(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722671
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】医療デバイス及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/26 20060101AFI20200706BHJP
A61B 18/24 20060101ALI20200706BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20200706BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20200706BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
A61B18/26
A61B18/24
A61B1/00 715
A61B1/00 621
A61B1/018 511
A61B17/22
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-530752(P2017-530752)
(86)(22)【出願日】2015年12月10日
(65)【公表番号】特表2018-500986(P2018-500986A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】US2015064892
(87)【国際公開番号】WO2016094610
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】62/090,732
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】シウラ ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘラ マーク
(72)【発明者】
【氏名】ゴダード ジェイムズ
【審査官】
北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】
特表平05−504269(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0085769(US,A1)
【文献】
特開平11−009707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/26
A61B 18/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
遠位端、近位端、該遠位端に位置付けられた少なくとも1つの側部ポート、及び遠位端面を有するチューブと、
前記少なくとも1つの側部ポートと連通し、かつ前記チューブの前記近位端を該少なくとも1つの側部ポートに流体的に接続する洗浄内腔と、
前記チューブの前記近位端から前記遠位端面まで延びる作業チャネルと、
石を粉砕するためにレーザエネルギを導くように構成されたレーザエネルギ導入装置であって、前記レーザエネルギ導入装置は前記作業チャネル内に配置される、前記レーザエネルギ導入装置とを含み、
前記作業チャネルは、前記作業チャネル内に前記レーザエネルギ導入装置を受け入れると共に、粉砕された石の断片又は他の粒子を取り除くため、前記レーザエネルギ導入装置の周囲の及び前記作業チャネルの遠位開口部を通した吸引を提供するように形成されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
前記作業チャネルは、第1の近位ポートと、第2の近位ポートとを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記レーザエネルギ導入装置が、レーザ制御部から前記作業チャネル内の前記第1の近位ポートを通って前記遠位端面まで延びることを特徴とする請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
真空源が、前記作業チャネル内の前記第2の近位ポートに接続されることを特徴とする請求項2又は3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記作業チャネルに接続された真空源、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記内腔に接続された流体供給アセンブリ、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
第2の内腔と流体連通し且つ前記洗浄内腔と接続される第2の側部ポート、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの側部ポートは、前記チューブの前記遠位端に向けて角度が付いていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記遠位端面に位置付けられた照明デバイス、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記遠位端面に位置付けられた撮像デバイス、
を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
医療デバイスであって、
遠位端、近位端、該遠位端に位置付けられた少なくとも1つの側部ポート、及び遠位端面を有するチューブと、
前記少なくとも1つの側部ポートと連通すると共に前記少なくとも1つの側部ポートで終端し、かつ前記チューブの前記近位端を該少なくとも1つの側部ポートに流体的に接続する内腔と、
前記チューブの前記近位端から前記遠位端面まで延びる作業チャネルと、
石を粉砕するためにレーザエネルギを導くように構成されたレーザエネルギ導入装置であって、前記レーザエネルギ導入装置は前記作業チャネル内に配置される、前記レーザエネルギ導入装置とを含み、
前記作業チャネルは、粉砕された石の断片又は他の粒子を取り除くため、前記レーザエネルギ導入装置の少なくとも一部の周囲の及び前記作業チャネルの遠位開口部を通した吸引を提供するように形成されることを特徴とする医療デバイス。
【請求項12】
前記作業チャネルは、第1の近位ポートと、第2の近位ポートとを含むことを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記レーザレーザエネルギ導入装置が、レーザ制御部から前記作業チャネル内の前記第1の近位ポートを通って前記遠位端面まで延びることを特徴とする請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
真空源が、前記作業チャネル内の前記第2の近位ポートに接続されることを特徴とする請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記作業チャネルに接続された真空源、
を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記内腔に接続された流体供給アセンブリ、
を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項17】
第2の内腔と流体連通し且つ前記洗浄内腔と接続される第2の側部ポート、
を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つの側部ポートは、前記チューブの前記遠位端に向けて角度が付いていることを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記遠位端面に位置付けられた照明デバイス、
を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記遠位端面に位置付けられた撮像デバイス、
を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、本明細書にその全体が引用によって組み込まれている2014年12月11日出願の米国仮特許出願第62/090,732号からの優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、一般的に医療デバイスに関する。より具体的には、本発明の開示は、例えば物体を粉砕してより小さい粒子にすること及び得られる粒子を患者から除去することのような医療用途に使用するための医療デバイスに関する。本発明の開示はまた、そのような器具の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に腎臓結石と呼ばれる尿路結石の除去のための入院の発生率は、毎年200,000例と推定されている。大部分のそれらの患者は、彼らの結石を自然に通過させるが、残りの患者では、腎臓結石は、腎臓を膀胱に接合する筋肉管である尿管内で嵌入された状態になり、又は結石は、大きすぎて自然に通過することができない場合がある。嵌入された腎臓結石は、激痛及び出血の原因であり、感染の原因であり、かつ結石がいずれかの長時間にわたって尿の流れを完全に遮断する場合には腎臓の損失を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、石を粉砕してより小さい断片にするのに様々な方法が利用されている。1つのそのような方法は、石ダスティングである。石ダスティングは、石を断片化して腎臓から排出するのに一部の泌尿器科医によって使用され、かつ多くの場合に尿管鏡によって行われる。レーザからの強力な光エネルギが尿管鏡内のファイバを通過し、石を粉砕して益々小さい部分にする。石を粉砕してバスケットによって除去される大きい塊にするのではなく、ダスティングは、自然に通過することが可能である非常に小さい断片を発生させる。しかし、一部の場合に、これらの小さい石断片は、自然に通過しない場合がある。例えば、石断片は、腎臓の下極のようなそれらが自然に流出する可能性が低い腎臓の区域に集まる場合がある。理論的には、自然尿流れを通して排出しないこれらの小さい石断片のいずれも、新しい石成長の種である可能性があると考えられる。これに加えて、一部の場合では、石及び/又は石断片は、レーザによって尿管鏡から押し離される場合があり、従って、尿管鏡を位置決めし直すことなく石又は石断片を粉砕してより小さい断片にすることを継続することを不可能にする。本発明の開示は、当業技術における上述の方法及び他の問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示の態様は、物体を粉砕してより小さい粒子にし、かつ粒子を人体から除去する方法を提供する。
【0006】
上述の概要及び以下の詳細説明の両方は、例示的及び説明的に過ぎず、制限するものではないことは理解されるものとする。
【0007】
一例では、医療デバイスは、遠位端、近位端、遠位端に位置付けられた少なくとも1つの側部ポート、及び遠位端面を有するチューブと、少なくとも1つの側部ポートと連通し、かつチューブの近位端を少なくとも1つの側部ポートに流体的に接続する内腔と、チューブの近位端から遠位端面まで延びる作業チャネルとを含むことができる。
【0008】
医療デバイスの例は、これに加えて及び/又はこれに代えて1又は2以上の他の特徴を含むことができる。以下に説明する様々な例の特徴は、その逆を明記しない限り、組み合わせることができる。例えば、レーザは、作業チャネル内に配置される。別の例では、作業チャネルは、チューブの遠位端面に対して近位に位置付けられた第1の開口部と、チューブの遠位端面に対して近位に位置付けられた第2の開口部とを含む。レーザは、レーザ制御部から作業チャネル内の第1の開口部を通って遠位面端部まで延びることができる。真空源は、作業チャネル内の第2の開口部に接続することができる。真空源は、作業チャネルに接続することができる。流体供給アセンブリは、内腔に接続することができる。第2の側部ポートは、第2の内腔と流体連通することができる。少なくとも1つの側部ポートは、角度を付けることができる。照明デバイスを遠位端面に位置付けることができる。これに加えて又はこれに代えて、撮像デバイスを遠位端面に位置付けることができる。
【0009】
別の例では、医療デバイスを作動させる方法は、真空源を医療デバイスの作業チャネルに結合する段階と、流体供給アセンブリを医療デバイスの遠位端に位置付けられた少なくとも1つの側部ポートを有する内腔に結合する段階とを含むことができる。
【0010】
医療デバイスを作動させる方法の例は、これに加えて及び/又はこれに代えて1又は2以上の他の特徴を含むことができる。例えば、作業チャネルを通してレーザを結合する段階である。レーザ及び真空源は、同時に作業チャネルに結合することができる。真空源及び流体供給アセンブリの結合は、それぞれ、流量制御可能真空源及び流体供給アセンブリを結合する段階を更に含むことができる。
【0011】
別の例では、医療デバイスを作動させる方法は、作業チャネルと少なくとも1つの側部ポートに流体連通している内腔とを含む医療デバイスをターゲット区域に位置決めする段階と、内腔を通して少なくとも1つの側部ポートに流体を供給する段階と、作業チャネルを通して吸引を印加する段階と、作業チャネル内にレーザを配置する段階と、レーザを開始する段階とを含むことができる。
【0012】
医療デバイスを作動させる本方法の例は、これに加えて及び/又はこれに代えて1又は2以上の他の特徴を含むことができる。例えば、吸引を印加する段階は、レーザを開始する段階の後に実施することができ、吸引を印加する前にレーザを除去する。少なくとも1つの側部ポートは、導入された流体を遠位に向けるように角度を付けることができる。これに加えて又はこれに代えて、内腔を通る流量は、作業チャネルを通る流量に適合することができる。
【0013】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、様々な例を示し、かつ説明と共に本発明の開示の原理を説明するのに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】チューブ、ハンドル部分、流体供給アセンブリ、レーザ源、照明源、撮像装置、及び真空源を含む例示的尿管鏡を示す図である。
【
図2】
図1の尿管鏡の例示的遠位端を示す図である。
【
図3】本明細書に開示する尿管鏡を使用する例示的方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の開示の態様をここで以下に詳細に参照し、その例は、添付の図面で示されている。可能な時はいつでも、同じか又は類似の部分を指すために図面を通して同じ参照番号を以下に使用する。
【0016】
概観
本発明の開示の態様は、腎臓結石を粉砕してより小さい粒子にし、身体からそれらの粒子を除去するためのシステム及び方法に関する。本明細書に説明する医療デバイスは、尿管鏡と尿管鏡の内腔内に配置されたレーザとを身体内に位置決めすることによって機能することができる。レーザを使用して、腎臓結石を粉砕して粒子にすることができる。レーザ処理中又は身体及び/又は内腔からレーザを除去した後に、尿管鏡は、得られた粒子を身体から真空引きすることができる。より具体的には、一部の例では、尿管鏡は、少なくとも2つの内腔を有するチューブを含む。第1の内腔は、流体を提供してターゲット区域を洗浄する。第2の内腔は、レーザを受け入れて位置決めし、かつ吸引を行って粒子と共に洗浄流体を搬送するように構成された作業チャネルとすることができる。
【0017】
ターゲット区域はあらゆる位置とすることができる。一部の例では、ターゲット区域は、以下に限定されるものではないが、腎臓を含む尿路内のどこかとすることができる。一部の例では、ターゲット区域は、腎臓結石が位置することが既知であるか又は疑わしい身体の部位とすることができる。
【0018】
詳細な例
図1は、石断片/細粉を除去するための例示的医療デバイス100を示している。デバイス100は、チューブ102を含むことができる。チューブ102は、側部ポート122、遠位端104、近位端106、並びに独立の第1及び第2の内腔、洗浄内腔112、及び作業チャネル114(
図2)を有する中空、可撓性、細長チューブとすることができる。洗浄内腔112及び作業チャネル114は、チューブ102の遠位端104と近位端106の間を延びることができる。これに加えて又はこれに代えて、洗浄内腔112及び作業チャネル114は、チューブ102の遠位端104に対して近位に終端することができる。例えば、一部の例では、洗浄内腔112は、チューブ102の側部ポート122で終端することができ、側部ポート122は、洗浄流体の流れを可能にするように開くことができる。作業チャネル114は、レーザ120の導入及び/又は吸引の印加を可能にするようにチューブ102の遠位端104において開いたままにすることができる。チューブ102の近位端106は、ハンドル部分110に結合することができる。チューブ102のハンドル部分110及び/又は近位端106は、レーザ制御部130、流体供給アセンブリ140、真空源150、照明源160、及び/又は撮像装置170に取り付けることができる。
【0019】
A.ハンドル部分
ハンドル部分110は、例えば、溶接、ロッキング構成接着剤によってチューブ102に取り付けるか、又はチューブ102と一体的に形成することができる。ハンドル部分110は、複数のポートを含むことができる。例えば、それぞれ、第1のポートは、洗浄内腔112を流体供給アセンブリ140と流体連通状態に置くことができ、第2のポートは、作業チャネル114を真空源150と流体連通状態に置くことができる。追加のポート及び内腔は、チューブ102の遠位端104に又はその近くに位置付けられたレーザ、照明デバイス、及び/又は撮像デバイスに供給及び/又はそれを制御するために提供することができる。例えば、作業チャネル114は、真空源150を接続するための第1のポートと、レーザ120及び/又はレーザ源130を接続するための第2のポートとの2つのポートを含むことができる。ハンドル部分110は、起動機構(図示せず)を含み、チューブ102の遠位端104に位置付けることができる1又は2以上の医療デバイスを起動することができる。例えば、ハンドル部分は、起動機構を含み、レーザ、照明デバイス、及び/又は撮像デバイスの電源をオン又はオフにすることができる。
【0020】
B.チューブ
チューブ102は、円形、長円形、不規則形、及び/又は身体に入るのに適切なあらゆる形状とすることができる。更に、チューブ102は、その長さに沿って均一形状を有することができ、又は身体内への挿入を容易にするように遠位端でのテーパのような様々な形状を有することができる。特定の実施及び意図する用途に応じて、チューブ102の長さが異なる場合がある。チューブ102の直径は、体腔に基づいて調節することができる。同様に、特定の実施及び意図する用途に応じて、チューブ102は、その全長に沿って剛性、その長さの一部分に沿って可撓性、又はある一定の指定位置のみで屈曲するように構成することができる。
【0021】
一例では、チューブ102は、当業技術で理解されるように、身体内腔内で柔軟なステアリングをするのに適する可撓性とすることができる。例えば、チューブ102は、ステアリングシステム(図示せず)を含み、少なくとも一部分(例えば、遠位端104)を上/下に及び/又は左右に移動することができる。例えば、チューブ102の回転、平行移動、又は曲げセクションの追加の関節によって提供される追加の自由度も実施することができる。そのようなステアリングシステムの例は、滑車、制御ワイヤ、歯車、及び電動アクチュエータのうちの少なくとも1つ又はその全てを含むことができる。
【0022】
チューブ102は、体腔及び身体管を横断するほど十分な可撓性を有するあらゆる適切な材料で形成することができる。一般的に、チューブ102は、生体組織又は生体システムに適合するあらゆる適切な材料で作ることができる。すなわち、チューブ102は、免疫反応又は拒絶反応を引き起こすべきではない非毒性又は無害とすることができる。一部の例では、チューブ102は、高分子エラストマー、ゴム管、及び/又は医学的に認められたポリ塩化ビニル管で作ることができる。高分子エラストマーは、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル)、シリコーン、ポリ尿素、及び/又はC−Fexとすることができる。
【0023】
チューブ102は、使用中に周囲組織に最小の危険性を課すように設計することができる。この目的のために、チューブ102の1又は2以上の部分は、丸いか又は斜角終端部又は面のような無傷幾何学的構造を含み、周囲組織の障害及び刺激を低減することができる。
【0024】
体腔内でチューブ102を有効に誘導するために、オペレータは、常に体腔においてチューブ102の正確な位置を知る必要があると考えられる。この目的のために、チューブ102の1又は2以上の部分は、プラスチック材料に硫酸バリウムを含めること、又は1又は2以上の金属部分を含めることなどによって放射線不透過性とすることができ、それらは十分な放射線不透過性を提供する。これに加えて又はこれに代えて、チューブ102の遠位端104は、放射線不透過性又は超音波反射性マーカ(図示せず)を含むことができる。それらのマーク付けは、患者の身体内のチューブ102の位置及び/又は向きの検出を容易にし、オペレータは、適切な撮像機器の助けによってチューブ102が辿る経路を追跡することができる。これは、オペレータが敏感組織への潜在的な損傷を回避するのを補助することができる。蛍光透視案内を使用することにより、直接可視化(例えば、撮像装置)に必要であったであろうチューブ102内の空間は、これに代えて内腔のサイズ及び/又は導入される流体の流量を最大にするのに使用することができる。
【0025】
更に、チューブ102は、あらゆる適切なコーティング及び/又はカバーリングを含むことができる。例えば、外面は、潤滑材料の層を含み、身体内腔を通した挿入又は外科的挿入を容易にすることができる。更に、チューブ102は、「テフロン(登録商標)」のような生体適合性材料で被覆することができる。体腔内の細菌増殖を抑制するために、チューブ102は、抗菌コーティングで被覆することができる。更に、抗炎症性物質も、必要な場合にチューブ102の外面に適用することができる。
【0026】
図2は、尿管鏡100の例示的遠位端104を示している。
図2に示す例では、洗浄内腔112は、2つの横向き側部ポート122を有し、作業チャネル114は、1つの遠位向き開口部128を有する。
【0027】
洗浄内腔112は、流体供給アセンブリ140と流体連通することができ、側部ポート122は、腎臓のような望ましい部位の中に流体を導入するために設けることができる。オペレータは、洗浄内腔112と流体供給アセンブリ140との間の接続を確立することができる。流体供給アセンブリ140は、洗浄内腔112を通してチューブ102の遠位端104にかつ腎臓のような望ましい部位の中に流体を提供することができる。流体供給アセンブリ140は、流体を洗浄内腔112に供給することができるあらゆる1及び/又は複数のデバイスとすることができる。流体供給アセンブリ140は、以下に限定されるものではないが、流体源、ポンプ、制御システム、熱交換器、フィルタ、温度センサ、圧力センサ、供給ライン、及び/又は様々なユーザ入力デバイスを含むことができる。一部の例では、供給される流体は、生理食塩溶液、例えば、0.9%食塩水である。
【0028】
洗浄内腔112は、以下に限定されるものではないが、円形、半円形、及び非円形を含むあらゆる形状とすることができる。例えば、洗浄内腔112は、平坦なチューブとすることができる。そのような形状は、尿管鏡と共により有効に空間を使用することができる。例えば、そのような形状は、作業チャネル114がより大きい断面積を有することを可能にすることができる。
【0029】
側部ポート122は、チューブ102の半径方向外向きに(例えば、チューブ102の長手軸に対してほぼ垂直に)流体を導入することができ、又は側部ポート122は、洗浄流体が尿管鏡の遠位端に向けて導入されるように尿管鏡の遠位端に向けて角度を付けることができる。側部ポート122を通して導入される流体の角度はまた、側部ポート122に接続された通路の角度を含むことができる。流体の導入の角度は、チューブ102の長手軸から約10度よりも大きい角度からチューブ102の長手軸から約90度未満まで、好ましくは、約20度〜約80度とすることができる。一部の例では、流体の導入の好ましい角度は、約30度〜約60度とすることができる。チューブ102の遠位端に向う流体の導入の角度は、石断片/細粉を真空に向けて、例えば、作業チャネル114の遠位開口部128に向けて押圧するのを補助することができる。あらゆる距離で離間し、かつチューブ102の半径方向面に沿ってどこにでも位置付けることができるあらゆる数の側部ポート122があることに注意しなければならない。
図2は、側部ポート122と連通する単一洗浄内腔を示すが、各側部ポートは、独立に個別の内腔と連通状態にすることができる。
【0030】
チューブ102の側部上に側部ポート122を位置決めすることにより、より多くの面積がチューブ102の遠位面で利用可能であり、従って、作業チャネル114の遠位開口部128の断面積を最大にすることができる。
【0031】
作業チャネル114は、真空源150、レーザ制御部130、及び遠位開口部128のうちの少なくとも1つ又はその全てと流体連通することができる。遠位開口部128は、チューブに対して実質的に垂直とすることができ(例えば、
図2に示すように)、先細にするか又は角度を付けることができ、又はあらゆる他の適切な向きにすることができる。遠位開口部は、あらゆるサイズ及び/又は形状とすることができる。作業チャネルの114の近位端は、あらゆる形状又は構成を有することができる。例えば、作業チャネル114は、2つの開口部を有することができ、又はチューブ102の近位端106で又はその近くで分岐することができる。作業チャネル114は、作業チャネル114が実質的に真空源150及びレーザ制御部130に接続することを可能にするあらゆる方法で構成することができる。これは、吸引が作業チャネル114を通して行われると同時に作業チャネル114内にレーザ120を配置することを可能にすることができる。
【0032】
オペレータは、作業チャネル114を真空源150(例えば、家庭用掃除機、真空ポンプ、その他)に接続することができる。一部の例では、作業チャネル114及び真空源150は、導管を通じて接続することができる。導管は、可撓性材料(例えば、ポリマーチューブ)、剛性材料、又は可撓性材料及び剛性材料の両方の組合せで作ることができる。一部の例では、導管は、プラスチック又は金属繊維で編組みされるか又は巻き付けられ、真空圧力下の捩れ形成に対して又は圧潰に対して導管の抵抗を改善することができる。一部の例では、導管は、様々な目的のために、例えば、腐食に対する及び/又は体液からの保護のためにその内面又は外面上にコーティングを含むことができる。一般的に、導管は、その意図する用途に適切なあらゆる寸法を有することができる。一部の例では、細長いポリマー又はポリプロピレンチューブは、導管として機能を果たすことができる。
【0033】
レーザ120は、作業チャネル114を通して患者の中に導入することができる。レーザ120は、レーザ制御部130に接続され、及び/又はそれによって制御することができる。レーザ120を利用して腎臓結石をより小さい石断片に粉砕することができる。
【0034】
真空源150及びレーザ制御部130を作業チャネル114に別々に及び/又は同時に接続するのに加えて、作業チャネル114は、他の器具への接続又はそれらの位置決めのためである場合がある。例えば、洗浄流体も、作業チャネル114を通して注入することができる。
【0035】
図2に示すように、一部の例では、洗浄内腔112は、側部ポート122を通して体腔に開くことができ、作業チャネル114は、チューブ102の遠位端104を通して体腔に開くことができる。この構成は、反後方突進効果を生成することによって腎臓結石を破壊する機能を改善することができる。作業チャネル114を通して吸引を印加することにより、腎臓結石は、レーザ120に向けて引かれ、こうして腎臓結石を押しのけるレーザエネルギの効果に対抗することができる。すなわち、この構成は、レーザ120の到達範囲の中に石を引き込むことによってより小さい石断片を発生させるのを補助する。それはまた、作業チャネル114内への及び身体から外への石断片の吸引を改善することができる。側部からの洗浄を有することにより、流入流体は、石細粉の真空引きと干渉する可能性は低い。例えば、この構成は、流体の導入を通して圧力平衡を維持する望ましい効果を提供する一方で、作業チャネル114の遠位開口部128から腎臓結石及び/又は石断片/細粉を押しのける流体導入の不要な効果を回避することができる。これに加えて又はこれに代えて、この構成は、チューブ102の遠位端104に対して近位に位置付けられた石断片/細粉を作業チャネル114の遠位開口部128に対して遠位の位置に押し込み、従って、石断片/細粉を身体から作業チャネル114の中に吸引することを可能にすることができる。
【0036】
2つの内腔が
図2に示されているが、チューブ102は、あらゆる数の内腔を含むことができる。チューブ102に含まれる内腔は、あらゆるサイズ、形状、及び/又はあらゆる構成にすることができる。いずれの内腔も、いずれかの適切なコーティングを含むことができる。例えば、内腔は、潤滑材料の層を含み、あらゆる器具及び/又はデバイスの挿入を容易にすることができる。一部の例では、作業チャネル114は、潤滑材料で被覆されてレーザ120の挿入を容易にすることができる。
【0037】
一部の例では、チューブ102の遠位端104は、撮像デバイス124及び/又は照明デバイス126のような可視化デバイスを含むことができる。それらのデバイスは、それぞれ撮像装置170及び照明源160に接続することができる。
図2に示すように、撮像デバイス124及び照明デバイス126は、チューブ102の遠位向き面上に配置することができる。それらのデバイスは、チューブ102と一体的に形成することができ、又は公知の結合機構を使用して遠位端104に取り付けることができる。これに代えて、可視化デバイスは、必要な時に洗浄内腔112及び/又は作業チャネル114を通してチューブ102の中に脱着可能に導入することができる。例えば、洗浄内腔112及び/又は作業チャネル114の近位端は、二股にして追加デバイスの導入、並びに流体供給装置140及び/又は真空源150のいずれかへの接続を可能にすることができる。これに加えて又はこれに代えて、洗浄内腔112及び/又は作業チャネル114は、追加デバイスの導入のための近位端106での側部ポートを含むことができる。
【0038】
C.例示的な作動方法
図3は、腎臓結石を粉砕して石断片/細粉にし、かつそれらの石断片/細粉を身体から除去するための医療デバイスの例示的使用方法を示している。議論目的のために、方法300は、上述のように
図1の医療デバイス100(内腔112及び114を含む)を使用して説明することになるが、方法300はそれに限定されるように意図していない。
図3に示すように、方法300は、段階302、304、306、308、310、312、及び314を含む。しかし、方法300は、特定の実施に対して望ましいようにより多いか又は少ない段階を含むことができ、段階の順序は変えることができることに注意しなければならない。
【0039】
方法300は、オペレータ(例えば、医師又は他の医療職員)が尿管鏡(例えば、尿管鏡100)を患者の中に挿入する時に開始することができる(段階302)。段階304では、オペレータは、チューブ102の遠位端104を患者の尿道の中に挿入することができる。オペレータは、遠位端104が膀胱に入ってそれを通り、尿管入ってそれを通り、腎臓の中に入るようにチューブ102を進めることができる。オペレータは、患者の腎臓内にチューブ102の遠位端104を位置決めすることができる。オペレータは、チューブ102の遠位向き面及び/又は作業チャネル114の遠位開口部128をターゲット区域の近くに位置決めすることができる。ターゲット区域は、石及び/又は石断片が位置付けられていることが既知であるか又は疑われている部位である場合がある。当業技術で公知のように、撮像デバイスを利用して石の位置を決定することができる。
【0040】
尿管鏡は、位置付けられた石にレーザを視準することができるように調節することができる。例えば、レーザ120は、作業チャネル114内に配置することができ、作業チャネル114の遠位開口部128は、石に対して近位に位置決めすることができる。一部の例では、レーザは、段階304中に尿管鏡内に配置される。他の例では、レーザは、部分的にのみ尿管鏡内に配置することができ、又は段階304中に尿管鏡に対して外部である場合がある。レーザは、次に、尿管鏡100がオペレータの望ましい位置にある状態で尿管鏡100を通して遠位端104まで延びることができる。
【0041】
レーザが腎臓結石を視準するのに十分な位置にある状態で、オペレータは、レーザが腎臓結石を破砕するのを開始することができる(段階306)。次に、方法300は、段階308に進むことができる。段階308では、オペレータは、流体供給アセンブリ140をオンにして洗浄内腔112を通して流体をターゲット区域に導入することができ、及び/又はオペレータは、吸引をオンにして石断片/細粉を作業チャネル114の中に引き込むことができる。流体は、連続流れで導入することができる。一部の例では、流体は、最初はパルス流れで導入することができる。パルス流れは、患者の身体内の様々な面に付着している石断片/細粉を取り除くことができる。パルス流れは、乱流を生成する場合がある。乱流は、石断片/細粉が自然に流れ出る可能性が低い区域(例えば、腎臓の下極)に位置付けられる場合があるあらゆる石断片/細粉をかき混ぜることができる。乱流は、作業チャネル114を通して石断片/細粉をより有効に吸い出すことができるようにそれらを懸濁中に保つのを補助することができる。
【0042】
流体は、様々な流量で供給洗浄内腔112に提供することができる。一部の例では、流量は、規則的間隔、例えば、数分毎にパルス駆動することができる。パルス流れは、断続的に中断されるか又は単に速度が断続的に低減されるかのいずれかの流れとすることができる。流量は、周期的及び非周期的振動パターンのような複合流量パターンでパルス駆動することができる。例えば、パルス間隔(パルスサイクル間の時間)は調節可能である場合があり、かつ例えば毎秒100パルスから2秒毎に1パルスサイクルまでに及ぶ場合がある。パルスパターンは、予め設定され、オペレータによってリアルタイムで決定することができ、又は感知機構から収集されたパラメータに基づいて能動的に制御かつ最適化され、かつプロセッサによって実施することができる。パルス流れは、あらゆる方法で生成することができる。一例では、パルス流れは、機械式ポンプで生成することができる。機械式ポンプは、間隔を置いて流体に対して圧力を印加かつ解除することができる。機械式ポンプは、手動で作動かつ制御することができ、又はプロセッサが、パルスのパターン、持続時間、強度、間隔、その他を制御することができる。
【0043】
吸引は、導入流体の流量に適合する流量で印加することができる。適合する流量は、患者への害を防止するあらゆる流量とすることができる。例えば、適合する流量は、当業技術で公知のように、システム内に流体がないことに起因して腎臓が圧潰するのを防止する吸引の流量に関連した流体の導入のあらゆる流量とすることができる。適合する流量は、デバイスの作動中に圧力平衡を維持するのを補助することができる。一部の例では、圧力センサもターゲット区域及び/又は遠位端104に又はその近くに位置付けられて圧力平衡を維持するのを補助することができる。
【0044】
真空源150は、オペレータが吸引を変化させることを可能にすることができる。真空源150は、患者の近くに位置付けることができ、又は遠隔に位置付けることができる(壁上に位置付けられた真空源のような)。
【0045】
オペレータが、腎臓結石が粉砕されて十分に小さい断片になったと決定するか、又は他の理由で継続したくない状態で、方法300は、段階310に進むことができ、レーザ処理を停止することができる。石断片/細粉が身体から十分に除去された状態で、方法300は、段階312に進むことができる。段階312では、オペレータは、洗浄流体の導入を停止し、及び/又は吸引を停止することができる。
【0046】
一部の例では、真空源は、レーザと同時には作動しない。例えば、段階310は、段階308に進むことができる。一部の例では、レーザは、方法300が段階308に進む前に作業チャネル114から取り出される。方法300の各段階は、いずれの順序でも実行することができることに注意しなければならない。例えば、段階312は、段階310に進むことができ、又は段階306及び308は、同時に開始することができ、又は段階308は、段階306に進むことができる。
【0047】
あらゆる時点で、オペレータは、これに加えて、患者内でデバイスを移動するように選択することができる。例えば、オペレータは、チューブ102の遠位端104を追加の腎臓結石の部位まで及び/又は腎臓の中により低く、又は追加の石断片/細粉が蓄積した位置まで移動するように選択することができる。遠位端104を位置決めし直す目的は、粉砕してより小さい部分にする必要がある石又は石断片に到達すること、及び/又はデバイスが以前に身体から吸い出して作業チャネル114の中に入れることができなかった石断片/細粉に到達することとすることができる。例えば、一部の石断片/細粉は、遠位開口部に対して近位に位置決めされ、又は印加される吸引によって捕捉するにはあまりに遠位に位置決めされる場合がある。オペレータは、あらゆる回数でチューブ102の遠位端104を位置決めし直すことができる。位置決めし直された状態で、段階306〜312のいずれか又は全ては、新しい位置で繰り返すことができる。
【0048】
オペレータが、それ以上腎臓結石及び/又は石断片/細粉を除去することができず及び/又は除去すべきでないと決定した状態で、方法300は、段階314に進むことができ、尿管鏡は、患者の身体から取り出すことができる。
【0049】
本発明の開示の多くの特徴は、詳細な仕様から明らかであり、従って、添付の特許請求の範囲によって本発明の開示の真の精神及び範囲に含まれる本発明の開示の全てのそのような特徴を網羅することが意図されている。更に、多くの修正及び変形が当業者には容易に想起されることになるので、本発明の開示を図示かつ説明した構成及び作動の通りに限定することは望ましくなく、従って、全ての適切な修正物及び均等物は、本発明の開示の範囲に含まれるものとすることができる。
【0050】
本発明の開示の他の実施形態は、本明細書に開示する本発明の仕様及び実施を考慮することから当業者には明らかであろう。仕様及び実施例は、単に例示と考えられるように意図しており、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示されている。
【符号の説明】
【0051】
100 医療デバイス
112 内腔
114 作業チャネル
120 レーザ
122 側部ポート