(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6722806
(24)【登録日】2020年6月24日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 15/60 20060101AFI20200706BHJP
B01D 29/96 20060101ALI20200706BHJP
C02F 11/123 20190101ALI20200706BHJP
【FI】
B65G15/60
B01D29/02 FZAB
C02F11/123
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-115050(P2019-115050)
(22)【出願日】2019年6月21日
【審査請求日】2019年10月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 崇
(72)【発明者】
【氏名】望月 泰浩
【審査官】
板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4036816(JP,B2)
【文献】
特開2000−291711(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2019/0152707(US,A1)
【文献】
実開昭62−053216(JP,U)
【文献】
特開2005−081207(JP,A)
【文献】
特開2015−101455(JP,A)
【文献】
特開平10−147894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/60−15/64
B65G 15/40
B01D 29/02
C02F 11/123
B21D 53/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ローラと、第1ローラと共に回転する第1係合輪体と、第2ローラと、第2ローラと共に回転する第2係合輪体と、第1ローラと第2ローラとに巻回された金属メッシュからなる無端状のベルトと、取付手段を介してベルトの側端部に取り付けられたチェーンとを有し、
チェーンが第1係合輪体と第2係合輪体とに係合して巻回された搬送装置であって、
取付手段はベルトを表裏両側から挟持する一対の挟持部材を有し、
挟持部材はベルトの表面に当接してベルトを挟むベルト挟持面を有し、
表裏一対の挟持部材のうちの少なくとも片方の挟持部材のベルト挟持面の外周縁の端部のうちの少なくともベルト走行方向の上流側における端部が、ベルトの表面からベルト厚さ方向において離間する外方向へ傾斜していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
挟持部材の端部が外側ほどベルトの表面から離間する外方向へ湾曲していることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
戻り軌道のベルトを下方から支持する戻りローラが備えられ、
挟持部材の端部は第1および第2ローラと戻りローラとのうちのいずれか最小径のローラの半径以下で湾曲していることを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
挟持部材は椀形状の山座金からなり、
山座金の周端部が外側ほどベルトの表面から離間する外方向へ湾曲していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
取付手段は、チェーンに設けられた取付片と、一対の挟持部材とベルトと取付片とを締結するねじ部材とを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
取付片といずれか片方の挟持部材との間にスペーサが挟まれており、
ねじ部材は一対の挟持部材とベルトと取付片とスペーサとを締結することを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトを走行させて、ベルト上の搬送物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搬送装置としては、例えば
図16〜
図19に示すように、汚泥120を搬送しながら脱水濃縮するものがある。この搬送装置100は、駆動ローラ101と、駆動ローラ101と共に回転する第1スプロケット(図示省略)と、従動ローラ103と、従動ローラ103と共に回転する第2スプロケット(図示省略)と、駆動ローラ101と従動ローラ103とに巻回された金属メッシュからなる無端状のベルト105と、複数の取付手段106を介してベルト105の両側端部に取り付けられたチェーン107とを有している。
【0003】
チェーン107は第1スプロケットと第2スプロケットとに係合して巻回されている。取付手段106はそれぞれ、チェーン107に設けられてベルト105の側端部裏側に当て付けられた複数の平板状のリンク109と、ベルト105とリンク109とを締結するねじ部材110およびナット111と、平座金112とを有している。ねじ部材110はベルト105とリンク109とに貫通し、ナット111はねじ部材110に締め込まれ、平座金112はねじ部材110の頭110aとベルト105との間に挟まれている。
【0004】
これにより、ベルト105の両側端部はそれぞれ、平座金112とリンク109とによって、表裏両側から挟持されている。駆動ローラ101を回転駆動することにより、駆動ローラ101と共に第1スプロケットが回転駆動し、これに伴って従動ローラ103と第2スプロケットが従動回転して、チェーン107とベルト105とが走行する。
【0005】
ベルト105上に供給された汚泥120は、ベルト105で搬送されながら脱水濃縮された後、ベルト105上から排出される。
【0006】
尚、上記のような搬送装置は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4036816号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記の従来形式では、例えば、
図19に示すように、ベルト105が従動ローラ103を通過する際、ベルト105が従動ローラ103の外周面に沿って湾曲し、このとき、リンク109の端部とベルト105とが接触する接触部分114,115に応力が集中してベルト105がダメージを受け易く、ベルト105の耐用年数に影響を及ぼしていた。
【0009】
特に、リンク109の端部のうちのベルト走行方向121の上流側(後側)における端部とベルト105とが接触する接触部分114に最も応力が集中し易いことが分かった。
【0010】
本発明は、ベルトとチェーンとの取付部分においてベルトが受けるダメージを低減して、ベルトの耐用年数を向上させることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、第1ローラと、第1ローラと共に回転する第1係合輪体と、第2ローラと、第2ローラと共に回転する第2係合輪体と、第1ローラと第2ローラとに巻回された金属メッシュからなる無端状のベルトと、取付手段を介してベルトの側端部に取り付けられたチェーンとを有し、
チェーンが第1係合輪体と第2係合輪体とに係合して巻回された搬送装置であって、
取付手段はベルトを表裏両側から挟持する一対の挟持部材を有し、
挟持部材はベルトの表面に当接してベルトを挟むベルト挟持面を有し、
表裏一対の挟持部材のうちの少なくとも片方の挟持部材の
ベルト挟持面の外周縁の端部のうちの少なくともベルト走行方向の上流側における端部が
、ベルトの表面から
ベルト厚さ方向において離間する
外方向へ傾斜しているものである。
【0012】
これによると、第1ローラを回転駆動することにより、第1ローラと共に第1係合輪体が回転駆動し、これに伴って第2ローラと第2係合輪体が従動回転して、チェーンとベルトとが一体的に走行する。ベルト上に供給された搬送物は走行するベルトで目的箇所へ搬送される。
【0013】
ベルトが第1ローラ又は第2ローラを通過する際、ベルトが第1ローラ又は第2ローラの外周面に沿って湾曲するが、挟持部材の端部がベルトの表面から離間する方向へ傾斜しているため、挟持部材の端部とベルトとが接触する接触部分における応力集中が緩和され、ベルトが受けるダメージが低減されて、ベルトの耐用年数が向上する。
【0014】
本第2発明における搬送装置は、挟持部材の端部が外側ほどベルトの表面から離間する
外方向へ湾曲しているものである。
【0015】
これによると、挟持部材の端部とベルトとの接触部分における応力集中が緩和され、ベルトが受けるダメージが低減されて、ベルトの耐用年数が向上する。
【0016】
本第3発明における搬送装置は、戻り軌道のベルトを下方から支持する戻りローラが備えられ、
挟持部材の端部は第1および第2ローラと戻りローラとのうちのいずれか最小径のローラの半径以下で湾曲しているものである。
【0017】
これによると、ベルトが戻りローラを通過する際、ベルトが戻りローラの外周面に沿って湾曲するが、挟持部材の端部がベルトの表面から離間する方向へ湾曲しているため、挟持部材の端部とベルトとの接触部分における応力集中が緩和され、ベルトが受けるダメージが低減されて、ベルトの耐用年数が向上する。
【0018】
尚、挟持部材の端部が最小径のローラの半径以下で湾曲しているため、挟持部材の端部とベルトとの接触部分における応力集中が一段と緩和される。
【0019】
本第4発明における搬送装置は、挟持部材は椀形状の山座金からなり、
山座金の周端部が外側ほどベルトの表面から離間する
外方向へ湾曲しているものである。
【0020】
これによると、挟持部材として汎用品の山座金を利用するため、コストダウンが実現できる。
【0021】
本第5発明における搬送装置は、取付手段は、チェーンに設けられた取付片と、一対の挟持部材とベルトと取付片とを締結するねじ部材とを有するものである。
【0022】
これによると、一対の挟持部材でベルトを表裏両側から挟持した状態で、一対の挟持部材とベルトと取付片とをねじ部材で締結することにより、チェーンが取付手段を介してベルトの側端部に取り付けられる。
本第6発明における搬送装置は、取付片といずれか片方の挟持部材との間にスペーサが挟まれており、
ねじ部材は一対の挟持部材とベルトと取付片とスペーサとを締結するものである。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によると、ベルトがローラを通過する際、ベルトがローラの外周面に沿って湾曲するが、挟持部材の端部がベルトの表面から離間する方向へ傾斜しているため、挟持部材の端部とベルトとが接触する接触部分における応力集中が緩和され、ベルトが受けるダメージが低減されて、ベルトの耐用年数が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるベルト型濃縮機の構成を示す概略側面図である。
【
図3】同、ベルト型濃縮機のベルトを取り除いた概略平面図である。
【
図5】同、ベルト型濃縮機の搬送軌道におけるベルトの側端部とチェーンとの取付手段の拡大断面図である。
【
図7】同、ベルト型濃縮機の戻り軌道におけるベルトの側端部とチェーンとの取付手段の拡大断面図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態におけるベルト型濃縮機の戻り軌道におけるベルトの側端部とチェーンとの取付手段の拡大断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施の形態におけるベルト型濃縮機の戻り軌道におけるベルトの側端部とチェーンとの取付手段の拡大断面図である。
【
図14】本発明の第4の実施の形態におけるベルト型濃縮機の戻り軌道におけるベルトの側端部とチェーンとの取付手段の拡大断面図である。
【
図15】本発明の第5の実施の形態におけるベルト型濃縮機の戻り軌道におけるベルトの側端部とチェーンとの取付手段の拡大断面図である。
【
図16】従来のベルト型濃縮機の構成を示す概略側面図である。
【
図17】同、ベルト型濃縮機のベルトの側端部とチェーンとの取付部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1〜
図4に示すように、1は例えば下水処理場で発生する汚泥2(搬送物の一例)をベルト上で搬送しながら脱水するベルト型濃縮機(搬送装置の一例)である。
【0027】
ベルト型濃縮機1は、終端部に設けられた駆動ローラ10(第1ローラの一例)と、駆動ローラ10と共に回転する駆動スプロケット11(第1係合輪体の一例)と、始端部に設けられた従動ローラ12(第2ローラの一例)と、従動ローラ12と共に回転する従動スプロケット13(第2係合輪体の一例)と、駆動ローラ10と従動ローラ12とに巻回された無端状のベルト14と、複数の戻りローラ15と、複数の取付手段16を介してベルト14の両側端部に取り付けられたチェーン17と、フレーム体18と、汚泥2をベルト14上に供給する供給部25と、汚泥2をベルト14上から排出する排出部26とを有している。
【0028】
フレーム体18は左右一対のサイドフレーム19を有している。駆動ローラ10は、両サイドフレーム19の終端部間に設けられ、モータ24等によって回転駆動される。駆動スプロケット11は、駆動ローラ10の両側方に設けられ、支軸20を介して駆動ローラ10と一体的に回転する。
【0029】
また、従動ローラ12は両サイドフレーム19の始端部間に回転自在に設けられている。従動スプロケット13は、従動ローラ12の両側方に設けられ、支軸21を介して従動ローラ12と一体的に回転自在である。
【0030】
チェーン17は、駆動スプロケット11と従動スプロケット13とに係合して巻回されており、複数の外プレート22,23(
図5,
図7,
図9参照)を有している。両外プレート22,23のうち、一方の外プレート22はベルト14の側端部に近い側にあり、他方の外プレート23はベルト14の側端部から遠い側にある。
【0031】
ベルト14は、金属製のメッシュベルトであり、メッシュベルトを構成する金属線材間に形成された隙間によって、表裏両側に連通する多数の微小な開孔を有している。ベルト14の両側端部にはそれぞれ複数の表裏両側に貫通したボルト挿入孔29が形成されている。尚、
図1に示すように、ベルト14の走行軌道は、従動ローラ12から駆動ローラ10に向かって走行する搬送軌道27と、駆動ローラ10から従動ローラ12に向かって戻る戻り軌道28とを有している。
【0032】
図1〜
図3に示すように、搬送軌道27を搬送方向Aへ走行するベルト14を下方から支持する複数の支え板30が両サイドフレーム19間に設けられている。
【0033】
図1,
図4に示すように、戻りローラ15は、両サイドフレーム19間に回転自在に設けられ、戻り軌道28のベルト14を下方から支持している。尚、戻りローラ15の直径は駆動ローラ10および従動ローラ12の直径よりも小さい。また、戻り軌道28のベルト14は、チェーン17と共に、駆動ローラ10と戻りローラ15との間、両戻りローラ15間、戻りローラ15と従動ローラ12との間において、それぞれ下方に円弧状に弛んでいる。
【0034】
図5〜
図9に示すように、取付手段16は、チェーン17の一方の外プレート22に一体に設けられた取付片31と、ベルト14を表裏両側から挟持する一対の山座金32,33(挟持部材の一例)と、スペーサ34と、一対の山座金32,33とベルト14と取付片31とスペーサ34とを締結するボルト36およびナット37(ねじ部材の一例)とを有している。取付片31には、貫通した取付孔41が形成されている。
【0035】
各々の山座金32,33は、中央部に貫通孔42を有する椀形状の座金であり、外周端部が径方向外側ほどベルト14の表面から離間する方向へ湾曲している端部湾曲部39を全周にわたり有している。尚、端部湾曲部39は戻りローラ15(最小径のローラの一例)の半径以下の半径rで湾曲している。
【0036】
スペーサ34は、円筒状の部材であり、取付片31と他方の山座金33との間に挟まれている。ボルト36は、山座金32,33の各貫通孔42とベルト14のボルト挿入孔29とスペーサ34と取付片31の取付孔41とに挿通され、ナット37に締め込まれている。
【0037】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0038】
モータ24等によって駆動ローラ10を回転駆動することにより、駆動ローラ10と共に駆動スプロケット11が回転駆動し、これに伴って従動ローラ12と従動スプロケット13とが従動回転して、ベルト14とチェーン17とが一体的に走行する。
【0039】
汚泥2は、供給部25から、搬送軌道27を走行するベルト14上に供給され、搬送軌道27に沿って搬送されながら重力ろ過され、排出部26から排出される。この際、重力ろ過により汚泥2から離脱した離脱水はベルト14の微小開孔を通って下方へ排出されるため、汚泥2が脱水濃縮される。
【0040】
戻り軌道28においてベルト14が戻りローラ15を通過する際、
図7〜
図9に示すように、ベルト14が戻りローラ15の外周面に沿って湾曲するが、一方の山座金32の外周端部がベルト14の表面から離間する方向へ湾曲しているため、一方の山座金32の外周端部とベルト14との接触部分Bにおける応力集中が緩和され、ベルト14が受けるダメージが低減されて、ベルト14の耐用年数が向上する。
【0041】
尚、一方の山座金32の端部湾曲部39は戻りローラ15の半径以下の半径rで湾曲しているため、一方の山座金32の外周端部とベルト14との接触部分Bにおける応力集中が一段と緩和される。
【0042】
同様に、ベルト14が従動ローラ12を通過する際、
図5,
図6に示すように、ベルト14が従動ローラ12の外周面に沿って湾曲するが、他方の山座金33の外周端部がベルト14の表面から離間する方向へ湾曲しているため、他方の山座金33の外周端部とベルト14との接触部分Cにおける応力集中が緩和され、ベルト14が受けるダメージが低減されて、ベルト14の耐用年数が向上する。また、ベルト14が駆動ローラ10を通過する際も同様である。
【0043】
さらに、挟持部材の一例として汎用品である山座金32,33を用いることにより、コストダウンできる。
【0044】
上記第1の実施の形態では、ベルト14を表裏両側から挟持する一対の挟持部材の一例として山座金32,33を用いているが、ベルト型濃縮機に戻りローラ15が備えられていない場合は、一方の挟持部材として山座金32の代わりに平座金を用い、他方の挟持部材として山座金33を用いてもよい。すなわち、ベルト14を表裏両側のうちの少なくともローラと接触する側にある挟持部材の端部がベルト14の表面から離間する方向へ湾曲していればよい。
【0045】
また、駆動ローラ10および従動ローラ12の直径は戻りローラ15の直径よりも大きいため、ベルト14が駆動ローラ10および従動ローラ12を通過する際に発生する応力集中は、ベルト14が戻りローラ15を通過する際に発生する応力集中よりも、小さくなる。このため、ベルト14が駆動ローラ10および従動ローラ12を通過する際に発生する応力集中が問題にならないほど小さい場合は、一方の挟持部材として山座金32を用い、他方の挟持部材として山座金33の代わりに平座金を用いてもよい。
【0046】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、
図10〜
図12に示すように、取付手段60は、ベルト14を表裏両側から挟持する一対の挟持板61,62(挟持部材の一例)と、一対の挟持板61,62同士を締結するボルト63およびナット64(ねじ部材の一例)とを有している。
【0047】
挟持板61,62はそれぞれ貫通孔66を有しており、このうち他方の挟持板62はチェーン17の一方の外プレート22に一体に設けられている。
【0048】
挟持板61,62は、ベルト走行方向70の上流側(後側)における端部と下流側(前側)における端部とがそれぞれ外側ほどベルト14の表面から離間する方向へ湾曲している端部湾曲部68を有している。尚、端部湾曲部68は戻りローラ15(最小径のローラの一例)の半径以下の半径rで湾曲している。
【0049】
ボルト63は、挟持板61,62の各貫通孔66に挿通され、ナット64に締め込まれている。
【0050】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0051】
戻り軌道28においてベルト14が戻りローラ15を通過する際、ベルト14が戻りローラ15の外周面に沿って湾曲するが、一方の挟持板61の両端部がベルト14の表面から離間する方向へ湾曲しているため、一方の挟持板61の端部とベルト14との接触部分D,Eにおける応力集中が緩和され、ベルト14が受けるダメージが低減されて、ベルト14の耐用年数が向上する。
【0052】
尚、一方の挟持板61の端部湾曲部68は戻りローラ15の半径以下の半径rで湾曲しているため、一方の挟持板61の端部とベルト14との接触部分D,Eにおける応力集中が一段と緩和される。
【0053】
同様に、ベルト14が従動ローラ12を通過する際、ベルト14が従動ローラ12の外周面に沿って湾曲するが、他方の挟持板62の端部がベルト14の表面から離間する方向へ湾曲しているため、他方の挟持板62の端部とベルト14との接触部分における応力集中が緩和され、ベルト14が受けるダメージが低減されて、ベルト14の耐用年数が向上する。また、ベルト14が駆動ローラ10を通過する際も同様である。
【0054】
上記第2の実施の形態では、両方の挟持板61,62にそれぞれ端部湾曲部68を形成しているが、ベルト型濃縮機に戻りローラ15が備えられていない場合は、一方の挟持板61に端部湾曲部68を形成せず、他方の挟持板62のみに端部湾曲部68を形成してもよい。
【0055】
(第3の実施の形態)
先に説明した第2の実施の形態では、
図11に示すように、挟持板61はベルト走行方向70における上流側と下流側の両端部にそれぞれ端部湾曲部68を有しているが、ベルト14が戻りローラ15を通過する際、挟持板61の端部とベルト14との接触部分D,Eのうち、ベルト走行方向70の上流側における接触部分Dでは、ベルト14は、自重によって下向き(戻りローラ15の回転方向とは反対方向)に引っ張られるため、ベルト走行方向70の下流側における接触部分Eと比べて応力集中が増大し易い傾向にある。このようなことを踏まえて、本第3の実施の形態では、
図13に示すように、挟持板61,62はそれぞれ、ベルト走行方向70における上流側のみに端部湾曲部68を有するとともに、下流側に端部湾曲部68を有していない。
【0056】
これによると、一方の挟持板61の上流側の端部とベルト14との接触部分Dにおける応力集中が緩和され、ベルト14が受けるダメージが低減されて、ベルト14の耐用年数が向上する。
【0057】
上記第3の実施の形態では、挟持板61,62はそれぞれベルト走行方向70における上流側のみに端部湾曲部68を有しているが、端部湾曲部68を有していない挟持板62を用いてもよい。
【0058】
(第4の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、挟持部材の一例として、
図8に示すように、外周端部が径方向外側ほどベルト14の表面から離間する方向へ湾曲している端部湾曲部39を有する一対の山座金32,33を用いたが、第4の実施の形態として、
図14に示すように、外周端部が径方向外側ほどベルト14の表面から離間する方向へ傾斜している端部傾斜部75を有する一対の座金76,77を用いてもよい。
【0059】
これによると、上記第1の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
【0060】
(第5の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、
図11に示すように、挟持板61,62はベルト走行方向70の上流側における端部と下流側における端部とがそれぞれ外側ほどベルト14の表面から離間する方向へ湾曲している端部湾曲部68を有しているが、第5の実施の形態として、
図15に示すように、挟持板61,62はベルト走行方向70の上流側における端部と下流側における端部とがそれぞれ外側ほどベルト14の表面から離間する方向へ傾斜している端部傾斜部79を有しているものであってもよい。
【0061】
これによると、上記第2の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
【0062】
上記各実施の形態では、搬送装置の一例として、汚泥2を搬送しながら脱水するベルト型濃縮機1を挙げたが、汚泥2に限定されるものではなく、スラリー状物質を搬送しながら脱水するものであってもよい。また、ベルト型濃縮機1に限定されるものではなく、例えば、金属部品等をベルト14で搬送しながら焼結する焼結炉用の搬送装置、食品等をベルト14で搬送しながら加熱調理するオーブン用の搬送装置、物品を搬送しながら洗浄や水切りを行う洗浄装置用の搬送装置等の金属製のメッシュベルトを使用した他の搬送装置であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 ベルト型濃縮機(搬送装置)
10 駆動ローラ(第1ローラ)
11 駆動スプロケット(第1係合輪体)
12 従動ローラ(第2ローラ)
13 従動スプロケット(第2係合輪体)
14 ベルト
15 戻りローラ
16 取付手段
17 チェーン
28 戻り軌道
31 取付片
32,33 山座金(挟持部材)
36,37 ボルト,ナット(ねじ部材)
60 取付手段
61,62 挟持板(挟持部材)
63,64 ボルト,ナット(ねじ部材)
70 ベルト走行方向
76,77 座金(挟持部材)
【要約】
【課題】ベルトとチェーンとの取付部分においてベルトが受けるダメージを低減して、ベルトの耐用年数を向上させることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】第1ローラと共に回転する第1係合輪体と、第2ローラと共に回転する第2係合輪体と、第1ローラと第2ローラとに巻回された金属メッシュからなる無端状のベルト14と、取付手段16を介してベルト14の側端部に取り付けられたチェーンとを有し、チェーンが第1係合輪体と第2係合輪体とに係合して巻回された搬送装置であって、取付手段16はベルト14を表裏両側から挟持する一対の挟持部材32,33を有し、挟持部材32,33は端部がベルト14の表面から離間する方向へ湾曲している端部湾曲部39を有している。
【選択図】
図8