(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パルス変調器は、(i)前記フィードバック信号に応じて前記パルス信号をオフレベルに遷移させ、(ii)前記ゼロ電流検出信号が所定の第1しきい値電圧に達しない状態が所定の第1時間持続すると、強制的に前記パルス信号をオンレベルに遷移させるものであり、
前記起動調節回路は、前記DC/DCコンバータの起動時において、前記スイッチングトランジスタがターンオフするごとに、前記ゼロ電流検出端子の電圧が前記第1しきい値電圧を超えるように、前記ゼロ電流検出端子に補助信号を重畳することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
前記パルス変調器は、(ii)前記ゼロ電流検出信号が所定の第1しきい値電圧に達し、続いて所定の第2しきい値電圧より低くなる状態が所定回数発生すると、前記パルス信号をオンレベルに遷移させるものであり、
前記起動調節回路は、前記DC/DCコンバータの起動時において、前記ゼロ電流検出端子の電圧のベースラインが、前記第2しきい値電圧を超えるように、前記ゼロ電流検出端子の電気的状態を調節することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
アノードが前記補助巻線の前記一端と接続されるダイオードと、前記ダイオードのカソードと接続される第2キャパシタと、を含み、前記一次側コントローラの電源電圧を生成する電源回路をさらに備え、
前記起動調節回路は、前記電源電圧を利用して、前記ゼロ電流検出端子の電圧のベースラインを調節することを特徴とする請求項10または11に記載のDC/DCコンバータ。
アノードが前記補助巻線の前記一端と接続されるダイオードと、前記ダイオードのカソードと接続される第2キャパシタと、を含み、前記一次側コントローラの電源電圧を生成する電源回路と、
前記第2キャパシタの一端と前記ゼロ電流検出端子の間に設けられた第2抵抗と、
をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載のDC/DCコンバータ。
【背景技術】
【0002】
AC/DCコンバータをはじめとする様々な電源回路に、絶縁型の、より詳しくはフライバック型やフォワード型のDC/DCコンバータが利用される。
図1は、同期整流型のフライバックコンバータ200rを備えるAC/DCコンバータ100rの回路図である。
【0003】
AC/DCコンバータ100rは主としてヒューズ102、入力キャパシタCi、フィルタ104、ダイオード整流回路106、平滑キャパシタCsおよびフライバックコンバータ200rを備える。
【0004】
商用交流電圧V
ACは、ヒューズ102および入力キャパシタCiを介してフィルタ104に入力される。フィルタ104は、商用交流電圧V
ACのノイズを除去する。ダイオード整流回路106は、商用交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。ダイオード整流回路106の出力電圧は、平滑キャパシタCsによって平滑化され、直流電圧V
INに変換される。
【0005】
絶縁型のフライバックコンバータ200rは、入力端子P1に直流電圧V
INを受け、それを降圧して、目標値に安定化された出力電圧V
OUTを出力端子P2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0006】
トランスT1の一次巻線W1には、スイッチングトランジスタM1が接続され、二次巻線W2には、同期整流トランジスタM2が接続される。2次側コントローラ400は、スイッチングトランジスタM1と同期して同期整流トランジスタM2をスイッチングする。
【0007】
出力キャパシタCo1は、出力端子P2に接続される。フィードバック回路206は、出力電圧V
OUTとその目標電圧V
OUT(REF)の誤差に応じた電流で、フォトカプラ204の発光素子を駆動する。フォトカプラ204の受光素子には、誤差に応じたフィードバック電流I
FBが流れる。
【0008】
整流ダイオードD2および平滑化キャパシタCo2は、トランスT1の補助巻線W3とともに電源回路208を形成している。電源回路208が生成する電源電圧V
CCは、一次側コントローラ300rの電源(VCC)端子に供給される。
【0009】
一次側コントローラ300rは、疑似共振型のコントローラである。一次側コントローラ300rのFB(フィードバック)端子には、フィードバック電流I
FBに応じたフィードバック電圧V
FBが発生する。また一次側コントローラ300rのCS(電流検出)端子には、スイッチングトランジスタM1に流れる一次電流I
Pに比例する電流検出信号V
CSがフィードバックされる。電流検出信号V
CSは、スイッチングトランジスタM1と直列に設けられたセンス抵抗R
Sの電圧降下が使用される。補助巻線W3に生ずる電圧V
Dは、抵抗R
ZT1,R
ZT2によって分圧され、ZT(ゼロ電流検出)端子に入力される。ZT端子にはキャパシタC
ZTが接続される。
【0010】
たとえば一次側コントローラ300rは、疑似共振モードのピーク電流モードのパルス変調器を含み、フィードバック電圧V
FB、電流検出信号V
CS、およびZT端子の電圧V
ZTに応じたデューティ比(あるいは周波数)を有するパルス信号S
OUTを発生し、出力(OUT)端子に接続されるスイッチングトランジスタM1を駆動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者は、
図1のDC/DCコンバータ200rの起動動作について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0013】
疑似共振モードのパルス変調器は、二次巻線の電流I
Sがゼロになったこと(ゼロカレント)を検出し、それをトリガとしてスイッチングトランジスタM1をターンオンする。
【0014】
スイッチングトランジスタM1がオフであり、二次巻線W2に電流I
Sが流れている間、補助巻線W3には、出力電圧V
OUTに比例した電圧V
Dが発生する。そして電流I
Sがゼロになると、補助巻線W3の電圧V
Dは負方向に大きくスイングする。そこでパルス変調器は、ZT端子の電圧V
ZTにもとづいてゼロカレントを検出する。
【0015】
具体的には、ZT端子の電圧V
ZTがある第1しきい値電圧V
TH1(たとえば0.2V)を超えた後に、それより低い第2しきい値電圧V
TH2(たとえば0.1V)を下回ると、ボトム検出信号をアサートし、ボトム検出信号のアサートをトリガとして、スイッチングトランジスタM1をターンオンする。
【0016】
ところが、一次側コントローラ300rの起動直後(あるいは出力短絡時)は、出力電圧V
OUTが低いため、ZT端子の電圧V
ZTが低くなり、したがってZT端子の電圧V
ZTが第1しきい値電圧0.2Vを超えることができない状況が生じ、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止してしまう。この問題を解決するために、ZT端子の電圧V
ZTが第1しきい値電圧V
TH1(0.2V)より低い状態が所定時間(τ
1)経過すると、強制的にスイッチングトランジスタM1をターンオンさせる。
【0017】
図2は、
図1のDC/DCコンバータ200rの起動時の動作波形図である。本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0018】
スイッチングトランジスタM1のオン時間(S
OUTのハイレベル)の間、一次巻線W1の電流I
Pが増加する。スイッチングトランジスタM1がターンオフすると、二次巻線W2に電流I
Sが流れる。起動直後の出力電圧V
OUTが低い状態では、オフ時間T
OFFは、所定値τ
1と等しくなる。さらにオフ時間T
OFFにおける電流I
Sの傾きは、出力電圧V
OUTに比例するため、起動直後は、傾きが非常に小さく、1サイクル当たりの電流I
Sの減少幅が電流I
Pの増加幅より小さい。その結果、電流I
Sがゼロとなるゼロカレントより前に、スイッチングトランジスタM1がターンオンする。
【0019】
この動作が繰り返されると、DC/DCコンバータ200rは、連続モードで起動することとなり、一次巻線W1の電流I
Pが増大していく。連続モードでDC/DCコンバータ200rを起動させると、2次側の同期整流トランジスタM2の両端間(ドレインソース間)に、100Vを超えるような非常に高いサージ電圧が発生する。
【0020】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、低電圧状態において2次側整流回路に生ずるサージノイズを抑制したDC/DCコンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明のある態様は、絶縁型のDC/DCコンバータに関する。絶縁型のDC/DCコンバータは、一次巻線、二次巻線および補助巻線を有するトランスと、トランスの一次巻線と接地ラインの間に設けられるスイッチングトランジスタと、トランスの二次巻線と接続される整流回路と、発光素子および受光素子を含むフォトカプラと、DC/DCコンバータの出力電圧が目標電圧に近づくように、フォトカプラの発光素子を駆動するフィードバック回路と、フォトカプラの受光素子と接続され、フォトカプラからのフィードバック信号を受けるフィードバック端子と、補助巻線の一端に生ずる電圧に応じたゼロ電流検出信号を受けるゼロ電流検出端子と、フィードバック信号およびゼロ電流検出信号に応じてパルス信号を生成する疑似共振方式のパルス変調器と、を有する一次側コントローラと、DC/DCコンバータの起動時において、スイッチングトランジスタのオフ時間が長くなるように、ゼロ電流検出端子に電気的に作用する起動調節回路と、を備える。
【0022】
この態様によると、パルス信号がオンレベルに遷移するタイミングを遅らせることができる。これにより、スイッチングトランジスタがターンオンする時刻におけるトランスの残留エネルギーを減らすことができ、2次側整流回路に生ずるサージノイズを抑制できる。
なお「電気的に作用」とは、電圧のシフト、電圧の重畳、電流のソースやシンク、インピーダンスを変化させること、などを含む。
【0023】
パルス変調器は、(i)フィードバック信号に応じてパルス信号をオフレベルに遷移させ、(ii)ゼロ電流検出信号が所定の第1しきい値電圧に達しない状態が所定の第1時間持続すると、強制的にパルス信号をオンレベルに遷移させてもよい。起動調節回路は、DC/DCコンバータの起動時において、スイッチングトランジスタがターンオフするごとに、ゼロ電流検出端子の電圧が第1しきい値電圧を超えるように、ゼロ電流検出端子に補助信号を重畳してもよい。
この態様によれば、オフ時間を第1時間より長くすることができ、2次側整流回路に生ずるサージノイズを抑制できる。
【0024】
一次側コントローラは、ゼロ電流検出信号が第1しきい値電圧を超えた後、第1しきい値電圧より低い第2しきい値電圧より低くなるとボトム検出信号をアサートするコンパレータと、スイッチングトランジスタがターンオフしてから所定のマスク時間の間、ボトム検出信号をマスクするブランキング回路をさらに含んでもよい。起動調節回路は、スイッチングトランジスタのターンオフからマスク時間の経過後において、ゼロ電流検出端子の電圧が第1しきい値電圧より高い状態となるように、ゼロ電流検出端子に補助信号を重畳してもよい。
【0025】
起動調節回路は、補助巻線の一端に生ずる電圧を利用して、補助信号を生成してもよい。起動調節回路は、補助巻線の一端に生ずる電圧の高周波成分を、ゼロ電流検出端子に重畳してもよい。
補助巻線に生ずる電圧の高周波成分、言い換えれば微分波形がゼロ電流検出端子に重畳され、ゼロ電流検出端子の電圧が第1しきい値電圧を超えるようになる。
【0026】
起動調節回路は、補助巻線の一端とゼロ電流検出端子の間に設けられる第1キャパシタを含んでもよい。これにより、補助巻線に生ずる電圧から、スパイク状の波形を抽出できる。
【0027】
起動調節回路は、補助巻線の一端とゼロ電流検出端子の間に、第1キャパシタと直列に設けられる第1抵抗を含んでもよい。
第1抵抗によって、ゼロ電流検出端子に重畳される電圧の振幅レベルを調節できる。また一次側コントローラがブランキング回路を含む場合には、第1抵抗と第1キャパシタによって、補助信号の立ち上がり速度を、ブランキング回路のマスク時間に対して最適化できる。
【0028】
別の観点から言えば起動調節回路は、ハイパスフィルタを含んでもよい。
【0029】
パルス変調器は、(ii)ゼロ電流検出信号が所定の第1しきい値電圧に達し、続いて所定の第2しきい値電圧より低くなる状態が所定回数発生すると、パルス信号をオンレベルに遷移させるものであり、起動調節回路は、DC/DCコンバータの起動時において、ゼロ電流検出端子の電圧のベースラインが、第2しきい値電圧を超えるように、ゼロ電流検出端子に電気的に作用してもよい。
この第2抵抗によって、ZT端子の電圧のベースラインを高電位側にシフトさせることができる。これにより、スパイク波形が消えた後のZT端子を、第2しきい値より高い状態に維持することができ、スイッチングトランジスタのオフ時間をさらに引き延ばすことができる。
【0030】
ある態様のDC/DCコンバータは、アノードが補助巻線の一端と接続されるダイオードと、ダイオードのカソードと接続される第2キャパシタと、を含み、一次側コントローラの電源電圧を生成する電源回路をさらに備えてもよい。起動調節回路は、DC/DCコンバータの起動時において、電源電圧を利用して、ゼロ電流検出端子の電圧のベースラインを調節してもよい。
【0031】
起動調節回路は、第2キャパシタの一端とゼロ電流検出端子の間に設けられた第2抵抗をさらに含んでもよい。
これにより、電源電圧を利用して、ZT端子の電圧のベースラインを高電位側にシフトさせることができる。
【0032】
ある態様のDC/DCコンバータは、スイッチングトランジスタと直列に設けられるセンス抵抗をさらに備えてもよい。一次側コントローラは、センス抵抗の電圧降下に応じた電流検出信号を受ける電流検出端子をさらに有してもよい。パルス変調器は、(i)電流検出信号がフィードバック信号に達すると、パルス信号をオフレベルに遷移させるピーク電流モードの変調器であってもよい。
【0033】
整流回路は、同期整流トランジスタと、同期整流トランジスタを駆動する同期整流コントローラと、を含んでもよい。
【0034】
本発明の別の態様もまた、絶縁型のDC/DCコンバータである。このDC/DCコンバータは、一次巻線、二次巻線および補助巻線を有するトランスと、トランスの一次巻線と接地ラインの間に設けられるスイッチングトランジスタと、スイッチングトランジスタと直列に設けられるセンス抵抗と、トランスの二次巻線と接続される整流回路と、発光素子および受光素子を含むフォトカプラと、DC/DCコンバータの出力電圧が目標電圧に近づくように、フォトカプラの発光素子を駆動するフィードバック回路と、フォトカプラの受光素子と接続され、フォトカプラからのフィードバック信号を受けるフィードバック端子と、センス抵抗の電圧降下に応じた電流検出信号を受ける電流検出端子と、補助巻線の一端に生ずる電圧に応じたゼロ電流検出信号を受けるゼロ電流検出端子と、フィードバック信号、電流検出信号およびゼロ電流検出信号に応じてパルス信号を生成する疑似共振方式のピーク電流モードのパルス変調器と、を有する一次側コントローラと、補助巻線の一端と電流検出端子の間に設けられた第1分圧抵抗と、電流検出端子と接地ラインの間に設けられた第2分圧抵抗と、補助巻線の一端と電流検出端子の間であって第1分圧抵抗と並列な経路に、直列に設けられた第1抵抗および第1キャパシタと、を備える。
【0035】
DC/DCコンバータは、アノードが補助巻線の一端と接続されるダイオードと、ダイオードのカソードと接続される第2キャパシタと、を含み、一次側コントローラの電源電圧を生成する電源回路と、第2キャパシタの一端とゼロ電流検出端子の間に設けられた第2抵抗と、をさらに備えてもよい。
【0036】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給するDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0037】
本発明の別の態様はACアダプタに関する。ACアダプタは、商用交流電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給するDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0038】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0039】
本発明のある態様によれば、起動時の2次側整流回路に生ずるサージノイズを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0042】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0043】
図3は、第1の実施の形態に係るDC/DCコンバータ200の回路ブロック図である。DC/DCコンバータ200は、
図1のフライバックコンバータ200rに加えて、起動調節回路240をさらに備える。
【0044】
一次側コントローラ300について詳しく説明する。一次側コントローラ300のFB端子はフォトカプラ204の受光素子と接続され、フォトカプラ204からのフィードバック信号V
FBを受ける。一次側コントローラ300のZT端子には、補助巻線W3の一端に生ずる電圧V
Dに応じたゼロ電流検出信号V
ZTが入力される。具体的には、補助巻線W3の一端の電圧V
Dは、第1分圧抵抗R
ZT1および第2分圧抵抗R
ZT2によって分圧され、ZT端子に入力される。ZT端子には、キャパシタC
ZTが接続される。
【0045】
一次側コントローラ300はパルス信号S
PFMを生成するパルス変調器(不図示)を含む。このパルス変調器は、(i)フィードバック信号V
FBに応じてパルス信号S
PFMをオフレベルに遷移させ、(ii)ゼロ電流検出信号V
ZTにもとづいて検出される二次巻線W2の電流のゼロクロスを条件としてパルス信号S
PFMをオンレベルに遷移させる疑似共振方式で動作する。
【0046】
本発明において、疑似共振方式のパルス変調器の具体的な構成は特に限定されるものではない。ある条件下において、ZT端子のゼロ電流検出信号V
ZTが、ゼロカレントの条件を満たさなくなると、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止してしまう。この問題を解決するために、多くの一次側コントローラ300は、ゼロ電流検出端子V
ZTがゼロクロスしない場合であっても、所定の条件を満たすと、パルス信号S
PFMをオンレベルに遷移させ、スイッチングトランジスタM1を強制的にターンオンさせる。
【0047】
たとえば、スイッチングトランジスタM1の強制的なターンオンは、スイッチングトランジスタM1の直前のターンオフから、所定の第1時間τ
1の経過後に発生する。
図2を参照して説明したように、低電圧状態においてスイッチングトランジスタM1のオフ時間が第1時間τ
1に固定されると、電流連続モードで動作し、サージの原因となる。
【0048】
低電圧状態におけるサージを抑制するために、DC/DCコンバータ200には、起動調節回路240が設けられる。
【0049】
起動調節回路240は、DC/DCコンバータ200の起動時において、スイッチングトランジスタM1のオフ時間が、起動調節回路240を設けない場合(すなわちτ
1)に比べて長くなるように、ZT端子に電気的に作用する。
【0050】
以上がDC/DCコンバータ200の構成である。続いてその動作を説明する。
図4は、
図3のDC/DCコンバータ200の起動時の動作波形図である。起動調節回路240によって、スイッチングトランジスタM1のオフ時間T
OFFが、第1時間τ
1よりも長くなる。これにより、DC/DCコンバータ200が電流不連続モード(もしくは臨界モード)を動作させることができる。その結果、スイッチングトランジスタM1がターンオンするタイミングで、トランスT1の残留エネルギはゼロに近づくため、スイッチングトランジスタM1のターンオンに起因して二次巻線W2に生ずるサージを抑制することができる。
【0051】
以上がDC/DCコンバータ200の動作である。このDC/DCコンバータ200によれば、パルス信号S
OUTがオンレベルに遷移するタイミングを遅らせることができる。これにより、トランスT1に流れる電流量を減らすことができ、2次側整流回路に生ずるサージノイズを抑制できる。
【0052】
本発明は、
図3のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0053】
起動調節回路240による、ZT端子の電気的状態の調節は、一次側コントローラ300の内部構成や変調方式などに応じて定めればよく、特に限定されるものではない。以下の具体的な実施例では、代表的な一次側コントローラ300の構成と、それに対応する起動調節回路240の構成および動作を説明する。
【0054】
(実施例)
図5は、実施例に係る一次側コントローラ300の回路ブロック図である。なお
図5には、本発明と関連のあるブロックのみが示されており、その他のブロックは適宜省略している。
【0055】
この一次側コントローラ300は、パルス変調器302およびドライバ304を備える。パルス変調器302は、疑似共振方式のピーク電流モードでパルス信号S
PFMを生成する。パルス変調器302は、ゼロ電流検出信号V
ZTが所定の第1しきい値電圧V
TH1(たとえば0.2V)に達し、続いて所定の第2しきい値電圧V
TH2(たとえば0.1V)より低くなる状態(ボトム検出)が所定回数発生すると、パルス信号S
PFMをオンレベルに遷移させる。所定回数は1回でもよいし、複数回でもよい。またパルス変調器302は、電流検出信号V
CSがフィードバック信号V
FBに達すると、パルス信号S
PFMをオフレベルに遷移させる。
【0056】
セット信号生成部310、リセット信号生成部330およびフリップフロップ350を備える。セット信号生成部310は、ZT端子の状態(ゼロ電流検出信号V
ZT)にもとづいて、スイッチングトランジスタM1のターンオンを指示するセット信号S
SETを生成する。
【0057】
リセット信号生成部330は、CS端子およびFB端子の電気的状態(V
CSおよびV
FB)にもとづいて、スイッチングトランジスタM1のターンオフを指示するリセット信号S
RESETを生成する。
【0058】
フリップフロップ350は、たとえばSRフリップフロップであり、セット信号S
SETのアサートに応答して、その出力であるパルス信号S
PFMをオンレベル(たとえばハイレベル)に遷移させ、リセット信号S
RESETのアサートに応答して、パルス信号S
PFMをオフレベル(ローレベル)に遷移させる。
【0059】
セット信号生成部310は、通常動作時においては、ゼロ電流検出信号V
ZTにもとづいて、二次巻線W2の電流I
S(すなわちトランスT1の残留エネルギー)がゼロとなったことを検出すると、セット信号S
SETをアサートする。
【0060】
セット信号生成部310は、ZTコンパレータ312、ZTブランキング回路314、ワンショット回路320、タイマー回路322、ORゲート326を含む。
【0061】
ZTコンパレータ312は、ヒステリシスコンパレータであり、ゼロ電流検出信号V
ZTをしきい値電圧と比較し、比較結果を示すボトム検出信号S
BOTTOMを出力する。しきい値電圧は、ボトム検出信号S
BOTTOMのレベルに応じて、第1しきい値電圧V
TH1(たとえば0.2V)および第2しきい値電圧V
TH2(たとえば0.1V)の二値を遷移する。
【0062】
二次巻線W2の電流I
Sがゼロ(ゼロカレント)になると、ゼロ電流検出信号V
ZTは大きく振動する。このとき、ゼロ電流検出信号V
ZTは、一旦、第1しきい値電圧V
TH1を超え、その後、第2しきい値電圧V
TH2より低くなるため、ボトム検出信号S
BOTTOMはパルス状に変化する(アサート)。
【0063】
スイッチングトランジスタM1をターンオフした直後、ゼロ電流検出信号V
ZTにはノイズが重畳され、ゼロクロスを誤検出する虞がある。ZTブランキング回路314は、このノイズを除去するために設けられる。ブランキングタイマー316は、スイッチングトランジスタM1のターンオフから所定のマスク時間の間、ローレベルをとりその後ハイレベルをとるマスク信号S
MSKを生成する。ANDゲート318は、ボトム検出信号S
BOTTOMとマスク信号S
MSKの論理積を出力する。
【0064】
ワンショット回路320は、ZTブランキング回路314を通過したボトム検出信号S
BOTTOMのエッジに応答して、セット信号S
SET1を生成する。セット信号S
SET1は、ORゲート326を通過して、フリップフロップ350に入力される。
【0065】
なお、複数回のボトム検出をスイッチングトランジスタM1のターンオンの条件とする場合、ボトム検出信号S
BOTTOMをカウントするカウンタを設けてもよい。
【0066】
パルス変調器302は、ZTコンパレータ312によって二次巻線W2の電流I
Sのゼロクロスが検出できない状況において、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止するのを防止する機能を備える。具体的にはセット信号生成部310は、スイッチングトランジスタM1のターンオフ後、ゼロ電流検出信号V
ZTが、第1しきい値電圧V
TH1に達しない状態が所定の第1時間τ
1持続すると、セット信号S
SETをアサートし、強制的にパルス信号S
PFMをオンレベルに遷移させる。
【0067】
この機能のために、タイマー回路322が設けられる。タイマー回路322は、2個のタイマーを含む。第1のタイマーは、スイッチングトランジスタM1のターンオフ後、ボトム検出信号S
BOTTOMが発生しない時間を測定し、その時間が第1時間τ
1(たとえば15μs)に達する(タイムアウト)と、セット信号S
SET2をアサートする。
【0068】
また、ZT端子のゼロ電流検出信号V
ZTが第1しきい値電圧V
TH1を超えた後に、第2しきい値電圧V
TH2より高い状態が維持されると、ボトム検出信号S
BOTTOMはアサートされず、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。これを防止するために、タイマー回路322は第2のタイマーを含む。第2のタイマーは、ボトム検出信号S
BOTTOMがハイレベルに遷移した後、ハイレベルが第2時間τ
2(たとえば5μs)継続すると、セット信号S
SET3をアサートする。これにより強制的にパルス信号S
PFMがオンレベルに遷移する。
【0069】
リセット信号生成部330について説明する。リセット信号生成部330は、分圧回路332、リーディングエッジブランキング回路334、コンパレータ336を備える。
【0070】
スイッチングトランジスタM1をターンオンした直後、電流検出信号V
CSにはノイズが重畳される。リーディングエッジブランキング回路334はこのノイズを除去するために設けられる。リーディングエッジブランキング回路334は、スイッチングトランジスタM1のターンオンから所定のマスク時間の間、電流検出信号V
CSをマスクする。
【0071】
分圧回路332は、FB端子の電圧を分圧し、フィードバック信号V
FB’を生成する。コンパレータ336は、リーディングエッジブランキング回路334を通過した電流検出信号V
CS’をフィードバック信号V
FB’と比較し、V
CS’がV
FB’に達すると、リセット信号S
RESETをアサートする。
【0072】
以上が一次側コントローラ300の構成例である。続いて、
図5の一次側コントローラ300に対して有効な起動調節回路240について説明する。
【0073】
図6は、
図5の一次側コントローラ300の起動を調節する起動調節回路240の第1構成例(240a)を示す回路図である。
【0074】
起動調節回路240aは、DC/DCコンバータ200の起動時において、スイッチングトランジスタM1がターンオフするごとに、ZT端子の電圧が第1しきい値電圧V
TH1を超えるように、ZT端子に補助信号S
AUXを重畳する。補助信号S
AUXは、電圧信号であってもよいし電流信号であってもよい。これにより、スイッチングトランジスタM1のターンオフ後、第1時間τ
1(15μs)の経過後にスイッチングトランジスタM1が強制オンするのを防止でき、オフ時間を延ばすことができる。
【0075】
より詳しくは、起動調節回路240aは、スイッチングトランジスタM1のターンオフからマスク時間T
MSKの経過後においてゼロ電流検出信号V
ZTが第1しきい値電圧V
TH1より高い状態となるように、補助信号S
AUXを発生する。これにより、補助信号S
AUXに起因するボトム検出信号S
BOTTOMの変化が、ZTブランキング回路314によってマスクされるのを防止できる。補助信号S
AUXは、ゼロカレント検出を妨げないことが求められ、したがってゼロカレント(I
S=0)より前に減衰していることが望ましい。
【0076】
起動調節回路240aは、補助巻線W3の一端に生ずる電圧V
Dを利用して補助信号S
AUXを生成する。具体的には起動調節回路240aは、スイッチングトランジスタM1のターンオフに起因して補助巻線W3の一端の電圧V
Dに発生する急峻な波形、すなわち電圧V
Dの高周波成分を利用して、補助信号S
AUXを生成可能であり、たとえば起動調節回路240はハイパスフィルタを含んでもよい。
【0077】
ここで電圧V
Dに発生するスパイク状の波形は非常に短い時間でのみ発生するため、そのままZT端子に重畳したのでは、ZTブランキング回路314によってマスクされる場合もある。この場合、起動調節回路240aは、電圧V
Dの高周波成分を適切に波形整形し、補助信号S
AUXを生成する。
【0078】
起動調節回路240aは、補助巻線W3の一端とZT端子の間に設けられる第1キャパシタC21を含む。第1キャパシタC21によって、電圧V
Dの高周波成分を抽出することができる。また第1抵抗R21は、第1キャパシタC21と直列に設けられる。第1抵抗R21は、補助信号S
AUXが与えるZT端子の電圧変化量を調節する自由度を与える。第1抵抗R21および第1キャパシタC21は、ハイパスフィルタと把握することが可能である。
【0079】
図7は、
図6の起動調節回路240aの動作を説明する図である。スイッチングトランジスタM1のオン時間T
ONにおいて、補助巻線W3の両端間には、入力電圧V
INに巻線比n
A/n
Pを乗じた電圧が発生し、したがって補助巻線W3の一端の電圧V
Dは、−V
IN×n
A/n
Pとなる。n
Aは補助巻線W3の巻数、n
Pは一次巻線W1の巻数である。スイッチングトランジスタM1がターンオフし、二次巻線W2に電流I
Sが流れる間、電圧V
Dは、出力電圧V
OUTに比例した正の電圧となる。したがってスイッチングトランジスタM1のターンオフに応答して、電圧V
Dは負から正に急峻に変化する。この急峻な変化をハイパスフィルタなどによって抽出することで、補助信号S
AUXを生成できる。
【0080】
続いて
図6のDC/DCコンバータ200の動作を説明する。
【0081】
図6のDC/DCコンバータ200の効果をより明確とするため、先に従来のDC/DCコンバータの動作を説明する。
図8(a)は、従来のDC/DCコンバータの動作波形図である。二次巻線W2に電流が流れる期間、ゼロ電流検出信号V
ZTは、出力電圧V
OUTに巻線比n
P/n
Sを乗じた電圧が現れる。n
pは一次巻線W1の巻数、n
sは二次巻線W2の巻数である。起動直後は出力電圧V
OUTが低いため、ゼロ電流検出信号V
ZTは、第1しきい値電圧V
TH1より低くなる。従来のDC/DCコンバータでは、起動直後において有効なボトム検出信号S
BOTTOMが発生せず、スイッチングトランジスタM1のターンオフ後、所定の第1時間τ
1の経過後に、セット信号S
SET2がアサートされて、強制的にパルス信号S
PFMがオンレベルに遷移する。
【0082】
この場合、二次巻線W2に流れる電流I
Sがゼロに低下するより前に、スイッチングトランジスタM1がターンオンするため、電流連続モードとなる。トランスにエネルギが残留した状態で、スイッチングトランジスタM1がターンオンすると、同期整流トランジスタM2のドレインソース間に大きなサージノイズが発生する。
【0083】
スイッチングトランジスタM1のターンオンによってZT端子に負の過電圧が入力されると好ましくない。そこで
図5には図示されないが、一次側コントローラ300のZT端子と接地の間にスイッチを設け、ZT端子が負電圧となると、スイッチをオンし、ZT端子を0Vに固定してもよい。
【0084】
続いて
図8(b)を参照し、
図6のDC/DCコンバータ200の動作を説明する。
図8(b)は、
図6のDC/DCコンバータ200の動作波形図である。起動調節回路240aによって、ZT端子に補助信号S
AUXが重畳される。これによりゼロ電流検出信号V
ZTは、出力電圧V
OUTに比例する電圧レベルV
OUT×n
P/n
Sより高くなり、第1しきい値電圧V
TH1を超えるようになる。
【0085】
ゼロ電流検出信号V
ZTが第1しきい値電圧V
TH1を超えると、セット信号S
SET2は発生しない。これにより、タイマー回路322(第1のタイマー)によるスイッチングトランジスタM1の強制オフが無効となる。これによりオフ時間を、第1時間τ
1よりも長くすることができる。オフ時間が長くなることで、二次巻線W2の電流I
Sの減少幅が大きくなり、スイッチングトランジスタM1のターンオンのタイミングにおけるトランスの残留エネルギーを減らすことができ、2次側のサージノイズを抑制できる。
【0086】
特に、
図8(b)の2サイクル目以降では、補助信号V
AUXの成分が減衰した後、二次巻線W2の電流I
Sがゼロになると、電圧V
ZTが第2しきい値電圧V
TH2より低くなり、その結果、有効なボトム検出信号S
BOTTOMが発生し、スイッチングトランジスタM1がターンオンする。すなわち臨界モードの動作が実現できる。
【0087】
なお
図8(b)の1サイクル目では、出力電圧V
OUTが低いため、V
OUT×n
P×n
Sが第2しきい値電圧V
TH2より低い。したがって補助信号S
AUXが減衰すると、V
ZT<V
TH2となり、ゼロクロスより前に、ボトム検出信号S
BOTTOMがアサートされ、スイッチングトランジスタM1がターンオンする。
【0088】
2サイクル目以降は、出力電圧V
OUTが増大するため、V
OUT×n
P×n
Sが第2しきい値電圧V
TH2より高くなる。2次巻線の電流I
Sがゼロとなり、ゼロ電流検出信号V
ZTが負方向にスイングすることにより、ボトム検出信号S
BOTTOMが発生し、スイッチングトランジスタM1がターンオンする。したがって、2サイクル目以降は、スイッチングトランジスタM1がターンオンするタイミングにおいて、トランスの残留エネルギーはゼロとなっており、2次側のサージノイズが低減される。
【0089】
1サイクル目のように、ゼロ電流検出信号V
ZTが第1しきい値電圧V
TH1を超えた後に、補助信号S
AUXの減衰によって第2しきい値電圧V
TH2を下回ってしまうと、ZTコンパレータ312によるボトム検出が発生し、パルス信号S
PFMがハイレベルに遷移してしまう。このときのオフ時間が短すぎると、次のサイクルで発生する2次側のサージノイズNSを十分に抑制できない場合がある。以下の第2構成例では、この問題を解決するための方法を説明する。
【0090】
図9は、
図5の一次側コントローラ300の起動を調節する起動調節回路240の第2構成例(240b)を示す回路図である。起動調節回路240bは、DC/DCコンバータ200の起動時において、ゼロ電流検出信号V
ZTのベースライン(ボトムライン)が、第2しきい値電圧V
TH2を超えるように、ZT端子の電気的状態を調節する。
【0091】
図9の起動調節回路240bは、電源電圧V
CCを利用して、ゼロ電流検出信号V
ZTのベースラインを調節する。起動調節回路240bは、
図6の起動調節回路240aに加えて、平滑化キャパシタC2とZT端子の間に設けられた第2抵抗R22をさらに備える。これにより、ゼロ電流検出信号V
ZTに、V
CC×R
ZT2/(R
ZT2+R22)の初期オフセットV
OFSを与えることができる。
【0092】
図10は、
図9のDC/DCコンバータ200の動作波形図である。ゼロ電流検出信号V
ZTには、初期オフセットV
OFS(たとえば60mV)与えられる。これによりゼロ電流検出信号V
ZTが、第2しきい値電圧V
TH2より低くなるまでの減衰時間を、
図8(b)より遅らせることができる。これにより、スイッチングトランジスタM1のオフ時間をさらに延ばすことができ、2次側のサージノイズを一層小さくできる。
【0093】
なお
図10では、第1サイクルにおいて、補助信号S
AUXが重畳されたゼロ電流検出信号V
ZTが第2しきい値電圧V
TH2に減衰するより前に、二次巻線W2の電流がゼロとなり、それによりゼロ電流検出信号V
ZTが負方向にスイングしている。
【0094】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0095】
(第1変形例)
図5に関連して、タイマー回路322の15μsのタイムアウト機能を備えない場合、
図9の起動調節回路240bの抵抗R21およびキャパシタC21を省略し、抵抗R22のみで構成してもよい。
【0096】
(第2変形例)
起動調節回路240の具体的な構成は特に限定されない。たとえば
図6の起動調節回路240aを、スイッチングトランジスタM1のターンオフに応答して、ZT端子に電流パルスを注入(ソース)する電流源で構成してもよい。
【0097】
あるいは
図9では、電源回路が生成する電源電圧V
CCを利用して、ZT端子の電圧をシフトしたがそれには限定されない。たとえば電源電圧V
CCに代えて、DC/DCコンバータ200の入力電圧V
INを利用してもよい、そのほかの電源回路が生成する直流電圧を利用してもよい。
【0098】
(第3変形例)
繰り返しになるが、一次側コントローラ300の内部構成は特に限定されない。一次側コントローラ300は、さまざまなベンダーから多くの回路が提供されおり、ZT端子のボトム検出の方式は様々である。起動調節回路240は、一次側コントローラ300の内部構成や制御方式を考慮して、起動時のスイッチングトランジスタM1のオフ次間が長くなるように、設計すればよい。
【0099】
(第4変形例)
実施の形態では、同期整流型のDC/DCコンバータを説明したが、本発明はダイオード整流型のDC/DCコンバータにも適用可能である。
【0100】
(用途)
最後にDC/DCコンバータ200の用途を説明する。DC/DCコンバータ200は、ACアダプタや電子機器の電源ブロックに好適に利用されるAC/DCコンバータ100に利用できる。
【0101】
図11は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0102】
図12(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図12(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
【0103】
プラグ902は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体904内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0104】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。