【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の簡単な説明
本発明は、少なくとも部分的に成層の燃焼エンジン、例えば一つの面に沿った(ピストン表面のヘッド表面のような)、または幾つかの面に沿った(ヘッド表面およびピストン表面のような二つの向かい合う面のような)成層燃焼(stratified combustion)に関し、ここで火炎放出光子を生じる炭化水素含有燃料の燃焼が、酸化セリウム―炭素含有コーティングが提供された壁を持つチャンバー内で操作され、該酸化セリウム―炭素含有コーティングがさらに少なくとも以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物をさらに含んでなり、これにより以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を有する該酸化セリウム―炭素含有コーティングが、チャンバーの酸化セリウム−炭素含有コーティング上のH
+または
種の形成を制御し、同時に、Ce,Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZr酸化物からの酸素原子を使用する水素H
2との反応を触媒してチャンバーの壁にH
2Oを形成することにより水素分岐反応(hydrogen branching reaction)を制御するように適合され(adapted)、これにより酸化物として表されるCe,Pr,Nd,La、YおよびZrから選択される金属元素の全金属重量含量中で、酸化物として表されるY、Zrおよびそれらの混合物から選択される金属元素の重量金属含量が、少なくとも10%、有利には少なくとも15%、好ましくは16〜40%、最も好ましくは20〜30%である。酸化セリウム―炭素含有コーティングは、有利には70μm未満のような100μm未満、例えば10〜70μmの厚さを有する。
【0022】
本発明の炭素含有コーティングは、グラファイト炭素、最も好ましくは、1500〜1700ラマンシフト(1/cm)の間のラマンピーク強度よりも大きい2600〜2700ラマンシフト(1/cm)の間のラマン強度ピークを持つ構造のような2次元グラフェン構造を含んでなるコーティングを意味する。本発明の炭素含有コーティングは、好ましくは少なくとも30重量%の炭素が2次元グラフェン構造の状態であり、有利にはナノチューブ(例えば単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブ)および/またはフラーレンおよび/またはそれらを組み合わせた構造を有するグラファイトと混合されたコーティングである。
【0023】
本発明のエンジンの燃焼室用に開示された触媒コーティングは、他の目的、例えば排気ガスの後処理、特に燃料および/または炭素含有粒子を含む排気ガスの後処理にも使用することができる。次いで触媒コーティングは、有利にはアルミニウム含有担体、アルミノケイ酸塩担体および/またはアルミノリンケイ酸塩担体、例えばコーディエライト様担体、に担持される。
【0024】
有利には、セリウム―炭素コーティングは火炎により放出される6500〜7500Å波長の光子を捕捉するように構成され、有利には800℃より高い温度を有する火炎により放出される6500〜7500Å波長の光子の5〜25%を捕捉するように構成される。
【0025】
有利な態様によれば、セリウム―炭素コーティングが、少なくとも500から800℃の間の範囲の温度で光子増幅スペクトル放出放射(a photon amplified spectrum emission radiation)を確実とするように構成され、該スペクトルは有利には約4000Åから最高7500Åの実質的に全範囲を網羅する(すなわち紫色の範囲(4000Åから最高約4500Åの波長)、青色の範囲(4500Åから最高5200Åの波長)、緑色の範囲(約5200Åから最高約5700Å)、黄色の範囲(約5700Åから最高約5900Å)、オレンジ色の範囲(約5900Åから最高6250Å)、および赤色の範囲(約6250Åから最高約7500Å)の光線のこのような放出を確実にする)。放出は有利にはコーティングからの放出が約300℃から最高約900℃で実質的に連続して起こるように制御される。
【0026】
好ましくは、エンジンは少なくとも4つの連続的工程、すなわち燃焼室に少なくとも酸素および窒素を装填する導入工程(intake step)、該少なくとも酸素および窒素が圧縮される圧縮工程、燃焼室内での燃焼行程(有利には少なくとも部分的に膨張工程を含んでなる)、および燃焼室の内に存在するガスを排出する排気工程を含んでなり、これにより導入工程および圧縮工程の群から選択される少なくとも一工程中に、以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含んでなる酸化セリウム―炭素コーティングが、100から400℃の間の範囲の温度で酸素原子を取り込むように適合されている。
【0027】
さらなる態様によれば、以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含んでなる酸化セリウム―炭素コーティングが、少なくとも300か
ら700℃の間の範囲の温度で水素原子(特に水素種
の状態)を取り込むように適合されている。燃料の幾らかのクラッキングは、500℃未満の温度および5 10
5Paより高い圧で操作されると予想される。
【0028】
一つの態様によれば、酸化セリウム―炭素含有コーティング中のPr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZr酸化物の存在は、少なくとも500℃より高い温度、および30 10
5Paより高い圧力で、水を形成するためのコーティング中に貯蔵された酸素と水素H
2および/または水素種との反応の触媒として有利に作用する。
【0029】
本発明の有利な態様は、1もしくは複数の以下の特徴、有利には複数の以下の特徴を含んでなる:
―セリウム―炭素含有コーティングは、炭化水素含有燃料が、少なくとも500℃より高い温度、そして20 10
5Paより高い圧力で、炭素含有種または分子に、そして水素および水素種に転換されるために適切である。
―酸化セリウム―炭素含有コーティングは十分なPr,La,Ndおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含み、その結果、500℃より高い温度、そして20 10
5Paより高い圧力で、セリウム―炭素含有コーティングと接触して遊離H種および遊離OH種に転換される水素H
2分子が少なくとも50モル%減少する。
―酸化セリウム―炭素含有コーティングは十分なPr,La,Ndおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含み、その結果、500℃より高い温度、そして20 10
5Paより高い圧力で、セリウム―炭素含有コーティングと接触して遊離H種および遊離OH種に転換される水素H
2分子が少なくとも75モル%減少する。
―セリウム―炭素含有コーティングは、炭素含有燃料の燃焼により生成される火炎により放出される光子を捕捉した後、セリウム―炭素含有コーティングの少なくとも近傍で約4000Åから最高約7500Åの全スペクトル範囲を実質的に連続して網羅するスペクトルを生じるように適合されている。
―セリウム―炭素含有コーティングは、炭素含有燃料の燃焼により生成される火炎により放出される光子を捕捉するために適合され、かつ/または有利には、そしてセリウム―炭素含有コーティングの少なくとも近傍に約4000Åから最高約7500Åの全スペクトル範囲を実質的に連続して網羅するスペクトルを生じるように適合されている。
―セリウム―炭素含有コーティングは、少なくとも炭素含有燃料の燃焼中に、燃焼室中の光子の数を制御するように適合され、該光子は有利には約4000Åから最高約7500Åの全スペクトル範囲を網羅する光子の混合である。
―セリウム―炭素含有コーティングは、少なくともYおよびZrを含んでなり、有利には触媒コーティング中に存在する重量比Y/Zrが1:10から10:1の間、好ましくは2:10から10:2の間の範囲である。
―セリウム―炭素含有コーティングは、幾らかのアルミニウムを、好ましくはその酸化物または水酸化物状態で、および/またはアルミノ―ケイ酸塩状態で含んでなり、これによりAl,Ce,Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrから選択される金属の触媒コーティングの全金属重量含量に対する触媒コーティング中のアルミニウム金属含量が1から10%の間の範囲である。
―エンジンがアルミノ含有面、特にアルミノ―シリカ含有面を有する円筒を含んでなり、該面には少なくとも部分的にセリウム―炭素含有コーティングが提供されている。
―セリウム―炭素含有コーティングの以下の酸化物CeO
2,Pr
6O
11,La
2O
3,Nd
2O
3,Y
2O
3,およびZrO
2としてそれぞれ表されるCe,Pr,La,Nd,Y,およびZr(コーティング中で酸化物および/または水酸化物として存在できる金属元素)から選択される金属の相対重量が、酸化物として表される該金属の全重量に対して:
Ce(CeO
2として):25〜50%、好ましくは35〜45%
Pr(Pr
6O
11として):2〜10%、好ましくは2.5〜6%
La(La
2O
3として):15〜37%、好ましくは20〜32%
Nd(Nd
2O
3として):4〜15%、好ましくは5〜13%
Y(Y
2O
3として):5〜15%、好ましくは8〜12%
Zr(ZrO
2として):5〜25%、好ましくは10〜17%
である。
―触媒コーティングがさらにアルミニウム酸化物および/またはアルミノケイ酸塩を含んでなる。
―触媒コーティングが500nm未満、有利には300nm未満の厚さを有する。
―触媒コーティングが、100nmより大きいサイズを有する最大粒子と、70nm未満(好ましくは30nm未満)のサイズの粒子が最大粒子間に作られるボイド内に広がる構造を有する。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、少なくとも該触媒上での
種とO
2との分岐反応を制御し、ならびに該触媒上での
種とH
2との分岐反応を制御する触媒である。
―触媒コーティングはPd,Pt,Rh,Cuおよびそれらの組み合わせを実質的に含まないか、または含まない。
―酸化セリウム―炭素含有コーティングに存在する炭素の少なくとも50%が、幾らかの重複部分を含む可能性があるグラフェン単位の状態である。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、燃焼室内で特に触媒コーティング上に、多孔質グラファイト状態、特にグラフェン粒子状態の炭素粒子の形成を制御するように適合され、かつ/または燃焼室からスス粒子の排出を低減するように適合されている。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、温度と相関して紫色の範囲の波長の光線、青色の範囲の光線、緑色の範囲の光線、黄色の範囲の光線、ならびに赤色の範囲の光線を放出するように適合されている。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、燃焼室内で特に酸化セリウム―炭素含有コーティング上に、多孔質グラファイト状態、特にグラフェン粒子状態の炭素粒子の形成を制御するように適合され、かつ/または燃焼室からスス粒子の排出を低減するように適合されている。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、温度と相関して紫色の範囲の波長の光線、青色の範囲の波長の光線、緑色の範囲の波長の光線、黄色の波長の範囲の光線、ならびに赤色の範囲の波長の光線を放出するように適合されている。
―エンジンが、少なくとも部分的に二層の成層燃焼エンジンであり、有利に酸化セリウム―炭素含有触媒が提供された二つの向かい合う表面を有し、該向かい合う表面が好ましくはピストンヘッド表面または二つの向かい合った移動するピストンヘッドの表面である。―またはそれらの組み合わせ。
【0030】
また本発明は、燃料を本発明の機関の燃焼室(1もしくは複数)内の空気含有雰囲気中で燃焼することによる力学的エネルギーの生成法に関し、これによりセリウム―炭素含有触媒が、少なくとも触媒中の酸素捕捉による空気含有雰囲気からの酸素除去工程、および水素または水素種の反応により触媒レベルで水蒸気を形成する工程を含んでなるサイクルに供される。
―本発明はさらに本発明のエンジンの触媒用の触媒前駆体に関し、以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含む酸化セリウム―炭素含有コーティングである該触媒は、チャンバーの酸化セリウム−炭素含有コーティング上のH
+種の形成を制御し、同時に、Ce,Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZr酸化物からの酸素原子を使用する水素H
2との反応を触媒してチャンバーの酸化セリウム−炭素含有コーティングにH
2Oを形成することにより水素分岐反応(hydrogen branching reaction)を制御するように適合され(adapted)、これにより、酸化物として表されるCe,Pr,Nd,La、YおよびZrから選択される金属元素の全金属重量含量中で、酸化物として表されるY、Zrおよびそれらの混合物から選択される金属元素の重量金属含量が、少なくとも10%、有利には少なくとも15%、好ましくは16〜40%、最も好ましくは20〜30%であり、ここで触
媒前駆体は有利には、セリウム―炭素含有コーティングの酸化物CeO
2,Pr
6O
11,La
2O
3,Nd
2O
3,Y
2O
3,およびZrO
2として表されるCe,Pr,La,Nd,Y,およびZrから選択される金属の相対重量が、酸化物として表される該金属の全重量に対して:
Ce(CeO
2として):25〜50%、好ましくは35〜45%
Pr(Pr
6O
11として):2〜10%、好ましくは2.5〜6%
La(La
2O
3として):15〜37%、好ましくは20〜32%
Nd(Nd
2O
3として):4〜15%、好ましくは5〜13%
Y(Y
2O
3として):5〜15%、好ましくは8〜12%
Zr(ZrO
2として):5〜25%、好ましくは10〜17%
となるようなものである。
【0031】
有利には、触媒前駆体はさらに酸化アルミニウムおよび/またはアルミノケイ酸塩および/またはSiO
2および/またはシランおよび/またはアルミノリンケイ酸塩を含んでなる。
【0032】
好ましくは、触媒前駆体は10μm未満、有利には5μm未満、好ましくは200nm未満のサイズを持つ粒子状態である。
【0033】
本発明はさらに、有利にアルミニウム、Ni,Co等を含んでなり、好ましくはアルミニウム合金、Ni−CoまたはNi−Co−Al合金から作られた触媒担体に関し、該担体には以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含んでなる酸化セリウム―炭素含有コーティングが提供され、これにより酸化物として表されるCe,Pr,Nd,La、YおよびZrから選択される金属元素の全金属重量含量中で、酸化物として表されるY、Zrおよびそれらの混合物から選択される金属元素の重量金属含量は、少なくとも10%、有利には少なくとも15%、好ましくは16〜40%、最も好ましくは20〜30%である。
【0034】
酸化セリウム―炭素含有コーティングは、有利に本明細書で上に開示したようなエンジンの任意の1つに開示したコーティングの1もしくは複数の特徴を有する。該担体は有利には多孔質および/または柔軟性(flexible)である。好ましくは該担体は多孔質膜の状態である。担体は有利には接着性(adhesive)または一部接着性である。