特許第6722285号(P6722285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6722285-成層燃焼機関 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722285
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】成層燃焼機関
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/10 20060101AFI20200706BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20200706BHJP
   B01J 23/10 20060101ALI20200706BHJP
   F02B 11/00 20060101ALI20200706BHJP
   F02B 77/11 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   F01N3/10 A
   B01J35/02 H
   B01J23/10 A
   F02B11/00 A
   F02B11/00 B
   F02B77/11 A
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-525732(P2018-525732)
(86)(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公表番号】特表2018-537611(P2018-537611A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】IB2015002196
(87)【国際公開番号】WO2017085524
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2018年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】518168409
【氏名又は名称】マクアース・ホールディングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボステール,ドミニク
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0220873(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0163691(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/088027(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0180464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00− 3/38
F01N 9/00−11/00
F02B 1/00−23/10
F02B 61/00−79/00
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に成層の燃焼エンジンであって、火炎放出光子を生じる炭化水素含有燃料の燃焼が、酸化セリウム―炭素含有コーティングが施された壁を持つチャンバー内で操作され、前記コーティングが、少なくとも以下の元素、Pr,Nd,La,YおよびZrの酸化物を含、ここで、以下の元素、Pr,Nd,La,YおよびZrの酸化物を有する前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、前記チャンバーの酸化セリウム−炭素含有コーティング上のH+種の形成を制御し、同時に、Ce,Pr,Nd,La,YおよびZr酸化物からの酸素原子を使用する水素H2との反応を触媒して前記チャンバーの壁にH2Oを形成することにより水素分岐反応(hydrogen branching reaction)を制御するように適合され、ここで、セリウム―炭素含有コーティングの以下の酸化物CeO2,Pr611,La23,Nd23,Y23,およびZrO2としてそれぞれ表されるCe,Pr,La,Nd,Y,およびZrから選択される金属の相対重量が、酸化物として表される金属の全重量に対して:
Ce(CeO2として):25〜50%、または、35〜45%
Pr(Pr611として):2〜10%、または、2.5〜6%
La(La23として):15〜37%、または、20〜32%
Nd(Nd23として):4〜15%、または、5〜13%
Y(Y23として):5〜15%、または、8〜12%
Zr(ZrO2として):5〜25%、または、10〜17%
である、
エンジン。
【請求項2】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、
火炎により放出される6500〜7500Å波長の光子を捕捉するコーティングまたは、800℃より高い温度を有する火炎により放出される6500〜7500Å波長の光子の5〜25%を捕捉するコーティングであるか、
少なくとも500から800℃の間の範囲の温度で光子増幅スペクトル発光放射か、4000Åから最高7500Åの全範囲を網羅する少なくとも500から800℃の間の範囲の温度での光子増幅スペクトル発光放射かを確実とするコーティングである、
請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
サイクルがそれぞれ少なくとも4つの連続的工程、すなわち燃焼室に少なくとも酸素および窒素を装填する導入工程、該少なくとも酸素および窒素が圧縮される圧縮工程、燃焼室内での燃焼工程および燃焼室内に存在するガスを排出する排気工程を含、これにより導入工程および圧縮工程の群から選択される少なくとも一工程中に、以下の元素、Pr,Nd,La,YおよびZrの酸化物を含酸化セリウム―炭素含有コーティングが、100400℃の間の範囲の温度で酸素原子を取り込む、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項4】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが十分なPr,La,Nd,YおよびZrの酸化物を含み、その結果、500℃より高い温度、そして20 105Paより高い圧力で、前記酸化セリウム―炭素含有コーティングと接触して遊離H種および遊離OH種になる水素H2分子が少なくとも50モル%、または、少なくとも75モル%変換する、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項5】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、炭素含有燃料の燃焼により生成される火炎により放出される光子を捕捉するコーティング、および/または、少なくとも壁の近傍に4000Åから最高7500Åの全スペクトル範囲を連続して網羅するスペクトルを生じるコーティングである、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、少なくとも炭素含有燃料の燃焼中に、燃焼室中の光子の数を制御するコーティング、または酸化セリウム―炭素含有コーティング近傍の燃焼室中の光子の数を制御するコーティングであり、
これにより、前記光子は4000Åから最高7500Åの全スペクトル範囲を網羅する光子の混合である、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、幾らかのアルミニウムまたはアルミニウム酸化物またはアルミニウム水酸化物またはアルミノケイ酸塩を含み、これによりAl,Ce,Pr,Nd,La,YおよびZrから選択される触媒コーティングの全金属重量含量に対する触媒コーティングのアルミニウム金属含量が110%の間の範囲である、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項8】
前記エンジンがアルミノ含有面、またはアルミノ―シリカ含有面を有する円筒を含
前記面には少なくとも部分的に酸化セリウム―炭素含有コーティングが施されている、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項9】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングに存在する炭素の少なくとも50%が、グラフェン単位の状態であるか、または、幾らかの重複部分を含むグラフェン単位の状態である、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項10】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、燃焼室内か、または、前記酸化セリウム―炭素含有コーティング上かで、多孔質グラファイト状態の炭素粒子の形成を制御する触媒か、または、グラフェン粒子状態の炭素粒子の形成を制御する触媒か、または燃焼室からスス粒子の排出を低減するための触媒である、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項11】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、温度と相関して紫色の範囲の波長の光線、青色の範囲の波長の光線、緑色の範囲の波長の光線、黄色の波長の範囲の光線、ならびに赤色の範囲の波長の光線を放出する触媒である、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項12】
前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが施された二つの向かい合う表面を有し、該向かい合う表面がピストンヘッド表面または二つの向かい合う移動するピストンヘッド表面のうちから選択される、少なくとも部分的に二層の成層の燃焼エンジンである、前記請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項13】
燃料を前記請求項のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼室(1もしくは複数)内の空気含有雰囲気中で燃焼することによる力学的エネルギーの生成法であって、これにより前記酸化セリウム―炭素含有コーティングが、触媒中の酸素捕捉により空気含有雰囲気から酸素を除去する工程、および、水素または水素種の反応により触媒レベルで水蒸気を形成する工程を少なくとも含サイクルに供される、方法。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載のエンジンの触媒用の触媒前駆体であって、前記触媒は、請求項1に記載のセリウム―炭素含有コーティングであり、ここで前記触媒前駆体は、前記セリウム―炭素含有コーティングの酸化物CeO2,Pr611,La23,Nd23,Y23,およびZrO2として表されるCe,Pr,La,Nd,Y,およびZrから選択される金属の相対重量が、酸化物として表される金属の全重量に対して:
Ce(CeO2として):25〜50%、または、35〜45%
Pr(Pr611として):2〜10%、または、2.5〜6%
La(La23として):15〜37%、または、20〜32%
Nd(Nd23として):4〜15%、または、5〜13%
Y(Y23として):5〜15%、または、8〜12%
Zr(ZrO2として):5〜25%、または、10〜17%
である、触媒前駆体または、
さらに酸化アルミニウムおよび/またはアルミノケイ酸塩および/またはアルミノリンケイ酸塩を含む、前記触媒前駆体または、
さらに、10μm未満のサイズか、または、5μm未満のサイズかまたは、ナノ範囲のサイズを持つ粒子状態である、前記触媒前駆体。
【請求項15】
ルミニウムを含む触媒担体か、または、アルミニウム合金から作られた触媒担体であって、該触媒担体には、以下の元素、Ce,Pr,Nd,La,YおよびZrの酸化物を含酸化セリウム―炭素含有コーティングが施され、これによりセリウム―炭素含有コーティングの以下の酸化物CeO2,Pr611,La23,Nd23,Y23,およびZrO2としてそれぞれ表されるCe,Pr,La,Nd,Y,およびZrから選択される金属の相対重量が、酸化物として表される金属の全重量に対して:
Ce(CeO2として):25〜50%、または、35〜45%
Pr(Pr611として):2〜10%、または、2.5〜6%
La(La23として):15〜37%、または、20〜32%
Nd(Nd23として):4〜15%、または、5〜13%
Y(Y23として):5〜15%、または、8〜12%
Zr(ZrO2として):5〜25%、または、10〜17%
である、
触媒担体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の要約
本発明は、少なくとも部分的に成層の(at least partly stratified)(例えば少なくとも部分的に二重の成層の)燃焼エンジン(charge combustion engine)特にCAI(燃焼支援点火)、HCC,HCSI,およびHCCIエンジンに関し、ここで火炎放出光子(a flame emitting photon)を生成する炭化水素含有燃料の燃焼は、酸化セリウム―炭素含有コーティングが提供された壁を有するチャンバー内で操作され、該コーティングはさらに少なくとも以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含んでなる。本発明のエンジンはNOx排出率の触媒的低減を可能にする。
【背景技術】
【0002】
従来技術
燃料の燃焼は、燃料と酸素または酸素含有媒体とを反応させることにより低温燃焼(cold combustion)または高温燃焼(hot combustion)により操作されることができ、該反応は酸化反応ならびに還元反応を含んでなる。
【0003】
燃料効率は今日、汚染および該汚染により生じる健康被害により、さらに問題となっている。
【0004】
エンジン(ターボ、EGR等を含むか、または含まない内燃機関、外燃機関、可能ならばハイブリッドエンジンとして)、特に路上車輌(車およびトラック、ならびにバイクのような)、船、列車、飛行装置(飛行機のような)に関する燃料効率は、機械工学者には実質的に完成したと考えられているが、想定される効率の数値が消費者により達成される現在の数値に対応せず、例えば車およびトラックについて予想されたCOおよびNOx排気率はさらに高く、ならびにCO2排気率もより高いので、ますます問題視されている。
【0005】
効率を改善するために提案されたシステムは、例えば吸気マニホールド(air intake manifold)を介して、またはポートフューエルチューブ(port fuel tube)を介する燃料吸気(fuel admission)の代わりに、直噴(direct injection)、最も特別には制御された連続的または断続的直噴を可能にするシステムを含んでなる。
【0006】
特許文献1に開示されるように、直噴(DI)エンジンは、ある程度は拡散火炎伝播(diffuse flame propagation)の故に、ポート燃料噴射エンジンより多くのススを生成する可能性がある。拡散火炎伝播の結果として、燃料は燃焼前に空気と十分に混合されず、ススを生じる燃焼が多いポケットを生じる。さらにDIエンジンは、十分な空気および燃料の混合が不足していると、高負荷および/または高速状態でススを生じ易くなる可能性がある。
【0007】
この粒子問題を解決するために、DI、火花点火エンジンまたは圧縮点火エンジンに粒状(particulate)フィルターを適用することが提案され、次いでこれは通常のフィルター再生工程の問題を導き、この工程の間、DI、火花点火エンジンでは粒状フィルターの再生中に正確な放出制御(emission control)を維持することが困難となる。しかしそのようなフィルターは、排気フィルターで圧力降下を生じるのでエンジン効率が下がる。小粒子およびススの高容量により、フィルターは少なくとも急激に部分的に詰まる。またススは、後に詰まることになるガス再循環システム(EGR)
に関して別の問題も生じるだろう。
【0008】
特許文献1は、粒子がフィルターに詰まるこの問題を解決するために、圧縮空気を生成し、そして該圧縮空気を粒子フィルターに押し出すことを提案するが、これは小粒子が大気中に戻されることを意味する。
【0009】
また予混合燃焼(homogeneous charge combustion)も燃料効率を上げるために提案されてきた。このようにより一層多くの研究がCAI,HCC、特にHCCIおよびHCSIを確実にするシステムを対象としてきている。
【0010】
例えば特許文献2(Prof Heywood et al)は、予混合燃焼圧縮着火(HCCI)エンジンに関する。MITのHeywood博士が述べているように、HCCI燃焼の使用は大変低いNOx、COおよび粒子排出(particulate emission)で高いエンジン効率を確実にする。
【0011】
Heywood博士は、耐ノック性(knock resistance)、すなわち自動点火、つまり高温および高圧で生じる自動点火に対する耐性を強化するために、水素およびCOと混合した水素の使用を教示する。
【0012】
これはすなわちエンジンの燃料燃焼化学の専門家にとって燃焼の効率をさらに改善でき、より低減したNOx、COおよび粒子排出をもたらすことを十分に意味している。
【0013】
恐らくCOと混合した水素の燃焼室への投入は容易ではなく、水素の貯蔵のような幾つかの技術的問題を導く。
【0014】
燃料燃焼の効率を改善するために、本発明者によりすでに幾らかのセリウムおよび炭素を含んでなる不均質触媒の存在中で燃料の燃焼を操作することが提案された。例えば特許文献3,4,5,6および7を参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第8347613号明細書
【特許文献2】米国特許第7290522号明細書
【特許文献3】国際公開第2006017915号パンフレット
【特許文献4】米国特許第7482303号明細書
【特許文献5】米国特許題7188470号明細書
【特許文献6】欧州特許題1590555B1号明細書
【特許文献7】米国特許第7723257号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は希土類金属を含んでなる均質触媒系の使用である。均質触媒系に付随する問題はとりわけ、限定された触媒寿命、反応条件との相関関係で変動し得る作業効率等である。
【0017】
発明者により行われた経験およびさらなる調査は、長期間にわたる燃料効率の目的のため、ならびに変動し得る作業条件のために触媒がさらに改善され得ることを示した。また本発明の新規触媒は、負荷および速度を変動させながらのエンジン操作のより容易な制御を可能とする。このように本発明のシステムは、希土類金属酸化物と非希土類金属酸化物とを炭素粒子と一緒に合わせる力学的な二機能性(bi functional)または
ハイブリッドシステムである。本発明のシステムは、良好な耐熱性、良好な触媒の長期寿命、振動、圧変動に対する良好な耐性を有する触媒コーティングを使用する。触媒コーティングのいくつかの金属元素は、燃焼室の金属表面で焼結される(例えば燃焼室のアルミニウム合金)。触媒効率または作用は、低温(300℃未満の温度のような)から高温まで(700℃より高い、またはさらに900℃より高い温度のような)で達成されることが観察された。本発明の触媒コーティングは、多孔質触媒コーティング上または内での酸化還元反応を触媒するために適することが観察された。また本発明の触媒コーティングにより、側壁消炎(side wall quenching)および/または管消炎(円筒消炎)のような幾らかの消炎(flame quenching)が防止できることが観察された。電離電流が触媒コーティングの近傍でより良く保存されることが観察された。いかなる理論にも関連つけられずに、触媒コーティングは、触媒コーティングが提供されていない燃焼室と比べて、燃焼室の自由容積内で火炎プラズマと本発明の触媒コーティングとの間に、より厚い中間層を確実にすることが期待される。いかなる理論にも関連つけられずに、本発明の触媒コーティングは、1.4またはさらに1.5より高いラムダ値のような大過剰な空気の存在中でも、より制御された電離レベルを、低下した化学電離ピークおよび熱電離ピークで確実にすると期待される。また、特に4サイクルエンジンでの導入工程および排気工程にもかかわらず、燃焼室の壁面の温度が高い変動下におかれることが少ないようである。
【0018】
化学触媒の制御は米国特許第7998538号明細書(カリフォルニア工科大学)に開示されている。該文献で述べられているように、多くの触媒反応が温度閾値を有する。従来技術の方法は、そのような反応の熱を提供するために巨視的な熱源を利用し、そして一般に全(gross)対流、全伝導または全輻射を必要とする。そのような従来の加熱法の使用に固有の問題は、触媒、触媒の近傍の温度、および/または一時的および空間的の両方でかける熱を制御することの難しさである。
【0019】
現在のエンジンの燃焼室では、反応は実質的に不均一触媒なしでチャンバーの容量内で操作される。本発明のエンジンでは、燃焼室の壁が触媒コーティングでコートされ、該触媒コーティングの作用は、光子―電子相互作用により制御されており、該相互作用はコーティングの温度に局所的影響を有するだけでなく、触媒コーティング上の局所ラジカル反応を制御するために、コーティングの光子―電子の局所的供給(charging)にも影響を有する。
【0020】
燃料を燃やす場合、大量の光子―電子エネルギーが発生する。現在のエンジンでは、該光子―電子は触媒効率の目的には使用されていない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の簡単な説明
本発明は、少なくとも部分的に成層の燃焼エンジン、例えば一つの面に沿った(ピストン表面のヘッド表面のような)、または幾つかの面に沿った(ヘッド表面およびピストン表面のような二つの向かい合う面のような)成層燃焼(stratified combustion)に関し、ここで火炎放出光子を生じる炭化水素含有燃料の燃焼が、酸化セリウム―炭素含有コーティングが提供された壁を持つチャンバー内で操作され、該酸化セリウム―炭素含有コーティングがさらに少なくとも以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物をさらに含んでなり、これにより以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を有する該酸化セリウム―炭素含有コーティングが、チャンバーの酸化セリウム−炭素含有コーティング上のH+または
種の形成を制御し、同時に、Ce,Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZr酸化物からの酸素原子を使用する水素H2との反応を触媒してチャンバーの壁にH2Oを形成することにより水素分岐反応(hydrogen branching reaction)を制御するように適合され(adapted)、これにより酸化物として表されるCe,Pr,Nd,La、YおよびZrから選択される金属元素の全金属重量含量中で、酸化物として表されるY、Zrおよびそれらの混合物から選択される金属元素の重量金属含量が、少なくとも10%、有利には少なくとも15%、好ましくは16〜40%、最も好ましくは20〜30%である。酸化セリウム―炭素含有コーティングは、有利には70μm未満のような100μm未満、例えば10〜70μmの厚さを有する。
【0022】
本発明の炭素含有コーティングは、グラファイト炭素、最も好ましくは、1500〜1700ラマンシフト(1/cm)の間のラマンピーク強度よりも大きい2600〜2700ラマンシフト(1/cm)の間のラマン強度ピークを持つ構造のような2次元グラフェン構造を含んでなるコーティングを意味する。本発明の炭素含有コーティングは、好ましくは少なくとも30重量%の炭素が2次元グラフェン構造の状態であり、有利にはナノチューブ(例えば単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブ)および/またはフラーレンおよび/またはそれらを組み合わせた構造を有するグラファイトと混合されたコーティングである。
【0023】
本発明のエンジンの燃焼室用に開示された触媒コーティングは、他の目的、例えば排気ガスの後処理、特に燃料および/または炭素含有粒子を含む排気ガスの後処理にも使用することができる。次いで触媒コーティングは、有利にはアルミニウム含有担体、アルミノケイ酸塩担体および/またはアルミノリンケイ酸塩担体、例えばコーディエライト様担体、に担持される。
【0024】
有利には、セリウム―炭素コーティングは火炎により放出される6500〜7500Å波長の光子を捕捉するように構成され、有利には800℃より高い温度を有する火炎により放出される6500〜7500Å波長の光子の5〜25%を捕捉するように構成される。
【0025】
有利な態様によれば、セリウム―炭素コーティングが、少なくとも500から800℃の間の範囲の温度で光子増幅スペクトル放出放射(a photon amplified spectrum emission radiation)を確実とするように構成され、該スペクトルは有利には約4000Åから最高7500Åの実質的に全範囲を網羅する(すなわち紫色の範囲(4000Åから最高約4500Åの波長)、青色の範囲(4500Åから最高5200Åの波長)、緑色の範囲(約5200Åから最高約5700Å)、黄色の範囲(約5700Åから最高約5900Å)、オレンジ色の範囲(約5900Åから最高6250Å)、および赤色の範囲(約6250Åから最高約7500Å)の光線のこのような放出を確実にする)。放出は有利にはコーティングからの放出が約300℃から最高約900℃で実質的に連続して起こるように制御される。
【0026】
好ましくは、エンジンは少なくとも4つの連続的工程、すなわち燃焼室に少なくとも酸素および窒素を装填する導入工程(intake step)、該少なくとも酸素および窒素が圧縮される圧縮工程、燃焼室内での燃焼行程(有利には少なくとも部分的に膨張工程を含んでなる)、および燃焼室の内に存在するガスを排出する排気工程を含んでなり、これにより導入工程および圧縮工程の群から選択される少なくとも一工程中に、以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含んでなる酸化セリウム―炭素コーティングが、100から400℃の間の範囲の温度で酸素原子を取り込むように適合されている。
【0027】
さらなる態様によれば、以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含んでなる酸化セリウム―炭素コーティングが、少なくとも300か
ら700℃の間の範囲の温度で水素原子(特に水素種
の状態)を取り込むように適合されている。燃料の幾らかのクラッキングは、500℃未満の温度および5 105Paより高い圧で操作されると予想される。
【0028】
一つの態様によれば、酸化セリウム―炭素含有コーティング中のPr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZr酸化物の存在は、少なくとも500℃より高い温度、および30 105Paより高い圧力で、水を形成するためのコーティング中に貯蔵された酸素と水素H2および/または水素種との反応の触媒として有利に作用する。
【0029】
本発明の有利な態様は、1もしくは複数の以下の特徴、有利には複数の以下の特徴を含んでなる:
―セリウム―炭素含有コーティングは、炭化水素含有燃料が、少なくとも500℃より高い温度、そして20 105Paより高い圧力で、炭素含有種または分子に、そして水素および水素種に転換されるために適切である。
―酸化セリウム―炭素含有コーティングは十分なPr,La,Ndおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含み、その結果、500℃より高い温度、そして20 105Paより高い圧力で、セリウム―炭素含有コーティングと接触して遊離H種および遊離OH種に転換される水素H2分子が少なくとも50モル%減少する。
―酸化セリウム―炭素含有コーティングは十分なPr,La,Ndおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含み、その結果、500℃より高い温度、そして20 105Paより高い圧力で、セリウム―炭素含有コーティングと接触して遊離H種および遊離OH種に転換される水素H2分子が少なくとも75モル%減少する。
―セリウム―炭素含有コーティングは、炭素含有燃料の燃焼により生成される火炎により放出される光子を捕捉した後、セリウム―炭素含有コーティングの少なくとも近傍で約4000Åから最高約7500Åの全スペクトル範囲を実質的に連続して網羅するスペクトルを生じるように適合されている。
―セリウム―炭素含有コーティングは、炭素含有燃料の燃焼により生成される火炎により放出される光子を捕捉するために適合され、かつ/または有利には、そしてセリウム―炭素含有コーティングの少なくとも近傍に約4000Åから最高約7500Åの全スペクトル範囲を実質的に連続して網羅するスペクトルを生じるように適合されている。
―セリウム―炭素含有コーティングは、少なくとも炭素含有燃料の燃焼中に、燃焼室中の光子の数を制御するように適合され、該光子は有利には約4000Åから最高約7500Åの全スペクトル範囲を網羅する光子の混合である。
―セリウム―炭素含有コーティングは、少なくともYおよびZrを含んでなり、有利には触媒コーティング中に存在する重量比Y/Zrが1:10から10:1の間、好ましくは2:10から10:2の間の範囲である。
―セリウム―炭素含有コーティングは、幾らかのアルミニウムを、好ましくはその酸化物または水酸化物状態で、および/またはアルミノ―ケイ酸塩状態で含んでなり、これによりAl,Ce,Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrから選択される金属の触媒コーティングの全金属重量含量に対する触媒コーティング中のアルミニウム金属含量が1から10%の間の範囲である。
―エンジンがアルミノ含有面、特にアルミノ―シリカ含有面を有する円筒を含んでなり、該面には少なくとも部分的にセリウム―炭素含有コーティングが提供されている。
―セリウム―炭素含有コーティングの以下の酸化物CeO2,Pr611,La23,Nd23,Y23,およびZrO2としてそれぞれ表されるCe,Pr,La,Nd,Y,およびZr(コーティング中で酸化物および/または水酸化物として存在できる金属元素)から選択される金属の相対重量が、酸化物として表される該金属の全重量に対して:
Ce(CeO2として):25〜50%、好ましくは35〜45%
Pr(Pr611として):2〜10%、好ましくは2.5〜6%
La(La23として):15〜37%、好ましくは20〜32%
Nd(Nd23として):4〜15%、好ましくは5〜13%
Y(Y23として):5〜15%、好ましくは8〜12%
Zr(ZrO2として):5〜25%、好ましくは10〜17%
である。
―触媒コーティングがさらにアルミニウム酸化物および/またはアルミノケイ酸塩を含んでなる。
―触媒コーティングが500nm未満、有利には300nm未満の厚さを有する。
―触媒コーティングが、100nmより大きいサイズを有する最大粒子と、70nm未満(好ましくは30nm未満)のサイズの粒子が最大粒子間に作られるボイド内に広がる構造を有する。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、少なくとも該触媒上での
種とO2との分岐反応を制御し、ならびに該触媒上での
種とH2との分岐反応を制御する触媒である。
―触媒コーティングはPd,Pt,Rh,Cuおよびそれらの組み合わせを実質的に含まないか、または含まない。
―酸化セリウム―炭素含有コーティングに存在する炭素の少なくとも50%が、幾らかの重複部分を含む可能性があるグラフェン単位の状態である。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、燃焼室内で特に触媒コーティング上に、多孔質グラファイト状態、特にグラフェン粒子状態の炭素粒子の形成を制御するように適合され、かつ/または燃焼室からスス粒子の排出を低減するように適合されている。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、温度と相関して紫色の範囲の波長の光線、青色の範囲の光線、緑色の範囲の光線、黄色の範囲の光線、ならびに赤色の範囲の光線を放出するように適合されている。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、燃焼室内で特に酸化セリウム―炭素含有コーティング上に、多孔質グラファイト状態、特にグラフェン粒子状態の炭素粒子の形成を制御するように適合され、かつ/または燃焼室からスス粒子の排出を低減するように適合されている。
―酸化セリウム―炭素含有触媒が、温度と相関して紫色の範囲の波長の光線、青色の範囲の波長の光線、緑色の範囲の波長の光線、黄色の波長の範囲の光線、ならびに赤色の範囲の波長の光線を放出するように適合されている。
―エンジンが、少なくとも部分的に二層の成層燃焼エンジンであり、有利に酸化セリウム―炭素含有触媒が提供された二つの向かい合う表面を有し、該向かい合う表面が好ましくはピストンヘッド表面または二つの向かい合った移動するピストンヘッドの表面である。―またはそれらの組み合わせ。
【0030】
また本発明は、燃料を本発明の機関の燃焼室(1もしくは複数)内の空気含有雰囲気中で燃焼することによる力学的エネルギーの生成法に関し、これによりセリウム―炭素含有触媒が、少なくとも触媒中の酸素捕捉による空気含有雰囲気からの酸素除去工程、および水素または水素種の反応により触媒レベルで水蒸気を形成する工程を含んでなるサイクルに供される。
―本発明はさらに本発明のエンジンの触媒用の触媒前駆体に関し、以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含む酸化セリウム―炭素含有コーティングである該触媒は、チャンバーの酸化セリウム−炭素含有コーティング上のH+種の形成を制御し、同時に、Ce,Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZr酸化物からの酸素原子を使用する水素H2との反応を触媒してチャンバーの酸化セリウム−炭素含有コーティングにH2Oを形成することにより水素分岐反応(hydrogen branching reaction)を制御するように適合され(adapted)、これにより、酸化物として表されるCe,Pr,Nd,La、YおよびZrから選択される金属元素の全金属重量含量中で、酸化物として表されるY、Zrおよびそれらの混合物から選択される金属元素の重量金属含量が、少なくとも10%、有利には少なくとも15%、好ましくは16〜40%、最も好ましくは20〜30%であり、ここで触
媒前駆体は有利には、セリウム―炭素含有コーティングの酸化物CeO2,Pr611,La23,Nd23,Y23,およびZrO2として表されるCe,Pr,La,Nd,Y,およびZrから選択される金属の相対重量が、酸化物として表される該金属の全重量に対して:
Ce(CeO2として):25〜50%、好ましくは35〜45%
Pr(Pr611として):2〜10%、好ましくは2.5〜6%
La(La23として):15〜37%、好ましくは20〜32%
Nd(Nd23として):4〜15%、好ましくは5〜13%
Y(Y23として):5〜15%、好ましくは8〜12%
Zr(ZrO2として):5〜25%、好ましくは10〜17%
となるようなものである。
【0031】
有利には、触媒前駆体はさらに酸化アルミニウムおよび/またはアルミノケイ酸塩および/またはSiO2および/またはシランおよび/またはアルミノリンケイ酸塩を含んでなる。
【0032】
好ましくは、触媒前駆体は10μm未満、有利には5μm未満、好ましくは200nm未満のサイズを持つ粒子状態である。
【0033】
本発明はさらに、有利にアルミニウム、Ni,Co等を含んでなり、好ましくはアルミニウム合金、Ni−CoまたはNi−Co−Al合金から作られた触媒担体に関し、該担体には以下の元素、Pr,Nd,Laおよび少なくともYおよび/またはZrの酸化物を含んでなる酸化セリウム―炭素含有コーティングが提供され、これにより酸化物として表されるCe,Pr,Nd,La、YおよびZrから選択される金属元素の全金属重量含量中で、酸化物として表されるY、Zrおよびそれらの混合物から選択される金属元素の重量金属含量は、少なくとも10%、有利には少なくとも15%、好ましくは16〜40%、最も好ましくは20〜30%である。
【0034】
酸化セリウム―炭素含有コーティングは、有利に本明細書で上に開示したようなエンジンの任意の1つに開示したコーティングの1もしくは複数の特徴を有する。該担体は有利には多孔質および/または柔軟性(flexible)である。好ましくは該担体は多孔質膜の状態である。担体は有利には接着性(adhesive)または一部接着性である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】触媒コーティングを含まない同じエンジンに対する本発明のエンジンに関するトルク対回転数を示す比較エンジンベンチテストグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
好適な態様の説明
本発明は、国際公開第2006017915号パンフレット、米国特許第7482303号、同第7188470号明細書、欧州特許第1590555B1号明細書、および米国特許第7723257号明細書に開示された技術の改良であり、この内容は引用により本明細書に編入される。
【0037】
予混合燃焼は自動車エンジンの燃料効率を上げる最新式の方法に従う。自動車会社はコンピューター制御を有する幾つかのシステムを開発した。しかしすべてのそのようなシステムは、消費、粒子放出等の目標を正しく達成できないようなそれらの限界を示した。
【0038】
本発明は、大勢(large regime)の変動の場合であっても燃焼の生の制御(live control)を可能にする不均一触媒が提供されたエンジンに関する主題を有する。
【0039】
エンジンの燃焼室は、触媒前駆体がコートされている。
【0040】
使用する前駆体は、恐らくワックスまたは液体中に分散されたナノスケール粒子の混合物であり、該混合物の組成は:
1.10nm未満のサイズのナノ炭素一次粒子(恐らく500nm未満のサイズの構造に凝集した)。該ナノ炭素一次粒子は10〜50重量%、有利には15〜30重量%、好ましくは約20重量%の比率で前駆体混合物に存在する。カーボンナノ粒子をそのまま使用する代わりに、恐らく炭素ナノ粒子を含むワックスを使用することができる。炭素粒子は、好ましくは二次元グラフェン構造、最も特別には単層二次元グラフェン構造を形成する幾つかの粒子を含んでなっている。
2.金属酸化物粒子、特にナノ粒子(200nm未満、好ましくは少なくとも一部は50nm未満のサイズの粒子)の混合物。該金属粒子の混合物は、有利には該金属酸化物粒子の全混合物に対して以下を含んでなる(重量%として):
Ce(CeO2として):25〜50%、好ましくは35〜45%
Pr(Pr611として):2〜10%、好ましくは2.5〜6%
La(La23として):15〜37%、好ましくは20〜32%
Nd(Nd23として):4〜15%、好ましくは5〜13%
Y(Y23として):5〜15%、好ましくは8〜12%
Zr(ZrO2として):5〜25%、好ましくは10〜17%
Al(Al23として):0〜10%、好ましくは1%〜5%
Si(SiO2として):0〜10%、好ましくは0.5〜5%(該シリコンは、メタノール、エタノール等のような溶媒系中の液体または溶解性テトラエトキシシランの状態であることができる)。
【0041】
ナノ酸化物粒子の混合物は、有利には100nmより大きい重量平均サイズのナノ酸化物粒子および70nm未満の重量平均サイズのナノ酸化物粒子の混合物であり、100nmより大きい重量平均サイズのナノ酸化物粒子/70nm未満の重量平均サイズのナノ粒子の重量比は、5:1から1:5の間、有利には4:1から2:1の間の範囲である。
3.可能であれば、覆うべき表面上への粒子に幾らかの接着を可能にするためのワックスまたは液体系。該ワックスまたは液体は好ましくは、炭素および水素ならびに好ましくは酸素原子を含んでなる分子である。ワックス/金属酸化物粒子の混合物の重量は、有利には2より高く、例えば2.5から最高6の範囲である。
【0042】
前駆体は燃焼室の壁およびエンジンのピストンヘッドをコーティングするために使用された(例えば、はけ塗り、吹き付け、スプレー等により)。エンジンはアルミニウム系合金で作られた。該コーティング後、エンジンは燃料を用いて30分間、駆動された。該エンジンの駆動後、過剰な触媒を除去した。
【0043】
触媒コーティングは約70nm未満の厚さを有し、金属粒子が均一に分散されていた。燃焼筒の管面には実質的に触媒は存在しないか、または大変薄い厚さの触媒が存在した。
【0044】
次いでエンジンが試験された。
【0045】
以下の観察が見い出された:
―触媒の高熱安定性
―高圧安定性
―高い水素安定性
―異なるセタン価またはオクタン価で可能なエンジンの作動
―コーティングの高いイオン伝導性
―6から15より高い、20より高いような例えば22の異なる圧縮率で可能な着火制御―燃料からの炭素および水素が少なくとも一部、離れて燃焼する可能性。すなわちチャンバー容積内で大部分の燃料炭素(触媒コーティング(1もしくは複数)の近傍のプラズマゾーンを含んでなる、すなわち空気に対してN2が高い環境中)、および触媒コーティング(1もしくは複数)上または内での大部分の燃料水素(すなわち空気に対してO2が高いか、または減少したN2環境)。
―高い導入および放出酸素率で、高い酸素貯蔵能。
―高い水素貯蔵能
―より少ない小粒子放出により可能なフィルターの小型化、ならびに三元触媒消費の小型化
―大きい孔サイズのフィルターを使用する可能性
―フィルターレベル、ならびに三元触媒のレベルでの消費における圧力低下の可能性
―三元触媒の迅速な活性化
―期間中、触媒の作用安定性、これにより触媒再生の必要が低い
―1.3より高い、例えば1.4より高い、例えば1.4から1.3、例えば1.5から2.1のようなラムダ価で可能なエンジンの作動
―後処理の改善
―少ないNOx
―排気ガス中の低いHC含量
―より少ない炭素粒子の排出(特に実質的に小さいサイズの炭素粒子の排出は無く、例えば5μm未満の炭素粒子は実質的に無い)
―燃焼室でのススの形成が無い
―排気バイプでススの堆積が無い
―高い水蒸気の排出
―より低い燃料消費
―燃焼室でより高い世界的基準量(global amount)の遊離電子
―燃焼は、セリウム―炭素含有コーティングが提供された二つの向かい合う表面での二層の成層燃焼であった。
【0046】
エンジンは、燃焼室への燃料直噴システム、ならびに好ましくは液体水(ミクロ水滴として)直噴を用いて作動しており、そのようなシステムは例えばBosch GmbHのK−Jetronic系システム、およびBosch GmbHのWI(水直噴)のようなシステムである。水直噴技術は米国特許第5174247号、同第6067964号および同第6092514号明細書に開示されている。
【0047】
以下の結果が観察された:より低い燃料消費、より低いNOx発光、より低い小炭素粒子発光、より良好で改善されたエンジンの作動(より少ない振動)、より良好なフィルターおよび排気処理システムの作動等。
【0048】
エンジンは圧縮点火型のエンジンであった。火花点火エンジンならびに圧縮点火エンジンでの点火前に、圧縮比を現在使用されている点火圧縮比に対して上げることが可能であることが観察された。さらに可能な点火は広い範囲の圧縮比で点火プラグを用いて可能であった。
【0049】
排気コンバータシステムおよびフィルターでの圧降下が、現在のエンジンの排気コンバータシステムおよびフィルターでの圧降下に対して下がった場合、同時に高レベルの炭素粒子の除去および/または有毒NOx分子の転換を確実にするために、燃焼室のより良い
空気充填が本発明のエンジンで可能であった。さらに吸気バルブおよび排気バルブが両方とも開放位置である時、空気は本発明のエンジン燃焼室をより容易に通って流れることができ、すなわちこのようにして触媒コーティングによる酸素の導入、ならびに燃焼室の冷却、および高い排気ガスの捕捉さえも確実となる。
【0050】
排気コンバータシステムでのより低い圧降下の観点から、排気ガスは必要な時かつ/またはEGR(排気ガスリサイクル)目的に、タービンの回転へと向け(これまでの目的のために)、より良く使用されることができる。低レベルの炭素粒子含量により、EGRはより良い性能となり、そしてEGRシステムは目詰まりの問題にさらされない。
【0051】
またエンジンは火花点火であるか、または点火を制御する他の手段を用いることができる。
【0052】
またエンジンには、吸気での水滴または液滴および/または水蒸気噴射のためにBosch様のインジェクタを備えることができる(マニホールドのエアバタフライバルブの前および/または後、および/または燃焼室内に直接)。
【0053】
本発明の触媒コーティングは、このように高度に調整され選択的な酸化および還元型の自己担持酸化還元触媒系と考えることができ、これにより選択的酸化および選択的還元が変動でき、あるいは温度および光子発光と相関して制御することができる。
【0054】
図1は、本発明のエンジンのトルク(Nm)対 回転数(破線、すなわち触媒された燃焼)を、触媒コーティングを含まない同じエンジン(連続線、すなわち従来の燃焼)に対して示す比較エンジンベンチテストグラフである。正味燃料消費率のレベルはグラムで表す(二重線)。試験した車輌は、Volvoエンジン、5円筒、2.4lの自然吸気およびポートホール噴射搭載型であった。
図1