(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記植物抽出物機能添加剤は、植物抽出物を含み、前記植物抽出物は、5:1:1:2の割合の、センリョウ抽出物、ヨモギ抽出物、セツレンカ抽出物、海藻抽出物からなり
前記センリョウ抽出物は、≦5.8%の繊維含有量、2.8%のイソフラキシジン含有量を有し、
前記ヨモギ抽出物は、黄褐色の粉末であり、400メッシュの粒度、及び>28.6%のフラボノイド含有量を有し、
前記セツレンカ抽出物は、ルチン6.3〜12.2%、セツレンカラクトン0.1〜6.8%、アルカロイド0.1〜5.0%、揮発油2.5%、多糖8.5〜15.6%を含有し、
前記海藻抽出物は、タンパク質51.4〜58.3%、海藻からのヨウ素2.4〜9.6%、マンニトール1.0〜10.2%を含有し、
前記CMC−Naは、≧99.2%の有効成分含有量を有し、1%水性懸濁液のpH値が8.2である、
ことを特徴とする請求項2に記載の植物抽出物を含有するポリエチレンテレフタレート繊維。
【背景技術】
【0002】
合成繊維の中でも重要な種類であるテリレンは、中国のポリエステル繊維の商品名であり、強い耐久性、良好な弾力性、変形しにくい特性、耐腐食性、絶縁性、張り腰感、洗濯容易性、速乾性などの特徴を有する。テリレンは、世界で最大かつ最も広く使用されている合成繊維製品であり、テリレンは世界の合成繊維生産量の60%以上を占めている。
【0003】
植物抽出物を含有するテリレン繊維は、植物抽出物としての機能及びテリレン繊維自体の性質を併せ持つため、理論的に広い適用可能性を有するが、実際の製造においては、主に以下の欠点を有する。
【0004】
(1)他の機能材料との混合は、テリレン繊維の乾熱収縮率、破断強度、弾性伸び率及び耐摩耗性に直接影響を与え、元のテリレンの特性が容易に変わる。
(2)機能性材料間の相溶性が悪いことは、機能性材料の機能に影響を及ぼす。そのため、テリレン繊維の適用範囲はある程度限定される。したがって、社会の多様なニーズに対応するために、既存のテリレン繊維のレシピと製造方法を変更して機能を改善することが急務である。
【0005】
発明の名称を「海泥を含む芯鞘形テリレン繊維及びその製造方法」とする第CN201610591164.5号の中国特許発明では、その繊維は、鞘層と芯層を含み、芯層の外部に鞘層が均一に被覆される。上記鞘層は原料として、質量%で、テリレンチップ80〜97%、海泥/植物源複合体2.7〜18%、カップリング剤0.3〜2%を含む。上記芯層は原料として、質量%で、ポリエチレンテレフタレート95〜98.5%、柏槇の種油1.4〜3.5%、ジイソオクチルジフェニルアミン0.1〜1.5%を含む。鞘層原料は、繊維総質量の20〜60%を占め、芯層原料は、繊維総質量の80〜40%を占める。上記特許は、主に複合紡糸プロセスによって、海泥を含む鞘芯複合テリレン繊維を製造する。この方法による鞘芯構造は明らかに分かれているため、繊維の使用中に繊維がフィブリル化しやすくなり、繊維強度が低下し、使用中の安定性が劣化し、繊維の耐摩耗性が低下する。
【0006】
上記の理由から、植物の機能性、耐摩耗性、乾熱収縮率、及び破断強度が良好なテリレン繊維を開発することは非常に重要な課題である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術の問題点を解決するために、以下の目的を達成可能な植物抽出物を含有する
ポリエチレンテレフタレート繊維を提供する。
本発明の植物抽出物を含有する
ポリエチレンテレフタレート繊維は、他の原料との混合時に元の製品特性が変化することなく、良好な乾熱収縮率、破断強度及び弾性伸び率を維持し、耐摩耗性及び難燃性が大きく改善され、無毒で不燃性であり、火災の拡散を効果的に抑制することができ、安全でかつ環境に優しい。
【0008】
上記の技術的課題を解決するために、以下の技術的手段が採用される。
植物抽出物を含有する
ポリエチレンテレフタレート繊維であって、その原料は、方解石粉末、ハロイサイト粉末及び界面活性リン脂質を含む。
【0009】
本発明の好ましい形態では、上記植物抽出物を含有する
ポリエチレンテレフタレート繊維は、
ポリエチレンテレフタレートチップ、カーバイト粉末、方解石粉末、ハロイサイト粉末、植物抽出物機能添加剤、AGE、有機酸塩、硫酸クロム、分散剤、界面活性リン脂質、可塑化澱粉、キトサン、湿潤剤、CMC−Na及び帯電防止剤から構成される。
【0010】
本発明の好ましい形態では、上記植物抽出物を含有する
ポリエチレンテレフタレート繊維は、質量部で、
ポリエチレンテレフタレートチップ280〜300部、カーバイト粉末3〜7部、方解石粉末2〜6部、ハロイサイト粉末2〜5部、植物抽出物機能添加剤10〜12部、AGE8部、有機酸塩2〜6部、硫酸クロム0.2部、分散剤4〜8部、界面活性リン脂質9〜12部、可塑化澱粉8部、キトサン10部、湿潤剤10部、CMC−Na24部及び帯電防止剤12部から構成される。
【0011】
さらに、本発明の好ましい形態では、上記原料は、以下の原料から構成される。上記植物抽出物を含有する
ポリエチレンテレフタレート繊維は、
ポリエチレンテレフタレートチップ290部、カーバイト粉末3部、方解石粉末4部、ハロイサイト粉末3部、植物抽出物機能添加剤11部、AGE8部、有機酸塩4部、硫酸クロム0.2部、分散剤6部、界面活性リン脂質10部、可塑化澱粉8部、キトサン10部、湿潤剤10部、CMC−Na24部及び帯電防止剤12部から構成される。
【0012】
本発明の好ましい形態では、上記植物抽出物機能添加剤は、植物抽出物を含む。上記植物抽出物は、5:1:1:2の割合で、センリョウ抽出物、ヨモギ抽出物、セツレンカ抽出物、海藻抽出物からなる。
【0013】
上記植物抽出物機能添加剤の調製方法は、以下のステップA〜Cを含む。
Aでは、水酸化ナトリウム溶液にリグニンを溶解し、12〜16分間均一に混合する。その後、氷酢酸を添加し、pH値を2〜3に調整し、ラッカーゼ及びリグニンペルオキシダーゼを添加し、3〜8分間撹拌し、温度を30〜40℃に上昇し、その温度で10〜20分維持する。次に、氷酢酸でpH値を1〜2に調整し、エチレンジアミンを添加して、湯浴中で100〜150分間加熱して反応させる。
【0014】
Bでは、反応終了後、水酸化ナトリウムを用いて、pH値を4〜5に調整し、植物抽出物を上記質量比で添加し、撹拌機で混合して、2回超音波で処理して均一に分散させる。第1回目の超音波処理時間は20〜25分であり、超音波周波数は50〜100KHzであり、第2回目の超音波処理時間は45〜60分であり、第2回目の超音波周波数は100〜120KHzである。
Cでは、分散終了後、硝酸セリウムアンモニウムを添加し、80〜85℃に昇温して、50〜120分間反応を継続させた後、洗浄、精製、真空乾燥して植物抽出物機能性添加剤を得る。
【0015】
以下の構成であることが好ましい。上記リグニンの添加量は、上記植物抽出物機能添加剤の質量の5〜20%であり、上記植物抽出物の添加量は、上記リグニンの質量の70〜120%であり、上記ラッカーゼの添加量は、リグニンの質量の1.3〜1.5%であり、上記リグニンペルオキシダーゼの添加量は、リグニンの質量の0.7〜1.5%である。
上記硝酸セリウムアンモニウムの添加量は、上記植物抽出物の0.7〜2.5%であり、
上記エチレンジアミンの添加量は、リグニンの質量の150〜200%であり、
上記湯浴の温度は65〜75℃である。
【0016】
リグニンが変性した後、リグニン基の表面に有機アミン基が導入され、エーテル結合によりリグニンのベンゼン環にグラフトされる。リグニンの表面の三次元網状構造は、特に変性した後に、植物抽出物を容易に吸着し、植物抽出物の担体として植物抽出物とテリレン繊維とを密接に結合する。リグニンの機能性及び植物抽出物の機能性は、製造したテリレン繊維に同時に発現する。
【0017】
上記センリョウ抽出物は、双子葉植物センリョウ科植物のセンリョウの枝と葉の抽出物である。英名は「Sarcandra glabra Extract」であり、イスタンブリンA(istanbulin A)、イソフラクシデン(isofraxiden)、フマル酸(fumaric acid)、琥珀酸(succinic acid)、フラボノイド配糖体及びクマリン誘導体を含む。センリョウ抽出物は肺炎、急性虫垂炎、急性胃腸炎、細菌性赤痢、リウマチ性疼痛、挫傷、骨折及び腫瘍を治療する機能を有し、市販されている。
【0018】
上記ヨモギ抽出物は、中国の伝統的な漢方薬材料ガイヨウの抽出物であり、揮発油、フラボノイド、トリテルペン、オイデスマン類、微量元素及びタンニン、多糖類などの化合物(その活性成分は、主に揮発油及びフラボノイドである)を含有する。ヨモギ抽出物は、抗菌、抗ウィルス、去痰、鎮咳抗喘息、抗アレルギー、抗凝血、補体活性化、鎮静、散寒緩痛、温経止血、皮膚掻痒の外部治療などの機能を有し、市販されている。上記ヨモギ抽出物は、黄褐色の粉末であり、400メッシュの粒度、及び>28.6%のフラボノイド含有量を有する。
【0019】
上記セツレンカ抽出物は、フラボノイド、クマリン類、アントラキノン類及びセスキテルペン類化合物を含有し、様々なヘルスケア機能を有する中国の伝統的な漢方薬の抽出物であり、市販されている。上記セツレンカ抽出物は、ルチン6.3〜12.2%、セツレンカラクトン0.1〜6.8%、アルカロイド0.1〜5.0%、揮発油2.5%、多糖8.5〜15.6%を含む。
【0020】
上記海藻抽出物(Sesmollient)は、ホンダワラ科植物のウスイロモクSargassum pallidum(Turn.) C. Ag.又はヒジキS.fusiforme.(Harv.)Setch.の藻類抽出物であり、市販されている。アルギン酸、粗タンパク質、マルチビタミン、酵素、微量元素が含有されている。多量の陰イオンを有し、繊維細胞を刺激してコラーゲンやエラスチンを生成し、皮膚の代謝を促し、しわや老化を防ぐことができる。上記海藻抽出物は、皮膚の表面造血機能を改善して、インビトロで皮膚の菌を抑制する。上記海藻抽出物は、タンパク質51.4〜58.3%、海藻からのヨウ素2.4〜9.6%、マンニトール1.0〜10.2%を含有する。
【0021】
上記センリョウ抽出物は、5.8%以下の繊維、2.8%のイソフラキシジン含有量を有する。
上記CMC−Naは、99.2%以上の有効成分を有し、1%水性懸濁液のpH値は8.2である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、上記有機酸塩は、アセチルサリチル酸ナトリウム、フミン酸ナトリウム及びグルコサミン酸亜鉛からなり、質量比が3:1:4である。
上記湿潤剤は、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン共重合体溶液等であり、質量パーセント濃度が22%であり、溶媒はキシレンである。
【0023】
上記界面活性リン脂質は、10%水溶液のpH値が5.0〜7.2であり、固体含有量が41.0±1.2%である。
上記ハロイサイト粉末は、Al
2O
3含有量が68.06〜69.00%、SiO
2含有量が16.03〜17.22%、K
2O含有量が1.07%、Na
2O含有量が10.06%、Fe
2O
3含有量が0.77%である。
【0024】
上記植物抽出物を含有するテリレン繊維の製造方法は、ステップ(1)〜(4)を含む。
(1)では、有機酸塩に硫酸クロムを添加し、95℃で12分間撹拌し、50℃に降温してから、分散機を始動して回転速度を800rad/分に調整して、成分Aを取得する。
(2)では、質量部で、カーバイト粉末、方解石粉末、ハロイサイト粉末をサンドミルに入れ、サンドミルを始動して混合粉砕を行い、温度を40℃以下に制御し、粒度10μm以下に粉砕し、AGE、湿潤剤を添加し25分間分散して、成分Bを取得する。
【0025】
(3)では、分子量20万以下のキトサンを水に溶解し、植物抽出物機能添加剤、界面活性リン脂質、可塑化澱粉、CMC−Na及び総質量の3分の1の帯電防止剤を順に添加し、上記混合物を赤外線・超音波処理し、成分Cを取得する。ここで処理時間を25分とする。
(4)テリレンポリエステルチップを加熱して溶融状態にし、成分B、成分C及び成分Aを順に添加し、混合した後、分散剤及び残りの帯電防止剤を順に徐々に添加する。1050〜1100rad/分の回転速度で20分間攪拌し、溶融紡糸法により、本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維を取得する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、上記赤外線・超音波処理において、赤外線波長は3.6μmであり、超音波周波数は95KHであり、赤外線・超音波処理時間は25分である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、上記溶融紡糸において、溶融紡糸の温度は272℃、側方送風速度は0.6m/sであり、巻取紡糸速度は4200m/分である。糸結合率は0.0002%、糸硬化率は0.0001%である。
【0028】
上記の実施形態により、本発明により達成される技術的効果は以下の通りである。
本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、テリレン繊維に要求される通常の指標を有しており、他の原料との混合時に元の製品特性を変化させることなく、得られたテリレン繊維は、高い乾熱収縮率、破断強度及び弾性伸び率を有し、耐摩耗性が大きく改善され、無毒で不燃性であり、火災の拡散を効果的に抑制することができ、安全かつ環境に優しい。具体的には、
【0029】
(1)本発明により製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維は、乾熱収縮率が2.1〜3.3%であり、
(2)本発明により製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維は、破断強度が6.2〜7.5cN/dtexであり、
(3)本発明により製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維は、高い耐摩耗性能を有し、耐摩耗性往復試験機で2000回による損失が0.001〜0.002g/cm
2であり、
【0030】
(4)本発明により製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維は、良好な耐火性と強い難燃性を有し、全燃焼時間が0.8〜1.4秒であり、LOI値が57〜65%であり、
(5)本発明的含有植物抽出物的テリレン繊維、ダニ忌避率が88.4〜92.1%であり、防カビグレードが0〜2グレードであり、大腸菌に対する抑菌率が97.3〜99.5%であり、黄色ブドウ球菌に対する抑菌率が96.4〜99.9%であり、負イオン発生が良好な継続的な均一性を有し、
(6)本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、長時間の負イオン発生の効果を有し、継続的な均一性が向上し、一般的な水洗50回後の酸素負イオン発生率が元の83.1〜94.2%になる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〈実施例1〉
植物抽出物を含有するテリレン繊維であって、その製造方法は、以下のステップを含む。
植物抽出物を含有するテリレン繊維は、具体的に、質量部で、
テリレンポリエステルチップ280部、カーバイト粉末4部、方解石粉末2部、ハロイサイト粉末2部、植物抽出物機能添加剤10部、AGE8部、有機酸塩2部、硫酸クロム0.2部、分散剤4部、界面活性リン脂質9部、可塑化澱粉8部、キトサン10部、湿潤剤10部、CMC−Na24部及び帯電防止剤12部を含む。
【0032】
前記有機酸塩は、アセチルサリチル酸ナトリウム、フミン酸ナトリウム及びグルコサミン酸亜鉛からなり、質量比が3:1:4である。
前記湿潤剤は、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン共重合体溶液であり、質量パーセント濃度が22%であり、溶媒はキシレンである。
【0033】
前記界面活性リン脂質は、<10の色を有し、10%水溶液のpH値が5.0〜7.2であり、固体含有量が41.0±1.2%である。
前記可塑化澱粉は、カルボキシメチルデンプンエーテルであり、粘度(5%水溶液、20℃)が20100〜20200mPa.sであり、pH値(2%水溶液)が8〜10.5である。
【0034】
ハロイサイトは、主に中空構造のナノ管状形態で自然界に存在し、ケイ酸塩鉱物である。本発明の前記ハロイサイト粉末は、81の白色度を有し、1400℃で焼成された後、>91の白色度、>1750℃の耐火度、0.1〜0.4μmの直径、<0.5μmの長さを有する。前記ハロイサイト粉末は、Al
2O
3含有量が68.06〜69.00%、SiO2含有量が16.03〜17.22%、K
2O含有量が1.07%、Na
2O含有量が10.06%、Fe2O3含有量が0.77%である。
【0035】
前記分散剤は、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びピロリン酸ナトリウムからなり、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びピロリン酸ナトリウムの質量比は5:7:1である。
前記植物抽出物機能添加剤は、植物抽出物を含む。前記植物抽出物は、5:1:1:2の割合で、センリョウ抽出物、ヨモギ抽出物、セツレンカ抽出物、海藻抽出物からなる。
前記植物抽出物機能添加剤の調製方法は、ステップA〜Cを含む。
【0036】
Aでは、リグニンを水酸化ナトリウム溶液に溶解し、13分間均一に混合してから氷酢酸を添加し、pH値を2に調整し、ラッカーゼ及びリグニンペルオキシダーゼを添加し、5分間撹拌し、温度を35℃に上昇させ、温度を10〜20分維持した。次に、氷酢酸でpH値を2に調整し、エチレンジアミンを添加し、水浴中で100分間加熱して反応させた。
【0037】
Bでは、反応終了後、pH値を水酸化ナトリウムで4に調整し、植物抽出物を質量比で添加し、撹拌機で混合し、超音波で2回処理して均一に分散させた。第1回の超音波時間は20分であり、超音波周波数は50KHzであり、第2回の超音波時間は45分であり、第2回の超音波周波数は100KHzであった。
Cでは、分散終了後、硝酸セリウムアンモニウムを添加し、80℃に昇温して、反応を60分間継続させた後、洗浄、精製、真空乾燥して植物抽出物機能性添加剤を取得した。
【0038】
さらに、前記リグニンの添加量は、前記植物抽出物機能添加剤の質量の12%であり、前記植物抽出物の添加量は、前記リグニンの質量の85%であり、前記ラッカーゼの添加量は、リグニンの質量の1.3%であり、前記リグニンペルオキシダーゼの添加量は、リグニンの質量の1.0%であり、
【0039】
前記硝酸セリウムアンモニウムの添加量は、前記植物抽出物の1.5%であり、
エチレンジアミンの添加量は、リグニンの質量の150%であり、
前記水浴の温度は65℃であった。
【0040】
前記センリョウ抽出物は、≦5.8%の繊維含有量、2.8%のイソフラキシジン含有量を有する。
前記ヨモギ抽出物は、黄褐色の粉末であり、400メッシュの細かさ、及び>28.6%のフラボノイド含有量を有する。
【0041】
前記セツレンカ抽出物は、ルチン6.3〜12.2%、セツレンカラクトン0.1〜6.8%、アルカロイド0.1〜5.0%、揮発油2.5%、多糖8.5〜15.6%を含有する。
前記海藻抽出物は、タンパク質51.4〜58.3%、海藻からのヨウ素2.4〜9.6%、マンニトール1.0〜10.2%を含有する。
【0042】
前記CMC−Naは、≧99.2%の有効成分含有量を有し、1%水性懸濁液のpH値が8.2である。
前記AGEは、上海昊化化工有限公司から購入されたアリルグリシジルエーテルであり、そのCAS番号が106−92−3である。
【0043】
本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維の製造方法は、主に以下のステップ(1)〜(4)を含む。
(1)では、有機酸塩に硫酸クロムを添加し、95℃で12分間撹拌し、50℃に降温し、分散機を始動し回転速度を800rad/分に調整して、成分Aを取得した。
(2)では、混合粉砕を行い、カーバイト粉末、方解石粉末、ハロイサイト粉末をサンドミルに入れ、粉砕のためにサンドミルを始動し、温度を40℃以下に制御し、細かさ≦10μmに粉砕し、AGE、湿潤剤を添加し25分間分散して、成分Bを取得した。
【0044】
(3)では、分子量20万以下のキトサンを水に溶解し、植物抽出物機能添加剤、界面活性リン脂質、可塑化澱粉、CMC−Na及び総質量の3分の1の帯電防止剤を順に添加し、上記混合物を赤外線・超音波処理し、赤外線波長を3.6μmとし、超音波周波数を95KHとし、処理時間を25分とし、成分Cを取得した。
(4)テリレンポリエステルチップを溶融状態に加熱し、ステップ(2)、(3)及び(1)で取得された物質成分B、成分C及び成分Aを順に添加し、混合した後、徐々に分散剤及び残りの帯電防止剤を順に添加し、1050〜1100rad/分の回転速度で20分間攪拌し、溶融紡糸方法により、本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維を取得した。
【0045】
前記溶融紡糸では、溶融紡糸の温度は272℃であり、側方送風の冷却風温度は25℃であり、側方送風速度は0.6m/sであり、巻取紡糸速度は4200m/minであり、牽伸率は4.3であった。フィラメント切れ無しで連続紡糸が可能であり、糸結合率が0.0002%であり、糸硬化率が0.0001%であり、紡糸性が良好である。
【0046】
〈実施例2〜6〉植物抽出物を含有するテリレン繊維のレシピー及び製造方法は、表1に示すように、以下のレシピーの質量部が異なる以外、実施例1と同じである。
【0048】
〈実施例7〉植物抽出物を含有するテリレン繊維の製造方法は、以下の通りである。
本発明の実施例7による植物抽出物を含有するテリレン繊維のレシピー及び質量部は、基本的に実施例2と同じであり、違いは製造方法のみである。実施例7の製造方法は、主に以下のステップ(1)〜(4)を含む。
【0049】
(1)では、有機酸塩に硫酸クロムを添加し、95℃で12分間撹拌し、50℃に降温し、分散機を始動し回転速度を800rad/分に調整して、成分Aを取得した。
(2)では、混合粉砕を行い、カーバイト粉末、方解石粉末、ハロイサイト粉末をサンドミルに入れ、粉砕のためにサンドミルを始動し、温度を40℃以下に制御し、細かさ≦10μmに粉砕し、AGE、湿潤剤を添加し25分間分散して、成分Bを取得した。
【0050】
(3)では、分子量20万以下のキトサンを水に溶解し、植物抽出物機能添加剤、界面活性リン脂質、可塑化澱粉、CMC−Na及び総質量の3分の1の帯電防止剤を順に添加し、上記混合物を超音波のみで処理し、超音波周波数を95KHとし、処理時間を25分とし、成分Cを取得した。
(4)テリレンポリエステルチップを溶融状態に加熱し、ステップ(2)、(3)及び(1)で取得された物質成分B、成分C及び成分Aを順に添加し、混合した後、徐々に分散剤及び残りの帯電防止剤を順に添加し、1050〜1100rad/分の回転速度で20分間攪拌し、溶融紡糸方法により、本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維を取得した。
【0051】
前記溶融紡糸では、溶融紡糸の温度は275℃であり、側方送風の冷却風温度は25℃であり、側方送風速度は0.6m/sであり、巻取紡糸速度は3160m/minであり、牽伸率は4.3であった。フィラメント切れは出現しやすく、糸結合率は0.0015%であり、糸硬化率は0.001%であり、紡糸性は比較的悪い。
【0052】
実施例1〜7で製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維の効果指標
本発明の実施例1〜7で製造して取得された植物抽出物を含有するテリレン繊維の効果指標は、表2に示される。
【0053】
表2
備考:
難燃性の測定方法は、総燃焼時間(UL94、垂直燃焼、1.6mm)によって行われた。
LOI値の検出は、《JISK7201ー限界酸素指数》標準を用いて行われた。
【0054】
表2のデータから分かるように、本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、テリレン繊維に要求される通常の指標を有しており、他の機能材料との混合時に元の製品特性を変化させることがない。本発明により得られたテリレン繊維は、適切な乾熱収縮率、破断強度及び弾性伸び率を有し、耐摩耗性が大きく向上し、無毒で不燃性であり、火災の拡散を効果的に抑制することができ、安全かつ環境に優しい。上記の表から、実施例2が最も好ましい実施態様である。
【0055】
なお、本発明者は、テリレン繊維の製造過程における各成分の添加量について多くの試験及び創造的な労働を行っており、表2に一部の例のみを列挙して、本発明で添加する成分及びその含有量が非従来的な選択であることを示している。その選択は、発明者が多数の試験を行った後、模索しまとめることによって得られた自明でない結論である。網羅的な列挙は明らかに不可能であるため、列挙し続けることはしない。以上より、表2の全体的な効果から、実施例2で製造されたテリレン繊維は、最良の機能性を有する。
【0056】
本発明により製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維には、天然の植物抽出物及びその他の機能性鉱物質が添加されているので、製造された繊維は抗菌及び負イオン放出の機能も有する。本発明の実施例1〜6で製造されたテリレン繊維からなる織物について、具体的な検出結果は表3に示される。
【0057】
表3
その中、抑菌率については、GB/T20944.3−2008織物抗菌性能の試験方法の振動法が採用された。防カビ試験標準は、GBT24346−2009織物防カビ性能の評価が採用された。ダニ忌避率試験標準については、GBT24253−2009織物防ダニ性能の評価が採用された。
【0058】
表3から分かるように、本発明の実施例1〜7で製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維は、良好な静菌抗菌性能、良好なダニ忌避性能、及び良好な負イオン発生継続性を有する。
表2〜3の結果から、
(1)本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、乾熱収縮率が2.1〜3.3%であり、
(2)本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、破断強度が6.2〜7.5cN/dtexであり、
【0059】
(3)本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、高い耐摩耗性能を有し、耐摩耗性往復試験機で2000回による損失が0.001〜0.002g/cm
2であり、
(4)本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、良好な耐火性と強い難燃性を有し、全燃焼時間が0.8〜1.4秒であり、LOI値が57〜65%であり、
(5)本発明的含有植物抽出物的テリレン繊維、ダニ忌避率が88.4〜92.1%であり、防カビグレードが0〜2グレードであり、大腸菌に対する抑菌率が97.3〜99.5%であり、黄色ブドウ球菌に対する抑菌率が96.4〜99.9%であり、負イオン発生が良好な継続的な均一性を有し、
(6)本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、長時間の負イオン発生の効果を有し、継続的な均一性が向上し、一般的な水洗50回後の酸素負イオン発生率が元の83.1〜94.2%になる。
【0060】
なお、実施例7で調製した植物抽出物を含有するテリレン繊維の製造過程において、超音波処理のみを行って紡糸プロセスを変更したため、植物抽出物を含有するテリレン繊維の乾燥熱収縮率が大きく変化したことは、本発明によって予想されなかった。
【0061】
また、本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、より高い表面平滑性、良好な光沢性、4以上の色堅牢度を有し、市販の同じ種類の植物抽出物を含有するテリレン繊維と比較して、良好な水蒸気拡散性と吸湿性を有し、凝縮物が放出しやすく、水分や湿気が排出しやすく、乾燥しやすく、日常の着用に吸湿性がよく、快適で静電気が発生しない。
【0062】
本発明者は、本発明により製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維の防カビ性、抗菌性などの機能特性は、主に植物抽出物の含有量によって決定されることを試験により見出した。本発明におけるテリレンの最適な含有量をさらに見出し、物理的特性と機能的特性とのバランスを実現するために、本発明者は更なる研究を行った。実施例2の方法を用いて、植物抽出物中のセンリョウ抽出物、ヨモギ抽出物、セツレンカ抽出物、海藻抽出物の割合のみを変更し、その変更の製造された繊維の機能性に対する影響を試験した。詳細は、表4に示される。
【0064】
本発明者は、テリレン繊維における植物抽出物の含有量について多くの試験を行っており、表4に一部の例のみを列挙して、本発明のテリレン繊維における植物抽出物の中のセンリョウ抽出物、ヨモギ抽出物、セツレンカ抽出物、海藻抽出物の特殊な割合が非従来的な選択であることを示している。その選択は、発明者が多くの試験を行った後、模索しまとめることによって得られた自明でない結論である。全体的な効果から、実施例2で製造されたテリレン繊維は、最良の機能性を有する。
【0065】
実施例1〜7で製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維の効果指標
本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維を用いて、縦糸/横糸が68D/24F FDYである全テリレン半光沢平織物(190T)を製造し、中国の国家標準《GBT30128−2013織物負イオン発生量の検出及び評価》によって負イオン発生量及び高温耐受性能を測定した。詳細は、表4に示される。
【0067】
表5のデータから分かるように、
(1)本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維は、負イオンを効果的に放出して、空気を浄化し、人体の皮膚に浸透させることにより、ヒトの感情を落ち着かせ、ヒトの疾患に対する抵抗性を高めることができる。
(2)本発明の製造方法により得られたテリレン繊維は、高温処理後に、変性されにくく、負イオンの放出効果に影響が及ぼされない。
驚くべきことに、比較実施例2及び7のデータから分かるように、他のプロセスが実質的に同じである場合、特にカーバイト粉末の添加量が同じである場合、実施例7で製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維からなる織物は、高温処理後に、その負イオン発生量が著しく低下した。
【0068】
実施例8
本発明の植物抽出物を含有するテリレン繊維の製造過程において、植物抽出物機能添加剤の調製は本発明に対して特に重要である。関連する技術案の重要性を説明するために、発明者は、実施例1〜7の方法を採用して、実施例1〜7の植物抽出物機能添加剤のみをそれぞれ直接植物抽出物に取り換え、他の技術案を変更せずに、製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維の関連する性能を検出した。詳細は表6に示される。
【0070】
表6から分かるように、発明者が実施例1〜7の方法を使用して、実施例1〜7の植物抽出物機能添加剤のみをそれぞれ直接植物抽出物に取り換え、他の技術案を変更しない場合、製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維の破断強度、耐磨耗性は、明らかに低下した。製造された植物抽出物を含有するテリレン繊維の乾熱収縮率、弾性係数及び難燃性能は、ある程度低下した。概して、植物抽出物機能添加剤を使用せずに、調製されたテリレン繊維の総合的な性能は著しく低下した。
【0071】
上述した本発明の理想的な実施例を示唆として、以上の説明により、本発明の技術的思想の範囲内において、当業者は様々な変形や修正を行うことができる。なお、本発明の技術的範囲は明細書の以上の内容に限定されるものではなく、請求項の範囲に従って限定されるべきである。