(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6722993
(24)【登録日】2020年6月25日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】体外型心臓医療器具
(51)【国際特許分類】
A61N 1/378 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
A61N1/378
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-196981(P2015-196981)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-77889(P2016-77889A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2018年6月11日
(31)【優先権主張番号】10 2014 014 999.4
(32)【優先日】2014年10月9日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515275340
【氏名又は名称】オスピカ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Osypka AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルディナント ケルル
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン マドザー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ボッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト グレマー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス トロガー
【審査官】
木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5637417(US,A)
【文献】
実開平4−74850(JP,U)
【文献】
米国特許第5413499(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0241187(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 ― 1/44
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの筐体(1)を備える体外型心臓医療器具であって、
前記筐体(1)は、1つ又は複数の電池ケース接続端子(2)を有する少なくとも1つの電池ケースを有し、該電池ケースは、少なくとも1つの電池(5)を収容するための収容部(4)を有する少なくとも1つのトレイ(3)を有し、前記電池ケース接続端子(2)の少なくとも一部は、前記トレイ(3)の外に設けられており、
前記トレイ(3)は、スライド移動可能なスライダ(6)によって隠されたロック機構(7)によりロックされ、該ロック機構(7)を解除操作したときのみ開くことができるように構成され、
前記スライダ(6)は、該スライダ(6)が手動で開かれるまで上記ロック機構(7)を解除操作できないように該ロック機構(7)を覆っている
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項2】
請求項1に記載の体外型心臓医療器具において、
少なくとも1つ又はすべての前記電池ケース接続端子(2)は、前記筐体(1)に固定され、前記電池ケース接続端子(2)は、前記トレイ(3)内又は前記トレイ(3)に設けられない
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の体外型心臓医療器具において、
少なくとも1つ又はすべての前記電池ケース接続端子(2)は、前記筐体(1)において、前記トレイ(3)が完全に挿入されたときに前記トレイ(3)に収容される電池(5)の挿入方向前端が到達する位置に設けられる
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の体外型心臓医療器具において、
少なくとも1つ又はすべての前記電池ケース接続端子(2)は、前記トレイ(3)が開状態のときもユーザによる接触を回避できるように、前記筐体(1)の少なくとも1つの壁部に隠される
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項5】
請求項4に記載の体外型心臓医療器具において、
前記筐体(1)の少なくとも1つの壁部は、該筐体(1)の後壁(11)のみである、
又は該後壁(11)を含む
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の体外型心臓医療器具において、
隣接する又は上下に並ぶ2つ以上の電池ケース接続端子(2)が設けられる
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の体外型心臓医療器具において、
前記トレイ(3)の収容部(4)は、前記トレイ(3)の開状態において、前記筐体(1)の下部に向かって開口している
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の体外型心臓医療器具において、
前記トレイ(3)の収容部(4)は、前記トレイ(3)が挿入された状態のとき、完全に前記筐体(1)の壁部に囲まれている
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の体外型心臓医療器具において、
前記スライダ(6)は、バネにより起点に保持され、該起点において前記スライダ(6)は、前記ロック機構(7)を隠し、
前記スライダ(6)は、バネの付勢力に抗して移動させることで前記ロック機構(7)を露出可能に構成されている
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の体外型心臓医療器具において、
前記トレイ(3)の落下を防ぐ手段を備える
ことを特徴とする体外型心臓医療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの筐体を備える体外型ペースメーカ、体外型除細動器、又は除細動機能を有する体外型ペースメーカのような体外型心臓医療器具に関し、この体外型心臓医療器具の筐体は、1つ又は複数の電池ケース接続端子を有する少なくとも1つの電池ケースを備え、この電池ケースは、少なくとも1つの電池を収容するための収容部を有する少なくとも1つのトレイを備える。
【背景技術】
【0002】
この技術分野における公知の体外型ペースメーカでは、電池ケースはトレイ状であり、このトレイは筐体に対し出し入れ可能となっている。さらに、電池を収容するための簡単な電池ケースを有する体外型ペースメーカが知られている。
【0003】
なお、体外型ペースメーカにおけるロックとスライダに関しては、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013008314号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ペースメーカ機能と除細動機能を併用する際、電池ケース接続端子又は電池ケース接続端子に電気的に接続される電池に接触することにより、特定の電圧(例えば、400V)によって、ユーザが電気ショックにより健康を脅かされる危険な状態に陥りかねない。
【0006】
それを防ぐため、医療スタッフにより、電池ケース接続端子又はそれに接続される電池への接触を回避する必要がある。さもなければ、場合によっては(例えば、短ESDパルスによる)不要な電流が心臓ワイヤ及び患者の心臓を流れ、心臓の活動に影響を与える可能性がある(患者への高漏電のおそれ)。これは、医療スタッフと患者の心臓との間に、電池又は電池ケース接続端子、装置内の回路、装置コネクタ及び金属心臓ワイヤを介した、直接的な電気的接続が起こりうるためである。
【0007】
本発明の課題は、ユーザ、つまり患者の危険性を低減する体外型心臓医療器具(体外型ペースメーカ及び/又は体外型除細動器、好ましくは、除細動機能を有する体外型ペースメーカ)をさらに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する体外型心臓医療器具(体外型ペースメーカ及び/又は体外型除細動器)により解決される。これによると、電池ケース接続端子は、トレイ内に設けられていない、又はすべてがトレイ内に設けられているわけではない、言い換えれば、電池ケース接続端子の少なくとも一部がトレイ外に設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成による効果として、取り出されるトレイには、電池ケース接続端子が、少なくともすべての電池ケース接続端子が設けられているわけではないため、不本意な接触が起こらない。更なる効果としては、収容部に収容された電池及び開状態のトレイにおいて、電池自体は、電池ケース接続端子と接続されない、又は少なくともすべての電池ケース接続端子と接続されていないため、ユーザが接触しても悪影響は生じない。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つ若しくは複数又はすべての電池ケース接続端子は、筐体に固定される。好ましくは、電池ケース接続端子は、トレイ内又はトレイに設けられないことを特徴とする。
【0011】
これにより、電池をトレイの収容部に安全に収容できる。すなわち、トレイが少なくとも部分的、好ましくは、完全に挿入されて初めて、装置と電池とが電気的に接続される。トレイが完全に展開されて電池が収容される際、電池が電池ケース接続端子に接続されない、又は少なくとも不完全な状態で接続される。
【0012】
これにより、本発明に係る方法は、IEC60601−1規格(国際電気標準会議の医用電気機器の安全規格)の要件を満たす。
【0013】
さらに好ましくは、少なくとも1つ又はすべての電池ケース接続端子は、筐体において、トレイ又は、トレイに収容される電池の挿入方向前端が、トレイが少なくとも半分、特に好ましくは完全に挿入されたときに到達する位置に設けられることを特徴とする。
【0014】
このように少なくとも1つ、好ましくはすべての電池ケース接続端子が設けられる場合、特に好適な構成としては、収容される電池又はトレイが挿入方向前端まで完全に挿入された状態で初めて電池ケース接続端子の位置に到達する。この際、電池は、トレイが完全に挿入された状態で初めてすべての電池ケース接続端子と導通接続される。
【0015】
本発明のさらに好ましい構成としては、少なくとも1つ又はすべての電池ケース接続端子は、トレイが開状態のときのユーザの電池ケース接続端子への接触を回避できるよう、トレイが開状態のときに筐体の少なくとも1つの壁部に被覆されることを特徴とする。このような直接的な接触を回避又は抑制する壁部は、例えば筐体の後壁である。基本的に、そのような直接的な接触を回避又は少なくとも抑制するのは筐体の他の壁部でもよく、例えば側壁などでもよい。
【0016】
本発明の更なる構成としては、トレイの収容部は、筐体の下部に向かって開口していてもよい。電池を収容する際、装置の前側を下にしてトレイが開かれる。電池は、上から又は例えば横からトレイに収容されてもよい。
【0017】
好ましくは、トレイの収容部が、トレイが挿入された状態で、完全に壁部に囲まれている。これにより、トレイが完全に挿入された状態でのユーザによる電池ケース接続端子及び/又は電池との接触が確実に回避できる。
【0018】
本発明の好ましい構成としては、トレイの落下が防止できる、少なくとも1つのストッパ又は同様のものが設けられ、トレイが特定の位置を越えて出るのを防ぐことができる。
【0019】
基本的には、ロック機構が設けられ、ロック機構の作動後にのみ、つまり、ロック解除後に開くようにトレイと協働する。
【0020】
その他の実施形態として、ロック機構はスライダにより被覆されていてもよく、ロック機構を露出するにはまず、ユーザによってスライダをスライドされなければならず、それによりロック機構が解除できるようになる。また、前記スライダは、バネにより起点に向かって付勢され、この起点においてスライダは、トレイのロック機構を被覆する。
【0021】
また、スライダは、場合によっては、ロック機構の露出時にバネの付勢によって起点に向かって押し戻されるように可動であるのが望ましい。これによる効果としては、非作動時において、スライダはロック機構を被覆しており、不本意なロック解除が行われない。
【0022】
本発明の更なる詳細や効果について、実施形態を示した以下の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】トレイが閉状態のときの除細動機能を有する体外型ペースメーカを下側から見た斜視図である。
【
図2】トレイが開状態のときの外観を示す
図1相当図である。
【
図3】電池を収容する途中の状態を示す
図2相等図である。
【
図4】電池が完全に収容された状態の外観を示す
図3相当図である。
【
図5】トレイが閉状態のときの除細動機能を有する体外型ペースメーカを、筐体の前壁を外した状態で上側から見た内面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、体外型心臓医療器具としての除細動機能を有する体外型ペースメーカを示しており、装置の駆動に必要な電気回路を収容する筐体1を有する。なお、体外型心臓医療器具としては、除細動機能を有さない体外型ペースメーカでもよいし、体外型除細動器そのものでもよい。
【0025】
筐体1は、それを取り囲む側壁10と、後壁11と、前壁12とからなり、これらの壁部すべてによって筐体1は密閉されている。
【0026】
側壁10のうちの一面と後壁11の一部とにより、空間を形成する開口部10’が構成され、
図1に示すように、この開口部10’は、トレイ3のフロント部3’によって密閉される。
【0027】
フロント部3’の外側において、トレイ3は収容部4を有し、電池5(例えば9Vの電池)を収容する。収容部4は、底面、フロント部3’及び2つの側壁を有する。
図2に示すように、後壁11を上向きにした状態で装置を設置する場合、収容部4は上部に開口する。
【0028】
参照符号4’は、トレイ3における挿入方向前方の壁部を示す。
【0029】
トレイ3の壁部は、いずれも電池ケース接続端子とともに構成されることはない。
【0030】
図3は、電池をトレイ3の収容部4に収容する過程を示しており、
図4は、電池5が完全にトレイ3の収容部4に収容された状態を示す。これらの図に示すように、電池5は、前側の被接続端子が挿入方向前方になるように収容される。
【0031】
図3における収容途中においても、
図4における収容状態においても、電池5は、電池ケース接続端子と接続されない。
【0032】
図5において、固定された電池ケース接続端子を参照符号2で示す。
【0033】
図5に示すように、筐体1には、2つの隣接する電池ケース接続端子2が設けられ、これら電池ケース接続端子2は、トレイ3が完全に挿入された状態で、ここで例示された9Vの電池の挿入方向前方に設けられた2つの被接続端子に接続される。
【0034】
電池ケース接続端子2は、筐体1に固定されており、トレイ3と共に動くことはない。
【0035】
電池ケース接続端子2は、トレイ3が完全に挿入された状態で、まず電池5の被接続端子部と接触するように筐体に設置される。この状態は、
図1及び
図5に示される。
【0036】
上述の通り、ユーザはトレイ3を開いた後、トレイ3を装置から接触点まで、
図2に示す位置に到達するまで引き出すことができる。装置における電池ケース接続端子2とのユーザによる接触は、トレイ3の後壁、つまり、トレイ3の挿入方向前方の壁部4’により回避できる。これは、電池ケース接続端子2がトレイ3内ではなく、トレイ3の挿入方向前端、つまり挿入された電池ケースの挿入方向前端に設けられているからである。
【0037】
図3及び
図4に示すように、ユーザが電池5をトレイ3に収容しても、トレイ3が閉じられない限り、電池5は電池ケースに設置された電池ケース接続端子2に接触しない。これにより電池5は、装置内の回路との電気的な接続がないため、安全な接触が行われる。
【0038】
電池ケースは、移動可能に設置されたトレイ3と、固定された電池ケース接続端子2とを有する。
【0039】
トレイ3を閉じることにより、ひいてはロックすることにより、電池5は、筐体1に設けられる電池ケース接続端子2及び装置内の回路に電気的に接続される。
【0040】
図3に示すように、トレイ3に隣接する領域にはスライダ6が設けられ、このスライダ6の下部に設けられたロック機構7を被覆している。スライダ6は、バネにより
図3に示す位置に保持される。
【0041】
ロック機構7が解除され、それによりトレイ3が開く場合、ユーザ、つまり患者は
図3におけるスライダ6を右にスライドさせ、その下のロック機構7を露出させる。ロック機構7の解除後は、トレイ3は手動又はバネの力で押し出される。
【0042】
また、電池5と電池ケース接続端子2とは、トレイ3が完全に閉じられ、さらにロックされて初めて電気的に接続されてもよい。また、そのような接触は、ロックされたかどうか、つまりロック位置にあるかどうかに関係なく、トレイ3が完全に装置に挿入された時点ですでに行われていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体
2 電池ケース接続端子
3 トレイ
3' フロント部
4 収容部
4' 挿入方向前方の壁部
5 電池
6 スライダ
7 ロック機構
10 側壁
10' 開口部
11 後壁
12 前壁