特許第6722794号(P6722794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6722794-非晶質薄膜の形成方法 図000004
  • 特許6722794-非晶質薄膜の形成方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722794
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】非晶質薄膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20200706BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/455
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-48568(P2019-48568)
(22)【出願日】2019年3月15日
(62)【分割の表示】特願2017-558451(P2017-558451)の分割
【原出願日】2016年5月9日
(65)【公開番号】特開2019-110336(P2019-110336A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年3月15日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0064857
(32)【優先日】2015年5月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509123895
【氏名又は名称】ユ−ジーン テクノロジー カンパニー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン,スン−ウ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,チャ−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウ−ドク
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ホ−ミン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ワン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】イ,クン−ウ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヒョク−リョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キ−ホ
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−041707(JP,A)
【文献】 特開2014−229857(JP,A)
【文献】 特開2015−065447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地にアミノシラン系ガスを流して前記下地の表面にシード層を形成する工程と,
前記シード層の上に予め設定された厚さの非晶質薄膜を形成する工程とを含み,
前記非晶質薄膜を形成する工程は,
ボロンがドーピングされて第1厚さを有する第1非晶質薄膜を前記シード層の上に形成する工程と,
ボロンがドーピングされて第2厚さを有する第2非晶質薄膜を,前記第1非晶質薄膜の上に形成する工程と,を含むが,
前記第1非晶質薄膜を形成する工程に使用される第1ソースガスは,ボロン系ガス及びシラン系ガスを含んで前記シード層に供給され,
前記第2非晶質薄膜を形成する工程に使用される第2ソースガスは,ボロン系ガスを含んで前記第1ソースガスとは異なり,前記第1非晶質薄膜に供給され,
前記第1ソースガスに含まれるシラン系ガスは,SiHであり,
前記第2ソースガスに含まれたシラン系ガスはSiH4であり,前記第2非晶質薄膜はシリコン薄膜であって,
前記第1ソースガスはN 15000sccmを含み,
前記第2ソースガスはN 5000sccm,H 3000sccmを含む非晶質薄膜の形成方法。
【請求項2】
前記ボロン系ガスはBである請求項1記載の非晶質薄膜の形成方法。
【請求項3】
前記第1厚さは20Å以上50Å以下であり,
前記第2厚さは100Å以上である請求項1記載の非晶質薄膜の形成方法。
【請求項4】
前記予め設定された厚さは200Å以上である請求項1記載の非晶質薄膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,非晶質薄膜を形成する方法に関し,より詳しくは,ボロンがドーピングされた第1非晶質薄膜を形成した後,ボロンがドーピングされた第2非晶質薄膜を形成して,第2非晶質薄膜の表面粗さを最小化することができる成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質薄膜(amorphous thin film)を低温(300℃未満)で蒸着する場合,ボロンをドーピングすると表面粗さが急激に悪化する。特に,非晶質薄膜の目標厚さを200Åにすると,表面粗さ(RMS)が0.3nm以下の非晶質薄膜を形成することが困難である。よって,これを改善し得る技術が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は,非晶質薄膜の表面粗さを最小化することができる成膜方法を提供することにある。
【0004】
本発明の他の目的は,以下の発明の詳細な説明と添付した図面からより明確になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例によると,非晶質薄膜を形成する方法は,下地にアミノシラン系ガスを流して前記下地の表面にシード層を形成する工程と,前記シード層の上に予め設定された厚さの非晶質薄膜を形成する工程とを含み,前記非晶質薄膜を形成する工程は,ボロンがドーピングされて第1厚さを有する第1非晶質薄膜を前記シード層の上に形成する工程と,ボロンがドーピングされて第2厚さを有する第2非晶質薄膜を前記第1非晶質薄膜の上に形成する工程とを含み,前記第1非晶質薄膜を形成する工程に使用される第1ソースガスは,ボロン系ガス及びシラン系ガスを含んで前記シード層に供給され,前記第2非晶質薄膜を形成する工程に使用される第2ソースガスは,ボロン系ガスを含んで前記第1ソースガスとは異なり,前記第1非晶質薄膜に供給され,前記第1ソースガスに含まれるシラン系ガスはSiHであり,前記第2ソースガスに含まれたシラン系ガスはSiH4であり,前記第2非晶質薄膜はシリコン薄膜であって,前記第1ソースガスはN 15000sccmを含み,前記第2ソースガスはN 5000sccm,H 3000sccmを含むものである。
【0006】
前記ボロン系ガスはBである。
【0007】
前記第1厚さは20Å以上50Å以下であり,前記第2厚さは100Å以上である。前記予め設定された厚さは200Å以上である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施例によると,第1薄膜を形成してから第2薄膜を形成することで,第2薄膜の表面粗さを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】工程条件の変化によって改善された非晶質薄膜の表面粗さを示すグラフである。
図2】厚さの増加による非晶質薄膜の表面粗さを示すグラフである。
図3】本発明の第1乃至第4実施例によって改善された非晶質薄膜の表面粗さを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下,本発明の好ましい実施例を添付した図1及び図3を参照してより詳細に説明する。本発明の実施例は様々な形態に変形されてもよく,本発明の範囲が以下で説明する実施例に限ると解析されてはならない。本実施例は,該当発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。よって,図面に示す各要素の形状はより明確な説明を強調するために誇張されている可能性がある。
【0011】
図1は,工程条件の変化によって改善された非晶質薄膜の表面粗さを示すグラフである。まず,シリコン基板の上に下地が形成されるが,下地はシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜である。下地の上にアミノシラン系ガス(例えば,DIPAS)を基板の表面に流してシード層を形成し,次に非晶質薄膜をシード層の上に形成する。
【0012】
図1に示す非晶質薄膜は下記表1のような工程条件で形成され,アミノシラン系ガスを30秒間流してシード層を形成した後,図1に示す非晶質薄膜が200Å形成される。ちなみに,D/Rは蒸着率を意味する。
【0013】
一方,ジボラン(B)はボロン系ガスの例であって,以下の工程条件とは異なって他のボロン系ガスに代替されてもよい。
【0014】
【表1】
【0015】
図1に示すように,工程条件を基準工程(300℃ Ref)から変化させることで,表面粗さが改善されることが分かる。図1を見ると,改善効果は以下のようである。
【0016】
第一に,非晶質薄膜の工程条件のうち,工程温度を300℃から400℃に増加させた場合であって,この場合,表面粗さが0.614から0.457に改善されていた。
【0017】
第二に,シラン系ガスをモノシラン(SiH)からモノシラン(SiH)とジシラン(Si)の混合ガスに変更した場合であって,モノシランとジシランは4:1の割合で混合される。この場合,表面粗さが0.651から0.484に改善されていた。
【0018】
第三に,GeHを供給した場合であって,この場合,表面粗さが0.561から0.401に改善されていた。
【0019】
第四に,水素ガスを供給した場合であって,この場合,表面粗さが0.534から0.433に改善されていた。
【0020】
しかし,非晶質薄膜は厚さが増加するにつれ,表面粗さが以下のように異なる。表2をグラフに示すと,図2のようである。
【0021】
【表2】
【0022】
つまり,表2及び図2のように,50Åにおける非晶質薄膜の表面粗さは基準工程が残りの工程に比べ最も優秀であるが,基準工程の場合,非晶質薄膜の厚さが増加するにつれ表面粗さが急激に増加する。一方,残りの工程の場合,非晶質薄膜の厚さによる表面粗さの変化が微々である。
【0023】
このような点を考慮すると,基準工程を利用して第1非晶質薄膜を形成した後,それぞれの工程条件を介して第2非晶質薄膜を形成することで,第2非晶質薄膜の表面粗さを図3に示すように大きく改善することができる。
【0024】
一方,表1の5番目の項目に記載したように,基準工程のシラン系ガス(モノシラン又はジシラン)はゲルマニウム系に代替されてもよく,この場合,非晶質薄膜はシリコン薄膜ではなくゲルマニウム薄膜である。上述した第1非晶質薄膜の上にゲルマニウム薄膜である第2薄膜を形成する場合,第2非晶質薄膜の表面粗さが同じく改善されていることが分かる。
【0025】
本発明を好ましい実施例を介して詳細に説明したが,これとは異なる形態の実施例も可能である。よって,以下に記載する請求項の技術的思想と範囲は好ましい実施例に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は,多様な形態の半導体の製造設備及び製造方法に応用されることができる。
図1
図2
図3