(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722600
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】卓球ラケット用加温器、および、卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法
(51)【国際特許分類】
A63B 60/00 20150101AFI20200706BHJP
A63B 102/16 20150101ALN20200706BHJP
【FI】
A63B60/00
A63B102:16
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-5(P2017-5)
(22)【出願日】2017年1月1日
(65)【公開番号】特開2018-108272(P2018-108272A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年8月31日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年12月19日 インターネット(http://www.donic.jp/rubberwarmer/)により公開
(73)【特許権者】
【識別番号】516381611
【氏名又は名称】イルマソフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182198
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 貴男
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 弘
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 光功
(72)【発明者】
【氏名】塩野 吉紀
【審査官】
宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−210786(JP,A)
【文献】
特開2009−143049(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3158168(JP,U)
【文献】
実開平04−054271(JP,U)
【文献】
米国特許第7238920(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0193514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 60/00 − 60/64
A63B 59/40 − 59/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓球ラケットのラバーを加温する卓球ラケット用加温器であって、
前記ラバーに熱を加える熱伝導手段と、
前記熱伝導手段を加熱する加熱手段と、
前記熱伝導手段および前記加熱手段を保持する保持手段と
を有し、
前記熱伝導手段は、略平板形状で前記ラバーに応じた外形を備え、加温時に該ラバーに該熱伝導手段の一の表面を重ねて配置し、
前記加熱手段は、前記熱伝導手段の他の表面に配置して、加温時に該熱伝導手段を加熱し、
前記保持手段は、耐熱性の材料で、前記熱伝導手段に対応する略平板形状で、前記熱伝導手段の前記外形に沿った凸部形状の外縁支持部を備え、前記外縁支持部で前記熱伝導手段の前記外縁を支持する、
ことを特徴とする卓球ラケット用加温器。
【請求項2】
前記熱伝導手段、前記加熱手段および前記保持手段は、積層して配置され、
前記熱伝導手段と前記保持手段との間隙は、前記外縁支持部に前記熱伝導手段の前記外縁を載置して、前記外縁支持部の高さに応じた空気層を形成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の卓球ラケット用加温器。
【請求項3】
卓球ラケットのラバーを加温する卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法あって、
前記ラバーに熱を加える熱伝導手段と、前記熱伝導手段を加熱する加熱手段と、前記熱伝導手段および前記加熱手段を保持する保持手段とを有し、
前記熱伝導手段は、略平板形状で前記ラバーに応じた外形を備え、加温時に該ラバーに該熱伝導手段の一の表面を重ねて配置し、
前記加熱手段は、前記熱伝導手段の他の表面に配置して、加温時に該熱伝導手段を加熱し、
前記保持手段は、耐熱性の材料で、前記熱伝導手段に対応する略平板形状で、前記熱伝導手段の前記外形に沿った凸部形状の外縁支持部を備え、前記外縁支持部で前記熱伝導手段の前記外縁を支持する、
ことを特徴とする前記卓球ラケット用加温器を用いて、
前記卓球ラケット用加温器の前記一の表面を前記ラバーに重ねて配置する配置ステップと、
前記卓球ラケット用加温器の前記加熱手段を用いて前記熱伝導手段の前記他の表面を加熱し、加熱された該熱伝導手段を用いて前記ラバーを加温する加温ステップと
を含み、
前記加温ステップは、前記加熱手段の加熱温度を制御して、予め設定された所望の温度に前記ラバーを加温する、
ことを特徴とする卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓球ラケットのラバーを加温する卓球ラケット用加温器に関する。本発明は、卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法に関するものであってもよい。
【背景技術】
【0002】
季節や地域で気温差がある場合または全国大会や海外などの地元以外で卓球をする場合には、地元での競技と比較して卓球用ラバーの弾みが変わり、いつもと同じようなプレーができない場合がある。卓球用ラバーの低温防止や結露防止においては、使い捨てカイロや人の体温を利用して卓球用ラバーを加熱したり、揮発性のスプレーにより水分を飛ばしたりすることが一般的である。特許文献1では、卓球用ラケットのラバー面(保護対象物)にラバー表面保護フィルムを貼る事によりラバー汚れの原因である埃などをラバー表面から取り除くことが繰り返し可能であるラバー表面保護フィルムに関する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−209493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、卓球ラケットのラバーの温度を所望の温度に設定し、いつでもどこでも同じようなラバーの状態を作り出す方法の記載がない。
【0005】
本発明は、卓球ラケットのラバーの温度を所望の温度に設定することができる卓球ラケット用加温器を提供することを目的とする。また、本発明は、卓球ラケットのラバーの温度を所望の温度に設定することができる卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一つの実施形態は、卓球ラケットのラバーを加温する卓球ラケット用加温器であって、前記ラバーに熱を加える熱伝導手段と、前記熱伝導手段を加熱する加熱手段と、前記熱伝導手段および前記加熱手段を保持する保持手段とを有し、前記熱伝導手段は、略平板形状で前記ラバーに応じた外形を備え、加温時に該ラバーに該熱伝導手段の一の表面を重ねて配置し、前記加熱手段は、前記熱伝導手段の他の表面に配置して、加温時に該熱伝導手段を加熱し、前記保持手段は、耐熱性の材料で、前記熱伝導手段に対応する略平板形状で、前記熱伝導手段の前記外形に沿った凸部形状の外縁支持部を備え、前記外縁支持部で前記熱伝導手段の前記外縁を支持する、ことを特徴とする卓球ラケット用加温器を提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態は、上記の卓球ラケット用加温器であって、前記熱伝導手段、前記加熱手段および前記保持手段は、積層して配置され、前記熱伝導手段と前記保持手段との間隙は、前記外縁支持部に前記熱伝導手段の前記外縁を載置して、前記外縁支持部の高さに応じた空気層を形成する、ことを特徴とする卓球ラケット用加温器であってもよい。
【0008】
本発明の他の実施形態は、卓球ラケットのラバーを加温する卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法あって、前記ラバーに熱を加える熱伝導手段と、前記熱伝導手段を加熱する加熱手段と、前記熱伝導手段および前記加熱手段を保持する保持手段とを有し、前記熱伝導手段は、略平板形状で前記ラバーに応じた外形を備え、加温時に該ラバーに該熱伝導手段の一の表面を重ねて配置し、前記加熱手段は、前記熱伝導手段の他の表面に配置して、加温時に該熱伝導手段を加熱し、前記保持手段は、耐熱性の材料で、前記熱伝導手段に対応する略平板形状で、前記熱伝導手段の前記外形に沿った凸部形状の外縁支持部を備え、前記外縁支持部で前記熱伝導手段の前記外縁を支持する、ことを特徴とする前記卓球ラケット用加温器を用いて、前記卓球ラケット用加温器の前記一の表面を前記ラバーに重ねて配置する配置ステップと、前記卓球ラケット用加温器の前記加熱手段を用いて前記熱伝導手段の前記他の表面を加熱し、加熱された該熱伝導手段を用いて前記ラバーを加温する加温ステップとを含み、前記加温ステップは、前記加熱手段の加熱温度を制御して、予め設定された所望の温度に前記ラバーを加温する、ことを特徴とする卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る卓球ラケット用加温器または卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法によれば、卓球ラケットのラバーの温度を所望の温度に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の使用例を説明する説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の例を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の例を示す底面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の断面の一例を説明する概略断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の加熱手段の一例を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の保持手段の一例を示す平面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の加熱手段の配置を説明する説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態に係る卓球ラケット用加温器の例を用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、以後に説明する卓球ラケット用加温器またはラバー加温方法以外でも、卓球ラケットのラバーの温度を所望の温度に設定(加熱、加温、保温など)するものであれば、いずれのものにも用いることができる。なお、卓球ラケットのラバーの素材、色、形状は、特に限定されない。
【0012】
下記に示す順序で、本発明を説明する。
1.卓球ラケット用加温器の構成
2.卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法
【0013】
(1.卓球ラケット用加温器の構成)
図1乃至
図7を用いて、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器の構成を説明する。ここで、
図1は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100を卓球ラケットRacketのラバーRubberに配置した使用例を説明する説明図である。
図2は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100の例を示す正面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100の例を示す底面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100の断面(
図2のD−D断面)の一例を説明する概略断面図である。
図5は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100の加熱手段12の一例を示す平面図である。
図6は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100の保持手段13の一例を示す平面図である。
図7は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100の加熱手段12の配置を説明する説明図(熱伝導手段11は不図示)である。なお、
図1等に示す卓球ラケット用加温器の構成等は一例であり、本発明は
図1等に示す卓球ラケット用加温器等に限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、本発明に係る卓球ラケット用加温器100は、卓球ラケットRacketのラバーRubberに接するように配置して、ラバーRubberを加温するものである。卓球ラケット用加温器100は、本実施形態では、
図2および
図4に示すように、ラバーに熱を加える熱伝導手段11と、熱伝導手段11を加熱する加熱手段12(
図5)と、熱伝導手段11および加熱手段12を保持する保持手段(
図6)とを有する。本発明に係る卓球ラケット用加温器100は、加熱手段12を用いて熱伝導手段11を加熱し、加熱された熱伝導手段11を用いて卓球ラケットRacketのラバーRubberを加温する。本発明に係る卓球ラケット用加温器100は、
図4および
図7に示すように、熱伝導手段11、加熱手段12および保持手段13を積層して配置する。
【0015】
下記にて、各構成を具体的に説明する。
【0016】
熱伝導手段11は、
図2および
図3に示すように、卓球ラケットのラバーに熱を加える手段である。熱伝導手段11は、略平板形状であり、ラバーに応じた外形を備える。熱伝導手段11は、加温時にラバーに一の表面を重ねて配置される。これにより、本発明に係る卓球ラケット用加温器100は、卓球ラケットのラバーの形状に沿って、所望の温度に効率的に設定することができる。なお、熱伝導手段11の材質は、特に限定されない。熱伝導手段11は、アルマイト加工したアルミニウムであってもよい。また、熱伝導手段11の形状は、設計、実験、計算などで予め定められる形状とすることができる。
【0017】
加熱手段12は、
図4および
図5に示すように、熱伝導手段11を加熱する手段である。加熱手段12は、熱伝導手段11の他の表面に配置され、後述する保持手段13(
図7の電源接続部13d)から電力を供給され、加温時に熱伝導手段22を加熱する。なお、加熱手段12の構成および加熱方法は、公知の技術を用いることができ、特に限定されない。また、加熱手段12の形状は、設計、実験、計算などで予め定められる形状とすることができる。加熱手段12の加熱方法は、たとえばPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を利用した制御を利用することができる。これにより、本発明に係る卓球ラケット用加温器100は、卓球ラケットのラバーを予め設定された所望の温度に調整(加温など)することができる。
【0018】
保持手段13は、
図2および
図4に示すように、熱伝導手段11および加熱手段12を保持する手段である。保持手段13は、
図4、
図6および
図7に示すように、熱伝導手段11に対応する略平板形状であり、本実施形態では、熱伝導手段11を支持する4つの凸部形状の中央支持部13aと、熱伝導手段11の外形に沿った凸部形状の外縁支持部11bと、熱伝導手段11の位置を固定する4つの固定部13cと、加熱手段12に電力を供給するために電源を接続する電源接続部13dとを備える。なお、保持手段13の材質は、耐熱性の材料であればよく、公知の技術を用いることができ、特に限定されない。また、保持手段13の形状は、設計、実験、計算などで予め定められる形状とすることができる。
【0019】
図4に示すように、外縁支持部13bは、熱伝導手段11の外縁を支持する。また、
図4に示すように、熱伝導手段11と保持手段13との間隙は、外縁支持部13bに熱伝導手段11の外縁を載置しているため、外縁支持部13bの高さに応じた空気層LAを形成する。これにより、本発明に係る卓球ラケット用加温器100は、
図1に示すように卓球ラケットRacketのラバーRubberに接するように配置して加温する場合であっても、使用者などを保持手段13(空気層LA)で熱から保護することができる。
【0020】
以上のとおり、本発明に係る卓球ラケット用加温器によれば、卓球ラケットのラバーの温度を所望の温度に設定することができる。また、本発明に係る卓球ラケット用加温器によれば、コンパクトで持ち運びすることができ、より簡易で軽量な加温器を製造することができる。更に、本発明に係る卓球ラケット用加温器によれば、印象的な商品として、従来にないラバー加温方法を提供することができる。
【0021】
また、本発明に係る卓球ラケット用加温器によれば、(1)打球のスピードとスピンを上げるためにラバーを柔らかくすることができ、且つ、ラバーの結露を防止することができる。(2)本発明に係る卓球ラケット用加温器によれば、ラバーに密接して、ラバー全面を均等に加熱することができ、効率的に加温することができる。(3)本発明に係る卓球ラケット用加温器によれば、軽量であり、持ち運びが可能なサイズで、従来のラケットケースに納まり、携帯性に優れ、必要なときに簡便かつ容易に使用(加温)することができる。
【0022】
(2.卓球ラケット用加温器を用いたラバー加温方法)
図8を用いて、上述の卓球ラケット用加温器100(
図1)を用いたラバー加温方法を説明する。ここで、
図8は、本発明の実施形態に係る卓球ラケット用加温器100を用いたラバー加温方法の一例を説明するフローチャート図である。なお、
図8に示すラバー加温方法は一例であり、本発明は
図8に示すラバー加温方法に限定されるものではない。
【0023】
図8に示すように、ステップS801において、卓球ラケットのラバーの加温を開始する。その後、ステップS802に進む。
【0024】
先ず、ステップS802において、卓球ラケット用加温器(
図1、
図2)の一の表面をラバーに重ねて配置する(配置ステップ)。その後、ステップS803に進む。
【0025】
次に、ステップS803において、卓球ラケット用加温器の加熱手段(
図4、
図7)を用いて熱伝導手段11の他の表面を加熱し、加熱された熱伝導手段11を用いてラバーを加温する(加温ステップ)。ここで、加温ステップは、加熱手段12の加熱温度を制御して、予め設定された所望の温度にラバーを加温することができる。その後、ステップS804に進む。
【0026】
次いで、ステップS804において、卓球ラケットのラバーを加温する動作を終了するか否かを判断する(終了ステップ)。動作を終了すると判断した場合には、図中の「END」に進み、卓球ラケットのラバーを加温する動作を終了する。動作を終了しないと判断した場合には、ステップS802に戻る。これにより、所望の時間の間、卓球ラケットのラバーを加温する動作を継続することができる。
【0027】
以上のとおり、本発明に係る卓球ラケットのラバー加温方法によれば、本発明に係る前述の卓球ラケット用加温器100(
図1等)と同様の効果を得ることができる。
【0028】
以上のとおり、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載の内容に基づいて、様々に変形、変更又はその他任意に改変され得る。
【符号の説明】
【0029】
100 : 卓球ラケット用加温器
11 : 熱伝導手段
12 : 加熱手段
13 : 保持手段
13a: 中央支持部
13b: 外縁支持部
13c: 固定部
13d: 電源接続部
LA : 空気層
Racket: 卓球ラケット
Rubber: 卓球ラケットのラバー