特許第6722297号(P6722297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6722297タッチ導電性フィルム、タッチアセンブリ、タッチディスプレイ及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722297
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】タッチ導電性フィルム、タッチアセンブリ、タッチディスプレイ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20200706BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   G06F3/041 400
   G06F3/02 430
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-549384(P2018-549384)
(86)(22)【出願日】2016年12月2日
(65)【公表番号】特表2019-505933(P2019-505933A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】CN2016108390
(87)【国際公開番号】WO2017107756
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年6月11日
(31)【優先権主張番号】201510989999.1
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518206217
【氏名又は名称】クンシャン ビジョノックス テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ピン,カンカン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ロン
【審査官】 酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104281309(CN,A)
【文献】 特開2012−247889(JP,A)
【文献】 特開2009−129370(JP,A)
【文献】 特開2011−107989(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203350830(CN,U)
【文献】 中国実用新案第202976047(CN,U)
【文献】 特開2008−021304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ導電性フィルムであって、
センシング領域と、
フレキシブル回路基板をボンディングするためのボンディング領域とボタンが設けられ、前記タッチ導電性フィルムの厚さ方向に沿ってスルーホールが設けられ、前記スルーホールが前記ボンディング領域の側方に設けられ、前記フレキシブル回路基板が前記スルーホールを通過することにより前記タッチ導電性フィルムを通過するボタン領域とを含み、
前記スルーホールは、前記ボタンと前記ボンディング領域との間に位置し、
前記フレキシブル回路基板の一端は前記ボンディング領域にボンディングされ、他端は前記スルーホールを通過して前記タッチ導電性フィルムの前記ボンディング領域に対する反対側に達し、前記フレキシブル回路基板のボンディング端以外の部分が前記ボタンの裏面に位置し、前記タッチ導電性フィルムが電子機器と接合される部分は前記ボタンの裏面領域である
ことを特徴とするタッチ導電性フィルム。
【請求項2】
前記スルーホールの周縁部は、前記タッチ導電性フィルムの縁部と重ならないことを特徴とする請求項1に記載のタッチ導電性フィルム。
【請求項3】
前記タッチ導電性フィルムはインジウムスズ酸化物導電性フィルムであることを特徴とする請求項1に記載のタッチ導電性フィルム。
【請求項4】
タッチアセンブリであって、請求項1に記載のタッチ導電性フィルムとフレキシブル回路基板を含み、前記フレキシブル回路基板は前記スルーホールを通過し、その一端が前記ボンディング領域にボンディングされ、他端が前記タッチ導電性フィルムのボンディング領域に対する反対側にボンディングされる、ことを特徴とするタッチアセンブリ。
【請求項5】
前記タッチアセンブリはさらに、前記タッチ導電性フィルムに貼り合わせられた保護カバーボードを含み、前記保護カバーボードは、前記タッチ導電性フィルムにおいて前記フレキシブル回路基板とボンディングされた側に位置する、ことを特徴とする請求項4に記載のタッチアセンブリ。
【請求項6】
前記保護カバーボードは、中央の可視領域と周囲の非可視領域を含み、前記センシング領域が可視領域に位置し、前記ボタン領域が非可視領域に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載のタッチアセンブリ。
【請求項7】
前記フレキシブル回路基板はスルーホールを通過した後、前記ボンディング領域から離れる方向に曲げられる、ことを特徴とする請求項4に記載のタッチアセンブリ。
【請求項8】
前記スルーホールの幅は、前記フレキシブル回路基板の厚さと一致することを特徴とする請求項4に記載のタッチアセンブリ。
【請求項9】
ディスプレイを含むタッチディスプレイであって、さらに請求項4乃至8の何れか1項に記載のタッチアセンブリを含み、前記タッチアセンブリのタッチ導電性フィルムは前記ディスプレイと貼り合わせられている、ことを特徴とするタッチディスプレイ。
【請求項10】
請求項9に記載のタッチディスプレイを含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチコントロール分野に関し、特にタッチ導電性フィルム及びこれを備えたタッチアセンブリ、タッチディスプレイ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来の静電容量方式タッチスクリーンの構造設計では、静電容量方
式タッチスクリーンに設けられたボタン110の側方からフレキシブル回路基板120を引き出しているため、スペースが限られて、スクリーンが大きくなるほど、静電容量方式タッチスクリーンのセンシングチャンネルの数(タッチ導電性フィルムのリード線の数)が多くなるから、フレキシブル回路基板120の幅も広くなる。よって、フレキシブル回路基板120とボタン110のレイアウトが問題になる。
【0003】
また、図2に示すように、静電容量方式タッチスクリーンの従来設計において、フレキ
シブル回路基板120が容易に曲げられるために、タッチ導電性フィルムの、フレキシブル
回路基板120が引き出される縁部から内側へノッチ130が設けられることが提案された。しかし、このノッチ130が存在することでタッチ導電性フィルムは凹凸となるため、電子機
器との密接性が影響される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、フレキシブル回路基板のボンディングによりボタンのレイアウト設計及び機器全体との密接性が影響されることを避けることができるタッチ導電性フィルムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、センシング領域とボタン領域を含むタッチ導電性フィルムを提供する。前記ボタン領域に、フレキシブル回路基板をボンディングするためのボンディング領域とボタン領域とが設けられている。また、前記ボタン領域に、タッチ導電性フィルムの厚さ方向に沿ってスルーホールが設けられ、当該スルーホールは、フレキシブル回路基板がタッチ導電性フィルムを通過できるようにボンディング領域の側方に設けられている。
【0006】
一実施例において、前記タッチ導電性フィルムはインジウムスズ酸化物導電性フィルムである。
【0007】
一実施例において、前記スルーホールの周縁部は、前記タッチ導電性フィルムの縁部と重ならない。
【0008】
さらに、上記のタッチ導電性フィルムとフレキシブル回路基板を含むタッチアセンブリを提供する。うち、前記フレキシブル回路基板は前記スルーホールを通過し、一端が前記ボンディング領域にボンディングされ、他端が前記タッチ導電性フィルムの反対側に位置する。
【0009】
一実施例において、前記フレキシブル回路基板はスルーホールを通過し、一端が前記タッチ導電性フィルムのボンディング領域にボンディングされ、他端が前記タッチ導電性フィルムのボンディング領域に対する反対側にボンディングされる。
【0010】
一実施例において、保護カバーボードは、中央の可視領域と周囲の非可視領域を含み、前記センシング領域は前記可視領域に位置し、前記ボタン領域は非可視領域に位置する。
【0011】
一実施例において、前記フレキシブル回路基板はスルーホールを通過した後、前記ボタン領域から離れる方向に曲げられる。
【0012】
一実施例において、前記スルーホールの幅は、前記フレキシブル回路基板の厚さと一致する。
【0013】
本発明の他の態様において、さらに、ディスプレイおよび前記タッチアセンブリを備えたタッチディスプレイが提供される。前記タッチアセンブリのタッチ導電性フィルムは前記ディスプレイと貼り合わせられている。
【0014】
本発明のさらに他の態様において、上記のタッチディスプレイを含む電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0015】
上記タッチ導電性フィルムは、ボンディング領域の側方にフレキシブル回路基板が通過するスルーホールが設けられて、フレキシブル回路基板がタッチ導電性フィルムとボンディングされた後、フレキシブル回路基板はスルーホールを通過し、フレキシブル回路基板の両端はタッチ導電性フィルムの両側に位置する。よって、 フレキシブル回路基板が導
電性フィルムのボタン領域を覆わないため、フレキシブル回路基板とボタンとの空間上干渉問題が解決でき、ボタンのレイアウト設計は影響されない。さらに、タッチ導電性フィルムの機器全体と貼り合わせられる面が平坦になり、貼り合わせの密接性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来のタッチスクリーンにおけるフレキシブル回路基板と導電性フィルムとの接続態様を表示する模式図である。
図2】従来のタッチスクリーンの導電性フィルムにノッチが設けられた状態を表示する模式図である。
図3】本発明のタッチ導電性フィルムの模式図である。
図4図3の局部拡大図である。
図5】本発明のタッチ導電性フィルムが保護カバーボードと貼り合わせられた状態を表示する模式図である。
図6図5の局部拡大図である。
図7】本発明のタッチ導電性フィルムが保護カバーボードと貼り合わせられた状態を表示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記目的、特徴および利点をより理解されるために、以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明を全面的かつ完全に理解されるために、以下、具体的かつ詳細に説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態で実現することができ、当業者が本発明の精神を逸脱しないかぎり、実施形態を改良することができ、本発明は本稿で説明する実施例に限定されるものではない。
【0018】
なお、素子が別の素子「に固定される」とは、別の素子に直接固定されてもよく又は仲介の素子を経由して固定されてもよい。素子が別の素子「に接続される」とは、別の素子に直接接続されてもよく又は仲介の素子を経由して固定されてもよい。
【0019】
特に定義しない限り、本稿における技術及び科学用語はいずれも当業者が一般的に理解している意味と同じものである。本発明の明細書における用語は具体的な実施例の説明のみを目的とし、本発明を限定することを意図していない。本稿における「及び/又は」という用語は、1つ又は複数の関連記載項目の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0021】
図3図4に示すように、本発明は、タッチスクリーンの組み立てに用いられるタッチ導電性フィルム200を提供する。当該タッチスクリーンは、さらにディスプレイ(例えば液
晶ディスプレイ)と貼り合わせられ、電子機器(例えば携帯電話)に応用することができる。
【0022】
タッチ導電性フィルム200は、インジウムスズ酸化物(ITO)で製造でき、センシング領域210とボタン領域220とを含む。
【0023】
センシング領域210には、タッチ回路が設けられる。図5-図7に示すように、タッチ導電性フィルム200は、タッチスクリーンに応用される場合、その上に更に保護カバーボード300が貼り付けられる。タッチスクリーンが利用される際に、指が保護カバーボード300に
接触すると、タッチ回路に静電容量が変化することでタッチ信号が生成され、タッチ信号によってタッチポイントの座標値が特定さることで、タッチポイントの位置が特定される。
【0024】
ボタン領域220にボタン222とボンディング領域224が設けられる。ボタン222及びセンシング領域210に設けられたタッチ回路は、それぞれリード線でボンディング領域224に接続される。タッチ導電性フィルム200は、ディスプレイや電子機器に組み立てられる際に、
ボンディング領域224においてフレキシブル回路基板400とボンディングされることにより、フレキシブル回路基板400を経由してマザーボードに接続されることができる。
【0025】
図6図7に示すように、ボタン領域220には、タッチ導電性フィルム200の厚さ方向に沿ってスルーホール226が設けられている。スルーホール226は、ボンディング領域224の隣
に位置している。したがって、図7に示すように、フレキシブル回路基板400は、その一端、すなわちボンディング端がボンディング領域224に接続され、他端がスルーホール226を通過することによりタッチ導電性フィルム200を通過して、さらに曲げられてマザーボー
ド(図示せず)に接続されることができる。
【0026】
スルーホール226は、フレキシブル回路基板400が通過することに用いられるのみである。このため、スルーホール226のサイズが小さくなっており、ボタン222の配置はスルーホール226の設置による影響がない。スルーホール226の幅は、フレキシブル回路基板400の
厚さとほぼ同じくすればよく、その長さはフレキシブル回路基板400を通させる程度であ
ってよい。本発明において、スルーホール226は、一つのボタンとボンディング領域224との間に位置する。スルーホール226の周縁部は、タッチ導電性フィルム200の縁部のどの部分とも重ならない。当業者であれば分かるように、スルーホールの設置は上記の実施例に限らなく、本来にボタンを設定する領域を占用しなければよい。従来の技術においては、ノッチ130のサイズが大きいため、ボタンの配置はかなり影響を受けていた。
【0027】
フレキシブル回路基板400がタッチ導電性フィルム200と接続してタッチアセンブリが形成されると、フレキシブル回路基板400の一端はボンディング領域224にボンディングされ、他端はスルーホール226を通過してタッチ導電性フィルム200のボンディング領域224に
対する反対側に達した。その結果、フレキシブル回路基板400のボンディング端以外の部
分がボタン222の裏面に位置するため、両者の空間上干渉は生じない。
【0028】
また、タッチスクリーンは、通常、均一な厚さのフォーム接着剤で電子機器全体に接着される。本発明では、フレキシブル回路基板400がタッチ導電性フィルム200と接続された後、タッチ導電性フィルム200が電子機器と接合される部分はボタン222の裏面領域となる。この接合用部分は、ノッチがなくより平坦であるため、機器全体との密接性がよい。一方、従来の技術では、ノッチ130があるため、接合される面は凹凸となる。
【0029】
図5図6図7に示すように、タッチ導電性フィルム200とフレキシブル回路基板400と
が接続されタッチアセンブリが構成されて使用されるとき、更に保護カバーボード300が
貼り付けられる。このとき、保護カバーボード300は、タッチ導電性フィルム200の、フレキシブル回路基板400とボンディングされる側に位置する。言い換えれば、保護カバーボ
ード300はボンディング領域224を覆うよう配置される。
【0030】
保護カバーボード300は、通常、透明な基板(例えばガラス)から製作されて、中央の
可視領域と周囲の非可視領域を含む。非可視領域は、遮光材料を設けることにより得られる。タッチ導電性フィルム200と保護カバーボード300とが貼り合せられた後、センシング領域210は可視領域に位置し、ボタン領域220は非可視領域に位置する。このようにして、ユーザは、ディスプレイの表示内容の変化に応じてセンシング領域210の上方で操作する
ことができる。
【0031】
図7に示すように、フレキシブル回路基板400がボタン領域220から離れる方向に沿って
曲げられることによって、タッチ導電性フィルム200と機器全体との接合はより容易にな
る。フレキシブル回路基板400の曲げは、タッチ導電性フィルム200と保護カバーボード300を組み立てた後に行われてもよいし、或いは機器全体の組立て者が機器全体にタッチ導
電性フィルム200を組み立てる前に行われてもよい。
【0032】
本発明はまた、上記のように接続されたタッチアセンブリに基づき、タッチディスプレイを提供する。タッチディスプレイは、上記のタッチスクリーンおよびディスプレイを備え、タッチスクリーンおよびディスプレイは貼り合わせられるが、保護カバーボード300
の可視領域及びタッチ導電性フィルム200のセンシング領域210は、ディスプレイの表示領域に合わせて設けられる。タッチ導電性フィルム200の接合面はより平坦であるため、デ
ィスプレイとの密接性がよい。
【0033】
また、本発明は上記のタッチディスプレイを備えた電子機器を提供する。電子機器は、携帯電話、タブレットPCなどであってもよい。当該電子機器のタッチアセンブリとディスプレイとの密接性がよい。
【0034】
電子機器を組み立てるプロセスは大雑把で以下に述べるようである。タッチ導電性フィルム200を用意してフレキシブル回路基板400にボンディングし、また、保護カバーボード300と貼り合わせ、その後に、タッチ導電性フィルム200とフレキシブル回路基板400と及
び保護カバーボード300とを含むアセンブリを、ディスプレイに貼り合わせる。
【0035】
前記実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができ、説明の便宜上、前記実施例の各技術的特徴の全ての組合せを説明していないが、これらの技術的特徴の組合せは矛盾しなければ、本明細書に記載範囲に含まれると理解されるのが当然である。
【0036】
なお、前記実施例により本発明のいくつかの実施形態を具体的且つ詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されていない。当業者にとって、本発明の精神を逸脱しないかぎり、様々な変形や改良も本発明の保護範囲に含まれる。よって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲によるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7