(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722970
(24)【登録日】2020年6月25日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】感圧接着剤組成物および圧着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 139/02 20060101AFI20200706BHJP
C09J 201/02 20060101ALI20200706BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20200706BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20200706BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20200706BHJP
B42D 15/02 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
C09J139/02
C09J201/02
C09J11/04
C09J201/00
C09J7/38
B42D15/02 501B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-62847(P2016-62847)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-171870(P2017-171870A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】507369811
【氏名又は名称】特種東海製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩間 大輔
【審査官】
横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−245273(JP,A)
【文献】
特開2001−192626(JP,A)
【文献】
特開平10−000879(JP,A)
【文献】
特開2003−105297(JP,A)
【文献】
特開2005−162939(JP,A)
【文献】
紙パ技協誌,1988年,第42巻第10号,923〜932ページ
【文献】
東ソー研究・技術報告,2001年,第45巻,65-69ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00−201/10
B42D15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤基剤、カチオン性ポリマー及び微粒子シリカを含み、該カチオン性ポリマーの全てまたは一部がポリアリルアミンであって、
前記微粒子シリカが、前記接着剤基剤100部に対して質量比で20〜120部含まれており、
前記ポリアリルアミンの配合量が、前記接着剤基剤100部に対して質量比で1〜50部であり、
前記微粒子シリカのBET比表面積が200m2/g以上の感圧接着剤組成物。
【請求項2】
前記微粒子シリカが、前記接着剤基剤100部に対して質量比で30〜120部含まれる、請求項1記載の感圧接着剤組成物。
【請求項3】
感圧接着剤層を有する圧着シートであって、該感圧接着剤層が請求項1または2のいずれかに記載の感圧接着剤組成物からなる圧着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧接着機能を有する感圧接着剤組成物およびそれを用いた記録用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
個人情報や親展情報を記録した圧着ハガキは、その機密性や輸送コストの観点から広く一般的に使用されている。その製造方法は、圧力により接着可能な感圧接着剤を表面に設けた紙を支持体として、これに親展情報を記録した後に二つ折りまたは三つ折り等に折りたたんで加圧ロール間に通して親展面を接着し、ハガキ大に断裁する。圧着ハガキを受け取った者は接着された親展面を剥離することで記録された内容を読み取ることができ、剥離後は通常の方法では再接着できない点が圧着シートの特徴であり、記録された情報の秘匿性を高めている。同様の特徴として、圧着シートはブラインドラベルや配送伝票等の複数の用途で使用される。
【0003】
この圧着シートで使用される感圧接着剤の主成分は、一般に天然ゴム系粘着剤を主成分として含むものである。天然ゴム系粘着剤を主成分として含む感圧接着剤は、空気中に放置されたり、加熱されたり、紫外線を照射されたりすると劣化により接着力が低下するという問題がある。前記劣化により圧着シートの接着力が一定以上低くなると圧着不良が発生し、結果、郵送中に圧着シートが自然に剥離するなどして親展情報が第三者の目に触れてしまうという、所謂、開封事故に繋がるおそれがある。
【0004】
開封事故を防ぐため、感圧接着剤自体の劣化を防止する様々な手段が講じられている。例えば特許文献1では、接着剤としてTg.が−25〜−45℃のエチレン− 酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤を使用することで耐劣化性を向上させている。また特許文献2では劣化防止剤を感圧接着剤に配合することで耐劣化性を向上している。
【0005】
しかしながら感圧接着剤自体の劣化を完全に防止する技術は確立されておらず、したがって開封事故はいまだに起こり得るというのが実状である。
【0006】
開封事故を確実に防ぐには、劣化した圧着シートを使用前に予め除いておけばよい。ただし圧着シートの劣化の程度を知るには、そのシートを実際に圧着し十分な接着力が発現するかを確かめるしか方法がなく、非常に煩雑であった。そのため、圧着シートの劣化の程度を簡便に評価する手段が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4780740号公報
【特許文献2】特開2004−216668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、劣化の程度を簡便な方法で確認可能な圧着シートを提供することを目的とし、具体的には、紙面の色で劣化の程度を目視評価できる圧着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述した問題点を解決すべく鋭意研究した結果、感圧接着剤層にポリアリルアミンと、BET比表面積が200m
2/g以上の微粒子充填剤を配合することで、圧着シートが劣化した際に、従来に比べ顕著に変色することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤組成物を支持体の少なくとも片面に感圧接着剤層として有する圧着シートに関するものであって、該感圧接着剤組成物は接着剤基剤、カチオン性ポリマー及び微粒子充填剤を含み、該カチオン性ポリマーの全てまたは一部がポリアリルアミンであり、該微粒子充填剤はBET比表面積が200m
2/g以上である。
【0011】
前記ポリアリルアミンの配合量が、質量比で前記接着剤基剤100部に対して1〜50部であることが望ましい。
【0012】
前記微粒子充填剤が、前記接着剤基剤100部に対して質量比で30〜120部含まれることが望ましい。
【0013】
また、本発明は、前記感圧接着剤組成物からなる感圧接着剤層を有する圧着シートにも関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の感圧接着剤組成物を感圧接着剤層に用いた圧着シートを採用すると、感圧接着剤が劣化した場合にシートの色味が顕著に変色するため、接着力が低下していることを容易に把握することができ、開封事故を未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、カチオン性ポリマー、及び微粒子充填剤からなる。該感圧接着剤組成物を感圧接着剤層として用いた圧着シートは、特定の加圧条件により接着し、且つ、必要時に剥離可能となる機能を持つ。
【0016】
前記接着剤基剤は接着剤主剤と補助接着剤とからなる。接着剤主剤としては、水性高分子である天然ゴムラテックスやMGラテックスと呼ばれるメタクリル酸メチルグラフト重合天然ゴム系ラテックス、アクリル系ラテックス等の公知のものを1種類または2種類以上組み合わせて使用することが望ましい。これらは変性されているものも使用できる。
【0017】
前記補助接着剤は接着剤主剤の接着力と剥離性を調整する機能があり、例えばSBRラテックスとその変性物やNBRラテックス、ウレタンエマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリビニルアルコールとその変性物やポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、スターチ等の各種デンプン、変性デンプン、グァーガム、アラビアガム、ゼラチン、カゼイン、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ウレタン、ポリアクリルアミド、デキストリン等の慣用されているものが適宜使用できる。
【0018】
接着剤主剤と補助接着剤との配合割合は、感圧接着剤層の支持体への定着性や、感圧接着剤層の接着力や凝集力、剥離性とのバランスに影響するため適度に調整することが好ましく、例えば接着剤主剤と補助接着剤とは質量比で97:3〜50:50であることが好ましい。補助接着剤が3質量部未満の場合は、感圧接着剤層の支持体への定着性が低下し、逆に補助接着剤が50質量部を超える場合は、重ね合わせ面における感圧接着剤層同士の接着力が低下し適切な剥離性能が得られないおそれがある。
【0019】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーには、ポリアリルアミンが含まれていることが必須である。ポリアリルアミンは、下記一般式(1)の繰り返し単位を有する重合物または下記一般式(1)の繰り返し単位及び他の繰り返し単位を有する共重合物、例えば下記一般式(2)である。
【0020】
【化1】
(式中、aは正の整数である。)
【0021】
【化2】
(式中、a、bはそれぞれ独立した正の整数である。)
【0022】
前記ポリアリルアミンは、質量比で前記接着剤基剤100部に対して1〜50部配合することが好ましい。1部未満であると圧着シートが劣化しても目視可能なほどまでは変色が起きず、また50部を超えると接着剤基剤の接着性能が阻害され、圧着シートとしての十分な接着力が得られないおそれがある。
【0023】
カチオン性ポリマーとして、前記ポリアリルアミンに加え、他のカチオン性ポリマーを併用することもできる。例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ビニルアミン共重合物、ビニルアミジン共重合物、ジシアンジアミド、ジメチル・ジアリル・アンモニウムクロライドを主成分とする化合物など、水に溶解したとき離解してカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる微粒子充填剤としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料などが挙げられる。上記の中でも特に合成非晶質シリカを用いることがより好ましい。
【0025】
本発明では、前記微粒子充填剤として、BET比表面積が200m
2/g以上の多孔性無機顔料を用いる。BET比表面積が200m
2/g未満ではシートの変色が十分に起こらないことが確認されている。詳細なメカニズムは不明だが、光や空気によって変色の起きる場が多孔質無機顔料の比表面積に依存しており、BET比表面積が200m
2/gを下回ると変色速度が極端に低下するためだと考えられる。前記多孔性無機顔料は、例えば、酸化チタン、ゼオライト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、などが挙げられる。
【0026】
前記多孔性無機顔料は質量比で前記接着剤基剤100部に対して30〜120部含まれることが望ましい。配合比が30部未満であると、シートの変色が起こらないためである。120部を超えると、感圧接着剤層の被膜強度が下がり、剥離時に層の脱落が発生するおそれがあるので好ましくない。
【0027】
本発明の感圧接着剤組成物には、カチオンポリマーとしてポリアリルアミンが、また微粒子充填剤として200m
2/g以上の多孔性無機顔料が、それぞれ感圧接着剤に配合されていることが必須である。感圧接着剤に含まれる天然ゴム成分の化合物であるポリイソプレンが空気暴露や加熱、紫外線照射等によって劣化、すなわち化学構造が変化することで、接着力の低下と変色が起こることは公知の事実だが、本発明者は前記カチオンポリマーと前記微粒子充填剤が配合されることで変色がより顕著に発現することを見出した。これにより、感圧シートが劣化しているか否かを目視で判別することが可能になる。
【0028】
本発明の感圧接着剤組成物には、圧着シートのブロッキング防止目的の粒子を配合することが好ましい。この粒子は、平均粒子径10μm以上であることがより好ましい。当該粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、酸化チタン、ゼオライト、酸化亜鉛、活性白土、ガラス粉末、炭酸カルシウム、スターチ、ポリエチレン等が挙げられる。粒子の配合量は、接着剤基剤100部あたり50〜120部であることが好ましい。
【0029】
さらに、感圧接着剤層には、本発明の性能を損なわない範囲で、界面活性剤、分散剤、pH調整剤、消泡剤、粘着剤、離型剤、染料、顔料、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤等の助剤を適宜添加することができる。
【0030】
本発明の圧着シートは感圧接着剤層を有する。当該感圧接着剤層は、前記感圧接着剤組成物からなり、例えば、支持体に塗工、含浸、印刷等の通常の方法により設けられる。感圧接着剤層は、支持体の少なくとも片面に設けられ、両面に設けてもよい。
【0031】
本発明の圧着シートに使用する支持体は、紙、不織布、織布、合成紙、あるいはポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの合成フィルム、金属フィルム等を単独または組み合わせて用いることができる。支持体として合成フィルムや金属フィルムを用いる場合には、支持体の表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
【0032】
前記支持体として使用する紙を製造する際に使用可能な木材パルプは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプを単独あるいは混合したものを用いる。原料の木材は、特に異物を多く含まないような産地や樹種を選定することが好ましい。これら木材パルプを主体とし、必要に応じてこれに麻、竹、藁、ケナフ、楮、三椏や木綿等の非木材パルプ、カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ、レーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリエステル等の合成繊維や化学繊維、またはミクロフィブリル化パルプを単独で、あるいは混合して併用することができる。
【0033】
また、本発明の性能を損なわない範囲で、上記した木材パルプを主体とした製紙用繊維に対して、必要に応じて接着剤、防黴剤、各種の製紙用填料、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、着色剤、定着剤、歩留まり向上剤、スライムコントロール剤等を添加し、次いで公知・既存の長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、長網と円網のコンビネーション抄紙機等の各種抄紙機で抄造して得ることができる。
【0034】
前記支持体を製造する際に、木材パルプの叩解を進めると紙層間強度が増す効果が期待できる。叩解度は200〜650mlc.s.f.であることが好ましい。
【0035】
支持体へ感圧接着剤層を設ける方法は、特に限定はないが、バーコーター、ブレードコーター、ダイコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の各種塗工装置を用いて塗工してもよいし、インクジェット方式やグラビア等の印刷によって設けてもよい。感圧接着剤層は支持体の全面に設けてもよいし、部分的に設けてもよい。また、支持体の片面でも両面に設けてもよい。
【0036】
前記塗工または印刷の際に、感圧接着剤層を形成するための感圧接着剤組成物は水または水系の溶媒を用いることが好ましい。また、その性能を損なわない範囲で、各種助剤を混合してもよい。
【0037】
支持体へ設ける感圧接着剤層の塗工量は、乾燥重量で3〜30g/m
2が好ましい。3g/m
2を下回ると感圧シートの変色が不十分である。また30g/m
2を上回ると、僅かな圧でも接着するためにブロッキングが発生するため、圧着シートとしての運用が困難となる。
【0038】
なお、本発明の性能を損なわない範囲で、支持体には感圧接着剤層以外の層を設けることも可能である。
【0039】
本発明の圧着シートは、抄紙の途中や感圧接着剤層を設けた後にカレンダー処理、スーパーカレンダー処理、ソフトニップカレンダー処理、エンボス等の加工を行っても構わない。加工処理により、圧着シートの表面性や厚さを調整することができる。
【0040】
本発明の圧着シートは、坪量が80〜150g/m
2であることが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0042】
[圧着シートの接着力評価]
圧着シートを幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ、シーラー(商品名「Pressle Duo」、トッパン・フォームズ社製)を使用して圧着した。圧着時のシールギャップ値は250μmとした。これを接着剤の剥離接着強さ試験方法JIS−K6854に準じて、万能試験機(商品名「テンシロン」、オリエンテック社製)を用いてT型剥離試験を行い、接着力を測定した。
【0043】
[圧着シートの劣化]
幅105mm、長さ150mmの圧着シートを蛍光灯下で空気に12〜48時間暴露し、前記「圧着シートの接着力評価」で測定した際の接着力が前記暴露処理前の約30%になるまで感圧接着剤を劣化させた。
【0044】
[圧着シートの変色評価(色差)]
圧着シートの色味をJIS−P8150に準じ、分光光度計(商品名「ELREPHO」、L&W社製)を用いて、劣化前後の試料のL*、a*、b*の値をそれぞれ測定し、色差ΔE*の値を算出することで変色の程度を評価した。
[圧着シートの変色評価(目視)]
圧着シートの色味を目視で確認し、下記のように評価した。
++:顕著に変色している。
+ :かろうじて変色が分かる。
− :変色していない。
【0045】
[実施例1]
接着剤基剤として、天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させた天然ゴム系ラテックス100質量部に対して、カチオン性ポリマーとしてポリアリルアミン(商品名「PAA−01」、ニットーボーメディカル社製)を10質量部、微粒子充填剤としてBET比表面積205m
2/gの多孔性合成非晶質シリカ(商品名「NIPGEL AY−460」、東ソー・シリカ社製)50質量部を調製した。これを上質紙100g/m
2からなる支持体の片面に乾燥重量で8g/m
2ずつ塗工して、圧着シートを得た。
【0046】
[実施例2]
カチオン性ポリマーの配合量を0.1質量部配合した以外は実施例1と同様に圧着シートを得た。
【0047】
[実施例3]
微粒子充填剤の配合量を20質量部とした以外は実施例1と同様に圧着シートを得た。
【0048】
[比較例1]
カチオン性ポリマーをポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(商品名「ユニセンスFPA100L」、センカ社製)へ変更した以外は実施例1と同様に圧着シートを得た。
【0049】
[比較例2]
微粒子充填剤をBET比表面積140m
2/gの多孔性合成非晶質シリカ(商品名「NIPSIL E−200」、東ソー・シリカ社製)へ変更した以外は実施例1と同様に圧着シートを得た。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例及び比較例で得た圧着シートについて、変色評価を行った結果、実施例1〜3の圧着シートは接着力残存率が30%に低下するまで劣化すると、目視で判別できるほど変色していた。一方、比較例1、2の圧着シートは、劣化しても目視で判別できるほどは変色していなかった。
【0052】
以上の結果から、本発明の感圧接着剤組成物を用いた圧着シートは、感圧接着剤が劣化し接着力が低下すると、紙面が顕著に変色するため、劣化の有無を目視で簡便に判別できる。