特許第6722275号(P6722275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニバーシティ・オブ・ハートフォードシャー・ハイヤーエデュケーション・コーポレーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722275
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】化合物及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/402 20060101AFI20200706BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200706BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20200706BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200706BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200706BHJP
   C07D 209/76 20060101ALN20200706BHJP
   C07D 403/04 20060101ALN20200706BHJP
【FI】
   A61K31/402
   A61P35/00
   A61P1/18
   A61P43/00 111
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   !C07D209/76
   !C07D403/04
【請求項の数】9
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2018-510003(P2018-510003)
(86)(22)【出願日】2016年5月9日
(65)【公表番号】特表2018-515604(P2018-515604A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】GB2016051322
(87)【国際公開番号】WO2016181120
(87)【国際公開日】20161117
【審査請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】1507937.9
(32)【優先日】2015年5月8日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1510123.1
(32)【優先日】2015年6月10日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517389355
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・ハートフォードシャー・ハイヤーエデュケーション・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF HERTFORDSHIRE HIGHER EDUCATION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ロシター,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】カートン,スチュワート・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カマラ,ラマトゥーリエ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−508330(JP,A)
【文献】 Verma, S. M.; Singh, Rajendra,Conformational studies about the N-N bond by NMR spectroscopy: N-4'-(1',2',4'-triazolyl)succinimide derivatives,Indian Journal of Chemistry, Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry,1978年,16B(1),60-3
【文献】 Database REGISTRY,2002年,RN 433973-17-2,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 14 January 2020
【文献】 PUBCHEM SUBSTANCE,NCBI,2007年12月 5日,PAGE(S):1 - 5,NO.SID 43593987,URL,http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/substance/87018643
【文献】 SUBSTANCE RECORD FOR SID 59969528,ZINC16247922,PUBCHEM SUBSTANCE,NCBI,2009年 5月28日,PAGE(S):1-7,NO.SID 59969528,URL,http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/substance/59969528
【文献】 SUBSTANCE RECORD FOR SID 59969525,ZINC16247919,PUBCHEM SUBSTANCE,NCBI,2009年 5月28日,PAGE(S):1- 5,NO.SID 59969525,URL,http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/substance/59969525
【文献】 SUBSTANCE RECORD FOR SID 60667449,ZINC17948446,PUBCHEM SUBSTANCE,NCBI,2009年 5月28日,PAGE(S):1-7,NO.SID 60667449,URL,http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/substance/60667449#section=Top
【文献】 SUBSTANCE RECORD FOR SID 72361678,ZINC08783345,PUBCHEM SUBSTANCE,NCBI,2009年 5月30日,PAGE(S):1-7,NO.SID 72361678,URL,http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/substance/72361678
【文献】 SUBSTANCE RECORD FOR SID 105218152,AKOS000670946,PUBCHEM SUBSTANCE,NCBI,2011年 2月22日,PAGE(S):1-6,NO.SID 105218152,URL,http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/substance/105218152
【文献】 Database REGISTRY,2001年,RN 359900-90-6, 332144-99-7,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 14 January 2020
【文献】 Srivastava, Nishi; Srivastava, Vandana; Verma, Shiva M.,Application of carbon-13 NMR spectroscopy to conformational analysis about the N-C (phenyl) bond,Indian Journal of Chemistry, Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry,1991年,30B(11),1080-2
【文献】 Verma, Shiva M.; Singh, Nripendra B.,A study of conformation about the aryl carbon-nitrogen bonds in N-aryl imides by dynamic N.M.R. spectroscopy,Australian Journal of Chemistry,1976年,29(2),295-300
【文献】 Weber, Edwin; Finge, Stephan; Csoeregh, Ingeborg,Modular design of hosts involving a rigid succinimide framework and N-bonded lateral groups. Crystalline inclusion properties and crystal structures of inclusion compounds with dioxane, methanol, and DMF,Journal of Organic Chemistry,1991年,56(26),7281-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−519/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(A)の化合物又はその薬学的に許容される塩,溶媒和物,水和物,互変異生体,ラセミ体,立体異性体,もしくはこれらの混合物の1又は1以上と,
薬学的に許容される賦形剤,アジュバント,希釈剤及び/又は担体とを含む,医薬組成物であって,
【化1】
上式において,Xは独立にNO又は水素であり,及び
Yは,
【化2】
【化3】
【化4】
から選ばれる,医薬組成物
【請求項2】
一般式(A)の化合物又はその薬学的に許容される塩,溶媒和物,水和物,互変異生体,ラセミ体,立体異性体,もしくはこれらの混合物の1又は1以上と,
薬学的に許容される賦形剤,アジュバント,希釈剤及び/又は担体とを含む,医薬組成物であって,
【化5】
上式において,Yが一般式(B)を有する化合物であり,
【化6】
上式一般式(A)及び一般式(B)において,X,R1及びR2は,
XがNOであり,R1が−COHであり,及びR2がHであるか,
XがNOであり,R1が−COEtであり,及びR2がHであるか,
XがNOであり,R1がHであり,及びR2が−COHであるか,
XがHであり,R1が−COHであり,及びR2がHであるか,
XがNOであり,R1がHであり,及びR2がHであるか,
XがHであり,R1がFであり,及びR2がHであるか,
XがNOであり,R1がClであり,及びR2がHであるか,
XがHであり,R1がHであり,及びR2がFであるか,
XがHであり,R1がHであり,及びR2がClであるか,又は,
XがHであり,R1がClであり,及びR2がHである
組み合せからなる群から選ばれる,医薬組成物
【請求項3】
置換された3,4−(9’,10’−ジヒドロアントラセン−9’,10’−ジイル)スクシンイミドを含む,請求項1又は2に記載の医薬組成物
【請求項4】
少なくとも1の,さらなる活性薬剤を含む,請求項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
病気の治療又は予防のための薬剤を製造する方法であって,請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物が使用されることを特徴とする方法。
【請求項6】
癌の治療剤の製造における使用のための,請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項7】
膵臓癌の治療剤の製造における使用のための,請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物であって,S100Pと終末糖化産物受容体との相互作用を阻害する,医薬組成物
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物であって,S100P/RAGE相互作用を阻害する,医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,化合物群及びそれらの病気の治療もしくは予防における使用,特に癌の治療における使用,とりわけ膵臓がんの治療における使用,特に膵臓癌におけるS100P/RAGE相互作用阻害剤としての使用の適用可能性に関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓癌は,先進諸国において最も致命的な癌の一つとして位置付けられている。北アメリカでは,2013年に膵臓癌と診断された新規45,220症例のうち,同じ年に38,460が死亡するであろうと推測された。英国では,乳癌,大腸癌,卵巣癌,及び非ホジキンリンパ腫等のいくつかの癌の生存率の向上にも拘わらず,膵臓癌患者の生存率の向上はほとんど無く,5年を超えて病気を生き抜いているのは3%未満の人に過ぎない。早期の臨床マーカーの欠如及び該病気の無症候性が診断を遅くする要因となっている。その結果,診断が下される時迄には,外科的介入は−現在では余命を顕著に伸ばすであろう唯一の選択肢であるが−病気のステージが進行しているために,通常,実行可能な選択肢にはならないであろう。手術に続く化学療法,放射線療法,又は両者の組み合わせが現時点で取り得る治療手段である。しかし,そのような介入は寿命を僅かに伸ばすだけであり,再発は新たな標的の検査への緊急な必要性をしばしば強く目立たせる。
【0003】
S100Pは初期ステージの膵臓癌において強く発現されるカルシウム結合性タンパク質である。それは,終末糖化産物受容体(RAGE)に細胞外結合し,細胞増殖,遊走,浸潤及び生存を促進する。膵炎におけるその欠如は,膵臓癌が時々誤診断される状態であるが,それを該癌の早期検出のための理想的な臨床マーカーにする。加えて,該タンパク質は,膵臓癌のドラッガブルな標的として確認されている。抗アレルギー薬クロモリンはS100Pに結合することが示されており,インビトロの研究において,それがRAGEに結合するのを阻害する。クロモリンは,しかし,その生物学的利用能が低く,投与された後速やかに体外に排泄されるため,現実的な治療薬とは言えない。近い類似体(アナログ),5−メチルクロモリンが,クロモリンよりも効率的にS100P/RAGEを阻害することが最近示された−インビトロの研究で後者の10μM/Lに比べて100nモル/L。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
S100P/RAGEを阻害する作用のための治療薬へのさらなるニーズが在る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要するに本書類には,癌の治療における使用,特に膵臓癌におけるS100P/RAGE相互作用の阻害剤としての使用のための一群の化合物が提示される。
該化合物は一般式(A)を有し,又はその薬学的に許容される塩,溶媒和物,水和物,多形体,プロドラッグ,共薬剤,共結晶,互変異生体,ラセミ体,立体異性体,もしくはこれらの混合物である。
【化1】
上式において,Xは独立にNO又は水素であり,及び
Yは独立に水素または側鎖基である。
【0006】
該化合物は全て,ニトロアントラセン又はアントラセンに基づく低級縮合環系を有する。スクシンイミド基のNに結合された基Yは化合物によって異なる。例えば,Yは置換もしくは非置換のベンゼン環であり得る。或いは,いくつかの例において,Yはヘテロ芳香環系である。発明者らによる研究から,以下に記載の化合物はS100P/RAGE相互作用を阻害し,従って,膵臓癌を治療するのに有用であろうことが発見された。
【0007】
好ましくは,Yは水素原子又は適切な置換基である。置換基の例にはアミノ基,アミド基,エステル基,カルボキシ基並びにそのエステル基及びアミド基,アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,シクロアルキル基,アルカリール基,アリール基,ヘテロ環基又はヘテロアリール基が包含され,これら全ては所望によりヘテロ原子及び/又はさらなる側鎖基で置換されていてよく,及び該置換基又はさらなる置換基の何れの鎖も直鎖か又は分岐されていてよい。
【0008】
好ましくは,Yは置換又は非置換の芳香環又はヘテロ芳香環である。置換基は環の3位又は4位に在ることが好ましい。
【0009】
好ましくは,Yが一般式(B)を有するか,
【化2】
上式においてR1及びR2は下記組み合せから選ばれ,
【表1】
上表においてR3は下記から選ばれ,
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
又は
b)Yはイミダゾール,ピラゾール,トリアゾール,又はテトラゾールである。
【0010】
Yは下記から選ばれてよい:
【化8】
【化9】
【化10】
【0011】
Yが一般式(B)を有する場合,R1及び/又はR2はアルキルエステル等のエステルであり得る。
【0012】
好ましくは,該化合物は一般式(A)を有し,該式においてYが一般式(B)を有し,及びX,R1及びR2が以下のとおりである:
XがNOであり,R1が−COHであり,及びR2がHである;
XがNOであり,R1が−COEtであり,及びR2がHである;
XがNOであり,R1がHであり,及びR2が−COHである;
XがHであり,R1が−COHであり,及びR2がHである;
XがNOであり,R1がHであり,及びR2がHである;
XがHであり,R1がFであり,及びR2がHである;
XがNOであり,R1がClであり,及びR2がHである;
XがHであり,R1がHであり,及びR2がFである;
XがHであり,R1がHであり,及びR2がClである;又は
XがNOであり,R1がClであり,及びR2がHである。
【0013】
本発明に従い,一般式(A)の好ましい化合物の例は,Yが一般式(B)を有するとき,X,R1及びR2が以下である:
【表2】
【0014】
好ましくは,該化合物は置換された3,4−(9’,10’−ジヒドロアントラセン−9’,10’−ジイル)スクシンイミドであり,より好ましくはN−置換されており,及びさらに好ましくは9’−ニトロ置換されている。
【0015】
本発明のさらなる側面に従い,上記化合物の1又は1以上及び薬学的に許容される賦形剤,アジュバント,希釈剤及び/又は担体を含む,医薬組成物が提供される。
【0016】
該医薬組成物は,少なくとも1の,さらなる活性薬剤を含んでよい。
【0017】
適切な崩壊剤には,寒天,アルギン,炭酸カルシウム,セルロース,二酸化ケイ素コロイド,ガム,ケイ酸マグネシウムアルミニウム,メチルセルロース及び澱粉が包含されるが,これらに限定されない。
【0018】
適切なバインダにはヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,微結晶性セルロース,及びポリビニルピロリドンが包含されるが,これらに限定されない。
【0019】
適切なフィラーには炭酸カルシウム,三塩基性リン酸カルシウム,硫酸カルシウム,カルボキシメチルセルロースカルシウム,セルロース,デキストリン,デキストロース,フラクトース,ラクチトール,ラクトース,炭酸マグネシウム,酸化マグネシウム,マルチトール,マルトデキストリン,マルトース,ソルビトール,澱粉,ショ糖,砂糖及びキシリトールが包含されるが,これらに限定されない。
【0020】
適切な潤滑剤には寒天,ラウリン酸エチル,オレイン酸エチル,グリセリン,パルミトステアリン酸グリセリン,グリコール,水素化植物油,酸化マグネシウム,マンニトール,ポロキサマー,安息香酸ナトリウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,ソルビトール,ステアレート類,及びタルクが包含されるが,これらに限定されない。
【0021】
適切なアジュバントには緩衝物質,着色剤,コンシステンシー改良剤,希釈剤,柔軟剤,フレーバ改良剤,防腐剤,浸透圧を変更するための塩,可溶化剤,安定化剤,湿潤及び乳化剤,マスキング剤,及び酸化防止剤が包含されるが,これらに限定されない。
【0022】
適切な担体には炭酸マグネシウム,ステアリン酸マグネシウム,タルク,ショ糖,乳糖,ペクチン,デキストリン,澱粉,ゼラチン,トラガカント,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム,低融点ワックス,ココアバター,水,アルコール類,ポリオール類,グリセリン,植物油等が包含されるが,これらに限定されない。
【0023】
医薬組成物は少なくとも1の,さらなる活性薬剤も含んでよく,それは1又は1以上のさらなる有機又は無機分子を含み得る。
【0024】
医薬組成物は,さらなる医薬無しに,単独で使用されてよい。或いは,該組成物は他の薬剤,例えば癌,特に膵臓癌を治療するための薬剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0025】
本発明のさらなる側面に従い,薬剤としての使用のための上記化合物が提供される。さらに他の態様において,該薬剤は病気の治療又は予防における使用のためのものである。
【0026】
本発明のさらなる側面に従い,病気を治療又は予防する方法における使用のための上記化合物が提供される。
【0027】
本発明のさらなる側面に従い,病気の治療又は予防のための薬剤を製造する方法のための上記化合物が提供される。
【0028】
本発明のさらなる側面に従い,上記載の化合物,及び薬学的に許容される賦形剤,アジュバント,希釈剤及び/又は担体を含む,病気の治療又は予防における使用のための医薬組成物が提供される。
【0029】
本発明のさらなる側面に従い,上記載の化合物,及び薬学的に許容される賦形剤,アジュバント,希釈剤及び/又は担体を含む,病気を治療又は予防する方法における使用のための医薬組成物が提供される。
【0030】
本発明のさらなる側面に従い,治療有効量の,上記載の化合物又は上記載の医薬組成物を投与することを含むヒト又は動物の体の病気又は状態を治療する方法が提供される。
【0031】
本発明のさらなる側面に従い,癌の治療における使用のための上記載の化合物が提供される。
【0032】
本発明のさらなる側面に従い,膵臓癌の治療における使用のための,上記載の化合物が提供される。
【0033】
本発明のさらなる側面に従い,上記載の化合物であって,該化合物がS100Pと終末糖化産物受容体との相互作用を阻害する,上記載の化合物が提供される。
【0034】
本発明のさらなる側面に従い,上記載の化合物であって,該化合物がS100P/RAGE相互作用を阻害する,上記載の化合物が提供される。
【0035】
本発明のさらなる側面に従い,治療有効量の,上記載の化合物を哺乳動物に投与するステップを含む,癌を治療する方法が提供される。特に,癌は膵臓癌であってよい。特に,該哺乳類はヒトであってよい。
【0036】
本書類において用語,置換されている,は1又は1以上の水素原子が他の基によって置換されている基を包含する。
【0037】
既に論じた本発明の全ての側面において,該発明は,適切な場合には本発明の化合物の全ての光学異性体,ジアステレオマー,及び互変異生体を包含する。本発明の化合物が立体異性体及び/又は幾何異性体,例えばそれらが1又は1以上の非対称及び/又は幾何中心を有し得,従って2又は2以上の立体異性体及び/又は幾何異性体の形態で存在し得るとすれば,本発明はそれらの化合物及びその混合物の,全ての個々の立体異性体及び幾何異性体の使用を企図する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の他の側面及び特徴は,付随する図面と共に特定の態様の以下の記載を見れば当業者に明らかになるであろう。
図1図1は,S100Pのクロモリンとの相互作用を示す。図1Aは,MOEにおいてダミー原子を用いてレンダリングされたタンパク質のダイマー界面の2つの重なるポケットを示す。図1Bは,クロモリン(空間充填モデル)がポケット内に収容(ドッキング)されていることを示す。図1CはクロモリンとS100Pとの予測された結合相互作用を示す;
図2図2は2の効果及びクロモリン(100μM)BxPC−3浸潤を示す。図2Aは化合物2がBxPC−3細胞と共にマトリゲル浸潤チャンバーの上側コンパートメントの無血清培地に添加され,一方,下側チャンバーに10%血清が添加されたときの結果を示す。48時間後,膜の下側表面上に浸潤した細胞がギムザ染料を用いて染色され,浸潤研究のために5つの異なる視野(フィールド)中の細胞が計測された。結果が平均±標準誤差(SEM)として表される。2元配置分散分析法(2−Way ANOVA)を用いて,<0.05(),<0.01(**)及び<0.001(***)のP値が,コントロールに対して決定された。図2B,2C,2D及び2Eに顕われた,ギムザ染色の後の細胞について代表的な膜の写真が示される;
図3図3は膵臓癌細胞に対するクロモリンの抗増殖効果を示す。図3AはBxPC−3細胞及び図3BはPanc−1細胞を示す。細胞は,96ウェルプレートで,10%v/vウシ胎児血清,2mML−グルタミン,及び200Uペニシリン−ストレプトマイシン溶液により補足された完全培地に一晩播種された(104細胞/ウェル)。化合物はウェル中で順次希釈され,24,48,及び72時間後,MTSアッセイを用いて細胞増殖が評価された。結果がn=4の平均±標準誤差で表される。2元配置分散分析法を用いて,<0.05(),<0.01(**),<0.001(***)及び<0.0001(****)のP値が,コントロールに対して決定された。ボンフェローニテスト(Bonferroni test)を用いて95%信頼区間でポストテスト比較が行われた;
図4図4は化合物2(A),3(B),8(C),26(D)及び7(E)のBxPC−3細胞に対する抗増殖効果を示す。BxPC−3細胞は,96ウェルプレート中の,10%v/vウシ胎児血清,2mML−グルタミン及び200Uペニシリン−ストレプトマイシン溶液により補足された完全RPMI−1640培地に一晩播種された(10細胞/ウェル)。化合物はウェル中に順次希釈され,24,48,及び72時間後,MTSアッセイを用いて細胞増殖が評価された。結果がn=4の平均±標準誤差で表される。2元配置分散分析法を用いて,<0.05(*),<0.01(**),<0.001(***)及び<0.0001(****)のP値が,コントロールに対して決定された。ボンフェローニテストを用いて95%信頼区間でポストテスト比較が行われた;
図5図5は化合物2(A),3(B),8(C),26(D)及び7(E)のPanc−1細胞に対する抗増殖効果を示す。Panc−1細胞は,96ウェルプレート中の,10%v/vウシ胎児血清,1%v/vL−グルタミン及び200Uペニシリン−ストレプトマイシン溶液により補足された完全DMEM培地に一晩播種された(10細胞/ウェル)。化合物はウェル中へと順次希釈され,24,48,及び72時間後,MTSアッセイを用いて細胞増殖が評価された。結果がn=4の平均±標準誤差で表される。2元配置分散分析法を用いて,<0.05(),<0.01(**),<0.001(***)及び<0.0001(****)のP値が,コントロールに対して決定された。ボンフェローニテストを用いて95%信頼区間でポストテスト比較が行われた;及び
図6図6Aから6Hは,1プレートからn=3で行ったELISAアッセイにおける1μM S100Pと30nM RAGEとの結合に対する薬剤の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<インシリコ,合成及びインビトロの,膵臓癌におけるS100P/RAGE相互作用の潜在的阻害性の研究>
膵臓癌と診断された人の95%より多くは,5年を超えて生存できないであろうが,未だ有用な薬剤治療法が無い。ここに,我々は,癌に対する薬剤標的であると提案されているカルシウムイオン結合性タンパク質であるS100Pに結合し及びS100Pを阻害する可能性を有する新たな小分子の設計,合成及び評価について記載する。我々は,インビトロ研究において,S100Pに結合することが示されているアレルギー薬であるクロモリンに匹敵する,膵臓癌細胞増殖に対する>90%の効力(ポテンシー)を示した1の特定の化合物について報告する。
【0040】
S100Pの2つの実験的な構造がRCSBタンパク質データバンク(PDB)にX線結晶構造(PDBアクセッションコード1J55)及びNMRアンサンブル(PDBアクセッションコード1OZO)として存在する。前者は結合されたカルシウムイオンを有する2Åのモノマーとして解明されているが,残基46−51及び95が消失している。一方,NMRアンサンブルはダイマーとして存在する配座異性体を含むが,結合カルシウムイオンは有しない。結晶構造と比べて該アンサンブルには3つの変異体もある;T6→A,C85→S及びA92→T。
【0041】
クロモリン結合及び実験的なS100P構造に関する入手可能な実験的情報を用いて,本研究はインシリコ法を採用してS100PのNMRアンサンブル中のクロモリンが結合し得る可能性がある結合ポケットを特定した。次いで,リードライクデータベース(lead−like databases)の仮想スクリーニングで−クロモリンと構造的に区別される−膵臓癌の侵入及び成長に抗して作用する化学療法剤としての見込みを示すヒットを特定した。ここで,我々は,BxPC−3及びPanc−1膵臓癌細胞に抗する,特定された主なヒットのうちの1つ−及び4つのアナログ−のポテンシーについて見出した事を報告する。前者は内因性S100Pを発現するが後者はそれを欠く。
【0042】
インシリコ設計
S100PのNMRアンサンブル(1OZO)中の配座異性体ナンバー15が薬剤発見研究を始めるために最も適切な構造であることが,4つの異なるポケット検出アルゴリズム−Fpocket,Pocket−Finder,Q−SiteFinder及びSite−Finder−が独立に,クロモリンを結合するのに十分に大きいS100Pダイマー界面でのポケットを特定した後,特定された。このモデルは,NMRアンサンブルを解明した著者によれば,偶然にも1OZOの最も代表的なモデルである。
【0043】
ポケットを構成する残基は,ホモダイマーの両方の鎖上に位置されていた。ポケット検索アルゴリズムの限界は,ダイマー界面のポケットが2つの分離した結合サイトとして解明された事に帰結した。2つのポケットのうち大きい方は,A鎖からの残基M1,T2,E5,T6,M8,G9,I12,F71,S72,及びI75並びに,ポケット表面に寄与するB鎖からの残基F44,V78,A79,A80,I81,T82,S83,A84,C85,H86,K87,Y88,F89,K91,A92,G93,L94,及びK95を有し,349Å(Q−SiteFinder)の体積を有する。小さいポケットは,第1のものよりも埋まっており,A鎖からの残基G9,I11,I12,D13,F15,S16,S19,S21,Q26,F71,S72,F74,I75,及びV78,並びにポケット表面に寄与するB鎖からの残基T82及びH86を有し,198Åの体積を有する(図1)。F15,Y88及びF89は,S100Pの疎水性コアに関与し,それは該タンパク質が,カルシウムイオンが結合すると立体配座を変えるときに露出される。他のプログラムによって特定された同じポケットはQ−SiteFinderによって特定されたもののサブセットであることが見出された。Site−Finderでは特定された孔(キャビティ)が,そのリガンド結合性スコア(PLB)に応じて順位付けされ,ダイマー界面で特定されたポケットは,リガンド結合性に関して上位3位内に順位付けされた。S100P−クロモリン相互作用に関して,該タンパク上の特定されたポケットが対称性である旨が報告された最近発行された研究に反して,我々の研究ではそのようなことは観察されなかった。実際,NMRアンサンブル中の構造で特定されたポケットのいずれも対称性を示さない。しかし,同じグループによる機能性分析においてRAGEとの結合において重要な役割を果たしていると特定されたS100Pの残基E5,D13,F44,Y88及びF89は,我々のポケットにおいても特定された。
【0044】
MOEのドックツール(Dock tool)を用いて,クロモリンがこれらのポケットにドックされるとき(図1B),タンパク質と最も相互作用があるポーズ−合計3つ−は,推定結合親和性スコア(S)10.54kcal/molを有した。このポーズは,リガンドの一端のカルボキシレートの酸素と残基H86の間,及び他端のカルボンキシレートの酸素と残基C85の間の,2つの水素結合相互作用を有する。第3の相互作用は,残基F89とリガンドのベンズオキサジン部位のうちの1つとのpi−スタッキング疎水性相互作用を含む(図1C)。これらの相互作用は,MOEライブラリにおいてリードライクデータベースをバーチャルスクリーニングするのに使用される3点薬理原子団モデルのベースとなる。合わせると,これらのデータベースは653,214化合物を有し,バーチャルスクリーニングは4,610ヒット−データベースの0.7%−をもたらした。それらの化学的類似性に基づきヒットを分類(クラスタリング)するために,ChemAxon(http://www.chemaxon.com)から入手可能なChemAxon’s Library MCSクラスタリングツール(JChem 5.9.0,2013)を用いた。129のクラスタと24のシングルトンがあった。最低の親和エネルギースコア(S)のヒットが各クラスタから選ばれ,低い結合親和性スコアを有するヒットの広範な集合を示した。限られたリソースと商業的販売者からの化合物の入手可能性によって,ケンブリッジコーポレーション(米国,サンディエゴ)及びインターバイオスクリーン(InterBioscreen)(ロシア,モスクワ)から12化合物が購入され,5つを内製した。これらが膵臓癌に対する生物学的スクリーニングに供された。
【0045】
生物学的スクリーニング
化合物2は仮想(バーチャル)スクリーンから得られた17化合物のうちの1つであり,BxPC−3及びPanc−1膵臓癌細胞に対するマトリゲル(Matrigel)浸潤アッセイ(コーニング社登録商標,米国)スクリーニングに供された。BxPC−3細胞は,内因性S100Pを発現する一方,Panc−1はそうではない。最初は,この化合物−及びアナログ−はケンブリッジ社から購入され,BxPC−3に対する浸潤アッセイスクリーニングがこれらの細胞に対する有望な効果を示した後,実験室においてさらに合成及び精製された(図2)。
【0046】
100及び500μMで,マトリゲルマトリックスに亘るBxPC−3細胞の浸潤において,夫々,17%(p<0.05)と100%(p<0.001)の減少があった(図2)。Panc−1細胞については何ら効果が見られなかった(データを示さず)。比較すると,100μMのクロモリンは,これらの細胞の浸潤を20%(p<0.05,図2)阻害した。クロモリンはマウスモデルにおいて膵臓癌腫瘍の増殖及び浸潤を減らすことが以前の研究で示された。しかし,これらの細胞の増殖及び浸潤の阻止は,クロモリンだけを投与した場合に比べて,膵臓癌を治療するために現在使用されている抗癌剤のゲムシタビンとの組み合わせにおいて,より顕著であった。同じ著者ら(authors)によるクロモリンのPanc−1細胞に対する類似の研究は,浸潤及び増殖に対して何ら顕著な効果を示さず,BxPC−3細胞に対するクロモリンのS100P特異的効果を示唆した。この研究において,より高い1000μM濃度を除き,BxPC−3及びPanc−1細胞の双方の増殖に対する何らの顕著な効果が観察されなかった。
【0047】
化合物2が,BxPC−3及びPanc−1細胞に対する抗増殖特性についてスクリーニングされたとき,72時間後,3つの濃度全てについて,コントロールに比べたBxPC−3の増殖の阻止が認められた(p<0.001,図4A)。しかし,類似の効果がPanc−1細胞についても観察され,単独のS100P−媒介効果であることに疑念を投げかけた(補足情報を参照されたい)。化合物3は,酸の代わりにエステル基を有し,BxPC−3に対して,24時間後,化合物2より顕著な抗増殖効果を有した(図4B)。代謝活動におけるこの最初の減少は,細胞の外来刺激への露出により,より低い増殖能となることによるのかもしれない。48時間後,細胞はコントロールに比べて極僅かではあるものの回復するように見える。
【0048】
酸性基がオルト位にある場合−化合物8−BxPC−3に対する抗増殖効果は,1及び10μMにおいて,酸性基がメタ位(図4C)にある化合物2に比べてより顕著である。トリパンブルー計測により評価されたように未だ生存可能ではあるが,1μMにおいてBxPC−3細胞の代謝活動は観察されず,サブマイクロモル濃度でのさらなる研究に有望な途を開く。より励みにさえなるのは,現在進行中のS100P/RAGE機能性アッセイスクリーニングからの最初の結果が,S100PのRAGEへの結合に対するこの化合物のナノモル濃度での阻止を示し,従って,選択性は未だ達成されていないが,該化合物がS100Pに作用することを確認したことである。化合物26及び7は,NO基及び酸性基を夫々有さず,双方とも,BxPC−3の増殖をコントロールに比べて低い濃度(1及び10μM)で阻害した(夫々,図4D及び4F)。再び,Panc−1細胞に対しても運悪く阻害が観察された。化合物3,8及び7については,100μM以上で,溶解性の問題が観察された:これらの化合物は,培養媒体中で沈殿し,アッセイと直接的に干渉して誤った高い吸光度をもたらした。しかし,増殖の阻害は<10μMの濃度で観察され,目立った溶解性の問題はなく,これらの新たな化合物の潜在的な抗癌治療薬への処方の実現可能性が真実の可能性として残る。
【0049】
細胞株
インビトロ研究のための全ての薬剤は,特に断りの無い限り,シグマアルドリッチ(英国,ドーセット)から購入された。ヒト膵臓癌細胞,Panc−1(ATCC(登録商標),型番CRL−1469(商標))及びBxPC−3(ATCC(登録商標),型番CRL−1687(商標))はLGCスタンダード(LGC社,英国,ミドルセックス)から購入された。双方とも夫々の培地で培養された−Panc−1については,ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)及びBxPC−3についてはRPMI−1640−10%v/vウシ胎児血清(FBS),200Uペニシリン/ストレプトマイシン溶液,及び2mML−グルタミンにより補足された。双方の細胞は,5%加湿CO雰囲気において37℃で維持され,及び約70%のコンフルエンシーに達したとき,標準トリプシン処理プロトコルを用いて,週当たり少なくとも3回継代された。クロモリンは,ナトリウム塩として購入され,一方,化合物2,3,7,8及び26はハートフォードシャー大学にて合成され,特徴付けされ及び精製された。ストック溶液(10mM)を調製するために,クロモリンは蒸留水に溶解され,化合物2,3,7,8及び26はDMSOに溶解された。
【0050】
マトリゲル浸潤アッセイ
孔径8μmのトランスウェルインサート(英国,オックスフォード,BDバイオサイエンス社)及びバイオコートマトリゲル浸潤プレート(英国,オックスフォード,BDバイオサイエンス社)を用いてマトリゲル浸潤アッセイが行われた。プレートが−20°Cでの保存から取り出され,使用前にゲルを平衡にするために室温(〜19°C)で2時間維持された。予備加温された無血清培地(500μL)が該インサートの上側チャンバーに添加され,加湿CO雰囲気下,37℃でさらに2時間インキュベートされた。培地が除去され,200μLの無血清培地中の細胞懸濁液(2.5x104細胞/mL)が各インサート中にピペットで注入された。インサートが10%ウシ胎児血清で補足された培地500μLを含むウェル内へと静かにに移動された。プレートが加湿COインキュベーター内で,37℃で48時間インキュベートされた。次いで,上部溶液が取り除かれ,膜の上側表面上の細胞が滅菌綿棒でそっと除去された。インサートの底面上の細胞は,100%メタノールで固定され,0.4%(w/v)ギムザ染料(英国,プール,シグマアルドリッチ社)で染色された。チャンバーが蒸留水で順次洗われた後,空気乾燥された。各膜からの5つの隣接視野の細胞の数がx10倍率で計測され,各視野当たりの平均細胞数が求められた。データが,コントロール膜を通過した浸潤に対するマトリゲル及び膜を通過した%浸潤として表される。
【0051】
セルタイタ96(登録商標)アクエアスワン溶液細胞増殖アッセイ法(CellTiter 96AQueous One Solution Cell Proliferation Assay)(MTS)研究
完全細胞培養液100μL中の膵臓癌細胞(1x105細胞/mL)が96ウェルプレート中に播かれ,5%CO雰囲気下,37℃で一晩インキュベートされた。クロモリン及び化合物2,3,7,8及び26が,無血清培地中10mMストックから準備されて,1,10,100及び1000μMへと順次希釈された。この研究のコントロールサンプルは,薬剤の無い細胞,対応する濃度のDMSOを含む細胞サンプル,及び培地のみのサンプルを含む。細胞は,試験化合物と共に,24,48及び72時間インキュベートされた。各時点,即ち24,48及び72時間に,CellTiter96(登録商標)AQueous Non−Radioactive Cell Proliferation Assay (MTS)(英国,プロメガ社)が各ウェルに添加された(1:5)。プレートが90分間インキュベートされた後,Multiskan Ascent 96/384プレートリーダー(英国,ラフバラ,テルモサエンティフィック社)を用いて492nmの吸光度が読み取られた。実験は3回繰り返された。
【0052】
データ分析のために,バックグラウンドノイズ(培地だけのウェル)が全てのウェルから差し引かれた。1,10,100及び1000μMのDMSO吸光度がサンプル化合物を含むウェルから差し引かれ,全4回繰り返しの平均値が取られた。データはp値0.05での3回繰り返しの平均±標準誤差としてプロットされている。
【実施例】
【0053】
合成
化学合成用の試薬は,断りのない限りシグマアルドリッチ(英国,ドーセット,グリングハム)から購入され,さらなる精製無く使用された。全ての溶媒はフィッシャサエンティフィック社(英国,ラフバラ)から購入された。必要な場合,溶媒が3Å(例えばメタノール)及び4Å(例えばジエチルエーテル)のモレキュラーシーブを用いて乾燥された。H−NMR及び13C−NMR(標準としてTMS)スペクトルが日本電子ECA600/54/SSSスペクトロメータ上に記録された。テトラメチルシランに対するケミカルシフトがppmで,及び,J値(示されている場合)がHzで示される。赤外スペクトルが,Nicolet6700FT−IRSmartiTR(テルモサエンティフィック)ユニバーサルATR(全反射)サンプリングアクセサリ上に薄膜として調製された試料を用いて,パーキンエルマ−FT−IR/FIR分光器Frontierを用いて測定された。LC−MSは,210LCポンプ2台,400オートサンプラー及び1200L質量分析器を備えるバリアン(Varian)システムで測定された。融点は,グリフィン融点装置を用いて測定され,修正されていない。薄層クロマトグラフィー(TLC)は,蛍光指示薬UV254で予めコーティングされたシリカゲルプレート(英国,フィッシャー社,POLYGRAM(登録商標)SILG/UV254TLC−シート)上で行われた。化合物のIUPAC名は,ChemBioOfficeUltra14を用いて作られた。
【0054】
9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]フラノアントラセン−12,14−ジオン(1)
【化11】
無水マレイン酸(0.46g,4.71ミリモル)が,攪拌下のキシレン(25mL)中の9−ニトロアントラセン(1.03g,4.61ミリモル)溶液に添加され,該混合物が還流下140−143℃で,3−5日,TLC上で全てのジエンが消滅したことが示されるまで加熱された。反応混合物は,攪拌下で氷上に置かれる前に室温まで冷却された。冷却により沈澱物が析出された。該沈澱物がろ過され,氷冷されたキシレンによって洗浄されて,所望のディールスアルダー環状付加物1が得られ,それはさらに精製されることなく,次工程で使用された。痰黄色粉体。収率0.969g(65%)。融点:239−240℃。H-NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)7.65−7.69(1H,m),7.50−7.58(2H,m),7.37−7.44(3H,m),7.32−7.37(1H,m),7.05(1H,dd,J=7.5,0.5Hz),5.11(1H,d,J=3.0Hz),4.66(1H,d,J=9.3Hz),3.94(1H,dd,J=9.3,3.2Hz)。13C-NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)170.32,168.99,139.47,137.17,136.93,134.15,129.49,129.44,128.40,128.17,126.11,125.60,123.37,120.81,93.24,51.14,49.25,44.79。vmax/cm−1:2988,2969(C−H伸縮),1781(C=O伸縮),1556(NO非対称),1361(NO対称)。m/z:352(100%,[M−H+CHOH])。
【0055】
N−置換9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル誘導体(2−22)合成の一般的手順
【化12】
氷酢酸(10mL)中の無水マレイン酸9−ニトロアントラセン環状付加物(1,1当量)溶液に,攪拌下で,3−又は4−置換アニリン(1.2−1.5当量)が夫々添加された。該混合物が還流下,120℃で2−3時間加熱された後,室温まで冷却された。冷却された混合物に脱イオン水が添加され,生成された沈殿物がろ過され,脱イオン水で洗浄され,及び吸引下で乾燥されて所望の生成物が得られた。
【0056】
3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸(2):HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.92−8.00(1H,m),7.69−7.77(2H,m),7.35−7.52(7H,m),7.27(1H,dt,J=5.2,1.7Hz),7.06−7.13(1H,m),6.72−6.80(1H,m),5.02−5.08(1H,m),4.57−4.65(1H,m),3.72−3.79(1H,m)。13CNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)174.06(1=Oアミド),170.58(1=Oアミド),170.10(1=Oカルボキシル),130.97,129.70,129.12,128.79,128.50,127.99,127.52,127.48,125.48,124.73,123.80,120.56,92.66(1−NO脂肪族),49.42(1−H脂肪族),47.91(1−H脂肪族),45.80(1−H脂肪族)。vmax/cm−1:3535(OH伸縮),1705(C=O伸縮),1551(NO非対称),1366(NO対称)。m/z:439(100%,[M−CHOH])。融点:268−273℃。
【0057】
3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸エチル(3):HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.95(1H,dq,J=7.9,0.9Hz),7.68−7.78(2H,m),7.35−7.52(6H,m),7.14−7.18(1H,m),7.08−7.12(1H,m),6.76−6.83(1H,m),5.07(1H,d,J=3.4Hz),4.62(1H,d,J=8.8Hz),4.34(2H,q,J=7.1Hz),3.76(1H,dd,J=8.8,3.1Hz),1.37(3H,t,J=7.1Hz)。13CNMR(600MHz,アセトン−d)δ(ppm)174.06,172.93,164.76,139.76,137.58,137.48,134.39,132.23,131.52,131.16,129.46,129.22,128.79,128.49,127.70,127.53,127.47,125.48,124.72,123.81,120.55,93.69,61.02,49.44,47.94,45.78,13.72。vmax/cm−1:2984,2903(CH伸縮),1710(C=O伸縮),1551(NO非対称),1363(NO対称)。m/z:469(20%,M+H),491(7%,M+H+Na)。融点:202−203℃。
【0058】
13−(3−クロロフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(4):HNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)7.71(1H,d,J=7.2Hz),7.61−7.66(1H,m),7.31−7.51(1H,m),7.06(1H,d,J=7.1Hz),6.40−6.52(1H,m),5.07(1H,d,J=3.0Hz),4.49(1H,d,J=8.8Hz),3.69(1H,dd,J=8.7,3.2Hz)。13CNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)174.63,173.44,134.30,133.04,131.38,129.29,128.03,126.84,125.83,123.80,120.75,93.74,69.62,49.63,48.01,45.29。vmax/cm−1:3115,2981,2966(CH伸縮),1717(C=O伸縮),1547(NO非対称),1383(NO対称)。m/z:431(<5%,M+H)。融点:255−230℃。
【0059】
13−(3−フロロフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピロロアントラセン−12,14−ジオン(5):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)7.74(1H,d,J=6.8Hz),7.54(1H,d,J=7.0Hz),7.18−7.46(8H,m),6.94−7.16(2H,m),6.35(1H,d,J=7.7Hz),6.12−6.31(1H,m),4.93(1H,d,J=3.1Hz),4.45(1H,d,J=9.0Hz),3.56(1H,dd,J=9.0,3.1Hz)。13CNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)173.73,172.37,163.65,138.96,137.13,136.49,133.93,130.34,128.88,128.66,127.80,127.68,125.36,124.36,123.90,122.24,120.91,116.18,115.97,114.03,113.79,93.42,49.03,47.77,45.99。vmax/cm−1:3075(CH伸縮),3040,3015,2973,2890(CH伸縮),1706(C=O伸縮),1551(NO非対称),1383(NO対称)。m/z:415%(<5%,M+H)。融点:241−243℃。
【0060】
9−ニトロ−13−(3−ニトロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピロロアントラセン−12,14−ジオン(6):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)8.15(1H,ddt,J=8.3,2.2,1.2,1.2Hz),7.68−7.78(1H,m),7.47−7.59(2H,m),7.26−7.46(6H,m),7.06−7.16(1H,m),6.94(1H,ddt,J=8.0,2.1,1.1,1.1Hz),4.95(1H,d,J=3.0Hz),4.50(1H,dd,J=8.9,1.3Hz),3.61(1H,ddd,J=8.9,3.1,1.2Hz)。13CNMR(600MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)173.55,172.23,148.41,138.77,136.96,136.39,133.86,132.37,132.01,130.10,128.96,128.80,127.93,127.76,125.41,124.40,123.93,123.72,121.67,120.95,93.42,49.13,47.88,46.04。vmax/cm−1:3094,3080,3049,2976,2971,2959,2887,(CH伸縮),1709(C=O伸縮),1548,1529(NO非対称),1341(NO対称)。m/z:442(<5%,M+H)。融点:240−242℃。
【0061】
9−ニトロ−13−フェニル−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(7):HNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)7.71(1H,d,J=7.3Hz),7.62−7.67(1H,m),7.30−7.50(9H,m),7.05(1H,d,J=7.6Hz),6.42−6.47(2H,m),5.07(1H,d,J=2.6Hz),4.50(1H,dd,J=8.8,1.5Hz),3.66(1H,ddd,J=8.8,3.0,1.4Hz)。vmax/cm−1:3070,2972,2903(CH伸縮),1713(C=O伸縮),1550(NO非対称),1387(NO対称)。m/z:397(10%,M+H)。融点:110−112℃。
【0062】
4−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸(8):HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.97(2H,d,J=8.9Hz),7.69−7.78(1H,m),7.47−7.51(1H,m),7.35−7.45(4H,m),7.08−7.12(1H,m),6.73(2H,d,J=8.8Hz),5.05−5.08(1H,m),4.62(1H,d,J=8.9Hz),3.76(1H,dd,J=8.9,3.1Hz)。13CNMR(600MHz,アセトン−d)δ(ppm)173.91,172.76,165.94,139.77,137.58,137.41,135.70,134.33,130.86,130.08,128.80,128.52,127.53,127.49,126.57,125.47,124.71,123.77,120.54,93.69,49.39,47.89,45.77。vmax/cm−1:3284(OH伸縮),3076,2970,2903(CH伸縮),1702(C=O伸縮),1550(NO非対称),1389(NO対称)。m/z:439(100%,M−H)。融点:340−345℃。
【0063】
4−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピロロアントラセン−13−イル)安息香酸エチル(9):HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.92−7.97(2H,m),7.68−7.77(2H,m),7.47−7.51(1H,m),7.36−7.46(4H,m),7.10(1H,d,J=6.1Hz),6.70−6.74(2H,m),5.07(1H,d,J=3.1Hz),4.62(1H,d,J=8.9Hz),4.32(2H,q,J=7.1Hz),3.76(1H,dd,J=8.8,3.0Hz),1.33(3H,t,J=7.1Hz)。13CNMR(600MHz,アセトン−d)δ(ppm)173.85,172.73,139.76,129.78,128.79,128.51,127.48,126.61,125.46,124.71,123.77,120.54,60.91,49.39,47.89,45.78,13.65。vmax/cm−1:2989(CH伸縮),1710(C=O伸縮),1550(NO非対称),1394(NO対称)。m/z:469(10%,M+H)。融点:255−260℃。
【0064】
13−(4−クロロフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピロロアントラセン−12,14−ジオン(10):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)7.70−7.75(1H,m),7.52−7.56(1H,m),7.37−7.42(2H,m),7.31−7.37(4H,m),7.26−7.31(3H,m),7.09−7.12(1H,m),6.44−6.49(2H,m),4.92(1H,d,J=3.1Hz),4.44(1H,d,J=8.9Hz),3.55(1H,dd,J=8.9,3.1Hz)。13CNMR(600MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)173.84,172.47,138.96,137.14,136.49,134.80,133.92,129.62,129.29,128.86,128.60,127.76,127.68,125.34,124.34,120.90,93.43,49.02,45.99。vmax/cm−1:2981,2971,2887(CH伸縮),1709(C=O伸縮),1551(NO非対称),1389(NO対称)。m/z:431(<10%,M+H)。融点:270−273℃。
【0065】
13−(4−フロロフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピロロアントラセン−12,14−ジオン(11):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)7.73(1H,dd,J=6.6,2.4Hz),7.51−7.56(1H,m),7.29−7.43(7H,m),7.08−7.13(1H,m),6.96−7.04(2H,m),6.44−6.50(2H,m),4.92(1H,d,J=3.0Hz),4.44(1H,d,J=9.0Hz),3.54(1H,dd,J=8.9,3.1Hz)。13CNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)174.05,172.68,139.00,137.16,136.55,128.86,128.60,128.39,128.30,127.75,127.66,127.06,125.36,124.35,123.90,120.90,116.23,116.00,93.44,49.00,47.74,45.99。vmax/cm−1:2981,2970,2893(CH伸縮),1710(C=O伸縮),1551(NO非対称),1395(NO対称)。m/z:415(<5%,M+H)。融点:220−225℃。
【0066】
9−ニトロ−13−(4−ニトロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピロロアントラセン−12,14−ジオン(12):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)8.12−8.16(2H,m),7.72−7.76(1H,m),7.53−7.56(1H,m),7.30−7.44(6H,m),7.10−7.14(1H,m),6.78−6.83(2H,m),4.94(1H,d,J=3.1Hz),4.49(1H,d,J=9.0Hz),3.60(1H,dd,J=9.0,3.1Hz)。13CNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)170.62(s),169.30,144.68,136.03,133.66,131.07,126.19,125.97,125.11,124.99,124.30,121.62,121.54,121.11,118.17,90.62,46.33,45.06,43.25。vmax/cm−1:3121,3087,2978,2855(CH伸縮),17812(C=O伸縮),1551,1521(NO非対称),1344(NO対称)。m/z:442(5%,M+H)。融点:316−318℃。
【0067】
13−(4−(tert−ブチル)フェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(13):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)7.72−7.75(1H,m),7.51−7.55(1H,m),7.28−7.43(9H,m),7.08−7.12(1H,m),6.36−6.41(2H,m),4.92(1H,d,J=3.1Hz),4.43(1H,d,J=9.0Hz),3.53(1H,dd,J=8.9,3.1Hz),1.26(9H,s)。13CNMR(600MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)174.33,172.92,152.38,139.09,137.23,136.57,133.95,128.82,128.58,128.42,127.72,127.61,126.18,125.90,125.37,124.34,123.89,120.86,93.47,48.98,47.74,45.97,34.65,30.92。vmax/cm−1:2981,2902,2875(CH伸縮),1714(C=O伸縮),1547(NO非対称),1392(NO対称)。m/z:453(65%,M+H)。融点:238−240℃。
【0068】
13−(4−ヨードフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(14):HNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)7.66−7.77(4H,m),7.59−7.65(1H,m),7.30−7.49(6H,m),7.05(1H,d,J=7.5Hz),6.23−6.32(2H,m),5.06(1H,d,J=2.6Hz),4.48(1H,dd,J=8.8,2.0Hz),3.66(1H,ddd,J=8.7,3.0,2.0Hz)。13CNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)174.65,173.44,139.89,138.50,137.60,137.47,134.20,131.46,129.28,128.91,127.94,125.90,125.41,123.73,120.73,95.62,93.74,49.59,47.97,45.28。vmax/cm−1:2968,2901(CH伸縮),1706(1C=O伸縮),1550(NO非対称),1387(NO対称)。m/z:523(<5%,M+H)。融点:301−306℃。
【0069】
13−(4−メトキシフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(15)
H−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.68(1H,d,J=1.0Hz),7.62−7.64(1H,m),7.35−7.41(5H,m),7.04(1H,d,J=7.7Hz),6.88(2H,d,J=8.9Hz,アニリンp−置換),6.33(2H,d,J=9.0Hz,アニリンp−置換),5.04(1H,s),4.45(1H,d,J=8.8Hz),3.71(3H,s,メチル),3.62(1H,d,J=8.8Hz)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):174.53(C=O),173.33(C=O),159.18(アニリンC−OMe),139.42,137.11,136.99,133.72,128.66,128.33,127.57(2C,アニリンp−置換),127.39,127.27,125.33,124.79,123.75,123.20,120.12,114.21(2C,アニリンp−置換),93.19(脂肪族CH),55.82(メチル),48.90(芳香族CH),47.65(芳香族CH),44.21(脂肪族CH)。νmax/cm−1:3073,2960(C−H伸縮),1700(C=O伸縮),1548(NO非対称),1395(NO対称),1255(C−N伸縮),1192,1166(C−O伸縮)。m/z:427.3(38%,[M+H];C2518予測=426.43)。融点:250−254℃。
【0070】
13−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(16)
H−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.68(1H,d,J=8.4Hz),7.60−7.61(1H,m),7.37−7.39(5H,m),7.02(1H,d,J=7.6Hz),6.57(2H,d,J=9.1Hz,アニリンp−置換),6.19(2H,d,J=8.9Hz,アニリンp−置換),5.01(1H,s),4.42(1H,d,J=8.8Hz),3.57(1H,d,J=11.9Hz),2.85(6H,s,ジメチル)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):174.75(C=O),173.54(C=O),150.19(C−N−ジメチル),139.47,137.11,137.04,133.72,128.60,128.25,127.34,127.20,126.82(4C),125.29,124.73,123.18,120.08(アニリンp−置換),119.42(アニリンp−置換),111.81(2C,アニリンp−置換),93.20(脂肪族CH),48.90(脂肪族CH),47.95(脂肪族CH),44.90(脂肪族CH)。νmax/cm−1:3040,2890(C−H伸縮),1702(C=O伸縮),1545(NO非対称),1362(NO対称),1170(C−N伸縮)。m/z:440.4(100%,[M+H];C2621予測=439.47)。融点:265−266℃。
【0071】
9−ニトロ−13−(p−トリル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(17)
融点=258−262℃;HNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.69(1H,dd,J=1.76,J=0.92Hz),7.64−7.62(1H,m),7.41−7.35(5H,m),7.13(2H,d,J=8.08),7.04(1H,d,J=7.4),6.32(2H,dd,J=1.72,J=3.92Hz),5.05(1H,d,J=3.04Hz),4.47(1H,d,J=8.72Hz),3.63(1H,dd,J=3.12,J=2.2Hz),2.25(3H,s);13CNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):175.02,173.82,140.08,138.99,137.68,137.56,134.27,129.99(2C),129.26,128.94,127.99,127.89,126.70(2C),125.92,125.41,123.78,120.72,93.76,49.51,48.01,45.68,21.21;IRvmax/cm−1:2988(C−H伸縮),1715(C=O伸縮),1550(NO非対称伸縮),1326(NO対称伸縮)1458,1387(C−H変角),1183(C−N伸縮);m/z:411.3(2.5%,[M+H]+);C2518の予測質量=410.45。
【0072】
13−(3−メトキシフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(18)
H−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.69(1H,d,J=7.4Hz),7.62−7.64(1H,m),7.23−7.47(6H,m),7.04(1H,d,J=12.2Hz),6.91(1H,d,J=2.6Hz),6.06(1H,d,J=7.9Hz),5.82(1H,s),5.04(1H,s),4.46(1H,d,J=10.1Hz),3.65(3H,s,メチル),3.64(1H,d,J=9.5Hz)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):174.22(C=O),173.02(C=O),159.38(アニリンC−OMe),139.35,137.11,136.92,133.72,132.31,129.81,128.65,128.34,127.39,127.29,125.36,124.81,123.23,120.13(アニリン),118.65(アニリン),114.49(アニリン),112.10(アニリン),93.18(脂肪族CH),55.82(メチル),48.75(脂肪族CH),47.90(脂肪族CH),44.89(脂肪族CH)。νmax/cm−1:3065,2998(C−H伸縮),1714(C=O伸縮),1549(NO非対称),1386(NO対称),1244(C−N伸縮),1199,1153(C−O伸縮)。m/z:449.3(36%,[M+Na];C2518予測=426.43)。融点:262−266℃。
【0073】
13−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(19)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.68(1H,d,J=8.5Hz),7.62−7.64(1H,m),7.35−7.46(6H,m),7.10(1H,t,J=8.3Hz),7.04(1H,d,J=7.1Hz),6.65(1H,d,J=10.4Hz),5.78(1H,d,J=8.6Hz),5.39(1H,s),5.03(1H,s),4.46(1H,d,J=8.7Hz),2.77(6H,s,ジメチル)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):174.61(2C,C=O),151.13(アニリンC−N−ジメチル),139.85(2C),138.70(2C),137.47(アニリン),132.63(アニリン),128.81(2C),127.82(4C),127.56(2C),120.25(アニリン),112.95(アニリン),110.48(アニリン),93.71(脂肪族CH),45.10(脂肪族CH),49.04(脂肪族CH),47.96(脂肪族CH),44.83(2C,ジメチル)。νmax/cm−1:2968,2948(C−H伸縮),1710(C=O伸縮),1551,(NO非対称),1393(NO対称),1246(C−N伸縮)。融点:213−215℃。
【0074】
3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)ベンゾニトリル(20)
H−NMR(600MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.84(1H,d,J=0.5Hz,ベンゾニトリル),7.70(2H,d,J=1.0Hz,ベンゾニトリル),7.58−7.62(1H,m,ベンゾニトリル),7.40−7.49(5H,m),7.05(1H,d,J=3.8Hz),6.89−6.90(1H,m),6.77−6.78(1H,m),5.07(1H,s),4.51(1H,d,J=8.8Hz),3.72(1H,d,J=3.1Hz);13C−NMR(600MHz,DMSO−d6)δ(ppm):173.94(C=O),172.75(C=O),139.20(ベンゼンC),137.03(ベンゼンC),136.77(ベンゼンC),133.66(ベンゼンC),132.72(アニリン),131.89(アニリン),131.26(アニリン),130.70(アニリン),129.59(アニリン),128.73,128.45,127.46,127.39,125.40,124.89,123.21,120.19,117.47(アニリンC≡N),112.00(アニリンC−シアノ),93.16(脂肪族C−H),49.02(脂肪族C−H),47.63(脂肪族C−H),44.42(脂肪族CH)。νmax/cm−1:3064,2995(C−H伸縮),2231(C≡N伸縮),1715(C=O伸縮),1547(NO非対称),1386(NO対称),1177(C−N伸縮)。融点:310−311℃。
【0075】
9−ニトロ−13−(m−トリル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(21)
融点=209−211℃;HNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.70(1H,d,J=6.63Hz),7.63−7.65(1H,m),7.36−7.47(5H,m),7.22(1H,t,J=7.72Hz),7.14(1H,d,J=7.68),7.05(1H,d,J=7.48Hz),6.22(2H,t,J=8.00Hz),5.06(1H,d,J=3.00Hz),4.48(1H,d,J=8.72Hz),3.65(1H,dd,J=3.12Hz,J=2.32Hz),2.21(3H,s);13CNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):175.00,173.80,139.98,139.09,137.70,137.55,134.30,131.83,130.00,129.37,129.26,128.95,128.00,127.91,127.48,125.97,125.42,124.10,123.83,120.74,93.76,49.51,48.05,45.88,21.24;IRvmax/cm−1:1710(C=O伸縮),1545(NO非対称伸縮),1360(NO対称伸縮)1459,1383(C−H変角),1179(C−N伸縮)。
【0076】
ヘテロ環同族体(22−24)
【化13】
【0077】
3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(22)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):8.37(2H,s,ピラゾール),7.69−7.72(2H,m),7.56−7.59(2H,m),7.33−7.41(4H,m),4.64−4.66(2H,m),4.09(1H,q,J=7.0Hz),3.83(1H,d,J=12.1Hz),3.76(1H,d,J=11.4Hz),1.91(3H,s,メチル)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):173.23(C=O),172.04(C=O),161.51(O=C−O),139.03(2C),137.31(2C),136.71(ピラゾール),134.32(ピラゾール),128.58(2C),127.36(4C),125.40(2C),93.84(脂肪族CH),93.06(ピラゾール),59.83(脂肪族ピラゾールCH),48.63(脂肪族CH),47.11(脂肪族CH),44.41(脂肪族CH),14.02(メチル)。νmax/cm−1:3013,2948(C−H伸縮),1710(C=O伸縮),1607(N−H伸縮),1551(NO非対称),1393(NO対称),1246(C−N伸縮),1199,1166(C−O伸縮)。m/z:457.1(100%,[M−H];C2418予測=458.43)。融点:128−130℃。
【0078】
9−ニトロ−13−(1,2,4−トリアゾール−4−イル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(23)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.80(2H,s,トリアゾール),7.72(1H,d,J=8.2Hz),7.45−7.51(6H,m),7.09(1H,d,J=7.3Hz),5.15(1H,s),4.59(1H,d,J=8.7Hz),3.89(1H,d,J=11.6Hz)。13C−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):170.60(C=O),169.41(C=O),141.90(2C,トリアゾール),139.14(ベンゼンC),137.26(ベンゼンC),136.73(ベンゼンC),133.90(ベンゼンC),129.58,129.50,128.43,128.23,126.11,125.68,123.63,120.94,93.61(脂肪族CH),48.12(脂肪族CH),46.42(脂肪族CH),45.02(脂肪族CH)。νmax/cm−1:3089,2974(C−H伸縮),1751(C=O伸縮),1551,(NO非対称),1459(C=N伸縮),1360(NO対称),1291(C−N伸縮),1173(C−N伸縮)。融点:314−315℃。
【0079】
3−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]−エピピロロアントラセン−13−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸(24):
融点=248−252℃;HNMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):7.36−7.41(2H,m),7.29−7.32(2H,m),7.24(1H,s),7.17−7.20(2H,m),7.14−7.16(1H,m),4.88(2H,t,J=1.56Hz),3.43(2H,t,J=1.74);13CNMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):174.26,170.43,141.16,140.61,138.27,138.07,127.76,127.40,127.15,126.94,125.20,125.07,124.40,124.35,47.99,47.95,45.65,45.42;vmax/cm−1:1718(C=O伸縮),1475(C−H変角),1188(C−H変角)。
【0080】
9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]フラノアントラセン−12,14−ジオン(25)
【化14】
無水マレイン酸(1g,102ミリモル)が攪拌下でキシレン(25mL)中のアントラセン(1.82g,102ミリモル)溶液に添加され,該混合物が還流下,TLC上で全てのジエンの消滅が示されるまで140−143℃で加熱された。反応混合物は攪拌下で,氷上に置かれる前に室温まで冷却された。沈殿物がろ過され,氷冷されたキシレンによって洗浄され,砂色で柱状の所望のディールス−アルダー環状付加物25が得られた。該環状付加物はさらに精製されることなく次工程で使用された。収率2.69g(92%)。融点:259−260℃。HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.47−7.51(2H,m),7.33−7.38(2H,m),7.17−7.22(4H,m),4.89−4.92(2H,m),3.73−3.75(2H,m)。13CNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)171.22,141.51,139.41,127.23,126.79,125.09,124.48,48.24,45.29。vmax/cm−1:3077,3026,2970(C−H伸縮),1782(C=O伸縮)。m/z:307(100%,[M−H+CHOH])。
【0081】
N−置換12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル誘導体(26−45)合成の一般的手順
【化15】
無水マレイン酸アントラセン環状付加物(25,1当量)及び適切に置換された3−又は4−置換アニリン(1.2−1.5当量)が氷酢酸(10mL)中で1−5時間還流された後,室温まで冷却された。脱イオン水(25−40mL)が添加されると,沈澱物が得られた。これがろ過され,氷冷脱イオン水で洗浄され,乾燥された。
【0082】
3−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸(26):HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.93−7.97(1H,m),7.52(2H,dd,J=5.4,3.3Hz),7.41−7.48(2H,m),7.28−7.35(4H,m),7.21(5H,ddd,J=5.4,3.3,2.0Hz),6.73−6.79(1H,m),4.88−4.91(2H,m),3.47(2H,dd,J=2.1,1.3Hz)。13CNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)175.60,165.77,141.99,139.65,131.12,129.34,128.93,128.10,126.84,126.60,125.00,124.37,47.23,45.82。vmax/cm−1:3321(OH伸縮),1704(C=O伸縮),1594(NO非対称),1385(NO対称)。m/z:394(100%,M−H)。融点:285−288℃。
【0083】
3−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸エチル(27):HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.89−7.96(1H,m),7.49−7.55(2H,m),7.45(1H,t,J=7.9Hz),7.30−7.37(2H,m),7.15−7.26(6H,m),6.76−6.82(1H,m),4.89(2H,t,J=1.5Hz),4.33(2H,q,J=7.1Hz),3.47(2H,dd,J=2.1,1.3Hz),1.36(3H,t,J=7.1Hz)13CNMR(600MHz,アセトン−d)δ(ppm)175.63,164.90,131.29,129.12,129.02,127.83,126.84,126.61,125.01,124.37,60.94,47.24,45.81,13.73。vmax/cm−1:3070,3042,2992(CH伸縮),1718,1703(C=O伸縮)。m/z:424(15%,M+H)。融点:205−207℃。
【0084】
13−(3−フロロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(28):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)7.40−7.47(2H,m),7.17−7.35(8H,m),6.97−7.05(1H,m),6.29−6.36(1H,m),6.24(1H,dt,J=9.2,2.2Hz),4.83−4.89(2H,m),3.35−3.41(2H,m)。13CNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)175.60,163.67,161.22,141.40,139.01,133.08,132.98,130.27,130.19,127.18,126.83,125.07,124.38,122.42,115.81,115.60,114.15,113.91,47.13,45.89。vmax/cm−1:3083(CH伸縮),3041(CH伸縮),3020(CH伸縮),2974(CH伸縮),1702(C=O伸縮)。m/z:370(<5%,M+H)。融点:228−230℃。
【0085】
13−(3−クロロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(29):HNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)7.49−7.54(2H,m),7.36−7.45(2H,m),7.30−7.34(2H,m),7.17−7.25(4H,m),6.42−6.49(2H,m),4.87(2H,s),3.42(2H,d,J=1.3Hz)。13CNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)176.24,142.05,139.86,133.63,133.46,131.21,129.15,127.22,126.98,125.95,125.38,124.98,47.29,45.44。vmax/cm−1:3077(CH伸縮),2960(CH伸縮),1708(C=O伸縮)。m/z:386(<5%,M+H)。融点:238−240℃。
【0086】
13−(3−ニトロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(30):HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)8.11−8.15(1H,m),7.42−7.52(3H,m),7.31−7.38(3H,m),7.19−7.27(4H,m),6.92(1H,ddd,J=7.9,2.0,1.1Hz),4.88(2H,s),3.40−3.44(2H,m)。13CNMR(600MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)175.41,148.40,141.19,138.89,132.65,132.54,129.91,127.30,126.90,125.09,124.41,123.36,121.77,47.21,45.93。vmax/cm−1:3081,3048,3011,2957(CH伸縮),1710(C=O伸縮),1530(NO非対称),1341(NO対称)。m/z:397(<5%,M+H)。融点:282−285℃。
【0087】
13−フェニル−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(31):HNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)7.51(2H,dd,J=5.3,3.3Hz),7.28−7.36(5H,m),7.21(4H,ddd,J=8.1,5.1,3.2Hz),6.37−6.47(2H,m),4.86(2H,s),3.41(2H,s),1.91(1H,d,J=0.5Hz)。13CNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)175.66(2=Oアミド),171.39(1カルボキシル),129.97,126.62,125.01,124.37,47.21(2−H脂肪族),45.83(2−H脂肪族)。vmax/cm−1:3069,3038,2969(CH伸縮),1710(C=O伸縮)。m/z:352(<5%,M+H)。融点:211−215℃。
【0088】
4−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸(32):HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.95(2H,d,J=8.8Hz),7.50−7.54(2H,m),7.31−7.35(2H,m),7.19−7.23(4H,m),6.72(2H,d,J=8.6Hz),4.89(2H,d,J=1.6Hz),3.47(2H,dd,J=2.0,1.4Hz)。13CNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)175.66,171.39,129.97,126.62,125.01,124.37,47.21,45.83。vmax/cm−1:3283(OH伸縮),3020(CH伸縮),2972(CH伸縮),1698(C=O伸縮),1105(C−O伸縮)。m/z:394(100%,M−H)。融点:352−358℃。
【0089】
4−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸エチル(33)
HNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)7.89−7.98(2H,m),7.45−7.56(2H,m),7.28−7.38(2H,m),7.16−7.24(4H,m),6.67−6.76(2H,m),4.78−4.99(2H,m),4.32(2H,q,J=7.1Hz),3.47(2H,dd,J=2.0,1.4Hz),1.33(3H,t,J=7.1Hz)。13CNMR(400MHz,アセトン−d)δ(ppm)175.42,165.09,141.95,139.62,129.65,126.85,126.67,126.61,124.99,124.37,60.86,47.20,45.82,13.67。vmax/cm−1:2954(CH伸縮),1707(C=O伸縮)。m/z:424(50%,M+H)。融点:220−222C。
【0090】
13−(4−フロロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(34)
HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)7.40−7.46(2H,m),7.29−7.34(3H,m),7.17−7.24(5H,m),6.94−7.02(2H,m),6.42−6.49(2H,m),4.82−4.88(2H,m),3.38−3.43(2H,m),3.35−3.38(2H,m),2.05(1H,s)。13CNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)175.93,141.41,139.05,128.52,128.43,127.12,126.80,125.05,124.37,116.07,115.84,47.10,45.88。vmax/cm−1:2975,2891(CH伸縮),1708(C=O伸縮)。m/z:370(<5%,M+H)。融点:250−253℃。
【0091】
13−(4−クロロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(35)
HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)7.37−7.48(2H,m),7.10−7.37(9H,m),6.40−6.49(2H,m),4.85(2H,s),3.31−3.41(2H,m)。13CNMR(MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)175.71,141.38,139.00,134.41,130.24,129.16,127.86,127.13,126.80,125.04,124.36,47.10,45.88。vmax/cm−1:2981,2973,2885(CH伸縮),1702(C=O伸縮)。m/z:386(<5%,M+H)。融点:275−278℃。
【0092】
13−(4−ニトロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(36)
HNMR(400MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)8.09−8.18(2H,m),7.37−7.49(2H,m),7.28−7.36(2H,m),7.14−7.25(4H,m),6.76−6.84(2H,m),4.88(1H,s),4.83(1H,s),3.48−3.65(1H,m),3.36−3.48(2H,m)。13CNMR(600MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)175.25,170.61,147.24,141.21,140.77,138.88,138.50,137.15,127.61,127.25,127.15,127.07,126.90,125.15,125.06,124.40,124.18,48.04,47.19,45.92,45.43。vmax/cm−1:3121,3082,3017,2973,2860(CH伸縮),1708(C=O伸縮),1522(NO非対称),1344(NO対称)。m/z:397(<10%,M+H)。融点:265−268℃。
【0093】
13−(4−ヨードフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(37)
HNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)7.68−7.75(2H,m),7.47−7.53(2H,m),7.26−7.32(2H,m),7.19(4H,dd,J=5.1,3.5Hz),6.23−6.30(2H,m),4.86(2H,s),3.40(2H,s)。13CNMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm)176.23,142.12,139.81,138.35,132.01,129.03,127.22,126.95,125.31,124.94,95.17,47.24,45.41。vmax/cm−1:2973(CH伸縮),1700(C=O伸縮)。m/z:478(<5%,M+H)。融点:303−307℃。
【0094】
13−(4−(tert−ブチル)フェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(38)
HNMR(400MHzジクロロメタン−d)δ(ppm)7.43(2H,dd,J=5.4,3.2Hz),7.29−7.34(4H,m),7.17−7.25(5H,m),6.35−6.40(2H,m),4.84−4.86(2H,m),3.36(2H,dd,J=2.1,1.3Hz),1.26(9H,s)。13CNMR(600MHz,ジクロロメタン−d)δ(ppm)176.14,151.98,141.54,139.10,129.06,127.06,126.74,126.03,125.05,124.32,47.10,45.89,34.60,30.94。vmax/cm−1:2963,2903,2868(CH伸縮),1707(C=O伸縮)。m/z:408(65%,M+H)。融点:268−271℃。
【0095】
13−(4−メトキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(39)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.50(2H,q,J=5.4Hz),7.29(2H,q,J=5.4Hz),7.20−7.22(4H,m),6.87(2H,d,J=9.1Hz,アニリンp−置換),6.33(2H,d,J=8.9Hz,アニリンp−置換),4.85(2H,s),3.71(3H,s,メチル),3.38(2H,s)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):176.09(2C,C=O),158.95(アニリンC−OMe),141.61(2C),139.29(2C),127.66(2C,アニリンp−置換),126.54(2C),126.30(2C),124.73(2C),124.30(2C),123.76,114.06(2C,アニリンp−置換),55.82(メチルl),46.01(2C,脂肪族CH),44.42(2C,脂肪族CH)。νmax/cm−1:3011,2948(C−H伸縮),1710(C=O伸縮),1509(C=C芳香環伸縮),1246(C−N伸縮),1199,1166(C−O伸縮)。m/z:404.3(25%,[M+Na];C2519NO予測質量381.43)。融点:240−243℃。
【0096】
13−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(40)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.50(2H,q,J=3.2Hz),7.28(2H,q,J=3.2Hz),7.18−7.21(4H,m),6.58(2H,d,J=9.2Hz,アニリンp−置換),6.20(2H,d,J=9.0Hz,アニリンp−置換),4.84(2H,s),3.35(2H,s),2.85(6H,s,ジメチル)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):176.74(2C,C=O),150.48(C−N−ジメチル),142.10(2C),139.72(2C),127.39(2C),126.92(2C),126.70(2C),125.14(2C),124.69(2C,アニリンp−置換),120.53,112.23(2C,アニリンp−置換),46.06(2C,脂肪族CH),45.89(2C,脂肪族CH),40.19(2C,ジメチル)。νmax/cm−1:3033,2948(C−H伸縮),1709(C=O伸縮),1392(ジメチル),1246,1186(C−N伸縮)。m/z:395.3(58%,[M+H];C2622予測質量394.47)。融点:243−245℃。
【0097】
13−(p−トリル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(41)
HNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.52−7.50(2H,m),7.31−7.28(2H,m),7.18−7.29(4H,m),7.12(2H,d,J=8.52Hz),6.30(2H,dt,J=1.72,J=1.84),4.85(2H,s),3.38(2H,t,J=0.56Hz),2.25(3H,s);13CNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm)176.61(2C),142.22(2C),139.86,138.59,129.84(2C),129.77(2C),127.17(2C),126.92(2C),126.84(2C),125.35(2C),124.93(2C),47.64(2C),45.79(2C),21.21。
【0098】
13−(3−メトキシフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(42)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.51(2H,q,J=8.6Hz),7.30(2H,q,J=8.6Hz),7.197.24(4H,m),6.91(1H,d,J=10.3Hz),6.08(1H,s),6.06(1H,s),5.80(1H,s),4.86(2H,s),3.65(3H,s,メチル),3.40(2H,s)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):176.17(2C,C=O),159.68(アニリンC−OMe),141.92(2C),139.65(2C),130.00(アニリン),126.95(2C),126.70(2C),124.93(2C),124.70(2C),124.48(アニリン),119.21(アニリン),114.53(アニリン),112.62(アニリン),55.96(メチル),46.03(2C,脂肪族CH),44.56(2C,脂肪族CH)。νmax/cm−1:3011,2948(C−H伸縮),1712(C=O伸縮),1247(C−N伸縮),1200,1166(C−O伸縮)。m/z:382.3(36%,[M+H];C2519NO予想質量381.43)。融点:200−201℃。
【0099】
13−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(43)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.49−7.52(2H,m),7.30−7.33(2H,m),7.18−7.23(6H,m),7.10(1H,t,J=8.4Hz),6.64(1H,d,J=10.4Hz),5.80(1H,d,J=8.6Hz),5.40(1H,s),4.86(2H,s),2.78(6H,s,ジメチル)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):175.53(2C,C=O),150.22(アニリンC−N−ジメチル),141.19(2C),139.25(2C),132.46(アニリン),128.99(アニリン),125.97(4C),124.11(4C),114.09(アニリン),112.17(アニリン),110.27(アニリン),47.93(2C,脂肪族CH),46.59(2C,脂肪族CH),44.82(2C,ジメチル)。νmax/cm−1:2967,2948(C−H伸縮),1709(C=O伸縮),1246(C−N伸縮)。融点:228−230℃。
【0100】
3−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)ベンゾニトリル(44)
H−NMR(600MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.81−7.83(1H,m,ベンゾニトリル),7.58(2H,t,J=8.1Hz,ベンゾニトリル),7.50−7.52(1H,m,ベンゾニトリル),7.30−7.32(4H,m),7.18−7.22(2H,m),6.85−6.86(1H,m),6.76−6.77(1H,m),4.87(2H,s),3.45(2H,s)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d6)δ(ppm):175.53(2C,C=O),141.39(2C,ベンゼンC),139.23(2C,ベンゼンC),132.46(アニリン),132.36(アニリン),131.40(アニリン),130.54(アニリン),129.72(アニリン),126.66(2C),126.39(2C),124.79(2C),124.40(2C),117.56(アニリンC≡N),111.86(アニリンC−cyano),46.02(2C,脂肪族C−H),44.41(2C,脂肪族C−H);νmax/cm−1:3076,2970(C−H伸縮),2239(C≡N伸縮),1712(C=O伸縮),1195(C−N伸縮)。融点:262−264℃。
【0101】
13−(m−トリル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(45)
HNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):7.50−7.52(2H,m),7.30−7.32(2H,m),7.19−7.24(5H,m),7.43(1H,d,J=8.02Hz),6.21(1H,d,J=8.52),6.17(1H,s),4.85(2H,s),3.39(2H,t,J=0.64Hz),2.21(3H,s);13CNMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm)176.60,172.67,142.20(2C),139.88(2C),138.91,132.38,129.68,129.23,127.67,127.18(2C),126.94(2C),125.40(2C),124.94(2C),124.26,47.75(2C),45.88(2C),21.24.
【0102】
ヘテロ環同族体(46−48)
【化16】
【0103】
3−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(46)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.46(2H,q,J=3.2Hz,ピラゾール),7.33(4H,q,J=3.4Hz),7.18(4H,qq,J=2.3Hz,3.2Hz),4.86(2H,s),4.57(2H,s),2.99(2H,s),1.90(3H,s,メチル)。13C−NMR(600MHz,DMSO−d)δ(ppm):171.13(2C,C=O),166.71(O=C−O),149.97(ピラゾール),140.64(4C),138.64(ピラゾール),126.21(2C),126.17(2C),124.45(2C),124.05(2C),103.96(ピラゾール),67.62(脂肪族ピラゾールCH),47.82(2C,脂肪族CH),44.40(2C,脂肪族CH),13.83(メチル)。νmax/cm−1:2967,2948(C−H伸縮),1710(C=O伸縮),1607(N−H伸縮),1246(C−N伸縮),1199,1166(C−O伸縮)。m/z:412.1(12%,[M−H];C2419予測質量413.43)。融点:243−244℃。
【0104】
13−(1,2,4−トリアゾール−4−イル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(47)
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):7.71(2H,s,トリアゾール),7.54(1H,q,J=8.6Hz),7.48(1H,q,J=8.6Hz),7.18−7.35(6H,m),4.94(1H,s),4.88(1H,s),3.66(1H,s),3.58(1H,s)。13C−NMR(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):172.22(2C,C=O),142.03(2C,トリアゾール),141.32(2C,ベンゼンC),139.50(2C,ベンゼンC),127.69(2C),127.21(2C),125.50(2C),125.20(2C),48.51(脂肪族CH),45.62(脂肪族CH),45.20(脂肪族CH),44.82(脂肪族CH)。νmax/cm−1:3082,2974(C−H伸縮),1749(C=O伸縮),1463(C=N伸縮),1296(C−N伸縮)。融点:252−254℃。
【0105】
3−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸(48)
融点248−252℃;HNMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):7.36−7.41(2H,m),7.29−7.32(2H,m),7.24(1H,s),7.17−7.20(2H,m),7.14−7.16(1H,m),4.88(2H,t,J=1.56Hz),3.43(2H,t,J=1.74);13CNMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):174.26,170.43,141.16,140.61,138.27,138.07,127.76,127.40,127.15,126.94,125.20,125.07,124.40,124.35,47.99,47.95,45.65,45.42;vmax/cm−1:1718(C=O伸縮),1475(C−H変角),1188(C−H変角)。
【0106】
エステル及びアミド誘導体(49−55)
【化17】
【0107】
方法:安息香酸誘導体(2ミリモル)及び塩化チオニル(5mL)が還流下で2時間加熱された。過剰の塩化チオニルが窒素気流下で冷水トラップを用いて溜去された。冷却後,トリエチルアミン(1モル当量)及び過剰量のアルコール又はアミン試薬(約8−10mL)が添加され,TLCで完結するまで,混合物が室温で攪拌された。該混合物が水中に注がれて,生成物が沈殿物として得られ,それがろ過され及び空気乾燥された。
【0108】
代替法:クロロギ酸イソブチル(2.1ミリモル)が,攪拌下で,THF(10mL)中の安息香酸誘導体(2ミリモル)及びトリエチルアミン(2.1ミリモル)に添加され,塩氷浴中で0℃より低い温度まで冷却された。該混合物が2時間で室温まで温められた。0℃へと再冷却された後,THF(10mL)中のアルコール又はアミン試薬(2.0ミリモル)が添加され,及びTLCで完結するまで該混合物が室温で攪拌された。溶媒が蒸発されて粗生成物が得られた。
【0109】
3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸ブチル(49)
融点:263−265℃;HNMR(600MHz,DMSO−d):δ7.90(1H,d,J=7.9Hz),7.70(H,d,J=7.2Hz),7.62(1H,m,Ar−H),7.46−7.52(2H,m,Ar−H),7.34−7.43(4H,m),7.01−7.05(2H,m,Ar−H),6.75(1H,dd,J=7.6,1.9Hz,Ar−H),5.07(1H,d,J=2.9Hz,CH),4.47(1H,dd,J=7.4,1.4Hz,CH),4.26(2H,t,J=6.7Hz,CH),3.68(1H,m,CH),1.68(2H,5重線,J=7.6Hz,CH),1.39(2H,6重線,J=7.5Hz,CH),0.93(3H,t,J=7.6Hz,CH);13CNMR(d6−DMSO):δ174.2,173.0,164.6,140.0,138.5,133.5,131.1,129.7,127.4,127.1,124.8,123.2,120.1,93.2,64.7,49.5,47.5,44.5,30.1,18.7,13.5;vmax/cm−1:3392(OH伸縮),2956(CH伸縮),1708(C=O),1450(Ar−C−C伸縮),1389(Ar−C−C伸縮)。
【0110】
3−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸3−(ジメチルアミノ)プロピル(50)
融点:96−101℃;HNMR(DMSO−d6):δ,7.88(1H,d,J=7.9Hz)7.48−7.51(3H,m,Ar−H),7.30(2H,m,Ar−H),7.17−7.22(4H,m,Ar−H),6.98(1H,d,J=1.4Hz),6.76(1H,d,J=7.9Hz),4.86(1H,m),4.27(1H,t,J=6.5Hz),2.27(2H,t,J=7.7Hz,NCH),2.11−2.14(6H,s,N(CH,),1.53(2H,quin,J=6.5Hz,CH);13CNMR(DMSO−d6):δ175.8,164.7,141.5,139.3,132.2,131.3,130.7,129.5,129.2,127.3,126.7,126.4,124.8,124.4,63.5,59.3,56.3,55.5,46.0,44.5,30.1,26.3;vmax/cm−1:3396(OH伸縮),2863(Ar−CH),2781(Ar−CH),1701(C=O),1489(Ar−C−C),1448(Ar−C−C)。
【0111】
4−オクソペンチル−3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]−エピピロロアントラセン−13−イル)ベンゾエート(51):HNMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):7.43(2H,m),7.19−7.20(1H,m),7.06−7.07(1H,m),6.93(1H,m),6.85−6.86(4H,m),6.73(1H,d,J=1.50Hz),6.64(1H,s),6.56−6.57(1H,m),4.42−4.44(2H,m),4.06(1H,d,8.94Hz),4.00−4.01(2H,m),3.81(1H,d,J=5.70Hz),3.61(2H,q,J=6.54Hz),3.08−3.14(1H,m),2.75(2H,d,J=6.54Hz),2.06(1H,t,J=1.86Hz);13CNMR(600MHz,CDCL3)δ(ppm):172.93,172.87,171.68,166.72,137.86,137.73,135.90,135.80,135.47,132.69,131.45,128.57,127.64,127.35,126.40,126.34,126.13,125.82,124.17,123.33,123.28,122.54,92.10,48.16,46.68,44.51,26.82,24.34,17.96,17.61。
【0112】
N−ベンジル−3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)ベンズアミド(52)
HNMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):7.46(1H,d,J=6.54Hz),7.22−7.34(8H,m),7.17(2H,m),7.09(1H,t,J=5.34Hz),6.82(1H,t,J=1.92Hz),6.58(1H,dd,J=1.38Hz,J=0.84Hz),4.38−4.42(1H,m),3.65(1H,q,J=7.02Hz),3.01(3H,q,J=7.38);13CNMR(600MHz,DMSO−d6)δ(ppm):173.97,172.54,169.99,138.65,138.25,137.99,136.94,136.21,135.53,133.83,131.06,129.35,129.16,128.78,128.70,128.59,128.42,127.96,127.87,127.74,127.65,127.38,125.24,124.96,124.14,123.98,120.99,93.16,48.91,45.92,45.65,43.60。
【0113】
4−(3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸(53)
HNMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):8.19(1H,t,J=5.82),7.04−7.07(2H,m),6.78−6.82(1H,m),6.76−6.77(1H,m),6.65−6.67(1H,m),6.59−6.60(1H,m),6.51−6.53(6H,m),6.37(1H,s),6.34(1H,s),6.28(1H,s),6.19−6.27(1H,t,J=7.56Hz),4.12−4.13(2H,m),3.27(1H,d,J=6.66Hz),2.78−2.79(1H,m),2.34(2H,d,J=6.54Hz);13CNMR(600MHz,CDCl3)δ(ppm):172.43,172.34,171.26,165.79,137.51,137.41,135.38,135.21,132.16,129.77(2C),128.79,127.96,127.83,127.30,126.99,126.69,126.01,125.69(2C),125.50,125.20,123.62,122.90,121.82,118.75,91.52,47.42,45.99,43.63;
【0114】
4−((9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸ブチル(54)
融点:258−272°C;HNMR(d6−DMSO):δ7.87(2H,d,J=8.0Hz,,Ar−H);7.69(1H,m,Ar−H),7.61(1H,m,Ar−H),7.35−7.45(5H,m,Ar−H),7.04(1H,d,J=7.7Hz,Ar−H),6.58(2H,d,J=8.0Hz,Ar−H),5.06(1H,d,J=2.6Hz,CH),4.48(1H,m,CH),4.25(2H,t,J=6.5Hz),3.67(1H,m,CH),1.65(2H,5重線,J=7.8Hz,CH),1.39(2H,6重線,J=7.5Hz,CH),0.90(3H,t,J=7.4Hz,CH),13CNMR(d6−DMSO):δ174.1,172.9,129.8,128.4,127.4,126.2,125.3,124.8,123.2,120.1,93.2,49.0,47.5,45.0,44.5,30.1,18.6,13.5;vmax/cm−1:3365(OH伸縮),2917(CH伸縮),1708(C=O),1458(Ar−C−C伸縮)。
【0115】
4−((4−(12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸(55)
融点:251−256℃;HNMR(DMSO−d6):δ0.83−0.85(1H,m,CH),0.93−0.95(2H,t,CHJ=7.02Hz),1.22−1.26(3H,m,CH)1.89(2Hs,CH),2.07(1H,s,CH),3.85(1H,s,CH),4.86(1H,m,CH),6.55(1H,m,Ar−H),7.18−7.20(3H,m,Ar−H),7.30−7.31(3H,m,Ar−H),7.51(2H,m,Ar−H),7.87(2H,m,Ar−H);vmax/cm−1:3019(OH伸縮),2848(Ar−CH),2622(Ar−CH),1703(C=O),1489(Ar−C−C),1455(Ar−C−C)。
【0116】
タンパク質結合結果
S100P−RAGE結合のELISAアッセイがPadillaらの方法(Padilla,L.,Dakhel,S.,及びHernandez,J.(2014年),S100の終末糖化産物受容体への結合アッセイ:阻害剤の探索,Biochemical and Biophysical Research Communications,第446巻(1),404−409頁. doi:10.1016/j.bbrc.2014.02.143)を用いて行われた。図6Aから6Hは,1プレートから,n=3のELISAアッセイにおける1μMのS100Pと30nMのRAGEとの結合に対する薬剤の効果を示す。
【0117】
図6Aは13−フェニル−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(31)の結果を示す。
【0118】
図6Bは13−(3−フロロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(28)の結果を示す。
【0119】
図6Cは13−(3−フロロフェニル)−9−ニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(5)の結果を示す。
【0120】
図6Dは13−(4−フロロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(34)の結果を示す。
【0121】
図6Eは13−(4−クロロフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−12,14−ジオン(35)の結果を示す。
【0122】
図6Fは3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸(2)の結果を示す。
【0123】
図6Gは3−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸エチル(3)+RAGEの結果を示す。
【0124】
図6Hは4−(9−ニトロ−12,14−ジオクソ−9,10−ジヒドロ−9,10−[3,4]エピピロロアントラセン−13−イル)安息香酸(8)の結果を示す。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B-D】
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H