特許第6722612号(P6722612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722612
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20200706BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   B65D47/06
   B65D47/12
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-56826(P2017-56826)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-158742(P2018-158742A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 航
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−307038(JP,A)
【文献】 特開2000−191008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B65D 47/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有し内容物が充填された容器本体と、
前記口部に同一の中心軸で装着される中栓と、
前記容器本体に螺着したときに、前記口部の内側に挿入された前記中栓の表面部と前記容器本体の表面部との少なくとも一方に接して前記口部を密閉するキャップと、を備え、
前記中栓は、前記中心軸に沿って延び前記口部の内部に挿入される筒状部と、
前記筒状部から前記中心軸を中心とする径方向外側に張り出し前記口部の上端に係合する張出部と、
前記筒状部の底部に設けられた底壁部と、
前記底壁部から上方に突出するノズルとを備え、
前記筒状部は、前記口部の内周面と嵌合する嵌合部と、
前記嵌合部の下端から下方に向かうに従って先細る縮径部とを含み、
前記中心軸を中心とする周方向の所定位置において、前記張出部と前記口部の上端との前記径方向で最も外側の当接位置を基準点としたときに、前記周方向に関して前記中心軸線を挟んだ前記所定位置とは逆側の位置における前記縮径部までの前記基準点からの最大距離は、前記逆側の位置における前記内周面までの前記基準点からの前記径方向の距離以下であることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記周方向の所定位置は、前記周方向に関して前記ノズルが配置された位置とは前記中心軸を挟んだ逆側であることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記キャップは、有蓋筒状の外筒部と、前記外筒部の外周から前記径方向外側に突出して設けられ前記容器本体に螺着する螺着部とを有し、
前記外筒部は、前記螺着部が前記容器本体に螺着したときに、前記筒状部の内側で前記ノズルの周囲を取り囲む位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記中栓は、前記容器本体への螺着が解除された前記キャップを、前記螺着部における前記周方向の所定位置を支点として前記外筒部の上面部が上方に移動する方向に傾けたときに、前記外筒部の下端部が下方から係合する係合部を有することを特徴とする請求項3記載の容器。
【請求項5】
前記係合部は、前記筒状部の内周面に前記周方向に関して前記所定の位置とは前記中心軸を挟んだ逆側の位置に配置された凸部または凹部であることを特徴とする請求項4記載の容器。
【請求項6】
前記係合部は、前記中心軸方向に沿ってリブ状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の容器。
【請求項7】
前記係合部は、前記周方向にリブ状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の容器。
【請求項8】
前記キャップは、前記容器本体への螺着が解除された状態で、前記螺着部における前記周方向の所定位置を支点として前記外筒部の上面部が上方に移動する方向に傾けたときに、前記外筒部の内周面に前記ノズルに下方から係合する第2係合部を有することを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記第2係合部は、前記内周面の周方向の全体に亘って設けられていることを特徴とする請求項8記載の容器。
【請求項10】
前記第2係合部は、前記中心軸方向に間隔をあけて複数配置されていることを特徴とする請求項8または9記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等の液状物や、粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等の粉粒物を収納する容器では、ノズルを有しボトル(容器本体)に装着される中栓と、ノズルから注出される内容液を計量する計量筒部を有し、中栓または容器本体に着脱自在に装着されるキャップとを有するものがある。
【0003】
上記の容器においては、容器本体に対して中栓の取り外しが容易ではないため、内容物の詰め替えの際には、注出部における小さな開口部にパウチ等のノズルを差し込んでいた。この場合、パウチのノズルを開口部に差し込むときに内容物がこぼれたり、詰め替え時間が長くなる等の問題が生じる可能性がある。
【0004】
特許文献1および特許文献2には、ノズル状部材を中栓と別体に形成して、ノズル状部材を中栓周壁内へ着脱自在に嵌合させた容器が開示されている。特許文献1および特許文献2に記載された容器では、詰替え時に、中栓からノズル状部材を取外して中栓の開口部を広くすることにより、パウチのノズルが差し込みやすくなって内容物がこぼれることを抑えることができるとともに、詰め替え作業を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−126225号公報
【特許文献2】特開2000−142760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2に記載された容器では、いずれもノズル状部材を中栓と別体に形成しているため部品点数が増えてコストの上昇を招いてしまう。また、特許文献1および特許文献2に記載された容器では、ノズル状部材と中栓の一方にノズル状部材を中栓に装着するためのアンダーカット形状が設けられている。そのため、アンダーカット形状を有する部品を製造する際に特殊な構造を有する金型を用いる必要が生じ製造コストの上昇および生産性の低下を招く可能性がある。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、コスト上昇および生産性の低下を招くことなく、容易に中栓を取り外せる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に従えば、口部を有し内容物が充填された容器本体と、前記口部に同一の中心軸で装着される中栓と、前記容器本体に螺着したときに、前記口部の内側に挿入された前記中栓の表面部と前記容器本体の表面部との少なくとも一方に接して前記口部を密閉するキャップと、を備え、前記中栓は、前記中心軸に沿って延び前記口部の内部に挿入される筒状部と、前記筒状部から前記中心軸を中心とする径方向外側に張り出し前記口部の上端に係合する張出部と、前記筒状部の底部に設けられた底壁部と、前記底壁部から上方に突出するノズルとを備え、前記筒状部は、前記口部の内周面と嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の下端から下方に向かうに従って先細る縮径部とを含み、前記中心軸を中心とする周方向の所定位置において、前記張出部と前記口部の上端との前記径方向で最も外側の当接位置を基準点としたときに、前記周方向に関して前記中心軸線を挟んだ前記所定位置とは逆側の位置における前記縮径部までの前記基準点からの最大距離は、前記逆側の位置における前記内周面までの前記基準点からの前記径方向の距離以下であることを特徴とする容器が提供される。
【0009】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記周方向の所定位置は、前記周方向に関して前記ノズルが配置された位置とは前記中心軸を挟んだ逆側であることを特徴とする。
【0010】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記キャップは、有蓋筒状の外筒部と、前記外筒部の外周から前記径方向外側に突出して設けられ前記容器本体に螺着する螺着部とを有し、前記外筒部は、前記螺着部が前記容器本体に螺着したときに、前記筒状部の内側で前記ノズルの周囲を取り囲む位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記中栓は、前記容器本体への螺着が解除された前記キャップを、前記螺着部における前記周方向の所定位置を支点として前記外筒部の上面部が上方に移動する方向に傾けたときに、前記外筒部の下端部が下方から係合する係合部を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記係合部は、前記筒状部の内周面に前記周方向に関して前記所定の位置とは前記中心軸を挟んだ逆側の位置に配置された凸部または凹部であることを特徴とする。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記係合部は、前記中心軸方向に沿ってリブ状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記係合部は、前記周方向にリブ状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記キャップは、前記容器本体への螺着が解除された状態で、前記螺着部における前記周方向の所定位置を支点として前記外筒部の上面部が上方に移動する方向に傾けたときに、前記外筒部の内周面に前記ノズルに下方から係合する第2係合部を有することを特徴とする。
【0016】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記第2係合部は、前記内周面の周方向の全体に亘って設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記第2係合部は、前記中心軸方向に間隔をあけて複数配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の容器では、コスト上昇および生産性の低下を招くことなく、容易に中栓を取り外せる容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。
図2】計量キャップ4を外した状態の計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。
図3】中栓6を口部3から取り外す手順を示す図である。
図4】中栓6を口部3から取り外す手順を示す図である。
図5】第2実施形態に係る計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。
図6】第2実施形態に係る中栓6の外観斜視図である。
図7】第2実施形態の中栓6を口部3から取り外す手順を示す図である。
図8】第2実施形態の中栓6を口部3から取り外す手順を示す図である。
図9】第3実施形態に係る計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。
図10】第3実施形態の中栓6を口部3から取り外す手順を示す図である。
図11】計量キャップ4に第2係合部が設けられた計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の容器の実施の形態を、図1ないし図11を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る計量キャップ付き容器(容器)1の正立状態の頂部の縦断面図である。計量キャップ付き容器1は、内容物を収納する容器本体2と、容器本体2における頂部に位置する口部3の外側(外周側)に着脱可能に装着される計量キャップ(キャップ)4と、口部3に装着される中栓6とを備えている。
【0022】
容器本体2は、例えばポリエチレン等のオレフィン系合成樹脂を用いたブロー成型により一体形成されている。容器本体2は、内容物として、例えば、液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等の液状物や、粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等の粉粒物を収納するための収納空間2aを有している。容器本体2の口部3は、上下方向に延びる中心軸Cを中心とする円筒状に形成されている。口部3は、収納空間2aを上方に向けて開放している。口部3の外周には、中心軸C周りに雄ねじ部3aが形成されている。
【0023】
以下の説明では、中心軸Cに沿った方向を中心軸方向、中心軸Cに直交する方向を径方向、中心軸Cを中心とする軸周り方向を周方向と適宜称する。また、中心軸方向における口部3の開放側を上方、口部3のボトル内方側を下方と適宜称する。また、中心軸方向をZ方向とし、図1中、左右方向をX方向とし、Z方向およびX方向と直交する方向(図1中、紙面と直交する方向)をY方向として適宜説明する。
【0024】
中栓6は、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成型により形成されている。中栓6は、中心軸Cに沿って延びる筒状部31、筒状部31の上方側の端部から径方向外側に張り出す環状のフランジ部(張出部)32、筒状部31の底部に設けられた底壁部33、および底壁部33から上方に突出するノズル34を備えている。
【0025】
底壁部33は、下方に凸の略V字状に形成されている。ノズル34は、V字状の底壁部33の一方の傾斜面から上方に延びている。ノズル34は、+X側に開口するU字状の断面形状を有する樋状に形成されている。ノズル34は、中心軸Cに対して−X側に偏って配置されている。断面U字状をなすノズル34の内部は、底壁部33に形成された連通部36によって、容器本体2の収納空間2aと連通している。
【0026】
筒状部31は、嵌合部37および縮径部38を有している。嵌合部37は、筒状部31における上方側に配置されている。嵌合部37は、口部3の内周面3bと嵌合している。縮径部38は、嵌合部37の下側に配置されている。縮径部38は、縮径部38の下端から下方に向かうに従って先細る。
【0027】
フランジ部32は、筒状部31が口部3の内側に挿入されたときに、口部3の上端に上方から係合する。本実施形態のフランジ部32の最大外径は、口部3の外径よりも大きく形成されている。
【0028】
図2は、計量キャップ4を外した状態の計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。
図2に示すように、本実施形態の計量キャップ付き容器1においては、周方向の所定位置においてフランジ部32と口部3の上端との径方向で最も外側の当接位置(図2では、口部3の上端における外周側の端縁)を基準点SPとし、当該基準点SPを含むY方向と平行な軸線を回転中心として、ノズル34の先端が上方に移動する方向(図2では時計回り方向)に中栓6を回転させることにより、中栓6が口部3(容器本体2)から取り外し可能な構成を有している。
【0029】
具体的には、中栓6は、周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置(−X側の位置)における縮径部38までの基準点SPからの最大距離(縮径部38と底壁部33との交差部までの基準点SPからの距離)D1が、上記周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置における内周面3bまでの基準点SPからの径方向の距離D2以下に形成されている(D2≧D1)。
【0030】
図1に戻り、計量キャップ4は、例えばポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成型により形成されている。計量キャップ4は、筒状部31の内部に入り込みノズル34の周囲を取り囲む位置に配置されている有蓋円筒状の計量部(外筒部)41と、計量部41の中心軸C方向の中途から径方向外側に突出するフランジ部43と、フランジ部43の径方向外側の端縁から下方に延びる螺着部42とを有している。計量部41および螺着部42は、中心軸Cを中心とする同軸に配置されている。
【0031】
計量キャップ4は、透明又は半透明に構成されており、計量部41の下端(開口部)を上方に向けた状態で注入した洗剤等の内容物と、計量部41の外周面あるいは内周面に刻印又は印字等により記された計量目盛(図示せず)との相対位置を外方から視認可能である。計量部41の上面は、XY平面と平行であり、計量部41の開口部を上方に向けた状態で安定して載置することが可能である。
【0032】
螺着部42は、計量部41の径方向外側に間隔をあけて配置されている。螺着部42の内周面には、口部3の雄ねじ部3aと螺合する雌ねじ部42aが形成されている。計量キャップ4は、螺着部42の雌ねじ部42aが口部3の雄ねじ部3aと螺合したときに、計量部41の下端が底壁部33および縮径部38と当接しない位置に配置されている。
【0033】
上記構成の計量キャップ付き容器1において、中栓6を口部3(容器本体2)から取り外す手順について説明する。
まず、計量キャップ4を中心軸C周りに回転させて、螺着部42の雌ねじ部42aと口部3の雄ねじ部3aとの螺合を解除する。
【0034】
次に、図3に示すように、基準点SP側(+X側)のみで螺着部42の雌ねじ部42aを口部3の雄ねじ部3aに引っ掛けた状態で、計量部41の上面側を図3中、矢印A1で示すように、雌ねじ部42aと雄ねじ部3aとを引っ掛けた箇所を回転中心として計量キャップ4を傾ける。
【0035】
計量キャップ4を傾けることにより、計量部41の−X側の内周面がノズル34に斜め下方から当接して係合する、または計量部41の下端部の−X側の外周面が筒状部31に斜め下方から当接して係合する。計量部41のノズル34への係合と、計量部41の筒状部31への係合については、計量部41の内周面とノズル34との回転方向の距離、および計量部41の外周面と筒状部31との回転方向の距離が短い方が先に係合する。ノズル34と筒状部31のうち回転方向の距離が短い一方が先に係合した後も、例えば、係合した一方が弾性変形することで計量キャップ4の回転は継続し、ノズル34と筒状部31のうち回転方向の距離が長い他方も計量部41に係合する。
【0036】
ノズル34と係合する計量部41における内周面は、係合部における回転の接線方向(図3において矢印A2で示す)にノズル34を押圧する。筒状部31と係合する計量部41における外周面は、係合部における回転の接線方向(図3において矢印A3で示す)に筒状部31を押圧する。また、計量部41によるノズル34および筒状部31への係合時には、ノズル34および筒状部31に対して上記の接線方向への摩擦力が付与される。
【0037】
計量キャップ4の回転中心と基準点SPとは近接した位置に配置されており、また、押圧方向A2、A3がいずれも上方成分を含む方向であるため、これら二箇所における押圧および摩擦力は、中栓6に対して基準点SPを回転中心とした力のモーメントとして作用する。これにより、中栓6は、基準点SPを回転中心として、図3中、時計回り方向に回転する。
【0038】
ここで、上述したように、周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置(−X側の位置)における縮径部38までの基準点SPからの最大距離D1が、周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置における内周面3bまでの基準点SPからの径方向の距離D2以下に形成されているため、中栓6は、基準点SPを中心として回転した際にも縮径部38が内周面3bに干渉されることなく、図4に示されるように、口部3から取り外される。
【0039】
中栓6が取り外されることにより、口部3には大きな開口部が形成されるため、パウチ等のノズルを差し込んで内容物を容易に詰め替えることができる。また、取り外された中栓6は、計量キャップ4の上下を逆方向として載置することにより、計量部41の内部空間にノズル34が挿入された状態で保管可能である。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の計量キャップ付き容器1においては、基準点SPを中心として回転した際にも内周面3bに干渉されない大きさの縮径部38が中栓6に形成されているため、中栓6を口部3から容易に取り外すことが可能である。本実施形態の計量キャップ付き容器1においては、中栓6とノズル34とを別部材とすることなく先細り形状の縮径部38を設けることによって中栓6を口部3から取り外し可能であるため、中栓6とノズル34とを別部材としたり、中栓6にアンダーカット形状を形成した場合に生じるコスト上昇および生産性の低下を回避することができる。
【0041】
(第2実施形態)
続いて、計量キャップ付き容器1の第2実施形態について、図5乃至図8を参照して説明する。これらの図において、図1乃至図4に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係る計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。図6は、第2実施形態に係る中栓6の外観斜視図である。
【0042】
図5に示されるように、第2実施形態に係る計量キャップ付き容器1は、中栓6に係合部39が設けられている。係合部39は、筒状部31の内周面に設けられた凸形状に形成されている。図6に示すように、係合部39は、周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置(−X側の位置)に配置されている。係合部39は、下端が底壁部33に接続され、中心軸C方向に延びるリブ状に形成されている。係合部39の内周面からの突出量は、計量キャップ4を口部3に装着した際に計量部41に接触しない量に設定されている。
他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0043】
上記構成の計量キャップ付き容器1において、中栓6を口部3(容器本体2)から取り外す際には、計量キャップ4を中心軸C周りに回転させて、螺着部42の雌ねじ部42aと口部3の雄ねじ部3aとの螺合を解除した後に、基準点SP側(+X側)のみで螺着部42の雌ねじ部42aを口部3の雄ねじ部3aに引っ掛けた状態で、図7に示すように、計量部41の上面側を矢印A1で示すように、雌ねじ部42aと雄ねじ部3aとを引っ掛けた箇所を回転中心として計量キャップ4を傾ける。
【0044】
本実施形態では、計量部41の外周面と係合部39との回転方向の距離が、計量部41の内周面とノズル34との回転方向の距離よりも短いため、計量キャップ4を傾けることにより、計量部41の外周面が係合部39に先に斜め下方から当接して係合する。この後、計量キャップ4の回転を継続することにより、計量部41の内周面とノズル34とが係合する。
【0045】
そして、係合部39と係合する計量部41における外周面は、回転の接線方向である矢印A3方向に係合部39を押圧する。また、ノズル34と係合する計量部41における内周面は、回転の接線方向である矢印A2方向にノズル34を押圧する。また、計量部41によるノズル34および係合部39への係合時には、ノズル34および係合部39に対して上記の接線方向A2、A3への摩擦力が付与される。
【0046】
従って、上記第1実施形態と同様に、係合部39およびノズル34における押圧および摩擦力が中栓6に対して基準点SPを回転中心とした力のモーメントとして作用することにより、中栓6は、基準点SPを回転中心として、図7中、時計回り方向に回転する。上述したように、周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置(−X側の位置)における縮径部38までの基準点SPからの最大距離D1が、周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置における内周面3bまでの基準点SPからの径方向の距離D2以下に形成されているため、中栓6は、基準点SPを中心として回転した際にも縮径部38が内周面3bに干渉されることなく、図8に示されるように、口部3から取り外される。
【0047】
このように、本実施形態の計量キャップ付き容器1においては、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、中栓6における筒状部31の内周面に凸形状の係合部39が設けられているため、計量キャップ4を傾けた際に計量部41の外周面が係合部39に係合するまでの回転方向の距離を短くできる。そのため、本実施形態では、迅速に中栓6を口部3から取り外すことが可能になる。
【0048】
また、本実施形態の計量キャップ付き容器1においては、係合部39が中心軸C方向に延びるリブ状に形成されているため、計量部41の下端の位置が変動した場合でも、計量キャップ4を傾けた際に計量部41の外周面を係合部39に確実に係合させることが可能となる。また、本実施形態の計量キャップ付き容器1においては、係合部39の下端が底壁部33に接続されているため、アンダーカット部を成形するための特別な構造を備えることなく中栓6を射出成形により製造することが可能になり、中栓6の製造効率低下を回避することができる。
【0049】
(第3実施形態)
続いて、計量キャップ付き容器1の第3実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。これらの図において、図5乃至図8に示す第2実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図9は、第3実施形態に係る計量キャップ付き容器1の正立状態の頂部の縦断面図である。
【0050】
本実施形態の計量キャップ付き容器1は、中栓6における内周面に凸形状の係合部39Aが設けられている。係合部39Aは、周方向に関して中心軸Cを挟んだ基準点SPとは逆側の位置(−X側の位置)に配置されている。係合部39Aは、中心軸C方向に関してフランジ部32と底壁部33との間の中途に配置されている。係合部39Aは、中栓6の製造(例えば、射出成形)に際してはアンダーカット形状となるが、アンダーカット量が微小量であるため、アンダーカットの状態で成形品を金型から離型させる、いわゆる無理抜きで製造することができる。
他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0051】
上記構成の計量キャップ付き容器1において、中栓6を口部3(容器本体2)から取り外す際には、計量キャップ4を中心軸C周りに回転させて、螺着部42の雌ねじ部42aと口部3の雄ねじ部3aとの螺合を解除した後に、基準点SP側(+X側)のみで螺着部42の雌ねじ部42aを口部3の雄ねじ部3aに引っ掛けた状態で、図10に示すように、計量部41の上面側を矢印A1で示すように、雌ねじ部42aと雄ねじ部3aとを引っ掛けた箇所を回転中心として計量キャップ4を傾ける。
【0052】
本実施形態では、計量キャップ4を傾けたときに、図10に示すように、計量部41の下端部の上方に係合部39Aが位置するため、計量部41の下端部の外周面は、下方から係合部39Aに係合する。
【0053】
従って、上記第2実施形態と同様に、ノズル34における押圧および摩擦力と、係合部39Aにおける下方からの係合が中栓6に対して基準点SPを回転中心とした力のモーメントとして作用することにより、中栓6は、基準点SPを回転中心として、図10中、時計回り方向に回転し、口部3から取り外される。
【0054】
このように、本実施形態の計量キャップ付き容器1においては、上記第2実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、計量キャップ4を傾けたときに、計量部41の下端部の外周面が下方から係合部39Aに係合するため、計量部41の下端部が斜め下方から中栓6の内周面に当接する場合と比較して、より強固に係合させることが可能になり、中栓6をより安定して口部3から取り外すことができる。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、計量部41の下端部の外周面に中栓6の内周面に設けられた係合部39または係合部39Aが下方から係合する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図11に示されるように、計量部41の内周面に下方からノズル34に係合する凸形状の第2係合部40を設ける構成であってもよい(図11では、中栓6の筒状部31およびフランジ部32と、口部3の図示を省略している)。図11に示される第2係合部40は、周方向の全周に亘って形成されている。また、第2係合部40は、中心軸C方向に間隔をあけて複数(図11では、三つ)形成されている。各第2係合部40の断面形状は、中心軸C方向で非対称に形成されている。具体的には、第2係合部40の断面形状は、上側における計量部41の内周面との交差角θ1が、下側における計量部41の内周面との交差角θ2よりも小さく形成されている。
【0057】
上記構成の計量キャップ付き容器1においては、計量キャップ4を傾けたときに、第2係合部40がノズル34に斜め下方から当接して係合するため、上記第2実施形態と同様に、計量キャップ4を傾けた際に計量部41の内周面がノズル34に係合するまでの回転方向の距離を短くできる。そのため、本形態では、迅速に中栓6を口部3から取り外すことが可能になる。また、上記構成の計量キャップ付き容器1においては、第2係合部40が全周に亘って形成されているため、計量キャップ4の螺合を解除するために回転させた場合でも、計量キャップ4を傾けたときに、第2係合部40がノズル34に斜め下方から当接して係合することができる。また、上記構成の計量キャップ付き容器1においては、第2係合部40が中心軸C方向に間隔をあけて複数形成されているため、ノズル34の長さが異なる中栓が口部3に装着されている場合でも、計量キャップ4を傾けたときに、第2係合部40をノズル34に係合させて中栓を取り外すことが可能である。また、上記構成の計量キャップ付き容器1においては、第2係合部40の断面形状は、上側における計量部41の内周面との交差角θ1が、下側における計量部41の内周面との交差角θ2よりも小さく形成されているため、計量キャップ4を射出成形により製造する際に、上述した無理抜きで金型から計量キャップ4を離型させる際の離型抵抗を小さくすることができる。
【0058】
また、上述した計量キャップ4に第2係合部40を設けるとともに、中栓6に係合部39または39Aを設ける構成としてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、中栓6における筒状部31の内周面に凸形状の係合部39、39Aを設ける構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、筒状部31の内周面に凹形状で係合部を設ける構成であってもよい。同様に、計量部41の内周面に凹形状の第2係合部を設ける構成であってもよい。また、上記実施形態で説明した係合部39、39Aおよび第2係合部40の数は一例であって、係合部39が周方向に間隔をあけて複数配置される構成や、係合部39Aが中心軸C方向に間隔をあけて複数配置される構成等、上記とは異なる個数を配置する構成であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、計量キャップ4を用いて中栓6を口部3(容器本体2)から取り外す構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、計量キャップ4を外した後に、ノズル34の先端を押圧することで、基準点SPを含むY方向と平行な軸線を回転中心として、ノズル34の先端が上方に移動する方向に中栓6を回転させて口部3から取り外すことも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…計量キャップ付き容器(容器)、 2…容器本体、 3…口部、 3b…内周面、 4…計量キャップ(キャップ)、 6…中栓(ノズルキャップ)、 31…筒状部、 32フランジ部(張出部)、 33…底壁部、 34…ノズル、 37…嵌合部、 38…縮径部、 39、39A…係合部、 40…第2係合部、 C…中心軸、 SP…基準点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11