(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の領域は、局所的焼結、局所的溶融、液体バインダーの堆積、又は局所的光重合から選択される方法によって結合される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加法式の製造方法。
【発明の概要】
【0008】
本開示の第1の態様によれば、物体を製造するための加法式の製造方法が提供される。本方法は、粒状金属構造材料の連続層を堆積させるステップを含む。この方法は、各層の第1の領域を選択的に結合して、未結合のままである第2の領域を取り囲む第1の領域にバインダーを堆積させることにより、物体の外部を規定する構造材料の結合シェルを形成するステップを含む。この方法は、シェル及び囲まれた未結合構造材料を、シェルの外側に残る構造材料からを分離するステップを含む。
【0009】
一実装形態では、シェルによって囲まれた体積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、製造された物体において未結合である。
【0010】
一実装形態では、シェルは、連続しており、物体の外面を実質的に又は完全に規定する。
【0011】
一実装形態では、この方法は、シェル及び囲まれた構造材料が、シェルの外側に残る構造材料から分離された後に、構造材料の融点より下の第1の温度で行われる脱脂プロセスで構造材料の結合領域を脱脂するステップを含む。
【0012】
一実装形態では、第1の温度は、構造材料の融点の90%以下であり、80%以下であり、70%以下であり、又は60%以下である。
【0013】
一実装形態では、この方法は、シェル及び囲まれた構造材料が一緒に焼結され物体を形成する焼結プロセスにおいて、シェル及び囲まれた構造材料を第1温度より高い第2温度まで昇温させるステップをさらに含む。
【0014】
一実装形態では、第2の温度は、構造材料の融点の90%以下、80%以下、又は70%以下である。
【0015】
一実装形態では、シェル及び囲まれた構造材料が一緒に焼結される第2の温度までシェル及び囲まれた構造材料を昇温させることは、脱脂プロセスにおいて構造材料の結合領域を脱脂した後に生じる。
【0016】
一実装形態では、脱脂プロセスは、空気、還元性雰囲気、酸化性雰囲気、不活性雰囲気、又は触媒雰囲気のうちの1つで、及び/又は800mbar未満の圧力で行われる。
【0017】
一実装形態では、この方法はバインダーを硬化させるステップを含む。
【0018】
一実装形態では、金属は、純金属又は合金から選択され、純金属又は合金は、質量50%超、60%超、70%超、又は80%超の鉄、チタン、金、銅、銀、又はニッケルである。
【0019】
一実装形態では、金属は、純金属又は合金から選択され、純金属又は合金は、六方最密充填結晶構造を有する。
【0020】
一実装形態では、バインダーは、空気硬化性、熱硬化性、又はUV硬化性である。
【0021】
一実装形態では、シェルは、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm未満、又は0.125mm未満の厚さを有する。
【0022】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様の方法に従って製造される物体が提供される。
【0023】
本開示の第3の態様によれば、オブジェクトデータを処理する方法が提供される。本方法は、製造される物体を表すオブジェクトデータを取得するステップを含む。この方法は、製造される物体の表面部分を特定するステップを含む。この方法は、特定された表面部分に基づいてシェルデータを生成するステップを含み、シェルデータは、特定された表面部分から内向きに延びる、製造される物体のシェル部分を表す。この方法は、生成されたシェルデータを出力するステップを含む。
【0024】
本開示の第4の態様によれば、実行されると、データプロセッサに第3の態様による方法を実行させるように構成されたプログラム命令を伝送するデータキャリアが提供される。
【0025】
本開示の第5の態様によれば、オブジェクトデータプロセッサが提供される。オブジェクトデータプロセッサは、製造される物体を表すオブジェクトデータを取得するように動作可能なオブジェクトデータ取得ユニットを含む。オブジェクトデータプロセッサは、製造される物体の表面部分を特定するように動作可能な表面部分特定ユニットを含む。オブジェクトデータプロセッサは、特定された表面部分に基づいてシェルデータを生成するように動作可能なシェルデータ生成ユニットを含み、シェルデータは、特定された表面部分から内向きに延びる、製造される物体のシェル部分を表す。オブジェクトデータプロセッサは、生成されたシェルデータを出力するシェルデータ出力ユニットを含む。
【0026】
本開示の第6の態様によれば、物体を製造するための加法式の製造方法が提供される。本方法は、構造材料の連続層を堆積させるステップを含む。この方法は、各層の第1領域を選択的に結合して、物体の外面を規定する、構造材料の結合シェルを形成するステップを含む。この方法は、各層の第2の領域を選択的に結合して、シェルに接触し、外力に対してシェルを内部で支持するように機能する支持部分を形成するステップを含む。
【0027】
一実装態様では、第1の領域と第2の領域との間に延びる各層の領域は、実質的に未結合のままである。
【0028】
一実装形態では、シェルは連続しており、物体の外面を実質的に又は完全に規定する。
【0029】
一実装形態では、第1の領域は、局所的焼結、局所的溶融、液体バインダーの堆積、又は局所的光重合から選択される方法によって結合される。
【0030】
一実装形態では、第2の領域は、局所的焼結、局所的溶融、液体バインダーの堆積、又は局所的光重合から選択される方法によって結合される。
【0031】
一実装形態では、第1の領域及び第2の領域は、共通の結合方法によって結合される。
【0032】
一実装形態では、第1の領域及び第2の領域は、それぞれ異なる結合方法によって結合される。
【0033】
一実施形態では、第1の領域及び第2の領域は、第1の領域が、第2の領域よりも相対的に強く結合するように結合される。
【0034】
一実装形態では、第1の領域は、第2の領域よりも単位層面積当たりより大きな体積の液体バインダーで結合される。
【0035】
一実装形態では、支持部分は、シェルを横切ってシェル内に延びる柱の形態の結合材料を有する。
【0036】
一実装形態では、支持部分は、シェルを横切ってシェル内に延びる3次元メッシュの形態の結合材料を有する。
【0037】
一実装形態では、メッシュは、規則的な繰り返し単位構造を含む。
【0038】
一実装形態では、メッシュは、不規則な構造を含む。
【0039】
一実装形態では、この方法は、シェル及び囲まれた構造材料を、シェルの外側に残る構造材料から分離するステップをさらに含む。
【0040】
一実装形態では、この方法は、シェル及び囲まれた構造材料が一緒に焼結され物体を形成する第1の温度まで、シェル及び囲まれた構造材料を昇温させるステップをさらに含む。
【0041】
一実装形態では、この方法は、シェル及び囲まれた構造材料がシェルの外側に残る構造材料から分離された後であって、シェル及び囲まれた構造材料が第1の温度まで昇温される前に、第1の温度よりも低い第2の温度で行われる脱脂工程において構造材料の結合領域を脱脂するステップをさらに含む。
【0042】
本開示の第7の態様によれば、オブジェクトデータを処理する方法が提供される。本方法は、製造される物体を表すオブジェクトデータを取得するステップを含む。この方法は、製造される物体の表面部分を特定するステップを含む。この方法は、特定された表面部分に基づいてシェルデータを生成するステップを含み、シェルデータは、特定された表面部分から内向きに延びる、製造される物体のシェル部分を表す。この方法は、特定された表面データに基づいて支持部分データを生成するステップを含み、支持部分データは、シェルに接触し、外力に対してシェルを内部で支持するように機能する支持部分を表す。この方法は、支持部分データとシェルデータとを組み合わせて、シェル及びシェル内に配置された支持部分を表す結合データを取得するステップを含む。この方法は、結合データを出力するステップを含む。
【0043】
本開示の第8の態様によれば、実行されると、データプロセッサに第7の態様による方法を実行させるように構成されたプログラム命令を伝送するデータキャリアが提供される。
【0044】
本開示の第9の態様によれば、オブジェクトデータプロセッサが提供される。オブジェクトデータプロセッサは、製造される物体を表すオブジェクトデータを取得するように動作可能なオブジェクトデータ取得ユニットを含む。オブジェクトデータプロセッサは、製造される物体の表面部分を特定するように動作可能な表面部分特定ユニットを含む。オブジェクトデータプロセッサは、特定された表面部分に基づいてシェルデータを生成するように動作可能なシェルデータ生成ユニットを含み、シェルデータは、特定された表面部分から内向きに延びる、製造される物体のシェル部分を表す。オブジェクトデータプロセッサは、特定された表面データに基づいて支持部分データを生成するように動作可能な支持部分データ生成ユニットを含み、支持部分データは、シェルに接触し、外力に対してシェルを内部で支持する支持部分を表す。オブジェクトデータプロセッサは、支持部分データとシェルデータとを組み合わせて、シェルと、シェル内に配置された支持部分とを表す結合データを取得するように動作可能な結合ユニットを含む。オブジェクトデータプロセッサは、結合されたシェルデータを出力する結合データ出力ユニットを含む。
【0045】
本開示の第10の態様によれば、第6の態様による方法によって製造された物体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示をより良く理解し、どの様に本実装形態を実施することができるかを示すために、単なる例として、添付図面について参照を行う。
図1は、本開示の概念を実施に移すことができる製造装置を示す。
図1の装置10は、上面11aを含むテーブル11を有する。ここで、上面11aは平面である。テーブル11の表面11aには、凹状ウェル12が設けられており、そのウェルの側面は、テーブルの表面11aから垂直方向に延びる側壁11bによって規定される。支持プレート13が、ウェル12内に配置され、ウェルの表面に一致するテーブルの平面(XY平面)内にある所定範囲を有する。支持プレート13は、平坦な上面13aも含み、ウェルの深さがテーブル11の表面11aに対して垂直な方向(Z方向)となるようにウェル12内で移動可能に構成され、それによってテーブル11の表面11aと支持プレート13の表面13aとの間で、ウェルの深さが可変となる。例えば、支持プレート13は、装置の制御ユニット(図示せず)からの命令に従って支持プレート13を昇降させるピストン14によって移動可能にしてもよい。
【0048】
図1は断面図(XZ平面内の断面)で描かれているが、ウェル、テーブル、及びプレートは、全てページ内の方向(Y方向)に延びている。例えば、ウェル12、従って支持プレート13は、矩形、正方形、円形、楕円形であってもよく、又はテーブル11の表面11aに対して垂直な方向で視たときに、すなわちウェル内を視たときに、他のいくつかの形状を有してもよい。
【0049】
勿論、テーブル11の表面は、平面として開示されているが、表面は、湾曲又は傾斜していてもよく、ある構成ではウェルから上向き又は下向きにわずかに傾斜していてもよい。
【0050】
テーブル11の表面の上方には、プリントヘッド15が、少なくともX方向に並進するように構成される。例えば、X方向に延びるレール16を設けてもよく、このレール16に沿って、例えばプーリ、ラック及びピニオン駆動、又はウォームスクリュー駆動によってプリントヘッド15を並進させるように構成することができる。プリントヘッド15は、装置の制御ユニットの制御下で移動可能にすることができる。ここでは、プリントヘッド15は、2つの分配要素を含み、その分配要素は、プリントヘッド15がウェル12を横切る際に粒状構造材料をウェル12内に堆積させるように構成された構造材料堆積ユニット15aと、プリントヘッド15がウェル12を横切る際に、液体バインダー等のバインダーをウェル12内の選択された位置に分配して、前に堆積された粒状構造材料の部分を一緒に結合するように構成されたバインダー堆積ユニット15bと、である。
【0051】
構造材料堆積ユニット15a及びバインダー堆積ユニット15bのそれぞれは、それぞれがプリントヘッド15の一部として提供される適切な材料リザーバに結合され、又は装置10の別の部分に配置され、又は外部に設けられ得る。
【0052】
プリントヘッド15は、ウェル12を横切って一方向(X方向)に、順/逆方向にのみ並進するように構成してもよく、又はある角度の別の方向、例えば第1の方向に対して垂直方向(Y方向)に並進するように構成してもよい。
【0053】
この構成では、プリントヘッド15は、ウェル12の上方で一方向(X方向)にのみ移動するように構成される。構造材料堆積ユニット15aが、ウェル12の全幅に亘って、プリントヘッド15の並進方向と直交する方向(Y方向)に粒状構造材料を堆積させるために、構造材料堆積ユニット15aは、プリントヘッド15の移動方向と直交する方向(Y方向)に、ウェル12の最大幅方向と同じかそれ以上の広がりを有することができ、又はウェルの幅に亘って均一な層の粉末を堆積させるために、制御ユニットの制御下で構造材料を分配することができる1つ又は複数の構造材料堆積位置を提供することができる。例えば、構造材料堆積ユニット15aは、ウェル12の全幅に亘って延びるスリットの形状の単一の大きな分配オリフィスを有してもよく、又ウェル12の幅に亘ってアレイ状に配列された、いくつかのより小さな分配オリフィスを設けてもよく、この小さな分配オリフィスは、ウェル内に均一な層の粉末を堆積させるように十分に近接して配置される。
【0054】
このような構成により、プリントヘッド15がレール16に沿ってウェル12を横切る際に、粉末の実質的に均一な層がウェル内に分配され、その厚さは、粒状構造材料が構造材料堆積ユニット15aから分配される速度によって、及びプリントヘッド15がウェル12を横切る速度によって決定される。
【0055】
プリントヘッド15には、ドクターブレードやスムージングローラー等の平滑化装置を設けてもよい。この平滑化装置は、構造材料堆積ユニット15aから構造材料を分配する間に、プリントヘッド15が移動する順方向(X方向)に対して構造材料堆積ユニット15aの背後に配置され、その移動中に堆積される構造材料の層の深さのあらゆる不規則性を滑らかにする。平滑化ユニットは、プリントヘッド15に対して格納可能であってもよく、或いはテーブル11の表面11aに対する、又は構造材料堆積ユニット15aの1つ又は複数の分配オリフィスの高さに対する高さに固定してもよい。
【0056】
バインダー堆積ユニット15bは、構造材料堆積ユニット15aから構造材料を堆積させる間に、プリントヘッド15が移動する移動方向に対して構造材料堆積ユニット15aの背後に配置される。バインダー堆積ユニット15bは、前に堆積された構造材料の部分を互いにに結合して、堆積層内に接合領域を形成するために、ウェル12内の様々な位置にバインダーを選択的に堆積するように構成される。
【0057】
本構成において、バインダー堆積ユニット15bは、装置の制御ユニットからのコマンドに応じてバインダーの液滴を噴射するように構成されたインクジェット式のプリントヘッドである。バインダー堆積ユニット15bは、ウェル12の幅方向に亘って所定の間隔で延びるオリフィスのセットを提供することができ、その各オリフィスは、プリントヘッド15がレール16に沿ってウェル12を横切る際に、堆積層を横切る異なる位置にバインダーを選択的に堆積させるように、個別に制御可能である。別の構成では、バインダー堆積ユニット15bは、バインダーを噴射することができる1つ又はより少数のオリフィスを有するだけでよく、ウェル12を横切るプリントヘッド15の移動方向に対して直交する方向にプリントヘッド15を横切って並進するように構成することができる。第1の構成では、バインダーが堆積される位置は、バインダー堆積させるために活性化されるオリフィス及びウェル12を横切るプリントヘッド15の位置によって決定され、第2の構成では、ウェル12の幅方向を横切るバインダー堆積ユニット15bの位置は、バインダーが堆積される位置も決定する。
【0058】
いくつかの構成では、プリントヘッド15は、構造材料の層が堆積されるウェル12を横切る初期位置から第1のパスを形成し、続いて初期位置に戻り、次にバインダーが前に堆積された層の上に堆積される同じ方向に第2のパスを形成する。別の構成では、構造材料は、構造材料堆積ユニット15aから堆積され、バインダーは、層全体が堆積される前に、同じパスでバインダー堆積ユニット15bから選択的に堆積される。これらの2つの構成の後者は、以下で採用されるが、前者は、代替実装形態である。
【0059】
例えば、バインダー堆積ユニット15bによって堆積されたバインダーが特定の硬化処理を必要としない場合に、例えば、バインダーが空気と接触して硬化する場合に、又はバインダーが、共に反応して硬化する2液同時の又は後で噴射される成分の組合せによって形成される場合に、追加の硬化ユニットは必要ない。もっとも、バインダーは、例えば、放射線硬化型であってもよく、例えば紫外線を照射してバインダーを硬化及び硬質化させる必要があり得る。このような構成において、プリントヘッド15は、バインダーを堆積させるときにプリントヘッド15が移動する順方向にそのバインダー堆積ユニットの背後に配置された硬化ユニットを有してもよく、それによってバインダー堆積ユニット15bによって堆積されたバインダーが、硬化ユニットからのUV光を当てることによって硬化する。なお、本構成では、使用する際に硬化ユニットを必要としないバインダーを想定しているため、硬化ユニットは示されないものとする。
【0060】
さらに可能な構成では、バインダーは熱硬化性であってもよく、プリント装置は、バインダーを焼いて硬化させるためにウェルの温度を昇温させるように構成することができる。
【0061】
プリントヘッドの移動、構造材料堆積ユニットの起動、及びバインダー堆積ユニットの起動及び制御は、全て、装置の制御ユニットによって個別に制御することができ、それによってプリントヘッドがウェル12を横切る際に、均一な層の粉末を堆積することができ、その層の選択された領域を互いに結合して層の結合領域を形成することができる。
【0062】
一般に、層の厚さは、バインダー堆積ユニット15bによって噴射されたバインダーが層の全厚さに染み込む(従って層の全厚さを一緒に結合する)だけでなく、層の結合部分を下層の結合部分と結合させるのに十分なように下の層まで染み込むように制御される。制御ユニットは、より厚い層が堆積される場合に、堆積層の面積当たりに堆積されるバインダーの量を増大させ、より薄い層が堆積される場合に、その量を減らすことができる。
【0063】
図2に示される構成では、支持プレート13は、少なくとも堆積される構造材料の1層の厚さだけ表面11aから下降している。
図2に示される位置から、プリントヘッド15は、ウェル12を横切って、構造材料堆積ユニット15aから構造材料の層を堆積させる一方で、堆積層の部分をバインダー堆積ユニット15bから堆積されたバインダーと結合させる。これにより、
図3に示される構成となり、この構成では、選択的に互いに結合された部分を有する構造材料の層7が、支持プレート13の上面13a上でウェル12内に配置され、プリントヘッド15が、
図2に示される開始位置とは反対側のウェルにある。
図3に示される位置から、プリントヘッド15は、
図2に示される開始位置に戻り、支持プレート13は、
図4に示されるように別の層の厚さだけさらに下降する。その後、プリント層は、第1の層と同じ厚さを有してもよく、又は異なる厚さを有してもよい。本構成では、簡単のため、全ての層が同じ厚さを有すると想定する。
【0064】
図4に示される構成から、
図5に示されるように、プリントヘッド15の更なるパスが、
図2から
図3の移行に関して説明したように、ウェル12の上層7に更なる層8を堆積させるように、ウェル12を横切って形成される。層8の部分は互いに接合され、バインダーは、層8の接合部分を直下の層7の接合部分に接合するように、層8に十分に染み込む。
図4から
図5への移行のプロセスは、次に、所望の数の層について繰り返され、層の数及び厚さ並びにバインダーが堆積される各層上の位置が、製造される物体の設計に従って制御される。最終的に、最終層が印刷され、オプションで、バインダーを硬化させるためのベーキングプロセス後に、印刷された物体がウェル12から除去され、結果として
図6に示される構成が得られる。この構成から、支持プレート13をピストン14によって持ち上げて、
図1に示される構成を実現することができ、再び、1から印刷を開始することができる。
【0065】
製造装置10の制御、具体的には、バインダーが堆積される各層上の少なくとも位置に関する制御は、製造される物体を規定する所定の組の製造指示に従って制御ユニット(図示せず)によって行われる。典型的には、
図1に示される装置の場合に、製造指示は、製造される物体を通る一連の連続するスライスを規定し、各スライスは、一緒に堆積すべき単一の層を表し、バインダーを堆積すべき、従って層を構成する粒子を一緒に接合すべきである各層上の位置に関する情報を表す。このような情報は、例えば、一連のXY平面上の堆積ベクトルのセットとして、或いは順次XY平面のピクセル画像のセットとして提供することができる。
【0066】
いくつかの構成では、制御ユニットは、オブジェクト規定情報を他のフォーマットで受け取り、オブジェクトデータを一連の層を規定するデータに適切に処理することによって、そのようなデータによって規定される物体を生成するよう装置10を制御するように構成することができる。例えば、物体は、物体を、互いに結合される物体の領域を取り囲む面の集合として、幾何学的プリミティブ(primitives)の集合から形成された複合構造として、又は3Dラスタグリッド上のボクセルデータとして規定するCADデータによって規定することができる。そのような表現を処理するために、制御ユニットは、オブジェクトデータによって表される製造される物体を一連の平面又はスライスに分割し、次に、製造される物体を形成するためにバインダーを堆積すべき各平面又はスライス上の位置を決定し得る。
【0067】
図1〜
図6に示され、製造装置によって実施される製造プロセスは、
図7に示されるように、より大きな製造プロセスの一部であり得る。
図7に示されるプロセスでは、
図1〜
図6に示される印刷プロセスは、ステップS2として表される。印刷プロセスに先立って、印刷プロセスで使用される粒状構造材料は、調製ステップで調製してもよく、例えば、表面の不純物を除去するために洗浄してもよく、又は塗布されるバインダーとの良好な結合を形成するように、表面を活性化する表面処理を行ってもよい。そのような調製プロセスが、
図7のステップS1に示される。
【0068】
印刷プロセスに続いて、印刷プロセスの間にバインダーの硬化が生じない場合に、バインダーは、例えば、ステップS3において物体を硬化温度に加熱することによって硬化され得る。このようなステップは、製造装置のウェル内又は他の場所で行うことができる。次に、物体を、洗浄して、例えば液体又はガスジェット及び/又は振動を使用して過剰な未結合(unbinding)粉末を物体の外面から除去して、ステップS4で過剰な構造材料を除去することができる。
【0069】
次に、ステップS5に示されるように、バインダーを蒸発又は分解させるために、物体の温度を上昇させ及び/又は適切な雰囲気を適用する脱脂(debinding)ステップを行うことができる。例えば、バインダー又は粉末に依存して、脱脂は、焼結温度より低い高温で起こり得るか、又は室温で起こり得る。例えば、脱脂温度は、構造材料の融点の90%以下、80%以下、70%以下、又は60%以下であってもよい。脱脂は、例えば、空気雰囲気、800mbar未満等の低真空、1mbar未満等の中程度の真空、又は0.001mbar未満等の高真空下で、触媒雰囲気等の反応性雰囲気、酸化性雰囲気又は還元性雰囲気、又は窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で行うことができる。酸化性雰囲気は酸素ガスを含むことができる。触媒雰囲気は硝酸を含むことができる。還元性雰囲気は水素ガスを含むことができる。脱脂条件の選択は、使用されるバインダー及び構造材料の組成に依存し、当業者は直接的な実験によって最適化することができる。
【0070】
最後に、ステップS6において、物体は、高温に加熱され、ステップS6で、粒状構造材料が互いに焼結するように、その温度に維持され得る。ステップS5及びS6は、同じ位置、例えば熱処理チャンバ内、又は他の場所で実施してもよい。焼結温度は、構造材料の融点の90%以下、80%以下、又は70%以下であってもよい。
【0071】
本開示による構成では、最終製品において領域全体を固化するように結合するのではなく、このような領域を取り囲むシェルが堆積され、領域の内部は実質的に結合されないままである。
【0072】
従来の手法では、円筒状又は球状の物体は、各層上に互いに結合される円形領域を有する一連の層を順次堆積させることによって製造され、それによって積み重ねられ、層の間で互いに結合された各層の結合部分は、円筒形又は球状の物体を形成する。そのような層7の1つを平面図で示す
図8を参照すると、円形の境界線7a内に位置する円形領域7bが互いに結合される。しかしながら、本発明者らは、このような手法を採用することにより、
図7の脱脂ステップS5等の脱脂ステップを用いても、製造される物体の内部に存在するバインダーが、物体の表面から遠く離れているため、物体の外表面から除去する(exfiltrate)ことが困難である、また、脱脂工程がバインダーを分解するステップを含む場合に、バインダーの分解生成物を除去することが困難であることを考慮した。特定の理論によって束縛されることを望まないが、残りのバインダー又は焼結ステップの前に製造された物体の内部に残るバインダーの分解生成物は、焼結プロセスの間に構造材料の粒子の表面同士の間の相互作用を阻害する可能性があり、こうして製造された物体に脆弱部を生じさせる可能性がある。
【0073】
従って、本開示によれば、印刷される物体の内部に関連する各層上の全ての位置にバインダーを塗布するのではなく、本開示の構成は、少なくとも製造される物体の表面から内向きに延びるシェル領域に、未結合粉末を実質的に封入するバインダーを塗布する。例えば、シェルによって囲まれた体積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、製造される物体において未結合であってもよい。
【0074】
各層に関して、これは、
図8に示されるように、外面7aの内部7b全体を結合するのではなく、外面7aから内面7cに延びる比較的薄い境界領域のみを結合するのみによって達成され、それによって、実質的に未結合粉末が物体の意図した内部を形成する。球又は円筒を製造する場合に、
図8によれば、シェルの外面7aと内面7cとの間に規定された結合領域7dは、環7dを形成することができる。しかしながら、他の形状が印刷される場合に、結合境界領域7dは、別の適切な形状を有することができる。場合によっては、境界領域7dは、最大厚さと最小厚さとを有してもよく、又は例えば、物体の外面7aに垂直に延びる実質的に均一な厚さを有してもよい。例えば、シェルは、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm未満、又は0.125mm未満の厚さを有してもよい。
【0075】
図8に示されるような構成を採用することにより、
図1〜
図6に示されるプロセスが完了すると、結果として、物体の内部に未結合粉末を取り囲む結合外部シェルを有する物体が得られる。シェルの厚さは、物体に十分な強度を与え、物体が最終的な焼結プロセスによって最終的な製造強度が付与される前に、ハンドリング及び洗浄を可能にするように適切に調整してもよい。
【0076】
本開示による
図1〜
図6に示されるプロセスの結果は、
図9に示されており、物体が形成された層7、8のうちの1つの平面内で切断されたかのように示されているように製造される物体20は、物体の外面20aとシェルの内面20cとの間に延びる外部シェル部分20dを有するように確認することができ、シェル20dの内側に、実質的な未結合粉末が領域20bに存在する。
図7に関連して説明したような物体を脱脂及び焼結すること、又は脱脂プロセスを行わずに物体を焼結することは、特にバインダーが与えられていない物体の内部において非常に強い焼結結合が得られる。従って、バインダーが物体の全ての最終的な固化部分に存在する物体と比較して、大幅に改善された機械的特性が実現され得る。
【0077】
焼結する前に物体を洗浄してハンドリングできるようにするために、シェル20dは実質的に連続している、すなわちその内部に孔が形成されないことが好ましい。しかしながら、あるクラスの粉末について、メッシュタイプのシェルに小さな穴を設けることが許容され、製造中の粉末の充填は、内部の未結合領域の粉末がハンドリング中に孔を通って落ちるのを防ぐのに十分なようにされる。
【0078】
本開示の概念が有利な用途を有する構造材料の1つのクラスは、質量で50%超、60%超、70%超、又は80%超の鉄、チタン、金、銅、銀、又はニッケルを有する純金属又は合金である。
【0079】
本開示の概念が有利な用途を有する構造材料の1つのクラスは、六方最密充填結晶構造を有する純金属又は合金である。
【0080】
実験的な研究により、本開示による製造される物体は、従来技術の手法と比較して大幅に改善されることが確認された。例えば、
図10A及び10Bは、このような実験の比較結果を示す。
【0081】
316L鋼の粉末を空気硬化性バインダーで結合することによって2つの立方体部品を製造した。先行技術によるプロセスでは、製造プロセス中に立方体の構造全体がバインダーで結合された。本開示による実施例では、厚さ1mmの立方体シェルを印刷して、実質的な未結合粉末を取り囲んだ。粒子サイズは約15μmであり、印刷後、両方の構造体を空気中で、350℃で脱脂処理し、1370℃で焼結した。
【0082】
焼結後の両方の構造体の中心からサンプルを採取した。
【0083】
図10Aは、本開示によるプロセスで得られた構造の顕微鏡写真を示す。
図10Bは、バインダーが印刷後に物体全体に染み込む(infuse)プロセスによって得られた微細構造を示す。
図10Aは、
図10Bと比較すると、孔サイズが大幅に小さくなっていることを明確に確認することができ、これは静的及び動的強度の両方において実験的に観察された改善と一致する。また、密度は、
図10Bの状態と比較して、
図10Aでは大きくなる。それぞれの場合における微細構造の測定に続いて、
図10Aに示されるサンプルに由来する物体は、相対密度が99.7%であったのに対し、
図10Bに示されるサンプルに由来する物体は、相対密度が97.9%であった。
【0084】
同様のプロセスを、不活性アルゴン雰囲気中でTi6Al4Vの脱脂を行い、1350℃で焼結を行った以外は、全てのパラメータを同じに保った状態でTi6Al4Vの粉末を用いて同様のプロセスを行ったところ、同様の結果が得られ、構造全体に亘ってバインダーを染み込ませて製造された部品が91%の相対密度であるが、シェル領域のみにバインダーを提供することによって製造された部品は99.7%の相対密度を達成した。
【0085】
従って、本開示に記載の手法及び概念を採用することによって、有利な効果が得られることが理解できる。
【0086】
大きな部品については、例えば厚さ2mmを超える比較的厚いシェルでさえも、例えば、物体の重量及び/又は質量のために、物体のハンドリング中に、焼結される前に印刷された物体の構造を保持するには不十分であることが理解される。それゆえ、
図8及び
図9を参照して開示されたようにシェルが印刷される更なる手法を採用してもよいが、シェルは、シェルの内部を横切って延び、バインダーで結合された領域によって形成される支持部分によって内部で支持される。これは、例えば、
図8に示される境界領域7dの内面7cの一方の側からシェルの内側の点までさらに延びる支持部分を含むことによって達成することができる。得られた内部構造を
図9との比較のために
図11に示す。物体30が、外面30a、及びシェル30cの内面で終了し、未結合領域30bを取り囲むシェル領域30dを有しており、この物体30は、シェルに内部支持を提供するように、シェルを横切る内部支持構造30eも表す。
【0087】
図11では、内部支持体が円柱ストラットとして示されている。しかしながら、支持部分がメッシュの形態の結合材料を形成する構成を含む他の構成も可能であり、そのメッシュの形態は、シェルを横切ってシェル内に延びる3次元メッシュであってもよい。このような構成では、メッシュは、規則的な繰り返し単位構造、例えば結晶又は細胞構造を含むことができる一方、他の構成では、支持構造は、繊維構造等の不規則構造を含むことができる。
【0088】
図11に示される構成を採用することにより、シェルは外力に対して強化されるが、シェル内で及び内部支持構造同士の間に延びる未結合材料の領域によって、支持構造のバインダーが少なくとも部分的に外部に除去されることを可能にする。従って、
図9の構造に関連する利点は、少なくとも部分的に得ることができるが、ハンドリング又はそれ自体の重量又は質量による変形又は損傷に対して焼結前の物体の構造を改善する。
【0089】
いくつかの構成では、
図1に示されるバインダー堆積ユニット15bは、2つの異なるタイプのバインダーを堆積させるように適合することができ、
図11に示される支持構造30eは、シェル30dに使用されるバインダーとは異なるバインダーから形成することができる。例えば、支持構造に使用されるバインダーは、シェル30dに使用されるバインダーよりも粒状構造媒体の粒子同士の間に弱い結合を提供し得るが、シェル30dに使用されるバインダーよりも分解及び/又は除去し易い。いくつかの状況では、バインダーの量は、シェルと支持構造との間の単位層面積毎に変化してもよく、それによって支持構造は、シェルよりも単位構造体積当たり比較的少量の液体バインダーを有してもよい。
【0090】
いくつかの構成では、液体バインダーの塗布ではなく、レーザエネルギーの適用による局所的焼結、熱の適用による局所的溶融、又は局所的光重合等を含む代替技術によって、支持構造30eを形成する構造材料を少なくとも結合することが可能であり得る。あるいはまた、シェルは、液体バインダー以外の方法によって結合してもよいが、ストラット30eは、液体バインダーの塗布によって結合してもよい。
【0091】
上記では、加法式の製造装置の適切な操作により、焼結されたときに改善された機械的特性を実現することができる物体をどの様に製造するかについての方法が記載されている。さらに、本明細書に開示される概念を使用して、製造される物体の形態を記述するオブジェクト規定データを変換することができ、それによってこのデータによって記述されたオブジェクト(物体)が従来の3Dプリント装置上で製造されるときに、有利な特性が達成され得る。
【0092】
このようなオブジェクトデータの変換方法の一例を、
図12を参照して説明する。
図12は、製造される物体を3次元で記述するデータであるオブジェクトデータを変換するプロセスを示すフロー図であるが、このフロー図では同じ物体を表すデータを取得するが、従来の加法式の製造システムを用いて製造された場合に、焼結後に本開示に関連する向上した機械的特性を実現することができる。
【0093】
図12に示される第1のプロセスD1では、オブジェクトデータが取得される。このオブジェクトデータは、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアの出力であってもよく、オブジェクトのソリッド部分を囲む一連の表面として、製造される物体を表すことができ、オブジェクト(物体)を所定の幾何学的プリミティブの集合として規定することができ、3D空間内のラスタグリッド上にオブジェクト(物体)を規定する1組のボクセルとしてオブジェクト(物体)を表現することができる。あるいはまた、オブジェクトデータは、3Dプリント装置を制御するために従来から使用されているように、オブジェクト(物体)を通る一連のスライスとして既に表現し、オブジェクトをレイヤーに分割してもよく、各レイヤーが互いに結合すべき規定された領域を有する。
【0094】
図12の方法では、製造される物体を表すオブジェクトデータは、物体表面を特定するために処理される。これは、様々な方法によって達成され、入力データが提供されるフォーマットに依存し得る。例えば、様々な幾何学的プリミティブの複合体として表されるオブジェクト(物体)の場合に、それらのプリミティブの表面が特定され、他のプリミティブに隣接する又は他のプリミティブ内にあるそれらプリミティブの表面が除去されて、オブジェクト(物体)の表面全体が規定される。一連の表面によって表されるオブジェクト(物体)の場合に、一連の表面は、オブジェクト(物体)の表面を規定するために使用され、表面は、オブジェクト(物体)のソリッド部分内に完全に位置するか、又はオブジェクト(物体)の表面から除かれる他の表面に隣接する。
【0095】
バインダーと一緒に結合される領域が規定された一連のスライスとして規定されるオブジェクト(物体)の場合に、各スライスに対してエッジ検出アルゴリズムを実行して各領域のエッジを決定し、次に各領域のエッジをオブジェクト(物体)の表面に関連付けることができる。ボクセルに関して規定されたオブジェクト(物体)を用いて同様の手法をとることができ、あるいはまた、メッシュ・フィッティング手法を使用して有限要素メッシュをオブジェクト(物体)の外部表面に適合させ、オブジェクト(物体)の表面をこのようなメッシュとして規定することができる。物体表面の特定は正確であってもよく、任意の所望の精度に近似してもよい。物体の表面を特定することは、物体の表面を特定するために使用される技術と最も適合するオブジェクト(物体)の表現を達成するために、オブジェクトの表現同士の間の変換を含むことができる。
【0096】
次に、プロセスD2で得られたオブジェクト表面データをプロセスD3で使用して、物体の表面から内向きに延び、特定の所定の特性を有するシェルを表すデータを生成する。例えば、最小厚さ又は最大厚さは、シェルに起因してもよく、又はシェルは、物体表面に垂直な方向に示される均一な厚さを有してもよい。シェルを規定するための他の手法は、シェルの特定の特性を実現するように、オブジェクト(物体)内に1つ又は複数の球、立方体又は他の幾何学的プリミティブを規定すること、及びそれらの幾何学的オブジェクト内にあるオブジェクト(物体)の部分を、オブジェクト(物体)を規定するデータから除去することを含むことができる。
【0097】
次に、シェルを表すデータは、プロセスD4において、前述したプロセスD1への入力に適していると示されたフォーマットのいずれかのような、適切なフォーマットでプロセスから出力される。いくつかの構成、特に、出力プロセスD4が加法式の製造装置を制御するために直接的に使用される構成では、出力は、物体の順次層を表す一連のピクセル画像として提供され、その画像では、シェルの部分を形成するピクセルが、オブジェクト(物体)の外側及びオブジェクト(物体)の未結合内部を表すピクセルから区別される。
【0098】
図12のプロセスは、
図13に示されるようにオブジェクトデータ処理装置100で実施することができる。システム100は、
図12の方法を実行するように構成されたデータ処理装置である。
図13では、装置100は、一連の個別のモジュールによって表される。これらは、同じチップ上に統合されているか、別個のボード上に設けられているか、又はより大きなデータ処理システムの別個の部分に設けられているかに関係なく、ディスクリート・マイクロプロセッサ又はデータ処理ユニット等のハードウェアモジュールであってもよい。モジュールの代替形態は、当技術分野で知られているように、1つ又は複数のマイクロプロセッサ上で動作するソフトウェアモジュールとして提供してもよい。
【0099】
装置100は、データ記憶ユニットSによって示されるデータソースからオブジェクトデータを読み取るように構成されたオブジェクトデータ取得ユニット110を有する。しかしながら、取得ユニット110は、例えばネットワークストアからオブジェクトデータを取得し、別のデータ処理ユニットからデータストリームを取得し、又は当技術分野で知られているように、例えば、レーザスキャナ又は他の物体計測システムから読み取られたオブジェクトデータを取得することができる。
【0100】
取得ユニット110により取得されたオブジェクトデータは、表面特定ユニット120に送られる。表面特定ユニット120は、取得したオブジェクトデータで操作を行い、物体の表面を特定する。次に、物体の表面を表すデータが、表面特定ユニットからシェル生成ユニット130に送られ、そこで、物体の表面から内向きに起立するシェルを表すデータが生成される。次に、生成されたシェルデータは、出力ユニット140に渡され、そこで、データが適切にフォーマット化され出力される。
図13に示される実施例では、オブジェクトデータはネットワークNに出力されるが、ローカルデータストア又はデータを処理することができる任意の他の装置に出力することもできる。1つの変形例では、出力されるオブジェクトデータを直接的に使用して、
図1〜
図6に関連して図示及び説明したように製造装置を制御することができる。
【0101】
先に
図11に関して図示し説明したように、結合シェルと内部支持部分とを有する物体を製造するためのオブジェクトデータ処理方法を検討することも可能である。このようなプロセスの一例が
図14に示されており、
図12を参照して図示し説明した同様のプロセスと共通の特徴を共有する。ただし、
図12に示されるようなシェルデータを生成するステップD3ではなく、
図14のプロセスは、それぞれシェルデータの生成、支持データの生成、及びデータの結合のステップD3.1、D3.2、及びD3.3を含む。シェルデータを生成するプロセスD3.1において、
図12のプロセスD3を参照して説明したものと同等のプロセスが実行される。次に、ステップD3.2において、所定のパラメータに従って適切な支持構造を表すデータが生成される。例えば、メッシュはシェルの内部を横切って生成してもよく、或いは、シェルの内部に適切な程度の支持を実現するために、支持柱をランダムに又はアルゴリズム的に配置してもよい。次に、プロセスD3.3において、シェルデータと支持データとを結合して、出力オブジェクトデータが提供される。いくつかの状況では、例えば物体の内部をボイドで埋めることによってステップD3.1及びD3.2を一緒に実施することが可能であり、次に、ボイドはそれらボイドがそれらの間の最小距離に達するまで拡大され、物体の外面との間で拡大される。
【0102】
図13を参照して開示されるように、
図14のプロセスは、
図13に示されるデータ処理装置100と同様のデータ処理装置100で実施することができるが、このデータ処理装置100は、シェルデータ生成ユニット130をシェルデータ生成ユニット131、支持データ生成ユニット132、及びデータ結合ユニット133に置き換えたものであり、これら各ユニットは、上述したようにそれぞれプロセスD3.1、D3.2、D3.3の機能を実行するように構成される。
【0103】
本開示の概念は、汎用コンピュータ上で実行するために、又は従来の製造装置の制御システム内で実行するために、ソフトウェアモジュールとして配布することも可能である。後者の場合に、特に、従来のオブジェクトデータは、装置のユーザによって提供してもよく、次に、本開示に従って、製造装置自体が、表面を特定し、シェル及びオプションで支持構造を生成し、物体を製造するように機能する。データ処理装置は、例えば、従来の製造装置の制御ユニットで実行されるハードウェアユニット又はソフトウェアとして、従来の製造装置の一部として提供してもよい。そのようなソフトウェアは、適切に構成されたプロセッサによって実行されると、プロセッサに本開示の概念に従って方法を実行させるソフトウェア命令の機械可読表現を含むデータキャリアとして配信することができる。
【0104】
言うまでもなく、上記の開示は純粋に例示とみなすべきであり、本開示は、様々な技術的要件を達成するために様々な要素の置換、変形、省略、又は追加によって広範な構成で具体化することができる。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の利点を提供することができる主題の特定の組合せを提供するとみなされる。