特許第6722311号(P6722311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722311
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】トルクレンチ
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/142 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
   B25B23/142
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-16817(P2019-16817)
(22)【出願日】2019年2月1日
(65)【公開番号】特開2020-11370(P2020-11370A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2019年2月1日
(31)【優先権主張番号】107125188
(32)【優先日】2018年7月20日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517380134
【氏名又は名称】和嘉興精密有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】郭 文進
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202006003274(DE,U1)
【文献】 実開昭62−095881(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0050442(US,A1)
【文献】 実開昭49−016897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/142
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ロッド体、グリップ、複数のローラー、回転リング及び圧迫部材を有し、提示機能を備える螺合固定型トルクレンチであって、
前記主ロッド体は第一端と第二端を有し、前記主ロッド体の前記第一端には駆動ヘッドが設置され、前記第二端に近い外周に、環状配列を呈し、間隔を空けて設置される複数の位置限定溝を有し、相互に隣り合う2個の前記位置限定溝間には前記主ロッド体のロッド壁が設置され、
前記グリップは一端に延伸管を有し、前記主ロッド体は前記第二端により前記延伸管を通過し、前記グリップ内に進入して接続され、前記主ロッド体は前記グリップの回転に相対して伸縮し、前記駆動ヘッドの作動トルクを調整し、前記延伸管には複数の穿孔が設置され、各前記穿孔は、前記グリップと前記主ロッド体の相対回転に従い、各前記位置限定溝にそれぞれ照準が合い、
前記複数のローラーの少なくとも1個はローリング柱であり、一対一で各前記穿孔内に設置され、各前記ローラーは前記グリップと前記主ロッド体の相対回転に従い、前記位置限定溝に遭遇すると沈下状態を呈し、或いは相互に隣り合う2個の前記位置限定溝間のロッド壁に遭遇すると上昇状態を呈し、
前記回転リングは軸孔を有し、前記延伸管上の前記複数のローラーの外縁に嵌められ、前記延伸管に相対して回転すると、固定位置又は緩め位置に位置し、前記回転リングの内周には各前記ローラーに対応するそれぞれの回避槽が設置され、各前記回避槽は前記固定位置から前記緩め位置の方向へと前記回転リングに沿って回転して段々深くなり、また浅い位置により、対応する前記ローラーが沈下状態の時に前記主ロッド体を締め付け、また深い位置により、対応する前記ローラーは上昇状態の時に上昇の空間を有し、
前記圧迫部材は嵌合リングであり、異なる両端にそれぞれ組接部を有し、2個の前記組接部により、前記延伸管の両側に、しかも前記延伸管の外周に沿ってそれぞれ定位されて設置され、常に前記ローリング柱の被嵌合部上で嵌合され、嵌合された前記ローリング柱が上昇状態の時、前記圧迫部材が生じる予圧により主ロッド体へと押し上げられ、しかも前記位置限定溝に遭遇すると前記予圧を受けて瞬間的に沈下することを特徴とする、螺合固定型トルクレンチ。
【請求項2】
2個の前記組接部は前記嵌合リングの両端に位置し、しかも前記嵌合リングと一体成形されることを特徴とする、請求項に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【請求項3】
各前記組接部は、前記嵌合リングの両端が相互に相対する向きにそれぞれに屈曲して逆カギ状を呈してなることを特徴とする、請求項に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【請求項4】
前記延伸管は両側に各前記組接部にそれぞれ対応する凹槽を有し、しかも各前記凹槽は阻害面を有し、各前記阻害面が向かう面は前記嵌合リングに嵌合される前記ローリング柱に背中合わせで、前記嵌合リングが常に前記被嵌合部上に嵌合されると、逆カギ状を呈する各前記組接部は、対応する前記凹槽内の前記阻害面を押さえつけて定位することを特徴とする、請求項に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【請求項5】
前記被嵌合部は前記ローリング柱の一端に位置し、溝部を有し、
前記嵌合リングは、前記溝部内で常に前記ローリング柱を嵌合することを特徴とする、請求項に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【請求項6】
前記溝部は前記ローリング柱において、環状を呈して陥没状に設置されることを特徴とする、請求項に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【請求項7】
前記軸孔は大径セクションと小径セクションを有し、前記大径セクションの孔径は前記小径セクションより大きく、
前記回転リングの各前記回避槽は前記小径セクションの内周に設置され、
前記嵌合リングはアーチ型を呈し、前記大径セクションに位置することを特徴とする、請求項に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【請求項8】
前記嵌合リングが前記延伸管の外周に沿って設置される範囲は、前記延伸管の周長の半分より大きいことを特徴とする、請求項に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【請求項9】
前記複数の位置限定溝は長形で、しかも前記主ロッド体の長さ方向に沿って設置され、
また各前記穿孔も長形で、しかも長さ方向は前記複数の位置限定溝の方向と相同であることを特徴とする、請求項1に記載の螺合固定型トルクレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトルクレンチに関し、特に提示機能を備える螺合固定型トルクレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される「トルクレンチの固定リング構造」は、本体において、内管外カバーに外管が設置される。
外管には2個の定位部材と位置限定部材が設置され、外カバーには固定リングが設置される。
固定リングは内固定リングと外固定リングを有する。
内固定リングは各定位部材に対応する回避槽をそれぞれ有し、位置限定部材に対応する位置限定槽を有し、位置限定槽内に2個の位置限定ブロックが位置する。
固定リングが本体に相対して回転すると、位置限定部材は選択的に任意の位置限定ブロックに係合する。
また、内固定リング外周には複数の係合固定ブロックが設置され、外固定リング内周の複数の係合固定槽と相互に係合固定する。
これにより使用者は、固定リングが回されて緩められた状態で、内管と外管を相対回転させることによりトルクを調整でき、トルク確定後、固定リングを再び回して内管と外管を固定し、トルクレンチを操作できる。
【0003】
トルクレンチは、通常は外管上にトルク値と対応する目盛りを有する。
これにより、トルクを調整する時、使用者は調整中のトルクの値を目視で知ることができる。
目盛りは確かにトルク調整の根拠とできるが、標示された目盛りを目視で確認する時、実際のトルク値は目視的に認知されたトルク値と明らかな誤差がある可能性があり、トルク調整時にトルク値が不正確になる問題というが存在する。
特に、目盛りが磨損によりはっきりしなくなると、使用者が行うトルク値調整の不正確さの程度はさらに深刻になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許第M515937号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術には、目視で認知されたトルク値と実際のトルク値とに誤差があり、トルク調整が不正確になり、さらに目盛りが磨損によりはっきりしなくなると、トルク値調整の不正確さの程度がさらに深刻になるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、グリップと主ロッド体を相対回転させる時の段落感を提示し、相応してトルク値を調整する螺合固定型トルクレンチに関する。
【0007】
本発明による螺合固定型トルクレンチは、主ロッド体、グリップ、複数のローラー、回転リング及び圧迫部材を有する。
該主ロッド体は第一端と第二端を有し、主ロッド体の第一端には駆動ヘッドが設置され、第二端に近い外周に複数の位置限定溝を有し、複数の位置限定溝は環状配列を呈し、しかも間隔を空けて設置され、相互に隣り合う2個の該位置限定溝間には該主ロッド体のロッド壁が設置される。
該グリップは一端に延伸管を有し、主ロッド体は第二端により延伸管を通過し、グリップ内に進入して接続される。
該主ロッド体はグリップの回転に相対して伸縮し、駆動ヘッドの作動トルクを調整する。
延伸管には複数の穿孔が設置され、各穿孔はグリップと主ロッド体の相対回転に従い、各位置限定溝にそれぞれ照準を合わせる。
該複数のローラーの少なくとも1個はローリング柱であり、一対一で各穿孔内に設置される。
該各ローラーは、グリップと主ロッド体の相対回転に従い、該位置限定溝に遭遇すると沈下状態を呈し、或いは相互に隣り合う2個の該位置限定溝間のロッド壁に遭遇すると上昇状態を呈する。
該回転リングは、軸孔を有し、延伸管上の複数のローラーの外縁に嵌められ、延伸管に相対して回転すると、固定位置又は緩め位置に位置する。回転リングの内周には各ローラーに対応する回避槽がそれぞれ設置され、各回避槽は回転リングに沿って固定位置から緩め位置の方向へと回転して段々と深くなり、また該浅い位置により、対応するローリングが沈下状態である時、主ロッド体を締め付け、また該深い位置により、対応するローリングが上昇状態である時、上昇する空間を有する。
該圧迫部材は異なる両端にそれぞれ組接部を有し、2個の組接部により、延伸管の両側に、しかも該伸管の外周に沿って定位されて設置され、常にローリング柱の被嵌合部上で嵌合される。
該嵌合されるローリング柱は、上昇状態の時に、圧迫部材が生じる予圧により主ロッド体へと押され、しかも該位置限定溝に遭遇すると、予圧を受けて瞬間的に沈下する。
【0008】
一実施形態中において、圧迫部材は嵌合リングである。
【0009】
一実施形態中において、好ましくは、2個の該組接部は嵌合リングの相互に異なる両端に位置し、しかも嵌合リングとは一体成形される。
【0010】
一実施形態中において、好ましくは、各組接部は嵌合リングの両端が相互に相対する向きにそれぞれ屈曲して逆カギ状を呈してなる。
【0011】
一実施形態中において、好ましくは、延伸管は両側に、各組接部にそれぞれ対応する凹槽を有し、しかも各凹槽中は阻害面を有する。
各阻害面が向かう面は嵌合リングに嵌合されるローリング柱に背中合わせで、嵌合リングが常に被嵌合部上に嵌合されると、逆カギ状を呈する各組接部は、対応する凹槽内の阻害面を押さえつけて定位する。
【0012】
一実施形態中において、好ましくは、被嵌合部は該ローリング柱の一端に位置し、被嵌合部は溝部を有し、嵌合リングは溝部内で常にローリング柱を嵌合する。
【0013】
一実施形態中において、好ましくは、溝部は該ローリング柱において、環状を呈して陥没状に設置される。
【0014】
一実施形態中において、好ましくは、軸孔は大径セクションと小径セクションを有し、大径セクションの孔径は小径セクションより大きく、回転リングの各回避槽は小径セクションの内周に設置され、嵌合リングはアーチ型を呈して大径セクションに位置する。
【0015】
一実施形態中において、好ましくは、嵌合リングが伸管の外周に沿って設置される範囲は、延伸管の周長の半分より大きい。
【0016】
一実施形態中において、好ましくは、複数の位置限定溝は長形であり、しかも該主ロッド体の長さ方向に沿って設置され、各穿孔も長形で、しかも長さ方向は、複数の位置限定溝の方向と相同である。
【0017】
使用者がトルクレンチのトルク値を調整する時には、圧迫部材により圧迫されるローリング柱が位置限定溝に遭遇した時に瞬間的に沈下して形成する段落感が提示されるため、使用者は目下の目盛りが相応のトルク値に照準が合い、トルク値が正しく調整されたことを知る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態のレンチ全体の外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態のグリップ部位の分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態のグリップ部位の部分断面斜視図である。
図4】本発明の実施形態のグリップ部位の部分断面図である。
図5】本発明の実施形態において、回転リングが緩め位置まで回転し、しかも延伸管が主ロッド体に相対して回転し、2個のローリング柱が該位置限定溝中で上昇状態を呈する様子を示す底面断面図である。
図6図5中の延伸管が主ロッド体に相対して継続的に回転し、しかも嵌合リングに嵌合されるローリング柱が主ロッド体のロッド壁上で押さえられる様子を示す底面断面図である。
図7図6中の延伸管が主ロッド体に相対して継続的に回転し、しかも嵌合リングに嵌合されるローリング柱が位置限定溝に遭遇し瞬間的に沈下する様子を示す底面断面図である。
図8】本発明の実施形態において、回転リングが固定位置まで回転する様子を示す底面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(一実施形態)
実施形態中の項目は、説明に適した比率、サイズ、変形量或いは移動量に応じて図示したものであり、実際の比率に応じて図示したものではない。
【0020】
図1図8に示す通り、本発明による螺合固定型トルクレンチは、主ロッド体1、グリップ2、ローリング柱3、ローリング柱4、回転リング5及び圧迫部材を有する。圧迫部材は、好ましい実施形態では嵌合リング6である。
【0021】
図1図2に示す通り、主ロッド体1は、第一端11と第二端12を有する。
主ロッド体1は、駆動ヘッド13が第一端11に設置され、しかも主ロッド体1は、第二端12に近い外周に、複数の位置限定溝14を有する。
複数の位置限定溝14は、環状配列を呈し、しかも間隔を空けて設置され、相互に隣り合う2個の位置限定溝14の間には、ロッド壁16が設置される。
本実施形態中では、主ロッド体1は10個の位置限定溝14を有し、10個の位置限定溝14は長形で、しかも各位置限定溝14は該主ロッド体1の長さ方向に沿って設置される。
【0022】
図1図4に示す通り、グリップ2の一端は、延伸管21を有する。
主ロッド体1は、第二端12により延伸管21を通過し、しかもグリップ2内に進入して接続される。
主ロッド体1は、グリップ2に相対して回転、伸縮して、駆動ヘッド13作動のトルクを調整する。
本実施形態中では、延伸管21には、2個の穿孔22が設置される。
各穿孔22は、グリップ2と主ロッド体1の相対回転に従い、それぞれの各位置限定溝14に照準を合わせる。
【0023】
図1図2に示す通り、本実施形態中では、各穿孔22は長形で、しかも長さ方向は、各位置限定溝14の方向と相同である。
この他、本実施形態では、主ロッド体1上に、トルク目盛り値15が設置される。
主ロッド体1がグリップ2に相対して一回りする時、グリップ2に相対する主ロッド体1の伸縮量はトルク目盛り値15の一目盛りであり、こうして調整のトルク数値を表示できる。
この他、本実施形態では、延伸管21上に、環周に沿って設置されるトルク目盛り値23をさらに有する。
このトルク目盛り値23は、10個の目盛り231を有し、隣り合う2個の目盛り231の間隔距離と隣り合う2個の位置限定溝14の間隔距離は、等しい。
こうして、トルク目盛り値23は、トルク微調整時に表示される。
【0024】
図3図4に示す通り、ローリング柱3とローリング柱4は、一対一で各穿孔22内に設置される。
しかも、ローリング柱3とローリング柱4は、本実施形態中では、延伸管21に相対する両側に位置し、グリップ2と主ロッド体1の相対回転に従い、位置限定溝14に遭遇すると沈下状態(図7図8参照)になり、或いは相互に隣り合う2個の位置限定溝14間のロッド壁16に遭遇すると上昇状態(図5図6参照)になる。
本実施形態中では、ローリング柱3は、ローリング柱4より長く、ローリング柱3が設置される穿孔22は、ローリング柱4が設置される穿孔22より長い。
異なる実施形態では、ローリング柱4は、ローリングボールに換えられてもよい。
ここでは、該ローリング柱或いはローリングボールは、共に「ローラー」の概念の下にある。
【0025】
図2図4に示す通り、回転リング5は、軸孔51を有し、延伸管21上で、ローリング柱3とローリング柱4の外縁に嵌める。
回転リング5は、延伸管21に相対して回転すると、固定位置(図8参照)又は緩め位置(図5図7参照)に位置する。
回転リング5の内周には、ローリング柱3とローリング柱4に対応するそれぞれの回避槽52が設置される。
各回避槽52は、回転リング5に沿って、固定位置から緩め位置の方向へと回転して段々と深くなり、しかも各回避槽52は、浅い位置521により、対応するローリング柱3或いはローリング柱4が沈下状態である時、主ロッド体1を締め付け、しかも各回避槽52は、深い位置522により、対応するローリング柱3或いはローリング柱4を上昇状態にする時、上昇する空間を有する。
【0026】
図2図3及び図5に示す通り、嵌合リング6は、異なる両端に、それぞれの組接部61を有する。
嵌合リング6は、2個の組接部61により、延伸管21の両側にそれぞれ定位される。
しかも、嵌合リング6は、延伸管21の外周に沿って設置され、常に、ローリング柱3の被嵌合部31上で嵌合される。
ローリング柱3は上昇状態の時、嵌合リング6が生じる予圧により主ロッド体1へと押し上げられ(図6参照)、しかも位置限定溝14に遭遇すると、予圧を受け、瞬間的に沈下し、グリップ2と主ロッド体1が相対回転する時の段落感が形成される。
上記段落感は、予圧により、ローリング柱3が位置限定溝14に遭遇した瞬間に沈下する時の衝突力の大きさにより、無音或いは有音になる。
【0027】
本実施形態中では、嵌合リング6は一体成形で、各組接部61は嵌合リング6の両端が相互に相対する向きにそれぞれ屈曲して逆カギ状を呈する。
延伸管21は両側に、各組接部61に対応するそれぞれの凹槽24を有し、しかも各凹槽24中には、阻害面241を有する。
各阻害面241が向かう面は、ローリング柱3に背中合わせで、嵌合リング6が常に被嵌合部31上に嵌合されると、逆カギ状を呈する各組接部61は、対応する凹槽24内の阻害面241を押さえつけ、定位する。
本実施形態中では、ローリング柱3だけが嵌合リング6に嵌合されるが、異なる実施形態下では、被嵌合部31を有する複数のローリング柱3が、嵌合リング6に嵌合される形態とすることができる(図示なし)。
【0028】
本実施形態中では、被嵌合部31は、ローリング柱3の一端に位置し、被嵌合部31は、溝部311を有する。
嵌合リング6は、溝部311内で、常にローリング柱3を嵌合する。
溝部311は、該ローリング柱3において、環状を呈して陥没状に設置される。
この他、本実施形態の回転リング5の軸孔51は、大径セクション511と小径セクション512を有する。
大径セクション511の孔径は、小径セクション512より大きく、回転リング5の各回避槽52は、小径セクション512の内周に設置され、嵌合リング6は、アーチ型を呈して、大径セクション511に位置する。
この他、嵌合リング6が伸管21の外周に沿って設置される範囲は、延伸管21の周長の半分より大きい。
【0029】
上記の説明から分かるように、上述の実施形態のトルクレンチは、トルク値の調整時、操作者は回転リング5を回して緩め位置に位置させ、両手で、グリップ2と主ロッド体1をそれぞれ持ち、二者を相対的に回転させる。すると、グリップ2の延伸管21端縁は、主ロッド体1上のトルク目盛り値15に照準が合う。
トルク値を微調整する時には、操作者は、グリップ2と主ロッド体1の相対回転の過程において、延伸管21に設置するトルク目盛り値23の任意の目盛り231を、主ロッド体1上のトルク目盛り値15位置に照準を合わせた後、固定位置において回転リング5を回せば、トルクレンチのトルク調整を完成させることができる。
【0030】
トルクレンチのトルク調整過程において、操作者がロッド体1上のトルク目盛り値15位置に目盛り231の照準を合わせる時、ローリング柱3とローリング柱4は、該穿孔22中で、位置限定溝14に遭遇し沈下状態になる。
この時、グリップ2と主ロッド体1がさらに相対して回転すれば、ローリング柱3とローリング柱4は、該位置限定溝14中から上昇する(図5図6参照)。
この時、ローリング柱3は、嵌合リング6が生じる予圧により主ロッド体1の方へと押される。
グリップ2と主ロッド体1の継続相対回転に従い、ローリング柱3が次の位置限定溝14に遭遇すると、ローリング柱3は予圧を受け、瞬間的に、位置限定溝14に沈下する(図7参照)。
これにより、グリップ2と主ロッド体1が相対回転時の段落感を形成し、これが提示される。
これにより、この時、操作者は、主ロッド体1上のトルク目盛り値15の位置で、すでに選択した目盛り231に照準が合ったことが分かる。
【0031】
上記の説明を総合し、本発明の長所を以下にまとめる。
グリップ2と主ロッド体1の相対回転の過程で、ローリング柱(上述の実施形態ではローリング柱3)が位置限定溝14中から上昇すると、圧迫部材(嵌合リング6)が生じる予圧により主ロッド体1の方へと押される。継続して回転し、再度、位置限定溝14に遭遇すると、予圧を受け、瞬間的に位置限定溝14に沈下する。こうしてグリップ2と主ロッド体1相対回転時の段落感が形成される。
トルクレンチ上の目盛り(目盛り231など)が磨損などではっきりしなくなっても、操作者は、段落感による提示を受けることができ、トルク値の調整が確実に達成されたと知ることができる。
【0032】
前記した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0033】
1 主ロッド体、
11 第一端、
12 第二端、
13 駆動ヘッド、
14 位置限定溝、
15 トルク目盛り値、
16 ロッド壁、
2 グリップ、
21 延伸管、
22 穿孔、
23 トルク目盛り値、
231 目盛り、
24 凹槽、
241 阻害面、
3 ローリング柱、
31 被嵌合部、
311 溝部、
4 ローリング柱、
5 回転リング、
51 軸孔、
511 大径セクション、
512 小径セクション、
52 回避槽、
521 浅い位置、
522 深い位置、
6 嵌合リング、
61 組接部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8