次要素の熱絶縁バリアの絶縁ブロックのための取付け手段を有している。
図4図4図1のタンク壁の一次要素の熱絶縁バリアの絶縁ブロックの斜視図である。
図5図5は本発明に係るタンク壁の一次要素と二次要素の液密バリアと熱絶縁バリアを構成するパーツの部分断面斜視図であって、一次要素の液密バリアには、図2に示したタンクに向かって突出する折れ目が備わっており、この図5は二次絶縁バリアの連結ストリップ上における一次絶縁バリアのための取付け手段の詳細構造が示されている。
図6図6図5に類似した図で、取付け手段の2つのパーツが個別に分解組立図で示されている。
図7図7図5図6に示したものとは別の実施例に係る取付け手段の概略断面図である。
図8図8図7の取付け手段の平面図である。
図9図9はタンク壁における液密バリアを構成する金属シートの組立図であって、金属シートは第一タイプと第二タイプで構成されて、液密バリアの金属製メンブレンの柔軟性が比較的均一になっている。
図10図10は代替的な実施例のための図9に類似した組立図であって、第一方向に配置された液密バリアの金属シートの折り目は、タンク壁の1枚のシートから隣接するシートへ略一直線になっているのに対し、第一方向と直交する方向では折り目が横断することを回避するために折り目は遮断されている。
図11図11図10に示す液密メンブレンを用いたLNG輸送船に形成された多面体タンク断面の概略斜視図であって、海上輸送中の船の軸の変形に対する液密メンブレンの柔軟性を向上させている。
図12図12は液密メンブレンを形成するために使用できる金属シートの2つの別な変形例の概略図である。
図13図13はLNG輸送船タンクとこのタンクのための積込み/積み降ろしターミナルの部分断面概略図である。
図14図14は液密メンブレンを形成するために使用できる金属シートの2つの別な変形例の概略図である。
図15図15は液密メンブレンを形成するために使用できる金属シートの2つの別な変形例の概略図である。
図16図16は液密メンブレンを形成するために使用できる金属シートの2つの別な変形例の概略図である。
図17図17は液密メンブレンを形成するために使用できる折り目を有する金属シートの17個の実施例の概略図である。
図18図18は液密メンブレンを形成するために周期的に繰り返すことのできる図17の折り目を有する金属シートの異なるレイアウトの概略図である。
図19図19は液密メンブレンを形成するために周期的に繰り返すことのできる図17の折り目を有する金属シートの異なるレイアウトの概略図である。
図20図20は液密メンブレンを形成するために周期的に繰り返すことのできる図17の折り目を有する金属シートの異なるレイアウトの概略図である。
図21図21は液密メンブレンを形成するために周期的に繰り返すことのできる図17の折り目を有する金属シートの異なるレイアウトの概略図である。
図22図22は液密メンブレンを形成するために周期的に繰り返すことのできる図17の折り目を有する金属シートの異なるレイアウトの概略図である。
図23図23は液密メンブレンを形成するために周期的に繰り返すことのできる図17の折り目を有する金属シートの異なるレイアウトの概略図である。
図24図24は本発明の別の実施例に係る二次要素の熱絶縁バリアの絶縁ブロックの斜視図である。
図25図25図24の実施例に係る二次要素の液密バリアと熱絶縁バリアの斜視図であって、液密バリアは部分的に除去されて示されている。
図26図26図24図25の実施例に係る二次要素の液密バリアと熱絶縁バリアの断面図である。
図27図27は別の実施例に係るタンク壁における二次液密バリアを構成する金属シートの組立図である。
図28図28は別の実施例に係るタンク壁における二次液密バリアを構成する金属シートの組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図示した異なる変形例では、実現するものが同一でなくても、同じ機能を発揮するコンポーネントは同じ参照符号を付している。
【0040】
図において、参照符号1は全体としてタンク壁の2次要素の熱絶縁バリアの絶縁ブロックを参照している。このブロックは長さLと幅lを有し、例えばそれぞれ3mと1mで、直角平行6面体形状であって、2枚の合板プレートの間のポリウレタン泡によって構成されている。プレートの1枚2aはこの泡のエッジから張り出しており、耐荷重壁3の局所的欠陥を補償するように設計された樹脂ビーズ4を介在して、耐荷重壁3を担う(bear)ことを意図している。絶縁ブロック1のもう一枚のプレート2bは、対称2軸に沿って、
凹部7内に配置され、ねじ、リベット、ホチキス、又は接着剤でそこに取り付けられた金属製連結ストリップ6を備えている。連続的な金属プレートであるストリップ5、6の交差域には、プレート2bの上方に突出したスタッド(stud)8がストリップの交差域の中央に設けられている。プレート2aは、耐荷重壁3に溶接されたスタッド9を用いると共に樹脂ビーズ4を用いてボンディングによって耐荷重壁3に保持されている。間隙10が、例えばプレート2aの張り出し部分の存在によって、又は潜在的に位置決めブロックを用いることによって、隣接する絶縁ブロック1の間に形成されている。
【0041】
図1に示すように、図の左上に示した、覆われていない2次絶縁ブロックを始めとして、斜め右下方に動かすと、斜視図は部分的にタンク壁の二次液密バリアの一部を形成する金属シート11で覆われた二次絶縁ブロック1を示している。この金属シート11は略矩形状で、この矩形の対称2軸にそれぞれ沿って、折れ目12aと12bを備えている。折り目12aと12bは耐荷重壁3に向かう起伏を形成し、二次絶縁バリアの間隙10に着座している。金属シート11はインバー(登録商標)で構成され、熱膨張係数は一般的に1.5×10-6〜2×10-6-1である。金属シート11の厚さは、約0.4mm〜約0.7mmである。図5図6に示すように、2つの隣接するシート11は、共に重ね溶接されている。シート11の少なくとも2つのエッジが溶接されたストリップ5、6を用いて、シート11は絶縁ブロック1に保持されている。
【0042】
好ましい実施例によれば、金属シート11は7×10-6-1に略等しい熱膨張係数を有するマンガンをベースにした合金で構成されている。このような合金は、通常例えばインバー(登録商標)のようなニッケルを高含有した合金より安い。
【0043】
図1を参照して、タンク壁の二次要素の液密バリアの金属シート11がある領域から右斜め下に移動すると、二次液密バリアがタンク壁の一次要素の熱絶縁バリアの絶縁ブロック13に覆われた領域がある。絶縁ブロック13の詳細を図4に示す。この絶縁ブロック13は、絶縁ブロック1と全体的に類似の構造をしており、即ち、2枚の合板の間にサンドイッチされたポリウレタン泡で構成されている。金属プレート11を支えるベースプレート13aは、四隅に張り出し部30を有している。これらの絶縁ブロック13は、張り出し部30とスタッド8を用いて取り付けられる。絶縁ブロック13の上面には、2つの連結ストリップ14a、14bがある。これらの連結ストリップは金属で構成され、絶縁ブロックに形成された凹部に配置されて、この絶縁ブロックの厚みを増加させないようになっている。2つのストリップ14a、14bは絶縁ブロック13のエッジと平行に配置されて、上述のストリップ5,6のように絶縁ブロック13の凹部に取り付けられる。
【0044】
最後に、図1に示すように、絶縁ブロック13から右斜め下方に移動すると、タンクの一次要素の液密バリアを形成する金属シート15が設けられている。このシート15は、厚さが約1.2mmのステンレス鋼で構成することができ、すでに金属シート11に対して記載したように、矩形形状に対称な軸に沿って形成された折り目を備えている。これらの折り目は、耐荷重壁3の側面に起伏を形成し、かつタンクの内側に向かう起伏を形成することができる。これらの折り目は、16a、16bとして識別される。図2では、図5図6のように、折り目16a、16bはタンクの内側に向けられている。
【0045】
図5図6に、間隙10の内側に配置された折り目12aを有する金属シート11の実施例を点線で示す。二次液密バリアの隣接するシートは重ね溶接され、溶接領域は参照符号17で示す。溶接は連結ストリップ6上に形成され、同じストリップ6上の基部に溶接され係止ボルト9と協働して上端部でねじ止めされたスタッド18を支えている。この係止ボルト19はボウルの底部に設置され、ボウルの周辺端部20は合板プレート13b内に形成された凹部21に載置され、タンク内側に向かう一次絶縁バリア(絶縁ブロック13)を区切って(delimit)いる。タンクの内側に向かう起伏になった2本の折り目を有する金属シート15を一次絶縁バリアの上に設置すると、直交する折り目は交わって交点を形成し、金属シート15は封止状態で溶接されてタンクの一次液密バリアを形成する。
【0046】
連結ストリップ6は連結ストリップ5との交差点で連続的で、スタッド18周りに4つの金属シート11のコーナーが溶接可能な液密領域39を形成する。このように、スタッド18をタンク壁の一次要素に向かって貫通させるために、金属シート11に穴を開ける必要はない。熱収縮に起因する応力、特に金属シート11の溶接部分での応力を制限するために、金属シート11の残りの長さにわたって、連結ストリップ5、6は好ましくは並列した部分と不連続になるように形成されている。
【0047】
図7図8に取付け手段の変形例を示し、これらによって一次熱絶縁バリアの絶縁ブロック13が二次液密バリアの金属製メンブレン11に押圧される。これらの取付け手段は、スタッド18と、二次熱絶縁ブロック1の合板プレート2bに強固に取り付けられた基部とを備えている。弾性スペーサ23がナット22と一次絶縁ブロック13の合板プレートの張り出し部30との間に設けられている。これにより、スタッド18が一次液密バリアの金属シート15に達することなく、タンクの一次熱絶縁バリアの絶縁ブロック13がタンクの二次要素上に保持される。
【0048】
図では、特に図2おいて、応力軽減溝40がカバープレートから絶縁ブロックの厚さの略半分のところまで貫通しているのが示されている。これらの応力軽減溝は、カバープレート2b、13bを独立した部分にまで効果的にさらに分割している。しかし、絶縁ブロックを形成するために用いられる材料の特性と、そこに加わる熱応力に依存して、このような応力軽減溝は必ずしも必要ではない。図示しない1つの実施例では、絶縁ブロック1又は13は応力低減溝を有さず、カバープレート2b又は13bは連続的である。
【0049】
図9〜12は、二次液密バリアの金属シートに形成された折り目の配置に関係している。これらの配置は、一次メンブレンについても用いることができる。
【0050】
図9に、連続的な折り目とこの連続的な折り目に直交する不連続な折り目を有する金属シートの使用例を示す。2種類のシート31、32が交互に配置されている。シート31,32の縁部は破線を用いて示す。折り目は連続線で示す。両方向への均一な柔軟性によって特徴付けられたメンブレンが得られている。
【0051】
反対に、図10はシート32の一種類のみの使用を提案しており、1つの方向の折り目はすべて連続的な折り目で、もう1つの方向の折り目は不連続な折り目である。図11に、船の形状に沿って設計されたタンクのために、不連続な折り目が船の軸と平行に形成されて、連続的な折り目がこの軸と垂直に形成されている。なぜなら、輸送中に、ピッチングのために、垂直面内の船の軸の変形によって船の船殻は主に変形するからである。
【0052】
図11に示した船の軸を横断する隔壁に液密バリアを形成するために用いることのできる2つの他のシート51,52を図12に示す。
【0053】
船の軸を横断する隔壁に液密バリアを形成するために、図11のシート51、52の代わりに用いることのできる折り目を有するシートH、Fを図14、15に示す。これによって折り目の線がタンク幅に沿って連続的になり、タンクの高さに沿っては連続的にならない。
【0054】
液密バリアを形成するために、単独でも、先の実施例のものと組み合わせても用いることのできる折り目を有するシートEを図16に示す。
【0055】
液密バリアを形成するために、単独でも、複数組み合わせても用いることのできる、上述の例と他の例を備えた、異なる折り目を有するシートA〜Rを図17に示す。
【0056】
折り目を有するシートA〜Rは、それぞれシンプルな折り目又はシンプルな波形を有しており、液密溶接を用いた液密バリアの組立を容易にする。これらは複合レイアウトで組み合わせて、平面に対して両方向に金属製メンブレンの一定の延長を可能にしている。好ましいレイアウトは、図18〜23に示す。
【0057】
図示しない変形例では、図22、23と同様に、2種類のシートが交互に配置されるが、この場合、図17のシートHとIを用いている。
【0058】
図24、25、及び26に示す1つの実施例では、二次要素の熱絶縁バリアの絶縁ブロック1は、2列の直交溝53a、53bを備えている。溝53a、53bの各列は絶縁ブロック1の2つの対向する側面と平行である。この場合、各絶縁ブロック1は、絶縁ブロック1の長手方向に延在する2つの溝53aと、長手方向と直交して延在する8つの溝53bを有している。溝53aは絶縁ブロック1の全長に沿って延在し、溝53bは絶縁ブロック1の全幅に沿って延在している。その結果として、二次液密バリアの金属シート11が溶接される連結ストリップ5,6が、この場合、不連続になる。
【0059】
また、図25に示すように、二次液密バリアの金属シート11は、2列の折り目12a,12b,12c,12dを備えている。各列は他の列の折り目と直交する折り目を有している。また、各列は絶縁ブロック1の間に形成された間隙10に着座した直交する折り目12a、12bの1つと、前記折り目12a、12bと平行な複数の補助用折り目12c,12dを有している。補助用折り目12c、12dは折り目12a、12bと同一であって、耐荷重壁3に向かう起伏を形成している。補助用折り目は絶縁ブロック1に形成された溝53a,53bに挿入されている。このような実施例によって、二次液密バリアの柔軟性がさらに向上する。
【0060】
図27では、二次要素の金属製メンブレンの金属シート11の折り目12a、12bは、点線を用いて示している。また、二次熱絶縁バリア10の絶縁ブロック1の位置は、透過手法で示している。二次熱絶縁バリア10の絶縁ブロック1に取り付けられた一次絶縁バリアの絶縁ブロック13の位置も示している。この実施例では、二次液密バリアは絶縁ブロック1より多くの金属シート11を有している。この場合に、二次液密バリアは絶縁ブロック13の2倍の数の金属シート11を有している。従って、金属シート11の長さは絶縁ブロック1の長さと略等しく、金属シート11の幅は絶縁ブロック1の幅の半分と略等しい。その結果として、金属シート11の一部は4つの隣接する絶縁ブロック1と重ね溶接されている。金属シート11の他の部分は2つの隣接する絶縁ブロック1と重ね溶接されている。金属シートを絶縁ブロック1に取り付けるために、絶縁ブロック1は3つの連結ストリップ5a、5b、6を有している。連結ストリップ6は絶縁ブロック1を横断する方向を向いている。連結ストリップ5a、5bは絶縁ブロック1の長手方向に配置されている。
【0061】
4つの隣接する絶縁ブロック1に重ね溶接された金属シート11は、絶縁ブロック1の間に形成された間隙10に挿入された直交する折り目12a,12bを有している。隣接する絶縁ブロック1に重ね溶接された金属シート11のそれぞれは、2つの隣接する絶縁ブロック1の間に挿入されて延在するただ一つの折り目12bを有している。
【0062】
連結ストリップ6と連結ストリップ5a,5bの交差点の中央に、絶縁ブロック1は、タンクの内側に向かって突出し、一次熱絶縁バリアの絶縁ブロック13の取付けを可能にするスタッドを備えている。
【0063】
図28に示す実施例は、図27の実施例と略等しい。しかし、この実施例では、金属シート11が同一で、各金属シート11は2つの折り目12a,12bを有している。その結果として、絶縁ブロック1は長手方向に延在する中央溝53eを備えている。中央溝53eは、2つの隣接する絶縁ブロック1と重ね溶接された金属シート11の長手方向に延在する折り目12aを着座させている。
【0064】
波状シートの他の変形例や他の組み合わせは、異なる特徴を変更することで実現可能であり、特に、波形の間隔や、シートあたりの波形の数、不連続な折り目の長さ(ステップ数)、折り目の交差点の形状即ち割線又は非割線交差点、連続的な折り目の方向即ち長手方向と横方向、そしてシート自体の向き即ち水平配向又は垂直配向(90°回転)、及びこれらの変更の組み合わせによって可能である。
【0065】
上述のタンクは、例えば陸上施設や、LNG輸送船のような浮遊構造などの異なる種類の施設で用いることができる。
【0066】
図13を参照して、LNG輸送船の部分断面図に、船の二重船殻72に取り付けられた全体的に角柱状の液密絶縁タンク71を示す。タンク71の壁は、タンクに収容されたLNGと接触するように設計された一次液密バリアと、一次液密バリアと船の二重船殻との間に配置された二次液密バリアと、一次液密バリアと二次液密バリアとの間と二次液密バリアと二重船殻72との間とにそれぞれ配置された2つの熱絶縁バリアとを有している。
【0067】
既知の態様では、船の上甲板に配置された積込み/積み降ろしパイプは、適切なコネクタを用いて、海上又は港湾ターミナルと接続可能で、積み荷のLNGをタンク71に、又はタンク71から移送する。
【0068】
図13に、積込み/積み降ろしポイント75と、海中ダクト76と、陸上施設77と、を含む海上ターミナルの例を示す。積込み/積み降ろしポイント75は、可動アーム74とこの可動アーム74を保持する柱78とを含む固定された海上設備である。可動アーム74は、積込み/積み降ろしパイプ73と接続可能な一束の絶縁ホース79を支持している。方向付け可能な可動アーム74は、すべてのサイズのLNG輸送船に適用できる。連結ダクト(図示せず)が柱78の内側に延在している。積込み/積み降ろしは、LNG輸送船70から陸上施設77への又は陸上施設77からLNG輸送船70への積込み/積み降ろしを可能にしている。この施設は、液化ガス貯蔵タンク80と、積込み/積み降ろしポイントと海中ダクト76を介して接続された連結ダクト81と、を有している。海中ダクト76は、積込み/積み降ろしポイント75と陸上施設77との間の例えば5kmのような長距離を液化ガスが移送できるようにして、LNG輸送船70が積込み/積み降ろし作業中、海岸から遠く離れていることを可能にする。
【0069】
液化ガスを移送するために必要な圧力を生成するために、船70の上に設置されたポンプ及び/又は陸上施設77に設置されたポンプ及び/又は積込み/積み降ろしポイント75に設置されたポンプが用いられる。
【0070】
幾つかの特定の実施例と関連して本発明を記載したが、それらに限定するものでないことは明らかであり、本発明は記載された手段と技術的に等価なものすべてとそれらの組み合わせを備え、これらは本発明の範囲内である。
【0071】
「含む(comprise)」又は「備える(include)」の用語及びこれらの活用形の使用は、請求項に記載されたものに加えて、他の要素又は他の工程の存在を除外するものではない。1つの要素又は1つの工程への不定冠詞(a)又は「1つの(one)」の使用は、特に指定のない限り、これら要素又は工程の複数の存在を除外するものではない。
【0072】
請求項において、括弧内の参照符号は、請求項の限定を構成するものと理解してはならない。
図1
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