特許第6722377号(P6722377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722377
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】樹脂製パネルの支持構造
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/04 20060101AFI20200706BHJP
   B29C 49/20 20060101ALI20200706BHJP
   B29C 51/02 20060101ALI20200706BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   B29C49/04
   B29C49/20
   B29C51/02
   B29C51/12
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-126843(P2016-126843)
(22)【出願日】2016年6月27日
(65)【公開番号】特開2018-1428(P2018-1428A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126398
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】玉田 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】原澤 友紀
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−344446(JP,A)
【文献】 特開平11−256774(JP,A)
【文献】 特開平11−022149(JP,A)
【文献】 特開平06−198795(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01162058(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
B29C 51/00−51/46
B29C 33/00−33/76
B32B 1/00−43/00
B60R 13/01−13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材が樹脂製の外装材で被覆されてなる樹脂製パネルの少なくとも対向する2辺がサポート部によって支持される樹脂製パネルの支持構造であって、
前記樹脂製パネルは、前記サポート部によって支持されない辺に沿って外装材に線状のリブが1以上形成されており、
前記線状のリブの形成位置は、前記支持されない辺から全てのリブまでの距離が、支持されない辺から対向する辺までの距離の15%以下であり、
且つ、前記リブは、樹脂製パネルの内方に向かって突出するように外装材に形成されていることを特徴とする樹脂製パネルの支持構造。
【請求項2】
樹脂製パネルは3辺において周縁部が支持されており、樹脂製パネルの支持されない1辺に沿って外装材にリブが形成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂製パネルの支持構造。
【請求項3】
樹脂製パネルにおいて、前記リブは、表裏いずれか一方の外装材に形成されており、前記リブの形成により表裏の外装材が互いに接していないことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製パネルの支持構造。
【請求項4】
樹脂製パネルにおいて、前記外装材はフィラーを含有しており、当該フィラーが前記リブの略形成方向に沿って配向されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の樹脂製パネルの支持構造。
【請求項5】
前記フィラーは、ガラスファイバーであることを特徴とする請求項4記載の樹脂製パネルの支持構造。
【請求項6】
樹脂製パネルにおいて、前記コア材は、発泡材であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の樹脂製パネルの支持構造。
【請求項7】
樹脂製パネルは補強材を有していないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の樹脂製パネルの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製パネル及びその製造方法に関するものであり、特に、支持されない辺を補強した新規な樹脂製パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製パネルは、コア材を外装材(樹脂シート)で覆うことにより形成されるものであり、自動車、航空機等の輸送機械用、建材用、電気機器のハウジング用、スポーツ・レジャー等、様々な用途に用いられている。樹脂製パネルとしては、コア材の一方の面のみを外装材で覆うものや、コア材の両方の面を外装材で覆うもの等が存在し、例えばコア材の一方の面のみを外装材シートで覆う樹脂製パネルは、建材用等、使用者に視認されることがないためにコア材の他方の面を外装材で覆う必要がないような用途に用いられる。一方、コア材の両方の面を外装材で覆う樹脂製パネルは、サンドイッチパネルとも称され、例えば自動車荷室の蓋パネル、ラゲッジボード、リアパーセルシェルフ等の用途に用いられる。
【0003】
これら樹脂製パネルの中で、例えば自動車荷室用のラゲッボード等では、矩形状の樹脂製パネルの2辺、あるいは3辺において、周縁部が自動車荷室の周囲に設けられた支持部によって支持された状態で装着されることが多く、この場合に、樹脂製パネルの支持されない辺における強度を如何にして確保するかが大きな課題となっている。ラゲッジボードの上には荷重が加わることが多く、支持されない辺の強度が低いと、繰り返し荷重が加わることで永久変形等を起こしてしまう等、ラゲッジボードの機能を大きく損なうことになる。
【0004】
ここで、樹脂製パネルにおいて、強度を向上するための手法としては、コア材となる樹脂発泡体に金属製の補強材(いわゆるリンフォース)をインサートすることが知られている。例えば引用文献1には、中空二重壁構造の中空部に、中空部内の空間と略同一形状に予め成形された熱可塑性樹脂からなる芯材に補強材を嵌合して芯材と補強材が一体となった内装材を内装することにより、内装する内装材の位置決めが的確にできて、ガタツキ防止や成形収縮による変形を起こすことがないようにした樹脂製パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−174577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属製の補強材はその重量が大きく、これを組み込むことで、樹脂製パネルの重量も大きくなってしまうという問題がある。自動車荷室用のラゲッボード等においては、軽量化で且つ強度の高い樹脂製パネルが求められており、重量増によって開閉操作に力が必要になる等の不都合が生ずることから、前記補強材の使用は避けたいところである。
【0007】
本発明は、前述の従来の実情に鑑みてなされたものであり、補強材を使用することなく強度を確保することができ、特に支持されない辺においても永久変形を起こすことのない信頼性の高い樹脂製パネルを提供することを目的とし、さらにはその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の樹脂製パネルの支持構造は、コア材が樹脂製の外装材で被覆されてなる樹脂製パネルの少なくとも対向する2辺がサポート部によって支持される樹脂製パネルの支持構造であって、前記樹脂製パネルは、前記サポート部によって支持されない辺に沿って外装材に線状のリブが1以上形成されており、前記線状のリブの形成位置は、前記支持されない辺から全てのリブまでの距離が、支持されない辺から対向する辺までの距離の15%以下であり、且つ、前記リブは、樹脂製パネルの内方に向かって突出するように外装材に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の樹脂製パネルの製造方法は、コア材が樹脂製の外装材で被覆されてなり、少なくとも対向する2辺において周縁部が支持される樹脂製パネルの製造方法であって、分割金型間に溶融状態の樹脂シートを外装材として配置し、前記樹脂シートを真空もしくは圧空により支持されない辺に沿ってリブを形成するための突条部を有する金型のキャビティに沿わせて成形し、外装材の間にコア材を配置して型締めを行い、溶融状態の樹脂シートの内面とコア材の外面を溶着させることを特徴とする。
【0010】
線状のリブは、樹脂製パネルの湾曲等を抑える機能を有し、これを支持されない辺に沿って形成することで、この部分の強度が大幅に向上する。また、強度向上のために補強材を使用する必要がないので、重量の増加も抑えられ、軽量化も実現される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、補強材を使用しなくても高い強度を実現することができ、特に支持されない辺においても永久変形を起こすことのない信頼性の高い樹脂製パネルを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】樹脂製パネルの実施形態を示す図であり、(A)は表面の概略斜視図、(B)は裏面の概略斜視図である。
図2】樹脂製パネルの支持される周縁部を示す概略平面図である。
図3】樹脂製パネルの要部概略断面図である。
図4】(A),(B)は、それぞれリブの形状例を示す概略断面図である。
図5】外装材となる樹脂シートの成形の一態様を示す概略断面図である。
図6】コア材の挿入状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の樹脂製パネル及びその製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本実施形態に係る樹脂製パネルは、中空二重壁構造を有する樹脂製の外装材の中空部に、中空部内の空間と略同一形状に予め成形された熱可塑性樹脂の発泡体からなるコア材を内装してなるものである。
【0015】
図1図3は、本実施形態の樹脂製パネルの構成を示す図であり、本実施形態の樹脂製パネル1は、表面側の外装材2及び裏面側の外装材3を有し、これら外装材2,3を成形することにより表面、裏面及び表面と裏面とを繋ぐ周囲壁5からなる中空二重壁構造が構成されるとともに、内部にコア材4が収容された形となっている。
【0016】
外装材2,3を構成する熱可塑性樹脂は、金型による成形が可能であればその樹脂材料を限定しないが、樹脂製パネル1の剛性を確保するために非発泡樹脂から形成されることが好ましい。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリング・プラスチック等が好適であり、適宜にガラス繊維、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等の充填材を添加することもできる。
【0017】
外装材2,3の表面には、表皮材を施してもよく、その場合、表皮材としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、及びこれらを混合した繊維を加工して得られる編物、織物、不織布、またはポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)または熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリエチレンポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂シート、及びこれらの積層シート、プラスチック製段ボール、ハードボード等から適宜選択可能である。
【0018】
コア材4は、例えば熱可塑性樹脂の発泡体からなるものであり、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、外装材2,3を構成する熱可塑性樹脂と同じであることが望ましい。また、発泡体には、適宜、ガラス繊維、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等の充填材を添加することもできる。
【0019】
コア材4の形成に使用されうる発泡剤としては、公知の物理発泡剤、化学発泡剤及びその混合物が挙げられる。例えば、物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス等の無機系物理発泡剤、及びブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤を適用できる。また、化学発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン又はアゾビスイソブチロニトリルなどの有機発泡剤、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、ショウノウ酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ酸などのポリカルボン酸と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムアルミニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機炭酸化合物の混合物や、クエン酸二水素ナトリウム、シュウ酸カリウム等のポリカルボン酸の塩が無機発泡剤として挙げられる。
【0020】
本実施形態の樹脂製パネル1は、例えば自動車荷室のデッキボードとして用いられるものであり、アッパーデッキのデッキボードの場合、図2に示すように、樹脂製パネル1の3辺1a,1b,1cに沿った周縁部(図中斜線領域)は、荷室への装着時には荷室側のサポート部によって支持された状態となる。
【0021】
一方、樹脂製パネル1の残りの1辺1dは、荷室への装着時にもサポート部により支持されることはない。したがって、樹脂線パネル1の支持されない1辺1dにおける強度を確保する必要がある。荷物の搭載等により、デッキボードには荷重が加わることがあり、樹脂製パネル1の支持されていない辺1dが撓んで永久変形に至ることがあるからである。デッキボード(樹脂製パネル1)に永久変形が生ずると、荷室の密閉が難しくなる。
【0022】
そこで、本実施形態の樹脂製パネル1では、前記支持されない辺1dに沿ってリブ5を形成することで、支持されない辺1dにおける強度を確保するようにしている。以下、このリブ5について詳細に説明する。
【0023】
前記リブ5は、樹脂製パネル1の外装材2,3に形成されるものであり、本実施形態の場合、樹脂製パネル1が荷室等に装着された際の美観等を考慮して、裏面側の外装材3に形成されている。リブ5を裏面側の外装材3に形成することにより、樹脂製パネル1を荷室等に装着した際にリブ5が使用者等に視認されることがない。
【0024】
前記リブ5は、線状のリブであり、樹脂製パネル1のほぼ全幅に亘り形成されている。なお、本実施形態の場合、リブ5は互いに平行に3本形成されているが、これに限られるものではなく、1本以上形成されていればよい。また、各リブ5は、樹脂製パネル1の端から端まで繋がった1本の線状のリブとして形成されているが、分断される形で形成されていてもよい。
【0025】
前記リブ5の形成位置であるが、前記支持されない辺1dからリブ5までの距離(寸法)が、支持されない辺1dから対向する辺までの距離(寸法)の15%以下であることが好ましく、10%以下であること、さらには5%以下であることがより好ましい。リブ5の形成位置が、これを越えてリブ5が辺1dから離れすぎると、支持されない辺1d近傍の強度向上が不十分になるおそれがある。最も好ましくは、辺1dから10mm〜50mmの位置にリブ5を形成することである。
【0026】
前記リブ5は、樹脂製パネル1の内方に向かって突出するように外装材3に形成されており、したがって、樹脂製パネル1を裏面から見たときには、溝部として形成されている。リブ5の断面形状は、丸形(半円形)や角形等、任意であるが、強度を向上するという目的に鑑みると、断面略三角形であることが好ましい。特に、成形性等も考慮すると、断面三角形であって、且つ先端がR形状であることが好ましい。
【0027】
図4は、リブ5の断面形状例を示すものである。図4(A)は、先端Rを有する三角形状のリブ5の一例を示すものであるが、成形性の観点から、リブ5の基端部の傾斜角度θは100°以上とすることが好ましい。先端Rは曲率半径R=1mm〜5mmである。開口幅wは4mm〜40mmであることが好ましい。図4(B)は、リブ5の形状の変形例であるが、この場合にも基端部の傾斜角度θは100°以上である。
【0028】
いずれの場合にもリブ5の深さ(高さ)は樹脂製パネル1の板厚全体の15〜40%であることが好ましく、リブ5の形成により表裏の外装材2,3が互いに接していないことが好ましい。
【0029】
前述のようなリブ5を形成することで、支持されない辺1dにおいても強度を確保することが可能になるが、これに加えて、外装材2,3に配合されるフィラーを配向させることも強度を向上する上で有効である。前述の通り、外装材2,3にはフィラーを配合してもよいが、この時、フィラーとしてガラス繊維やマイカ等のようにアスペクト比の大きなフィラーを用い、支持されない辺1dと略平行に配向させることで、この方向の強度を向上することができる。なお、この場合のフィラーの含有量は特に限定されないが、10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
【0030】
次に、樹脂製パネル1の製造方法について説明する。
【0031】
本実施形態において、樹脂製パネル1は、図5及び図6に示すような態様で成形される。すなわち、先ず、図5に示すように、Tダイ等から押し出した2枚の樹脂シート11,12を分割金型13,14間に配置し、樹脂シート11,12を真空吸引により分割金型13,14のキャビティに沿わせて成形する。各分割金型13,14は、真空チャンバ13A,14A及び通気接触面13B,14Bを有しており、通気接触面13B,14Bにおいて真空吸引することで、樹脂シート11,12が分割金型13,14のキャビティに沿った形状に成形される。
【0032】
この時、前記分割金型13,14のうち、裏面側の外装材3に対応する樹脂シート12を成形する分割金型14については、リブ5に対応する突条部14Cを形成しておく。これにより、裏面側の外装材3となる樹脂シート12には、リブ12Aが形成される。
【0033】
次いで、コア材15を樹脂シート11,12間に配置して分割金型13,14の型締めを行い、溶融状態の樹脂シート11,12の内面とコア材15の外面とを溶着させる。これにより、コア材15を樹脂シート11,12(外装材)に内装した樹脂製パネル1を得ることができる。
【0034】
コア材15は、樹脂シート11,12の成形形状、さらには樹脂シート12に形成されるリブ12Aの形状に合わせて予め成形したものを配置してもよいし、あるいは、リブ12Aに対応する凹部を有していない状態に成形し、型締めの際にリブ12Aで押し潰すようにしてもよい。
【0035】
また、樹脂シート11,12をTダイから押し出して形成する場合、樹脂シート11,12にアスペクト比の高いフィラーを配合しておくと、フィラーが押し出し方向に配向し、この方向の強度が大きくなる。したがって、樹脂シート11,12を分割金型13,14で成形する際に、フィラーの配向方向が支持されない辺1dと平行になるように配置すれば、当該方向の強度を確保することが可能である。
【0036】
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0037】
例えば、先の実施形態では、樹脂製パネル1の4つの辺1a〜1dのうち、3つの辺1a〜1cが支持され、残りの1つの辺1dが支持されないものであったが、対向する2辺1a,1cが支持され、これと直交する2辺1b,1dが支持されないものであってもよい。この場合には、2辺1b,1dに沿ってそれぞれリブ5を形成すればよい。
【0038】
また、外装材2,3とコア材4は、いわゆるコンプレッションにより互いに密着し空間を有していなくてもよいし、外装材2,3とコア材4の間に空間があってもよい。いずれの場合にも、リブ5を形成することによる強度向上を実現することができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
【0040】
デッキボードの作製
作製したデッキボードの寸法は、800mm×800mmであり、厚さは20mmである。外装材には、ガラス繊維を20質量%配合したポリプロピレンシート(厚さ1mm)を用いた。コア材は、発泡倍率30倍のポリスチレン・ポリオレフィン複合発泡体(積水化成品工業社製、商品名ピオセラン)を用いた。
【0041】
作製したデッキボードは、3辺が支持されるタイプのもので、表1に示すように、支持されない辺に沿って形成されるリブの数、ガラス繊維の配向方向(支持されない辺と平行あるいは直交)を変え、種々のサンプルを作製した。さらに、ガラス繊維を配合しないでリブを形成したサンプルも作製した(サンプル7〜9)。
【0042】
評価
作製したサンプルについて、直径80mm、重さ80kgの重りを載せて荷重を加え、5秒後の撓み量(端部及び中央)、及び重りを下ろした後、24時間経過後の永久変形量(端部及び中央)を計測した。なお、端部は、支持されない辺における端部である。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から明らかなように、ガラス繊維の配合の有無に関わらず、支持されない辺に沿ってリブを形成することで、永久変形が解消されている。また、リブの形成に加えて、ガラス繊維を配合し、特にガラス繊維の配向方向を支持されない辺と平行にすることにより、撓み量が少なくなり、強度が向上していることがわかる。
【符号の説明】
【0045】
1 樹脂製パネル
1a〜1d 辺
2,3 外装材
4 コア材
5 リブ
11,12 樹脂シート
13,14 分割金型
15 コア材
図1
図2
図3
図4
図5
図6