特許第6722332号(P6722332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722332
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-99998(P2019-99998)
(22)【出願日】2019年5月29日
(62)【分割の表示】特願2014-233147(P2014-233147)の分割
【原出願日】2014年11月17日
(65)【公開番号】特開2019-165629(P2019-165629A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2019年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514293639
【氏名又は名称】台湾日電産股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NIDEC TAIWAN CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(72)【発明者】
【氏名】牧野 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】河合 良樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】顔 國智
(72)【発明者】
【氏名】林 秀瑛
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−197706(JP,A)
【文献】 実開昭60−099850(JP,U)
【文献】 特開平06−225491(JP,A)
【文献】 特開2008−131720(JP,A)
【文献】 実開平03−101146(JP,U)
【文献】 特開2006−311674(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202004019482(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる中心軸を中心とするシャフトと、
軸方向に所定の間隔を空けて前記シャフトに取り付けられた2つのロータと、
前記2つのロータの間に配置されたステータと、
前記ステータを保持し、前記2つのロータを収容するハウジングと、
を有し、
前記ステータは、周方向に配置された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイルと、を有し、
前記複数のコアは樹脂で互いに固定され、
前記ロータよりも径方向外側の前記ステータの外周部に前記樹脂の一部として構成された引出線支持部を有し、
前記引出線支持部の一方側端部は、軸方向において、前記ロータの外周端よりも前記ステータと反対側に突出し、
前記コイルから引き出される引出線は、前記引出線支持部を介して前記コアから前記軸方向に導出される、
モータ。
【請求項2】
一方向に延びる中心軸を中心とするシャフトと、
軸方向に所定の間隔を空けて前記シャフトに取り付けられた2つのロータと、
前記2つのロータの間に配置されたステータと、
前記ステータを保持し、前記2つのロータを収容するハウジングと、
を有し、
前記ステータは、周方向に配置された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイルとを有し、
前記ロータよりも径方向外側の前記ステータの外周部に、前記コイルから引き出される引出線の少なくとも一部を被覆する絶縁部材から構成された引出線支持部を有し、
前記引出線は、前記引出線支持部から軸方向に延び、
前記引出線支持部の一方側端部は、軸方向において、前記ロータの外周端よりも前記ステータと反対側に突出される
モータ。
【請求項3】
一方向に延びる中心軸を中心とするシャフトと、
軸方向に所定の間隔を空けて前記シャフトに取り付けられた2つのロータと、
前記2つのロータの間に配置されたステータと、
前記ステータを保持し、前記2つのロータを収容するハウジングと、
を有し、
前記ステータは、周方向に配置された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイルと、
前記コアに取り付けられたインシュレータを有し、
前記ロータよりも径方向外側の前記ステータの外周部に前記インシュレータの一部として構成された引出線支持部を有し、
前記コイルから引き出される引出線は、前記引出線支持部に軸方向に延びて支持され、
前記引出線支持部の一方側端部は、軸方向において、前記ロータの外周端よりも前記ステータと反対側に突出される
モータ。
【請求項4】
前記引出線支持部は、周方向に隣り合うコア同士の境界上、又は、前記境界の径方向外側の前記ステータの外周端に設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記引出線は、前記一方のロータの径方向内側においてバスバーと接続される、請求項1から4いずれかに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
薄型で高出力のモータとして、1つのステータに対して2つのロータを軸方向に挟むように対向させたアキシャルギャップ型モータが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−125278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、アキシャルギャップ型モータでは、コアに巻回された各相におけるコイルの引出線をロータの径方向外側で結線していた。この場合、ロータの径方向外側に渡り線を収納する渡り線処理部が設けられ、ロータの外径を大きくすることができない。そのため、ロータとステータとが対向する面積が小さくなってしまう。他方、ロータとステータとの対向面積を増やすためにロータの外径を大きくしようとすると、渡り線処理部をステータコアの径方向外側へ移動させる必要がある。この場合、モータ全体の外径が大きくなってしまう。また、ステータの外周で渡り線を引き回すと、配線が複雑となり、結線が煩雑になる。
【0005】
本発明の一態様は、ステータのコイル線を簡潔に結線することができるアキシャルギャップ型のモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、一方向に延びる中心軸を中心とするシャフトと、軸方向に所定の間隔を空けて前記シャフトに取り付けられた2つのロータと、前記2つのロータの間に配置されたステータと、前記ステータを保持し、前記2つのロータを収容するハウジングと、を有し、前記ステータは、周方向に配置された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイルと、前記複数のコアは樹脂で互いに固定され、前記ロータよりも径方向外側の前記ステータの外周部に前記樹脂の一部として構成された引出線支持部を有し、前記引出線支持部の一方側端部は、軸方向において、前記ロータの外周端よりも前記ステータと反対側に突出し、前記コアから引き出される引出線は、前記引出線支持部を介して前記コアから前記軸方向に導出される、モータが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、ステータのコイル線を簡潔に結線することができるアキシャルギャップ型のモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のモータの断面図。
図2】実施形態のモータの平面図。
図3】実施形態のモータの内部構造を示す斜視図。
図4】ステータの斜視図。
図5】ステータにおけるコイルの巻線パターンを示す説明図。
図6】変形例のモータを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。 なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向(一方向)と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸に直交する一方向であり、本実施形態では図1の左右方向とする。Y軸方向は、Z軸及びX軸に直交する方向であり、本実施形態では図1の奥行方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「フロント側」と呼ぶ。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。 また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
図1は、本実施形態のモータの断面図である。図2は、本実施形態のモータの平面図である。図3は、本実施形態のモータの内部構造を示す斜視図である。
【0014】
本実施形態のモータ10は、アキシャルギャップ型のモータである。 モータ10は、図1に示すように、ハウジング21と、シャフト30と、第1ロータ31と、第2ロータ32と、ステータ40と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、バスバーユニット60と、コネクタ71と、を備える。
【0015】
第1ロータ31と第2ロータ32は、ステータ40の軸方向の両面にそれぞれ対向配置される。第1ロータ31と第2ロータ32は、互いに同軸にシャフト30に固定される。 シャフト30は、ステータ40の内周面に保持された第1ベアリング51と、第2ロータ32のフロント側(−Z側)に保持された第2ベアリング52と、によって軸方向の2箇所を支持される。
【0016】
ハウジング21は、本実施形態のモータ10の筐体を構成する。ハウジング21の軸方向のほぼ中央部にステータ40が保持される。ステータ40のリア側(+Z側)に第1ロータ31とバスバーユニット60とが収容される。ステータ40のフロント側(−Z側)に第2ロータ32が収容される。
【0017】
ハウジング21は、両端が開口した円筒状の第1ハウジング21aと、第1ハウジング21aのフロント側(−Z側)に連結された有底円筒状の第2ハウジング21bと、第1ハウジング21aのリア側(+Z側)に連結された有蓋円筒状の第3ハウジング21cとを有する。ハウジング21は、例えば金属又は樹脂からなる。
【0018】
第1ハウジング21aの内周面には複数の段差部が形成される。第1ハウジング21aの軸方向中央部の段差部127にステータ40が保持される。 第2ハウジング21bは、円盤状の底壁121と、底壁121の周縁部からリア側(+Z側)へ延びる円筒部122と、底壁121の中央部に設けられたベアリング保持部123と、を有する。円筒部122は、第1ハウジング21aのフロント側(−Z側)の開口部124に嵌合される。ベアリング保持部123には、第2ベアリング52が保持される。
【0019】
第3ハウジング21cは、円盤状の頂壁128と、頂壁128の端縁から軸方向に垂下された円筒部129と、を有する。円筒部129のフロント側(−Z側)の開口端は、第1ハウジング21aのリア側(+Z側)の開口端に固定される。より詳細には、図2に示す第3ハウジング21cのフランジ部111、112と、図3に示す第1ハウジング21aのフランジ部113、114とを用いて、ボルト締結等の方法により第1ハウジング21aと、第3ハウジング21cとが固定される。
【0020】
フランジ部111〜114には、軸方向に貫通する貫通孔111a〜114aが設けられる。フランジ部111とフランジ部113とが、貫通孔111a、113aに挿通されたボルト等により締結される。フランジ部112とフランジ部114とが貫通孔112a、114aに挿通されたボルト等により締結される。
【0021】
第3ハウジング21cの頂壁128には、軸方向に貫通する図示略の貫通孔が設けられ、かかる貫通孔にコネクタ71が取り付けられる。コネクタ71には後述するバスバーユニット60から頂壁128を貫通してリア側(+Z側)に延びる3本の外部接続端子63(図3参照)が配置される。
【0022】
第1ロータ31及び第2ロータ32はいずれも径方向に延びる円盤状である。第1ロータ31は、ステータ40と対向する面(−Z側面)に周方向に配列された複数のマグネット31aを有する。第2ロータ32は、ステータ40と対向する面(+Z側面)に周方向に配列された複数のマグネット32aを有する。
【0023】
図4は、ステータ40の斜視図である。図5は、ステータ40におけるコイルの巻線パターンを示す説明図である。 ステータ40は、図4に示すように、周方向に配列された複数(図示では12個)の平面視扇状のコア41と、それぞれのコア41に設けられた図示略のコイルと、それぞれのコア41のコイルから引き出されたコイル引出線42と、複数のコア41を一体に固着するモールド樹脂44と、ステータ40の外周端に設けられた複数(図示では12個)の引出線支持部45と、を有する。
【0024】
コア41は、ステータ40の両面において、モールド樹脂44から露出するアンブレラ面41aを有する。それぞれのコア41の側面(Z軸に沿った面)には図示略のインシュレータを介して導電線が巻き回され、コイルが構成される。本実施形態の場合、図5に示すように、2つのコイル141a、141bを1本の導電線142で巻き回して連ね、コイル対141を構成する。ステータ40全体では、周方向に6組のコイル対141が配置される。
【0025】
ステータ40は三相回路を有する。U相、V相、及びW相のそれぞれが2つのコイル対141を有する。各相のコイル対141は、図5に示すように、リア側(+Z側)から見て時計回り(CW)に導電線142が巻かれたコイル141aと、反時計回り(CCW)に導電線142が巻かれたコイル141bとを有する。各相のコイル対141のコイル141a、141bは、ステータ40において周方向に隣り合って配置される。
【0026】
上記の巻き線パターンでは、コア数が12個であり、例えば第1ロータ31、第2ロータ32のマグネット数を10個とし、10P12S(10極12スロット)構造とすることで、コギングトルクを小さく抑えることができる。また、同相の2つのコア41を隣り合わせて配置していることで、逆起電力を最大にすることができ、さらに渡り線を少なくすることができる。これにより、モータ効率を向上させることができる。また、渡り線で連結された2つのコア41にコイル141a、141bを巻く工程で、導電線142を巻く方向を一方向に揃えることができるため、効率よく製造することができる。
【0027】
本実施形態では、コイル141a、141bからそれぞれ導電線142の両端がコア41から引き出される。したがって、図4に示すように、コア41と同じ数の12本のコイル引出線42がコア41から導出される。ステータ40には、隣り合うコア41の境界の径方向外側の外周端に、軸方向に延びる柱状の引出線支持部45が設けられる。本実施形態の場合、引出線支持部45はモールド樹脂44の一部として構成される。すなわち、ステータ40は、第1ロータ31よりも径方向外側のステータ40の外周部において、モールド樹脂44の一部として構成された引出線支持部45を有する。
【0028】
引出線支持部45は、ステータ40の外周面の軸方向中央部からリア側(+Z側)へ延び、一部がアンブレラ面41aよりもリア側(+Z側)へ突出する。コイル引出線42は、コア41から引出線支持部45内を通り、引出線支持部45のリア側(+Z側)の先端から軸方向へ延びる。すなわち、コイル引出線42は、引出線支持部45を介してコア41から軸方向に導出される。
【0029】
バスバーユニット60は、図1及び図3に示すように、バスバーホルダ61と、バスバーホルダ61に保持されたバスバー62と、バスバー62からリア側(+Z側)に延びる外部接続端子63と、を有する。バスバーホルダ61は、絶縁性の樹脂材料からなる。バスバー62は、例えば帯状の銅板を所定形状に折り曲げた金属部材である。
【0030】
バスバーホルダ61は、第1ロータ31のリア側(+Z側)に配置された円環状の本体部61aと、本体部61aの外周面から径方向に放射状に延びる複数のホルダ支持部61bと、を有する。本体部61aの外径は、第1ロータ31の外径(直径)よりも小さい。
【0031】
ホルダ支持部61bは、本実施形態の場合、12本設けられる。ホルダ支持部61bは、側面視略L形の脚部であり、第1ロータ31上に配置された本体部61aから径方向外側へ延び、第1ロータ31の径方向外側でフロント側(−Z側)へ屈曲され、第1ロータ31の径方向外側において、ステータ40に取り付けられる。したがって、バスバーホルダ61は、ホルダ支持部61bにより第1ロータ31と第3ハウジング21cの頂壁128との間において、ステータ40に支持される。
【0032】
バスバー62は、ステータ40の引出線支持部45からリア側(+Z側)へ延びるコイル引出線42に接続される。バスバー62によって、コイル141a、141bの結線方式は、デルタ結線となる。バスバー62は、コイル引出線42のうち、U相、V相、W相に対応する配線を、それぞれ外部接続端子63に接続する。また、コイル引出線42のうち、中性点に対応する配線を互いに接続する。したがって、バスバー62は、U相、V相、W相、中性点に対応する4本の金属部材を有する。
【0033】
バスバー62は、バスバーホルダ61の本体部61aから径方向外側へ放射状に延びる12本のコイル接続部62a、コイル接続部62aの先端に設けられた鈎形の引出線把持部62bと、を有する。引出線把持部62bは、第1ロータ31の外周端よりも径方向内側に位置する。
【0034】
本実施形態の場合、コイル引出線42は、第1ロータ31の径方向外側に位置するステータ40の外周部からリア側(+Z側)へ延び、第1ロータ31よりもリア側の位置で径方向内側へ屈曲され、第1ロータ31上に位置する引出線把持部62bに接続される。
【0035】
以上の構成を備えた本実施形態のモータ10では、ハウジング21内にバスバー62を内蔵したことで、ステータ40のコイル引出線42を軸方向に引出してバスバー62に接続するだけで結線が完了する。これにより、コア41の外周にコイル引出線42を引き回す必要が無くなって配線が簡潔になり、コイル引
出線の結線を容易に行うことができる。また、バスバーユニット60は第1ロータ31の軸方向に配置されるため、ステータ40の外周端よりも内側の領域でコイル引出線42の結線を行うことができ、モータ10が径方向に大型化するのを抑制することができる。
【0036】
また本実施形態では、第1ロータ31の径方向外側には、絶縁性の樹脂からなる引出線支持部45が配置される。これにより、第1ロータ31の外周端とコイル引出線42とが接触するのを抑制することができ、短絡や断線、振動などの発生を抑制することができる。
【0037】
特に本実施形態では、図1に示すように、引出線支持部45のリア側(+Z側)の先端が、第1ロータ31の外周面よりもさらにリア側に突出するため、第1ロータ31の外周面とコイル引出線42が径方向に直接対向しない。これにより、より確実にコイル引出線42と第1ロータ31との接触を抑制することができる。また、コイル引出線42を径方向内側に屈曲させた場合にも、引出線支持部45によってコイル引出線42と第1ロータ31との接触を抑制できる。さらに、コイル引出線42を径方向内側に延ばすことで、第1ロータ31よりも径方向内側の領域でコイル引出線42とバスバー62とを結線することができ、小径のバスバー62を用いることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、引出線支持部45がモールド樹脂44の一部として構成される場合について説明したが、この構成に限られない。 例えば、引出線支持部45として、モールド樹脂44とは別部材の絶縁部材を配置してもよい。この場合にも、絶縁部材は第1ロータ31の径方向外側に配置される。より具体的には、モールド樹脂44から導出されたコイル引出線42に、絶縁性の樹脂やゴムを被覆して上記絶縁部材を構成することができる。あるいは、上記絶縁部材として、絶縁性の樹脂やゴムのパイプをコイル引出線42に取り付けてもよい。
【0039】
また例えば、コア41に取り付けられるインシュレータの一部を引出線支持部45としてもよい。具体的には、コア41の外周端付近からインシュレータの一部を軸方向に柱状に延ばし、この柱状に延びた部位の径方向外周側にコイル引出線42を支持させる。この構成により、コイル引出線42と第1ロータ31との間にインシュレータの一部を介在させることができ、コイル引出線42と第1ロータ31との接触を抑制することができる。すなわち、ステータ40は、第1ロータ31よりも径方向外側のステータ40の外周部に、コイル引出線42の少なくとも一部を被覆する絶縁部材から構成された引出線支持部45を有してもよく、もしくは、インシュレータの一部として構成された引出線支持部45を有してもよい。
【0040】
また本実施形態では、ステータ40の外周端に引出線支持部45を設けたが、引出線支持部45をステータ40の外周端よりも径方向内側に配置してもよい。この場合に、隣り合うコア41の境界にはモールド樹脂44が配置されているので、隣り合うコア41の境界には引出線支持部45を容易に配置することができる。引出線支持部45をステータ40の外周端又はその内側に配置することで、ステータ40の径方向外側に突出する部材を減らすことができ、ステータ40やモータ10が径方向に大型化するのを抑制することができる。
【0041】
また本実施形態では、それぞれのコア41から1本ずつコイル引出線42が引き出される構成としたが、コイル引出線42の本数はコイルの巻き方、スロット数に応じて適宜変更してもよい。またコイル引出線42の本数に合わせて、バスバー62のコイル接続部62aの数も変更することができる。なお、バスバー62によって、コイル141a、141bの結線方式を、スター結線としてもよい。
【0042】
(変形例) 図6は、変形例のモータを示す断面図である。 なお、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0043】
変形例のモータ210は、図6に示すように、ハウジング221と、ハウジング221に収容された第1ロータ31と、第2ロータ32と、ステータ40と、バスバーユニット260と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、を有する。
【0044】
ハウジング221は、ステータ40を保持する第1ハウジング221aと、第1ハウジング221aのフロント側(−Z側)に連結された第2ハウジング221bと、第1ハウジング221aのリア側(+Z側)に固定された第3ハウジング221cと、を有する。 ステータ40と第2ハウジング221bとの間に第2ロータ32とバスバーユニット260とが収容される。ステータ40と第3ハウジング221cとの間に第1ロータ31が収容される。シャフト30は、ステータ40の内周に固定された第1ベアリング51と、第2ハウジング221bに保持された第2ベアリング52とに支持される。
【0045】
第1ハウジング221aは軸方向の両端が開口した円筒状である。第1ハウジング221aは、円筒状の本体部201と、本体部201のリア側(+Z側)の面に固定された断面L形の円環状のステータ支持部202とを有する。ステータ支持部202は、内周に設けられた円筒状の筒部202aによりステータ40の外周面を支持する。
【0046】
第2ハウジング221bは有底円筒状であり、円環状の底壁部204と、底壁部204の外周端からリア側(+Z側)に延びる筒部205と、底壁部204の中央に設けられたベアリング保持部206と、を有する。第2ハウジング221bの筒部205のリア側(+Z側)の先端部は、本体部201のフロント側(−Z側)の開口部203に嵌合される。 第3ハウジング221cは、有蓋円筒状であり、第1ハウジング221aのステータ支持部202のリア側(+Z側)の面に、例えばボルト締結等により固定される。
【0047】
バスバーユニット260は、シャフト30を周方向に囲む円環状のバスバーホルダ261と、バスバーホルダ261に支持されたバスバー262とを有する。バスバー262は、バスバーホルダ261から径方向外側へ放射状に延び、コア41のフロント側(−Z側)の面から軸方向に延びるコイル引出線242に電気的に接続される。
【0048】
以上の構成を備えた変形例のモータ210は、フロント側(−Z側)の第2ハウジング221bにバスバーユニット260が収容され、バスバーユニット260のさらにフロント側(−Z側)に第2ベアリング52が設けられる。このような構成においても、左記の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、本発明は、コイルから引き出される引出線が第1ロータ31側(+Z側)へ延びた位置でバスバーに接続される形態に限らない。コイルから引き出される引出線が第2ロータ32側(−Z側)へ延びた位置でバスバーに接続される変形例でもよい。言い換えると、コイルから引き出される引出線は、一方のロータの径方向外側において、コアから一方のロータの軸方向一方側へ延びた位置でバスバーに接続されればよい。
【符号の説明】
【0049】
10,210…モータ、21,221…ハウジング、30…シャフト、40…ステータ、41…コア、42…コイル引出線、45…引出線支持部、60,260…バスバーユニット、62,262…バスバー、141a,141b…コイル、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6