(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レールおよびマクラギ横の道床を掘削して溝部を形成するバックホーが積載可能であると共に、複数の掘削爪によって施工基面やマクラギ下の道床を掘削するアンダーカッターを前記溝部に直線的に降下させ、かつ、前記アンダーカッターの基端側を中心として回動して施工基面やマクラギ下に前記アンダーカッターを移動させ、前記アンダーカッターの複数の掘削爪によって施工基面やマクラギ下の道床を掘削し、道床掘削後は前記アンダーカッターの基端側を中心として回動して前記アンダーカッターをレールおよびマクラギの外に出し、その後、直線状に上昇させて待機させる道床掘削部を有し、
前記道床掘削部は、
エンジンまたはモーター等の原動機が搭載され、その原動機の回転によって前記アンダーカッターの前記複数の掘削爪を駆動して施工基面やマクラギ下の道床を掘削する道床掘削部本体と、
当該道床掘削機に取り付けられ、支持アームを昇降させて当該支持アーム先端に取り付けた前記道床掘削部本体を当該道床掘削機に対し直線的に昇降させる昇降機構部とを有し、
前記道床掘削部本体は、
前記昇降機構部の支持アーム先端に連結される支持アーム側連結部と、
前記アンダーカッターと、
前記アンダーカッターの基端側を支持するアンダーカッター支持部と、
前記支持アーム側連結部に対して前記アンダーカッター支持部および前記アンダーカッターを回動させる回動機構部とを備え、
前記道床掘削部は、当該道床掘削機の左右両側に設けられており、
左右両側に設けられた前記道床掘削部の前記昇降機構部は、それぞれ、
当該道床掘削機に固定された昇降機構部枠体と、
前記道床掘削部本体の支持アーム側連結部に連結され前記道床掘削部本体を支持する前記支持アームと、
前記支持アームの基端側が水平回動軸を介し回動可能に連結され昇降する昇降台と、
前記昇降台に第1ピストン先端が昇降台支持部を介し連結され、前記第1ピストンを押し出したり、引き入れることによって前記昇降台を昇降させる第1シリンダと、
前記第1シリンダに連結され、前記昇降機構部枠体に上下端部が固定された第2ピストンに対し昇降する第2シリンダとを備え、
前記第1シリンダと前記第2シリンダがそれぞれ前記第1ピストンと前記第2ピストンとを押し出したり、引き入れることによって前記道床掘削部本体を昇降させることを特徴とする道床掘削機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載の道床交換機の道床掘削装置では、車両の側面に外側に向かって膨らんだ円弧状のガイドレールを設け、そのガイドレールに沿って上方の待機位置と下方の作業位置の間をアンダーカッターを昇降させるように構成しているため、車両側面からアンダーカッター等の出っ張りが大きくなり、都市部の線路脇まで建物等が近接している線路や、山間部の狭小なトンネル等の狭い場所では使用し難い、という問題がある。
【0005】
また、この特許文献1の従来技術として記載された道床交換機の道床掘削装置では、アンダーカッターをレールに対し平行な状態から直交する方向に回動させて施工基面やマクラギ下の道床を堀削して掻き上げることは開示しているものの、アンダーカッターの上下方向の昇降機構については何ら開示されていない。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、アンダーカッターを省スペースで昇降させて、狭い場所でも道床を堀削したり、移動することができる道床掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る道床掘削機は、レールおよびマクラギ横の道床を掘削して溝部を形成するバックホーが積載可能であると共に、複数の掘削爪によって施工基面やマクラギ下の道床を掘削するアンダーカッターを前記溝部に直線的に降下させ、かつ、前記アンダーカッターの基端側を中心として回動して施工基面やマクラギ下に前記アンダーカッターを移動させ、前記アンダーカッターの複数の掘削爪によって施工基面やマクラギ下の道床を掘削し、道床掘削後は前記アンダーカッターの基端側を中心として回動して前記アンダーカッターをレールおよびマクラギの外に出し、その後、直線状に上昇させて待機させる道床掘削部を有
し、前記道床掘削部は、エンジンまたはモーター等の原動機が搭載され、その原動機の回転によって前記アンダーカッターの前記複数の掘削爪を駆動して施工基面やマクラギ下の道床を掘削する道床掘削部本体と、当該道床掘削機に取り付けられ、支持アームを昇降させて当該支持アーム先端に取り付けた前記道床掘削部本体を当該道床掘削機に対し直線的に昇降させる昇降機構部とを有し、前記道床掘削部本体は、前記昇降機構部の支持アーム先端に連結される支持アーム側連結部と、前記アンダーカッターと、前記アンダーカッターの基端側を支持するアンダーカッター支持部と、前記支持アーム側連結部に対して前記アンダーカッター支持部および前記アンダーカッターを回動させる回動機構部とを備え、前記道床掘削部は、当該道床掘削機の左右両側に設けられており、左右両側に設けられた前記道床掘削部の前記昇降機構部は、それぞれ、当該道床掘削機に固定された昇降機構部枠体と、前記道床掘削部本体の支持アーム側連結部に連結され前記道床掘削部本体を支持する前記支持アームと、前記支持アームの基端側が水平回動軸を介し回動可能に連結され昇降する昇降台と、前記昇降台に第1ピストン先端が昇降台支持部を介し連結され、前記第1ピストンを押し出したり、引き入れることによって前記昇降台を昇降させる第1シリンダと、前記第1シリンダに連結され、前記昇降機構部枠体に上下端部が固定された第2ピストンに対し昇降する第2シリンダとを備え、前記第1シリンダと前記第2シリンダがそれぞれ前記第1ピストンと前記第2ピストンとを押し出したり、引き入れることによって前記道床掘削部本体を昇降させることを特徴とする。
ここ
で、前記第1シリンダと前記第2シリンダとは、当該道床掘削機の進行方向に対して前後に設けられるように構成するとさらに良い。
また、前記昇降機構部の昇降台には、さらに、前記支持アームの中間に設けられた支持アーム中間ピンに第3ピストン先端を連結し、該第3ピストンを押し出したり、引込む第3シリンダと、上端部が前記第3シリンダに連結される一方、下端部が前記昇降台の水平回動軸に回動可能に連結された第3シリンダ支持アームとが設けられ、前記第3シリンダが前記第3ピストンを押し出したり、引き入れることによって前記支持アームを前記昇降台の水平回動軸を中心に回動させて前記アンダーカッターの底面が施工基面に対し任意の角度になるように前記道床掘削部本体を起伏させるように構成するとさらに良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る道床掘削機は、レールおよびマクラギ横の道床を掘削して溝部を形成するバックホーが積載可能であると共に、複数の掘削爪によって施工基面やマクラギ下の道床を掘削するアンダーカッターを前記溝部に直線的に降下させ、かつ、前記アンダーカッターの基端側を中心として回動して施工基面やマクラギ下に前記アンダーカッターを移動させ、前記アンダーカッターの複数の掘削爪によって施工基面やマクラギ下の道床を掘削し、道床掘削後は前記アンダーカッターの基端側を中心として回動して前記アンダーカッターをレールおよびマクラギの外に出し、その後、直線的に上昇させて待機させる道床掘削部を有する。
そのため、本発明に係る道床掘削機によれば、道床を堀削しない場合には、アンダーカッターを直線的に上昇させて待機させることができるので、狭い場所でも道床を堀削したり、移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態の道床掘削機にバックホーを積載した状態を示す側面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の道床掘削機にバックホーを積載した状態を示す平面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の道床掘削機にバックホーを積載した状態を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の道床掘削機における左右両側の道床掘削部を拡大して示す要部拡大平面図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の道床掘削機における左右両側の道床掘削部を拡大して示す要部拡大側面図である。
【
図6】本発明に係る実施形態の道床掘削機における正面視、左側の道床掘削部を最下限まで下げた状態等を拡大して示す要部拡大正面図である。
【
図7】本発明に係る実施形態の道床掘削機における正面視、左側の道床掘削部を最下限まで下げた状態等を拡大して示す要部拡大側面図である。
【
図8】本発明に係る実施形態の道床掘削機における正面視、左側の道床掘削部を最下限まで下げた後、アンダーカッターがレールと直交するように90度回転させ、施工基面やマクラギ下の道床を掘削する状態等を拡大して示す要部拡大正面図である。
【
図9】本発明に係る実施形態の道床掘削機における正面視、左側の道床掘削部を最下限から最大上昇位置まで上昇させた状態を示す要部拡大正面図である。
【
図10】本発明に係る実施形態の道床掘削機における正面視、左側の道床掘削部を最下限から最大上昇位置まで上昇させた状態を示す要部拡大側面図である。
【
図11】本発明に係る実施形態の道床掘削機における正面視、左側の道床掘削部を最大上昇位置にて45度前後起こした状態を示す要部拡大正面図である。
【
図12】本発明に係る実施形態の道床掘削機における正面視、左側の道床掘削部を最大上昇位置にて90度起こした状態を示す要部拡大正面図である。
【
図13】本発明に係る実施形態の道床掘削機にバックホーを積載し、正面視、左側の道床掘削部を最大上昇位置にて90度起こして待機させる一方、右側の道床掘削部で道床掘削作業を行う位置に下ろした状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る道床掘削機の実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
<実施形態の道床掘削機1の構成>
実施形態の道床掘削機1は、
図1〜
図3に示すように、周知のバックホー2を積載してレールR,R上を走行可能な台車であって、道床掘削機1の前方の左右両側にそれぞれ独立して動作可能で施工基面やマクラギ下の道床を掘削する道床掘削部11を備えていると共に、当該道床掘削機1の中央に道床掘削部11によって掘削し、バックホー2のバケット21によって回収した施工基面やマクラギ下の道床を構成する砕石や砂利等を後方へ移動させるベルトコンベア装置12を備えている。
【0012】
そのため、実施形態の道床掘削機1には、
図1〜
図3に示すように、ベルトコンベア装置12の左右両側にはそれぞれバックホー2の左右両側のクローラー22,22が乗るバックホー積載台13,13や、発電機や油圧装置等の動力装置14等が設けられている共に、車輪15,16が設けられている。尚、
図1〜
図3において、17は掘削した砕石や砂利等をベルトコンベア装置12に集めるための漏斗、Mはマクラギである。
【0013】
(バックホー2)
バックホー2は、例えば、
図1〜
図3に示すように、油圧等によってアーム23を昇降させたりあるいは回動させ、さらにはアーム23を曲げたり伸ばして、アーム23先端のバケット21によってマクラギM横にレールR,Rとほぼ平行に道床を掘って道床掘削部11のアンダーカッター11bが挿入可能な溝部を設けたり、施工基面やマクラギ下をアンダーカッター11bによって掘削して掻き出した砕石や砂利等をすくったりするもので、周知のものである。
【0014】
(道床掘削部11)
道床掘削部11は、エンジンまたはモーター等の原動機の回転によってアンダーカッター11bの複数の掘削爪11b1,11b2を駆動して施工基面やマクラギ下の道床を掘削する道床掘削部本体11aと、道床掘削機1の前方に取り付けられ、支持アームを昇降させて当該支持アーム先端に取り付けた道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを当該道床掘削機1に対し直線的に昇降させる昇降機構部11cとを有する。
【0015】
(道床掘削部本体11a)
道床掘削部本体11aは、
図4〜
図12等に示すように、昇降機構部11cの支持アーム先端に連結される支持アーム側連結部11a1と、複数の掘削爪11b1,11b2を駆動するアンダーカッター11bと、アンダーカッター11bを支持するアンダーカッター支持部11a2と、アンダーカッター11b基端側のアンダーカッター首振り軸11a31に設けられた首振り作動片11a32に連結されたアンダーカッター首振り作動用ピストン11a33を押し出したり、引き入れるアンダーカッター首振り作動用シリンダ11a34によってアンダーカッター首振り軸11a31を回転軸として支持アーム側連結部11a1に対してアンダーカッター支持部11a2およびアンダーカッター11b全体を、
図4における矢印方向またはその反対方向に回動させる回動機構部11a3とを備える。つまり、回動機構部11a3は、アンダーカッター11bを
図4に示すようにレールR,Rに対し平行に設定したり、後述する
図6等に示すようにレールR,Rに対し直交するように設定したり、さらにはレールR,Rに対し斜めの角度で交わるように設定することもできる。
【0016】
尚、アンダーカッター支持部11a2は、後述する
図7や
図8等に示すように、回動機構部11a3と連結されたアンダーカッター支持部本体11a21と、上端部がアンダーカッター支持部本体11a21に対して回動可能に連結される一方、下端部がアンダーカッター11bの基端側上面に固定されたアンダーカッター固定部11a22と、アンダーカッター固定部11a22にアンダーカッター傾斜用ピストン11a23先端が連結され、アンダーカッター傾斜用ピストン11a23を押し出したり、引き入れることによってアンダーカッター固定部11a22に固定されたアンダーカッター11b全体をアンダーカッター支持部本体11a21に対し傾斜させるアンダーカッター傾斜用ピストン11a24を有する。
【0017】
(アンダーカッター11b)
アンダーカッター11bは、
図2や
図4等に示すように、レールR,R間の幅やマクラギMの長さよりも長く構成したロングタイプのアンダーカッター本体11b3を有し、斜め上向きの掘削爪11b1や斜め下向きの掘削爪11b2をアンダーカッター本体11b3の外周を移動させて施工基面やマクラギ下の道床を掘削するもので、原動機の回転が伝達される駆動歯車や、その駆動歯車と離されて設置された従動歯車と、所定間隔毎に設けられた複数の掘削爪11b1,11b2がエンドレスに駆動するように駆動歯車と従動歯車との間に掛け渡された掘削爪保持チェーンベルト、駆動歯車と従動歯車との間の間隔を変えて掘削爪保持チェーンベルトのテンションを調整するベルトテンション調整部等を備えている。
【0018】
(昇降機構部11c)
昇降機構部11cは、当該道床掘削機1の左右両側に設けられており、それぞれ左右両側に設けられた道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bをそれぞれ独立し昇降させると共に、アンダーカッター11bのアンダーカッター本体11b3の底面が施工基面やマクラギM下に対し任意の角度になるように後述する
図8〜
図12に示すようにアンダーカッター11b全体を回動させるものである。
【0019】
具体的には、昇降機構部11cは、
図4〜
図12等に示すように、道床掘削部本体11aの支持アーム側連結部11a1に連結され道床掘削部本体11aを支持する支持アーム11c1と、支持アーム11c1の基端側が水平方向に延びる水平回動軸11c21を介し回動可能に連結され、後述する昇降機構部枠体11c6のガイドバー11c61,11c61に案内されて昇降する昇降台11c2と、昇降台11c2に第1ピストン11c31先端が昇降台支持部11c4を介し連結され、油圧の出入等によって第1ピストン11c31を押し出したり、引き入れることによって昇降台11c2を昇降させる第1シリンダ11c3と、第1シリンダ11c3に連結され、昇降機構部枠体11c6に上下端部が固定された第2ピストン11c51に対し油圧の出入等によって昇降する第2シリンダ11c5と、道床掘削機1の先端両側に設けられ、昇降台11c2の昇降を案内する2本のガイドバー11c61.11c61が設けられた昇降機構部枠体11c6とを備え、道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを、第1シリンダ11c3および第2シリンダ11c5の2段階で昇降させるように構成している。
【0020】
ここで、実施形態の道床掘削機1では、
図7や
図10等に示すように、第1シリンダ11c3および第2シリンダ11c5を道床掘削機1の進行方向に対し前後に並べて連結して設けることにより、道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bの昇降距離(昇降長さ)を稼ぐだけでなく、道床掘削機1の両側からの道床掘削部本体11aや昇降機構部11c等のはみ出し長さを小さくすると共に、レールR,R上を走行しながら施工基面やマクラギ下の道床を掘削する際にアンダーカッター11bが道床から受ける反力等を第1シリンダ11c3および第2シリンダ11c5で2分するように構成している。
【0021】
また、昇降機構部11cの昇降台11c2には、後述する
図6〜
図12に示すように、支持アーム11c1の中間に設けられた支持アーム中間ピン11c11に第3ピストン11c71先端を連結し、第3シリンダ11c7を押し出したり、引き入れることによって道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを起伏させる第3シリンダ11c7と、上端部が第3シリンダ11c7に連結される一方、下端部が昇降台11c2の水平回動軸11c21に回動可能に連結された第3シリンダ支持アーム11c8とを備え、道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを起伏させる。
【0022】
<実施形態の道床掘削機1の動作>
次に以上のように構成された実施形態の道床掘削機1における道床掘削部11の動作を説明する。
【0023】
(レールRおよびマクラギM横に溝部の形成)
図6は、実施形態の道床掘削機1における正面視、左側の道床掘削部11を最下限まで下げ、マクラギM下方の道床を掘削する際の状態を拡大して示す要部拡大正面図である。
【0024】
まずは、実施形態の道床掘削機1に積載したバックホー2によって、図示はしないが、アーム23を昇降させたりあるいは回動させ、さらにはアーム23を曲げたり伸ばして、アーム23先端のバケット21によってマクラギM横にレールR,Rとほぼ平行に道床を掘削して、道床掘削部11のアンダーカッター11bが挿入可能な長さで、かつ、マクラギMの底面よりも深い溝部を形成する。その際、左右両側から同時に道床掘削部11のアンダーカッター11bによって施工基面やマクラギM下の道床を掘削する場合には、レールR,Rの左右両側にそれぞれ溝部を形成する一方、左右いずれか一方の道床掘削部11のアンダーカッター11bのみ使用して道床を掘削する場合には、掘削する側にのみ溝部を形成する。尚、左右両側から同時に施工基面やマクラギM下の道床を掘削する場合は、左右両側のアンダーカッター11bが短いショートタイプの場合であり、左右いずれか一方側から施工基面やマクラギMの道床を掘削する場合は、アンダーカッター11bが長いロングタイプの場合である。
【0025】
(アンダーカッター11bによる施工基面やマクラギ下の道床を掘削)
次に、実施形態の道床掘削機1は、
図6や
図7に示すように昇降機構部11cによって道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを降下して、上述のようにバックホー2によって形成した溝部にアンダーカッター11bを挿入する。尚、
図6では、溝部は図示を省略しており、
図7では溝部だけでなく、レールRやマクラギMも省略して図示している。
【0026】
次に、実施形態の道床掘削機1では、道床掘削部本体11aの原動機をオンさせ、アンダーカッター11bの掘削爪保持チェーンベルト(図示せず。)を回転させて複数の掘削爪11b1,11b2も回転移動させる共に、
図6および
図7に示す状態では、
図4などに示すようにアンダーカッター11bの長手方向はレールR,Rの長手方向とほぼ平行であるため、回動機構部11a3によってアンダーカッター11bが
図8や
図4等に示すようにレールR,Rと直交するよう
図4に示す矢印方向に回動して、施工基面やマクラギM下方の道床を掘削してレールR,R横に掻き出しながらレールR,R上を走行する。
【0027】
その際、必要あれば、アンダーカッター支持部11a2は、アンダーカッター傾斜用ピストン11a24を作動させてアンダーカッター傾斜用ピストン11a23を押し出したり、引き入れることによってアンダーカッター固定部11a22に固定されたアンダーカッター11b全体をアンダーカッター支持部本体11a21に対し傾斜させ、施工基面やマクラギMに対する角度を調整しながら施工基面やマクラギM下方の道床を掘削して、砕石や砂利等を横へ掻き出すようにする。
【0028】
(次の道床掘削区間へ移動)
そして、ある区間の道床の掘削が完了して、次の道床掘削区間へ移動する場合、道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを上方へ移動させてから道床掘削機1は移動する必要がある。
【0029】
そのため、実施形態の道床掘削機1では、まずは、アンダーカッター11bがレールR,Rに対し直交している
図8に示す状態から、アンダーカッター11bがレールR,Rに対し平行になる
図6および
図7に示す状態になるように、回動機構部11a3によってアンダーカッター支持部11a2およびアンダーカッター11bを、
図4に示す矢印方向とは反対方向にほぼ90度回動させ、アンダーカッター11bをレールR,RやマクラギM下方から外に出す。
【0030】
次に、昇降機構部11cは、
図9および
図10に示すように道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを上方へ移動させる。
【0031】
具体的には、昇降機構部11cは、第1ピストン11c31を油圧等の出入等によって第1シリンダ11c3内に引込むことによって昇降台11c2を昇降させると共に、第1シリンダ11c3に連結された第2シリンダ11c5を、コ字状の昇降機構部枠体11c6に上下端部が固定された第2ピストン11c51に対し上昇させて、
図9および
図10に示すように道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを昇降させる。
【0032】
次に、昇降機構部11cの昇降台11c2には、昇降させた道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを待機位置に移動させるため、第3シリンダ11c7を作動させ、第3シリンダ11c7内に第3ピストン11c71を引込むことによって、
図11に示すように昇降台11c2の水平回動軸11c21を中心に支持アーム11c1を回動させて、最終的には
図12に示すようにアンダーカッター11bのアンダーカッター本体11b3の底面が鉛直方向と平行になるまで支持アーム11c1を引き起こす。
【0033】
すると、
図12に示すようにアンダーカッター11bのアンダーカッター本体11b3の底面が鉛直方向と平行になった際の道床掘削機1の左端部からアンダーカッター11bの突出長さ、すなわちその際の道床掘削機1の左端部からアンダーカッター11bのアンダーカッター本体11b3の底面までの長さW2は、
図9に示す昇降時の道床掘削機1の左端部からアンダーカッター11bの外側の掘削爪11b1,11b2先端までの突出長さW1よりも小さくすることができる。
【0034】
尚、実施形態の道床掘削機1では、
図1〜
図3に示すように、道床掘削機1の前方の左右両側にそれぞれ独立して動作可能で施工基面やマクラギ下の道床を掘削する道床掘削部11を備えているため、例えば、
図13に示すように、正面視、左側の道床掘削部11の道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bは上昇させて待機させる一方、正面視、右側の道床掘削部11の道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bは下降させてマクラギM下方の道床を掘削することができる。また、これとは反対に正面視、右側の道床掘削部11の道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bは上昇させて待機させる一方、正面視、左側の道床掘削部11の道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bは下降させてマクラギM下方の道床を掘削することもできる。
【0035】
<実施形態の道床掘削機1の効果>
以上説明したように、実施形態の道床掘削機1は、バックホー2が搭載可能であると共に、複数の掘削爪11b1,11b2によって道床を掘削するアンダーカッター11bを上方からマクラギM横の道床に形成された溝部に直線的に降下させ、かつ、そのアンダーカッター11bの基端側を中心として回動して前記アンダーカッター11bを施工基面やマクラギM下に移動させ、施工基面やマクラギM下の道床を掘削し、道床掘削後はアンダーカッター11bの基端側を中心として回動してアンダーカッター11bをマクラギMの外に出し直線的に上昇させて待機させる道床掘削部11を設けたため、アンダーカッターを省スペースで昇降させることが可能となり、都市部の線路脇まで建物等が近接している線路や、山間部の狭小なトンネル等の狭い場所においても道床を堀削したり、移動することができる。
【0036】
特に、実施形態の道床掘削機1では、道床掘削部11は、当該道床掘削機1の左右両側に設けられており、左右両側に設けられた道床掘削部11の昇降機構部11cは、それぞれ、当該道床掘削機1に固定された昇降機構部枠体11c6と、道床掘削部本体11aの支持アーム側連結部11a1に連結され道床掘削部本体11aを支持する支持アーム11cと、支持アーム11cの基端側が水平回動軸11c21を介し回動可能に連結され昇降する昇降台11c2と、昇降台11c2に第1ピストン11c31先端が昇降台支持部11c4を介し連結され、第1ピストン11c31を押し出したり、引き入れることによって昇降台11c2を昇降させる第1シリンダ11c3と、第1シリンダ11c3に連結され、昇降機構部枠体11c6に上下端部が固定された第2ピストン11c51に対し昇降する第2シリンダ11c5とを備え、第1シリンダ11c3と第2シリンダ11c5がそれぞれ第1ピストン11c31と第2ピストン11c51とを押し出したり、引き入れることによって道床掘削部本体11aを2段階で昇降させるように構成したため、重量の重い道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bでも必要な高さまで確実に昇降させることができる。
【0037】
また、実施形態の道床掘削機1では、
図7等に示すように、道床掘削部本体11aを2段階で昇降させる第1シリンダ11c3および第2シリンダ11c5を道床掘削機1の進行方向に対し前後に並べて連結して設けているため、道床掘削機1の両側からの道床掘削部本体11aや昇降機構部11c等のはみ出し長さを小さくできると同時に、アンダーカッター11bをレールR,Rに対し直交する方向に位置させてレールR,R上を走行しながら施工基面やマクラギ下の道床を掘削する際にアンダーカッター11bが道床から受ける反力等を第1シリンダ11c3および第2シリンダ11c5で2分することも可能となり、道床をより確実に掘削することができる。
【0038】
また、実施形態の道床掘削機1では、昇降機構部11cの昇降台11c2には、さらに、支持アーム11cの中間に設けられた支持アーム中間ピン11c11に第3ピストン11c71先端を連結し、当該第3ピストン11c71を押し出したり、引込む第3シリンダ11c7と、上端部が第3シリンダ11c7に連結される一方、下端部が昇降台11c2の水平回動軸11c21に回動可能に連結された第3シリンダ支持アーム11c8とが設けられ、第3シリンダ11c7が第3ピストン11c71を押し出したり、引き入れることによって支持アーム11cを昇降台11c2の水平回動軸11c21を中心に回動させてアンダーカッター11bの底面が施工基面に対し任意の角度になるように道床掘削部本体11aを起伏させるように構成したため、重量の重い道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bでも、
図12に示すようにアンダーカッター本体11b3の底面が鉛直方向と平行になるまで支持アーム11c1を引き起こすことができる。
【0039】
そのため、実施形態の道床掘削機1によれば、
図12に示すようにアンダーカッター11bのアンダーカッター本体11b3の底面が鉛直方向と平行になった際の道床掘削機1の左端部からアンダーカッター11bの突出長さW2は、
図9に示す昇降時の道床掘削機1の左端部からアンダーカッター11bの外側の掘削爪11b1,11b2先端までの突出長さW1よりも小さくすることができるので、道床掘削部本体11aおよびアンダーカッター11bを上昇させることによって、都市部の線路脇まで建物等が近接している線路や、山間部の狭小なトンネル等の狭い場所においても道床を堀削したり、より確実に移動することができる。
【0040】
また、実施形態の道床掘削機1では、アンダーカッター11bは、原動機の回転が伝達される駆動歯車と、その駆動歯車と離されて設置された従動歯車と、所定間隔毎に設けられた複数の掘削爪11b1,11b2がエンドレスに駆動するように駆動歯車と従動歯車との間に掛け渡された掘削爪保持チェーンベルトと、駆動歯車と従動歯車との間の間隔を変えて掘削爪保持チェーンベルトのテンションを調整するベルトテンション調整部とを有するので、レールRやマクラギMの下等の施工基面やマクラギ下の道床を常時安定した状態で掘削することができる。
【0041】
尚、上記実施形態の道床掘削機1では、道床掘削機1の左右両側にそれぞれ道床掘削部11を設けて説明したが、本発明では、これに限らず、左右いずれか一方側に道床掘削部11を設けても良い。また、上記実施形態の道床掘削機1では、左右両側の道床掘削部11,11それぞれに設けるアンダーカッター11b,11bの長さを同じ長さのもので説明したが、本発明ではこれに限らず、左右でアンダーカッター11b,11bの長さが異なるものを使用しても勿論良い。また、左右両側に道床掘削部11,11を設ける場合、
図13に示すように片側の道床掘削部11のみ下ろしてそのアンダーカッター11bで道床を堀削しても良いし、
図3に示すように左右両側の道床掘削部11,11を下ろし、両側のアンダーカッター11b,11b同士が干渉しないよう両側の回動機構部11a3,11a3によってアンダーカッター11b,11bを適当な角度に設定して左右両側から道床を堀削しても良い。また、上述したように両側のアンダーカッター11b,11bは、その長手方向の長さがマクラギMの長手方向の長さより長いロングタイプのアンダーカッターを使用しても良いし、その長手方向の長さがマクラギMの長手方向の長さの半分程度のショートタイプのアンダーカッターを使用しても勿論良い。道床掘削機1の左右両側の道床掘削部11でそれぞれショートタイプのアンダーカッターを使用した場合は、左右両側の道床掘削部11のアンダーカッター11b,11bで同時に左右両側から道床を堀削することもできる。