(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722585
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】遮熱材の微小亀裂および耐壊食性のための統合された焼結方法
(51)【国際特許分類】
C23C 4/18 20060101AFI20200706BHJP
C23C 4/134 20160101ALI20200706BHJP
C23C 4/10 20160101ALI20200706BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20200706BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20200706BHJP
F01D 5/18 20060101ALI20200706BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20200706BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
C23C4/18
C23C4/134
C23C4/10
F01D25/00 L
F01D25/00 X
F01D5/28
F01D5/18
F01D9/02 102
F02C7/00 D
F02C7/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-532058(P2016-532058)
(86)(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公表番号】特表2016-540122(P2016-540122A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】FR2014052967
(87)【国際公開番号】WO2015075381
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年10月19日
(31)【優先権主張番号】1361348
(32)【優先日】2013年11月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビルエ,パスカル・ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】デュドン,ロラン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】マルティネ,パスカル・ジャック・レイモン
【審査官】
祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−119871(JP,A)
【文献】
特開2006−144061(JP,A)
【文献】
特開2013−089331(JP,A)
【文献】
特開2001−329358(JP,A)
【文献】
特開平02−080549(JP,A)
【文献】
特開2002−069607(JP,A)
【文献】
米国特許第06103315(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0158590(US,A1)
【文献】
沖 幸男ら,“溶射工学便覧”,日本,日本溶射協会,2010年 1月25日,初版,p.139,p.828
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 4/00−6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ・アーク・トーチを使用した溶射により、YSZ型のセラミック層(C)が接着部分層(BSL)上に堆積され、前記接着部分層(BSL)自体は、保護される部品上に堆積される、横断微小亀裂を有する遮熱材を得るための方法であって、部品がタービン部品であり、セラミック層(C)をプラズマ・アーク・トーチのビームで走査することにより行われる、焼結の後処理が実行され、この走査中のセラミック層(C)の表面上のビーム衝突点における温度は、1300℃から1700℃の間であることを特徴とする方法。
【請求項2】
この走査中のセラミック層(C)の表面上のビーム衝突点における温度が、1400℃から1450℃の間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
この焼結の後処理中、セラミック層(C)の表面上のビームスポットの温度が、永続的に測定され、トーチパラメータが、この測定値に応じて制御されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
セラミック層(C)を堆積させるために使用される溶射粉末が、10から60μmの間の粒径を有する溶融および粉砕型の粉末であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
セラミック層(C)が、5%未満の空隙率を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
セラミック層(C)とは反対の部品の表面が、950℃未満の温度に保持されるように冷却されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
セラミック層(C)が、堆積された後に微小亀裂を形成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
後処理が、セラミック層(C)上の横断微小亀裂を生成することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
後処理ステップにおいて、セラミック層(C)の表面が、1300℃から1700℃の間の温度に到達するようにビームにより5秒から20秒の間の期間、走査されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱材に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、横断微小亀裂を有するYSZセラミック(C)型の遮熱材に関する。
【背景技術】
【0003】
航空用タービンでは、地上用タービンのように、燃焼室、燃料供給ノズル、ディストリビュータ、および高圧タービン翼(HPDおよびHPP)等の高圧体の構成部品は、耐火性「遮熱材」型の断熱系により保護される。
【0004】
この系の完全性は、保護される部品の負荷要件に適合するための決定要因である。
【0005】
しかしながら、通常動作中、高温ガスによる壊食に関連した問題が一般に観察される。ガスターボ機械において、壊食は、堆積物の表面上での複数の破裂により発生する壊食(キャビテーション現象)、およびエンジンの停止に関連した熱サイクルに起因する壊食が組み合わされた結果である。
【0006】
いずれの場合においても、結果的に、壊食または微小破砕により断熱厚さが減少し、その下の基板の熱保護が低下することになる。それによって部品の寿命が短くなり、頻繁な修復が必要となり、メンテナンス体制の点で、および費用の点で問題が生じる。
【0007】
電子ビーム物理蒸着法(EBPVD)により堆積された遮熱材に関しては、大気プラズマ溶射(APS)により得られた横断微小亀裂を有する遮熱材が、耐壊食性および熱サイクルに対する耐性の両方の要件に適合する、現在最も良好なコーティングである。
【0008】
この技術は、特に、燃焼室の部品等の丈夫な円形部品、またはケロシン噴射ノズル等のより小型の部品に使用される。
【0009】
したがって、
図1に示されるように、部品P上に堆積された遮熱材TBは、従来的に、
− いわゆる接着部分層(BSL)を形成する、MCrAlY型(MはNi、Co、FeおよびNiCoに相当する)の合金堆積物の部分層BSL;
− YSZ(イットリアY
2O
3安定化ジルコニアZrO
2)セラミック(C)の断熱層C
で構成される。
【0010】
遮熱材TBの2つの層BSLおよびCのそれぞれは、プラズマ・アーク・トーチを使用した溶射により堆積される。
【0011】
前記遮熱材の実施形態の一例として、遮熱材にある程度の可撓性を付与し、基板/遮熱材界面だけでなく遮熱材内部における複数の異なる熱膨張サイクルの吸収を可能にする横断微小亀裂(主な成分が基板に対して垂直)を有する、セラミック(C)の層Cおよび接着部分層(BSL)を有する遮熱材を得るための方法を記載した、仏国特許出願公開第2,854,166号明細書を好都合に参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2,854,166号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の1つの全般的な目的は、タービン部品等の部品における横断微小亀裂を有するYSZセラミック層(C)を有する遮熱材の、耐壊食性および微小破砕に対する耐性を改善することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、全製造時間および遮熱材の費用に対していかなる大きな変更も加える必要なく、ほぼ同等の動作範囲(特に温度耐性の範囲)を維持しながらも、断熱YSZセラミック(C)層Cの耐壊食性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明は、プラズマ・アーク・トーチを使用した溶射により、YSZ型のセラミック(C)の層Cが接着部分層(BSL)上に堆積され、前記接着部分層(BSL)自体は、保護される部品上に堆積される、横断微小亀裂を有する遮熱材を得るための方法を提案する。セラミック(C)の層Cをプラズマ・アーク・トーチのビームで走査することにより、焼結による後処理が行われ、この走査中のセラミック(C)の層C上のビーム衝突点における温度は、1300℃から1700℃の間、好ましくは1400℃から1450℃の間である。
【0016】
YSZ型のセラミック(C)は、空気中、1300℃の温度以降で焼結され得ることが、事実上知られている。
【0017】
ここで、および本明細書の残りの部分において、焼結とは、構成成分の少なくとも1つを融合させることなく、エネルギーの供給(熱的、機械的、レーザ、プラズマトーチ等)を用いて系のエネルギーを最小化することにより得られる、材料(例えば粉末)の強化のための処理を意味する。セラミック(C)の層の前記焼結はその硬化を引き起こし、空隙率を低減して耐壊食性の改善をもたらす。
【0018】
焼結されるためには、セラミック(C)は、
− 焼結反応が生じ得るための十分に高い温度の範囲内、および
− 焼結反応を行うための十分な長さの時間範囲内
に維持され、溶射時に低い(<5%)空隙率および非溶融粒子レベルを有する必要がある。
【0019】
さらに、大型サイズの部品では、遮熱材は過度に急速に冷却され、十分な温度範囲にわたり焼結反応が継続しなくなる。
【0020】
プラズマトーチの使用により、焼結に対する完全なる制御が提供される。
【0021】
方法はまた、小型サイズの部品に対しても好都合に使用され得る。
【0022】
前記焼結後処理中、セラミック(C)の層Cの表面上のビームスポットの温度は、永続的に測定され、トーチのパラメータは、この測定値に応じて調節される。制御される主要なパラメータは、特に、
− トーチ−部品間距離(温度Tに関連する);
− トーチの移動速度vおよび被覆率Cであり、移動速度vおよび被覆率は共に、前記温度Tへの曝露時間に関連する。
【0023】
焼結は、時間および温度に応じて拡散駆動力を有する現象である。パラメータの制御によって、より良好な焼結が提供される。
【0024】
さらに、セラミック(C)の層Cとは反対の部品の表面は、概して950℃未満の温度に保持されるように冷却される。
【0025】
提案される後処理は、堆積された後にすでに微小亀裂を有するセラミック層(C)に使用されてもよい。
【0026】
したがって、後処理により、セラミック層(C)の焼結が改善され得る。
【0027】
変形例として、焼結後処理は、標準的な遮熱材(微小亀裂なし)の溶射後に、微小亀裂を生成してもよい。
【0028】
後処理ステップにおいて、セラミック(C)の層の表面は、1300℃から1700℃の間の温度に到達するようにビームにより数秒間、典型的には5秒から約20秒の間の期間、走査される。
【0029】
提案される方法は、好都合にも、大型サイズの部品への応用が見出されるが、この種の部品上にコーティングされた微小亀裂遮熱材は、従来は耐壊食性の点でほとんど満足のいくものではなかった。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例示としてのみ示される以下の説明からさらに明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】接着部分層(BSL)および遮熱材でコーティングされた、航空用タービン等のタービンにおいて使用される部品等の部品の概略断面図である。
【
図2】本発明の可能な実施形態の主要ステップを示す概略図である。
【
図3】熱スポットとは反対の内壁の側面上に冷却ストリームが吹き付けられる(図には示さず)、後処理焼結ステップの実行を示す概略図である。
【
図4】遮熱材でコーティングされた部品(走査されている部品は小さい寸法を有する)にわたる熱スポットの移動を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図2に示されるように、可能な実施形態は、以下の異なるステップを含む。
− 研磨による、保護される部品Pの表面の前処理(ステップ1);
− 表面上のAPS堆積による、接着部分層(BSL)の形成(ステップ2);
− 同じくAPS堆積による、断熱耐火性YSLセラミック(C)の層Cの形成(ステップ3);
− その耐壊食性を改善するための、セラミック(C)の焼結による後処理(ステップ4)。
【0033】
大型サイズの部品
コーティングされる部品Pは、燃焼室の壁等の大きい寸法の部品であってもよい。
【0034】
前記燃焼室壁は、例えば約600mmおよび800mmの2つの端部における直径ならびに800mmの高さを有する、若干面取りされた金属部品5(
図3)の形態であってもよい。
【0035】
この部品は、ニッケルまたはコバルト系超合金で作製される。該部品は、例えば1から2mmの厚さを有する。
【0036】
ステップ1から4を実行するために、この部品5は溶射室7内の回転台6上に設置される。
【0037】
プラズマ・アーク・トーチ8は、通常の方法にしたがって、確実に接着部分層(BSL)を堆積させ(ステップ2)、続いてその上にセラミック(C)の層Cを堆積させる(ステップ3)。
【0038】
特に、セラミック(C)の層Cの堆積は、溶射時に確実に微小亀裂を形成させる条件下で行われてもよい(上述のフランス特許出願第2854166号明細書を参照されたい)。
【0039】
セラミック(C)の層Cの堆積はまた、いかなる微小亀裂も生成しない標準条件下で行われてもよい。
【0040】
次いで、ステップ4における後処理が、
− 第1の場合においては、遮熱材TBの焼結を改善するために;
− 第2の場合においては、セラミック(C)の層Cおよび遮熱材TBに微小亀裂を形成するために行われる。
【0041】
ステップ4における後処理中に亀裂を促進するために、微小粒径の微細溶射粉末が使用されることが留意される。
【0042】
溶融粉砕型(アーク炉内での溶融に続く冷却および粉砕、10から60μmの間の粒径を有する)の微細粒子状粉末は、より均一に溶融する利点を有する。
【0043】
この粉末により、セラミック層(C)の低い空隙率(<5%)が提供される。
【0044】
この粉末により、非溶融粒子が全く存在しないことがより容易に実現される。
【0045】
したがって、この粉末により、焼結および微小亀裂反応が可能となる。
【0046】
好適となり得る粉末は、例えばHC StarckによるAmperit 831である。
【0047】
さらに、溶射粉末はまた、標準溶射条件(非微小亀裂コーティングに使用される条件)下で、この粉末から得られるコーティングCが接着部分層(BSL)への少なくとも25MPaの接着を示し、横断微小亀裂を促進するように選択される。
【0048】
層Cと部分層BSLとの間の高い接着力は、部分層/層界面に沿ってではなく、コーティングの厚さにおける微小亀裂の生成を促進する。
【0049】
コーティングの少なくとも25MPaの接着を可能にする溶融粉砕粉末の使用は、後述される溶射後熱処理(ステップ4)の間、少なくとも20個の微小亀裂/20mmの割合の、横断方向のみにおける遮熱材TBの微小亀裂の生成に寄与する。
【0050】
この後処理ステップ4の実行は、以下のように行われる。
【0051】
全てのマスクおよび保護物が部品5から除去されるが、これらは、部品5がそれ以上いかなる溶射にも供されないためもはや有用ではない。
【0052】
部品5は、ロジスティクスにおいて必要とされない限り、溶射室の回転台6からは除去されない。
【0053】
トーチ8が動作状態となり、トーチ8により部品が走査されてから、回転台を回転させ、遮熱材TBのいくつかの点を1400から1450℃に加熱する。
【0054】
適所に設置された事前に較正された高温計9は、トーチ8の衝突点における温度を、確実にリアルタイムに測定する。この高温計9は、溶射室7内の部品5内側のロボット内に埋設される。
【0055】
高温計は、コーティングされた部品5上のトーチ8のスポットSの衝突点を標的とする。
【0056】
高温計は、1200℃から1700℃の間の温度測定を可能にするように選択される。セラミック(C)がYSZ層である場合、高温計は、8μm超で、好ましくは11から13.6μmの間、例えば12.6μm(クリスチャンセン波長)で動作するように選択される。
【0057】
これらの値では、
− YSZは、透過率ゼロ(寄生測定値なし)を示し;
− そのエミッタンスは、実質的に非温度依存性であり(補正なし);
− その放射率は、約1であり、これによって黒体の通常条件下で温度を直接読み取ることができる。
【0058】
セラミック(C)の表面上の温度は、
− 部品の回転速度;
− トーチ−コーティング表面間距離;
− 被覆率
に応じていることが留意される。
【0059】
プラズマ安定性が達成されたら、トーチの出口におけるプラズマの発生に関連したパラメータ(プラズマガス流速、電圧および強度)は、時間とは無関係に維持される。
【0060】
したがって、セラミック(C)の層Cの表面上の温度の制御により、焼結動力学に対する制御が提供される。
【0061】
回転台6が動作されると、トーチ8は垂直走査方向に移動され、これが回転台の回転運動と組み合わさって、トーチにより遮熱材上に溶射されるスポットSは、確実にそれを螺旋状に走査し得る。
【0062】
プラズマパラメータは、高温計により測定される表面温度が1400から1600℃の温度範囲内(最適焼結温度)に維持されるように制御される。
【0063】
典型的には、部品6は、約35分以内に完全に処理される。
【0064】
トーチ8は、例えば、より広い熱スポットを生成する6mmノズルまたは8mmノズルを装備したF4モデルである。
【0065】
回転台6の回転速度は、例えば1m/分であり、一方、遮熱材上に描かれる螺旋ピッチは、12mmである。
【0066】
トーチのノズル出口と部品の表面との間の距離は、前記ノズルの直径およびトーチの出力パラメータに依存して、30から70mmの間で変動する。
【0067】
他のパラメータの組み合わせもまた、明らかに可能である。
【0068】
しかしながら、表面温度は少なくとも1300℃でなければならならず(好ましくは1400℃から1450℃の間)、また5から10秒未満以内で到達しなければならならず(ゼロ速度での外挿)、さもなければ焼結処理ではなく部品内への熱伝達が生じ得ることが留意される。また、後処理中、セラミック(C)の層の表面は、硬化反応を生じさせるために、1300℃から1700℃の間の温度に到達するようにビームにより数秒間、典型的には5秒から約20秒の間の期間、走査される。
【0069】
また、反対側である金属側の温度は、950℃、好ましくは900℃(1000℃をピークとし得る)を超えるべきではないことが推奨され、さもなければ部分層は酸化により劣化し得る。
【0070】
特に、部品の金属部分の加熱を防止するために、この部分は、ステップ4で実行される処理全体にわたって冷却される。この目的のために、複数の強力な空気ジェットが使用される。これらは、金属側およびセラミック側(C)の両方に方向付けられてもよい。明らかに、セラミック(C)側では、流れはスポット近くに方向付けられず、空気ストリームはそこから少なくとも+/−100mm離して維持される。
【0071】
前記冷却は、
− 部品の全体的な温度を、処理の開始直後により急速に安定化し;
− 部品の金属部分を損傷し得る過熱を防止する。
【0072】
遮熱材とは反対側、すなわち金属側の温度は、サーモカラー熱パッチにより、または高温計により、または熱電対により永続的に測定される。
【0073】
トーチおよび吹付け冷却のパラメータは、この温度が所望のレベルに維持され得るように制御される。
【0074】
小さい寸法の部品
ステップ4における焼結処理はまた、例えばケロシン噴射ノズル等の小型サイズ部品の遮熱材TBコーティングに微小亀裂を形成するために使用されてもよい。
【0075】
遮熱系の従来の堆積中、この種の部品は、温度上昇を経験する。この温度は、セラミック(C)(初めは焼結前の形態)の焼結が、後処理焼結(ステップ4)を実行することにより改善され得るように十分高い。
【0076】
大型サイズ部品の場合と同様に、層Cを形成するために、微小粒径の微細溶射粉末を使用して、前記層Cが接着部分層(BSL)への25MPa超の接着を示すようにすると同時に、5%未満の空隙率、および非溶融粒子が存在しないことを確実とする。
【0077】
焼結によるセラミック(C)の層Cの後処理(ステップ4)、およびこの後処理中の温度制御は、燃焼室壁に関して上述されたものと同様である。
【0078】
特に、使用される高温計は、同じ種類のものであってもよい。
【0079】
処理される部品の構造がどれほど異なっていようとも、加熱は、処理される部品の高さにわたるトーチ8のスポットの直線走査により制御される。
【0080】
走査の例は、例えば、
図4に示される種類の走査である。走査速度は1m/分、ピッチは12mmである。1回の通過から次の通過への熱スポットの被覆率は、少なくとも10%である。