(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料タンクの壁面に開口した開口を覆う蓋部材と、該蓋部材に支持される燃料ポンプと、該燃料ポンプの内部に連通して燃料を吸入する吸入管と、袋状の濾材と濾材内に連通するフィルタ吐出管とを有したフィルタとを備え、前記燃料タンク内の燃料を外部へと供給する燃料供給装置において、
前記燃料供給装置は、前記吸入管又は該吸入管に対して相対位置が不変な部材である吸入管側部材と、
前記フィルタ吐出管又は該フィルタ吐出管に対して相対位置が不変な部材である吐出管側部材と、
を備え、
前記吸入管側部材又は前記吐出管側部材のいずれか一方に、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の流路の径方向へ突出した凸部を設け、前記吸入管側部材又は前記吐出管側部材の他方に、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の流路の径方向へ窪んだ凹部を設け、
前記凹部が、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の周方向に沿って複数形成され、前記吸入管と前記フィルタ吐出管とを接続した際に前記凸部と前記凹部とが嵌合され、
前記凸部が嵌合する前記凹部の位置を変えることにより、前記吸入管の周方向に沿った前記吸入管に対する前記フィルタ吐出管及び前記フィルタの相対位置を少なくとも2つの位置から任意に設定して位置決め可能であり、
前記複数の凹部のうち、任意の凹部と前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の中心線とを結んだ線上から外れた位置にその他の凹部が存在している、燃料供給装置。
燃料タンクの壁面に開口した開口を覆う蓋部材と、該蓋部材に支持される燃料ポンプと、該燃料ポンプの内部に連通して燃料を吸入する吸入管と、袋状の濾材と濾材内に連通するフィルタ吐出管とを有したフィルタとを備え、前記燃料タンク内の燃料を外部へと供給する燃料供給装置において、
前記燃料供給装置は、前記吸入管又は該吸入管に対して相対位置が不変な部材である吸入管側部材と、
前記フィルタ吐出管又は該フィルタ吐出管に対して相対位置が不変な部材である吐出管側部材と、
を備え、
前記吸入管側部材又は前記吐出管側部材のいずれか一方に、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の流路の軸線方向へ突出した凸部を設け、前記吸入管側部材又は前記吐出管側部材の他方に、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の流路の軸線方向へ窪んだ凹部を設け、
前記凹部が、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の周方向に沿って複数形成され、前記吸入管と前記フィルタ吐出管とを接続した際に前記凸部と前記凹部とが嵌合され、
前記凸部が嵌合する前記凹部の位置を変えることにより、前記吸入管の周方向に沿った前記吸入管に対する前記フィルタ吐出管及び前記フィルタの相対位置を少なくとも2つの位置から任意に設定して位置決め可能であり、
前記複数の凹部のうち、任意の凹部と前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の中心線とを結んだ線上から外れた位置にその他の凹部が存在している、燃料供給装置。
燃料タンクの壁面に開口した開口を覆う蓋部材と、該蓋部材に支持される燃料ポンプと、該燃料ポンプの内部に連通して燃料を吸入する吸入管と、袋状の濾材と濾材内に連通するフィルタ吐出管とを有したフィルタとを備え、前記燃料タンク内の燃料を外部へと供給する燃料供給装置において、
前記燃料供給装置は、前記吸入管又は該吸入管に対して相対位置が不変な部材である吸入管側部材と、
前記フィルタ吐出管又は該フィルタ吐出管に対して相対位置が不変な部材である吐出管側部材と、
を備え、
前記吸入管側部材又は前記吐出管側部材のいずれか一方に、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の流路の軸線方向から見て、その中心位置が前記流路の軸心位置と同一となる正多角形状の取付フランジを設け、
前記吸入管側部材又は前記吐出管側部材の他方には、前記吸入管又は前記フィルタ吐出管の流路の軸線方向から見て、その内側面が前記取付フランジと同一形状で前記取付フランジの外側面を嵌合可能な受入孔部を設け、
前記吸入管と前記フィルタ吐出管とを接続した際に、前記取付フランジと前記受入孔部とが嵌合され、
前記取付フランジにおける前記正多角形状の頂部のうちの特定の頂部を、前記受入孔部における任意の頂点に対して選択的に嵌合させることで、前記吸入管の周方向に沿った前記吸入管に対する前記フィルタ吐出管及び前記フィルタの相対位置を選択的に変更して位置決め可能である、燃料供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された燃料供給装置を、燃料タンクの底壁に対して傾斜した傾斜面や該底壁よりも高い位置へ配置した場合、サクションフィルタの濾過面と燃料ポンプの軸線とが平行に構成されているため、前記サクションフィルタの位置が、燃料タンクの一番低い位置から所定高さだけ上方となる位置に配置されることになる。その結果、燃料タンク内におけるサクションフィルタよりも液面が低くなった場合に燃料の吸い込みができず、燃料タンク内において吸い込み不能な燃料(残燃料)が増加してしまうという問題がある。
【0006】
また、上記の課題を解決するために、例えば、燃料ポンプとサクションフィルタとを接続する結合部を屈曲させ、サクションフィルタの濾過面に対し燃料ポンプの軸線が角度をなすように構成することで、前記サクションフィルタを燃料タンク内において底壁に臨む低位置へと配置することが可能となる。
【0007】
しかしながら、この場合、燃料供給装置の燃料タンクへの設置条件に応じて屈曲度合いの異なる結合部をそれぞれ準備する必要があり、部品点数の増加を招くと共に製造コストが増加してしまうこととなる。
【0008】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、燃料タンクに対する様々な設置条件下においてもフィルタを容易且つ確実に燃料内となるように配置することが可能な燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の態様は、燃料タンクの壁面に開口した開口部を覆う蓋部材と、蓋部材に支持される燃料ポンプと、燃料ポンプの内部に連通して燃料を吸入する吸入管と、袋状の濾材と濾材内に連通するフィルタ吐出管とを有したフィルタとを備え、燃料タンク内の燃料を外部へと供給する燃料供給装置において、
燃料供給装置は、吸入管又は吸入管に対して相対位置が不変な部材である吸入管側部材と、
フィルタ吐出管又はフィルタ吐出管に対して相対位置が不変な部材である吐出管側部材と、
を備え、
吸入管側部材又は吐出管側部材のいずれか一方に、吸入管又はフィルタ吐出管の流路の径方向へ突出した凸部を設け、吸入管側部材又は吐出管側部材の他方に、吸入管又はフィルタ吐出管の流路の径方向へ窪んだ凹部を設け、
凹部が、吸入管又はフィルタ吐出管の周方向に沿って複数形成され、吸入管とフィルタ吐出管とを接続した際に凸部と凹部とが嵌合され
、
凸部が嵌合する凹部の位置を変えることにより、吸入管の周方向に沿った吸入管に対するフィルタ吐出管及びフィルタの相対位置を少なくとも2つの位置から任意に設定して位置決め可能であり、
複数の凹部のうち、任意の凹部と吸入管又はフィルタ吐出管の中心線とを結んだ線上から外れた位置にその他の凹部が存在している。
【0010】
また、本発明の態様は、燃料タンクの壁面に開口した開口部を覆う蓋部材と、蓋部材に支持される燃料ポンプと、燃料ポンプの内部に連通して燃料を吸入する吸入管と、袋状の濾材と濾材内に連通するフィルタ吐出管とを有したフィルタとを備え、燃料タンク内の燃料を外部へと供給する燃料供給装置において、
燃料供給装置は、吸入管又は吸入管に対して相対位置が不変な部材である吸入管側部材と、
フィルタ吐出管又はフィルタ吐出管に対して相対位置が不変な部材である吐出管側部材と、
を備え、
吸入管側部材又は吐出管側部材のいずれか一方に、吸入管又はフィルタ吐出管の流路の軸線方向へ突出した凸部を設け、吸入管側部材又は吐出管側部材の他方に、吸入管又はフィルタ吐出管の流路の軸線方向へ窪んだ凹部を設け、
凹部が、吸入管又はフィルタ吐出管の周方向に沿って複数形成され、吸入管とフィルタ吐出管とを接続した際に凸部と凹部とが嵌合され
、
凸部が嵌合する凹部の位置を変えることにより、吸入管の周方向に沿った吸入管に対するフィルタ吐出管及びフィルタの相対位置を少なくとも2つの位置から任意に設定して位置決め可能であり、
複数の凹部のうち、任意の凹部と吸入管又はフィルタ吐出管の中心線とを結んだ線上から外れた位置にその他の凹部が存在している。
【0011】
本発明によれば、燃料ポンプの内部に連通して燃料を吸入する吸入管又は吸入管に対して相対位置が不変な部材である吸入管側部材と、袋状の濾材内に連通するフィルタ吐出管又はフィルタ吐出管に対して相対位置が不変な部材である吐出管側部材とを備え、吸入管側部材及び吐出管側部材のいずれか一方に、吸入管又はフィルタ吐出管の流路の径方向又は軸線方向へと突出した凸部を設け、吸入管側部材又は吐出管側部材の他方に、吸入管又はフィルタ吐出管の流路の径方向又は軸線方向へ窪んだ凹部を設け、吸入管とフィルタ吐出管とを接続する際、吸入管又はフィルタ吐出管の周方向に沿って複数形成された凹部に対して凸部が嵌合される。
【0012】
従って、フィルタを構成する吐出管側部材を燃料ポンプと接続される吸入管側部材に対して回転させ、その複数の凹部に対して凸部の嵌合位置を適宜選択することで、吐出管側部材を含むフィルタの吸入管側部材に対する周方向への相対位置(接続角度)を任意に設定して位置決めすることができる。
【0013】
その結果、燃料供給装置が様々な設置条件や様々な形状の燃料タンクへと装着される場合でも、この条件や形状に応じて燃料ポンプに対するフィルタの取付角度を調節し、フィルタが燃料タンク内で最も重力方向下方となる壁面に近づいて燃料タンク内となるように容易且つ確実に配置することができるため、燃料タンク内の残燃料を確実に吸い込むことができる。
【0014】
また、様々な燃料タンクの形状や設置条件毎に別の結合部(吸入管)を準備する必要のある従来の燃料供給装置と比較し、単一の燃料供給装置で様々な形状の燃料タンク等に対応できるため、部品点数や製造コストの削減が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、燃料供給装置において、燃料ポンプの内部に連通して燃料を吸入する吸入管と、フィルタを構成する袋状の濾材内に連通するフィルタ吐出管とを接続する際、フィルタを構成する吐出管側部材を燃料ポンプに接続された吸入管側部材に対して回転させ、吸入管側部材及び吐出管側部材のいずれか一方に設けられ径方向又は軸線方向に突出した凸部を、吸入管側部材及び吐出管側部材の他方に設けられ吸入管又はフィルタ吐出管の流路の径方向又は軸線方向に窪んだ複数の凹部に対して選択的に嵌合させることで、吸入管の周方向に沿った燃料ポンプに対するフィルタの相対位置(接続角度)を任意に設定して位置決めすることが可能となる。
【0017】
その結果、燃料供給装置が様々な設置条件や様々な形状の燃料タンクへと装着される場合でも、この条件や形状に応じて燃料ポンプに対するフィルタの取付角度を調節し、フィルタが燃料タンク内で最も重力方向下方となる壁面に近づき、燃料内となるように容易且つ確実に配置することができるため、燃料タンク内の残燃料を確実に吸い込むことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る燃料供給装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料供給装置を示す。
【0020】
この燃料供給装置10は、例えば、
図1に示されるように、鞍乗り型車両である自動二輪車の燃料タンク12に搭載され、例えば、前記燃料タンク12の底壁14に対して所定角度θだけ上方に向かって傾斜した傾斜壁16へと装着される。
【0021】
燃料供給装置10は、
図1〜
図4に示されるように、燃料タンク12の傾斜壁16に固定される蓋部材18と、該蓋部材18に設けられ燃料ポンプ20を含んだポンプモジュール22と、該ポンプモジュール22に接続されるフィルタ24と、前記ポンプモジュール22に対する前記フィルタ24の取り付け角度を変更自在な角度調節機構26とを含む。
【0022】
蓋部材18は、例えば、燃料タンク12のタンク開口28を覆うベース部30と、該ベース部30の上面から上方へと突出したホルダ部32と、該ホルダ部32と隣接した端子接続部34と、前記ベース部30の下面側に設けられたコネクタ部36及び吐出部38とを含む。
【0023】
ベース部30は、例えば、一定厚さの板状に形成され、車両の前後方向となる長手方向(
図2中、矢印A、B方向)に沿って長尺な長円状に形成され、その上面が燃料タンク12の傾斜壁16の外側に当接するように設けられる。
【0024】
端子接続部34には、後述する燃料ポンプ20に接続されたリード線40が電気的に接続され、ベース部30を挟んでコネクタ部36と接続されている。そして、図示しないコントローラに接続されたカプラ(図示せず)がコネクタ部36へと接続されることで、燃料ポンプ20のリード線40及び端子接続部34に対して電気的に接続される。
【0025】
吐出部38は、ベース部30の下面において、該ベース部30に対して略直交するように突出して図示しない燃料チューブが接続される。
【0026】
そして、蓋部材18は、そのホルダ部32及び端子接続部34が燃料タンク12内に収納され、前記ベース部30、前記コネクタ部36及び吐出部38が前記燃料タンク12の外側となるように設けられ、ベース部30の外縁部が燃料タンク12の傾斜壁16に当接してタンク開口28を閉塞した状態で図示しない固定ボルトによって固定される。
【0027】
ポンプモジュール22は、燃料タンク12の内部に収納され、その一端部が蓋部材18に対して保持されるハウジング(吐出口側ホルダ部材)42と、該ハウジング42の他端部に接続されるエンドブロック(吸入口側ホルダ部材)44と、前記ハウジング42に収納される燃料ポンプ20とを含み、前記ハウジング42と前記エンドブロック44とがスナップフィット機構46によって互いに長手方向(矢印A、B方向)に連結される。
【0028】
ハウジング42は、長手方向(矢印A、B方向)に沿って延在する第1及び第2保持部48、50を有し、前記第1保持部48には燃料ポンプ20がベース部30と平行に保持され、第2保持部50は、第1保持部48の上部に設けられプレッシャレギュレータ52が収納されている。そして、ハウジング42は、第1保持部48の一端部が、蓋部材18と略平行となるように該蓋部材18のホルダ部32に対して装着されている。
【0029】
第1保持部48は、その他端部からエンドブロック44側(矢印B方向)に向かって延在する第1アーム54を備え、この第1アーム54は、第1保持部48に対して上下方向(矢印D方向)に傾動自在に設けられると共に、上下方向に貫通した係合孔56が形成されている。そして、第1保持部48の内部には、長手方向に沿って第1燃料通路58(
図2参照)が形成され、その一端部が後述する第3燃料通路68と連通している。
【0030】
燃料ポンプ20は、例えば、ブラシレスモータが採用され、その軸線が蓋部材18のベース部30と略平行となるようにハウジング42の第1保持部48に対して略水平に保持されると共に、その外周面の一部が前記第1保持部48から外部へと露呈するように設けられる。
【0031】
また、燃料ポンプ20は、燃料を供給する吸入口60側がエンドブロック44の第1吸入通路62と接続され、前記燃料を吐出する吐出口64側がハウジング42の第1燃料通路58と接続されている。
【0032】
そして、燃料ポンプ20は、図示しないモータ部に接続された複数のリード線40が外部へと取り出されて蓋部材18の端子接続部34に対して電気的に接続され、図示しないコントローラからコネクタ部36及び端子接続部34へと入力される制御信号に基づいて燃料ポンプ20が駆動制御される。
【0033】
第2保持部50は、その内部に長手方向に沿って延在する第2燃料通路66を有し、この第2燃料通路66の一端部が、第1及び第2保持部48、50の一端部側において上下方向に延在する第3燃料通路68と接続され連通している。
【0034】
また、第2燃料通路66の他端部側にはプレッシャレギュレータ52が収納され、このプレッシャレギュレータ52は、開閉自在な弁体(図示せず)を内部に有し、第2燃料通路66の燃料の圧力が所定圧力以上となった場合に前記弁体を開放して前記燃料を前記第2燃料通路66の外部へと流通させる。
【0035】
さらに、第2保持部50の他端部には、エンドブロック44側(矢印B方向)に向かって延在する第2アーム70が形成され、この第2アーム70は、第2保持部50に対して上下方向に傾動自在に設けられ、且つ、第1アーム54と対となるように形成されると共に、上下方向に貫通した係合孔72が形成されている。
【0036】
そして、ハウジング42内の第3燃料通路68が、第1燃料通路58を介して燃料ポンプ20の吐出口64と接続されると共に、上端部が第2燃料通路66を通じてプレッシャレギュレータ52と連通すると共に、下端部が蓋部材18のベース部30を介して吐出部38と接続されて連通している。
【0037】
エンドブロック44は、ハウジング42の他端部を覆うように設けられ、その後方側(矢印B方向)には、フィルタ24の接続されるフィルタ接続部(径方向外側部)74が形成される。
【0038】
このエンドブロック44は、例えば、長手方向と直交する上下方向(矢印D方向)に沿って長尺な断面略長円状に形成され、ハウジング42の第1及び第2保持部48、50に臨むように設けられる。第1保持部48に臨むエンドブロック44の一端部には、燃料ポンプ20の吸入口60と接続される第1吸入通路62が形成される。この第1吸入通路62は、エンドブロック44の長手方向に沿って後方側(矢印B方向)へと延在している。
【0039】
また、エンドブロック44には、上下方向に拡幅した一対のフランジ部76が形成され、このフランジ部76には、ハウジング42の第1及び第2アーム54、70が挿通される挿通孔78が長手方向(矢印A、B方向)に貫通している。
【0040】
さらに、エンドブロック44の上面及び下面には、上方及び下方へとそれぞれ突出した係合爪80が形成され、この係合爪80が、挿通孔78に挿通された第1及び第2アーム54、70の係合孔56、72に対して係合される。すなわち、係合爪80及び係合孔56、72がスナップフィット機構46を構成している。
【0041】
これにより、ハウジング42とエンドブロック44との長手方向(軸方向、矢印A、B方向)に沿った相対移動が規制され、ハウジング42とエンドブロック44とが長手方向に一直線状に配置された状態で連結される。
【0042】
フィルタ接続部74には、
図3B及び
図4に示されるように、エンドブロック44の長手方向と直交する厚さ方向に突出した吸入管(吸入管側部材)82が設けられ、その外周面には環状溝を介してシールリング(シール部材)84が装着されると共に、前記吸入管82の内部にはフィルタ24側(矢印C1方向)に向かって延在する第2吸入通路(流路)86が形成されている。第2吸入通路86は、その一端部が第1吸入通路62の他端部に接続されて連通し、他端部が後述するアタッチメント98を介して前記フィルタ24と接続される。
【0043】
また、フィルタ接続部74の内部には、吸入管82の外周側となり厚さ方向(矢印C1、C2方向)に貫通した空間88が形成され、この空間88がフィルタ接続部74の後端に開口した開口部90(
図3A参照)と連通すると共に、該開口部90を通じて後述する角度調節機構26の抜け止めピン(抜け止め部材)112が挿入自在に設けられる。
【0044】
この空間88には、開口部90に対して奥側となるフィルタ接続部74の一端部において、吸入管82の径方向外側に向かって窪んだ内周溝92が形成され、後述する抜け止めピン112が係合される。
【0045】
フィルタ24は、
図1〜
図4に示されるように、燃料中に含まれる不純物等を除去する目的で設けられ、例えば、燃料供給装置10の長手方向(矢印A、B方向)に沿って設けられると共に厚さ方向(矢印C1、C2方向)に沿った寸法の小さな袋状に形成された濾材94からなる。このフィルタ24は、厚さ方向となる両側面に一組の平面部96をそれぞれ有している。そして、エンドブロック44側となる一方の平面部96にはアタッチメント(吐出管側部材)98が設けられる。
【0046】
アタッチメント98は断面円形状に形成され、管状のフィルタ吐出管100と、該フィルタ吐出管100の端部に設けられる取付部102とを有し、前記フィルタ吐出管100及び前記取付部102が同軸上に形成され、その中心には軸方向(矢印C1、C2方向)に貫通した吐出通路(流路)104が形成されている。この吐出通路104は、フィルタ24の厚さ方向に延在し、袋状に形成されたフィルタ24の内部と連通している。
【0047】
フィルタ吐出管100は、取付部102に対して所定高さだけ突出するように形成され、その外周面には径方向外側に向かって突出した一対の凸部106を有している。凸部106は、フィルタ吐出管100の軸中心に対して対称となる位置に設けられている(
図3A参照)。
【0048】
また、フィルタ吐出管100の外周面には、
図3B及び
図4に示されるように、取付部102に近接した位置に環状のピン溝(外周溝)108が形成され、後述する抜け止めピン112が係合される。
【0049】
さらに、フィルタ吐出管100には、その吐出通路104の内部に吸入管82が挿入され、該吸入管82の外周面に装着されたシールリング84が前記吐出通路104の内周面に当接することで、前記吐出通路104と前記吸入管82との間を通じた燃料の漏出が防止される。
【0050】
そして、アタッチメント98は、フィルタ24の一端部近傍となる平面部96に対し、取付部102が装着されると共に、吐出通路104がフィルタ24の内部と連通するように設けられ、フィルタ吐出管100が厚さ方向においてエンドブロック44側(矢印C2方向)へと突出するように設けられる。
【0051】
角度調節機構26は、例えば、エンドブロック44のフィルタ接続部74において吸入管82に対して該吸入管82の径方向外側に形成されるギア孔110と、アタッチメント98のフィルタ吐出管100に形成され前記ギア孔110に係合される凸部106と、前記フィルタ吐出管100を前記エンドブロック44に対して固定する抜け止めピン112とから構成される。
【0052】
ギア孔110は、フィルタ接続部74の空間88に臨むように形成され、エンドブロック44の長手方向と直交する厚さ方向(矢印C1、C2方向)に貫通し、且つ、吸入管82と同軸上となるように形成された円形状に形成されると共に、このギア孔110の内周面は、その周方向に沿って複数の凹部114が形成されている。すなわち、凹部114は、吸入管82に対して径方向外側となり、且つ、径方向外側に向かって窪むように形成されている。
【0053】
そして、ギア孔110の内部には、アタッチメント98のフィルタ吐出管100が挿通され、その凸部106が複数の凹部114のいずれか2つに係合され、前記ギア孔110の中心に対する回転方向のエンドブロック44に対するフィルタ24の相対位置が位置決めされる。すなわち、このギア孔110を有したエンドブロック44に対し、フィルタ吐出管100を中心としてフィルタ24を回転させた際の凸部106が係合する凹部114の位置を変えることで、前記エンドブロック44に対する前記フィルタ24の回転方向の相対位置を変更して該フィルタ24を位置決めすることができる。
【0054】
換言すれば、ギア孔110における凹部114とフィルタ吐出管100の凸部106とは、エンドブロック44とフィルタ24との相対的な回転方向の位置(角度)を選択的に変更して位置決め可能に構成されている。
【0055】
抜け止めピン112は、
図3A及び
図3Bに示されるように、例えば、線材を屈曲させることで二股状に形成され、その一端部に形成された略半円状の接続部116と、該接続部116に対して接続され他端部側へと延在した一対の把持部(円弧部)118a、118bと、該把持部118a、118bに対して互いに離間する方向にそれぞれ延在した一対の張出端(張出部)120a、120bとからなる。この抜け止めピン112は、その一端部から他端部に向かって徐々に拡がるように形成されている。
【0056】
把持部118a、118bは、互いに離間する方向に断面略円弧状に膨出し、且つ、対称形状となるように形成され、前記把持部118a、118bの他端部に対して一対の張出端120a、120bが互いに徐々に離れる方向へ傾斜して延在している。
【0057】
また、一方の張出端120aと他方の張出端120bとの離間距離Lは、
図3Bに示されるように、フィルタ吐出管100の外周面に形成されたピン溝108の直径Eに対して大きくなるように形成されている(L>E)。
【0058】
そして、抜け止めピン112は、エンドブロック44に開口した開口部90を通じて内部へと挿入され、その把持部118a、118bがフィルタ吐出管100のピン溝108へと係合されると共に、接続部116が開口部90に臨み、張出端120a、120bがエンドブロック44の空間88内に形成された内周溝92へと係合される。
【0059】
本発明の第1の実施の形態に係る燃料供給装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に前記燃料供給装置10を燃料タンク12内に取り付ける場合について説明する。ここでは、
図1に示されるように、燃料タンク12の底壁14に対して所定角度θで傾斜した傾斜壁16に対して燃料供給装置10を装着する場合について説明すると共に、ポンプモジュール22の後端にフィルタ24が予め接続されている状態とする。
【0060】
最初に、
図2に示される蓋部材18及びポンプモジュール22とフィルタ24とが略一直線状に配置された状態から、燃料タンク12の傾斜壁16の底壁14に対する傾斜角度θに応じてポンプモジュール22及びエンドブロック44に対するフィルタ24の角度を調節する。
【0061】
先ず、
図2に示される状態から角度調節機構26を構成する抜け止めピン112を開口部90を通じてエンドブロック44から取り外し、フィルタ24に装着されたアタッチメント98の凸部106を、前記エンドブロック44におけるギア孔110の凹部114へと係合していない状態とし、前記エンドブロック44及びポンプモジュール22に対してフィルタ24を時計回り(
図2中、矢印F方向)に回転させた後、フィルタ24に装着されたアタッチメント98の凸部106を、エンドブロック44のギア孔110の凹部114に係合させることで、フィルタ24をエンドブロック44に対して所定回転量だけ回転させ位置決めすることができる。
【0062】
この際、凸部106が係合する凹部114は、複数の凹部114から選択することができるため、フィルタ24のエンドブロック44に対する回転方向の相対位置を微調整することが可能となる。
【0063】
そして、フィルタ24を回転させ、該フィルタ24をエンドブロック44及びポンプモジュール22に対して所望の角度θとした後、抜け止めピン112を張出端120a、120b側からエンドブロック44の開口部90を通じて空間88の内部へと挿入する。
【0064】
この抜け止めピン112の把持部118a、118bをフィルタ吐出管100のピン溝108へと係合させると共に、一対の張出端120a、120bをそれぞれエンドブロック44の空間88内において内周溝92へと係合させることで、抜け止めピン112が、エンドブロック44の長手方向に沿ってフィルタ吐出管100の外周側に保持される。
【0065】
これにより、アタッチメント98のフィルタ吐出管100が、エンドブロック44のギア孔110へと挿入され、且つ、一対の凸部106が凹部114へと係合された状態で、抜け止めピン112によって相対的な軸方向(厚さ方向、矢印C1、C2方向)への移動が規制されるため、前記フィルタ24がエンドブロック44及びポンプモジュール22に対して所望の角度θで傾斜した状態で固定される。
【0066】
この際、抜け止めピン112は、その接続部116の一部がエンドブロック44の開口部90から外部へと露出している状態となる(
図1及び
図2参照)。
【0067】
また、この際、
図4に示されるように、吸入管82及びフィルタ吐出管100の軸方向(矢印C1、C2方向)において、凸部106及び凹部114の係合部位と、前記フィルタ吐出管100に対する前記吸入管82の嵌合部位とが略同一位置となる。換言すれば、フィルタ吐出管100に対する吸入管82の嵌合部位における吸入管82の径方向外側で、凸部106と凹部114とが係合されている。
【0068】
さらに、抜け止めピン112は、その張出端120a、120b同士の離間距離Lが、フィルタ吐出管100のピン溝108の直径Eに対して大きくなるように形成されている。そのため、張出端120a、120b側から抜け止めピン112をフィルタ吐出管100に対して挿入する際に、前記張出端120a、120bが容易にピン溝108を乗り越えて奥側(
図3B中、矢印A方向)へと挿入され、該張出端120a、120bに対して挿入方向手前側(矢印B方向)となる把持部118a、118bを前記ピン溝108へと容易に導いて係合させることが可能となる。
【0069】
次に、上述したように蓋部材18及びポンプモジュール22に対してフィルタ24の角度が調節された燃料供給装置10を燃料タンク12内へと挿入する場合には、該燃料タンク12の傾斜壁16に開口したタンク開口28を通じてフィルタ24、ポンプモジュール22の順番で内部へと挿入する。
【0070】
そして、
図1に示されるように、燃料タンク12のタンク開口28を塞ぐように蓋部材18のベース部30を配置することで、該ベース部30が傾斜壁16に沿って設けられ、且つ、フィルタ24の底辺24aが燃料タンク12の底壁14に沿って該底壁14と略平行に配置された状態となる。
【0071】
そして、図示しない固定ボルトで蓋部材18のベース部30を燃料タンク12の傾斜壁16へと固定することで、燃料供給装置10の燃料タンク12に対する取り付け作業が完了する。
【0072】
次に、上述したように燃料タンク12に対して取り付けられた燃料供給装置10の動作について説明する。
【0073】
先ず、図示しないコントローラからの制御信号が、蓋部材18のコネクタ部36及び端子接続部34を通じてリード線40から燃料ポンプ20へと入力されることで該燃料ポンプ20が駆動する。そして、燃料タンク12の内部に蓄えられた燃料が、フィルタ24を通過してアタッチメント98の吐出通路104及びエンドブロック44の第2吸入通路86、第1吸入通路62を通じて燃料ポンプ20の吸入口60から内部へと吸入される。
【0074】
そして、燃料ポンプ20へと吸入された燃料は、その吐出口64からハウジング42の第1燃料通路58へと吐出された後、第3燃料通路68を経て蓋部材18の吐出部38から燃料チューブへと導出される。その後、燃料チューブを通じて内燃機関のインジェクタへと燃料が供給される。
【0075】
一方、第1燃料通路58から第3燃料通路68へと流れた燃料は、該第3燃料通路68から第2燃料通路66を通じてプレッシャレギュレータ52へと供給され、このプレッシャレギュレータ52が燃料の圧力によって弁開することで、余剰となった前記燃料がプレッシャレギュレータ52を通じて燃料タンク12内へと排出される。
【0076】
また、燃料タンク12内の燃料が少なくなり、重力方向下方(矢印D方向)となる底壁14の近くまで該燃料の液面が低下している場合でも、前記底壁14の近傍となるように、その底辺24aが前記底壁14と略平行に配置されたフィルタ24を通じて燃料を吸い込むことが可能である。
【0077】
以上のように、第1の実施の形態では、燃料供給装置10において、燃料ポンプ20の吸入口60と連通して燃料を吸入する吸入管82と、袋状の濾材94と濾材94内に連通するフィルタ吐出管100とを有したフィルタ24とを備え、前記フィルタ吐出管100の外周面に径方向外側へ突出した一対の凸部106を設けると共に、前記吸入管82を有するフィルタ接続部74のギア孔110に径方向外側へ窪んで前記凸部106が係合される複数の凹部114を有している。
【0078】
従って、複数の凹部114に対して凸部106の係合位置を選択的に変更することで、吸入管82の周方向に沿った前記フィルタ接続部74に対する前記フィルタ24(フィルタ吐出管100)の相対位置(接続角度)を所望の位置として位置決めすることができる。
【0079】
その結果、燃料供給装置10の搭載される燃料タンク12の形状に応じて、燃料ポンプ20に対するフィルタ24の取付角度を任意に設定し、該フィルタ24が燃料タンク12内で最も重力方向下方となる底壁14に近づき、残燃料が少なくなった場合でもフィルタ24が燃料内となるように容易且つ確実に配置することができるため、燃料タンク12内における燃料の残存を極力少なくすることができる。
【0080】
すなわち、従来技術に係る燃料供給装置のように、取付位置や形状の異なる燃料タンク毎に別の結合部(吸入管)を準備する必要がなく、単一の燃料供給装置10で様々な形状の燃料タンク12に対応できるため、前記従来技術に係る燃料供給装置と比較して部品点数や製造コストの削減が可能となる。
【0081】
また、フィルタ接続部74の吸入管82とフィルタ24側のフィルタ吐出管100とを接続した際に、前記吸入管82の外周面がフィルタ接続部74の空間88に臨み、前記吸入管82の外周面に形成されたピン溝108及び前記空間88に形成された内周溝92に、弾性変形自在な抜け止めピン112を係合させることで、前記吸入管82と前記フィルタ吐出管100との軸方向(矢印C1、C2方向)に沿った相対移動を容易に規制して互いの接続状態を維持できる。
【0082】
さらに、フィルタ接続部74において、第2吸入通路86を有した吸入管82と、該吸入管82の外周側に形成される空間88とを備え、前記吸入管82をフィルタ24側のフィルタ吐出管100と接続した際に、前記空間88に前記フィルタ吐出管100が配置され、且つ、該フィルタ吐出管100の内側に前記吸入管82が挿入されて嵌合すると共に、前記フィルタ吐出管100の凸部106が前記空間88に臨むように形成されたギア孔110の凹部114へと係合される。
【0083】
これにより、吸入管82とフィルタ吐出管100との嵌合部位と、凸部106と凹部114との係合位置とを厚さ方向(矢印C1、C2方向)において略同一位置とすることができるため、前記フィルタ接続部74の厚さ寸法を短縮化することができる。
【0084】
さらにまた、吸入管82の外周面に形成された環状溝にシールリング84を設け、該吸入管82の外周側に挿入されるフィルタ吐出管100との間のシールを行うことで、前記吸入管82と前記フィルタ吐出管100との嵌合部位において、凸部106と凹部114との係合とシールリング84によるシールとを厚さ方向(軸方向)において略同一位置で行うことができる。そのため、上述した凸部106と凹部114との係合、シールリング84によるシールをそれぞれ厚さ方向において異なる位置で行った場合と比較し、吐出通路104及び第2吸入通路86を含むフィルタ接続部74の厚さ寸法を小型化することができる。
【0085】
またさらに、エンドブロック44のフィルタ接続部74には、その後端に開口して抜け止めピン112を挿入可能な開口部90を備え、この開口部90から抜け止めピン112を内部へと挿入し、フィルタ吐出管100のピン溝108と内周溝92へと係合させることで、前記フィルタ吐出管100と吸入管82とが接続された状態で、軸方向(厚さ方向)への相対移動を規制することができる。そのため、角度調節機構26によって吸入管82に対するフィルタ24の回転方向への相対位置を位置決めした状態で、吸入管82とフィルタ吐出管100とを軸方向に脱抜することがないように容易に固定することができる。
【0086】
また、開口部90から抜け止めピン112を外部へと引き抜くことで、吸入管82とフィルタ吐出管100との移動規制状態を容易に解除して互いに取り外すことができるため、例えば、フィルタ24の交換作業を簡便に行うことができる。
【0087】
また、抜け止めピン112において、一組の把持部118a、118bの他端部に互いに離間する方向に向かって延在し、且つ、前記把持部118a、118bよりも径方向外側へと張り出した張出端120a、120bを設けると共に、一対の張出端120a、120bの離間距離Lをフィルタ吐出管100におけるピン溝108の直径Eよりも大きく設定することで、前記抜け止めピン112をフィルタ吐出管100の外周側へと挿通させる際の挿入性が容易となり、しかも、ピン溝108に対する把持部118a、118bの挿入をより一層容易とすることができる。
【0088】
そのため、抜け止めピン112をフィルタ吐出管100の径方向へと移動させるだけで、前記抜け止めピン112をピン溝108に対して容易に係合させ、フィルタ吐出管100に対して保持させることができる。
【0089】
さらに、吸入管82を含むフィルタ接続部74を、燃料ポンプ20の吸入口60側を保持するエンドブロック44と一体的に形成し、このエンドブロック44が、燃料ポンプ20の吐出口64側を保持するハウジング42に対して該燃料ポンプ20を間に挟み込むように接続される構成としているため、前記フィルタ接続部74を前記燃料ポンプ20に対して確実に固定することができる。
【0090】
次に、第2の実施の形態に係る燃料供給装置150を
図5A〜
図6に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る燃料供給装置10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0091】
この第2の実施の形態に係る燃料供給装置150では、ポンプモジュール152のエンドブロック154に対してフィルタ24の取り付け角度を変更自在な角度調節機構156が、前記フィルタ24におけるアタッチメント(吐出管側部材)158に形成され軸方向(矢印C2方向)に突出した一対の凸部160と、エンドブロック154に対して軸方向(矢印C2方向)に窪んで形成され該凸部160の挿入される複数の凹部162とから構成されている点で、第1の実施の形態に係る燃料供給装置10と相違している。
【0092】
この角度調節機構156を構成する凸部160は、アタッチメント158においてフィルタ吐出管100の先端に設けられ径方向に拡径した円盤状の取付フランジ164に形成される。凸部160は、例えば、取付フランジ164の端面に対して径方向に長尺となる断面長方形状に形成され、フィルタ吐出管100の中心に対して径方向に対称となる位置に一対設けられている。また、一方の凸部160と他方の凸部160とは、エンドブロック154側への突出高さが同一に形成される。
【0093】
一方、エンドブロック154には、フィルタ24に臨むフィルタ接続部166の端面に複数の凹部162が形成される。この凹部162は、吸入管82(
図6参照)に対して径方向外側となる位置に設けられ、前記吸入管82の軸方向(矢印C2方向)に窪み、且つ、凸部160の断面形状に対応して該軸方向と直交する径方向に長尺な断面長方形状に形成される。また、凹部162は、吸入管82を中心として周方向に沿って互いに等間隔離間して複数設けられる(
図5A及び
図5B参照)。
【0094】
そして、フィルタ24がポンプモジュール152のエンドブロック154に対して接続される際、アタッチメント158のフィルタ吐出管100に対して吸入管82が内部へと挿通され、一対の凸部160が複数の凹部162のうちのいずれか2つに挿入されることで、前記フィルタ吐出管100及び前記吸入管82を中心として前記エンドブロック154に対するフィルタ24の回転方向への相対位置が位置決めされる。
【0095】
すなわち、エンドブロック154に対してフィルタ吐出管100を中心としてフィルタ24を回転させた際の凸部160が係合する凹部162の位置を変えることで、前記エンドブロック154に対する前記フィルタ24の回転方向の相対位置を変更して該フィルタ24を位置決めすることができる。
【0096】
換言すれば、エンドブロック44における凹部162とアタッチメント158(フィルタ吐出管100)の凸部160とは、エンドブロック154とフィルタ24との相対的な回転方向の位置(角度)を選択的に変更して位置決め可能に構成されている。
【0097】
そして、上記のように凸部160と凹部162との係合作用下にフィルタ24をエンドブロック154に対して所望の角度とした後、抜け止めピン112を張出端120a、120b側からエンドブロック154の開口部を通じて空間88の内部へと挿入し、フィルタ吐出管100のピン溝108へと係合させると共に、一対の張出端120a、120bをそれぞれエンドブロック154の空間88内において内周溝92へと係合させる。
【0098】
これにより、アタッチメント158のフィルタ吐出管100が、エンドブロック154の空間88内へと挿入され、且つ、一対の凸部160が凹部162へと係合された状態で、抜け止めピン112によって相対的な軸方向(厚さ方向、矢印C1、C2方向)への移動が規制されるため、前記フィルタ24がエンドブロック154及びポンプモジュール152に対して所望の角度で傾斜した状態で固定される。
【0099】
以上のように、第2の実施の形態に係る燃料供給装置150では、燃料ポンプ20の吸入口60と連通して燃料を吸入する吸入管82と、袋状の濾材94と濾材94内に連通するフィルタ吐出管100とを有したフィルタ24とを備え、フィルタ24に設けられたフィルタ吐出管100の取付フランジ164に対して軸方向(矢印C2方向)に突出した一対の凸部160を設けると共に、吸入管82を有したエンドブロック154の端面に軸方向(矢印C2方向)に窪んで前記凸部160が係合される複数の凹部162を有している。
【0100】
従って、複数の凹部162に対して凸部160の係合位置を選択的に変更することで、前記フィルタ接続部166に対する前記フィルタ24(フィルタ吐出管100)の相対位置(接続角度)を所望の位置として位置決めすることができる。
【0101】
その結果、燃料供給装置150の搭載される燃料タンク12の形状に応じて、燃料ポンプ20に対するフィルタ24の取付角度を任意に設定し、該フィルタ24が燃料タンク12内で最も重力方向下方となる底壁に近づき、残燃料が少なくなった場合でもフィルタ24が燃料内となるように容易且つ確実に配置することができるため、燃料タンク12内における燃料の残存を極力少なくすることができる。
【0102】
また、角度調節機構156は、上述したようにフィルタ24のアタッチメント158に設けられた一対の凸部160と、エンドブロック154側に設けられた複数の凹部162とから構成される場合に限定されるものではなく、例えば、
図7Aに示す第1変形例に係る燃料供給装置170のように、フィルタ24におけるアタッチメント(吐出管側部材)172の取付フランジ174を正多角形状とし、該アタッチメント172に臨むエンドブロック176のフィルタ接続部178の端面に前記取付フランジ174を挿入可能な受入孔部180を設けた角度調節機構182を採用するようにしてもよい。
【0103】
この燃料供給装置170では、フィルタ24におけるアタッチメント172の取付フランジ174がフィルタ吐出管100の軸方向(矢印C1、C2方向)から見て断面正六角形状に形成され、その中心に前記フィルタ吐出管100が設けられている。
【0104】
一方、ポンプモジュール152におけるエンドブロック176には、フィルタ24に臨む端面に前記フィルタ24の取付フランジ174と同一断面形状で形成された受入孔部180が形成され、吸入管82の軸方向(矢印C2方向)に沿って所定深さで窪んで形成される。
【0105】
そして、取付フランジ174において6つある頂部のうちの特定の頂部を、エンドブロック176における受入孔部180の任意の頂点に対して選択的に嵌合させることで、前記エンドブロック176に対するフィルタ24の相対的な回転方向の位置(角度)を選択的に変更して位置決めすることが可能となる。
【0106】
また、取付フランジ174及び該取付フランジ174の挿入される受入孔部180の断面形状は、上述したような正六角形状に限定されるものではない。例えば、
図7Bに示される第2変形例に係る燃料供給装置190のように、フィルタ24における取付フランジ192を径方向外側に向かって先細状となる5本の先細部を有した断面星状に形成し、エンドブロック194におけるフィルタ接続部196には、前記取付フランジ192の断面形状に対応して軸方向(矢印C2方向)に窪んだ受入孔部198を形成し、前記受入孔部198に対して前記取付フランジ192を挿入可能な構成としてもよい。
【0107】
すなわち、フィルタ24において、フィルタ吐出管100を中心として周方向に等角度毎離間した複数の頂部を有した断面正多角形状で取付フランジ174、192を形成し、該取付フランジ174、192の断面形状に対応して複数の頂部を有した挿入可能な受入孔部180、198をエンドブロック176、194に形成することで、エンドブロック176、194に対してフィルタ24の取付角度を多角形における頂部の数だけ任意に変更して取り付けることが可能となる。
【0108】
また、取付フランジ174、192は、フィルタ吐出管100に対して複数の頂部が径方向外側へと突出するように形成され、一方、フィルタ接続部178、196の内部において吸入管82の外周側に形成された空間88に臨むように受入孔部180、198を形成している。
【0109】
これにより、空間88内にフィルタ吐出管100が配置され、且つ、該フィルタ吐出管100の内側に吸入管82が挿入されて嵌合すると共に、前記取付フランジ174、192が前記受入孔部180、198へと係合され、前記吸入管82とフィルタ吐出管100との嵌合部位と、取付フランジ174、192と前記受入孔部180、198との係合位置とを厚さ方向(矢印C1、C2方向)において略同一位置とすることができる。そのため、フィルタ接続部178、196の厚さ寸法を短縮し、燃料供給装置170、190の小型化を図ることが可能となる。
【0110】
また、上述した凸部106、160と凹部114、162が同数となるようにそれぞれ設けられていてもよい。
【0111】
なお、本発明に係る燃料供給装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。