(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制限部は、前記配管が貫通する貫通孔が形成された片持ち状の制限板と、前記制限板の側部に突設され、前記ハウジングの内側に形成されたガイド溝に沿って移動し、前記制限板を前記配管の挿入方向と反対側へ撓ませるガイド突起と、を備える請求項1又は請求項2に記載の配管継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された配管継手では、リテーナの規制部がハウジングの挿入孔内に配置されたOリングの移動を規制し、リテーナの抑制部が挿入孔内に挿入された配管のスプールと係合して配管の抜去方向の移動を抑制している。
【0005】
しかし、上記配管継手では、リテーナをハウジングに対して配管の挿入方向と交差する交差方向から取り付けるため、Oリングが挿入孔の入口からはみ出している場合、Oリングのはみ出し部分に規制部が当接することがある。Oリングの挿入孔からのはみ出し量やリテーナの規制部がOリングのはみ出し部分に当接する角度によっては、Oリングに不具合が生じる可能性がある。そのため、ハウジングにリテーナを取り付ける場合、挿入孔からのOリングのはみ出しを確認しながらリテーナをハウジングに取り付ける必要があり、取付作業が煩雑化している。
【0006】
本発明は、ハウジング内に配置されたOリングの移動を制限する制限部材を配管の径方向外側からハウジングに取り付ける構成において、Oリングに不具合が生じるのを抑制しつつ、簡単な作業で制限部材をハウジングに取り付けられる配管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様の配管継手は、円環状のスプールを有する配管が挿入される挿入孔が形成されたハウジングと、前記挿入孔内に配置され、前記挿入孔の内周面と前記配管の外周面との間をシールするOリングと、前記ハウジングに前記配管の径方向外側から取り付けられ、前記配管の径方向外側から内側へ押し込むと前記配管の挿入方向と反対側へ撓むと共に取付完了すると弾性復帰して前記Oリングの前記配管の挿入方向と反対側への移動を制限する制限部を有する制限部材と、を備える。
【0008】
第1態様の配管継手では、ハウジングに制限部材を取り付ける場合、制限部材をハウジングに対して配管の径方向外側から内側へ押し込むと制限部が配管の挿入方向と反対側へ撓む。すなわち、制限部がOリングから離れる側へ撓むため、Oリングが挿入孔の入口からはみ出ていても制限部が接することなく、制限部材がハウジングに取り付けられる。そして、ハウジングに制限部材が取り付けられる(取付完了する)と、制限部が弾性復帰して、挿入孔内からはみ出したOリングを挿入孔内に押し込み、かつ、Oリングの配管の挿入方向と反対側への移動(言い換えるとOリングの挿入孔内からの抜去方向の移動)を制限する。
上記配管継手によれば、制限部材のハウジングへの取付作業時にOリングが挿入孔の入口からはみ出ていても制限部がOリングから離れる側へ撓むため、Oリングに不具合が生じるのが抑制される。また、制限部材をハウジングに対して配管の径方向外側から内側へ押し込む簡単な作業で制限部材をハウジングに取り付けられる。
【0009】
本発明の第2態様の配管継手は、第1態様の配管継手において、前記制限部材は、前記配管の前記スプールと係合して前記配管の挿入方向と反対側への移動を制限する保持部をさらに有する。
【0010】
第2態様の配管継手では、制限部材の保持部が配管のスプールと係合して配管の挿入方向と反対側への移動が制限される。ここで、上記配管継手では、制限部材が制限部及び保持部を有するため、例えば、制限部材が制限部を有し、他の部材が保持部を有する構成と比べて、1回の取付作業でOリング及びスプールの抜去方向の移動を制限することができる。
【0011】
本発明の第3態様の配管継手は、第1態様又は第2態様の配管継手において、前記制限部は、前記配管が貫通する貫通孔が形成された片持ち状の制限板と、前記制限板の側部に突設され、前記ハウジングの内側に形成されたガイド溝に沿って移動し、前記制限板を前記配管の挿入方向と反対側へ撓ませるガイド突起と、を備える。
【0012】
第3態様の配管継手では、制限部材をハウジングに対して配管の径方向外側から内側へ押し込むと、制限板の側部に突設されたガイド突起がハウジングの内側に形成されたガイド溝に沿って移動して制限板が配管の挿入方向と反対側へ撓む。ここで、上記配管継手では、ガイド溝とガイド突起を用いた簡単な構成で、制限板を配管の挿入方向と反対側へ撓ませることができる。
【0013】
本発明の第4態様の配管継手は、第3態様の配管継手において、前記制限板には、前記貫通孔の周りに前記Oリングと当接可能な環状部が形成されており、前記制限部材の取付完了状態では、前記環状部が前記挿入孔に挿入されている。
【0014】
第4態様の配管継手では、制限部材の取付完了状態において、環状部がハウジングの挿入孔に挿入されていることから、例えば、環状部が挿入孔に挿入されない構成と比べて、Oリングの設置スペースに対するOリングの充填率を向上させることができる。これにより、Oリングによるハウジングと配管との間のシール性が向上する。
【0015】
本発明の第5態様の配管継手は、第3態様又は第4態様の配管継手において、前記制限板の自由端側には、ストッパ部が設けられ、前記ハウジングの内側には、前記制限部材の取付完了状態で前記ストッパ部が嵌合する嵌合部が設けられている。
【0016】
第5態様の配管継手では、制限部材の取付完了状態において、制限板の自由端側に設けられたストッパ部がハウジングの嵌合部に嵌合するため、制限板の配管の挿入方向及び該挿入方向と反対側への撓みが制限される。これにより、上記配管継手では、例えば、制限部材の取付完了状態において、制限板の配管の挿入方向及び該挿入方向と反対側への撓みが制限されない構成と比べて、Oリングによるシール性能を安定して確保できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、ハウジング内に配置されたOリングの移動を制限する制限部材を配管の径方向外側からハウジングに取り付ける構成において、Oリングに不具合が生じるのを抑制しつつ、簡単な作業で制限部材をハウジングに取り付けられる配管継手を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る配管継手について
図1〜
図10を参照しながら説明する。
【0020】
<配管継手20>
本実施形態の配管継手20は、軸方向(図中Xで示す方向)の一方側に図示しないチューブが接続され、軸方向の他方側に円環状のスプール200Aを有する配管200が接続される継手である。この配管継手20によって、チューブと配管200とが連通されるようになっている。なお、配管継手20の軸方向については、以下では適宜「継手軸方向」と記載する。
【0021】
また、本実施形態の配管継手20は、例えば、自動車の配管をつなげる継手として用いられる。なお、本実施形態の配管継手20は、チューブとスプールを有する配管をつなぐ用途であれば、自動車用に限定されない。例えば、航空機、船舶などの乗り物や産業用機器などに用いてもよい。
【0022】
図1に示されるように、配管継手20は、ハウジング22と、Oリング24と、制限部材26と、を備えている。
【0023】
(ハウジング22)
ハウジング22は、樹脂材料の一体成形品である。このハウジング22は、
図1及び
図2に示されるように、継手軸方向の一方側に設けられた円筒状の筒部28と、継手軸方向の他方側に設けられ、上部が開放された箱形状の取付部30とを備えている。なお、配管継手20の継手軸方向に対して直交する方向のうち、配管継手20に対して制限部材26及び後述するチェッカー部材32を取り付ける方向を以下では、配管継手20の下方として図中矢印Dで示す。また、配管継手20の下方に対して上方を図中矢印Uで示し、配管継手20の継手軸方向に対して直交する方向のうち、配管継手20の上方及び下方と直交する方向を継手幅方向として図中W方向で示している。
【0024】
[筒部28]
筒部28は、取付部30に接続された基端部28A側(
図3参照)よりも先端部28B側(
図3参照)の外径が小径とされている。また、筒部28の先端部28Bは先端が先細るテーパー形状とされており、上記チューブに挿入しやすいように構成されている。また、筒部28の先端部28B側には、周方向に沿って延びる環状溝28Cが形成されている。この環状溝28C内には、チューブの内周面と筒部28の外周面(環状溝28Cの底面)との間をシールするためのOリング34が配置されている。このOリング34は、チューブに筒部28が挿入された状態では、外周端部がチューブの内周面に密着し、内周端部が筒部28の外周面に密着する。
【0025】
筒部28は、基端部28A側よりも先端部28B側の内径が小径とされている。この筒部28の内部は、配管200が挿入される挿入孔36を構成している。具体的には、筒部28の内部(内部空間29)は、基端部28Aから先端部28Bに向けて第1内径部29A、第2内径部29B、第3内径部29Cの順で径が小径とされており、第1内径部29A及び第2内径部29Bによって挿入孔36が構成されている。なお、第1内径部29Aの径は、配管200のスプール200Aよりも大径とされている。一方、第3内径部29Cの径は、配管200の外径よりも小径とされている。
【0026】
[取付部30]
取付部30は、前述のように上部が開放された箱形状とされており、制限部材26が上方から開放部分を通して挿入されて、取付部30に取付けられるように構成されている。この取付部30は、ベース部38と、ベース部38の継手軸方向の両端部からそれぞれ上方に向けて立設された対向壁部40、42と、ベース部38の継手幅方向の両端部からそれぞれ上方に向けて立設された一対の側壁部44と、を有している。
【0027】
ベース部38は、取付部30の底部を構成しており、底面上に制限部材26の後述する制限部66及び保持部68のそれぞれの下部が載置される台座部46が形成されている。この台座部46は、継手軸方向に沿って形成されている。
【0028】
[嵌合部48]
ベース部38の台座部46を挟んで継手幅方向の両側には、後述する制限板76の一対のストッパ部80が嵌合する嵌合部48がそれぞれ設けられている(
図5参照)。また、ベース部38の台座部46を挟んで継手幅方向の両側で且つ嵌合部48の継手軸方向の他方側には、後述する支持板88の一対のストッパ部92が嵌合する嵌合部50がそれぞれ設けられている(
図5参照)。これらの嵌合部48、50は、ストッパ部80、92が嵌合できれば、凹部であっても、孔部であっても構わないが、本実施形態では、嵌合部48、50を孔部としている。
【0029】
ベース部38の一対の嵌合部48、50よりも継手幅方向外側には、後述するチェッカー部材32の一対の脚部102の先端部102Aが嵌合する嵌合部52がそれぞれ設けられている(
図5参照)。また、ベース部38の台座部46を挟んで継手幅方向の両側で且つ嵌合部50の継手軸方向の他方側には、後述する一対の脚部108の先端部108Aが嵌合する嵌合部54がそれぞれ設けられている(
図5参照)。これらの嵌合部52、54は、脚部102、108の先端部102A、108Aが嵌合できれば、凹部であっても、孔部であっても構わないが、本実施形態では、嵌合部52、54を孔部としている。
【0030】
また、ベース部38の台座部46よりも継手軸方向の他方側には、後述する保持板82の自由端82Bが挿入される挿入部55がそれぞれ設けられている(
図5参照)。この挿入部55の継手幅方向の長さは、自由端82Bの長さよりも長く設定されている。一方、挿入部55の継手軸方向の長さは、自由端82Bの継手軸方向の長さ(厚み)と略同じに設定されている。
【0031】
なお、本実施形態のベース部38は、継手上方から見て、挿入孔36の継手軸方向に延びる中心線に対し左右対称とされている。
【0032】
対向壁部40は、継手軸方向で対向壁部42に対向して配置されている。また、対向壁部40の継手軸方向の一方側には、筒部28の基端部28Aが接続されている。この対向壁部40には、筒部28と同軸となるように貫通孔56が形成されている。本実施形態では、貫通孔56の径が筒部28の第1内径部29Aと同じ径とされている。
【0033】
また、対向壁部42には、対向壁部40の貫通孔56と同軸となるように貫通孔58が形成されている。本実施形態では、貫通孔58の径が貫通孔56と同じ径とされている。
【0034】
なお、本実施形態の対向壁部40は、継手軸方向から見て、中心線上を通り継手上下方向に沿って延びる直線に対し左右対称とされている。
また、対向壁部42についても同様に継手軸方向から見て、上記直線に対し左右対称とされている。
【0035】
一対の側壁部44の各外面には、チェッカー部材32の一対の脚部104が嵌合する凹部60がそれぞれ設けられている。また、一対の側壁部44の各内面には、継手上下方向に延びるガイド溝62がそれぞれ設けられている。このガイド溝62は、継手軸方向一方側の溝壁面64が後述する制限板76のガイド突起78をガイドするガイド面とされている。この溝壁面64は、溝入口側(
図8では上側)が継手軸方向一方側から他方側へ向けて傾斜する傾斜部64Aとされ、中間部が継手上下方向に沿って延びる直線部64Bとされ、溝出口側(
図8では下側)が継手軸方向一方側から他方側へ向けて傾斜する傾斜部64Cとされている。なお、ガイド突起78がガイド溝62の溝出口から出るときには、制限板76のストッパ部80が嵌合部48に嵌合するように構成されている。
【0036】
なお、本実施形態の側壁部44は、継手軸方向から見て、中心線を通り継手上下方向に沿って延びる上記直線に対し左右対称とされている。
【0037】
(Oリング24)
Oリング24は、
図1に示されるように、筒部28の挿入孔36内に配置されており、挿入孔36内に挿入された配管200の外周面と挿入孔36の内周面との間をシールする。具体的には、Oリング24は、筒部28の第1内径部29A内に2つ配置されている。これらのOリング24の間にはスペーサ25が配置されており、2つのOリングが接触しないようになっている。なお、以下では、2つのOリング24のうち、挿入孔36の入口側(継手軸方向の他方側)のOリングを符号24Aで示し、挿入孔36の奥側(継手軸方向の一方側)のOリングを符号24Bで示す。
【0038】
これらのOリング24A、24Bは、挿入孔36内に配管200が挿入された状態では、それぞれの内周端部が配管200の外周面に密着し、それぞれの外周端部が挿入孔36(第1内径部29A)の内周面に密着している。
【0039】
(制限部材26)
制限部材26は、
図1に示されるように、配管200の径方向外側から取付部30に取り付けられるようになっている。具体的には、取付部30に対して上方から取付部30の開放部分を通して挿入されて取り付けられるように構成されている。
【0040】
この制限部材26は、制限部66と保持部68とを有している。制限部66の上部と保持部68の上部は、継手軸方向に沿って延びる連結部70によって連結されている。なお、制限部66は、保持部よりも継手軸方向の一方側に位置している。
【0041】
制限部66は、配管200の径方向外側から内側へ押し込むと配管200の挿入方向と反対側(継手軸方向の他方側)へ撓み、制限部材26を取付部30に取付完了すると弾性復帰してOリング24A、24Bの配管200の挿入方向と反対側(以下、適宜「抜去方向」と記載する。)への移動を制限するように構成されている。具体的には、制限部66は、配管200が貫通する貫通孔72の周りにOリング24Aと当接可能な環状部74が形成され、連結部70によって片持ち状に支持された制限板76と、制限板76の側部に突設され、ガイド溝62に沿って移動し、制限板76を抜去方向へ撓ませるガイド突起78と、を有している。
【0042】
[制限板76]
制限板76は、制限部材26を取付部30に取り付けた状態(取付完了状態と同じ)で配管200が貫通する位置に貫通孔72が形成されている。この貫通孔72の継手軸方向一方側の縁部には該縁部に沿って円環状の環状部74が設けられている。この環状部74は、
図3及び
図10に示されるように、制限部材26を取付部30に取り付けた状態では、挿入孔36に挿入されるようになっている。また、本実施形態では、環状部74は、基端から先端に向けて先細るテーパー形状とされており、挿入孔36への挿入がしやすくなっている。なお、本発明は上記構成に限定されない。
【0043】
[ストッパ部80]
制限板76の自由端側(
図6及び
図7では下側)には、下方に向けて延出するストッパ部80が継手幅方向の両端側にそれぞれ設けられている。これらのストッパ部80は、制限部材26を取付部30に取り付けた状態でベース部38の嵌合部48にそれぞれ嵌合する。
【0044】
[ガイド突起78]
ガイド突起78は、制限板76の側部を構成するストッパ部80の側面から突出している。このガイド突起78は、継手幅方向から見て、略三角形状とされている。ガイド突起78は、
図8に示されるように、傾斜面78Aがガイド溝62の傾斜部64Aに対して略平行となるように構成されている。なお、本発明は上記構成に限定されない。例えば、ガイド突起78を継手幅方向から見て、円形状(真円及び楕円を含む)及び短辺が下方を向いた台形状としてもよい。すなわち、本発明におけるガイド突起の斜面又は湾曲面がガイド溝62の傾斜部64Aに当接できる構成であれば、どのような構成でも構わない。
【0045】
保持部68は、配管200のスプール200Aと係合して配管200の抜去方向の移動を制限するように構成されている。この保持部68は、連結部70から下方へ延びる一対の保持板82を有している。この保持板82は、連結部70に片持ち状に支持されている。一対の保持板82と連結部70との間に形成される隙間83は、継手軸方向から見て、略円形とされ、配管200が通過可能でかつスプール200Aが通過できない大きさとされている。この隙間83に配管200を通すと、スプール200Aがそれぞれの保持板82の内周部82Aに当接して、一対の保持板82の自由端82Bが互いに離間するようにそれぞれの保持板82が変形する。そして、スプール200Aが保持板82の間を通過した後は、それぞれの保持板82が弾性復帰する。
【0046】
図6に示されるように、保持板82の自由端82B側には、下側でかつ継手軸方向外側へ張り出す張出部84が設けられている。この張出部84は、制限部材26を取付部30に取り付けた状態ではベース部38の挿入部55に挿入されるようになっている。
【0047】
保持板82の基端82C側には、上側でかつ継手軸方向外側へ張り出す張出部86が設けられている。一対の保持板82の各張出部86間には、チェッカー部材32の後述するカバー部100の継手軸方向他方側の端部100Aが若干の隙間をあけて挿入されるようになっている。また、張出部86の継手幅方向外側には、チェッカー部材32の後述するピン106が引っ掛けられる引掛部87が設けられている。
【0048】
[支持板88]
また、制限部材26は、継手軸方向で制限板76と保持板82との間に支持板88を有している。この支持板88は、連結部70に片持ち状に支持されており、配管200が貫通する貫通孔90が貫通孔72と同軸となるように形成されている。この支持板88の自由端側(
図6及び
図7では下側)には、下方に向けて延出するストッパ部92が継手幅方向の両端側にそれぞれ設けられている。これらのストッパ部92は、制限部材26を取付部30に取り付けた状態でベース部38の嵌合部50にそれぞれ嵌合する。
【0049】
図6及び
図7に示されるように、制限板76と支持板88との間には、継手幅方向から見て、くの字状の隙間94が形成されている。具体的には、隙間94は、継手上下方向の上側から中間部へ向けて配管200の挿入方向と反対側へ向けて傾斜し、途中で逆向きに折れ曲がり、中間部から下側へ向けて配管200の挿入方向側へ向けて傾斜している。ここで、制限板76に自由端側から外力が作用すると、
図9に示されるように、制限板76が基端(連結部70との接続部分)を中心にして配管200の挿入方向と反対側へ向けて撓む(撓み変形する)。なお、本実施形態では、隙間94を継手幅方向から見て、くの字状に形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、隙間94を継手幅方向から見て、円弧状に形成してもよい。このように隙間94をくの字状又は円弧状に形成することで、制限板76の配管200から抜去方向の力が作用する部位の厚みを確保することができる。また、制限板76の自由端における撓み量を増加させることができる。
【0050】
支持板88の貫通孔90の上縁部には、継手軸方向他方側に突出する突出部96が設けられている。この突出部96は、上縁部に沿って円弧状に形成されている。また、支持板88の貫通孔90の下縁部には、継手軸方向他方側に突出する突出部98が設けられている。この突出部98は、下縁部に沿って円弧状に形成されている。
【0051】
(チェッカー部材32)
チェッカー部材32は、
図1に示されるように、ハウジング22に対して制限部材26と同じ方向から取り付けられるようになっている。具体的には、チェッカー部材32は、ハウジング22に取り付けられた制限部材26に対して上方から取り付けられるようになっている。
【0052】
チェッカー部材32は、継手軸方向に延びる板状のカバー部100と、カバー部100の継手幅方向の両端側から下方へ向けて延びる板状の一対の脚部102と、カバー部100の一対の脚部102よりも継手軸方向他方側で且つ継手幅方向の両端側から下方へ向けて延びる板状の一対の脚部104と、を有している。
【0053】
カバー部100は、チェッカー部材32のハウジング22への取付完了状態では制限部材26の連結部70を上方から覆うように構成されている。
【0054】
一対の脚部102は、チェッカー部材32のハウジング22への取付完了状態では各々の先端部102Aがベース部38の一対の嵌合部52にそれぞれ嵌合するようになっている。
【0055】
一対の脚部104は、チェッカー部材32のハウジング22への取付完了状態では側壁部44に形成された凹部60に嵌合するようになっている。また、一対の脚部104先端部104Aには、継手軸方向の他方側に突出するピン106が設けられている。このピン106は、保持板82の引掛部87に引っ掛かるようになっている。
【0056】
また、一対の脚部104の各根元には、下方に向けて延びる脚部108がそれぞれ設けられている。この一対の脚部108は、ハウジング22への取付完了状態では各々の先端部108Aがベース部38の一対の嵌合部54にそれぞれ嵌合するようになっている。
【0057】
次に、本実施形態の配管継手20の組み立て手順について説明する。
まず、ハウジング22の挿入孔36内にOリング24(Oリング24A、24B)とスペーサ25を配置する。また、ハウジング22の筒部28の環状溝28C内にOリング34を配置する。
【0058】
次に、制限部材26を取付部30に上方から取り付ける。ここで、
図8に示されるように、制限板76のガイド突起78の傾斜面78Aをガイド溝62の溝壁面64の傾斜部64Aに当接させた状態で、制限部材26を下方へ押し込むと、ガイド突起78が傾斜部64Aから直線部64Bに沿って下方へ移動する。このとき、制限板76の自由端側が、配管200の挿入方向と反対側へ向けて撓む(
図9参照)。そして、ガイド突起78が傾斜部64Cに至ると、制限板76が弾性復帰して、制限板76の自由端側に設けられた一対のストッパ部80がベース部38の嵌合部48にそれぞれ嵌合される(
図10参照)。また、保持板82の一対の張出部84がベース部38の挿入部55にそれぞれ挿入されると共に、支持板88の一対のストッパ部92がベース部38の嵌合部50にそれぞれ嵌合される。
【0059】
次に、チェッカー部材32をハウジング22の取付部30に上方から取り付ける。このとき、チェッカー部材32は、仮取付位置に保持させておく(
図4参照)。このようにして、配管継手20が組み立てられる。
【0060】
次に、本実施形態の配管継手20の配管手順について説明する。
まず、上記で組み立てた配管継手20の筒部28を図示しないチューブに挿入する。
【0061】
次に、ハウジング22の挿入孔36内に配管200の端部を挿入する。ここで、スプール200Aが一対の保持板82の各内周部82Aに当接すると、隙間83が拡がり、スプール200Aが通過可能となる。スプール200Aが通過した後は、一対の保持板82が弾性復帰する。そして、挿入孔36内に挿入された配管200の外周面にはOリング24が密着して、挿入孔36の内周面と配管200の外周面との間がシールされる。
【0062】
次に、チェッカー部材32を、仮取付位置から下方へ押し込んで取付位置へと移動させる。チェッカー部材32がハウジング22に対し取付状態になると、一対の脚部102の先端部102Aが嵌合部52にそれぞれ嵌合され、一対の脚部108の先端部108Aが嵌合部54にそれぞれ嵌合される。このとき、カバー部100の端部100Aが一対の保持板82の各張出部86間に位置して、一対の保持板82の変形(隙間83が拡がる変形)が制限される。これにより、一対の保持板82によって、スプール200Aの抜去方向の移動が制限される。
【0063】
次に、本実施形態の配管継手20の作用効果について説明する。
配管継手20では、ハウジング22の取付部30に制限部材26を取り付ける場合、制限部材26をハウジング22に対して配管の径方向外側から内側へ押し込むと制限部66を構成する制限板76が配管200の挿入方向と反対側へ撓む。すなわち、制限板76がOリング24Aから離れる側へ撓むため、Oリング24Aが挿入孔36の入口からはみ出ていても制限板76が接することなく、制限部材26がハウジング22に取り付けられる。そして、ハウジング22に制限部材26が取り付けられる(取付完了する)と、制限板76が弾性復帰して、挿入孔36内からはみ出したOリング24Aを挿入孔36内に押し込み、かつ、Oリング24Aの配管の挿入方向と反対側への移動(言い換えるとOリングの挿入孔内からの抜去方向の移動)を制限する。
【0064】
配管継手20によれば、制限部材26のハウジング22への取付作業時にOリング24Aが挿入孔36の入口からはみ出ていても制限板76がOリング24Aから離れる側へ撓むため、Oリング24Aに不具合が生じるのが抑制される。また、制限部材26をハウジング22に対して配管200の径方向外側から内側(本実施形態では、上方から下方へ向けて)へ押し込む簡単な作業で制限部材26をハウジング22に取り付けられる。
【0065】
また、配管継手20では、制限部材26の保持部68としての一対の保持板82が配管200のスプール200Aと係合して配管200の挿入方向と反対側への移動が制限される。ここで、上記配管継手20では、制限部材26が制限部66及び保持部68を有するため、例えば、制限部材26が制限部66を有し、他の部材が保持部68を有する構成と比べて、1回の取付作業でOリング24A及びスプール200Aの抜去方向の移動を制限することができる。
【0066】
また、配管継手20では、制限部材26をハウジング22に対して配管200の径方向外側から内側へ押し込むと、制限板76の側部に突設されたガイド突起78がハウジング22の内側に形成されたガイド溝62に沿って移動して制限板76が配管200の挿入方向と反対側へ撓む。ここで、上記配管継手20では、ガイド溝62とガイド突起78を用いた簡単な構成で、制限板76を配管200の挿入方向と反対側へ撓ませることができる。
【0067】
さらに配管継手20では、制限部材26の取付完了状態において、環状部74がハウジング22の挿入孔36に挿入されていることから、例えば、環状部74が挿入孔36に挿入されない、又は、挿入孔36の縁部に当接する構成と比べて、Oリング24の設置スペースに対するOリング24の充填率を向上させることができる。これにより、Oリング24によるハウジング22と配管200との間のシール性が向上する。
【0068】
また配管継手では、制限部材26の取付完了状態において、制限板76の自由端側に設けられたストッパ部80がハウジング22の嵌合部48に嵌合するため、制限板76の配管200の挿入方向及び該挿入方向と反対側への撓みが制限される。これにより、上記配管継手20では、例えば、制限部材26の取付完了状態において、制限板76の配管200の挿入方向及び該挿入方向と反対側への撓みが制限されない構成と比べて、Oリング24によるシール性能を安定して確保できる。
【0069】
前述の実施形態では、制限部材26が制限部66及び保持部68を有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、制限部材26が制限部66を有し、ハウジング22に取付けられる他の部材が保持部68を有する構成としてもよい。
【0070】
また、前述の実施形態では、制限板76にガイド突起78を設け、ハウジング22の内側(側壁部の内面)にガイド溝62を設ける構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、ハウジング22の内側(側壁部の内面)にガイド突起を設け、制限板76の側面にガイド溝を設ける構成としてもよい。
【0071】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。