(54)【発明の名称】着色分散液、これを含む着色感光性樹脂組成物、前記樹脂組成物を用いて製造されたパターン層、前記パターン層を含むカラーフィルタ、および前記カラーフィルタを含む表示装置
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイオレット顔料は、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、31、および37からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
前記着色剤中の、有機ブラック顔料、バイオレット顔料、青色顔料、および黒色顔料は、1:0.08〜2.5:0.2〜3.3:0.12〜1.7の重量比で混合されることを特徴とする、請求項7に記載の着色感光性樹脂組成物。
着色分散液は、着色分散液中の固形分の総重量に対して、着色剤65〜75重量%および分散樹脂7〜12重量%を含み、前記着色分散液の総重量に対して、溶剤70〜80重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
前記着色感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して、着色剤13〜60重量%、アルカリ可溶性樹脂5〜60重量%、光重合性化合物5〜50重量%、および光重合開始剤0.1〜20重量%を含み、前記着色感光性樹脂組成物の総重量に対して、溶剤60〜90重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
前記着色感光性樹脂組成物は、充填剤、別の高分子化合物、硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および凝集防止剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を追加的に含むことを特徴とする、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
本発明は、着色剤、分散樹脂、および溶剤を含む着色分散液であって、
前記着色剤は、有機ブラック顔料、青色顔料、およびバイオレット顔料を含み、
前記分散樹脂は、下記化学式1の共重合体を含むことを特徴とする着色分散液に関する。
【0023】
(前記化学式1において、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素またはメチル基であり、a単量体およびb単量体のモル比は、1:20〜20:1である。)
【0024】
本発明の着色分散液は、前記化学式1の共重合体を含む分散樹脂を用いて、顔料の分散性および保存安定性を向上させることができ、さらに、これを適用した着色感光性樹脂組成物の耐溶剤性および保存安定性のような信頼性を向上させることができる。
【0025】
前記化学式1の共重合体を含む分散樹脂を用いて着色分散液を製造する場合、前記分散樹脂が顔料の表面に均一にコーティングされた状態の着色分散液を得ることができる。したがって、このような着色分散液を含む着色感光性樹脂組成物は、分散樹脂でコーティングされた顔料粒子を含むことで、顔料が溶剤に溶出するのを防止することにより耐溶剤性を向上させることができ、顔料粒子間の凝集を抑制して着色感光性樹脂組成物の粘度が増加するのを防止することにより保存安定性を向上させることができる。
【0026】
本発明の着色分散液は、着色分散液中の固形分の総重量に対して、着色剤65〜75重量%および分散樹脂7〜12重量%を含み、前記着色分散液の総重量に対して、溶剤70〜80重量%を含むことを特徴とすることができる。前記着色剤、分散樹脂、および溶剤が前記範囲を満足する場合、顔料の分散性および保存安定性に優れた着色分散液を製造することができる。
【0027】
また、前記着色分散液は、追加的に分散剤をさらに含んでもよい。着色分散液に分散剤を含有させて分散処理することにより、顔料が溶液中により均一に分散した状態の着色分散液を得ることができる。
【0028】
本発明はまた、前記着色分散液、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含む着色感光性樹脂組成物に関する。
【0029】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色剤として、有機ブラック顔料、青色顔料、およびバイオレット顔料を含むことで、着色感光性樹脂組成物の光学密度を向上させることができる。
【0030】
また、本発明の着色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂として前記化学式1の共重合体を含むことができる。これにより、着色感光性樹脂組成物の架橋反応を通して耐溶剤性および耐薬品性のような信頼性を向上させることができる。
【0031】
さらに、本発明の着色感光性樹脂組成物は、前記化学式1で表される共重合体としてエポキシ当量が互いに異なる2種以上の共重合体を含むアルカリ可溶性樹脂を使用することにより、これを用いて製造された塗膜の弾性回復率を向上させることができる。
【0032】
以下、本発明の着色分散液および着色感光性樹脂組成物を各成分ごとに詳細に説明する。
【0033】
着色剤
本発明において、着色剤は、可視光線に遮光性のあるものを使用し、本発明の着色剤は、有機ブラック顔料、バイオレット顔料、および青色顔料を含む。
【0034】
前記有機ブラック顔料は、ラクタムブラック、アニリンブラック、およびペリレンブラックからなる群より選択される1種以上を含み、好ましくは、ラクタムブラックを含む。前記有機ブラック顔料を含むことにより、光学密度を向上させながら赤外線領域に影響を与えず、誘電率および透過度も向上させることができる。
【0035】
前記バイオレット顔料は、400〜600nmの領域で透過率を減少させて光学密度(optical density、O.D)を向上させる役割を果たす。また、前記バイオレット顔料の使用により有機ブラック顔料の含有量を低減可能で、着色感光性樹脂組成物の信頼性を向上させることができる。前記バイオレット顔料はその種類を特に限定するものではないが、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、31、および37からなる群より選択される1種以上を使用することが好ましく、C.I.ピグメントバイオレット29を含んで使用することが最も好ましい。
【0036】
前記青色顔料は、中心金属を含まない化合物で、前記中心金属が存在すると、液晶の駆動時に影響を及ぼしうるが、本発明では、青色顔料として中心金属を含まない化合物を用いることにより、装備の駆動にメリットを確保することができる。本発明において、前記青色顔料は、中心金属を含まない化合物であればその種類を特に限定するものではないが、C.I.ピグメントブルー16、60、63、および66からなる群より選択される1種以上を使用することが好ましく、C.I.ピグメントブルー60を含んで使用することが最も好ましい。
【0037】
また、本発明の着色感光性樹脂組成物は、追加の着色剤として黒色顔料を含むことができる。前記黒色顔料は、可視光線で遮光性のあるものであればその種類を特に限定するものではないが、チタンブラックおよびカーボンブラックからなる群より選択される1種以上を含んで使用することが好ましく、カーボンブラックを含んで使用することがさらに好ましい。前記カーボンブラックは、遮光性のある顔料であれば特に限定されず、公知のカーボンブラックを使用することができる。前記黒色顔料のカーボンブラックとしては、具体的には、チャンネルブラック(channel black)、ファーネスブラック(furnace black)、サーマルブラック(thermal black)、ランプブラック(lamp black)などが挙げられる。前記カーボンブラックは、樹脂が被覆されたものでもよいし、樹脂で被覆されたカーボンブラックは、被覆されていないカーボンブラックに比べて導電性が低くて、ブラックマトリックスまたはカラムスペーサの形成時に優れた電気絶縁性を付与することができる。
【0038】
本発明において、前記着色剤は、着色感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して13〜60重量%含まれ、好ましくは25〜45重量%含まれる。前記着色剤が13〜60重量%含まれると、光学密度および信頼性に優れる。
【0039】
より具体的には、前記着色剤は、有機ブラック顔料、バイオレット顔料、青色顔料、および黒色顔料が1:0.08〜2.5:0.2〜3.3:0.12〜1.7の重量比で混合できる。また、好ましくは1:0.27〜1:0.47〜1.88:0.27〜0.87の重量比で混合できる。前記有機ブラック顔料、バイオレット顔料、青色顔料、および黒色顔料が前記重量比で含まれると、光学密度および信頼性に優れた着色感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0040】
分散樹脂
前記分散樹脂は、着色分散液に存在する顔料粒子を分散樹脂でコーティングして溶剤に溶解するのを防止し、顔料粒子間の凝集を抑制して顔料粒子間の凝集による粘度増加を防止する役割を果たす。
【0041】
本発明の分散樹脂は、下記化学式1の共重合体を含む。
【0043】
(前記化学式1において、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素またはメチル基であり、a単量体およびb単量体のモル比は、1:20〜20:1である。)
【0044】
本発明において、分散樹脂としてエポキシ基を含む前記化学式1の共重合体を含むことにより、耐溶剤性、保存安定性および残膜率を改善することができる。
【0045】
前記分散樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、3,000〜100,000であってもよいし、好ましくは3,000〜50,000、さらに好ましくは5,000〜50,000であってもよい。
【0046】
前記分散樹脂の酸価は、固形分基準で50〜200mgKOH/gで、前記範囲内で顔料の分散安定性を向上させることができる。
【0047】
前記分散樹脂は、前記化学式1で表される共重合体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
【0048】
前記分散樹脂の化学式1と共重合可能な単量体の具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環族(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミドなどのN−置換マレイミド系化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−(メタクリロイルオキシメチル)−4−トリフルオロメチルオキセタンなどの不飽和オキセタン化合物などが挙げられる。
【0049】
前記例示した化合物は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
本発明の分散樹脂は、必要に応じて、当該分野で一般的に用いられる公知の多様な他のアルカリ可溶性樹脂を追加的に混合して使用することができる。
【0051】
前記分散樹脂は、着色分散液中の固形分の総重量に対して1〜20重量%含まれ、7〜12重量%含まれることが好ましい。前記分散樹脂の含有量が当該範囲以内であれば、顔料粒子が均一に分散し、顔料粒子間の凝集を防止可能で、耐溶剤性および保存安定性が向上するので、好ましい。
【0052】
分散剤
前記分散剤は、顔料の脱凝集および安定性維持のために添加するもので、分散剤の具体例としては、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられ、これらは、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
前記陽イオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩およびラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミン塩または4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0054】
前記陰イオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムおよびオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
【0055】
前記非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
【0056】
その他、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、およびポリエチレンイミン類などが挙げられる。
【0057】
また、前記分散剤は、ブチルメタアクリレート(BMA)またはN,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート(DMAEMA)を含むアクリレート系分散剤(以下、アクリレート系分散剤)を含むことが好ましい。前記アクリレート系分散剤は、リビング制御方法によって製造されたものを使用することが好ましく、市販品としては、DISPER BYK−2000、DISPER BYK−2001、DISPER BYK−2070、またはDISPER BYK−2150などが挙げられ、前記アクリレート系分散剤は、それぞれ単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
前記分散剤は、アクリレート系分散剤のほか、他の樹脂タイプの顔料分散剤を使用することもできる。前記他の樹脂タイプの分散剤としては、公知の樹脂タイプの分散剤、特に、ポリウレタン、ポリアクリレートに代表されるポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の(部分的)アミン塩、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアミドホスフェート塩、ヒドロキシル基−含ポリカルボン酸のエステル、およびこれらの改質生成物、またはフリー(free)カルボキシル基を有するポリエステルとポリ(低級アルキレンイミン)の反応によって形成されたアミドまたはこれらの塩のような油質の分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレンコポリマー、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコール、またはポリビニルピロリドンのような水溶性樹脂または水溶性ポリマー化合物;ポリエステル;改質ポリアクリレート;エチレンオキシド/プロピレンオキシドの付加生成物;およびホスフェートエステルなどが挙げられる。
【0059】
前記他の樹脂タイプの分散剤の市販品には、陽イオン系樹脂分散剤としては、例えば、BYK(ビック)ケミー社の商品名:DISPER BYK−160、DISPER BYK−161、DISPER BYK−162、DISPER BYK−163、DISPER BYK−164、DISPER BYK−166、DISPER BYK−171、DISPER BYK−182、DISPER BYK−184、DISPER BYK−2000;BASF社の商品名:EFKA−44、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−4010、EFKA−4050、EFKA−4055、EFKA−4020、EFKA−4015、EFKA−4060、EFKA−4300、EFKA−4330、EFKA−4400、EFKA−4406、EFKA−4510、EFKA−4800;Lubirzol社の商品名:SOLSPERS−24000、SOLSPERS−32550、NBZ−4204/10;川研ファインケミカル社の商品名:ヒノアクト(HINOACT)T−6000、ヒノアクトT−7000、ヒノアクトT−8000;味の素社の商品名:アジスパー(AJISPUR)PB−821、アジスパーPB−822、アジスパーPB−823;共栄社化学社の商品名:フローレン(FLORENE)DOPA−17HF、フローレンDOPA−15BHF、フローレンDOPA−33、フローレンDOPA−44などが挙げられる。
【0060】
前記アクリレート系分散剤のほか、他の樹脂タイプの分散剤は、それぞれ単独または2種以上を混合して使用することができ、アクリレート系分散剤と併用して使用することもできる。
【0061】
前記分散剤は、着色剤1重量部に対して、0超過1重量部以下で含まれ、好ましくは0.05〜0.5重量部含まれる。当該0超過1重量部以下で分散剤が含まれると、均一に分散した顔料を得ることができるので、好ましい。
【0062】
アルカリ可溶性樹脂
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂は、現像工程で用いられるアルカリ現像液に対して可溶性を付与する成分である。本発明において、前記アルカリ可溶性樹脂は特に限定しないが、カルボキシル基を有する単量体およびこれと共重合可能な他の単量体の共重合体であることが好ましい。
【0063】
前記カルボキシル基を有する単量体の例としては、分子内に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸、例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。これらの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。前記カルボキシル基を有する単量体は、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物であり、それぞれ単独でまたは2種以上が使用できる。
【0064】
前記他の単量体の具体例としては、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボキシレート化合物、不飽和アミノアルキルカルボキシレート化合物、不飽和グリシジルカルボキシレート化合物、ビニルカルボキシレート化合物、ビニルシアナイド化合物、および不飽和オキセタンカルボキシレート化合物などが挙げられる。
【0065】
前記ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。前記不飽和カルボキシレート化合物の具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、および2−フェニルチオエチルアクリレートなどが挙げられる。前記不飽和アミノアルキルカルボキシレート化合物の具体例としては、アミノエチルアクリレートなどが挙げられる。前記不飽和グリシジルカルボキシレート化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。前記ビニルカルボキシレート化合物の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネートなどが挙げられる。前記ビニルシアナイド化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。前記不飽和オキセタンカルボキシレート化合物の具体例としては、3−メチル−3−アクリルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリルオキシエチルオキセタン、および3−メチル−3−メタクリルオキシエチルオキセタンなどが挙げられる。前記他の単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上が使用できる。
【0066】
また、前記アルカリ可溶性樹脂は、前記化学式1の共重合体を含むことを特徴とすることができ、アルカリ可溶性樹脂がエポキシ基を含む前記化学式1の共重合体を含むことにより、耐溶剤性および保存安定性を改善することができる。
【0067】
また、本発明において、アルカリ可溶性樹脂は、前記化学式1の共重合体としてエポキシ当量が互いに異なる2種以上の共重合体を混合して使用することができ、好ましくは、共重合体(b1)および共重合体(b2)を混合して使用することができる。
【0068】
前記共重合体(b1)は、エポキシ当量が500〜800であってもよく、好ましくは600〜700であってもよい。また、前記共重合体(b2)は、エポキシ当量が1,000〜1,300であってもよく、好ましくは1,100〜1,200であってもよい。
【0069】
さらに、前記共重合体(b1)および(b2)は、1:0.1〜5の重量比で含まれ、1:0.25〜3の重量比で含まれることが好ましい。共重合体(b1)および(b2)が前記エポキシ当量の範囲および重量比の範囲を満足する場合、優れた弾性回復率を示しうる点で好ましい。
【0070】
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、3,000〜100,000であってもよいし、好ましくは3,000〜50,000、さらに好ましくは5,000〜50,000であってもよい。
【0071】
前記アルカリ可溶性樹脂は、着色感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して5〜60重量%含まれ、20〜50重量%含まれることが好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の含有量が当該範囲以内であれば、パターン形成が容易であり、解像度および残膜率が向上するので、好ましい。
【0072】
また、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂および光重合性化合物の総100重量部に対して30〜95重量部、好ましくは40〜85重量部で混合される。前記アルカリ可溶性樹脂が当該範囲内で混合されると、溶解性が十分でパターン形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止され、非画素部分の欠落性が良好な着色感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0073】
光重合性化合物
前記光重合性化合物は、不飽和結合を含み、光重合開始剤と光反応を進行させて着色感光性樹脂層を形成するもので、後述する光重合開始剤の作用で重合可能な化合物でなければならない。
【0074】
本発明において、光重合性化合物の官能基は、一般的に使用される(メタ)アクリレートであってもよい。
【0075】
前記光重合性化合物は、3〜10個の官能基を含み、好ましくは、4〜8個の官能基を含む。
【0076】
前記多官能性単量体のうち3官能性単量体の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0077】
前記多官能性単量体のうち4官能性単量体の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリンテトラアクリレート、グリセリンテトラメタクリレートなどが挙げられる。
【0078】
前記多官能性単量体のうち5官能性単量体の具体例としては、ジペンタエリスリトールペンタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレートなどが挙げられる。
【0079】
前記多官能性単量体のうち6官能性単量体の具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられる。
【0080】
前記多官能性単量体のうち7〜10官能性単量体の具体例としては、トリペンタエリスリトールオクタメタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールヘプタメタアクリレート、およびテトラペンタエリスリトールヘプタアクリレートなどが挙げられる。
【0081】
前記光重合性化合物は、本発明の着色感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して5〜50重量%含まれ、7〜45重量%含まれることが好ましい。前記光重合性化合物は、前記5〜50重量%の範囲で画素部の強度や平坦性を良好にできる。
【0082】
光重合開始剤
前記光重合開始剤は、光重合性化合物を重合させるものであれば制限なく使用することができるが、好ましくは、重合特性、開始効率、吸収波長、入手性、価格などを考慮して、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ビイミダゾール系化合物、オキシム系化合物、およびチオキサントン系化合物からなる群より選択された1種以上の化合物であってもよい。
【0083】
前記アセトフェノン系化合物としては、具体的には、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オン、および2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンなどが挙げられる。
【0084】
前記ベンゾイン系化合物としては、具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびベンゾイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0085】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、具体的には、例えば、ベンゾフェノン、0−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0086】
前記トリアジン系化合物としては、具体的には、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、および2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0087】
前記ビイミダゾール化合物としては、具体的には、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、または4,4’,5,5’位のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。
【0088】
より好ましくは、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールなどが挙げられる。
【0089】
前記オキシム化合物としては、具体的には、例えば、o−エトキシカルボニル−α−オキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられ、市販品として、バスフ社のOXE01、OXE02であってもよい。
【0090】
前記チオキサントン系化合物は、具体的には、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0091】
前記光重合開始剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0092】
本発明において、前記光重合開始剤は、着色感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%含まれる。
【0093】
前記0.1〜20重量%の範囲内で着色感光性樹脂組成物が高感度化され、前記着色感光性樹脂組成物を用いて形成した画素部の強度および前記画素部の表面における平滑性が良好になる。
【0094】
また、本発明では、光重合開始剤に、追加的に光重合開始補助剤を使用することができる。
【0095】
前記光重合開始補助剤は、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進させるために使用される化合物であり、光重合開始補助剤としては、例えば、アミン系化合物またはアルコキシアントラセン系化合物などが挙げられる。
【0096】
前記アミン系化合物としては、具体的には、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズフェノン(通称、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、なかでも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0097】
前記アルコキシアントラセン系化合物としては、具体的には、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、および2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0098】
また、光重合開始補助剤として市販のものを使用することができ、市販の光重合開始補助剤としては、商品名「EAB−F」(製造元:保土谷化学工業株式会社)などが挙げられる。
【0099】
前記光重合開始補助剤を使用する場合、光重合開始剤1モルに対して、通常、0超過10モル以下、0.01〜5モルで使用することが好ましい。前記0超過10モル以下の範囲で光重合開始補助剤を使用すると、着色感光性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、着色感光性樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルタの生産性が向上できる。
【0100】
溶剤
前記溶剤は、着色感光性樹脂組成物に含まれる他の成分を溶解させるのに効果的でかつ反応しないものであれば、通常の着色感光性樹脂組成物で使用される溶剤を特に制限なく使用することができ、特に、エーテル類、アセテート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、またはエステル類などが好ましい。
【0101】
前記エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類などが挙げられる。
【0102】
前記アセテート類としては、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート、メチルラクテート、エチルラクテート、ブチルラクテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、メチル3−メトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、1,2−プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートなどが挙げられる。
【0103】
前記芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンなどが挙げられる。
【0104】
前記ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0105】
前記アルコール類としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン、および4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。
【0106】
前記エステル類としては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、およびγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0107】
前記溶剤は、それぞれ単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0108】
前記溶剤は、塗布性および乾燥性の面で、沸点が100℃〜200℃の有機溶剤を使用することが好ましく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、および3−メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。
【0109】
前記溶剤は、着色感光性樹脂組成物の総重量に対して60〜90重量%、好ましくは65〜85重量%含まれる。前記溶剤が前記60〜90重量%の範囲で含まれると、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、およびインクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる。
【0110】
添加剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、上述した成分のほか、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の技術者の必要に応じて、別の添加剤を含む。
【0111】
前記添加剤は、具体的には、例えば、充填剤、別の高分子化合物、熱開始剤、硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および凝集防止剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を追加的に含んでもよい。
【0112】
前記別の高分子化合物の具体例としては、エポキシ樹脂およびマレイミド樹脂などの硬化性樹脂;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、およびポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0113】
前記熱開始剤は、熱による硬化反応を起こして開始効率を極大化させる役割を果たす。前記熱開始剤は、ペルオキシド系化合物であってもよい。
【0114】
前記熱開始剤の具体的な種類は特に限定されないが、テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート(ex.Perocta ND、NOF社(製))、ビス(4−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(ex.Peroyl TCP、NOF社(製))、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシカーボネート、ブチルペルオキシネオデカノエート(ex.Perbutyl ND、NOF社(製))、ジプロピルペルオキシジカーボネート(ex.Peroyl NPP、NOF社(製))、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(ex.Peroyl IPP、NOF社(製))、ジエトキシエチルペルオキシジカーボネート(ex.Peroyl EEP、NOF社(製))、ジエトキシヘキシルペルオキシジカーボネート(ex.Peroyl OEP、NOF社(製))、ヘキシルペルオキシジカーボネート(ex.Perhexyl ND、NOF社(製))、ジメトキシブチルペルオキシジカーボネート(ex.Peroyl MBP、NOF社(製))、ビス(3−メトキシ−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート(ex.Peroyl SOP、NOF社(製))、ジブチルペルオキシジカーボネート、ジセチル(dicetyl)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチル(dimyristyl)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシピバレート(peroxypivalate)、ヘキシルペルオキシピバレート(ex.Perhexyl PV、NOF社(製))、ブチルペルオキシピバレート(ex.Perbutyl、NOF社(製))、トリメチルヘキサノイルペルオキシド(ex.Peroyl355、NOF社(製))、ジメチルヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート(ex.Luperox 610M75、Atofina(製))、アミルペルオキシネオデカノエート(ex.Luperox 546M75、Atofina(製))、ブチルペルオキシネオデカノエート(ex.Luperox 10M75、Atofina(製))、t−ブチルペルオキシネオヘプタノエート、アミルペルオキシピバレート(pivalate)(ex.Luperox 546M75、Alofina(製))、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルペルオキシド、ジラウロイル(dilauroyl)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ビス(ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメンヒドロキシペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート(tert−butyl peracetate)、ペル酢酸(peracetic acid)、およびポタシウムペルスルフェート(potassium persulfate)からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0115】
前記熱開始剤の含有量に関連し、着色感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して1〜10重量%含まれることが好ましく、1〜5重量%含まれることがより好ましい。当該含有量で含まれる場合には、工程性およびアンダーカットにより好ましい。
【0116】
前記硬化剤は、深部硬化および機械的強度を高めるために使用され、具体例としては、エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、およびオキセタン化合物などが挙げられる。
【0117】
前記硬化剤において、エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、その他芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、またはこのようなエポキシ樹脂のブロム化誘導体、エポキシ樹脂およびそのブロム化誘導体以外の脂肪族、脂環族または芳香族エポキシ化合物、ブタジエン(共)重合体エポキシ化物、イソプレン(共)重合体エポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0118】
前記硬化剤におけるオキセタン化合物の具体例としては、カーボネートビスオキセタン、キシレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0119】
前記硬化剤は、硬化剤とともにエポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させることが可能な硬化補助化合物を併用することができる。前記硬化補助化合物は、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などがある。前記多価カルボン酸無水物類は、エポキシ樹脂硬化剤として市販のものを用いることができる。前記エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、市販品として、商品名(アデカハードナーEH−700)(アデカ工業(株)製造)、商品名(リカシッドHH)(新日本理化(株)製造)、商品名(MH−700)(新日本理化(株)製造)などが挙げられる。前記例示した硬化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0120】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物の被膜形成性をより向上させるために使用することができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、および両性系などの界面活性剤を使用することができ、シリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤などが好ましく使用できる。
【0121】
前記シリコーン系界面活性剤は、例えば、市販品として、ダウコーニング東レシリコーン社のDC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA、およびSH−8400など、GE東芝シリコーン社のTSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、およびTSF−4452などが挙げられる。前記フッ素系界面活性剤は、例えば、市販品として、メガピースF554、F−470、F−471、F−475、F−482、およびF−489(大日本インキ化学工業社)、BM−1000、BM−1100(BM Chemie社)、フロラードFC−135/FC−170C/FC−430(住友スリーエム(株))などが挙げられる。
【0122】
前記界面活性剤の他の例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などのほか、市販品として、KP(信越化学工業(株))、ポリフロー(共栄化学(株))、エフトップ(トーケムプロダクツ社)、メガファック(大日本インキ化学工業(株))、フロラード(住友スリーエム(株))、旭ガード、サーフロン(以上、旭硝子(株))、ソルスパース(ゼネカ(株))、EFKA(EFKACHEMICALS社)、PB821(味の素(株))などが挙げられる。
【0123】
前記例示された界面活性剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0124】
前記密着促進剤は、基板とのコーティング性および密着性を促進させるために使用される添加剤で、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される反応性置換基を含むシランカップリング剤を含むことができる。シランカップリング剤は、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル安息香酸、ビニルトリアセトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0125】
前記酸化防止剤の具体例としては、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0126】
前記紫外線吸収剤の具体例としては、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールおよびアルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0127】
前記凝集防止剤の具体例としては、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0128】
前記添加剤は、着色感光性樹脂組成物中の固形分の総重量に対して0.01〜10重量%含まれ、好ましくは0.05〜2重量%含まれてもよい。
このように製造された着色感光性樹脂組成物は、表示装置、好ましくは、液晶表示装置のブラックマトリックス、セルギャップ保持のためのカラムスペーサ、またはブラックカラムスペーサの製造に好ましく使用できる。
【0129】
本発明に係るカラムスペーサ、ブラックマトリックス、および/またはブラックカラムスペーサは、光学密度が高くて、信頼性に優れ遮蔽性に優れるという利点がある。
【0130】
特に、本発明の着色感光性樹脂組成物は、ブラックカラムスペーサ(ブラックマトリックス一体型スペーサ)の製造に好ましく使用可能であり、前記ブラックカラムスペーサは、ブラックマトリックスとカラムスペーサをそれぞれ形成するのではなく、1つのパターンでブラックマトリックスとカラムスペーサが一体に形成されたものを意味する。
【0131】
本発明はまた、前記着色感光性樹脂組成物を用いて製造されたブラックマトリックス、カラムスペーサ、またはブラックカラムスペーサを含むカラーフィルタに関する。
【0132】
本発明に係るカラーフィルタは、光学密度が高くて、信頼性に優れ遮蔽性に優れるという利点がある。前記カラーフィルタは、基板および前記基板の上部に形成されたパターン層を含む。
【0133】
前記基板は、前記カラーフィルタ自体基板でもよいし、またはディスプレイ装置などにカラーフィルタが位置する部位でもよいもので、特に制限されない。前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiO
x)、または高分子基板であってもよいし、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであってもよい。
【0134】
前記パターン層は、本発明の着色感光性樹脂組成物の硬化物を含む層で、カラムスペーサ、ブラックマトリックス、および/またはブラックカラムスペーサを構成することができる。
【0135】
前記パターン層は、上述した着色感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光、現像および熱硬化して形成された層であってもよいし、前記パターン層は、当業界で通常知られた方法を行うことにより形成することができる。
【0136】
前記のような基板およびパターン層を含むカラーフィルタは、各パターンの間に形成された隔壁をさらに含んでもよいし、ブラックマトリックスをさらに含んでもよいが、これに限定されない。
【0137】
本発明はまた、前記カラーフィルタを含む表示装置に関する。要するに、本発明に係る液晶表示装置は、上述した着色感光性樹脂組成物の硬化物を含むパターン層を含むカラーフィルタを含むものであってもよい。
【0138】
本発明のカラーフィルタは、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置など各種画像表示装置に適用可能である。
【0139】
前記液晶表示装置が本発明に係るパターン層を含むカラーフィルタを含む場合、遮蔽性および信頼性に優れるという利点がある。
【0140】
フォトリソグラフィー方法によるブラックマトリックス、カラムスペーサ、またはブラックカラムスペーサを形成する通常のパターニング工程は、
a)基板に着色感光性樹脂組成物を塗布するステップと、
b)溶媒を乾燥するプリベークステップと、
c)得られた被膜上にフォトマスクを当てて活性光線を照射して露光部を硬化させるステップと、
d)アルカリ水溶液を用いて未露光部を溶解する現像工程を行うステップと、
e)乾燥およびポストベーク実行ステップとを含んでなる。
【0141】
前記基板は、ガラス基板やポリマー板が用いられる。ガラス基板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウムまたはストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、または石英などが好ましく使用できる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド、またはポリスルホンなどが挙げられる。
【0142】
この時、塗布は、所望の厚さを得ることができるように、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置を用いた湿式コーティング方法によって行われる。
【0143】
プリベークは、オーブン、ホットプレートなどによって加熱することにより行われる。この時、プリベークにおける加熱温度および加熱時間は、使用する溶剤によって適宜選択され、例えば、80〜150℃の温度で1〜30分間行われる。
【0144】
また、プリベークの後に行われる露光は、露光器によって行われてフォトマスクを介して露光することにより、パターンに対応する部分のみを感光させる。この時、照射する光は、例えば、可視光線、紫外線、X線、および電子線などが可能である。
【0145】
露光後のアルカリ現像非露光部分の除去されない部分の着色感光性樹脂組成物を除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液などを使用することができる。特に、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩を1〜3重量%を含有するアルカリ水溶液を用いて、10〜50℃、好ましくは20〜40℃の温度内で現像器または超音波洗浄機などを用いて行う。
【0146】
ポストベークは、パターニングされた膜と基板との密着性を高めるために行い、80〜220℃で10〜120分の条件で熱処理により行われる。ポストベークは、プリベークと同じく、オーブン、ホットプレートなどを用いて行う。
【0147】
この時、ブラックマトリックスの膜厚さとしては、0.2μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、0.8μm〜5μmが特に好ましい。
【0148】
また、カラムスペーサおよびブラックカラムスペーサの膜厚さとしては、0.1μm〜8μmが好ましく、0.1μm〜6μmがより好ましく、0.1μm〜4μmが特に好ましい。
【0149】
本発明の着色感光性樹脂組成物で製造されたブラックマトリックス、カラムスペーサ、またはブラックカラムスペーサは、光学密度、密着性、電気絶縁性、遮光性などの物性に優れるだけでなく、耐熱性および耐溶剤性などに優れて液晶表示装置の信頼度を向上させることができる。
【0150】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明をさらに具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。下記の実施例は本発明の範囲内で通常の技術者によって適切に修正、変更可能である。
【0151】
製造例1.分散樹脂A1の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を備えた内容積1Lの分離型フラスコにメトキシブチルアセテート277gを投入し、80℃まで加熱した。次に、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0,2,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0,2,6]デカン−8−イルアクリレートを50:50のモル比で混合した混合物301g、メタクリル酸49g、およびアゾビスジメチルバレロニトリル23gをメトキシブチルアセテート350gに溶解させた混合溶液を調製した。前記混合溶液を滴下漏斗を用いてフラスコ内に5時間かけて滴下した後、3時間反応を進行させて分散樹脂A1[固形分(NV)35.0重量%]を製造した。前記製造された分散樹脂A1の酸価(dry)は69.8KOHmg/g、重量平均分子量(Mw)は12,300、分散度(Mw/Mn)は2.1、エポキシ当量は1,130であった。
【0152】
製造例2.分散樹脂A2の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意した。モノマー滴下ロートとして、アクリル酸14.4重量部(0.2モル)、ベンジルメタクリレート140.8重量部(0.8モル)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート2.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40.0重量部を混合して用意した。連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール3.0重量部、PGMEA24.0重量部を混合して用意した。この後、フラスコにPGMEA395重量部を添加し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に交換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温させた。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下した。滴下は70℃を維持しながらそれぞれ4時間進行させ、1時間後に90℃まで昇温して8時間反応を進行させて分散樹脂A2[固形分(NV)35.0重量%]を製造した。前記製造された分散樹脂A2の酸価(dry)は80.0KOHmg/g、重量平均分子量(Mw)は45,200、分散度(Mw/Mn)は2.8であった。
【0153】
製造例3.分散樹脂A3の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意した。モノマー滴下ロートとして、2−フェニルチオエチルアクリレート52.1重量部(0.25モル)、ベンジルメタクリレート44.0重量部(0.25モル)、メタクリル酸12.9重量部(0.15モル)、ビニルトルエン41.3重量部(0.35モル)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート4.0重量部、PGMEA40.0重量部を混合して用意した。連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール6.0重量部、PGMEA24.0重量部を混合して用意した。この後、フラスコにPGMEA395重量部を添加し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に交換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温させた。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間進行させ、1時間後に110℃まで昇温して8時間反応を進行させて分散樹脂A3[固形分(NV)35.0重量%]を製造した。前記製造された分散樹脂A3の酸価(dry)は70.0KOHmg/g、重量平均分子量(Mw)は23,000、分散度(Mw/Mn)は2.4であった。
【0154】
製造例4.アルカリ可溶性樹脂A4の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を備えた内容積1Lの分離型フラスコにメトキシブチルアセテート277gを投入し、80℃まで加熱した。次に、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0,2,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0,2,6]デカン−8−イルアクリレートを50:50のモル比で混合した混合物321g、メタクリル酸32g、およびアゾビスジメチルバレロニトリル20gをメトキシブチルアセテート350gに溶解させた混合溶液を調製した。前記混合溶液を滴下漏斗を用いてフラスコ内に5時間かけて滴下した後、3時間反応を進行させて分散樹脂A4[固形分(NV)35.0重量%]を製造した。前記製造されたアルカリ可溶性樹脂A4の酸価(dry)は59.8KOHmg/g、重量平均分子量(Mw)は9,300、分散度(Mw/Mn)は1.9、エポキシ当量は665であった。
【0155】
実施例1および比較例1〜2
前記分散樹脂と着色剤、分散剤、および溶剤を混合した混合物を用意した。次に、ジルコニアビーズ(平均粒径0.1mm)を前記混合物と50:50の重量比で混合して、ビーズミルを用いて6時間分散処理した。分散終了後、フィルタして着色分散液を製造し、その含有量を下記表1に示した。
【0157】
着色剤
V29:C.I.ピグメントバイオレット29
OBP:有機ブラック顔料
B60:C.I.ピグメントブルー60
CB:カーボンブラック
分散樹脂
A1:製造例1で製造した分散樹脂
A2:製造例2で製造した分散樹脂
A3:製造例3で製造した分散樹脂
分散剤:DisperBYK−2000(BYK社)
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0158】
実施例2〜7および比較例3〜8
前記着色分散液とアルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、添加剤、および溶剤を混合して着色感光性樹脂組成物を製造し、その含有量を下記表2に示した。
【0160】
着色分散液
B1:実施例1で製造した着色分散液
B2:比較例1で製造した着色分散液
B3:比較例2で製造した着色分散液
アルカリ可溶性樹脂
A1:製造例1で製造した樹脂
A2:製造例2で製造した樹脂
A3:製造例3で製造した樹脂
A4:製造例4で製造した樹脂
光重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬(株))
光重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(Irgacure369:Ciba社)
添加剤:DisperBYK−163(BYK社)
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0161】
実験例1.着色分散液の物性の測定
1−1.顔料の分散性評価
前記実施例1および比較例1〜2で製造した着色分散液の分散特性を粒度測定器(ELSZ−2000、Otsuka社)を用いて測定し、その結果(平均粒度)を下記表3に示した。
【0162】
1−2.保存安定性評価
前記実施例1および比較例1〜2で製造した着色分散液の保存安定性を粘度変化率(40℃で1週間後の粘度/初期粘度×100)を測定して、その結果を下記表3に示した。
【0163】
評価基準は下記のように示した。
<評価基準>
○:粘度変化率105%未満
△:粘度変化率105%以上、110%未満
×:粘度変化率110%以上
【0165】
本発明に係る着色分散液である実施例1は、顔料の分散性および保存安定性がすべて優れた結果を示した。
【0166】
分散樹脂として、「分散樹脂A1」でない「分散樹脂A2およびA3」をそれぞれ含む比較例1および2の着色分散液は、平均粒度が比較的大きく測定されて顔料の分散性が不十分な結果を示し、粘度変化率も増加して保存安定性も良くない結果を示した。
【0167】
実験例2.着色感光性樹脂組成物の物性の測定
2−1.塗膜の耐溶剤性評価
中性洗剤および水で洗浄した5cm×5cmのガラス基板(コーニング社)を後乾燥した後、前記実施例2〜7および比較例3〜8で製造した着色感光性樹脂組成物それぞれを最終膜厚さが3.0μmとなるようにスピンコーティングした。その後、これを加熱板上に置き、80〜120℃の温度で1〜2分間乾燥して溶剤を除去した。次に、露光量25〜35mJ/cm
2で露光し、200〜250℃で10〜30分間焼成して、パターンなしに着色感光性樹脂組成物が全面に塗布された着色基板を製造した。
【0168】
前記基板を3cm×3cmのサイズに裁断して、100℃のN−Methyl pyrrolidone(NMP)溶媒に60分間浸漬した。その後、NMP溶媒のみを抽出した後、UV−vis spectrometer(UV−2600、Shimadzu社)を用いて可視光波長での吸光度を測定して耐溶剤性を評価した。吸光度の測定結果は下記表4に示した。
【0169】
2−2.保存安定性評価
前記実施例2〜7および比較例3〜8で製造した着色感光性樹脂組成物の粘度変化率(5℃で3ヶ月後の粘度/初期粘度×100)を測定して保存安定性を評価した。
【0170】
評価基準は下記の通りであり、測定結果は下記表4に示した。
<評価基準>
◎:粘度変化率105%未満
○:粘度変化率105%以上、110%未満
△:粘度変化率110%以上、115%未満
×:粘度変化率115%以上
【0171】
2−3.残膜率評価
前記実施例2〜7および比較例3〜8で製造した着色感光性樹脂組成物の残膜率を測定し、測定結果を下記表4に示した。
【0172】
中性洗剤および水で洗浄した5cm×5cmのガラス基板(コーニング社)を後乾燥した後、前記実施例2〜7および比較例3〜8で製造した着色感光性樹脂組成物それぞれを最終膜厚さが3.0μmとなるようにスピンコーティングした。その後、これを加熱板上に置き、80〜120℃の温度で1〜2分間乾燥して溶剤を除去した。次に、露光量25〜35mJ/cm
2で露光し、膜厚さ(膜厚さ1)を測定した。その後、KOH0.04%の濃度の現像液に前記基板をそれぞれ現像し、200〜250℃で10〜30分間焼成して、着色基板を製造した。製造された着色基板の膜厚さ(膜厚さ2)を測定し、残膜率(膜厚さ2/膜厚さ1×100)を確認した。
【0173】
2−4.弾性回復率評価
中性洗剤および水で洗浄した5cm×5cmのガラス基板(コーニング社)を後乾燥した後、前記実施例2〜7および比較例3〜8で製造した着色感光性樹脂組成物それぞれを最終膜厚さが3.0μmとなるようにスピンコーティングした。その後、これを加熱板上に置き、80〜120℃の温度で1〜2分間乾燥して溶剤を除去した。次に、露光量25〜35mJ/cm
2で露光してパターンを形成し、アルカリ水溶液を用いて非露光部を除去した。次に、200〜250℃で10〜30分間焼成して、着色感光性樹脂組成物が塗布された着色基板を製造した。
【0174】
作製された基板を3次元表面形状測定装置(SIS−2000、SNU社)により、基準状態におけるパターンの厚さおよび高さを測定する。この後、硬度計(Nano−indenter HM500、Fisher社)を用いてパターンが1μm変形する地点まで押す。硬度計は平面圧子を用い、2mN/secの速度で押す。1μm変形する地点で5秒間Holding Timeを有する。この後、3次元表面形状測定装置(SIS−2000、SNU社)を用いてパターンの厚さおよび高さを測定して、前と後のパターンの厚さの変化で弾性回復率を測定した。比較例3を基準(STD)として相対的な弾性回復率を評価し、その結果を表4に示した。
【0176】
本発明の着色感光性樹脂組成物である実施例2〜7は、耐溶剤性、保存安定性および残膜率がすべて優れた結果を示した。特に、アルカリ可溶性樹脂A1およびA4をすべて含む実施例5〜7の着色感光性樹脂組成物は、優れた耐溶剤性、保存安定性および残膜率を示すと同時に、実施例2〜4に比べてより優れた弾性回復率の評価結果を示した。
【0177】
本発明の着色分散液を含まない比較例3〜8の着色感光性樹脂組成物は、吸光度が比較的高く測定されて耐溶剤性が不十分な結果を示し、3ヶ月後の粘度変化率も著しく良くない結果を示し、残膜率も比較的低い結果を示した。