(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722688
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】医薬組成物、調製及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 47/42 20170101AFI20200706BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20200706BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20200706BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20200706BHJP
【FI】
A61K47/42
A61K39/395 A
A61K39/395 M
A61K9/14
!A61P35/00
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-546030(P2017-546030)
(86)(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公表番号】特表2017-538782(P2017-538782A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2015077423
(87)【国際公開番号】WO2016083331
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年11月15日
(31)【優先権主張番号】14306871.6
(32)【優先日】2014年11月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520061804
【氏名又は名称】キュラディグム・エスアエス
【氏名又は名称原語表記】CURADIGM SAS
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】メイル,マリー−エディット
(72)【発明者】
【氏名】ポティエ,アニエス
(72)【発明者】
【氏名】ジェルマン,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ベルジョー,セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ダルモン,オドレイ
【審査官】
大西 隆史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0261061(US,A1)
【文献】
特表平09−506109(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0186447(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/051220(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/119988(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/048623(WO,A1)
【文献】
BABCOCK, Jeremiah J. and BRANCALEON, Lorenzo,International Journal of Biological Macromolecules,2013年 2月,Vol. 53,pp. 42-53,DOI: 10.1016/j.ijbiomac.2012.10.030
【文献】
MA, Ping and MUNPER, Russell J.,Journal of Nanomedicine & Nanotechnology,2013年 1月,Vol. 4, No. 2,DOI: 10.4172/2157-7439.1000164
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00−47/69
A61K 9/00− 9/72
A61K 38/00−45/08
A61K 50/00−51/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる生体適合性ナノ粒子、及び
(ii)少なくとも1つの抗体を含むか、又はそれからなる少なくとも1つの医薬化合物
を組み合わせたことを特徴とする、治療的、予防的又は診断的方法のための医薬であって、
前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子の最長又は最大寸法が、4nm〜500nmの間であり、
前記治療的、予防的又は診断的方法が、前記医薬化合物を被験体に投与する工程及び少なくとも1つのナノ粒子を投与する別個の工程を含み、
前記少なくとも1つのナノ粒子が、前記医薬化合物の後、4時間〜24時間の間隔をおいて被験体に投与され、
前記生体適合性ナノ粒子自体が、医薬化合物として使用されない、医薬。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーが、アルブミンの二量体(n=2)、アルブミンの三量体(n=3)であるか、又はアルブミンの単量体を少なくとも4つ(n≧4)含む、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーが、50未満のアルブミンの単量体を含む、請求項1又は2に記載の医薬。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーが、25未満のアルブミンの単量体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項5】
アルブミン単量体が、直接相互作用を通して又はリンカーを介して互いにコンジュゲートされてアルブミンオリゴマーを形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項6】
前記リンカーが、少なくとも1つのマレイミド基を含むクロスリンカーである、請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に定義される別個の生体適合性ナノ粒子を含む、請求項5又は6に記載の医薬。
【請求項8】
前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子が、医薬化合物の後に被験体に投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項9】
前記医薬化合物が、少なくとも1つの抗体を含むか又はそれからなり、前記少なくとも1つの抗体が、モノクローナル抗体、薬物コンジュゲート抗体、改変抗体及び多重特異性抗体から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子と前記医薬化合物の併用投与が、前記生体適合性ナノ粒子の非存在下、標準的な治療用量の前記医薬化合物によって誘発される治療効果及び毒性と比較しての、前記医薬化合物の低下した毒性という治療効果を維持するか又はむしろ増加させる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、(i)少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか又はアルブミンのオリゴマーからなる前記生体適合性ナノ粒子と(ii)少なくとも1つの関心対象の化合物、典型的には少なくとも1つの医薬化合物との組み合わせを含む医薬組成物であって、そのような少なくとも1つの関心対象の化合物を必要とする被験体に投与されるべき医薬組成物に関し、ここで、少なくとも1つのナノ粒子は、少なくとも1つの関心対象の化合物の有効性を増強する。生体適合性ナノ粒子の最長又は最大寸法は、典型的には約4〜約500nmの間である。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1つの関心対象の化合物を、それを必要とする被験体に投与するのに用いるためのそのような組成物であって、前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子及び前記少なくとも1つの関心対象の化合物が、前記被験体に逐次的に投与され、典型的には互いに5分超〜約72時間の間隔をおいて投与される組成物に関する。
【0003】
前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子及び前記少なくとも1つの関心対象の化合物の、被験体への併用投与、かつ典型的には逐次投与は、何らの生体適合性ナノ粒子もなしに、標準的な薬学的用量で投与したときの、前記少なくとも1つの関心対象の化合物によって誘発される薬学的効果及び毒性と比較して、前記被験体における前記少なくとも1つの関心対象の化合物の、低下した毒性という薬学的(すなわち、治療的、予防的又は診断的)効果を維持するか、又は増加させる。
【0004】
背景
安全性及び有効性を確かなものにするために、治療用化合物は、それを必要とする被験体において、それらの標的部位に最適速度で選択的に送達される必要がある。
【0005】
薬物動態学(pK)は、生存生物へ外部から投与された物質の運命の決定に取り組む薬理学の一分野である。この決定は、十分長い期間にわたっての、好ましくは化合物の消失までの、すべての主要組織中の化合物の濃度を測定する工程を包含する。薬物動態学は、化合物のインビボでの挙動(生物中における、その吸収及び分布、ならびにその化学変化の機序を含む)を有効に記述するために必要とされる。種々のプログラムを使用して、血液中のpKプロファイルをフィッティングさせ、身体がその化合物をどのように処理するかを定量的に記述する、主要なpKパラメーターを得ることができる。重要なパラメーターには、最大濃度(C
max)、半減期(t
1/2)、クリアランス、曲線下面積(AUC)、及び平均滞留時間(MRT)、すなわち化合物が生体中に留まる平均時間が含まれる。化合物製剤の延長された血液循環が観察された場合、それは、通常、増加したt
1/2、低下したクリアランス、増加したAUC及び増加したMRTと関連する。pKデータはしばしば、副作用を最小限に抑えながら治療薬の有効性を改善するために、望ましい血中濃度を維持するための、最適な用量及び投与計画を決定する際に使用される。加えて、当業者に周知であるように、化合物の血中濃度は多くの場合に、典型的には遊離薬物について、その有効性と毒性の両方に相関する。
【0006】
モノクローナル抗体(mAb)は、製薬産業における開発パイプラインの一成長分野を占める。多くのタンパク質治療薬、とりわけmAb及び機能的誘導体(融合タンパク質、断片など)が、過去20年間にわたり、米国、欧州及び日本において医薬品として承認されている。また、開発中のmAbの数も多く、推定で500種に上る数が報告されている[Pharmacokinetics, Pharmacodynamics and physiologically-based pharmacokinetic modelling of monoclonal antibodies. Dostalek M, Gardner I, Gurbaxani B M, Rose R H, CHetty M. Clin Pharmacokinet (2013) 52:83-124]。ヒトでは、免疫グロブリン(Ig)の5つのサブクラス、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらはそれらの重鎖が異なるが同じ軽鎖を共有する。IgGは、最もよく見られる免疫グロブリンであり、総免疫グロブリン血清レベルの70〜80%を占める。内部構造及び抗原性の差異に基づいて、IgGサブクラスは、4種の主要群:IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4に分類することができる。IgG分子は、ポリペプチドヒンジ領域と多数のジスルフィド架橋によって一緒に連結された、2本の重鎖(〜50kDa)と2本の軽鎖(〜25kDa)から構成され、2つのFab(抗原結合性断片)ドメインと1つのFc(「結晶性断片」)ドメインからなるY様形状タンパク質を形成する(
図1を参照)。
【0007】
Fc領域は、抗体除去半減期(t
1/2)と関連しており、完全IgG分子は、Fab断片単独よりも長いt
1/2を有する。IgG1、IgG2及びIgG4の平均t
1/2は、およそ21日であるが;IgG3は、7.1日の平均t
1/2を有する。大部分のmAbは、それらの標的への結合において選択的であり、かつそれらの特異的な可溶性標的又は細胞表面ターゲットにのみ結合するが、ある種のmAbは、数種の異なる標的に結合することができる。このオフターゲット結合の重要性は、(1)薬物の一次活性への寄与として;及び(2)有害作用の原因として、という2つの異なる観点で捉えることができる。長期循環mAbは実際、望ましくない正常組織への毒性を生じ得る。
【0008】
Jaggi J S等の論文「Improved tumor imaging and therapy via i.v. IgG-mediated time sequential modulation of neonatal receptor」(The journal of clinical investigation. Vol. 117, n 9, 2007: 2422-2430)において、著者は、いくつかの良好な転帰をもたらした、高用量IgG療法を使用し、新生児Fr受容体(FcRn)の薬理学的阻害を介して、IgG抗体の薬物動態学を有益に変える治療戦略を報告した。
【0009】
先行技術から明らかなように、また長期の医学的必要性があるにもかかわらず、依然として、その許容できない毒性又はその好ましくない薬物動態学パラメーターが原因で、患者において効果的に使用することができない化合物(治療用、予防用ならびに診断用化合物を含む)の改善が懸念事項として残っている。
【0010】
詳細な説明
今般、本発明は、治療、予防又は診断という文脈におけるその目的用途が何であれ、関心対象の化合物(本明細書においては、「本化合物」として、又は「医薬化合物」として認識される)の有効性の最適化を可能にする。(i)少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる前記生体適合性ナノ粒子と(ii)少なくとも1つの関心対象の化合物の組み合わせである、本明細書に記載される組成物は、前記少なくとも1つの関心対象の化合物の薬物動態パラメーターを最適化し、そして結果として、今般、典型的にはその許容できない毒性が原因で、別の方法で開発することができなかった治療用化合物の開発を可能にする。典型的には、生体適合性ナノ粒子それ自体は、医薬化合物として、すなわち治療用、予防用又は診断用化合物としては使用されない。
【0011】
本発明者等は、驚くべきことに、抗体化合物を必要とする被験体において、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーと抗体が逐次的に投与されるとき、好ましくは、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーが、抗体の後に投与されるとき、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる生体適合性ナノ粒子が、抗体の望ましくない正常組織への毒性を効果的に低下させることを発見した。
【0012】
本発明の典型的な組成物(本明細書において一般に「医薬組成物」として認識される)は、(i)少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる前記生体適合性ナノ粒子と、(ii)少なくとも1つの化合物(「関心対象の化合物」)の組み合わせを含む組成物であり、前記生体適合性ナノ粒子の最長又は最大寸法は、典型的には約4nm〜約500nmの間である。
【0013】
典型的には、前記(少なくとも1つの)生体適合性ナノ粒子と関心対象の化合物との間の比は、0.1/1〜1000/1又は0.5/1〜1000/1の間、好ましくは0.5/1〜500/1の間、更により好ましくは0.5/1〜300/1の間である。
【0014】
本発明の好ましい対象は、(i)少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる前記生体適合性ナノ粒子と、(ii)少なくとも1つの医薬化合物との組み合わせを含む医薬組成物であって、前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子の最長又は最大寸法は、約4nm〜約500nmの間であり、前記少なくとも1つの医薬化合物の、それを必要とする被験体における投与のための使用を目的とし、前記少なくとも1つのナノ粒子及び前記少なくとも1つの医薬化合物は、前記少なくとも1つの医薬化合物を必要とする被験体に、互いに5分超〜約72時間の間隔をおいて投与され、前記生体適合性ナノ粒子それ自体は、医薬化合物として使用されない、医薬組成物である。
【0015】
用語「約〜」及び「〜前後」は、例えばナノ粒子のサイズ又は時間間隔などの値に関連する場合、当業者によって小さな変動として認識されるであろう、表示された値の変動が、それが関連する主題の特性に実質的に影響を与えず、また前記主題が、特許請求された発明の精神内に留まることを示す。
【0016】
少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子と、少なくとも1つの関心対象の化合物の、本発明の組成物を介した被験体への併用投与は、典型的には、何らの生体適合性ナノ粒子もなしに、標準的な薬学的用量の前記少なくとも1つの関心対象の化合物によって誘発される薬学的効果及び毒性と比較して、前記少なくとも1つの関心対象の化合物の同じ薬学的(すなわち、治療的、予防的又は診断的)効果を、被験体に対するその低下した毒性に対して可能にする(維持する)か、又は、前記少なくとも1つの関心対象の化合物の薬学的効果を、被験体に対するその低下した毒性に対して増加させる。
【0017】
粒子の形状はその「生体適合性」に影響を及ぼし得るので、本明細書では、極めて均一な形状を有する粒子が好ましい。薬物動態学的理由で、本質的に球形/円形又は卵形の形状であるナノ粒子が従って好ましい。そのような形状はまた、ナノ粒子の細胞との相互作用又は細胞による取り込みに有利に働く。球形/円形の形状が特に好ましい。
【0018】
本発明の精神において、用語「ナノ粒子」は、ナノメートル範囲のサイズ、典型的には約1nm〜約500nmの間、好ましくは約4nm〜約500nmの間、約4〜約400nm、約30nm〜約300nm、約20nm〜約300nm、約10nm〜約300nmの間、例えば約4nm〜約100nmの間、例えば約10nm、15nm又は20nm〜約100nm、200nm又は300nmの間のサイズを有する生成物を指す。
【0019】
本明細書における用語「ナノ粒子のサイズ」、「ナノ粒子の最大サイズ」及び「ナノ粒子の最長サイズ」は、典型的には、球形/円形又は卵形の形状の場合の「ナノ粒子の最長又は最大寸法」又は「ナノ粒子の直径」を指す。透過電子顕微鏡(TEM)又は低温(Cryo)−TEMを使用してナノ粒子のサイズを測定することができる。同様に、動的光散乱(DLS)を使用して溶液中のナノ粒子の流体力学直径を測定することができる。前記サイズを確認するために、更にこれらの2つの方法を交互に使用して、DLSによって測定されたナノ粒子の流体力学直径と、TEM又は低温TEMによって測定された前記ナノ粒子のサイズを比較してもよい。好ましい方法は、DLSである(International Standard ISO22412 Particle Size Analysis - Dynamic Light Scattering, International Organisation for Standardisation (ISO) 2008 を参照)。
【0020】
ナノ粒子の表面電荷を修飾することができ、これは、典型的には、ナノ粒子濃度が0.2〜10g/Lの間、pHが6〜8の間及び典型的には水性媒体中の電解質濃度が0.001〜0.2Mの間、例えば0.01M又は0.15Mの水性媒体中のゼータ電位測定によって測定される。
【0021】
典型的には、本発明の生体適合性ナノ粒子は、少なくとも|10mV|、すなわち−10mVより小さいか、又は+10mVより大きい、例えば、−12mV若しくは−15mV〜−20mVより小さいか、又は+12mV若しくは+15mV〜+20mVより大きい、典型的には、−15mVより小さいか、又は+15mVより大きい表面電子電荷を有する。好ましくは、本発明の生体適合性ナノ粒子は、10mV超の絶対表面電子電荷値(「絶対表面電荷値」)を有し、前記電荷は、更により好ましくは負の電荷である。
【0022】
本発明の前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子は、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)、例えばアルブミン単量体の二量体(n=2)若しくは三量体(n=3)、若しくは少なくとも4つのアルブミンの単量体を含むアルブミンのオリゴマー(n=4)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる(
図2を参照)。前記少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーは、典型的には、最大50のアルブミンの単量体、好ましくは50未満のアルブミンの単量体、例えば30のアルブミンの単量体、好ましくは25未満のアルブミンの単量体、例えば20のアルブミンの単量体を含む。
【0023】
アルブミン単量体は、典型的には、直接相互作用を通して又はリンカーを介して互いにコンジュゲートされてアルブミンオリゴマーを形成する。
【0024】
アルブミン分子は、その反応性を改変するために及び/又は複数のアルブミン分子を一緒に架橋[すなわち、アルブミンの二量体(n=2)又は3つ以上のアルブミンの単量体のオリゴマー(n>2)の形成]するために使用することができるいくつかの官能基を有する。大抵の場合、架橋反応は、求核置換からなる。したがって、架橋戦略は、アルブミンの「活性化」の工程を包含してよく、これは、試薬[求核基、すなわち、正電荷を帯びた(又は部分的に正の)原子と反応する基、又は、脱離基、すなわち、不均一な結合開裂で一対の電子を伴って外れる分子断片などの、関心対象の基を包含する]を使用して、アルブミン分子上に追加の反応性基をグラフト化することによって、アルブミン分子の反応性を増加させることからなる。架橋反応は、(1)アルブミン分子上で、その利用可能な官能基(第一級アミン、カルボン酸又はチオール)と、反応性リンカー(典型的には20未満の原子を含む分子鎖を有する「短い」リンカー、又は20超の原子を含む分子鎖を有する「長い」リンカー)とをカップリング/架橋することによって;(2)「活性化された」アルブミン上で、リンカーあり又はなしで起こり得る。
【0025】
表1は、アルブミン分子上に反応性基をグラフト化する(「活性化」工程)ために使用可能な戦略の非包括的な例を提供する。注目すべきは、適切な求核基又は脱離基を有するあらゆる分子がこの「活性化」工程に関与し得る。
【0026】
表2は、2つのアルブミン分子間に共有結合を生み出す(「架橋)工程)ために使用可能な戦略の非包括的な例を提供する。
【0027】
表1:アルブミン分子の活性化
【表1】
【0028】
表2:アルブミンのオリゴマー(n≧2)を形成するためのアルブミン分子の架橋(●及び〇は、アルブミン単量体を表す)
【表2】
【0029】
アルブミン単量体の直接コンジュゲーションによるアルブミンのオリゴマー(n≧2)(
図2a、d及びgを参照)は、例えば、以下のように合成され得る:
・活性化工程(任意の工程):アルブミン分子/単量体を、前記アルブミン分子/単量体のジスルフィド結合と反応するジチオトレイトール(DDT)を使用して、チオール化することができる。
・架橋又はコンジュゲーション工程:いくつかのチオール化アルブミン分子/単量体間、及び/又はチオール化若しくはチオール化されていないアルブミン分子/単量体間で、ジスルフィド結合を形成し、その結果アルブミンのオリゴマーを生じる。
【0030】
リンカー(以下の例で、リンカーは、「短い」リンカー又は「長い」リンカーのいずれかである)を介したアルブミン単量体のコンジュゲーションによるアルブミンのオリゴマー(n≧2)(
図2b、e、h及びc、f、i、m、nを参照)は、例えば、以下のように合成され得る:
・活性化工程(任意の工程):
アルブミン分子を、典型的には、イミノチオランを介して、又はリンカーX−R
1−SH若しくはXR
1−S−S−R
2Xを使用して、チオール化することができる:
[式中:
−Xは、典型的にはグルタルアルデヒド又はエチレンジアミノカルボジイミド(EDC)の存在下又は非存在下で、アルブミン分子の第一級アミン又はカルボン酸基と反応する官能基であり、
−R
1又はR
2は、20未満の原子を含む分子鎖(「短い」リンカー)又は20超の原子を含む分子鎖(「長い」リンカー)であり、そして、R
1及びR
2は、アルブミン分子上にグラフト化されるときに、同一であるか又は異なる]
【0031】
リンカーの例は、エチレンジアミノカルボジイミド(EDC)及びシステイン、EDC及びシスタミン、グルタルアルデヒド及びシスタミンである。
【0032】
アルブミン分子を、リンカーX−R−Yを使用してマレイミド基で官能化することができる:
[式中:
−Xは、マレイミド基であり、
−Rは、20未満の原子を有する分子鎖(「短い」リンカー)又は20超の原子を有する分子鎖(「長い」リンカー)であり、
−Yは、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はスルホ−N−ヒドロキシスクシンイミド(スルホNHS)基である]
【0033】
リンカーの例は、4−マレイミド酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0034】
架橋又はコンジュゲーション工程:典型的には、アルブミン分子、チオール化アルブミン分子及び/又はマレイミド官能化アルブミン分子を、リンカーあり又はなしで一緒に架橋又はコンジュゲートして、アルブミンのオリゴマーを形成することができる。アルブミンのオリゴマーを形成するために使用されるべき典型的なリンカーを表2に提示する。チオール化アルブミン分子を架橋することができるリンカーの例は、少なくとも1つのマレイミド基を含むクロスリンカーであり、例えば、ビス(マレイミド)エタン、1,4−ビス(マレイミド)ブタン、1,6−ビス(マレイミド)ヘキサン、又は4アーム−ポリ(エチレングリコール)−マレイミド、典型的には4アーム−ポリ(エチレングリコール)−マレイミド11kDaなどのビスマレイミドクロスリンカーであり得る。
【0035】
アルブミンの単量体及び/又はオリゴマーの会合は、水素結合、静電相互作用及び/又は疎水性相互作用を介して起こり得る(
図2j、k及びlを参照)。
【0036】
媒体の極性を変化させることによる、すなわち、例えば種々の容量のエタノール又はアセトンを、アルブミン分子及び/又はアルブミンのオリゴマーの水溶液に加えることによる、アルブミン分子及び/又はアルブミンのオリゴマーの脱溶媒和は、より大きなアルブミンのナノ粒子の形成を導く(
図2oを参照)。そのより大きなアルブミンのナノ粒子は更に、典型的にはグルタルアルデヒドを使用して、互いに架橋されうる。
【0037】
生体適合性ナノ粒子を、少なくとも1つの関心対象の化合物と共に併用投与することは、典型的には、少なくとも1つの関心対象の化合物を必要とする被験体に、互いに5分超〜約72時間の間隔をおいて投与すると、何らの生体適合性ナノ粒子もなしで、標準的な薬学的用量、典型的には治療的用量の、少なくとも1つの関心対象の化合物によって誘発される薬学的効果及び毒性と比較して、被験体に対する少なくとも1つの関心対象の化合物のその低下した毒性に対し、薬学的(すなわち、治療的、予防的又は診断的)効果、典型的には治療的効果を、維持し、好ましくは増加させる。
【0038】
特定の実施態様において、少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子は、いくつかの関心対象の化合物、典型的には2つの関心対象の化合物と共に投与される。
【0039】
種々の分子又は薬剤を、本発明の教示に従って、本明細書に上記したとおりの少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子と組み合わせて投与される、関心対象の化合物として、典型的には、少なくとも1つの関心対象の医薬化合物として使用することができる。この化合物は、先に説明したとおりの治療用、予防用又は診断用化合物であり得る。それは、典型的には、ヒトに対して多かれ少なかれ毒性があると当業者に公知の化合物である。関心対象の化合物は、放射標識され得る。
【0040】
前記関心対象の化合物は、典型的には、医薬(治療用又は診断用)化合物、特に抗体、又は、少なくとも1つの抗体、例えば少なくとも2つの抗体又は3つの抗体の組み合わせを含むか、又はそれからなる医薬化合物である。抗体は、例えば、モノクローナル抗体(mAb)、抗体−薬物コンジュゲート(化学リンカーを介してmAbに結合された細胞毒性剤からなる)、改変抗体、典型的には糖鎖改変mAb、及び多重特異性抗体から選択され得る。
【0041】
好ましい関心対象の化合物は、IgGベースの化合物、すなわち、IgGのすべて若しくは一部を含む化合物、又はIgGベースの化合物の組み合わせである。関心対象のIgGベースの化合物は、例えば、アバタセプト(Abatacept)(融合タンパク質)、アブシキシマブ(Abciximab)(キメラIgG1 Fab)、アダリムマブ(adalimumab)(ヒトIgG1)、アフリベルセプト(Aflibercept)(融合タンパク質)、アレファセプト(Alefacept)(融合タンパク質)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)(ヒト化IgG1)、バシリキシマブ(Basiliximab)(キメラIgG1)、ベリムマブ(Belimumab)(ヒトIgG1)、ベバシズマブ(Bevacizumab)(ヒト化IgG1)、ブレンツキシマブ(Brentuximab)(キメラIgG1)、カナキヌマブ(canakinumab)(ヒトIgG1)、セルトリズマブ・ペゴル(Certolizumab pegol)(ヒト化Fab断片)、セツキシマブ (Cetuximab)(ヒト/ネズミキメラIgG1)、ダクリズマブ(Daclizumab)(ヒト化IgG1)、デノスマブ(Denosumab)(ヒトIgG2)、エクリズマブ(Eculizumab)(ヒト化IgG2/4)、エファリズマブ(Efalizumab)(ヒト化IgG1)、エタネルセプト(Etanercept)(融合タンパク質)、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin)(ヒト化IgG4)、ゴリムマブ(Golimumab)(ヒトIgG1)、インフリキシマブ(Infliximab)(ヒトIgG1/ネズミキメラ)、イピリムマブ(Ipilimumab)(ヒトIgG1)、ナタリズマブ(Natalizumab)(ヒト化IgG4)、オファツムマブ(Ofatumumab)(ヒト化IgG1)、オマリズマブ(Omalizumab)(ヒト化IgG1)、パリビズマブ(Palivizumab)(ヒト化IgG1)、パニツムマブ(Panitumumab)(ヒトIgG2)、ラニツムマブ(Ranitumumab)(ヒト化IgG1Fab)、リツキシマブ(Rituximab)(キメラIgG1)、トシリズマブ(Tocilizumab)(ヒト化IgG1)、トラスツズマブ(Trastuzumab)(ヒト化IgG1)、ウステキヌマブ(Ustekinumab)(ヒトIgG1)、及び本明細書に特定されるとおりの疾患を予防又は治療するために使用可能であるとして医師に公知の任意の他の関心対象の抗体から選択され得る。
【0042】
特許請求されるとおりの本発明の医薬組成物は、多くの分野で、特にヒト及び獣医用薬において使用され得る。この組成物は、典型的には、動物、好ましくは哺乳動物(例えば獣医用薬の文脈で)、更により好ましくはヒト(何れの年齢又は性別でも)において使用するためのものである。
【0043】
本発明の医薬組成物を使用して、心血管疾患、中枢神経系(CNS)疾患、消化器疾患、遺伝的障害、血液障害、ホルモン障害、免疫系の障害、感染症、代謝障害、筋骨格障害、癌、呼吸器疾患、中毒などから選択される疾患又は障害を予防又は治療することができる。好ましい実施態様において、医薬組成物は、心血管疾患、CNS疾患、癌、感染症及び代謝障害から選択される疾患又は障害を予防又は治療するために使用するものである。
【0044】
本発明の文脈において、少なくとも生体適合性ナノ粒子及び少なくとも1つの関心対象の化合物は、少なくとも1つの化合物の薬学的有効性を最適化するために、前記の関心対象の化合物を必要とする被験体に互いに5分超〜約72時間の間隔、典型的には5分超〜約48時間の間隔、好ましくは4時間超〜約48時間の間隔、例えば4時間超〜約24時間の間隔をおいて投与されることが有利である。
【0045】
本明細書に挙げたものなどの疾患を患っている被験体を処置するための方法であって、前記被験体に、本発明の医薬組成物、典型的には、本明細書に記載されるとおりの少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子及び少なくとも1つの関心対象の化合物を投与することを含む方法もまた、本明細書に記載される。前記生体適合性ナノ粒子及び前記関心対象の化合物が、互いに5分超〜約72時間の間隔をおいて、又は本明細書に記載の任意の他のスケジュールに従って投与される限り、前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子又は前記少なくとも1つの関心対象の化合物のいずれか1つを、最初に被験体に投与することができる。好ましくは、前記少なくとも1つの関心対象の化合物が最初に被験体に投与される(又は言い換えれば、前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子が、前記少なくとも1つの関心対象の化合物の後に投与される)。前記少なくとも1つのナノ粒子又は少なくとも1つの関心対象の化合物のいずれかの投与は、各々の単回投与、各々の繰り返し投与、例えば、各々の数回の連続投与であり得る。前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子が1回投与されてよく、そして、前記少なくとも1つの関心対象の化合物が2回以上投与されてよい(その逆も同様)。
【0046】
特定の実施態様において、前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子は少なくとも、前記少なくとも1つの関心対象の化合物の数回の投与を含むプロトコールの開始時に、すなわち、少なくとも、前記少なくとも1つの関心対象の化合物の最初の投与時、及び前記少なくとも1つの関心対象の化合物の投与の前又は好ましくは後に、投与される。
【0047】
別の特定の実施態様において、前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子は、少なくとも1つの関心対象の化合物の数回の投与を含むプロトコールの開始時には投与されず、前記少なくとも1つの関心対象の化合物の第二又は第三の投与の前、また前記少なくとも1つの関心対象の化合物の投与の前又は好ましくは後には投与されない。
【0048】
これらの最後の2つの実施態様の文脈において、前記少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子はまた、前記少なくとも1つの関心対象の化合物と一緒に(先に説明したように、前又は好ましくは後に)、その後の前記少なくとも1つの関心対象の化合物の投与の一部又はすべての間に、投与され得る。
【0049】
本発明の医薬組成物の前記生体適合性ナノ粒子は、皮下、静脈内(IV)、皮内、動脈内、気道(吸入)、腹腔内、筋肉内及び/又は経口経路(per os)などの種々の経路によって投与され得る。好ましい経路は、静脈内(IV)、動脈内及び/又は腹腔内である。
【0050】
本発明の医薬組成物の関心対象の化合物は、皮下、静脈内(IV)、皮内、動脈内、気道(吸入)、腹腔内、筋肉内及び/又は経口経路(per os)などの種々の経路によって投与され得る。
【0051】
以下の実施例は、本発明を例示するものであって、その範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】IgG分子の構造[Pharmacokinetics, Pharmacodynamics and physiologically-based pharmacokinetic modelling of monoclonal antibodies. Dostalek M, Gardner I, Gurbaxani B M, Rose R H, CHetty M. Clin Pharmacokinet (2013) 52:83-124]。
【
図2】少なくとも1つのアルブミンの二量体(a/b/c/−n=2)又はアルブミンのオリゴマー(d/e/f/g/h/i/j/k/l/m/n/o、n>2)を含むか、又はそれからなる少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子の表示。
【
図3】以下を用いたグラジエントポリアクリルアミド電気泳動ゲル:(a)マウス血清アルブミン(MSA)の懸濁液、すなわち生体適合性ナノ粒子No.1の懸濁液;(b)実施例1に従って調製されたMSAの懸濁液、すなわち生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液;及び(c)HiMark Proteinスタンダード 31〜460kDa。
【
図4】平均粒子径が典型的には50nm超(スケールバー500nm)である、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる生体適合性ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM)画像。
【
図5】FaDu異種移植片における、(i)実施例1からの生体適合性ナノ粒子(すなわち、生体適合性ナノ粒子No.1の懸濁液又は生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液)と、(ii)DC101化合物を含む医薬組成物についての処置スケジュールの概念図。
【
図6】FaDu異種移植片における、実施例1からの生体適合性ナノ粒子とDC101化合物を含む医薬組成物の腫瘍再成長遅延(平均RTV±SD)。
【
図7】以下を用いたグラジエントポリアクリルアミド電気泳動ゲル:(a)マウス血清アルブミン(MSA)の懸濁液、すなわち生体適合性ナノ粒子No.1の懸濁液(実施例2を参照);(b)実施例1に従って調製されたMSAの懸濁液、すなわち生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液(実施例を参照2);(c)実施例6に従って調製されたMSAの懸濁液、すなわち生体適合性ナノ粒子No.3の懸濁液(実施例を参照7);及び(d)HiMark Proteinスタンダード 31〜460kDa。
【実施例】
【0053】
実施例1:平均粒子径が典型的には50nm未満の、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)、例えばアルブミンの二量体(n=2)からなる少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子の合成
マウス血清アルブミン(1g)を、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)(pH8.5)77mLに溶解した。溶液を、新たな2−イミノチオラン(試薬)水溶液(3mM)77mLと混合した。水酸化ナトリウム溶液(NaOH)でpHを8.5に調整した後、懸濁液を室温で48時間インキュベートした。
【0054】
その後、得られた懸濁液をリン酸緩衝液中で希釈して、pH7.3に調整した。ポリエーテルスルホン膜(50kDa)を使用して、過剰な試薬の除去を実施すると共に、調製したままの懸濁液の再濃縮を達成した。Bradford法を使用してアルブミンの後濃度を決定したところ、約65g/Lに等しいことが見いだされた。
【0055】
実施例2:実施例1の懸濁液中の、アルブミンのオリゴマー、例えばアルブミンの二量体(n=2)からなる少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子の特性決定
少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーからなるナノ粒子の存在を、電気泳動によって確認した。マウス血清アルブミン(MSA)の懸濁液(アルブミン0.5g/L)又は実施例1からの懸濁液(アルブミン0.5g/L)7.5μLを、ドデシル硫酸リチウム(LDS)サンプルローディング緩衝液の溶液2.5μLと混合した(4×)。非変性4〜12%グラジエントポリアクリルアミドゲルをXCell SureLock垂直電気泳動槽に流し込み、200Vで1時間50泳動した。典型的には、オリゴマーの割合を、スーパーロース6カラム上でのサイズ排除クロマトグラフィーによる分離、次いでその後の各画分中のアルブミンの添加量をBradford法により評価し、動的光散乱(DLS)による各画分中のサイズの評価及び非変性4〜12%グラジエントポリアクリルアミドゲル上でのゲル電気泳動による各画分上の分子量の評価を行う。
【0056】
図3に提示する結果は、以下のことを示す:
【0057】
MSA懸濁液(
図3ラインa)はそれ自体、少量(low fraction)のアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含有する(生体適合性ナノ粒子No.1の懸濁液)。約10%の回収したアルブミンを、約120kDa(n=2)に等しい分子量を有するアルブミンのオリゴマーとして同定した(注目すべきは、アルブミン単量体の分子量は、約66kDaに等しい)。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径を、173°の角度で、633nmのHeNeレーザーを備えたzetasizer NanoZS(Malvern 5 Instrument)を使用した動的光散乱(DLS)によって測定した。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径は約9nmに等しく、多分散指数(PDI)は0.207であった。
【0058】
実施例1からの懸濁液(
図3ラインb)は、MSA懸濁液と比較して多量(larger proportion)のアルブミンのオリゴマーを含有する(生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液)。約50%の回収したアルブミンを、約120kDa(n=2)〜約1300kDa(n=20)を含む分子量を有するアルブミンのオリゴマーとして同定した(注目すべきは、アルブミン単量体の分子量は、約66kDaに等しい)。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径を、173°の角度で、633nmのHeNeレーザーを備えたzetasizer NanoZS(Malvern Instrument)を使用した動的光散乱(DLS)によって測定した。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径は約30nmに等しく、多分散指数(PDI)は0.250であった。
【0059】
実施例4及び5に記載されるインビボ実験のために、生体適合性ナノ粒子No.1とNo.2の両方の懸濁液を使用して、(i)少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる前記生体適合性ナノ粒子と、(ii)関心対象の医薬化合物の組み合わせを含む医薬組成物を調製した。
【0060】
実施例3:少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)(
図2mを参照)を含むか、又はアルブミンのオリゴマー(
図2a〜lを参照)からなり、平均粒子径が典型的には50nm超である、生体適合性ナノ粒子の調製
アルブミンナノ粒子を、脱溶媒和技術(desolvation process and surface characterization of protein nanoparticles. C. Weber, C. Coester, J. Kreuter, K. Langer, international Journal of pharmaceutics, V 194; 2000; pp 91-102)によって調製した。
【0061】
ウシ血清アルブミン(BSA)(100mg)を蒸留水(pH7)2mLに溶解した。BSA溶液に、脱溶媒和剤アセトン(5mL)を溶液が混濁するまで滴下した。溶液を一晩撹拌した。その後、溶媒を蒸発によって除去した。アルブミンナノ粒子を、JEOL JEM 100CX II HRを使用した透過型電子顕微鏡法(Transmission Electronic Microscopy)によって観察した(
図4を参照)。
【0062】
実施例4:FaDu異種移植片における、実施例1からの生体適合性ナノ粒子とDC101化合物を含む医薬組成物の腫瘍再成長遅延(平均RTV±SD)
この研究は、NMRIヌードマウスに異種移植されたFaDu腫瘍モデルにおける、実施例1からの生体適合性ナノ粒子と、関心対象の治療用化合物としてのDC101(ベバシズマブ(Bevacizumab)(Avastin(登録商標))の代わりとなる、ラット抗マウスVEGF受容体2モノクローナル抗体(マウス研究用))を含む医薬組成物の有効性を調査するために実施した。
【0063】
ヒト咽頭癌FaDu細胞株を、LGC Standard(Molsheim, France)から購入した。細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco)を補充したEagle最小必須培地中、5%CO
2で培養した。
【0064】
6〜7週齢(20〜25g)のNMRIヌードマウスをJanvier Labs(France)から取り寄せた。マウスを特定病原体フリー条件(滅菌食及び水を自由に摂取可能)下で維持し、実験を開始する前に1週間順化させた。
【0065】
FaDu腫瘍を、マウスの右下脇腹への50μL中の2.10
6個の細胞の皮下注射によって得た。腫瘍を約100mm
3前後の体積に達するまで成長させた。デジタルキャリパーを使用して腫瘍の直径を測定し、以下の式を使用して腫瘍体積(mm
3単位)を計算した:
腫瘍体積(mm
3)=長さ(mm)×(幅)
2(mm
2)/2
【0066】
マウスを無作為に別々のケージに分け、番号(タトゥーを入れた)によって識別した。7つの群を
図5及び表3に説明するとおりに処置した。
【0067】
表3:対照群(群1:ビヒクル0.9%NaCl;群6:生体適合性ナノ粒子No.2)及び処置群(群2:DC101単独;群3:DC101の4時間前の生体適合性ナノ粒子No.2の注射;群4:DC101の4時間後の生体適合性ナノ粒子No.2の注射;群5:DC101の24時間後の生体適合性ナノ粒子No.2の注射;群7:DC101の4時間後の生体適合性ナノ粒子No.1の注射)のためのスケジュール及び用量の条件。
【表3】
【0068】
群1:滅菌0.9%NaCl(対照ビヒクル群)
5匹のマウスに、滅菌0.9%NaCl溶液(DC101注射と等価な容量)を、連続3週間にわたり各週1日目、3日目及び5日目に腹腔内(IP)注射した。
【0069】
群2:800μg/用量でDC101(処置群)
5匹のマウスに、滅菌DC101溶液(800μg/投与)を、連続3週間にわたり各週1日目、3日目及び5日目に腹腔内(IP)注射した。
【0070】
群3:医薬組成物、すなわち生体適合性ナノ粒子No.2(65g/L:10mL/動物1kg)とDC101(800μg/投与)の組み合わせ(処置群)
5匹のマウスに、滅菌DC101溶液(800μg/投与)を、連続3週間にわたり各週1日目、3日目及び5日目に腹腔内(IP)注射した。各時点(日)で、DC101の注射の4時間前に、生体適合性ナノ粒子No.2の滅菌懸濁液の静脈内(IV)注射を実施した。
【0071】
群4:医薬組成物、すなわち生体適合性ナノ粒子No.2(65g/L:10mL/動物1kg)とDC101(800μg/投与)の組み合わせ(処置群)
5匹のマウスに、滅菌DC101溶液(800μg/投与)を、連続3週間にわたり各週1日目、3日目及び5日目に腹腔内(IP)注射した。各時点(日)で、DC101の注射の4時間後に、生体適合性ナノ粒子No.2の滅菌懸濁液の静脈内(IV)注射を実施した。
【0072】
群5:医薬組成物、すなわち生体適合性ナノ粒子No.2(65g/L:10mL/動物1kg)とDC101(800μg/投与)の組み合わせ(処置群)
5匹のマウスに、滅菌DC101溶液(800μg/投与)を、連続3週間にわたり各週1日目、3日目及び5日目に腹腔内(IP)注射した。各時点(日)で、DC101の注射の24時間後に、生体適合性ナノ粒子No.2の滅菌懸濁液の静脈内(IV)注射を実施した。
【0073】
群6:生体適合性ナノ粒子No.2(65g/L:10mL/動物1kg)(対照群)
5匹のマウスに、生体適合性ナノ粒子No.2の滅菌懸濁液(65g/L:10mL/動物1kg)を、連続3週間にわたり各週1日目、3日目及び5日目に静脈内(IV)注射した。
【0074】
群7:医薬組成物、すなわち生体適合性ナノ粒子No.1(65g/L:10mL/動物1kg)とDC101(800μg/投与)の組み合わせ(処置群)
4匹のマウスに、滅菌DC101溶液(800μg/投与)を、連続3週間にわたり各週1日目、3日目及び5日目に腹腔内(IP)注射した。各時点(日)で、DC101の注射の4時間後に、生体適合性ナノ粒子No.1の滅菌懸濁液の静脈内(IV)注射を実施した。
【0075】
DC101生成物(BioXcell−4.83mg/ml(pH7)、PBS中)を0.9%NaCl中で4.6mg/mLに希釈して、174μLの注射で、投与量が800μg/注射となるようにした。
【0076】
実施例1からの生体適合性ナノ粒子NO.1の懸濁液及び生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液(アルブミン含量=PBS緩衝液中65g/L)を、追加の希釈なしで10mL/動物1kgで注射した。
【0077】
DC101を、29ゲージ針(TERUMO, France)の100U(0.3ml)インスリン注射器で腹腔内注射(IP)によって投与した。実施例1からの生体適合性ナノ粒子No.1の懸濁液及び生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液を、26ゲージ針(TERUMO, France)の1mLの注射器で側尾静脈を介して静脈内(IV)注射によって注射した。
【0078】
マウスを、臨床徴候、体重及び腫瘍サイズについて追跡調査した。
【0079】
図6は、以下の注射後に(先に記載した条件で)得られたとおりの、全群についての平均相対腫瘍体積(平均RTV)を示す:
−連続3週間にわたり、各週1日目、3日目及び5日目にビヒクル(滅菌0.9%NaCl)を腹腔内注射した(群1);
−連続3週間にわたり、各週1日目、3日目及び5日目にDC101(800μg/投与)を腹腔内注射した(群2);
−連続3週間にわたり、各週1日目、3日目及び5日目にDC101(800μg/投与)を腹腔内注射し、DC101注射の4時間前に、生体適合性ナノ粒子の懸濁液No.2を静脈内注射した(群3);
−連続3週間にわたり、各週1日目、3日目及び5日目にDC101(800μg/投与)を腹腔内注射し、DC101注射の4時間後に、生体適合性ナノ粒子の懸濁液No.2を静脈内注射した(群4);
−連続3週間にわたり、各週1日目、3日目及び5日目にDC101(800μg/投与)を腹腔内注射し、DC101注射の24時間後に、生体適合性ナノ粒子の懸濁液No.2を静脈内注射した(群5);
−連続3週間にわたり、各週1日目、3日目及び5日目に生体適合性ナノ粒子No.2を静脈内注射した(群6);及び
−連続3週間にわたり、各週1日目、3日目及び5日目にDC101(800μg/投与)を腹腔内注射し、DC101注射の4時間後に、生体適合性ナノ粒子No.1の懸濁液を静脈内注射した(群7)。
【0080】
図6に示すように、DC101単独(群2)、或いはそれと生体適合性ナノ粒子の懸濁液No.2の組み合わせ(群3、4、5)又は生体適合性ナノ粒子の懸濁液No.1の組み合わせ(群7)を含む群について、処置の7日後に、ビヒクル群(群1)及び生体適合性ナノ粒子の懸濁液No.2(群6)と比較して、顕著な腫瘍成長阻害が観察される。この顕著な腫瘍成長阻害は、群2、3、4、5及び7の間で類似している。
【0081】
総合的に見れば、これらの結果は、DC101処置によって得られた腫瘍成長遅延が、本発明の医薬組成物(実施例1からの生体適合性ナノ粒子と、DC101(800μg/用量)の組み合わせに対応する)を使用した場合にも改変されないことを示す。この腫瘍成長遅延は、実施例1からの生体適合性ナノ粒子及び関心対象の化合物(DC101)を逐次的に投与した場合に観察された。
【0082】
実施例5:FaDu異種移植片における、実施例1からの生体適合性ナノ粒子とDC101抗体を含む医薬組成物の毒性評価
この研究は、実施例4からのNMRIヌードマウスに異種移植されたFaDu腫瘍モデルへのDC101処置の毒性に及ぼす、実施例1からの生体適合性ナノ粒子とDC101(ベバシズマブ(Bevacizumab)(Avastin(登録商標))の代わりとなる、ラット抗マウスVEGF受容体2モノクローナル抗体(マウス研究用))の組み合わせの影響を調査するために実施した。
【0083】
腫瘍成長遅延実験(実施例4)の異なる群(群1〜7)の各マウスについて、腫瘍体積が1000mm
3を超えた、又は任意の壊死の徴候を呈した場合に、マウスを安楽死させ、その後に剖検した。各マウスについて、毎剖検の間に、何らかの毒性の徴候について以下の臓器を観察した:肝臓、脾臓、腎臓、皮膚、脳、胃、腸、肺及び心臓。表4は、実施例4からの各群についての、マウスの剖検の間になされた観察を示す。
【0084】
表4:実施例4からのマウスの異なる群に対してなされた剖検での観察
【表4】
【0085】
群2(DC101単独)は、肝臓、脾臓及び腎臓において目視可能な毒性の徴候を呈した。注目すべきは、腫瘍成長遅延アッセイの間に実施した血液採取は、群2のすべてのマウスについて血液粘度の増加を示した。
【0086】
興味深いことに、DC101によるVEGFR2(血管内皮細胞増殖因子受容体2)の選択的遮断が、肝臓によるエリスロポエチン(EPO)発現の増加を誘発することが観察されている(Nature Medicine vol. 12, N 7, July 2006, pp 793-800)。EPO産生の増加は、赤血球の産生の増加とその後のヘマトクリットの増加を導く。赤血球数の増加ならびにヘマトクリットの増加は、DC101によるVEGFR2阻害と相関していた(Nature Medicine vol. 12, N 7, July 2006, pp 793-800)。
【0087】
EPO産生の増加に伴うヘマトクリットの増加は、二次性赤血球増多と相関している(Nature Medicine vol. 12, N 7, July 2006, pp 793-800)。赤血球増多の場合に、赤血球数の増加のために多くの場合で脾腫が存在することが実証された(Clin. Lab. Haem. Vol. 21, pp 309-316, 1999)。二次性赤血球増多の他の原因は、嚢胞などの腎病変であり得る(Clin. Lab. Haem. Vol. 21, pp 309-316, 1999)。DC101によるVEGFR2の阻害が、抗血管新生抗体を用いて起こるタンパク尿(Jpn J. Clin. Oncol. Vol. 43、N 6, pp 587-595, 2013)などの他の腎不全に加えて、マウスにおいて腎嚢胞の形成を導くことが示されている(Kidney Inter. Vol. 69, pp 1741-1748, 2006)。
【0088】
入手可能なDC101の文献に基づけば、群2(DC101単独)に対して剖検の間になされた観察は、抗血管新生モノクローナル抗体DC101のオフターゲット毒性と関係付けることができる。この結論は、剖検の間に毒性の徴候が観察されなかった対照ビヒクル群(群1)及び群6(生体適合性ナノ粒子No.2)によって支持される。
【0089】
驚くべきことに、本発明者等は、群4及び7の動物において顕著な毒性の減少(動物の剖検の間の臓器の臨床観察によって評価したところでは)を観察した。更により驚くべきことに、群5のすべての動物において毒性は観察されない。
【0090】
結論:DC101と、DC101注射の4時間後に静脈内注射した実施例1からの生体適合性ナノ粒子との組み合わせは、DC101処置の顕著な毒性の減少を伴って、DC101の抗腫瘍効果を保持することができる。最も興味深いのは、DC101と、DC101注射の24時間後に静脈内注射した実施例1からの生体適合性ナノ粒子との組み合わせは、DC101の抗腫瘍効果を保持することができ、かつDC101処置の毒性を完全に無効にすることができる(剖検時の動物の主要臓器の目視による観察を通して評価した場合)ことである。
【0091】
それ故、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含むか、又はアルブミンのオリゴマーからなる本発明の生体適合性ナノ粒子は、抗体化合物(DC101など)を必要とする被験体に、前記少なくとも1つのオリゴマーが、抗体の後に投与されるとき、前記抗体の望ましくない正常組織への毒性を効果的に低下させることができる。
【0092】
実施例6:少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子であって、少なくとも1つのアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含み(
図2mを参照)、平均粒子径が典型的には約50nmである、生体適合性ナノ粒子の調製
マウス血清アルブミン(0.8g)を、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)(pH7,4)10mLに溶解した。この溶液を、新たな4アーム−ポリ(エチレングリコール)−マレイミド11kDa水溶液(5mM)2.4mLと混合した。pHを8.2に調整した後、サンプルを室温で24時間インキュベートした。その後、得られた懸濁液をpH9に維持した。BCAアッセイを使用してアルブミンの終濃度を決定したところ、約64g/Lに等しいことが見いだされた。
【0093】
実施例7:実施例6の、懸濁液中のアルブミンのオリゴマー(n≧2)からなる少なくとも1つの生体適合性ナノ粒子の特性決定
少なくとも1つのアルブミンのオリゴマーからなるナノ粒子の存在を、電気泳動によって確認した。マウス血清アルブミン(MSA)の懸濁液(アルブミン0.5g/L)、実施例1からの懸濁液(アルブミン0.5g/L)及び実施例6からの懸濁液7.5μLを、ドデシル硫酸リチウム(LDS)サンプルローディング緩衝液の溶液2.5μLと混合した(4×)。非変性4〜12%グラジエントポリアクリルアミドゲルをXCell SureLock垂直電気泳動槽に流し込み、200Vで1時間50泳動した。
【0094】
典型的には、オリゴマーの割合を、スーパーロース6カラム上でのサイズ排除クロマトグラフィーによる分離、次いで、その後の各画分中のアルブミンの添加量をBradford法で評価し、動的光散乱(DLS)による各画分中のサイズの評価及び非変性4〜12%グラジエントポリアクリルアミドゲル上でのゲル電気泳動による各画分上の分子量の評価を行う。
【0095】
図7に提示する結果は、以下のことを示す:
【0096】
MSA懸濁液(
図7ラインa)はそれ自体、少量のアルブミンのオリゴマー(n≧2)を含有する(生体適合性ナノ粒子No.1の懸濁液)。約10%の回収したアルブミンを、約120kDa(n=2)に等しい分子量を有するアルブミンのオリゴマーとして同定した(注目すべきは、アルブミン単量体の分子量は、約66kDaに等しい)。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径を、173°の角度で、633nmのHeNeレーザーを備えたzetasizer NanoZS(Malvern 5 Instrument)を使用した動的光散乱(DLS)によって測定した。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径は約9nmに等しく、多分散指数(PDI)は0.207であった。
【0097】
実施例1からの懸濁液(
図7ラインb)は、MSA懸濁液と比較して多量のアルブミンのオリゴマーを含有する(生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液)。約50%の回収したアルブミンを、約120kDa(n=2)〜約1300kDa(n=20)を含む分子量を有するアルブミンのオリゴマーとして同定した(注目すべきは、アルブミン単量体の分子量は、約66kDaに等しい)。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径を、173°の角度で、633nmのHeNeレーザーを備えたzetasizer NanoZS(Malvern Instrument)を使用した動的光散乱(DLS)によって測定した。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径は約30nmに等しく、多分散指数(PDI)は0.250であった。
【0098】
実施例6からの懸濁液(
図7ラインc)は、MSA懸濁液及び生体適合性ナノ粒子No.2の懸濁液と比較して多量のアルブミンのオリゴマーを含有する(生体適合性ナノ粒子No.3の懸濁液)。約70%の回収したアルブミンを、約120kDa(n=2)〜約1300kDa(n=20)を含む分子量を有するアルブミンのオリゴマーとして同定した(注目すべきは、アルブミン単量体の分子量は、約66kDaに等しい)。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径を、173°の角度で、633nmのHeNeレーザーを備えたzetasizer NanoZS(Malvern Instrument)を使用した動的光散乱(DLS)によって測定した。懸濁液中の生体適合性ナノ粒子の平均粒子径は約50nmに等しく、多分散指数(PDI)は0.475であった。