【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
<排水>
処理する排水として、フッ素原水排水(フッ素濃度:1,000ppm)を用いた。
【0027】
<一次凝集>
次に、上記排水に、35質量%CaCl
2を4,375ppm、10質量%ポリ塩化アルミニウム(PAC)を350ppm添加し、5質量%NaOHを250ppm添加しながら撹拌した(pH7.5に調整)。この操作により、排水は、ミクロフロックを含む上澄み液と沈殿物に分離した。
【0028】
<水処理剤1の作製>
次に、セルロース類として酢酸セルロース1(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が5:5となるように混合し、混合物を得た。得られた混合物を水処理剤1として使用した。
なお、酢酸セルロース1の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを通過した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0029】
<水浄化処理>
次に、得られた水処理剤1を水に溶かし、0.2質量%水溶液の分散液を作製した。この分散液を、上記ミクロフロックを含む上澄み液と沈殿物からなる排水に対して、撹拌しながら、3mL/分間の速度で滴下した。この際、上記排水中の固形分に対して20ppmになるように水処理剤1を添加した。ここで、「固形分」の測定方法は、排水中のスラリー濃度を水分計にて計測し、逆算することにより、求めることができる。
滴下後、1分間撹拌を維持した後、以下のようにして、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表1に示した。
【0030】
<フッ素(F)濃度の測定>
撹拌停止後2分間後の上澄みをサンプリングし、吸光光度法によるデジタルウオーターアナライザーであるデジタルパックテスト(株式会社 共立理化学研究所製)により、フッ素濃度を測定した。
【0031】
<圧搾後汚泥量の測定>
撹拌停止後、生成した汚泥を漏斗に移して吸引濾過し、脱水汚泥を得た。得られた脱水汚泥を濾布に入れ、端部をクリップで固定した。クリップで固定した濾布の上に板を載せ、濾布の一の面を3.5kgの重りを用い10秒間で3回圧搾した(圧搾面積:40mm×50mm)。濾布の他の面も同じ条件で圧搾した。次に、濾布の一の面を10.3kgの重りを用い10秒間で2回圧搾した。濾布の他の面も同じ条件で圧搾した。その後、圧搾後の汚泥量を測定した。
【0032】
<汚泥含水率>
上記圧搾後汚泥量の測定により圧搾終了後の汚泥の質量Aを求めた。続いて、105℃のオーブンで絶乾状態(水分量0.05%以下)にした汚泥の質量Bを測定した。ここで、水分量の確認には加熱乾燥式水分計(MX−50、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いた。これらより、汚泥に含まれる水分の質量(A−B)を汚泥の質量(A)で除し百分率とすることで、汚泥含水率を求めた。
なお、上記圧搾後汚泥量及び汚泥含水率は精度よく測定することができた。
【0033】
(実施例2)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤2に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表1に示した。
【0034】
<水処理剤2の作製>
水処理剤2は、セルロース類として酢酸セルロース2(粒径355μm超710μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が5:5となるように混合した混合物である。
なお、酢酸セルロース2の粒径が355μm超710μmであるとは、目開き355μmと710μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0035】
(実施例3)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤3に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表1に示した。
【0036】
<水処理剤3の作製>
水処理剤3は、セルロース類として酢酸セルロース3(粒径710μm超1180μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が5:5となるように混合した混合物である。
なお、酢酸セルロース3の粒径が710μm超1180μm以下であるとは、目開き710μmと1180μmのJISZ8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0037】
(実施例4)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤4に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表1に示した。
【0038】
<水処理剤4の作製>
水処理剤4は、セルロース類として酢酸セルロース4(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)151,000、6%粘度(25℃、アセトン)が50×10
−3Pa・s、商品名:L−20、株式会社ダイセル製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が5:5となるように混合した混合物である。
なお、酢酸セルロース4の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0039】
(実施例5)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤5に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表1に示した。
【0040】
<水処理剤5の作製>
水処理剤5は、セルロース類として酢酸セルロース5(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)237,000、6%粘度(25℃、アセトン)が140×10
−3Pa・s、商品名:L−70、株式会社ダイセル製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が5:5となるように混合した混合物である。
なお、酢酸セルロース5の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0041】
(実施例6)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤6に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表2に示した。
【0042】
<水処理剤6の作製>
水処理剤6は、セルロース類として酢酸セルロース6(粒径355μm以下、6%粘度(25℃、アセトン)が275×10
−3Pa・s、商品名:LT−105、株式会社ダイセル製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が5:5となるように混合した混合物である。
なお、酢酸セルロース6の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0043】
(実施例7)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤7に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表2に示した。
【0044】
<水処理剤7の作製>
水処理剤7は、セルロース類として酢酸セルロース7(粒径355μm以下、商品名:三酢酸セルロース、株式会社ダイセル製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が5:5となるように混合した混合物である。
なお、酢酸セルロース7の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0045】
(実施例8)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤8に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表2に示した。
【0046】
<水処理剤8の作製>
水処理剤8は、セルロース類として酢酸セルロース1(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が3.3:6.7となるように混合し、混合物を得た。
なお、酢酸セルロース1の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0047】
(実施例9)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤9に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表2に示した。
【0048】
<水処理剤9の作製>
水処理剤9は、セルロース類として酢酸セルロース1(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が6.7:3.3となるように混合し、混合物を得た。
なお、酢酸セルロース1の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0049】
(実施例10)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤10に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表2に示した。
【0050】
<水処理剤10の作製>
水処理剤10は、セルロース類として酢酸セルロース1(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤B(商品名:PA−331、アクリル酸ナトリウム、栗田工業株式会社製)との質量組成比が5:5となるように混合し、混合物を得た。
なお、酢酸セルロース1の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0051】
(実施例11)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤11に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表3に示した。
【0052】
<水処理剤11の作製>
水処理剤11は、セルロース類として酢酸セルロース1(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が4:6となるように混合し、混合物を得た。
なお、酢酸セルロース1の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0053】
(実施例12)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤12に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表3に示した。
【0054】
<水処理剤12の作製>
水処理剤12は、セルロース類として酢酸セルロース1(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)と、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)との質量組成比が6:4となるように混合し、混合物を得た。
なお、酢酸セルロース1の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0055】
(比較例1)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤13に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表4に示した。
【0056】
<水処理剤13の作製>
水処理剤13は、高分子凝集剤B(商品名:PA−331、アクリル酸ナトリウム、栗田工業株式会社製)からなる。
【0057】
(比較例2)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤14に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表4に示した。
【0058】
<水処理剤14の作製>
水処理剤14は、高分子凝集剤A(商品名:AN926VHM、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体、株式会社エス・エヌ・エフ製)からなる。
【0059】
(比較例3)
実施例1において、水処理剤1を、下記の水処理剤15に代えた以外は、実施例1と同様にして、水浄化処理を行い、「フッ素(F)濃度」、「圧搾後汚泥量」、及び「汚泥含水率」を測定した。結果を表4に示した。
【0060】
<水処理剤15の作製>
水処理剤15は、セルロース類として酢酸セルロース1(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)からなる。
なお、酢酸セルロース1の粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801−1(2006)及びISO3310−1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
以上により、実施例1から12の結果から、本発明の水処理剤は、水浄化性能に優れると共に、汚泥含水率を低減できることが確認できた。