(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6723038
(24)【登録日】2020年6月25日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】絶縁同期整流型DC/DCコンバータ、同期整流回路、電源アダプタおよび電子機器、制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M3/28 F
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-58088(P2016-58088)
(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公開番号】特開2017-175753(P2017-175753A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】萩野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 弘基
【審査官】
山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−036242(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0286744(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0124494(US,A1)
【文献】
国際公開第2015/181351(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータであって、
一次巻線および二次巻線を有するトランスと、
前記トランスの一次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、
前記トランスの二次巻線と接続される同期整流トランジスタと、
発光素子および受光素子を含む第1フォトカプラと、
前記DC/DCコンバータの出力電圧が目標電圧に近づくように、前記第1フォトカプラの前記発光素子を駆動するフィードバック回路と、
前記第1フォトカプラの前記受光素子と接続され、前記第1フォトカプラからのフィードバック信号に応じて前記スイッチングトランジスタをスイッチングする一次側コントローラと、
前記同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラと、
前記同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出すると、前記一次側コントローラに前記スイッチングトランジスタのスイッチングの停止を指示する保護回路と、
を備え、
前記保護回路は、
前記同期整流トランジスタがオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧の絶対値が第1しきい値電圧を超えるときに、前記スイッチング不能状態と判定し、
前記第1しきい値電圧は、正常である前記同期整流トランジスタに二次巻線の二次電流が流れたときの電圧降下より大きく、前記同期整流トランジスタのボディダイオードの順方向電圧より小さく定められることを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータであって、
一次巻線および二次巻線を有するトランスと、
前記トランスの一次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、
前記トランスの二次巻線と接続される同期整流トランジスタと、
発光素子および受光素子を含む第1フォトカプラと、
前記DC/DCコンバータの出力電圧が目標電圧に近づくように、前記第1フォトカプラの前記発光素子を駆動するフィードバック回路と、
前記第1フォトカプラの前記受光素子と接続され、前記第1フォトカプラからのフィードバック信号に応じて前記スイッチングトランジスタをスイッチングする一次側コントローラと、
前記同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラと、
前記同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出すると、前記一次側コントローラに前記スイッチングトランジスタのスイッチングの停止を指示する保護回路と、
を備え、
前記保護回路は、前記同期整流トランジスタのドレインソース間電圧を第2しきい値電圧と比較し、比較結果に応じた信号の周波数が、所定の周波数範囲から逸脱したときに、前記スイッチング不能状態と判定することを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記保護回路は、
前記同期整流トランジスタがオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧の絶対値が第1しきい値電圧を超えるときに、前記スイッチング不能状態と判定し、
前記第1しきい値電圧は、正常である前記同期整流トランジスタに二次巻線の二次電流が流れたときの電圧降下より大きく、前記同期整流トランジスタのボディダイオードの順方向電圧より小さく定められることを特徴とする請求項2に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項4】
前記保護回路は、前記同期整流トランジスタのゲート端子の信号と前記同期整流コントローラの内部信号との整合性にもとづいて、前記スイッチング不能状態を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項5】
前記保護回路と接続される発光素子および前記一次側コントローラと接続される受光素子を有する第2フォトカプラをさらに備え、
前記保護回路は、前記スイッチング不能状態を検出すると、前記第2フォトカプラの発光素子を駆動し、
前記一次側コントローラは、前記第2フォトカプラの前記受光素子に電流が流れると、前記スイッチングトランジスタのスイッチングを停止することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項6】
前記保護回路と接続される一次巻線および前記一次側コントローラと接続される二次巻線を有するパルストランスをさらに備え、
前記保護回路は、前記スイッチング不能状態を検出すると、前記パルストランスの一次巻線を駆動し、
前記一次側コントローラは、前記パルストランスの前記二次巻線の状態にもとづいて、前記スイッチングトランジスタのスイッチングを停止することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項7】
前記保護回路は、前記スイッチング不能状態を検出すると、前記第1フォトカプラの前記発光素子を駆動することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項8】
負荷と、
商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、
前記ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、
前記直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する請求項1から7のいずれかに記載のDC/DCコンバータと、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、
前記ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、
前記直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する請求項1から7のいずれかに記載のDC/DCコンバータと、
を備えることを特徴とする電源アダプタ。
【請求項10】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流回路であって、
前記同期整流トランジスタのドレインソース間電圧にもとづいて、制御パルスを生成するパルス発生器と、
前記制御パルスにもとづいて前記同期整流トランジスタを駆動するドライバと、
前記同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出する検出回路と、
前記スイッチング不能状態の検出を、前記DC/DCコンバータの1次側に配置される一次側コントローラに通知する通知回路と、
を備え、
前記検出回路は、
前記同期整流トランジスタがオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧の絶対値が第1しきい値電圧を超えるときに、前記スイッチング不能状態と判定し、
前記第1しきい値電圧は、正常である前記同期整流トランジスタに二次巻線の二次電流が流れたときの電圧降下より大きく、前記同期整流トランジスタのボディダイオードの順方向電圧より小さく定められることを特徴とする同期整流回路。
【請求項11】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流回路であって、
前記同期整流トランジスタのドレインソース間電圧にもとづいて、制御パルスを生成するパルス発生器と、
前記制御パルスにもとづいて前記同期整流トランジスタを駆動するドライバと、
前記同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出する検出回路と、
前記スイッチング不能状態の検出を、前記DC/DCコンバータの1次側に配置される一次側コントローラに通知する通知回路と、
を備え、
前記検出回路は、前記同期整流トランジスタのドレインソース間電圧を第2しきい値電圧と比較し、比較結果に応じた信号の周波数が、所定の周波数範囲から逸脱したときに、前記スイッチング不能状態と判定することを特徴とする同期整流回路。
【請求項12】
前記検出回路は、
前記同期整流トランジスタがオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧の絶対値が第1しきい値電圧を超えるときに、前記スイッチング不能状態と判定することを特徴とする請求項11に記載の同期整流回路。
【請求項13】
前記検出回路は、
前記同期整流トランジスタのゲート端子の信号と前記同期整流回路の内部信号との整合性にもとづいて、前記スイッチング不能状態を判定することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の同期整流回路。
【請求項14】
前記通知回路と前記一次側コントローラとは、フォトカプラまたはパルストランスを介して接続されることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の同期整流回路。
【請求項15】
ひとつの半導体基板に一体集積化されることを特徴とする請求項10から14のいずれかに記載の同期整流回路。
【請求項16】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの制御方法であって、
前記DC/DCコンバータの出力電圧が目標電圧に近づくように、第1フォトカプラの発光素子を駆動するステップと、
前記第1フォトカプラの受光素子に流れるフィードバック電流にもとづいて、スイッチングトランジスタをスイッチングするステップと、
同期整流トランジスタの両端間の電圧にもとづいて制御パルスを生成するステップと、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタをスイッチングするステップと、
前記同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出するステップと、
前記スイッチング不能状態において、前記スイッチングトランジスタのスイッチングを停止するステップと、
を備え、
前記スイッチング不能状態を検出するステップは、前記同期整流トランジスタがオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧の絶対値が第1しきい値電圧を超えるときに、前記スイッチング不能状態と判定し、
前記第1しきい値電圧は、正常である前記同期整流トランジスタに二次巻線の二次電流が流れたときの電圧降下より大きく、前記同期整流トランジスタのボディダイオードの順方向電圧より小さく定められることを特徴とする制御方法。
【請求項17】
絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの制御方法であって、
前記DC/DCコンバータの出力電圧が目標電圧に近づくように、第1フォトカプラの発光素子を駆動するステップと、
前記第1フォトカプラの受光素子に流れるフィードバック電流にもとづいて、スイッチングトランジスタをスイッチングするステップと、
同期整流トランジスタの両端間の電圧にもとづいて制御パルスを生成するステップと、
前記制御パルスに応じて前記同期整流トランジスタをスイッチングするステップと、
前記同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出するステップと、
前記スイッチング不能状態において、前記スイッチングトランジスタのスイッチングを停止するステップと、
を備え、
前記スイッチング不能状態を検出するステップは、
前記同期整流トランジスタのドレインソース間電圧を第2しきい値電圧と比較し、比較結果に応じた信号の周波数が、所定の周波数範囲から逸脱したときに、前記スイッチング不能状態と判定することを特徴とする制御方法。
【請求項18】
前記スイッチング不能状態を検出するステップは、前記同期整流トランジスタがオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧の絶対値が第1しきい値電圧を超えるときに、前記スイッチング不能状態と判定し、
前記第1しきい値電圧は、正常である前記同期整流トランジスタに二次巻線の二次電流が流れたときの電圧降下より大きく、前記同期整流トランジスタのボディダイオードの順方向電圧より小さく定められることを特徴とする請求項17に記載の制御方法。
【請求項19】
前記スイッチング不能状態を検出するステップは、前記同期整流トランジスタのゲート端子の信号と前記制御パルスもしくはそれに応じた内部信号との整合性にもとづいて、前記スイッチング不能状態を判定することを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁同期整流型DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
AC/DCコンバータをはじめとする様々な電源回路に、フライバック型のDC/DCコンバータが利用される。
図1(a)は、ダイオード整流型のフライバックコンバータ200Rを、
図1(b)は、同期整流型のフライバックコンバータ200Sを示す回路図である。
【0003】
図1(a)のフライバックコンバータ200Rは、入力端子P1の入力電圧V
INを受け、所定の目標電圧に安定化された直流の出力電圧V
OUTを生成し、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される負荷(不図示)に供給する。トランスT1の一次巻線W1には、スイッチングトランジスタM1が接続され、二次巻線W2には、ダイオードD1が接続される。出力キャパシタC1は、出力端子P2に接続される。
【0004】
フィードバック回路206は、出力電圧V
OUTとその目標電圧V
OUT(REF)の誤差に応じた電流で、フォトカプラ204の発光素子を駆動する。フォトカプラ204の受光素子には、誤差に応じたフィードバック電流I
FBが流れる。一次側コントローラ202は、フィードバック電流I
FBに応じたフィードバック電圧V
FBを受け、フィードバック電圧V
FBに応じたデューティ比(あるいは周波数)を有するパルス信号を発生し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。
【0005】
図1(a)のダイオード整流型のフライバックコンバータでは、ダイオードD1において、Vf×I
OUTの電力損失が発生する。Vfは順方向電圧であり、I
OUTは負荷電流である。Vf=0.5V、I
OUT=10Aとすると、電力損失は5Wとなる。そのため、多くの用途において、ダイオードD1を冷却するための放熱板やヒートシンクが必要となる。
【0006】
図1(b)のフライバックコンバータ200Sは、
図1(a)のダイオードD1に代えて、同期整流トランジスタM2および同期整流コントローラ(同期整流ICともいう)300Sを備える。同期整流コントローラ300Sは、一次側のスイッチングトランジスタM1のスイッチングと同期して、同期整流トランジスタM2をスイッチングする。
【0007】
同期整流型のフライバックコンバータでは、同期整流トランジスタM2の損失は、R
ON×I
OUT2となる。R
ONは同期整流トランジスタM2のオン抵抗であり、R
ON=5mΩ、I
OUT=10Aとすると、損失は0.5Wとなりダイオード整流型に比べて大きく低減する。したがって理論上、同期整流型では、放熱板やヒートシンクが不要であり、あるいは簡略化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−105522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、
図1(b)の同期整流型のフライバックコンバータについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0010】
図1(b)のフライバックコンバータ200Sにおいて、同期整流トランジスタM2のゲートソース間が短絡すると、同期整流トランジスタM2がターンオンできなくなる。あるいは同期整流コントローラ300Sの内部で故障が発生した場合にも、同期整流トランジスタM2をターンオンできなくなる状況が発生しうる。
【0011】
同期整流トランジスタM2がターンオンできなくなると、同期整流トランジスタM2のボディダイオードD2が、
図1(a)のダイオードD1の代替となり、ダイオード整流型のコンバータとして動作し続ける。負荷には適切な出力電圧V
OUTが供給され続けるが、ボディダイオードD2において、5Wもの電力損失が発生してしまう。
【0012】
つまり、
図1(b)のフライバックコンバータ200Sにおいても、同期整流トランジスタM2がターンオンできないモードの異常を想定すると、同期整流トランジスタM2に対しても、
図1(a)のフライバックコンバータ200Rと同様の放熱対策が必要となってしまう。
【0013】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、発熱を抑制可能なDC/DCコンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある態様は、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータに関する。DC/DCコンバータは、一次巻線および二次巻線を有するトランスと、トランスの一次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの二次巻線と接続される同期整流トランジスタと、発光素子および受光素子を含む第1フォトカプラと、DC/DCコンバータの出力電圧が目標電圧に近づくように、第1フォトカプラの発光素子を駆動するフィードバック回路と、第1フォトカプラの受光素子と接続され、第1フォトカプラからのフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタをスイッチングする一次側コントローラと、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラと、同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出すると、一次側コントローラにスイッチングトランジスタのスイッチングの停止を指示する保護回路と、を備える。
【0015】
この態様によると、同期整流トランジスタがターンオンできないスイッチング不能状態を検出すると、スイッチングトランジスタのスイッチングを停止させることにより、DC/DCコンバータがダイオード整流モードで動作し続けるのを防止でき、同期整流トランジスタが発熱するのを防止できる。
【0016】
保護回路は、同期整流トランジスタがオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧の絶対値が第1しきい値電圧を超えるときに、スイッチング不能状態と判定してもよい。
同期整流トランジスタがオンであるときの電圧降下は、ボディダイオードの順方向電圧よりも低い。そこで、電圧降下と順方向電圧の間に第1しきい値電圧を設けることで、同期整流トランジスタのスイッチングの有無を判定できる。
【0017】
保護回路は、同期整流トランジスタのドレインソース間電圧が第2しきい値電圧とクロスする周波数が、所定の範囲から逸脱したときに、スイッチング不能状態と判定してもよい。
同期整流トランジスタのスイッチングが停止すると、1次側のスイッチングトランジスタのスイッチング周波数が変動し、同期整流トランジスタのドレインソース間電圧の周波数がそれに追従する。この態様によれば、同期整流トランジスタのスイッチングの有無を判定できる。
【0018】
保護回路は、同期整流トランジスタのゲート端子の信号と同期整流コントローラの内部信号との整合性にもとづいて、スイッチング不能状態を判定してもよい。
これにより、ゲート端子の短絡などを検出できる。
【0019】
ある態様のDC/DCコンバータは、保護回路と接続される発光素子および一次側コントローラと接続される受光素子を有する第2フォトカプラをさらに備えてもよい。保護回路は、スイッチング不能状態を検出すると、第2フォトカプラの発光素子を駆動し、一次側コントローラは、第2フォトカプラの受光素子に電流が流れると、スイッチングトランジスタのスイッチングを停止してもよい。
【0020】
ある態様のDC/DCコンバータは、保護回路と接続される一次巻線および一次側コントローラと接続される二次巻線を有するパルストランスをさらに備えてもよい。保護回路は、スイッチング不能状態を検出すると、パルストランスの一次巻線を駆動し、一次側コントローラは、パルストランスの二次巻線の状態にもとづいて、スイッチングトランジスタのスイッチングを停止してもよい。
【0021】
保護回路は、スイッチング不能状態を検出すると、第1フォトカプラの発光素子を駆動してもよい。
保護回路により第1フォトカプラを駆動すると、フィードバック回路によるフィードバック制御が無効となり、1次側のフィードバック電流が増大し、フィードバック電圧が0V付近まで低下する。これによりスイッチングトランジスタのスイッチングを停止させることができる。
【0022】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給するDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0023】
本発明の別の態様はACアダプタに関する。ACアダプタは、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給するDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、絶縁同期整流型のDC/DCコンバータの2次側に配置され、同期整流トランジスタを制御する同期整流回路に関する。この同期整流回路は、同期整流トランジスタのドレインソース間電圧にもとづいて、制御パルスを生成するパルス発生器と、制御パルスにもとづいて同期整流トランジスタを駆動するドライバと、同期整流トランジスタのスイッチング不能状態を検出する検出回路と、スイッチング不能状態の検出を、DC/DCコンバータの1次側に配置される一次側コントローラに通知する通知回路と、を備える。
【0025】
同期整流回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0026】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0027】
本発明のある態様によれば、DC/DCコンバータの発熱を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1(a)は、ダイオード整流型のフライバックコンバータを、
図1(b)は、同期整流型のフライバックコンバータを示す回路図である。
【
図2】実施の形態に係るDC/DCコンバータの回路図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、第1の検出方法を説明する波形図である。
【
図4】第3の検出方法に対応する同期整流コントローラおよび保護回路の回路図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、検出回路の構成例を示す回路図である。
【
図7】DC/DCコンバータを備えるAC/DCコンバータの回路図である。
【
図8】AC/DCコンバータを備えるACアダプタを示す図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は、AC/DCコンバータを備える電子機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0030】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0031】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0032】
図2は、実施の形態に係るDC/DCコンバータ200の回路図である。DC/DCコンバータ200は、入力端子P1の入力電圧V
INを受け、所定の目標電圧に安定化された直流の出力電圧V
OUTを生成し、出力端子P2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0033】
トランスT1は、一次巻線W1、二次巻線W2および補助巻線W3を有する。一次巻線W1の一端は入力端子P1と接続され、直流の入力電圧V
INが入力される。スイッチングトランジスタM1のドレインは、トランスT1の一次巻線W1の他端と接続される。スイッチングトランジスタM1のソースと接地ラインの間には、電流検出用のセンス抵抗R
CSが挿入される。
【0034】
同期整流トランジスタM2およびトランスT1の二次巻線W2は、出力端子P2と接地端子P3の間に直列に設けられる。
図2では、二次巻線W2よりも同期整流トランジスタM2が高電位側に設けられている。出力キャパシタC1は、出力端子P2と接地端子P3の間に接続される。
【0035】
第1フォトカプラ204は、発光素子および受光素子を含む。フィードバック回路206は、DC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTが目標電圧V
OUT(REF)に近づくように、第1フォトカプラ204の発光素子を駆動する。たとえばフィードバック回路206は、シャントレギュレータを含んでもよいし、誤差増幅器を含んでもよい。
【0036】
一次側コントローラ202は、第1フォトカプラ204の受光素子と接続される。一次側コントローラ202のフィードバック(FB)端子には、第1フォトカプラ204の受光素子に流れるフィードバック電流I
FBに応じたフィードバック信号V
FBが入力される。また一次側コントローラ202の電流検出(CS)端子には、センス抵抗R
CSに生ずる電流検出信号V
CSが入力される。
【0037】
一次側コントローラ202は、フィードバック信号V
FBに応じたデューティ比(または周波数)を有するパルス信号S21を生成して出力(OUT)端子から出力し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。一次側コントローラ202の構成や制御方式は特に限定されない。たとえば一次側コントローラ202は、電流モードの変調器であってもよい。この場合、パルス信号S21のデューティ比は、電流検出信号V
CSに応じて調節される。
【0038】
トランスT1の補助巻線W3は、ダイオードD3およびキャパシタC3とともに自己電源回路208を形成している。自己電源回路208が生成する電源電圧V
CCは、一次側コントローラ202の電源(VCC)端子に供給される。
【0039】
同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2を制御する。たとえば同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSにもとづいて、制御パルスS22(不図示)を生成し、制御パルスS22に応じたゲートパルスS23を同期整流トランジスタM2のゲートに供給する。
【0040】
保護回路310は、同期整流トランジスタM2がオフ状態のままターンオンできない状態(スイッチング不能状態)を検出可能に構成される。保護回路310は、スイッチング不能状態を検出すると、一次側コントローラ202にスイッチングトランジスタM1のスイッチングの停止を指示する。保護回路310は、同期整流コントローラ300と同一のICチップに集積化されてもよいし、別々のICチップで構成されてもよい。
【0041】
たとえば保護回路310と一次側コントローラ202は、第2フォトカプラ312を介して接続されている。保護回路310は、スイッチング不能状態を検出すると、第2フォトカプラ312の発光素子を駆動し、電流S3を流す。これにより第2フォトカプラ312の受光素子に電流S4が流れ、一次側コントローラ202に、スイッチング不能状態が通知される。一次側コントローラ202は、この通知に応答して、スイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止する。
【0042】
以上がDC/DCコンバータ200の構成である。続いてその動作を説明する。
同期整流トランジスタM2がスイッチングトランジスタM1と同期してスイッチングする正常状態では、DC/DCコンバータ200は同期整流型のフライバックコンバータとして動作する。
【0043】
同期整流トランジスタM2のゲートソース間が短絡したり、同期整流コントローラ300の内部に故障が生じ、同期整流トランジスタM2がターンオンできなくなると、DC/DCコンバータ200は同期整流モードで動作し始める。保護回路310は、同期整流トランジスタM2がスイッチングしていないことを検出すると、第2フォトカプラ312を介して一次側コントローラ202に通知する。そうするとスイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止し、同期整流トランジスタM2のボディダイオードD2に電流が流れるのを防止できる。
【0044】
以上がDC/DCコンバータ200の動作である。このDC/DCコンバータ200によれば、スイッチング不能状態において、同期整流トランジスタM2のボディダイオードD2に電流が流れ続けて同期整流トランジスタM2のパッケージが発熱するのを防止できる。
【0045】
また同期整流トランジスタM2のパッケージの発熱が抑制されることによって、DC/DCコンバータ200の放熱対策に要するコストを削減できる。
【0046】
本発明は、
図2のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例を説明する。
【0047】
続いて、保護回路310によるスイッチング不能状態の検出方法について、いくつかの例を説明する。
【0048】
(第1の検出方法)
保護回路310は、同期整流トランジスタM2がオンすべき期間において、そのドレインソース間電圧V
DSの絶対値が第1しきい値電圧V
TH1を超えるときに、スイッチング不能状態と判定する。第1しきい値電圧V
TH1は、同期整流トランジスタM2に二次巻線W2の二次電流I
Sが流れたときの電圧降下R
ON×I
Sより大きく、ボディダイオードD2の順方向電圧Vfより小さく定められる。
【0049】
図3(a)、(b)は、第1の検出方法を説明する波形図である。
図3(a)は、正常状態、言い換えれば同期整流モードの動作を、
図3(b)は、スイッチング不能状態、言い換えればダイオード整流モードの動作波形図である。なお本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0050】
図3(a)の正常動作時には、同期整流トランジスタM2のオン期間の間、その両端間の電圧の絶対値は、R
ON×I
Sであり、第1しきい値電圧V
TH1より小さい。このとき、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧(V
DS)は、負の第1しきい値電圧−V
TH1より高くなっている。一方、
図3(b)のスイッチング不能状態では、ボディダイオードD2に電流が流れるため、その両端間の電圧の絶対値は、二次電流I
Sの量にかかわらず、順方向電圧Vfとなり、第1しきい値電圧V
TH1を超える。このとき同期整流トランジスタM2のドレイン電圧(V
DS)は、負の第1しきい値電圧−V
TH1より低くなる。
【0051】
したがって第1の検出方法によれば、正常状態とスイッチング不能状態を判定することができる。
【0052】
(第2の検出方法)
保護回路310は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSが第2しきい値電圧V
TH2とクロスする周波数が、所定の範囲から逸脱したときに、スイッチング不能状態と判定する。
同期整流トランジスタM2のスイッチングが停止すると、1次側のスイッチングトランジスタM1のスイッチング周波数が変動し、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSの周波数がそれに追従する。第2の検出方法によれば、1次側のスイッチング周波数にもとづいて、同期整流トランジスタのスイッチングの有無を判定できる。
【0053】
(第3の検出方法)
図4は、第3の検出方法に対応する同期整流コントローラ300および保護回路310の回路図である。保護回路310は、同期整流トランジスタM2のゲート端子の信号(ゲートパルスS23)と同期整流コントローラ300の内部信号との整合性にもとづいて、スイッチング不能状態を判定してもよい。保護回路310は同期整流コントローラ300と同じICチップに集積化されている。
【0054】
同期整流コントローラ300は、同期整流トランジスタM2のオン、オフを指示する制御パルスS22を生成するロジック回路302と、制御パルスS22に応じて同期整流トランジスタM2のゲートパルスS23を生成するドライバ304を含む。
【0055】
たとえば保護回路310は、ANDゲートやXOR(排他的論理和)ゲートあるいはNANDゲートで構成することができる。
【0056】
正常状態では、内部信号である制御パルスS22がハイレベルであるとき、ゲートパルスS23もハイレベルである。保護回路310がANDゲートであるとすると、その出力は、ハイレベルとなる。
【0057】
同期整流トランジスタM2のゲートソース間の短絡や、ドライバ304の出力の地絡によってスイッチング不能状態が生じたとする。このとき制御パルスS22がハイレベルであるにもかかわらず、ゲートパルスS23はローレベルである。保護回路310がANDゲートであるとすると、その出力は、ローレベルとなる。したがって、ANDゲートの出力にもとづいて、ゲート端子の短絡などを検出できる。
【0058】
図4において、OUTピンとは別に、同期整流トランジスタM2のゲートパルスS23を監視するためのゲートセンス(GS)ピンをさらに設けてもよい。保護回路310は、内部信号である制御パルスS22と、GSピンの信号の整合性にもとづいてスイッチング不能状態を検出してもよい。
【0059】
図4では内部信号としてゲートパルスS23の期待値を示す制御パルスS22を利用したがそれには限定されず、ゲートパルスS23と反対の論理を有する内部信号を参照してもよい。
【0060】
なお、第1の検出方法から第3の検出方法は、任意に組み合わせ採用することが可能である。
【0061】
図5は、同期整流回路400の構成例を示す回路図である。同期整流回路400は上述の同期整流コントローラ300と保護回路310が一体集積化された機能ICである。
【0062】
同期整流回路400のドレイン(VD)端子は、同期整流トランジスタM2のドレインと接続され、ソース(VS)端子は、同期整流トランジスタM2のソースと接続され、出力(OUT)端子は、同期整流トランジスタM2のゲートと接続される。VS端子は、同期整流回路400の接地ライン402と接続され、同期整流回路400は、同期整流トランジスタM2のソース電圧を基準として動作する。
【0063】
同期整流コントローラ300は、パルス発生器306およびドライバ304を備える。パルス発生器306は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSにもとづいて、制御パルスS22を生成する。なお同期整流回路400の基準は、同期整流トランジスタM2のソース電位であるから、ドレインソース間電圧V
DSは、ドレイン電圧V
Dと等価である。すなわちパルス発生器306は、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dにもとづいて制御パルスS22を生成する。
【0064】
パルス発生器306は、第1コンパレータCMP1、第2コンパレータCMP2、フリップフロップFF1を含む。第1コンパレータCMP1は、スイッチングトランジスタM1のターンオフを検出するために設けられる。第1コンパレータCMP1は、VD端子のドレイン電圧(ドレインソース間電圧)V
Dを負の所定の第1しきい値電圧V
THA(たとえば−150mV)と比較し、それらがクロスすると、セット信号(セット信号)S
ONをアサート(ハイレベル)する。具体的には、ドレイン電圧V
DがV
THAより低くなると、言い換えれば、ドレインソース間電圧V
DSが負電圧となると、セット信号S
ONがハイレベルとなる。セット信号S
ONは、DフリップフロップFF1のクロック端子に入力され、セット信号S
ONのポジティブエッジに応答して、制御パルスS22がハイレベルとなる。DフリップフロップFF1に変えて、RSフリップフロップを用いてもよい。
【0065】
第2コンパレータCMP2は、(ii)同期整流トランジスタM2のオン期間に二次巻線W2に流れる2次電流I
Sが実質的にゼロになったことを検出するために設けられる。同期整流トランジスタM2のオン期間の間、同期整流トランジスタM2のソースからドレインに向かって電流I
Sが流れ、ドレインソース間電圧V
DSは負電圧となり、その絶対値は電流I
Sの電流量に応じている。そこで第2コンパレータCMP2は、ドレイン電圧V
Dをゼロ付近に設定された負のしきい値電圧V
THB(たとえば−10mV)と比較し、ドレイン電圧V
Dがしきい値電圧V
THBより高くなると、リセット信号(リセット信号)S
OFFをアサート(ローレベル)とする。リセット信号S
OFFは、フリップフロップFF1のリセット端子(反転論理)に入力され、リセット信号S
OFFのネガティブエッジに応答して、制御パルスS22がローレベルとなる。
【0066】
保護回路310は、検出回路314および通知回路316を含む。検出回路314は、同期整流トランジスタM2のスイッチング不能状態を検出する。通知回路316は、検出信号S24を受け、スイッチング不能状態が検出されると、DC/DCコンバータの1次側に配置される一次側コントローラ202に通知する。たとえば通知回路316は、同期整流回路400に外付けされる第2フォトカプラ312を駆動可能に構成され、たとえばオープンコレクタあるいはオープンドレイン形式の出力段を有してもよい。
【0067】
図6(a)、(b)は、検出回路314の構成例を示す回路図である。
図6(a)の検出回路314aは、第1の検出方法に対応する。検出回路314aは、第3コンパレータCMP3を含む。第3コンパレータCMP3は、ドレイン電圧V
D(ドレインソース間電圧V
DS)を第1しきい値電圧V
TH1と比較し、ドレインソース間電圧V
DSが第1しきい値電圧V
TH1を超えると、比較信号S25をアサート(たとえばハイレベル)する。ラッチ回路318は、比較信号S25がアサートされると、検出信号S24をアサートする。ラッチ回路318は、通知回路316の一部であってもよい。
【0068】
図6(b)の検出回路314bは、第2の検出方法に対応する。検出回路314bは、第4コンパレータCMP4および周波数検出回路320を含む。第4コンパレータCMP4は、ドレイン電圧V
D(ドレインソース間電圧V
DS)を第2しきい値電圧V
TH2と比較する。第4コンパレータCMP4の出力S26は、ドレインソース間電圧V
DSが第2しきい値電圧V
TH2とクロスするたびに遷移する。周波数検出回路320は、第4コンパレータCMP4の出力S26の周波数(周期)を測定し、所定範囲から逸脱したときに、検出信号S24をアサートする。なお第4コンパレータCMP4は、
図5の第1コンパレータCMP1あるいは第2コンパレータCMP2を流用してもよい。
【0069】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0070】
(第1変形例)
実施の形態では、第2フォトカプラ312によって、保護回路310から一次側コントローラ202に、スイッチング不能状態を通知したが、通知手段はそれに限定されない。フォトカプラに代えて、パルストランスなどのトランスを利用してもよい。
【0071】
(第2変形例)
あるいは第2フォトカプラ312を省略してもよい。保護回路310は、スイッチング不能状態を検出すると、第1フォトカプラ204の発光素子を駆動してもよい。保護回路310により第1フォトカプラ204を駆動すると、フィードバック回路206によるフィードバック制御が無効となり、1次側のフィードバック電流I
FBが増大し、フィードバック電圧V
FBが0V付近まで低下する。これによりスイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止させることができる。
【0072】
(第3変形例)
同期整流トランジスタM2は、二次巻線W2よりも低電位側(接地端子P3側)に設けられてもよい。
【0073】
(用途)
続いて、実施の形態で説明したDC/DCコンバータ200の用途を説明する。DC/DCコンバータ200は、AC/DCコンバータ100に用いることができる。
図7は、DC/DCコンバータ200を備えるAC/DCコンバータ100の回路図である。
【0074】
AC/DCコンバータ100は、フィルタ102、整流回路104、平滑キャパシタ106およびDC/DCコンバータ200を備える。フィルタ102は、交流電圧V
ACのノイズを除去する。整流回路104は、交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。平滑キャパシタ106は、全波整流された電圧を平滑化し、直流電圧V
INを生成する。DC/DCコンバータ200は直流電圧V
INを受け、出力電圧V
OUTを生成する。
【0075】
図8は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0076】
図9(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図9(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
プラグ902は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体904内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0077】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0078】
P1…入力端子、P2…出力端子、M1…スイッチングトランジスタ、M2…同期整流トランジスタ、C1…出力キャパシタ、T1…トランス、W1…一次巻線、W2…二次巻線、W3…補助巻線、D1…ダイオード、D2…ボディダイオード、100…AC/DCコンバータ、102…フィルタ、104…整流回路、106…平滑キャパシタ、200…DC/DCコンバータ、202…一次側コントローラ、204…第1フォトカプラ、206…フィードバック回路、300…同期整流コントローラ、302…ロジック回路、304…ドライバ、306…パルス発生器、310…保護回路、312…第2フォトカプラ、314…検出回路、316…通知回路、318…ラッチ回路、320…周波数検出回路、CMP1…第1コンパレータ、CMP2…第2コンパレータ、FF1…フリップフロップ、400…同期整流回路、800…ACアダプタ、802…プラグ、804…筐体、806…コネクタ、810,900…電子機器、902…プラグ、904…筐体、S22…制御パルス、S23…ゲートパルス、S24…検出信号、S25…比較信号。