特許第6722338号(P6722338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6722338情報処理プログラム、ゲーム装置および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6722338
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、ゲーム装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/57 20140101AFI20200706BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20200706BHJP
   A63F 13/577 20140101ALI20200706BHJP
【FI】
   A63F13/57
   A63F13/80 G
   A63F13/577
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-211975(P2019-211975)
(22)【出願日】2019年11月25日
【審査請求日】2020年3月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511249637
【氏名又は名称】株式会社Cygames
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】増山 智之介
【審査官】 古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6573705(JP,B1)
【文献】 実公平8−5747(JP,Y2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0118011(US,A1)
【文献】 清水 友晶,cocos2d−xによるiPhone/Androidアプリ プログラミングガイド,株式会社マイナビ,2014年 1月31日,初版第3刷,p.194,213-240
【文献】 マイコミMOOK 広技苑 2008年夏版,株式会社毎日コミュニケーションズ,2008年 6月13日,p.340-341,(「デビルクラッシュ」に関する記載)
【文献】 ドラクエビルダーズ 便利テク&裏ワザ集,ゲームラボ ,株式会社三才ブックス,2016年 4月 1日,No.248,p.052,(左下の「穴にはまって出られなくなった!」に関する記載)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 − 13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された速度に基づいて前記移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、
所定条件が成立した場合に、前記移動オブジェクトの現在位置を基準位置として設定する基準位置設定部と、
前記基準位置と現在位置との距離を導出する距離導出部と、
前記基準位置が設定されてからの経過時間を計時する計時部と、
前記距離が予め設定された所定距離以上にならずに前記経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、
前記復帰入力を受け付けると、前記移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、
してコンピュータを機能させる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記所定条件には、前記距離が前記所定距離以上になることが含まれ、
前記距離が前記所定距離以上になると、前記基準位置設定部が現在位置を前記基準位置として設定し、前記計時部が前記経過時間を計時するカウンタに所定値を設定する請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
操作入力を受け付けると、前記ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させる操作オブジェクト制御部と、
前記操作オブジェクトと前記移動オブジェクトとの衝突判定を行う衝突判定部と、
してさらにコンピュータを機能させ、
前記決定部は、
前記衝突判定部による前記衝突判定に基づいて前記移動オブジェクトの速度を決定し、
前記計時部は、
前記衝突判定により、前記操作オブジェクトと前記移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間である第2の経過時間を計時し、
前記許可部は、
前記第2の経過時間が第2の所定時間に達した場合に、前記復帰入力を受け付け可能とする請求項1または2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
操作入力を受け付けると、ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させる操作オブジェクト制御部と、
前記操作オブジェクトと移動オブジェクトとの衝突判定を行う衝突判定部と、
前記衝突判定部による前記衝突判定に基づいて前記移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された速度に基づいて前記移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、
前記衝突判定により、前記操作オブジェクトと前記移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間を計時する計時部と、
前記経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、
前記復帰入力を受け付けると、前記移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、
してコンピュータを機能させる情報処理プログラム。
【請求項5】
前記許可部は、
前記復帰入力が受け付けられるか、前記経過時間を計時するカウンタに所定値が設定されると、前記復帰入力を受け付け不可能とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
予め設定された特定条件の成立により、前記ゲームフィールド内に配され、前記移動オブジェクトが衝突可能な衝突対象オブジェクトの数を増加させる特定期間を設定する特定期間設定部と、
してさらにコンピュータを機能させ、
前記許可部は、
前記特定期間中は前記復帰入力を受け付け不可能とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記決定部は、
前記移動オブジェクトの速度を、仮想的な重力が設定された前記ゲームフィールド内における物理演算により決定する請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された速度に基づいて前記移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、
所定条件が成立した場合に、前記移動オブジェクトの現在位置を基準位置として設定する基準位置設定部と、
前記基準位置と現在位置との距離を導出する距離導出部と、
前記基準位置が設定されてからの経過時間を計時する計時部と、
前記距離が予め設定された所定距離以上にならずに前記経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、
前記復帰入力を受け付けると、前記移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、
を備えるゲーム装置。
【請求項9】
操作入力を受け付けると、ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させる操作オブジェクト制御部と、
前記操作オブジェクトと移動オブジェクトとの衝突判定を行う衝突判定部と、
前記衝突判定部による前記衝突判定に基づいて前記移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された速度に基づいて前記移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、
前記衝突判定により、前記操作オブジェクトと前記移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間を計時する計時部と、
前記経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、
前記復帰入力を受け付けると、前記移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、
を備えるゲーム装置。
【請求項10】
ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度を決定するステップと、
決定された速度に基づいて前記移動オブジェクトを移動表示するステップと、
所定条件が成立した場合に、前記移動オブジェクトの現在位置を基準位置として設定するステップと、
前記基準位置と現在位置との距離を導出するステップと、
前記基準位置が設定されてからの経過時間を計時するステップと、
前記距離が予め設定された所定距離以上にならずに前記経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とするステップと、
前記復帰入力を受け付けると、前記移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項11】
操作入力を受け付けると、ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させるステップと、
前記操作オブジェクトと移動オブジェクトとの衝突判定を行うステップと、
前記衝突判定に基づいて前記移動オブジェクトの速度を決定するステップと、
決定された速度に基づいて前記移動オブジェクトを移動表示するステップと、
前記衝突判定により、前記操作オブジェクトと前記移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間を計時するステップと、
前記経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とするステップと、
前記復帰入力を受け付けると、前記移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行するステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、ゲーム装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、プレイヤの操作入力によりフリッパを動作させ、ゲームフィールド内にボール(移動オブジェクト)を弾き飛ばすピンボールゲームが知られている。このゲームによれば、物理演算により決定された移動速度に基づいて、ゲームフィールド内をボールが移動する。そして、ゲームフィールド内に配されるターゲット(衝突対象オブジェクト)にボールが衝突することで、プレイヤに得点が付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6548776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のゲームによれば、ゲームフィールド内に配される衝突対象オブジェクト間にボールが嵌まり込む等して、ゲームの進行が滞るおそれがある。
【0005】
本発明は、ゲームの進行が滞るのを抑制することが可能な情報処理プログラム、ゲーム装置および情報処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、情報処理プログラムは、ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、決定部により決定された速度に基づいて移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、所定条件が成立した場合に、移動オブジェクトの現在位置を基準位置として設定する基準位置設定部と、基準位置と現在位置との距離を導出する距離導出部と、基準位置が設定されてからの経過時間を計時する計時部と、距離が予め設定された所定距離以上にならずに経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、復帰入力を受け付けると、移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、してコンピュータを機能させる。
【0007】
また、所定条件には、距離が所定距離以上になることが含まれ、距離が所定距離以上になると、基準位置設定部が現在位置を基準位置として設定し、計時部が、経過時間を計時するカウンタに所定値を設定してもよい。
【0008】
また、情報処理プログラムは、操作入力を受け付けると、ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させる操作オブジェクト制御部と、操作オブジェクトと移動オブジェクトとの衝突判定を行う衝突判定部と、してさらにコンピュータを機能させ、決定部は、衝突判定部による衝突判定に基づいて移動オブジェクトの速度を決定し、計時部は、衝突判定により、操作オブジェクトと移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間である第2の経過時間を計時し、許可部は、第2の経過時間が第2の所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能としてもよい。
【0009】
上記課題を解決するために、情報処理プログラムは、操作入力を受け付けると、ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させる操作オブジェクト制御部と、操作オブジェクトと移動オブジェクトとの衝突判定を行う衝突判定部と、衝突判定部による衝突判定に基づいて移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、決定部により決定された速度に基づいて移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、衝突判定により、操作オブジェクトと移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間を計時する計時部と、経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、復帰入力を受け付けると、移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、してコンピュータを機能させる。
【0010】
許可部は、復帰入力が受け付けられるか、経過時間を計時するカウンタに所定値が設定されると、復帰入力を受け付け不可能としてもよい。
【0011】
情報処理プログラムは、予め設定された特定条件の成立により、ゲームフィールド内に配され、移動オブジェクトが衝突可能な衝突対象オブジェクトの数を増加させる特定期間を設定する特定期間設定部と、してさらにコンピュータを機能させ、許可部は、特定期間中は復帰入力を受け付け不可能としてもよい。
【0012】
決定部は、移動オブジェクトの速度を、仮想的な重力が設定されたゲームフィールド内における物理演算により決定してもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、ゲーム装置は、ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、決定部により決定された速度に基づいて移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、所定条件が成立した場合に、移動オブジェクトの現在位置を基準位置として設定する基準位置設定部と、基準位置と現在位置との距離を導出する距離導出部と、基準位置が設定されてからの経過時間を計時する計時部と、距離が予め設定された所定距離以上にならずに経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、復帰入力を受け付けると、移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、を備える。
【0014】
上記課題を解決するために、ゲーム装置は、操作入力を受け付けると、ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させる操作オブジェクト制御部と、操作オブジェクトと移動オブジェクトとの衝突判定を行う衝突判定部と、衝突判定部による衝突判定に基づいて移動オブジェクトの速度を決定する決定部と、決定部により決定された速度に基づいて移動オブジェクトを移動表示する移動表示部と、衝突判定により、操作オブジェクトと移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間を計時する計時部と、経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部と、復帰入力を受け付けると、移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部と、を備える。
【0015】
上記課題を解決するために、情報処理方法は、ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度を決定するステップと、決定された速度に基づいて移動オブジェクトを移動表示するステップと、所定条件が成立した場合に、移動オブジェクトの現在位置を基準位置として設定するステップと、基準位置と現在位置との距離を導出するステップと、基準位置が設定されてからの経過時間を計時するステップと、距離が予め設定された所定距離以上にならずに経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とするステップと、復帰入力を受け付けると、移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行するステップと、を含む。
【0016】
上記課題を解決するために、情報処理方法は、操作入力を受け付けると、ゲームフィールド内に配される操作オブジェクトを動作させるステップと、操作オブジェクトと移動オブジェクトとの衝突判定を行うステップと、衝突判定に基づいて移動オブジェクトの速度を決定するステップと、決定された速度に基づいて移動オブジェクトを移動表示するステップと、衝突判定により、操作オブジェクトと移動オブジェクトとが最後に衝突したと判定されてからの経過時間を計時するステップと、経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とするステップと、復帰入力を受け付けると、移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ゲームの進行が滞るのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、情報処理システムの概略的な構成を示した説明図である。
図2図2Aは、プレイヤ端末のハードウェアの構成を説明する図である。図2Bは、サーバのハードウェアの構成を説明する図である。
図3図3Aは、ピンボールゲームのゲーム画面の一例を説明する図である。図3Bは、ピンボールゲームの内容を説明する図である。
図4図4Aは、フィーバーゲージを説明する図である。図4Bは、フィーバー役物の一例を説明する図である。図4Cは、フィーバーモードを説明する図である。図4Dは、フィーバーモードの終了時を説明する図である。
図5図5Aは、スキルゲージの一例を説明する図である。図5Bは、スキル操作表示の一例を説明する図である。図5Cは、マルチボールを説明する図である。図5Dは、スキル発動期間の終了時を説明する図である。
図6図6Aは、嵌り状態を説明する図である。図6Bは、復帰ボタンの一例を説明する図である。図6Cは、復帰位置を説明する図である。図6Dは、復帰処理後の味方ボールを説明する図である。
図7図7Aは、復帰ボタンの表示条件を説明する図である。図7Bは、第1カウンタを説明する図である。図7Cは、第2カウンタを説明する図である。
図8図8は、プレイヤ端末およびサーバの基本的な処理を説明するシーケンス図である。
図9図9は、プレイヤ端末の機能的構成を説明する図である。
図10図10は、プレイヤ端末におけるゲーム実行処理を説明する第1のフローチャートである。
図11図11は、プレイヤ端末におけるカウンタ更新処理を説明するフローチャートである。
図12図12は、プレイヤ端末におけるゲーム実行処理を説明する第2のフローチャートである。
図13図13は、プレイヤ端末におけるゲーム実行処理を説明する第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態の一態様について詳細に説明する。かかる実施形態に示す数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
(情報処理システムSの全体の構成)
図1は、情報処理システムSの概略的な構成を示した説明図である。情報処理システムSは、プレイヤ端末1と、サーバ100と、通信基地局200aを有する通信ネットワーク200とを含む、所謂クライアントサーバシステムである。
【0021】
プレイヤ端末1は、通信ネットワーク200を介してサーバ100との通信を確立することができる。プレイヤ端末1は、サーバ100と無線もしくは有線による通信接続が可能な電子機器を広く含む。プレイヤ端末1としては、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器等が挙げられる。本実施形態では、プレイヤ端末1として、スマートフォンが用いられる場合について説明する。
【0022】
サーバ100は、複数のプレイヤ端末1と通信接続される。サーバ100は、ゲームをプレイするプレイヤごとに各種の情報(プレイヤ情報)を蓄積する。また、サーバ100は、プレイヤ端末1から入力される操作に基づき、蓄積された情報の更新と、ゲームの進行制御とを行う。
【0023】
通信基地局200aは、通信ネットワーク200と接続され、プレイヤ端末1と無線による情報の送受信を行う。通信ネットワーク200は、携帯電話網、インターネット網、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成され、プレイヤ端末1とサーバ100との無線もしくは有線による通信接続を実現する。
【0024】
本実施形態の情報処理システムSは、プレイヤ端末1およびサーバ100がゲーム装置Gとして機能する。プレイヤ端末1およびサーバ100には、それぞれゲームの進行制御の役割分担がなされており、プレイヤ端末1とサーバ100との協働によって、ゲームが進行可能となる。
【0025】
(プレイヤ端末1およびサーバ100のハードウェアの構成)
図2Aは、プレイヤ端末1のハードウェアの構成を説明する図である。また、図2Bは、サーバ100のハードウェアの構成を説明する図である。図2Aに示すように、プレイヤ端末1は、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ12、バス14、入出力インタフェース16、記憶部18、通信部20、入力部22、出力部24を含んで構成される。
【0026】
また、図2Bに示すように、サーバ100は、CPU110、メモリ112、バス114、入出力インタフェース116、記憶部118、通信部120、入力部122、出力部124を含んで構成される。
【0027】
なお、サーバ100のCPU110、メモリ112、バス114、入出力インタフェース116、記憶部118、通信部120、入力部122、出力部124の構成および機能は、それぞれ、プレイヤ端末1のCPU10、メモリ12、バス14、入出力インタフェース16、記憶部18、通信部20、入力部22、出力部24と実質的に同じである。したがって、以下では、プレイヤ端末1のハードウェアの構成について説明し、サーバ100については説明を省略する。
【0028】
CPU10は、メモリ12に記憶されたプログラムを動作させ、ゲームの進行を制御する。メモリ12は、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)で構成され、ゲームの進行制御に必要となるプログラムおよび各種のデータを記憶する。メモリ12は、バス14を介してCPU10に接続されている。
【0029】
バス14には、入出力インタフェース16が接続される。入出力インタフェース16には、記憶部18、通信部20、入力部22、出力部24が接続されている。
【0030】
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種プログラムおよびデータを記憶する。プレイヤ端末1においては、記憶部18に記憶されたプログラムおよびデータが、CPU10によってメモリ12(RAM)にロードされる。
【0031】
通信部20は、通信基地局200aと無線により通信接続され、通信ネットワーク200を介して、サーバ100との間で各種データおよびプログラムといった情報の送受信を行う。プレイヤ端末1においては、サーバ100から受信したプログラム等が、メモリ12または記憶部18に格納される。
【0032】
入力部22は、例えば、プレイヤの操作が入力される(操作を受け付ける)タッチパネル、ボタン、キーボード、マウス、十字キー、アナログコントローラ等で構成される。また、入力部22は、プレイヤ端末1に設けられた、あるいは、プレイヤ端末1に接続(外付け)された専用のコントローラであってもよい。さらには、入力部22は、プレイヤ端末1の傾きや移動を検知する加速度センサ、または、プレイヤの音声を検知するマイクで構成されてもよい。すなわち、入力部22は、プレイヤの意思を、識別可能に入力させることができる装置を広く含む。
【0033】
出力部24は、ディスプレイ装置およびスピーカを含んで構成される。なお、出力部24は、プレイヤ端末1に接続(外付け)される機器でもよい。本実施形態では、プレイヤ端末1が、出力部24としてディスプレイ26を備え、入力部22として、ディスプレイ26に重畳して設けられるタッチパネルを備えている。
【0034】
(ゲーム内容)
次に、本実施形態の情報処理システムS(ゲーム装置G)により提供されるゲームの内容について、一例を用いて説明する。本実施形態の情報処理システムS(ゲーム装置G)によれば、ピンボールゲームが提供される。本実施形態では、プレイヤは、所謂ガチャと呼ばれる抽選により獲得したキャラクタや、運営側から配布されたキャラクタを所有することができる。各キャラクタには、ヒットポイント(以下、HPという)や攻撃力等のパラメータが設定されている。プレイヤは、自身が所有するキャラクタ(以下、所有キャラという)を育成することができ、所有キャラのレベルを上げることで、各種のパラメータを高めることができる。
【0035】
また、プレイヤが所有可能な各キャラクタには、予めスキルが設定されている。スキルというのは、後述するピンボールゲームにおいて使用可能な特殊能力であり、スキルを使用することで、プレイヤはピンボールゲームを有利に進めることができる。一例として、スキルの使用により、プレイヤは、味方の攻撃力を高めたり、敵の攻撃力を下げたりする等、各種のパラメータを変化させることができる。
【0036】
図3Aは、ピンボールゲームのゲーム画面の一例を説明する図であり、図3Bは、ピンボールゲームの内容を説明する図である。ピンボールゲームを開始するにあたり、プレイヤは、所有キャラから3体を選択する。ピンボールゲームの目的は、プレイヤが選択した3体のキャラクタを使用して敵キャラクタ(以下、敵キャラという)を倒すことにある。
【0037】
ピンボールゲームが開始されると、図3Aに示すように、ディスプレイ26にゲームフィールド30が表示される。ゲームフィールド30は、上面および両側面がオブジェクトで囲繞された仮想の2次元空間である。ただし、ゲームフィールド30の幅方向の中央下部にはオブジェクトが設けられておらず、アウト口30aが開口している。
【0038】
ゲームフィールド30内には、アウト口30aの上方に一対のフリッパ32が配されている。一対のフリッパ32は、左右対称に配されており、フリッパ操作(タッチパネルの所定の領域のタップ操作)が入力されると、回転軸32aを中心として、図3Bに破線で示す初期位置から、実線で示す作動位置まで動作する。具体的には、回転軸32aは、フリッパ32の基端側に設けられており、一対のフリッパ32の先端は、互いにディスプレイ26の幅方向に離隔している。フリッパ操作が入力されると、フリッパ32の先端側が上方に移動するように、所定の角度だけ、回転軸32aを中心軸として揺動する。
【0039】
なお、ここでは、フリッパ操作が入力されると、一対のフリッパ32が同時に動作する。ただし、例えば、右側のフリッパ32を動作させるためのタップ領域と、左側のフリッパ32を動作させるためのタップ領域とを別々に設け、左右のフリッパ32を独立して動作させてもよい。
【0040】
そして、ピンボールゲームでは、プレイヤが選択した3体の所有キャラのそれぞれが味方ボール34(移動オブジェクト)として、ゲームフィールド30内を移動する。なお、本実施形態では、1つの味方ボール34についてのみ説明するが、実際には、3つの味方ボール34がゲームフィールド30内に表示されている。
【0041】
具体的には、3つの味方ボール34は、1つのメインボールと、2つのサブボールとに大別され、2つのサブボールは、メインボールに追従してゲームフィールド30内を移動する。プレイヤは、ピンボールゲームの開始前に、選択した3体の所有キャラの中から1体をリーダーに設定する必要がある。ここでは、リーダーに対応する味方ボール34がメインボールとなり、他の2体の所有キャラに対応する味方ボール34がサブボールとなる。なお、3つの味方ボール34は、メインボールおよびサブボールに区別することなく、それぞれ独立してゲームフィールド30内を移動してもよい。
【0042】
ここで、ゲームフィールド30には、現実世界の重力と同様の現象を再現させる仮想的な重力が設定されている。また、味方ボール34、フリッパ32、および、味方ボール34が衝突可能な全ての衝突対象オブジェクトには、それぞれ質量、形状、反発係数などの力学的パラメータが予め設定されている。味方ボール34がフリッパ32または衝突対象オブジェクトに衝突すると、仮想的な重力と力学的パラメータとを用いた物理演算が行われる。この物理演算は、既知の物理エンジンにより実行される。物理演算により、味方ボール34の速度(速さと方向)が決定され、決定された速度に基づいて味方ボール34がゲームフィールド30内で移動表示される。
【0043】
例えば、味方ボール34がフリッパ32の可動範囲内に位置するときに、フリッパ32が動作すると、フリッパ32が味方ボール34に衝突する。このとき、物理エンジンによる物理演算で味方ボール34の速度が決定され、図3Bに破線の矢印で示すように、味方ボール34が移動する。
【0044】
ゲームフィールド30内には、上述の衝突対象オブジェクトとして、力学的パラメータが設定された構造物36、役物38および敵キャラ40が配される。ここでは、構造物36、役物38および敵キャラ40は、いずれもゲームフィールド30の所定位置に固定的に配されているが、ゲームフィールド30内を移動するものであってもよい。また、ゲームフィールド30を囲繞形成するオブジェクトも衝突対象オブジェクトであり、力学的パラメータが設定されている。
【0045】
衝突対象オブジェクトに味方ボール34が衝突すると、物理演算により速度が決定される。また、上述のように、ゲームフィールド30には、仮想的な重力が設定されている。したがって、衝突対象オブジェクトに衝突しない場合にも、仮想的な重力の作用により、味方ボール34の速度が変化する。
【0046】
構造物36および敵キャラ40に味方ボール34が衝突した場合、味方ボール34は、現実世界と同じような速度でゲームフィールド30内を移動する。つまり、構造物36および敵キャラ40には、衝突した味方ボール34の速度が現実世界と同等に決定されるような力学的パラメータが設定されている。これに対して、役物38には、衝突した味方ボール34が現実世界と異なる動きをするような力学的パラメータが設定されている。例えば、役物38には、味方ボール34を増速させるような力学的パラメータが設定されている。
【0047】
また、敵キャラ40には、HP、攻撃力、防御力、特殊能力等が予め設定されており、味方ボール34が衝突すると、速度とともに、ダメージ値(以下、単にダメージともいう)が算出される。ダメージ値は、衝突した味方ボール34(より詳細には味方ボール34に対応するキャラクタ(以下、味方キャラという))の攻撃力、敵キャラ40の防御力、衝突時の味方ボール34の速さ等、味方キャラおよび敵キャラに予め設定されている戦闘パラメータに基づいて算出される。
【0048】
味方ボール34が敵キャラ40に衝突してダメージ値が算出されると、敵キャラ40のHPからダメージ値が減算される。ゲームフィールド30内には、敵キャラ40の近傍に敵キャラHPメータ42が表示されている。敵キャラHPメータ42は、敵キャラのHPをメータ値により報知するものであり、ダメージ値が減算されると、メータ値が減少するアニメーションが表示される。敵キャラ40のHPが0になると、プレイヤの勝利となり、ピンボールゲームが終了する。
【0049】
一方、ディスプレイ26の上部には、味方キャラHPメータ44が表示されている。味方キャラHPメータ44は、味方キャラのHPをメータ値により報知するものである。なお、本実施形態では、メインボールに対応する味方キャラの味方キャラHPメータ44が示されているが、味方キャラHPメータ44は、3つの味方ボール34のそれぞれに対応して表示される。
【0050】
ピンボールゲームでは、敵キャラ40からゲームフィールド30内に攻撃オブジェクト46が放出される。この攻撃オブジェクト46に味方ボール34が衝突すると、衝突した味方ボール34(対応する味方キャラ)に対するダメージ値が算出される。このとき算出されたダメージ値は、攻撃オブジェクト46に衝突した味方ボール34(味方キャラ)のHPから減算され、味方キャラHPメータ44のメータ値が減少するアニメーションが表示される。このようにして3体の味方キャラ全てのHPが0になると、プレイヤの敗北となり、ピンボールゲームが終了する。
【0051】
また、ディスプレイ26の下部には、味方キャラ残数表示部48が設けられている。ピンボールゲームでは、味方ボール34(メインボール)の残数が予め設定されており、味方ボール34がアウト口30aに落下すると、残数が1減少する。ここでは、ピンボールゲーム開始時の味方ボール34の残数が5つに設定されており、味方ボール34が5回、アウト口30aに落下した場合にも、プレイヤの敗北となってピンボールゲームが終了する。味方キャラ残数表示部48には、図中黒丸で示すように、味方ボール34の残数が表示されている。
【0052】
なお、図3Aおよび図3Bに示すように、ゲームフィールド30には、フィーバーゲージ50と、複数のカラ役物52とが表示されている。フィーバーゲージ50は、味方ボール34や攻撃オブジェクト46の視認性を妨げないように、半透明で表示されている。また、カラ役物52も、味方ボール34や攻撃オブジェクト46の視認性を妨げないように、ゲームフィールド30の背景になじむデザインが施されている。これらフィーバーゲージ50およびカラ役物52について説明する。
【0053】
図4Aは、フィーバーゲージ50を説明する図である。図4Bは、フィーバー役物54の一例を説明する図である。図4Cは、フィーバーモードを説明する図である。図4Dは、フィーバーモードの終了時を説明する図である。本実施形態では、プレイヤが有利にゲームを進めることができるフィーバーモード(特定期間)が設けられている。フィーバーモード中は、ゲームフィールド30内に配される衝突対象オブジェクトの数が増加したり、味方キャラの攻撃力が上昇したり、さらには、プレイヤにとって邪魔な構造物36が消滅したりすることで、プレイヤにとって有利な状態となる。フィーバーモードは、予め設定された特定条件の成立により開始される。
【0054】
ここでは、フィーバー発動値が最大値に到達することが特定条件、すなわち、フィーバーモードの開始条件として設定されている。フィーバー発動値は、予め設定された更新条件にしたがって更新される。例えば、フィーバー発動値は、敵キャラ40に与えたダメージ値に基づき、所定のパラメータを考慮して算出される。一例として、味方キャラのスキルにより、フィーバー発動値の増加率が大きくなったり、あるいは、敵キャラ40のスキルにより、フィーバー発動値の増加率が小さくなったりしてもよい。また、フィーバー発動値は、時間の経過に伴って増加または減少してもよいし、味方キャラがダメージを受けた場合に増加または減少してもよい。いずれにしても、フィーバー発動値の更新条件は、予め設定されていればよく、その具体的な内容は特に限定されない。
【0055】
フィーバーゲージ50は、最大値に対する現在のフィーバー発動値を視覚的にプレイヤに報知するものである。図4Aでは、フィーバーゲージ50のクロスハッチングで示す部分が、現在のフィーバー発動値を示している。そして、図4Bに示すように、フィーバー発動値が最大値に到達すると、特定条件が成立したとしてフィーバーモードとなる。フィーバーモード中は、ゲームフィールド30内にフィーバー役物54が出現する。このとき、フィーバー役物54は、カラ役物52が反転してゲームフィールド30内に出現する。したがって、カラ役物52は、フィーバーモード中に出現するフィーバー役物54の位置を示唆するものと言える。
【0056】
ただし、フィーバー役物54は、図4Bに示すように、フィーバーモード中ではないときに視認可能なカラ役物52と異なる位置にも出現し得る。換言すれば、フィーバー役物54はカラ役物52と同位置にのみ出現するとすれば、プレイヤが視認できないカラ役物52が配されているともいえる。カラ役物52は、衝突対象オブジェクトではないため、味方ボール34が衝突することはない。
【0057】
一方で、フィーバー役物54は、味方ボール34が衝突可能な衝突対象オブジェクトである。フィーバー役物54は、衝突した味方ボール34の入射角に拘わらず、敵キャラ40に向かう方向(図中、白抜きの矢印で示す方向)に味方ボール34を弾き飛ばしたり、味方ボール34を増速させたりするような力学的パラメータが設定されている。つまり、フィーバー役物54には、プレイヤに有利な力学的パラメータが設定されている。
【0058】
このように、フィーバーモード中は、フィーバー役物54の出現により、敵キャラ40にダメージを与えやすくなる。ただし、フィーバーモード中は、敵キャラ40にダメージを与えても、フィーバー発動値が増加することがない。つまり、フィーバーモード中は、フィーバー発動値の更新条件が変更され、図4Cに示すように、時間の経過に伴って所定値ずつフィーバー発動値が減算される。その結果、フィーバーモードは、一定時間で終了することとなり、フィーバーモードの終了に伴って、図4Dに示すように、フィーバー役物54が消滅する。
【0059】
なお、ここでは、フィーバーモード中は、フィーバー発動値が増加することがないものとしたが、フィーバーモード中も、フィーバー発動値を増加可能としてもよい。また、例えば、味方キャラのスキルにより、フィーバー発動値の減算割合を低くしたり、フィーバー発動値の減算を一時的に停止したりすることで、結果的にフィーバーモードの時間が長くなることがあってもよい。
【0060】
図5Aは、スキルゲージの一例を説明する図である。図5Bは、スキル操作表示56の一例を説明する図である。図5Cは、マルチボールを説明する図である。図5Dは、スキル発動期間の終了時を説明する図である。上述のように、本実施形態では、各キャラクタにスキルが設定されており、味方キャラに設定されているスキルを使用することで、ゲーム展開を有利にすることができる。
【0061】
ここでは、スキル発動値が最大値に到達することが発動可能条件、すなわち、スキルの使用可能条件として設定されている。スキル発動値は、予め設定された更新条件にしたがって更新される。例えば、スキル発動値は、フィーバー発動値と同様に、敵キャラ40に与えたダメージ値に基づき、所定のパラメータを考慮して算出される。このパラメータは、キャラクタごとに異なってもよいし同じでもよい。また、スキル発動値は、時間の経過に伴って増加または減少してもよいし、味方キャラがダメージを受けた場合に増加または減少してもよい。いずれにしても、スキル発動値の更新条件は、予め設定されていればよく、その具体的な内容は特に限定されない。
【0062】
本実施形態では、フリッパ32がスキルゲージとしての役割を担っている。具体的には、フリッパ32は、最大値に対する現在のスキル発動値を視覚的にプレイヤに報知するものである。図5Aでは、フリッパ32の黒塗りで示す部分が、現在のスキル発動値を示しており、スキル発動値が増加するにしたがって、黒塗り部分がフリッパ32の先端側に拡大する。そして、図5Bに示すように、スキル発動値が最大値に到達すると、発動可能条件が成立したとして味方キャラのスキルが使用可能となる。
【0063】
スキルの発動可能条件が成立すると、図5Bに示すように、スキル操作表示56が表示される。スキル操作表示56は、スキルを発動するための操作(以下、スキル発動操作という)を示唆しており、例えば、ディスプレイ26の下方から上方に向かう矢印で構成されている。この例では、スキル発動操作として、下方から上方に向かうフリック操作がスキル発動操作として設定されている。したがって、プレイヤは、スキルの発動可能条件が成立した状態で、スキル操作表示56により示唆された方向にフリック操作を行うことで、使用可能となったスキルを発動させることができる。
【0064】
なお、ここでは、1つのスキル操作表示56を示しているが、ディスプレイ26には、3つのスキル操作表示56が表示される。詳しい説明は省略するが、スキル発動値は、3つの味方ボール34ごとにカウントされており、スキル発動値が最大値に到達した味方ボール34に対応して、スキル操作表示56の表示がなされる。
【0065】
また、本実施形態では、スキル発動値がフリッパ32に示されることとしたが、スキル発動値を表示するゲージをフリッパ32とは別に設けてもよいし、スキル発動値を表示するゲージは設けなくてもよい。また、ここでは、3つの味方ボール34のうち、メインボールに対応するスキル発動値がフリッパ32に表示されるが、3つの味方ボール34ごとに、スキル発動値を表示するゲージが設けられてもよい。
【0066】
そして、スキル発動操作が入力されると、スキルが発動される。上述のように、スキルは味方ボール34(味方キャラ)ごとに予め設定されており、スキル発動操作の入力に伴って、スキルによる効果が発揮される。図5Cには、複数のマルチボール34aを出現させるスキルが使用された場合の一例を示している。この例では、図5Cに示すように、スキルの使用により、ゲームフィールド30内に、味方ボール34とは別に、複数(ここでは4つ)のマルチボール34aが移動表示される。この場合、マルチボール34aも、味方ボール34と同様に、フリッパ32や衝突対象オブジェクトとの衝突により速度が決定され、ゲームフィールド30内を移動する。また、マルチボール34aが敵キャラ40に衝突した場合には、敵キャラ40にダメージ値が付与される。
【0067】
このスキルの発動期間は予め設定されており、発動期間が経過すると、図5Dに示すように、ゲームフィールド30からマルチボール34aが消滅する。ただし、発動期間を設けずに、アウト口30aに落下しない限り、マルチボール34aがゲームフィールド30から消滅しないように設定してもよい。
【0068】
ここで、本実施形態では、敵キャラ40や衝突対象オブジェクトの数、配置、種別が異なる複数のクエストが設けられている。各クエストには、プレイヤが勝利するための条件が設定されており、プレイヤは、いずれかのクエストを選択してプレイすることができる。クエストによっては、構造物36をはじめとする衝突対象オブジェクトが多数配置されることがある。ゲームフィールド30内に配される衝突対象オブジェクトが多くなると、衝突対象オブジェクト間に味方ボール34が嵌まり込む等して、ゲームの進行が滞るおそれがある。そこで、本実施形態では、味方ボール34の嵌り解除機能が設けられている。
【0069】
図6Aは、嵌り状態を説明する図である。図6Bは、復帰ボタン58の一例を説明する図である。図6Cは、復帰位置を説明する図である。図6Dは、復帰処理後の味方ボール34を説明する図である。図6Aに示すように、構造物36が近接して配されている場合、構造物36の間に味方ボール34が嵌り込むおそれがある。このように、嵌り状態が所定時間継続すると、図6Bに示すように、ディスプレイ26に復帰ボタン58が表示される。
【0070】
復帰ボタン58は、復帰操作を受け付ける復帰操作領域に表示される。ここでは、復帰操作として、復帰操作領域におけるタップ操作が設定されている。したがって、プレイヤは、復帰ボタン58をタップすることで、復帰操作を入力することができる。図6Bに破線の囲みで示すように、ゲームフィールド30には、味方ボール34の復帰位置が予め設定されている。ここでは、右のフリッパ32における回転軸32aの上方に復帰位置が設定されている。
【0071】
復帰操作が入力されると、図6Cに示すように、味方ボール34を復帰位置にセットする復帰処理が実行され、嵌り状態が解消される。このとき、味方ボール34が復帰位置に移動するのと同時に、復帰ボタン58が非表示となる。復帰操作は、復帰ボタン58の表示中のみ入力可能であるため、味方ボール34の復帰位置への移動に伴って、さらなる復帰処理が不可能となる。
【0072】
なお、ここでは、復帰位置において、味方ボール34が右のフリッパ32に接触する。換言すれば、味方ボール34が右のフリッパ32に接触する位置に復帰位置が設定されている。したがって、復帰処理が実行されると、味方ボール34は、復帰位置に移動するとともに、その速度が所定値(0)となり、その直後から仮想的な重力が作用して、図6Dに示すように、フリッパ32上を転動することとなる。
【0073】
これにより、フリッパ32を動作させることで、味方ボール34をゲームフィールド30内に弾くことが可能となる。なお、ここでは、復帰処理により、味方ボール34が復帰位置に移動することとしたが、復帰処理の内容はこれに限らない。例えば、復帰処理により、味方ボール34が嵌り状態から抜け出すように速度(移動方向)を変化させてもよい。また、復帰位置は一例に過ぎず、ゲームフィールド30内のいずれの位置に復帰位置を設定してもよい。例えば、ピンボールゲームの開始時に味方ボール34が配される開始位置と復帰位置とが同じであってもよいし異なってもよい。いずれにしても、復帰処理は、味方ボール34の位置および速度の少なくともいずれかを変化させればよく、その内容は特に限定されない。
【0074】
図7Aは、復帰ボタン58の表示条件を説明する図である。図7Bは、第1カウンタを説明する図である。図7Cは、第2カウンタを説明する図である。本実施形態では、復帰ボタン58を表示するための条件、換言すれば、復帰処理を可能とする条件として、図7Aに示す第1表示条件および第2表示条件の2つが設けられている。復帰ボタン58は、第1表示条件および第2表示条件のいずれか1つが成立すると、ディスプレイ26に表示される。
【0075】
ここでは、第1表示条件として、第1カウンタのカウンタ値が第1閾値以上であることが設定されており、第2表示条件として、第2カウンタのカウンタ値が第2閾値以上であることが設定されている。第1カウンタおよび第2カウンタは、後述するように、一部の条件に当て嵌まる場合を除き、毎フレーム「1」更新される。なお、単位時間当たりのフレーム(F)数は特に限定されないが、ここでは、1秒間のフレーム数が「30」であり、約0.033ミリ秒間隔でフレーム(画像)が更新されているものとする。
【0076】
第1閾値は「150」に設定されており、第2閾値は「450」に設定されている。第1カウンタおよび第2カウンタは、初期値(所定値)が「0」であり、初期値から毎フレーム「1」加算されていく。したがって、第1カウンタは、初期値に設定されてから150F後、すなわち、5秒後に第1閾値に到達し、第2カウンタは、初期値に設定されてから450F後、すなわち、15秒後に第2閾値に到達することとなる。
【0077】
図7Bに示すように、第1カウンタには、第1カウンタリセット条件が予め設定されている。第1カウンタリセット条件が成立すると、第1カウンタが初期値の「0」に設定される。ここでは、味方ボール34がフリッパ32に接触すること、および、味方ボール34が基準位置から所定距離離隔することが、第1カウンタリセット条件として設定されている。
【0078】
ここで、本実施形態では、所定の条件が成立すると、そのときの味方ボール34の位置が基準位置として設定される。ここでは、第1カウンタが初期値(0)に設定されることが所定の条件として規定されており、第1カウンタが初期値(0)に設定されたときの味方ボール34の位置が基準位置に設定される。
【0079】
したがって、例えば、味方ボール34がフリッパ32に接触したと判定された場合には、第1カウンタが初期値に設定されるとともに、フリッパ32に接触したときの味方ボール34の位置が、基準位置に設定されることとなる。その後、例えば、フリッパ32が動作して味方ボール34が弾き飛ばされたとする。味方ボール34は、フリッパ32との衝突により決定された速度でゲームフィールド30内を移動する。
【0080】
味方ボール34の現在位置は、毎フレーム更新されており、更新後の味方ボール34の現在位置と基準位置との離隔距離が毎フレーム導出される。この間、第1カウンタも毎フレーム更新されている。そして、味方ボール34の現在位置と基準位置との離隔距離が所定距離以上になると、再び第1カウンタが初期値に設定されるとともに、そのときの味方ボール34の位置が、基準位置に設定される。つまり、第1カウンタは、味方ボール34が基準位置にあるときからの経過時間、すなわち、基準位置が設定されてからの経過時間を計時するものといえる。
【0081】
そして、第1カウンタが第1閾値に到達する場合というのは、味方ボール34が基準位置から所定距離離隔せずに、所定時間(ここでは5秒)が経過した場合である。換言すれば、味方ボール34が、基準位置から、所定時間内に所定距離以上離隔しない場合に、第1カウンタが第1閾値に到達する。第1カウンタが第1閾値に到達すると、復帰ボタン58が表示されることから、基準位置と現在位置との離隔距離が予め設定された所定距離以上にならずに経過時間が所定時間に達した場合に、復帰操作が受け付け可能となる。
【0082】
図7Cに示すように、第2カウンタには、第2カウンタリセット条件が予め設定されている。第2カウンタリセット条件が成立すると、第2カウンタが初期値の「0」に設定される。ここでは、味方ボール34がフリッパ32に接触すること、および、フィーバーモードが開始することが、第2カウンタリセット条件として設定されている。
【0083】
また、第2カウンタは、更新条件として、毎フレーム「1」加算することが設定されている。したがって、第2カウンタリセット条件が成立しない限り、第2カウンタは毎フレーム「1」加算されることとなる。ただし、第2カウンタには、更新停止条件が設定されており、更新停止条件が成立している間は、第2カウンタに、毎フレーム「0」が設定される。ここでは、フィーバーモード中であることが、第2カウンタの更新停止条件として設定されている。したがって、フィーバーモード中は、第2カウンタが第2閾値に到達することはなく、第2表示条件が成立することもない。つまり、フィーバーモード中に、第2表示条件の成立によって復帰ボタン58が表示されることはない。
【0084】
例えば、フィーバーモード中ではないときに、味方ボール34がフリッパ32に接触したと判定された場合には、第2カウンタが初期値に設定される。その後、例えば、フリッパ32が動作して味方ボール34が弾き飛ばされたとする。味方ボール34は、フリッパ32との衝突により決定された速度でゲームフィールド30内を移動する。この間、第2カウンタは、毎フレーム更新されている。
【0085】
ここで、第2カウンタが第2閾値に到達する場合というのは、味方ボール34がフリッパ32まで落下せずに、ゲームフィールド30内に所定時間以上留まっている場合である。第2カウンタリセット条件には、味方ボール34の離隔距離が含まれていないため、例えば、嵌り状態ではなく、味方ボール34がゲームフィールド30内を縦横無尽に移動している場合であっても、長時間(ここでは15秒)に亘ってフリッパ32まで味方ボール34が落下してこなければ、第2カウンタが第2閾値に到達する。
【0086】
また、場合によっては、ゲームフィールド30内において、互いに大きく離隔して配された構造物36の間で、味方ボール34が反復的に移動しているだけの嵌り状態となることもあり得る。この場合、2つの構造物36の離隔距離が、所定距離(第1カウンタが初期値に設定されるのに必要な基準位置からの距離)以上であると、第1カウンタは定期的に初期値に設定されるため、第1カウンタでは嵌り状態を検知することができない。
【0087】
本実施形態では、第2カウンタにより、フリッパ32に対する味方ボール34の最後の衝突からの経過時間が計時される。そして、味方ボール34が最後にフリッパ32に衝突してから、所定時間(ここでは15秒)以上、フリッパ32まで味方ボール34が落下してこなければ、第2表示条件が成立し、復帰操作が受け付け可能となる。
【0088】
なお、ここでは、復帰ボタン58の表示条件として、第1表示条件および第2表示条件が設けられることとしたが、第1表示条件および第2表示条件のいずれか一方のみが設けられてもよい。また、第1表示条件および第2表示条件の双方が成立した場合に、復帰ボタン58が表示されるように設定してもよい。
【0089】
また、ここでは、フィーバーモード中は、第2表示条件が成立せず、第1表示条件は成立可能とした。これは、フィーバーモード中は、衝突対象オブジェクトが増えるため、味方ボール34がフリッパ32まで落下しない可能性が高くなるためである。また、フィーバーモード中は、味方ボール34がフリッパ32まで落下するよりも、敵キャラ40やフィーバー役物54に連続的に衝突している方が好ましい。それにも拘わらず、復帰ボタン58が表示されると、プレイヤが誤って復帰操作を行ってしまい、無駄に復帰処理が行われる可能性がある。本実施形態のように、フィーバーモード中は、第2表示条件が成立しないようにすることで、プレイヤの誤操作で、無駄に復帰処理が行われる可能性を抑制することができる。
【0090】
一方で、第1表示条件が成立する場合というのは、嵌り状態の中でも、味方ボール34が殆ど移動できない状態である。このような嵌り状態では、プレイヤは、フィーバーモードによる恩恵を受けることができなくなってしまう。したがって、第1表示条件は、フィーバーモード中であるか否かに拘わらず、成立可能とするのが好ましい。
【0091】
ただし、フィーバーモード中は、全ての表示条件が成立しないように設定してもよい。つまり、フィーバーモード中は、復帰ボタン58を一切表示しないようにして、復帰処理、すなわち、復帰操作を受け付け不可能としてもよい。以下に、上記のピンボールゲームを実行するための処理について説明する。
【0092】
(プレイヤ端末1とサーバ100との通信処理)
図8は、プレイヤ端末1およびサーバ100の基本的な処理を説明するシーケンス図である。ログイン操作がプレイヤ端末1に入力されると、プレイヤ端末1においてログイン情報をサーバ100に送信する処理が実行される(S1)。サーバ100は、ログイン情報を受信すると、プレイヤIDに対応付けて記憶されている各種のプレイヤ情報をセットする(S2)。プレイヤ端末1は、サーバ100からプレイヤ情報を受信すると、ゲームを開始するためのゲーム開始処理を実行する(S3)。ここでは、サーバ100から受信したプレイヤ情報をメモリ12に記憶したり、ディスプレイ26にゲーム画面を表示したりする。
【0093】
また、プレイヤ端末1においてピンボールゲームを開始するためのゲーム開始操作が入力されると、ゲーム実行処理(S100)が行われる。ゲーム開始操作は、例えば、ピンボールゲームで用いる3体の味方キャラ、および、プレイするクエストを決定する操作である。ゲーム開始操作が入力されると、ゲーム実行処理によりピンボールゲームが実行される。ゲーム実行処理、すなわち、1回のピンボールゲームが終了すると、プレイヤ端末1においてゲーム終了処理(S4)が実行され、ゲーム結果情報がサーバ100に送信される。サーバ100では、受信したゲーム結果情報に基づき、プレイヤ情報を更新する(S5)。
【0094】
詳しい説明は省略するが、ピンボールゲームは、1つのクエストを一人のプレイヤが単独でプレイするシングルプレイと、複数のプレイヤ端末1が通信接続され、1つのクエストを複数のプレイヤでプレイするマルチプレイとのいずれかを選択して実行することができる。マルチプレイでは、プレイヤ端末1に対する操作入力が、サーバ100を介して他のプレイヤ端末1に送信される。したがって、マルチプレイでは、プレイヤ端末1とサーバ100との双方でゲーム実行処理が実行される。
【0095】
これに対して、本実施形態では、シングルプレイの場合、プレイヤ端末1においてのみゲーム実行処理が実行され、ゲーム実行処理が終了すると、最終的にゲーム結果情報がサーバ100に送信されることとする。つまり、ここでは、ピンボールゲームにおいて必要となる演算処理が全てプレイヤ端末1で実行されるものとする。
【0096】
ただし、シングルプレイにおいても、プレイヤ端末1とサーバ100とで役割分担を定めておき、プレイヤ端末1における操作入力をサーバ100に送信し、サーバ100で各種の演算処理が実行されてもよい。このとき、例えば、味方ボール34と衝突オブジェクトとの衝突判定、速度を決定する物理演算、敵キャラ40に与えるダメージ値の演算、味方キャラが受けるダメージ値の演算等の一部または全部がサーバ100で行われてもよい。以下では、プレイヤ端末1の機能的構成について説明し、その後に、シングルプレイのピンボールゲームに係るゲーム実行処理(S100)について詳述する。
【0097】
図9は、プレイヤ端末1の機能的構成を説明する図である。プレイヤ端末1のメモリ12には、ゲームを進行するためのプログラムが格納されている。CPU10は、メモリ12の各種プログラム(モジュール)を動作させ、メモリ12のデータ記憶領域において、バトルゲームに係る各種のパラメータ、タイマ値、カウンタ値等のデータを更新する。
【0098】
そして、CPU10は、各プログラムを動作させることで、プレイヤ端末1を、送信部60、受信部62、ゲーム実行部64、衝突判定部66、決定部68、移動表示部70、フリッパ制御部72(操作オブジェクト制御部)、フィーバーモード設定部74(特定期間設定部)、基準位置設定部76、距離導出部78、計時部80、許可部82、復帰処理部84、画像出力部86として機能させる。
【0099】
送信部60は、上述のログイン情報やゲーム結果情報等を、プレイヤ端末1からサーバ100に送信する処理を行う。受信部62は、プレイヤ情報等、各種の情報をサーバ100から受信する処理を行う。ゲーム実行部64は、ピンボールゲームを全体的に統括制御する。衝突判定部66は、位置情報に基づいて、味方ボール34と、ゲームフィールド30内に配されるフリッパ32、攻撃オブジェクト46、衝突対象オブジェクト等の各オブジェクトとの衝突有無を判定する。
【0100】
決定部68は、メモリ12に記憶されている物理エンジンを用いて、味方ボール34やマルチボール34aの速度を決定する。移動表示部70は、決定部68が決定した速度に基づいて、味方ボール34を移動表示させる。フリッパ制御部72は、フリッパ操作の入力に基づき、ディスプレイ26においてフリッパ32を動的表示する。フィーバーモード設定部74は、フィーバー発動値が最大値に到達(特定条件が成立)すると、フィーバーモードの設定を行う。
【0101】
基準位置設定部76は、基準位置を設定する。距離導出部78は、現在位置と基準位置との離隔距離を導出する。計時部80は、第1カウンタおよび第2カウンタを更新する。許可部82は、第1表示条件および第2表示条件の成立有無を判定し、いずれかの表示条件が成立した場合に、復帰ボタン58を表示する。復帰処理部84は、復帰操作の入力に基づき、味方ボール34を復帰位置に移動させる復帰処理を行う。画像出力部86は、各オブジェクトの位置情報や、味方キャラおよび敵キャラ40のHP等の情報に基づいて画像を生成し、ディスプレイ26にゲーム画像を表示する。
【0102】
(ゲーム実行処理S100)
図10は、プレイヤ端末1におけるゲーム実行処理を説明する第1のフローチャートであり、図11は、プレイヤ端末1におけるカウンタ更新処理を説明するフローチャートであり、図12は、プレイヤ端末1におけるゲーム実行処理を説明する第2のフローチャートであり、図13は、プレイヤ端末1におけるゲーム実行処理を説明する第3のフローチャートである。なお、以下に説明するゲーム実行処理は、3つの味方ボール34のうちメインボールに対して実行され、サブボールについては、メインボールに追従させる処理が実行される。また、ゲーム実行処理は、マルチボール34aに対しても実行される。ただし、ここでは、メインボールに対する処理について説明し、サブボールおよびマルチボール34aに係る処理については説明を省略する。
【0103】
図10に示すように、ゲーム実行部64は、味方ボール34が待機中であるかを判定する(S101)。味方ボール34の待機中というのは、ピンボールゲームの開始時や、味方ボール34の残数が1以上のときにアウト口30aに味方ボール34が落下した後の状態であって、味方ボール34がゲームフィールド30内に表示されていない状態をいう。
【0104】
味方ボール34の待機中に(S101のYES)、開始操作が入力されると(S102のYES)、復帰処理部84が、味方ボール34の位置情報を予め設定された開始位置に更新する(S103)。なお、開始操作は、入力部22を構成するタッチパネルをタップする操作である。ここでは、開始操作が入力された場合、味方ボール34が開始位置にセットされる。なお、上述したように、開始操作が入力された場合の味方ボール34の開始位置は、復帰位置と同じでもよいし異なってもよい。
【0105】
一方、味方ボール34がゲームフィールド30内に位置している場合(S101のNO)、移動表示部70は、1フレーム前に更新された味方ボール34の速度に基づいて、味方ボール34の位置情報を更新する(S107)。
【0106】
次に、フリッパ制御部72は、フリッパ32が動作中ではないときに(S105のNO)、フリッパ操作が入力されると(S106のYES)、フリッパ32の速度(動作速度)を演算して記憶し(S107)、フリッパ32の位置情報を更新する(S108)。なお、フリッパ32の速度、すなわち、動作態様は、常に一定でもよいし、例えば、フリッパ操作(タップの強さ、タップの検知位置等)によって異なってもよい。
【0107】
次に、ゲーム実行部64は、味方ボール34およびフリッパ32以外のゲームフィールド30内を移動するオブジェクト(例えば攻撃オブジェクト46)の位置情報を更新する(S109)。また、ゲーム実行部64は、例えば、スキル発動操作が入力された場合に、対応するスキルを発動させる等、その他のゲームの進行を管理するゲーム管理処理(S110)を実行する。
【0108】
次に、衝突判定部66は、味方ボール34がいずれかのオブジェクトと衝突したかを判定する衝突判定処理を行う(S111)。また、決定部68は、物理エンジンを用いた物理演算により、味方ボール34の速度を決定して記憶する(S112)。ここでは、S111の衝突判定の結果、いずれかのオブジェクトと衝突した場合には衝突角度、1フレーム前の味方ボール34の速度、味方ボール34の位置情報、味方ボール34や衝突したオブジェクトに設定されている力学的パラメータ、ゲームフィールド30に設定されている仮想的な重力等に基づいて、味方ボール34の速度が決定される。
【0109】
また、S111の衝突判定処理において、味方ボール34がフリッパ32と衝突したと判定された場合(S113のYES)、計時部80は、第1カウンタおよび第2カウンタをリセットするカウンタ更新処理(S200)を行う。
【0110】
図11に示すように、カウンタ更新処理(S200)では、計時部80が、第1カウンタに初期値(0)を設定し(S200−1)、第2カウンタに初期値(0)を設定する(S200−2)。また、ここでは、基準位置設定部76が、現在の味方ボール34の位置を基準位置に設定する(S200−3)。
【0111】
また、S111の衝突判定処理において、味方ボール34が敵キャラ40または攻撃オブジェクト46に衝突したと判定されると(図12のS120のYES)、ゲーム実行部64がダメージ処理を実行する(S121)。ここでは、味方ボール34の速度(速さ)や戦闘パラメータ等に基づいて、敵キャラ40に付与するダメージ値、または、味方キャラが受けるダメージ値が算出され、算出されたダメージ値が味方キャラまたは敵キャラ40のHPから減算される。また、ここでは、算出されたダメージ値に基づいて、フィーバー発動値およびスキル発動値の加減算値が導出され、導出された加減算値に基づいてフィーバー発動値およびスキル発動値が更新される。ただし、フィーバーモード中は、フィーバー発動値の更新が停止される。
【0112】
また、ゲーム実行部64は、終了条件が成立すると(S122のYES)、ピンボールゲームを終了させるための終了処理(S123)を実行する。ここでは、終了条件として、味方キャラまたは敵キャラ40のHPが「0」になった場合、味方ボール34がアウト口30aに落下して残数が0になった場合に、終了条件が成立したと判定され、終了処理が実行される。
【0113】
また、終了条件が成立しておらず(S122のNO)、フィーバー発動値が最大値以上であれば(S124のYES)には、フィーバーモード設定部74が、フィーバーモードを開始させる(S125)。ここでは、一例として、フィーバーモード設定部74がカラ役物52の位置に基づいてフィーバー役物54をセットする。また、フィーバーモードの開始に伴い、計時部80が第2カウンタに初期値(0)を設定し(S126)、復帰処理部84が、復帰ボタン58を非表示とする。なお、ここでは、第2表示条件の成立に基づいて復帰ボタン58が表示されている場合に限り、復帰ボタン58を非表示としてもよいし、いずれの表示条件の成立に基づいて復帰ボタン58が表示されているかに拘わらず、復帰ボタン58を非表示としてもよい。
【0114】
また、フィーバーモード中(S128のYES)、計時部80が、毎フレーム、第2カウンタに初期値(0)を設定し(S129)、フィーバーモード設定部74がフィーバー発動値をデクリメントする(S130)。そして、フィーバー発動値が「0」であれば(S131のYES)、フィーバーモード設定部74がフィーバーモードを終了させる(S132)。ここでは、一例として、フィーバー役物54を消滅もしくはカラ役物52に反転する。
【0115】
また、フィーバーモード中でなければ(S128のNO)、計時部80が第2カウンタをインクリメントする(S133)。そして、S133で更新された第2カウンタのカウンタ値が第2閾値以上であり(S134のYES)、復帰ボタン58が非表示であれば(S135のYES)、許可部82が、復帰操作領域を設定するとともに、復帰ボタン58をディスプレイ26に表示する許可処理を行う(S136)。
【0116】
次に、図13に示すように、距離導出部78は、味方ボール34の現在位置と、基準位置との離隔距離を導出する(S140)。なお、離隔距離は、座標計算で導出してもよいし、その他の方法で導出してもよい。導出された離隔距離が閾値以上であれば(S141のYES)、計時部80が第1カウンタに初期値(0)を設定し(S142)、基準位置設定部76が、味方ボール34の現在位置を基準位置に設定(記憶)する(S143)。
【0117】
一方、導出された離隔距離が閾値以上でなければ(S141のNO)、計時部80が第1カウンタをインクリメントする(S144)。そして、S144で更新された第1カウンタのカウンタ値が第1閾値以上であり(S145のYES)、復帰ボタン58が非表示であれば(S146のYES)、許可部82が、復帰操作領域を設定するとともに、復帰ボタン58をディスプレイ26に表示する許可処理を行う(S147)。
【0118】
また、復帰ボタン58が表示されており、復帰操作が入力されると(S148のYES)、許可部82は、復帰ボタン58を非表示とする(S149)。そして、復帰処理部84が、味方ボール34の位置情報を復帰位置に更新する(S150)。また、決定部68は、味方ボール34の速度を0に決定して記憶する(S151)。最後に、画像出力部86は、ゲーム実行処理の各ステップで更新された情報に基づいて画像を生成し、ディスプレイ26にゲーム画像を出力する(S152)。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら実施形態の一態様について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に技術的範囲に属するものと了解される。
【0120】
上記実施形態では、ゲームの一例としてピンボールゲームについて説明した。しかしながら、本発明を適用可能なゲームはピンボールゲームに限らない。いずれにしても、ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度が決定され、決定された速度に基づいて移動オブジェクトが移動表示されれば、ゲーム内容は特に限定されるものではない。
【0121】
上記実施形態では、第1カウンタがリセットされた場合に、基準位置が設定されることとした。より厳密には、味方ボール34がフリッパ32に接触した場合、基準位置と味方ボール34の現在位置との離隔距離が所定距離に到達した場合に、基準位置が設定される。しかしながら、基準位置を設定する条件はこれに限らず、所定条件が成立した場合に、移動オブジェクトの現在位置が基準位置として設定されれば、所定条件の内容は特に限定されない。
【0122】
上記実施形態では、表示条件が成立した場合に復帰ボタン58を表示することで、復帰操作(復帰入力)を受け付け可能とした。しかしながら、復帰操作(復帰入力)を受け付け可能とする方法はこれに限らない。例えば、上述の表示条件が成立した場合に、復帰ボタン58を表示することなく、即座に、あるいは、所定時間後に、自動的に復帰操作(復帰入力)が受け付けられてもよい。つまり、復帰入力は、プレイヤの操作入力に限らず、コンピュータによる自動入力も含む。例えば、フリッパ操作やスキル発動操作等をコンピュータが行うオートモードにおいては、上述の表示条件の成立により、復帰入力が自動でなされることが望ましい。
【0123】
上記実施形態では、離隔距離が所定距離に到達すると、基準位置設定部76が現在位置を基準位置として再設定し、計時部80が第1カウンタをリセットすることで、離隔距離が所定距離に到達せずに経過時間が所定時間に達したか否かが識別可能となる。ただし、離隔距離が所定距離に到達せずに経過時間が所定時間に達したか否かを識別する方法はこれに限らない。
【0124】
上記実施形態では、フリッパ32(操作オブジェクト)と味方ボール34(移動オブジェクト)とが衝突すると、味方ボール34の速度が決定される。そして、計時部80は、フリッパ32に対する味方ボール34の最後の衝突からの経過時間である第2の経過時間を計時し(第2カウンタの更新)、許可部82は、第2の経過時間が第2の所定時間(第2閾値)に達した場合に、復帰操作(復帰入力)を受け付け可能とする。ただし、操作オブジェクトに対する移動オブジェクトの最後の衝突からの経過時間を計時する方法はこれに限らない。
【0125】
上記実施形態では、復帰操作の入力(復帰入力の受け付け)により、再度の復帰操作の入力が不可能となる。ただし、例えば、第1カウンタまたは第2カウンタが初期値に設定されたことに基づいて、復帰操作の入力を受け付け不可能としてもよい。また、上記実施形態では、離隔距離が所定距離以上となった場合や、フィーバーモード中等に、第1カウンタあるいは第2カウンタに初期値(0)が設定されることとしたが、第1カウンタあるいは第2カウンタに設定される値は初期値に限らず、初期値以外の所定値が設定されてもよい。すなわち、復帰入力が受け付けられるか、経過時間を計時するカウンタに所定値が設定されると、復帰入力を受け付け不可能とする。復帰入力を受け付け不可能にするための処理は特に限定されるものではない。例えば、カウンタに所定値を設定すること、復帰ボタン58を非表示にすること、復帰入力(操作)を受け付ける領域を設定しないことで、復帰入力を受け付け不可能とすることができる。
【0126】
上記実施形態では、フィーバーモード中においても、第1カウンタの更新を継続し、第2カウンタの更新を停止することとした。これにより、上記実施形態では、フィーバーモード中であっても、第1表示条件が成立すれば、復帰操作(復帰入力)が受け付け可能となる。ただし、フィーバーモード中においては、表示条件の種別に拘わらず、復帰操作(復帰入力)を受け付け不可能としてもよい。フィーバーモード中、復帰操作(復帰入力)を受け付け不可能とする方法としては、第1カウンタおよび第2カウンタをリセットすることに限らず、例えば、第1カウンタおよび第2カウンタの更新を中断したり、第1カウンタおよび第2カウンタの更新を継続しながらも、復帰ボタン58の表示(復帰操作領域の設定)を行わないといった処理を採用したりすることができる。
【0127】
なお、上記実施形態における処理を実行するための情報処理プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納され、記憶媒体として提供されてもよい。さらには、この記憶媒体を含むゲーム端末装置が提供されてもよい。また、上記実施形態は、各機能およびフローチャートに示すステップを実現する情報処理方法としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、情報処理プログラム、ゲーム装置および情報処理方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
30 ゲームフィールド
34 味方ボール(移動オブジェクト)
66 衝突判定部
68 決定部
70 移動表示部
72 フリッパ制御部(操作オブジェクト制御部)
74 フィーバーモード設定部(特定期間設定部)
76 基準位置設定部
78 距離導出部
80 計時部
82 許可部
84 復帰処理部
【要約】
【課題】ゲームの進行が滞るのを抑制する。
【解決手段】情報処理プログラムは、ゲームフィールド内を移動する移動オブジェクトの速度を決定する決定部68と、決定された速度に基づいて移動オブジェクトを移動表示する移動表示部70と、移動オブジェクトの現在位置を基準位置として設定する基準位置設定部76と、基準位置と現在位置との距離を導出する距離導出部78と、基準位置が設定されてからの経過時間を計時する計時部80と、距離が予め設定された所定距離以上にならずに経過時間が所定時間に達した場合に、復帰入力を受け付け可能とする許可部82と、復帰入力を受け付けると、移動オブジェクトの位置および速度の少なくともいずれかを変化させる復帰処理を実行する復帰処理部84と、してコンピュータを機能させる。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13