(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722752
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】清掃器具
(51)【国際特許分類】
A47L 9/10 20060101AFI20200706BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20200706BHJP
A47L 9/16 20060101ALN20200706BHJP
【FI】
A47L9/10 Z
A47L5/24 Z
A47L9/10 D
!A47L9/16
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-242702(P2018-242702)
(22)【出願日】2018年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-118818(P2019-118818A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年2月20日
(31)【優先権主張番号】1722303.3
(32)【優先日】2017年12月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・ウィリアム・クラウチ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・アンドリュー・アイズリー
【審査官】
前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0230679(US,A1)
【文献】
特開2016−136982(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0223518(US,A1)
【文献】
特開2000−166829(JP,A)
【文献】
特開2010−125340(JP,A)
【文献】
特開2011−092477(JP,A)
【文献】
特開2003−019095(JP,A)
【文献】
特開2014−000343(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0289738(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0237761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/10
A47L 5/24
A47L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流から塵埃を分離するための塵埃分離器と、主本体と、を備える清掃器具であって、
前記塵埃分離器が、気流から分離された塵埃を収集するための容器を備え、
前記主本体が、前記容器の側壁に沿って延在するランナ部分を備え、
前記容器が、前記塵埃分離器による塵埃の分離が可能である動作位置と当該容器を空にすることが可能である伸長位置との間で前記ランナ部分に沿ってスライド可能であり、
解放キャッチが、前記ランナ部分にある構造部と解放可能に係合し、前記容器が当該清掃器具から分離されることを防止し、
前記解放キャッチが、前記容器の前記側壁に位置し、それにより、前記解放キャッチが、前記容器が前記伸長位置になければ、前記主本体の前記ランナ部分によって隠されていることを特徴とする清掃器具。
【請求項2】
前記解放キャッチが、前記容器の前記側壁に回動可能に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の清掃器具。
【請求項3】
前記解放キャッチが、前記容器の前記側壁から離間するように前記ランナ部分にある前記構造部に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の清掃器具。
【請求項4】
前記容器が、まず当該容器を前記動作位置から前記伸長位置へスライドさせ、そして前記解放キャッチを前記構造部から係合解除させ、その後当該容器を同じ方向にスライドさせ続けることによって、当該清掃器具から取り外し可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の清掃器具。
【請求項5】
前記容器が、当該容器の前記側壁にヒンジ接続状態で取り付けられた容器蓋を備え、
前記容器蓋が、塵埃が前記容器内に保持されたままである閉塞位置と、塵埃を前記容器内に保持できる開放位置と、の間で回動移動可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の清掃器具。
【請求項6】
容器蓋キャッチが、前記容器蓋を前記閉塞位置で保持し、
前記容器蓋キャッチが、前記容器が前記動作位置から前記伸長位置に達すると、解放されることを特徴とする請求項5に記載の清掃器具。
【請求項7】
当該清掃器具が、手持型真空掃除機であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の清掃器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃器具に関する。
【背景技術】
【0002】
真空掃除機への改良は、常に探求されている。特に、ユーザが真空掃除機を使用することをより容易にする、及び、ユーザが可能な最良の方法で真空掃除機を使用することを促進する、改良である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
望ましいことは、解決することまたは問題解決を必要とすることを要する失敗を結果として招き得る動作をユーザが実行できないようにすることを確実とすること、である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様は、真空掃除機を提供しており、この真空掃除機は、気流から塵埃を分離するための塵埃分離器と、主本体と、を備え、塵埃分離器が、気流から分離された塵埃を収集するための容器を備え、主本体が、容器の側壁に沿って延在するランナ部分を備え、容器が、動作位置と伸長位置との間でランナ部分に沿ってスライド可能であり、解放キャッチが、ランナ部分にある構造部と解放可能に係合し、容器が清掃器具から分離されることを防止し、解放キャッチが、容器の側壁に位置し、それにより、解放キャッチが、容器が伸長位置になければ、主本体のランナ部分によって隠されている。
【0005】
その結果、容器は、いったん容器を動作位置から伸長位置へ移動させたときにのみ取り外され得、使用中に容器を偶発的に取り外してしまう可能性を低減する。さらに、容器は、伸長位置にあるときに容器から塵埃を空にしたときにのみ塵埃分離器から取り外され得る。その上、容器が動作位置にあるときに解放キャッチをランナ部分内に隠すことによって、清掃器具の外観は、きれいであり、雑然に見えず、より審美的に魅力的な器具をもたらす。
【0006】
キャッチは、容器の側壁に回動可能に固定され得る。これにより、ユーザが作動させやすい非常に簡素なキャッチ機構を提供し、このため、製造が安価である。
【0007】
キャッチは、容器の側壁から離間してランナにある構造部に向かうように付勢され得る。その結果、キャッチは、どのように清掃器具を保持していても、ランナ部分にある構造部と常に係合している。
【0008】
容器は、まず容器を動作位置から伸長位置へスライドさせ、そしてキャッチを構造部から係合解除し、その後容器を同じ方向でスライドさせ続けることによって、清掃器具から取り外し可能であり得る。
【0009】
容器は、容器の側壁にヒンジ式に取り付けられた容器蓋を備え得、容器蓋は、塵埃が容器内に保持されている閉塞位置と、塵埃を容器内に保持できる開放位置と、の間で回動式に移動可能である。これにより、容器から塵埃を容易に空にすることが可能となる。
【0010】
容器蓋キャッチは、容器蓋を閉塞位置で解放可能に保持し得、容器蓋キャッチは、容器が動作位置から伸長位置に達すると解放され得る。容器が伸長位置にあることに応じてキャッチが解放されるので、塵埃を空にするより衛生的な手順を実現する。
【0011】
清掃器具は、手持型の真空掃除機であり得る。
【0012】
本発明をより迅速に理解し得るために、以下の添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態をここで例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2A】容器開放手順中のある段階における
図1の真空掃除機を示す図である。
【
図2B】容器開放手順中の別の段階における
図1の真空掃除機を示す図である。
【
図3】容器を取り外した
図1の真空掃除機を示す図である。
【
図4A】容器を真空掃除機から取り外す手順中のある段階における解放キャッチの領域における
図1の真空掃除機の一部を通る断面図である。
【
図4B】容器を真空掃除機から取り外す手順中の別の段階における解放キャッチの領域における
図1の真空掃除機の一部を通る断面図である。
【
図4C】容器を真空掃除機から取り外す手順中の別の段階における解放キャッチの領域における
図1の真空掃除機の一部を通る断面図である。
【
図4D】容器を真空掃除機から取り外す手順中の別の段階における解放キャッチの領域における
図1の真空掃除機の一部を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、手持型真空掃除機の形態にある清掃器具を示しており、この真空掃除機は、塵埃分離器2と、主本体3と、ハンドル4と、バッテリパック5の形態にある電源と、入口6と、有する。主本体3は、塵埃分離器2を支持するランナ部分28を備える。フィルタ組立体7は、真空掃除機1の後部において、主本体3に取り付けられている。真空掃除機1は、ハンドル4にあるトリガ8によって動作される。
【0015】
塵埃分離器2は、第1分離段及び第2分離段を有する。第1分離段は、容器20を画成する筒状外壁21を備える。
図1において、容器20は、動作位置にある。筒状内壁25は、容器20の内側に位置する微細塵埃収集チャンバを画成する。容器蓋9の形態にある閉塞部材は、ヒンジ10において塵埃分離器2の外壁21にヒンジ状に取り付けられている。容器蓋9は、塵埃が容器20及び微細塵埃収集チャンバの開口端部から出ることができる開放位置と、容器蓋9が容器20及び微細塵埃収集チャンバ双方の開口端部を封止する閉塞位置と、の間でヒンジ10回りに回動可能である。容器蓋9は、内壁25に当接して封止する封止体30を備える。容器蓋9の中央部分は、穴部または開口部を備えており、吸引入口6は、この穴部または開口部を通るように突出している。
【0016】
容器20の内側には、筒状スクリーン23及びシュラウドスカート24を備えるシュラウド22がある。動作中、空気は、主本体3内に収容されているファンモータによって入口6を通して真空掃除機1内に引き込まれる。塵埃含有空気は、シュラウド22の側壁内にある分離器入口(図示略)を通して容器20に入り、この側壁は、この側壁と入口との間に延在する入口ダクトによって入口6に結合されており、入口ダクトは、微細塵埃収集チャンバの内側を通って延在する。シュラウドスクリーン23には、複数の穿孔を設けられており、空気は、これら穿孔を通して第1分離段から出る。
【0017】
第2分離段は、複数のサイクロン体26を備える。空気は、残りの塵埃を気流から分離するサイクロン体26を通過する。第2分離段で分離された塵埃は、内壁25によって分離された微細塵埃収集チャンバ内に集まる。清浄化された空気は、サイクロン26から出て、主筐体3内にあるファンモータを通り、そして、フィルタ組立体7を通して真空掃除機1から排出される。
【0018】
容器20及び微細塵埃収集チャンバを空にするため、容器蓋9を開き得る。
図2A及び
図2Bは、容器を空にする手順中の異なる段階における真空掃除機1を示す。塵埃分離器2には、外壁21に固定された容器開放アクチュエータ27が設けられている。
図2Aにおいて矢印Aで示すように、容器開放アクチュエータ27をハンドル4から離間する方向に押すと、容器20(すなわち、外壁21及び容器蓋9の双方)は、同じ方向で真空掃除機1のランナ部分28に沿ってスライドさせられる。シュラウド22、内壁25及び入口6は、これらシュラウド、内壁及び入口が主本体3に固定されているので、静止したままである。封止体30は、内壁25から分離され、第2塵埃収集チャンバ32の開口端部を露出させる。いったん外壁21がハンドルから離間する方向のある点に達すると、容器20は、
図2Bに示すように、伸長位置にある。伸長位置において、外壁21は、移動を停止し、容器蓋9を閉塞させたままとする容器蓋キャッチ33を解放する。容器蓋9は、ヒンジ接続されており、ヒンジ10にある付勢部材は、容器蓋9を開放位置へ付勢している。したがって、容器蓋キャッチ33を解放するとすぐに、容器蓋9は、ヒンジ10周りに回動し、矢印Bに示すように、旋回して開く。容器20及び微細塵埃収集チャンバ32内に収集されている塵埃は、ここで、塵埃分離器2から出される。
【0019】
塵埃分離器2を閉塞するステップは、外壁21を元の動作位置へ戻るようにスライドさせるステップと、容器蓋キャッチ33が再び係合して容器蓋9を閉塞位置に保持するまで、容器蓋9を閉塞位置へ回動させるステップと、を備える。
【0020】
容器20を完全に空にするすなわち清掃することを実行するために、
図3に示すように、容器を真空掃除機1から取り外し得る。容器20が
図2Bに示す伸長位置にあると、解放キャッチ40の作動部分42が視認可能である。
【0021】
図4Aから
図4Dは、容器20を真空掃除機1から取り外すための手順中の異なる段階における解放キャッチの領域における容器20及びランナ28の一部を通る横断面図を示している。キャッチ40は、容器20の外壁21に固定されており、それにより、
図4Aに示すように、主として、キャッチをランナ部分の内側の視野から隠している。キャッチ40は、作動部分42及び係合部分44と、回動点46と、を備える。キャッチ40は、バネ48によって外壁21から離間するように付勢されており、作動部分42に力をかけることによって作動され得、それにより、バネ48は、キャッチが回動点46回りに外壁21に向けて回動するにつれて圧縮させられる。
【0022】
外壁は、容器を伸長位置へ移動させると、矢印Aの方向で移動させられる。外壁は、キャッチ40の係合部分44がランナ部分28にある構造部50に当接すると、移動を停止し、これにより、
図4Bに示すように、容器が伸長位置からさらに前方へ移動することを防止する。
図4Bは、同様に、キャッチ40の係合部分44がランナ部分28にある構造部50に当接したときにどのようにキャッチ40の作動部分42がランナ部分28の外側に延在するかを示している。したがって、作動部分は、ユーザにアクセス可能であり、矢印Dに示すように、作動部分42を外壁21に向けて押すことによって、作動され得る。
【0023】
図4Cに示すように、いったんキャッチ40を作動させると、キャッチ40の係合部分44は、ランナ部分にある構造部50から係合解除され、この構造部にはもはや当接しておらず、外壁は、再び、矢印Eの方向で移動自在である。そして、
図4Dに示すように、構造部を越えて移動した後、外壁21は、妨げられずにスライドし続けることが自在となり、それにより、容器20は、ランナ部分28からスライドして抜けて真空掃除機1から取り外され得る。
【0024】
このため、特有の実施形態をずっと説明したが、理解することは、特許請求の範囲によって規定されるように本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変をなし得ること、である。
【0025】
例えば、本明細書において、解放キャッチ40は、外壁21から離間するように付勢されており、それにより、キャッチ40の作動は、キャッチを外壁21に向けて押すことによると説明されている。しかしながら、代替の解放キャッチは、作動が作動ボタンを側方に押すことによるように、異なるように構成され得る。
【符号の説明】
【0026】
1 真空掃除機(清掃器具)、2 塵埃分離器、3 主筐体,主本体、9 容器蓋、20 容器、21 筒状外壁,外壁(側壁)、28 ランナ部分,ランナ、40 解放キャッチ,キャッチ、50 構造部