(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6723265
(24)【登録日】2020年6月25日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】水及びガス分離のための炭素含有膜
(51)【国際特許分類】
B01D 71/02 20060101AFI20200706BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20200706BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20200706BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20200706BHJP
C01B 32/192 20170101ALI20200706BHJP
C01B 32/198 20170101ALI20200706BHJP
C01B 37/00 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
B01D71/02 500
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/02
B01D69/00
C01B32/192
C01B32/198
C01B37/00
【請求項の数】17
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-557928(P2017-557928)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公表番号】特表2018-521833(P2018-521833A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】DE2016000141
(87)【国際公開番号】WO2016177355
(87)【国際公開日】20161110
【審査請求日】2018年11月30日
(31)【優先権主張番号】102015005732.4
(32)【優先日】2015年5月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035448
【氏名又は名称】フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ヘステル・ティム
(72)【発明者】
【氏名】ギヨン・オリヴィエ
【審査官】
岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/168629(WO,A1)
【文献】
特開2013−237015(JP,A)
【文献】
特表2014−531306(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/004514(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/147272(WO,A1)
【文献】
特開2014−001098(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0230653(US,A1)
【文献】
特表2016−522737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 71/02
B01D 69/00
B01D 69/10
B01D 69/12
C01B 32/192
C01B 32/198
C01B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔径が>50nmの孔を持つマクロ孔性セラミックキャリアレイヤー(1)上に、平均孔径が2nm〜50nmの孔を有する少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤー(2)が施与され、及びその上に、平均孔径が<0.5nmのミクロ孔性カバーレイヤー(3)が施与される膜装置の製造方法であって、
5〜1000層の酸化グラフェン層を含むミクロ孔性カバーレイヤー(3)が、コロイド分散液を用いてディップコート法により施与され、次いで200℃までの温度で乾燥され、その後450℃までの温度で熱処理されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
粒径が10nmと5μmとの間の酸化グラフェン粒子を含むコロイド分散液が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コロイド分散液1リットル当たり20mgと2gとの間の酸化グラフェン粒子の固形物含有率を有する希釈されたコロイド分散液が使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤー(2)が、イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウムを含む、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥ステップ及び前記熱処理の後に、更なる熱処理が200℃と1000℃との間の温度で行われる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記更なる熱処理が、還元性雰囲気下にまたは不活性ガス下にまたは真空下に行われ、及びカバーレイヤーの酸化グラフェンが少なくとも部分的にグラフェンに還元される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記乾燥ステップ及び前記熱処理の後に、カバーレイヤーの化学的還元が200℃までの温度で行われ、この際、カバーレイヤーの酸化グラフェンが少なくとも部分的にグラフェンに還元される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記ミクロ孔性カバーレイヤー(3)が、少なくとも部分的にグラフェンを含む、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
−孔径が>50nmの孔を持つ少なくとも一つのマクロ孔性セラミックキャリアレイヤー(1)、
−その上に配置された、平均孔径が2nm〜50nmの孔を持つ少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤー(2)、
−及び、前記メソ孔性中間レイヤー(2)上に配置された、平均孔径が<0.5nmの孔を持つ少なくとも一つのミクロ孔性カバーレイヤー(3)、
を含む、請求項1〜8のいずれか一つに従い製造できるマルチレイヤー型膜装置であって、
−前記ミクロ孔性カバーレイヤー(3)が、酸化グラファイト、部分的に還元された酸化グラファイトまたはグラファイトを含むこと、及び
−前記ミクロ孔性カバーレイヤー(3)が熱活性化されたガス輸送を可能とし及び分子篩特性を有すること、
を特徴とする、前記マルチレイヤー型膜装置。
【請求項10】
少なくとも二つのメソ孔性中間レイヤーを備えた請求項9に記載の膜装置であって、カバーレイヤーの方向に、粒径及び粗さ、並びに孔径も減少している、前記膜装置。
【請求項11】
少なくとも二つのメソ孔性中間レイヤーを備えた請求項9または10に記載の膜装置であって、そのうち第一のメソ孔性中間レイヤーが、マクロ孔性キャリアレイヤーと接触しており、そして第二のメソ孔性中間レイヤーが、ミクロ孔性カバーレイヤーと接触しており、かつ少なくとも一つの中間レイヤーが、5nm未満の平均孔径を持つ孔を含む、前記膜装置。
【請求項12】
α−Al2O3、TiO2、ZrO2、YSZ、SiO2、CeO2、MgO、Y2O3、Gd2O3、ムライト、コーディエライト、ゼオライト、BaTiO3、金属成分、炭素、SiC、Si3N4、SiOC、SiCN、AlNまたは上記材料の混合物を含むマクロ孔性キャリアレイヤーを備えた、請求項11に記載の膜装置。
【請求項13】
少なくとも一つのセラミックメソ孔性中間レイヤー、特にγ−Al2O3、TiO2、ZrO2、YSZ、SiO2、CeO2、MgO、Y2O3、Gd2O3、ZnO、SnO2、ムライト、コーディエライト、ゼオライト、有機金属フレームワーク材料(MOF)、粘土、BaTiO3、炭素、SiC、Si3N4、AlN、SiOC、SiCN、AlNまたは上記の材料の混合物を含む少なくとも一つのセラミックメソ孔性中間レイヤーを備えた、請求項9〜12のいずれか一つに記載の膜装置。
【請求項14】
第一のメソ孔性中間レイヤーが、1μmと20μmとの間のレイヤー厚を有する及び/または第二のメソ孔性中間レイヤーが、0.1μmと2μmとの間のレイヤー厚を有する、請求項11〜13のいずれか一つに記載の膜装置。
【請求項15】
ミクロ孔性カバー層が、3nmと2μmとの間の、有利には5nmと300nmとの間のレイヤー厚を有する、請求項9〜14のいずれか一つに記載の膜装置。
【請求項16】
ミクロ孔性カバーレイヤーが、5層と1000層との間の酸化グラフェン層、部分的に還元された酸化グラフェン層またはグラフェン層を含む、請求項9〜15のいずれか一つに記載の膜装置。
【請求項17】
ミクロ孔性カバーレイヤーが、Ar/3%H2中、750℃で熱処理した後に、少なくとも15000S/mの電気伝導率を有する、請求項9〜16のいずれか一つに記載の膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に水またはガスの分離に使用できる、炭素含有膜、特に酸化グラファイトまたはグラファイトを含む膜に関する。
【背景技術】
【0002】
分離膜は、原則的に多孔性レイヤーまたは非多孔性レイヤーとして存在することができる。分離膜の中では、均一膜と非対称膜とが区別される。この際、均一膜は、面当たりのできるだけ高い透過性を備えるために通常は非常に薄く形成される。しかし、この薄膜では、機械的安定性がしばしば十分ではない。これに対して、非対称膜では、高い透過性を持つ機械的に安定した多孔性下地構造体上に非常に薄い分離レイヤーが配置される。
【0003】
分離方法は、それに関与する相(固体、液体、気体)に従って分類することができ、そして工業的に幅広く使用されている。膜プロセスは、従来の分離方法、例えば蒸留、結晶化、凍結分離、吸着のまたは抽出さえの代替法としても益々考慮されるようになっている。しかし、一方では必要な分離特性を有し、また同時に過酷な作業条件(高温、高圧、水蒸気、腐食性ガス、浸食性液体)に耐える適切な膜が従来無く、そのためその使用は不利に制限されている。
【0004】
これまで分離方法に商業的に使用されてきた膜には、一般的に、機械的、熱的及び化学的安定性が欠けている点に関して或る一定の欠点を持ち、そのため制限付きでしか使用できないポリマー材料が含まれる。
【0005】
他方で、ゼオライト、シリカ(SiO
2)または炭素からなる機能レイヤーを有するセラミック微孔性膜や、SiO
2の他に炭素原子を有するいわゆるハイブリッドSiO
2膜が既に知られている。これらの膜は、ポリマー膜の代替品として提案されている。これらは他の使用分野で使用可能であり、加えて明らかにより長い寿命を有する。これらは、多くの場合に大概の有機溶剤に対して耐性があり、そして通常は、ハイブリッド型膜の場合には約300℃までまたは場合より更に高い温度までさえ温度安定性である。
【0006】
特にゼオライト膜は、溶媒の分離方法、例えば液相法(パーベーパレーション法(PV))または蒸気相法(蒸気透過法(VP)(Vapour Permeation))での使用に、実験規模だけでなく、大規模工業的にも適している。このような膜の幾つかは、約0.5nm前後の極めて狭い細孔分布を示し、そして特に、全ての種類の有機溶剤から水を分離するために適している。
【0007】
ミクロ孔性非晶質SiO
2膜は、20年以上前から既に知られている。これらの層は、通常、ゾルゲル法を用いてγ−Al
2O
3を含むメソ孔性キャリア上に施与された孔径が<0.5nmのミクロ孔性SiO
2膜レイヤーを有する。それらが登場して以来、これらの膜に対する関心は高まっている。なぜならば、これらは、水の分離にもガスの分離にも十分に良好な分離特性を有するからである。
【0008】
このようなミクロ孔性セラミックガス分離膜の特徴的な性質の一つは、熱により活性化されるガス輸送である。高品質の膜では、ガス流量(flux)が、ミクロ孔性材料によって、以下のアレニウスの式に従い温度の関数として上昇することが判明した。
【0009】
J=J
0exp(−E
act/RT)
J=ガス流量(mol m
−2s
−1)、J
0=温度依存係数(mol m
−2s
−1)、R=気体定数(J mol
−1K
−1)、T=温度(K)及びE
act=活性化エネルギー(kJ mol
−1)。
【0010】
ゼオライト分離膜及び非晶質SiO
2分離膜におけるガス輸送のための活性化エネルギーの確定は、これが、拡散のための活性化エネルギーと分離膜の孔径及び品質との間の関係を与えることを示した。一般的に、小さな孔の場合の活性化エネルギーは、大きな孔の場合よりも高い。更に、所与の分離膜のための活性化エネルギーはその品質と共に高まる。この際、高品質の膜とは、亀裂または他の欠陥(例えば大きな孔)を持たずかつ狭い孔径分布を有する膜と見なされる。高価値のミクロ孔性セラミック膜では、拡散性ガス、例えばHeまたはH
2のためのE
act値は一般的に10kJmol
−1を超える。
【0011】
加えて、最小のガス分子、例えばHeまたはH
2の拡散のための高い活性化エネルギーを持つ分離膜は分子篩特性を持つ、すなわち透過性はガス分子が小さくなるほど大きくなる、すなわちN
2<CO
2<H
2<Heである。それ故、このような分離膜は、通常、最小のガス分子(He、H
2)に高いガス選択性を持つ。
【0012】
しかし、ゼオライト膜だけでなく、ポリマー膜の可能な代替物として考えられる非晶質SiO
2ベース膜も、酸性及びアルカリ性溶液に対する耐性が限られているという欠点を持つ。加えて、幾つかのゼオライト膜及び特に慣用の非晶質SiO
2膜は、水熱条件に対しては耐用期間が長くないことが分かった。
【0013】
プラクチスでは、非晶質SiO
2膜の使用は、この材料が水に特に弱いために、通常は乾燥環境での用途に限られる。材料安定性を高めるために、多くの変性SiO
2膜が製造された。同様に、これらの膜は、ゾルゲル法により、メソ孔性γ−Al
2O
3を含むキャリア上に施与された。
【0014】
これらは、非晶質SiO
2の他に、例えばZrO
2またはTiO
2などの酸化物や、例えばNiまたはCoなどの金属も第二の成分として含んでいた。しかし、そういう理由からも、十分な安定性及び水−またはガス分離にとって適切な孔径分布を持つ適当な膜は得られなかった。
【0015】
現在は、液状の水及び水蒸気に対して150℃までの温度で向上した耐性を持つハイブリッド型炭素含有SiO
2膜も知られている(Hybsi(登録商標))。しかし、この膜の部分的なSiO
2特質の故に、プラクチスでは水中での使用分野は同様に限られている。更に、熱安定性も最大300℃までで限られており、これは、ガス分離における用途可能性を制限する。このような膜は、通常は、分子篩プロセスを用いて最小のガス分子(He、H
2)を他のガス分子(例えばCO
2、N
2、CH
4)から分離することもできない。なぜならば、孔径が典型的には0.5nmを超えるからである。
【0016】
最近では、グラフェン及び酸化グラフェンが、可能な膜材料として非常に大きな注目を受けている。この際、グラフェン及び酸化グラフェンは、厳密に言えば1原子層厚だけ形成される膜と見なすことができる。それ故、これらは、概して最も薄い人工的に製造される膜である。
【0017】
グラフェンとは、sp
2−混成炭素からなる2次元の単層炭素層であって、炭素原子がハニカム構造で配置されている炭素層と理解される。酸化グラフェンは、グラフェンの相応して機能化された形態であり、酸素含有基、例えばヒドロキシル基、エポキシド基、カルボニル基、カルボキシル基、ラクトン基及びキノン基が縁部にも、面中にも結合しているものである。酸化グラフェンは、sp
2混成炭素だけでなく、sp
3混成炭素も含む。
【0018】
グラフェン及び酸化グラフェンレイヤーは、最小のガス分子であるヘリウムを初めとして、液体だけでなく、ガスに対しても透過性ではないと推測された。それ故、透過性膜を得るために、このような膜に小さな裂け目を付与することが提案された。これは、例えばエッチングプロセスによって行うことができる。
【0019】
2013年には既に、ロッキードマーチン社から、穿孔膜であるPerforene
TMが発表された。これは、1原子層厚だけで形成され、グラフェンレイヤーからなりそして約1nmの直径を持つ穴を有する。この膜の利点としては次が挙げられる:
a)これは、高いpH値、浸食性の洗浄剤に対して耐性がある;
b)これは高温度下に使用可能である;
c)これは良好な分離作用を示す;
d)これは、水の向上した貫流を示し、それによってエネルギー節約的である;
e)これは電気伝導性かつ疎水性であり、それによって実際の用途で閉塞する傾向が低下する。
【0020】
しかしながら、孔の形成を正確に制御するための方法はこれまでまだ知られていない。他の技術的な挑戦は、例えばこのような膜の大規模製造及びそれの頑丈さである。
【0021】
代替的に、いわゆる少層グラフィンまたは酸化グラフェンを得るために幾つかのグラフェン層または酸化グラフェン層を積層することが提案された。層をコンパクトかつ緻密に積層すると、横方向のナノチャネルが形成する。例えばHe、H
2または水などの小さな分子はこれを通り抜けることができるが、より大きな分子に対しては透過性ではない。通常はかつ本発明の枠内では、10つ未満のグラフェン層もしくは酸化グラフェン層からなる集合体が少層グラフェンまたは酸化グラフェンと称される。通常は、層数がより多いレイヤーは、酸化グラファイトレイヤーまたはグラファイトレイヤーと称することができる。
【0022】
更に、ここ2〜3年の間に、積層された酸化グラフェン層を含みそして多くの場合に酸化グラフェン膜と称され及び分離膜としてのそれらの原則的な適性を強調する膜が開示された。このような膜は、個々の層の間の間隔が、例えば結合した機能性酸素含有基によって及び水素分子の割り込みによって比較的大きいにもかかわらず、グラファイトと匹敵する積層構造を有する。個々の酸化グラフェン層の正確な構造及び組成は、グラフェン層の場合とは異なり明確には定義されない。グラフェンとは異なり、酸化グラフェンはsp
2及びsp
3炭素原子を含み、そのため、層は、平坦ではなく不規則に波打った構造を有する。
【0023】
グラフェンオキシドは、例えば酸化グラファイトから得ることができる。この際、酸化グラファイトとは、炭素、酸素及び水素からなる非化学理論的化合物のことと解され、その総合式は、製造条件により大きく変化する。また、酸化グラファイトは、例えばブロディー、ハンマーまたはシュタウデンマイヤーの既知の合成法を用いて、強い酸化剤の使用下にグラファイトから得ることができる。酸化グラファイトの製造では、グラファイト中のグラフェン層が酸化されて、親水性材料が得られる。酸化グラファイトの特別な特性の一つは、これが水中にコロイド状に分散でき、そうしてコロイド分散液が形成されることである。例えば超音波エネルギーを用いた酸化グラファイトの個々の層の剥離により単層酸化グラフェンが得られる。
【0024】
セラミック基材上でのグラフェンコーティングの形成については、例えばWO2014/00454A1(特許文献1)に当たることができる。そこでは、750℃と1250℃との間で、セラミック基材を、グラフェン、酸化グラフェンもしくはグラファイトとケイ素含有材料とからなる混合物で酸素不含雰囲気中で処理している。
【0025】
更に、US2011/0148248A1(特許文献2)からは、熱エネルギーを電流に直接変換するための装置であって、中でも、一対の向かい合った表面とその間にあるガスを含む装置が知られている。ガス分子は、それらの熱エネルギーの故に、第一の表面から第二の表面への荷電輸送を引き起こし、ここでこれらの表面は、具体的な実施形態の一つではグラファイトまたはグラフェンを含むことができる。
【0026】
上記の種類の膜の典型的な製造経路は、個々の酸化グラフェンレイヤーをバキューム−フィルター法によりキャリア材料上に施与するようになっている。コーティングの時は、単層酸化グラフェン及び水からなるコロイド分散液が使用される。
【0027】
代替的に、H.Huangら「Facile one−step forming of NiO and yttrium−stabilized zirconia composite anodes with straight open pores for planar solid oxide fuel cell using phase−inversion tape casting method」,Journal of Power Sources 274(2015),1114〜1117(非特許文献1)からは、セラミックレイヤーをグラファイトでコーティングする方法であって、キャリアフィルム上にグラファイトスラリー、次いでNiO−YSZスラリーを順次施与し、そしてそのグリーンボディの固化するために水浴中に入れる方法が知られている。
【0028】
試験規模で製造した単層もしくは多層酸化グラフェン膜が既に非常に有利な特性を有するにもかかわらず、これは、商業的な使用分野では目下まだそれほど関心を持たれていない。というのも、なおも幾つかの欠点を招くからである。このような欠点としては次のものが挙げられる:
a)この膜は、工業的な用途における過酷な作業条件(高温、水熱条件、腐食性ガス、浸食性液体)に耐えることができる適切なキャリアをなおも含まない。
b)この膜は、通常は、キャリアとしっかりと接合されない。
c)頑丈なキャリアを備えていないため、この膜は耐圧性でない。
d)現在は、この膜は、大規模用に任意に転用できない方法により製造されている。
e)この膜は、現在は、工業的なプラントで必要な大きさ及び寸法を持たない。
f)この膜は、例えば既知の非晶質SiO
2ベースのミクロ孔性膜のように、小分子−篩作用を持たない。
【0029】
文献から知られるミクロ孔性セラミック膜(例えば、非晶質SiO
2、ハイブリッド型炭素含有SiO
2、炭素)では、メソ孔性レイヤーは、一般的に、γ−酸化アルミニウム(γ−Al
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ケイ素(SiO
2)または上記の材料の混合物を含み、このレイヤーは、例えばゾルゲルコーティング法で製造できる。しかし、これらのレイヤーは、通常は、限られた化学的(γ−Al
2O
3、SiO
2)、熱的(TiO
2、ZrO
2)または水熱(全て)安定性しか持たない。
【0030】
WO2009/1179778A1(特許文献3)からは、選択的ガス分離のためのマルチレイヤー型複合体膜が既に知られており、この膜では、マルチレイヤー型多孔性キャリア上に、混合導電性材料でできたガス気密の機能性レイヤーが施与されている。
【0031】
更に、US2014/0230653A1(特許文献4)には、非常に薄い酸化グラフェン膜の製造方法が開示されており、この方法では、分散した酸化グラフェンを多孔性基材中に案内し、それによって酸化グラフェン膜を形成している。こうして製造された膜は、1.8nmと180nmとの間のレイヤー厚を有している。コーティング自体は、酸化グラフェン薄片をそれぞれ3〜30層含む。
【0032】
更に、これまで知られている酸化グラフェン膜は室温で製造されるかまたは220℃までの僅かに高めた温度下だけで処理されている。従来使用されたキャリア材料の故に及び/または酸化グラフェン膜の特性、例えばレイヤー厚の故に、このような膜にはこれまでより高い温度(T>220℃)は使用できなかった。
【0033】
理論的には、少数のグラフェン層のみから構成された膜は、ガス混合物(例えばCO
2、N
2、COやまたはCH
4も含むガス混合物)からの比較的小さな分子(He、H
2)の分離に特に良好に適しているようである。というのも、グラフェン層間の中間レイヤー間隔は0.335nmのオーダーであるからである。少層酸化グラフェン及び酸化グラファイトにおける酸化グラフェン単層間の中間レイヤー間隔は、グラフェン層間のそれよりも大きいことが推察される。水(液状、蒸気)の存在に依存するが、文献には、0.6nm〜1nm超の酸化グラフェン単層間の中間レイヤー間隔が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】WO2014/00454A1
【特許文献2】US2011/0148248A1
【特許文献3】WO2009/1179778A1
【特許文献4】US2014/0230653A1
【非特許文献】
【0035】
【非特許文献1】H.Huangら「Facile one−step forming of NiO and yttrium−stabilized zirconia composite anodes with straight open pores for planar solid oxide fuel cell using phase−inversion tape casting method」,Journal of Power Sources 274(2015),1114〜1117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明の課題は、従来技術に記載される難点を克服しかつ特に比較的高い温度下、圧力下及び水熱条件下でも使用可能な、工業的使用のための酸化グラファイトまたはグラファイトを含む膜を提供することである。更に、このような膜の提供のための製造方法の提供も本発明の課題である。
【0037】
本発明の上記課題は、主請求項に従う膜によって、並びに副請求項に従うこのような膜の製造方法によって解消される。該膜または製造方法の有利な形態は、それらを引用する請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明は、使用分野に応じて、水またはより小さなガス分子、例えばHeまたはH
2を通過させることができ、それによってガス状または液状混合物から分離できる、細孔構造を持つマルチレイヤーセラミック膜装置に関する。このためには、本発明による膜装置は、マクロ孔性キャリア、その上に配置された少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤー、及びこの中間レイヤーの上に配置された少なくとも一つの酸化グラファイトもしくはグラファイト含有ミクロ孔性カバーレイヤーを含む。
【0039】
この際、本発明では、有利に、熱的、化学的及び機械的に安定のキャリアシステム(マクロ孔性キャリア及びメソ孔性レイヤー)が、酸化グラファイトまたはグラファイトを含む機能性カバーレイヤーと接合されて多方面で使用可能な膜装置となる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の枠内では、酸化グラファイトまたはグラファイトを含むカバーレイヤーとは、積層されたグラフェン及び/または酸化グラフェン単層のレイヤー形成物のことと理解される。この際、これらの単層の数は約5と1000との間の範囲で様々である。1000単層のグラフェンが約600nmのレイヤー厚及び1000単層の酸化グラフェンが約1〜2μmのレイヤー厚を有するという前提の下に、カバーレイヤーのレイヤー厚は、それ故、典型的には2μm未満、有利には更に300nm未満である。
【0041】
本発明によるマルチレイヤー型膜装置のマクロ孔性キャリアレイヤーとしては、例えば、通例の慣用的なセラミック粉体技術法を介して製造できる多孔性α−Al
2O
3キャリアを使用できる。しかし、更には、既に既知のキャリア材料、例えば二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウム(YSZ)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化セリウム(CeO
2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化ガドリウム(Gd
2O
3)、炭化ケイ素(SiC)、炭素または金属製部品もキャリアとして使用できる。キャリア構造のための更に別の適切なセラミック材料は、例えばムライト、コーディエライト、ゼオライト、酸化チタンバリウム(BaTiO
3)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、酸炭化ケイ素(SiOC)、炭窒化ケイ素(SiCN)、窒化アルミニウム(AlN)または上記の材料の混合物である。
【0042】
マクロ孔性キャリアは単層または多層状に勾配付けできる。比較的多くのマクロ孔性レイヤーを設ける場合には、キャリアから離れて配置されたレイヤーは、通常は、キャリア近くに配置された中間レイヤーよりも小さな平均孔径を有する。マクロ孔性レイヤーの材料としては、既に言及したキャリア材料を使用できる。マクロ孔性レイヤーは、従来の方法、例えば懸濁液コーティング法またはドクターブレードを用いてキャリア上に施与できる。
【0043】
しかし、上記のレイヤーは、勾配付けされたキャリアレイヤーとしてのみ形成することもできる。
【0044】
この際、上記のキャリア自体は、全ての既知の形状で、すなわち平坦なレイヤーとして、シリンダ型の管として、中空繊維としてまたは毛管としても存在することができる。キャリアがシリンダ状の管、中空繊維または毛管の形を有する場合には、残りのレイヤー及びカバーレイヤーは、内側上にも、外側上にも配置することができる。更に、キャリア自体は、マルチチャネル要素として、例えばマルチチャネルプレートまたはマルチチャネル管としてまたはハニカム構造に形成することもできる。
【0045】
マクロ孔性キャリアレイヤーと機能性カバーレイヤーとの間には、少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤーが配置される。これは、キャリアの方向から見て、一方では比較的小さな平均孔径を有し、他方で比較的小さな表面粗さを有する。キャリアレイヤー上に配置されたメソ孔性中間レイヤーの平均孔径は、通常は2nmと50nmとの間である。
【0046】
比較的多くのメソ孔性中間レイヤーを設ける場合には、キャリアから離れて配置されたメソ孔性中間レイヤーは、通常は、キャリア近くに配置された中間レイヤーよりも小さな平均孔径及び表面粗さを有する。有利には、比較的多くのメソ孔性中間レイヤーの場合には、少なくとも一つのレイヤーが、有利にはカバーレイヤーとの接触が予定されている層が<5nmの平均孔径を有する。
【0047】
しかし代替的に、上記のメソ孔性中間レイヤーは、勾配付けしたレイヤーだけとして形成してもよい。
【0048】
メソ孔性レイヤーの適当な材料は、γ−Al
2O
3の他、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウム(YSZ)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化セリウム(CeO
2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化ガドリニウム(Gd
2O
3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO
2)、ムライト、コーディエライト、ゼオライト、有機金属フレームワーク材料(MOF)、粘土、酸化チタンバリウム(BaTiO
3)、炭素、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、酸炭化ケイ素(SiOC)、炭窒化ケイ素(SiCN)、窒化アルミニウム(AlN)または上記の材料の混合物である。
【0049】
メソ孔性レイヤーも同様に、慣用の方法、例えばコロイド分散液を用いたコーティング、ゾルゲルコーティング法または水熱合成により、マクロ孔性レイヤー上に施与することができる。このためには、5〜200nmの平均粒子直径を有する粒子を、典型的なバインダー、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールまたはセルロース化合物と一緒に水中に溶解した状態で有利に使用する。原料に必要な小さな粒度の故に、メソ孔性レイヤーを製造するための金属材料は通常は適していない。コーティング工程の後に、乾燥を100℃までの温度で行う。乾燥プロセスの後には、レイヤーをか焼するために300℃を超える温度で熱処理ステップを行う。
【0050】
本発明の有利な形態の一つでは、8モル%酸化イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウム(8YSZ)を含むメソ孔性レイヤーを、ディップコーティング法(浸漬コーティング)を用いてマクロ孔性キャリア上に施与する。このようなレイヤーが、1000℃までの温度を無事に耐えることが判明した。別個のプロセスステップにおいて高温処理によって酸化グラフェンの完全な還元を有利に引き起こすためには、500℃〜900℃の範囲の温度が必要である。
【0051】
特に、該膜装置は、>50nmの範囲の孔を有する少なくとも一つのマクロ孔性キャリア、並びに0.1μmと10μmのレイヤー厚で2nm〜<50nmの範囲の孔を有する少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤーを有する。
【0052】
本発明によるマルチレイヤー型セラミック膜装置のミクロ孔性カバーレイヤーは通常0.3〜1.5nmの範囲の孔を有する。このレイヤーのレイヤー厚は通常2μm未満、好ましくは5nmと1μmとの間、有利には5nmと300nmとの間である。この際、このカバーレイヤーの孔径は、本質的に、カバーレイヤーのグラフェン−及び酸化グラフェン層の中間レイヤー間隔によって決定される。
【0053】
メソ孔性中間レイヤー上にミクロ孔性カバーレイヤーを施与するためには、これを、単層酸化グラフェン粒子及び水からなるコロイド分散液でコーティングする。この際、施与法として、浸漬コーティング(ディップコーティング)、回転塗布法(スピンコーティング)、噴霧法、フラッド法、ドロップコーティング、ロールコーティング(ローラーコーティング)、インクジェット印刷や、真空濾過法も考慮される。
【0054】
水性分散液の他に、酸化グラフェン粒子及び極性有機溶剤、例えばアルコール、エーテル、環状エーテル(THF、DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる分散液も使用し得る。
【0055】
酸化グラフェン粒子の施与後は、200℃までの温度で乾燥を行う。乾燥後、メソ孔性レイヤーへのカバーレイヤーの必要な結合を引き起こすために及びカバーレイヤーの構造安定性の向上のために、450℃までの温度での熱処理を続ける。
【0056】
カバーレイヤーは、通常は、乾燥プロセスのおよび熱処理の間に剥がれる傾向を示す。この効果はレイヤー厚を制限する。特に厚いカバーレイヤーを施与するべき時は、これを複数のプロセスステップで行うことが得策である。この際、第一のステップで施与されたレイヤーを乾燥し、そして場合によりベークしたら直ぐに第二のステップを行うことができる。この際、一つの施与ステップで、典型的にはそれぞれ100nmまでのレイヤー厚を達成できる。
【0057】
本発明の有利な形態の一つでは、単層酸化グラフェン粒子及び水からなるコロイド分散液を、ディップコーティング法によりメソ孔レイヤー上に施与する。ディップコーティング法が、非常に均一かつコンパクトな酸化グラフェン層を含むカバーレイヤーを与えることが判明した。更に、浸漬コーティング法は、膜を全ての任意の大きさ及び寸法で製造することを可能とし及び大きな規模に転換できるコーティング法である。その後に、約25℃の温度で乾燥ステップを行う。次いで、カバーレイヤーを空気下に、好ましくは200℃超の温度、例えば300℃または最大450℃までの温度でベークする。この熱プロセスステップによって、一方では頑丈で熱安定性のカバーレイヤーが得られ、これは更に、その下に配置されているメソ孔性中間レイヤーに対する非常に良好な結合も示す。
【0058】
カバーレイヤーが割れる危険を防ぐために、メソ孔性中間レイヤーを、酸化グラファイトまたは場合により少層酸化グラフェンを含む非常に薄いレイヤーだけでコーティングすることが提案される。このためには、特に、単層酸化グラフェン粒子を含む高度に希釈されたコロイド分散液を使用することができる。この際、高度に希釈されたコロイド分散液とは、固形物含有率が20mg/リットルと2000mg/リットルとの間、好ましくは200mg/リットルと400mg/リットルとの間である分散液のことと理解される。
【0059】
施与されたレイヤーは、好ましくは、2μm未満のレイヤー厚、好ましくはそれどころかわずか5nm〜1μmの範囲のレイヤー厚、特に有利には5nmと300nmとの間の範囲のレイヤー厚を有する。
【0060】
上記の方法に従い製造された膜装置は、典型的には、主として酸化グラファイトまたは少層酸化グラフェンを含むカバーレイヤーを含む。
【0061】
カバーレイヤーの個々の酸化グラフェン層は、通常は、含水率に依存して0.6nm〜1.3nmの中間レイヤー間隔を有する。酸化グラフェン自体は親水性である。それ故、このような機能レイヤーは、液状またはガス相中の水を他のより大きな分子から分離するべき分離課題に特に適している。
【0062】
機能性酸化グラファイトまたは少層酸化グラフェンレイヤーは、旧来のガス分離にも適している。このようなレイヤーの利点は、個々の層の間の間隔を、有利には、含水率の適合によって調節できる点である。該膜は乾燥条件下にHe及びH
2に選択的であることが判明した。より大きな分子は保持される。含水条件下では、水分子は酸化グラフェン層間に挿入される。それによって、該膜は、選択的に水溶性のガス分子を難溶性の分子から分離することができる。この際、水溶性CO
2は例えば膜中を浸透するが、他方で難溶性の分子、例えばN
2はむしろ保持される。
【0063】
しかし、用途に応じて、酸化グラファイトまたは少層酸化グラフェンを含むカバーレイヤーの代わりに、少なくとも部分的にもしくは完全に存在するグラファイトもしくは少層グラフェンカバーレイヤーを用いた形態も望ましい。
【0064】
カバーレイヤーの少なくとも部分的な還元及びグラファイト類似構造の形成は非常に有利であると思われる。グラファイトは、非常に安定したC−C結合によって結合されるsp
2混成炭素原子からなる。sp
2混成及びそれにより存在する脱局在化されたπ電子は、グラファイトの電導性だけを説明するものではない。それによって、グラファイトは、十分に化学的耐性のある構造を獲得し、そして酸化グラファイトと比べて熱分解に対する耐性がかなりより高い。酸化グラフェン層中のsp
3混成炭素及び酸素含有官能性基の存在は、通常、これらが熱的及び化学的に不安定になるという結果を招く。材料の熱分解(空気での酸化)及び腐食(例えば水蒸気での腐食)は、通常はこれらの箇所で始まる。
【0065】
例えば、酸化グラフェン粒子が200℃で10時間の期間にわたっての水蒸気を用いた水熱処理の後には既により小さな断片に崩壊することを示し得る。それ故、比較的高い温度及び水蒸気の使用下でのガス分離のための用途が意図される場合には、カバーレイヤーを、製造の間に、主としてsp
2混成炭素を有するグラファイト類似材料に転化することが得策である。
【0066】
安定性の向上には依存せずに、同様に、高温度下での酸化グラファイト製カバーレイヤーの熱還元が、透過するガスのガス透過の明らかな向上をもたらすことが見出された。このような熱還元の後に、有利なことに、無視し得る割合の官能性基しか含まない材料が得られる。しかし、官能基が少ないとは、個々の層の間のマイクロチャネルを通っての透過ガスの通過の際の立体障害が少ないこと、及びそれ故、高いガス透過性も意味する。
【0067】
この場合は、本発明では、事前に製造された酸化グラファイトまたは少層酸化グラフェンを含むカバー層が、キャリアレイヤー及びメソ孔性中間レイヤーと一緒に還元ステップに付され、この際、カバーレイヤーの酸化グラフェンが少なくとも部分的にグラフェンに還元されるようにされる。
【0068】
この際、酸化グラフェンの還元は、化学的にも、熱的にも行うことができる。この化学的還元では、還元剤、例えばヒドラジン、NaBH
4、HIまたはアスコルビン酸が200℃までの温度で使用される。この際、酸化グラフェンの化学的還元は、コロイド分散液中の酸化グラフェン粒子に対しても、キャリア上に施与された酸化グラファイトレイヤーに対しても行うことができる。
【0069】
完全な熱的還元のためには、500℃と900℃との間のより高い温度が必要である。しかし、酸化グラファイトは熱安定性に乏しく、原則的に200℃を超えると、CO、CO
2、水及びフラファイトに転換する。プラクチスでは、この反応は比較的広い温度域で起こるが、より高い温度での処理では、少なくとも、原料の部分的な分解が生じることは明らかである。
【0070】
それ故、真空中または還元性雰囲気(例えば、H
2とArとの混合物)下にカバーレイヤーの酸素含有基の排除を行うことが提案される。理論的には、不活性雰囲気中での酸化グラフェンの加熱は、純粋なグラフェンへの転換を並びに水素及び酸素の排除を招く。しかし、この際どのような反応機序が起こるかはまだ明らかではない。しかし、プラクチスでは、完全なグラフェンではなく、むしろ部分的に還元された酸化グラフェンが得られる。加えて、全ての酸素含有官能基を排除して完全に還元されたグラフェンを得るためには、500℃と900℃との間の範囲の高温度が必要である。
【0071】
酸化グラフェンでは、カルボキシル基、カルボニル基及びラクトン基は約450℃で還元し得る。キノン基は、通常は、500℃と900℃との間で分解する。900℃を超えると、ヒドロキシル基も分解し始める。水蒸気との反応は、カルボキシル基、カルボニル基、ラクトン基及びキノン基の故であるようである。H
2/Ar雰囲気中で熱的に還元された酸化グラファイトでは、上記の基が分解され、そして500℃と800℃との間の温度での加熱によって追い出され、それによって明白により不活性の材料を得ることができる。
【0072】
代替的に、酸化グラファイトからグラファイトへの転換は炭素含有雰囲気中でも行うことができ(例えばアセチレン)、この際、自己再生プロセスが改善されて起こり得る。他の可能な方法の一つは、例えば、水素プラズマ、強い光パルス(例えばキセノン)またはマイクロ波の存在下での処理である。
【0073】
どの方法を介してこの還元を達成し得るかの選択は、中でも、使用したキャリアレイヤー及び中間レイヤーの材料選択に依存する。例えば相不安定性またはその他の熱的反応の故にこれらが、該還元に必要な比較的高い温度に耐えない場合には、上記化学的反応に頼ることができる。
【0074】
本発明によるマルチレイヤー型膜装置の有利な形態の一つでは、メソ孔性中間レイヤーは、二酸化ジルコニウム、特にイットリウムで安定化した二酸化ジルコニウム(YSZ)、及び有利には、格別に安定性でありそして1000℃までの温度での熱的還元を可能にするいわゆる8YSZを含む。
【0075】
本発明の枠内において、熱的に安定したセラミックもしくは金属製キャリアもしくはキャリアシステムの開発及び利用により、酸化グラフェンまたはグラフェンを含むカバーレイヤーをセラミック膜装置の機能レイヤー本体として有利に熱処理できるようになることが判明した。熱処理ステップは、ミクロ孔性膜の製造において決定的に重要である。このようなプロセスステップにおいて始めて、ミクロ孔性レイヤーとそに下にあるレイヤーとの間の必要な接合が形成される。このような接合が不十分にしかまたは全く存在しない場合には、該膜が作動中に剥離し、そして該膜装置の機能の仕方をもはや保証できないというリスクがある。
【0076】
耐熱性キャリアまたはキャリアシステムの更なる利点の一つは、それによって、幾つかの使用事例に必要でありそして高温度下でのみ行うことができるカバーレイヤー内での酸化グラフェンからグラフェンの還元を、直接または有利には、キャリアレイヤーを含むマルチレイヤー型キャリアシステム並びに一つもしくは複数のマクロ−及びメソ孔性中間レイヤーと一緒に行うことができることである。
【0077】
酸化グラフェンの還元は、原則的に、化学的方法を用いても、熱的方法を用いても達成できる。この際、従来技術から既知の製造方法は、キャリア材料の低い熱安定性及び/または酸化グラフェン膜の性質の故に、これまでは化学的還元の実用性が低い方法に頼らざるをえず、他方で、本発明による膜装置では、有利なことに、熱的還元を使用することができる。
【0078】
本発明によるマルチレイヤー型の特にセラミック製の膜装置は、有利には、耐化学薬品性であるばかりでなく、キャリアに応じて、通常は高圧及び1000℃までの温度にもダメージ無く耐える。
【0079】
それにより、本発明によるマルチレイヤー型膜装置は、特に、水またはガス、例えばHeまたはH
2の工業的な分離に使用することができる。
【0080】
工業的な分離プロセスにおいて支配的な典型的な温度、腐食及び圧力条件に耐えるようにするためには、本発明によるマルチレイヤー型膜装置では、機能性酸化グラファイトレイヤーまたはグラファイトレイヤーは、熱的、化学的または圧力安定性で、多孔性のセラミック製キャリアレイヤー上に配置される。両成分の熱処理により、機械的に安定な接合が活性膜レイヤーとキャリアレイヤーとの間に形成されるようになる。こうして得られたマルチレイヤー型に(勾配付けされて)構成された分離膜は、機械的に頑丈でありそして温度及び圧力安定性が高い。これは、大概の化学品に対して、特に全ての種類の有機液体、並びに(非強酸化性の)酸及びアルカリに対して耐性がある。
【0081】
その機能性ミクロ孔性酸化グラファイトまたはグラファイトレイヤーを有する本発明によるマルチレイヤー型膜装置は、水分離もしくは精製での使用にまたはガス分離にも有利に適している。本発明によるマルチレイヤー型膜装置を有利に使用できる方法は、例えば、パーベーポライゼーション(PV)、蒸気透過法(英語VP)、ナノフィルトレーション(NF)またはガス分離である。
【0082】
本発明によるマルチレイヤー型セラミック製膜装置は、酸化グラファイトまたはグラファイトを含むカバーレイヤーを備えた形成により、水、H
2及びHeを有利に透過できるが、より大きな分子及び化合物を液状またはガス状の形態で保持することが判明した。
【0083】
本発明による膜装置のHe及びH
2流量が既知のアレニウスの式J=J
0exp(−E
act/RT)に従うことが見出された。
【0084】
この挙動は、典型的には、非常に小さな孔(<0.5nm)及び非常に狭い孔径分布を持つ品質的に高価値のミクロ孔性膜に典型である。また同様に、熱活性化されたガス輸送を持つ膜は通常は分子篩特性を有しかつ大きな分離係数を示すことも既知である。
【0085】
従来技術からの匹敵する酸化グラフェン膜はこれまでは分子篩特性を示さず、これは、もしかしたら、これらの膜中の欠陥の存在またはキャリア材料の不均一な被覆を指し示しているかもしれない。この点で、本発明による膜装置の活性化された輸送及び分子篩特性の発生は、該カバー層の品質及び均一性が、カバーレイヤーのためのベースとしての少なくも一つのメソ孔性中間レイヤーを備えた勾配付けされたキャリアシステムの故に、本発明による膜装置では、これまで既知の酸化グラフェン膜の場合よりもかなり高いということを示唆し得る。
【0086】
本発明による膜装置では、加えて、カバーレイヤーの個々の酸化グラフェン層またはグラフェン層間の間隔を適合させることも有利に可能であり、それによって、膜の透過性挙動を能動的に変えることができる。カバーレイヤー中の酸化グラファイトレイヤーの場合は、個々の酸化グラフェン層の間の間隔は、例えば関与するガスの含水率の調節によって調節できる。中間レイヤー間隔の更なる可能性の一つは、架橋剤(cross−linking)の使用により行うことができ、これは、通常は、個々の層の間の間隔を固定する。この際、個々の層の架橋は、酸化グラフェン層の個々の反応性基の架橋によって行うことができる。無機架橋剤が使用される場合は、架橋は、酸化グラファイトからグラファイトへの熱還元中、層間に維持される。
【0087】
本発明による膜装置のカバーレイヤーは、熱プロセスステップを用いて、有利に可逆的に還元及び再度酸化できる。還元は、通常は、酸化グラファイトレイヤーから出発して、部分的に還元された酸化グラファイトレイヤーからグラファイトレイヤーまでを与える。酸化は、この工程を相応して逆に進める。このようにして、一方では該膜の親水性もしくは疎水性の性質を、他方ではガス透過性を相応して的確に調節できる。
【0088】
例えば、300℃で空気中で処理された、酸化グラファイトを含有するカバーレイヤーは最初は親水性の性質を有し、他方で、これは、3%H
2及び97%Arからなる混合物中750℃で貯蔵した後に疎水性の性質を示す。それによって、同時に、He及びH
2透過率は2〜3倍大きくし得た。空気中300℃で更に処理した後は、カバーレイヤーは、再び、初期親水性を示した。
【0089】
本発明の更なる説明のために、本発明を幾つかの図面、図表及び実施例に基づいてより詳しく説明するが、これは本発明の限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】本発明によるマルチレイヤー型グラファイト−もしくは酸化グラファイト膜装置の構成を図解したものである。
【
図2】本発明の膜装置の製造における代替的なプロセスステップを図解したものである。
【
図3】酸化グラファイトからグラファイトへの少なくとも部分的な還元のための二つの代替的なプロセスステップを図解したものである。
【
図4】二つの異なるメソ孔性中間レイヤーを備えた本発明による膜装置についてのパームポロシメトリの試験結果である。
【
図5】グラファイトカバーレイヤーの高解像度TEM画像である。
【
図6】異なるカバーレイヤーに基づいた本発明による膜装置のHe、H
2、CO
2及びN
2の貫流検査の試験結果である。
【
図7】対応する活性化エネルギーを確定するためのHe及びH
2の貫流結果のアレニウスプロットである。
【0091】
図1には、本発明の一形態の図解的横断面図を示す。この膜は、金属製もしくはセラミック製多孔性キャリア1、このマクロ孔性キャリア上に配置されたセラミック製メソ孔性中間レイヤー2、並びにこのメソ孔性中間レイヤー上に配置された(酸化グラファイトもしくは少層酸化グラフェンまたはグラファイトもしくは少層グラフェンを含む)ミクロ孔性カバーレイヤー3を堆積した状態で含む。マクロ孔性キャリア1は単層または多層状に勾配付けできる。メソ孔性中間レイヤー2は、同様に単層または多層状に勾配付けできる。
【0092】
図2は、本発明による膜装置のための製造プロセスを図解する。左側(
図2a)では、先ず、マクロ孔性キャリア1上へのメソ孔性中間レイヤー2の施与を示し、他方で、右側(
図2b)では、後続のプロセスステップにおけるメソ孔性中間レイヤー2上への機能性カバーレイヤー3の施与を示す。
【0093】
図3には、酸化グラフェンからグラフェンへの還元のための代替的な方法を示している。例えば真空中、不活性ガス中または還元性雰囲気(例えばAr/H
2混合物)中での熱還元(左側)はより高い温度を必要とし、そして相当して耐熱性の材料でできたキャリア及び中間レイヤーを含む膜装置にのみ使用できる。それほど耐熱性ではない材料の場合には、代替的に、液状またはガス状還元剤を用いた化学的還元(右側)が適している。
実施例1:
α−Al
2O
3でできた平坦なもしくは管状のマクロ孔性キャリア、8モル%酸化イットリウムで安定化した二酸化ジルコニウム(8YSZ)でできたメソ孔性中間レイヤー、及びミクロ孔性酸化グラファイトカバーレイヤーを含む勾配付けした膜の製造。
【0094】
前記の平坦なキャリアは単層からなり、そして(水銀ポリシメトリで求めた)おおよそ約80nmの孔径を有する。管状のキャリアは、勾配付けしたレイヤーとして形成される。後でメソ孔性レイヤー及びミクロ孔性レイヤーでコーティングされるα−Al
2O
3レイヤーは、約70nmの範囲の類似の孔径を有する。
【0095】
この際、平坦なキャリアの製造は次のステップを含む:
1)真空中でα−Al
2O
3粉体懸濁物(Sumitomo AKP−30粉体)をテープ成形して、約3mmのレイヤー厚及び所望のサイズのプレートとするステップ、
2)このグリーンプレートを約1100℃で焼結するステップ、
3)研削(Abschleifen)するステップ、及び
4)ダイヤモンドペースト(Struers社、DP−ペースト6μm及び3μm)を用いてプレートの一方の面を研磨(Polieren)するステップ。
【0096】
こうして製造された多孔性キャリアの最終的なレイヤー厚はおおよそ2mmである。管状のキャリアとしては、商業的に入手可能でありかつ限外濾過に適した範囲の孔径を有する管状の多孔性α−Al
2O
3膜(Inopor(登録商標))が使用された。このキャリアは勾配付けした、すなわちこの多孔性の管状キャリア材料は、その内側にα−Al
2O
3からなる更なる三つのレイヤーをコーティングした。
【0097】
この際、最上のα−Al
2O
3レイヤーは約70nmの孔径を有する。全てのキャリアは、端部においてガラスでシールされている。カバーレイヤーの施与は、外径10mm及び内径7mmの105mm及び250mmの長さのキャリア上に行った。
【0098】
勾配付けしたメソ孔性レイヤーはディップコーティングを用いて施与した。この際、二種の異なる8YSZ含有液体を使用した。第一の液体には、(動的光散乱により求めた)約60nmの粒度を有する粒子を含む水性分散液が含まれる。第二の液体には、30nmと40nmとの間の粒度を有するゾルが含まれる。コーティングステップ中に8YSZ粒子が強く侵入することを防ぐために、ポリビニルアルコール(PVA、60,000g/モル)を加えた。
【0099】
全てのコーティングステップはクリーンルーム中で行った。液体をダストの影響から保護するためにも、これを使用の前に0.8μmフィルターシリンジ(Whatman EP30/0.8CA)を用いて精製した。
【0100】
第一のメソ孔性レイヤーのコーティング液を生成するために、商業的に入手可能な、8%Y
2O
3をドープしたZrO
2(8YSZ)ナノ粉体(Sigma Aldrich カタログ番号572349)4gを、水中のHNO
3からなる0.05M(mol/l)溶液100ml中に、超音波を用いて分散した。15分間の超音波処理の後、この分散液を遠心分離管中に移し、そして6500rpmで4分間、遠心分離した。比較的大きな粒子からなる固形の沈降物並びに上澄み液を有する二つの相が発生する。後者の上澄み液は、メソ孔性レイヤーのコーティングのための所望のナノ粒子を含む。上澄み液をピペットを用いて取り出す。
【0101】
第二のステップでは、水性HNO
3(0.05M)中のポリビニルアルコール(PVA)からなる溶液を調製した。このためには、3gのPVAを100mlのHNO
3溶液に加え、次いでこの混合物を98℃及び還流下に一晩(約16時間)加熱した。
【0102】
次いで、第一のメソ孔性中間レイヤーのためのコーティング液を、上記上澄み液と上記PVA溶液とを3:2の比率で混合して生成する。
【0103】
平坦なキャリアは、8YSZ粒子含有液を用いて一方では回転コート法により、他方ではディップコート法によりコーティングした。管状キャリアは、その内側を、特別な装置を用いてコーティングした。これは、コーティングすべきキャリアのための保持具、並びにコーティング液を含むフラスコのための留め具を含み、これらはフレキシブルな導管により互いに接続されている。キャリアを固定する間、コーティング液を、液体を含むフラスコを持ち上げてキャリア中に移す。例えば、液体水位を、キャリアが完全に満たされるまで、10mm/sの速度で持ち上げた。30秒後、液体水位を10mm/sの速度で再び下げた。こうしてコーティングされたキャリアを、約1時間空気乾燥し、次いで熱処理した。慣用の炉中で、これらのレイヤーを、空気中で500℃で2時間か焼した。加熱ステップ及び冷却ステップは1℃/分で行った。典型的な合成経路では、上記のステップは、コーティング−乾燥−加熱でそれぞれ二回行った。走査電子顕微鏡(英語:scanning electron microscope,SEM)を用いた検査により、製造されたメソ孔性レイヤーのレイヤー厚は1〜2μmと決定された。
【0104】
このメソ孔性8YSZレイヤーの孔径は、パームポロシメトリを用いて求めた。パームポロシメトリは、メソ孔性レイヤーの特徴付けのための確立された方法である。多孔性レイヤーを通過するガス、例えばN
2透過を測定する。ガスを凝縮可能な液、例えば水で湿らす場合は、レイヤーの孔は、含水率が大きいほど、孔内部での液体の毛管凝縮によって、より閉塞されるようになる。
【0105】
ケルビン方程式に基づいて、いわゆるケルビン半径(及びケルビン直径)を決定できる。
図4では、メソ孔性8YSZレイヤーのN
2透過の推移をケルビン直径に依存して示している。これらの測定は、室温で、水を凝縮可能な液体として用いて行った。膜は、250mm長の管状α−Al
2O
3キャリア構造の内側に存在する。測定点は、正方形として記入されている。
【0106】
元の透過度の50%に相当するケルビン直径は、平均孔径として定義することができる。従って、8YSZレイヤーは、約4〜4.5nmの平均孔径(d
50)を有する。7nmを超える直径を有する孔は見つからなかった。加えて、孔の95%超が5nm未満の直径を有するために、非常に狭い孔径分布も明らかである。
【0107】
より小さな孔径を有する第二のメソ孔性8YSZレイヤーは、水性ゾルを用いて施与した。典型的なプロセスステップにおいて、三角フラスコ中で、50mlの2−プロパノール(Merck、SeccoSolv(登録商標)、カタログ番号100994)を11.6gの70重量%ジルコニウム(IV)プロポキシド溶液(Sigma−Aldrich、カタログ番号333972に加えた。この混合物を15分間攪拌し、次いで攪拌下に1M水性HNO
3溶液125mlと混合した。加熱の間に、この混合物は最初は透明な溶液に変わり、その後ゾルに変わる。ゾルの粒径は加熱時間に依存する。第二のメソ孔性レイヤーに適したコーティング液が、約18時間後に得られる。
【0108】
完成したゾルを、攪拌しながら1.52gのY(NO
3)
3・6H
2O(Sigma Aldrich、カタログ番号237957)と、175mlの水性0.05MHNO
3溶液中で混合して、8モル%の酸化イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウム(8YSZ)を得る。
【0109】
第二のステップでは、水性HNO
3(0.05M)中のポリビニルアルコール(PVA)からなる溶液を調製した。このためには、3gのPVAを100mlのHNO
3溶液に加え、次いでこの混合物を98℃及び還流下に一晩(約16時間)加熱した。
【0110】
次いで、第二のメソ孔性中間レイヤーのコーティング液を、5mlの前記ゾルと20mlの水性0.05M HNO
3溶液及び20mlの前記PVA溶液との混合によって生成する。
【0111】
平均孔径が4〜4.5nmの上記の第一のメソ孔性8YSZレイヤーを、次いで、前記第二のコーティング液で処理した。この際、第一のコーティングを行ったものと同じ装置を使用した。同様に、コーティングされたキャリアを先ず1時間空気乾燥し、次いで上述と同じようにか焼した。SEM検査を用いて、製造された第二のメソ孔性レイヤーのレイヤー厚は200〜400nmと決定された。
【0112】
図4には、パームポロシメトリにより求めた、250mm長の管状α−Al
2O
3キャリア構造体の内側上の第二のメソ孔性8YSZレイヤーのN
2透過の推移も示す。測定点は、三角形として記入されている。従って、第二の8YSZレイヤーは、約2〜2.5nmの平均孔径(d
50)を有する。5nmを超える孔径を有する孔は見つからなかった。加えて、この場合もまた、孔の95%超が3.5nm未満のサイズを有するために、非常に狭い孔径分布が明らかである。
【0113】
勾配付けされたメソ孔性8YSZレイヤーの水熱安定性を試験した。コーティングされたキャリアを、300℃で、30barの水蒸気雰囲気中でオートクレーブ内に一週間貯蔵した。その後に、亀裂または拡大された孔は確認できなかった。パームポロシメトリ測定の曲線は、貯蔵前のコーティングされたキャリアと比べて大きな差異は示さなかった。
【0114】
新鮮な試料と貯蔵した試料についてのSEM試験の比較により、これらのレイヤーは、高温度下での貯蔵では影響を受けなかったことが確認された。
【0115】
熱安定性を検査するために、コーティングされたキャリアを600℃、700℃及び800℃でそれぞれ2時間加熱した。この場合も、パームポロシメトリ測定の曲線は、500℃で2時間か焼したコーティングされたキャリアと比べて大きな違いを示さなかった。
【0116】
次いで、こうして生成した2層型(勾配付けした)メソ孔性8YSZ中間レイヤー上に、酸化グラファイトを含むカバーレイヤーを施与した。既知の方法、例えばハンマー法に従いグラファイトから、単層酸化グラフェンを含む必要な酸化グラフェン分散液を調製できる。代替的に、商業的に入手可能な単層酸化グラフェン粒子も使用できる。例えば、4mg/lの濃度を有する商業的に入手可能な単層酸化グラフェン分散液1部(Sigma Aldrich カタログ番号777676)及び脱塩水20部から、希釈した単層酸化グラフェン粒子分散液を形成する。次いで、この分散液を5μmフィルターシリンジ(Whatman FP30/5.0 CN)を用いて精製した。この酸化グラフェン粒子の平均粒度は、動的レーザー光散乱により測定して約500nm〜1μmであった。
【0117】
このコーティング分散液を用いて、均一で欠陥の無い酸化グラファイトカバーレイヤーを、前記の勾配付けしたメソ孔性8YSZ中間レイヤー上に施与できた。平坦な基材上に、前記のコーティング分散液を、回転コート法またはディップコート法により施与した。メソ孔性8YSZ中間レイヤーを含む管状キャリアの内面のコーティングのためには、キャリア上にメソ孔性中間レイヤーを施与するために既に使用したものと同じ装置を使用した。
【0118】
希釈された単層酸化グラフェン粒子分散液の液体水位を、メソ孔性中間レイヤーを備えたキャリアが完全に満たされるまで、10mm/sの速度で高めた。30秒後、液体水位を10mm/sの速度で再び下げた。中間レイヤーを備えたこうしてコーティングされたキャリアを、約1時間空気乾燥し、次いで熱処理した。慣用の炉中で、このコーティングされたキャリアを、空気中で約300℃で1時間加熱した。加熱ステップ及び冷却ステップは1℃/分で行った。典型的な合成経路では、上記のステップは、コーティング−乾燥−加熱でそれぞれ二回行った。SEM検査を用いて、こうして製造されたカバーレイヤーのレイヤー厚は約10〜20nmと決定された。
【0119】
主として酸化グラファイトを含むカバーレイヤーを備えたこのようにして製造された勾配付けした膜は非常に親水性が高く、そして水蒸気に高い透過性を示す。第二のより大きな分子と比べて水についての該膜の選択性を決定するために、パーベーパレーション検査を行った。このためには、パーベーパレーション検査でしばしば使用されるイソプロパノール(IPA)を、他の比較的大きな試験分子として使用した。これらの検査は、250mmの長さを持つ管状膜について行った。試験溶液は、95重量%のIPA及び5重量%の水を含むものであった。これらの検査は70℃で行った。この膜は、非常に高い水透過性を示しつつも、同時に、より大きなIPA分子については拡散を遮断した。分離係数またはガス流量の形の結果は、従来既知の膜よりも明らかに良好である。代表的な検査では、800超の分離係数が、5kg/m
2hのガス流量との組み合わせで70℃の温度で測定された。同様に70℃での排水試験では、5重量%の水を含むIPA溶液の完全な排水が3時間後に達成できた。
実施例2:
先ず、酸化グラファイトカバーレイヤーを備える勾配付けした膜を実施例1に従い製造した。これを、慣用の炉中で、空気中300℃で1時間、熱処理に付した。次いで、この膜を、750℃で、3%H
2及び97%Arからなる混合物中で、更なる熱処理に曝し、これにより、該カバーレイヤーはグラファイトレイヤーへと還元された。この還元は、そのために特別に適合された炉中で行い、この際、先ず、約10
−4mbar(0.01Pa)の真空をかけ、次いでH
2及びArからなる混合物を加えた。
【0120】
この極めて薄いグラファイトカバーレイヤーは、上記の還元の後は、巨視的にも、走査電子顕微鏡(SEM)でも亀裂も他の欠陥も示さなかった。
【0121】
このカバーレイヤーの厚さ、並びに積層されたグラフェン層の数は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて検査した。
図5には、高解像度のTEM画像を示している。このTEM画像では、最上の8YSZ中間レイヤー(1)上に約10nm厚のグラファイトカバーレイヤー(2)が確認できる。この写真中には、膜レイヤーの他に、金コーティング(3)及び白金コーティング(4)が認められ、これらは、試料調製の間に、膜試料本体上に蒸着したものである。この高解像度TEM画像の分析は、このカバーレイヤーが、おおよそ20の積層されたグラフェン層を含むことを示す。
【0122】
次いで、個々のグラフェン層間の間隔をTED(透過電子回折)を用いて分析した。これらの分析は、0.3nm〜0.4nmの範囲の中間層間隔を示した。これらの値は0.35nm付近でばらついており、これは、グラファイト中の個々のグラフェン層間の間隔(0.335nm)に相当する。
【0123】
幾つかの選択された貫流検査では、第一及び第二の実施例に従うこれらの膜の選択性を、より小さなガスについて検査した。これらの試験は、50℃と200℃との間の温度で及び様々なガス、例えばHe、H
2、CO
2またはN
2を用いて行った。
【0124】
図6には、両方の膜(酸化グラファイトカバーレイヤー、グラファイトカバーレイヤー)の両方についての200℃(473K)及び4bar(4
*10
5Pa)の圧力での幾つかのガスの透過性を示している。両方の膜について、He及びH
2透過性について良好な値が得られるが、CO
2及びN
2は、全くまたは殆ど透過しない。それによって、両カバーレイヤー、すなわち酸化グラファイトカバーレイヤーだけでなく、グラファイトをベースとするカバーレイヤーも、次のガス対について優れた選択性を示す:
He/N
2:選択性 酸化グラファイト−カバーレイヤー>100、グラファイト−カバーレイヤー>100、
H
2/N
2:選択性 酸化グラファイト−カバーレイヤー>50、グラファイト−カバーレイヤー>150、
H
2/CO
2:選択性 酸化グラファイト−カバーレイヤー>50、グラファイト−カバーレイヤー>80。
【0125】
対応するガスの動的直径としては、Heについて0.26nm、H
2には0.289nm、CO
2には0.33nm、及びN
2には0.364nmの値が文献に記載されている。この膜はCO
2には透過性でないことから、酸化グラファイトカバーレイヤーとグラファイトカバーレイヤーの個々の層のレイヤー間隔は0.289nmと0.33nmとの間にあることが推測できる。これらの値は、グラファイト中の個々のグラフェン層の中間レイヤー間隔(0.335nm)と比較可能である。それから、両方の膜において、グラファイト類似構造がカバーレイヤーとして存在することは排除できる。
【0126】
加えて、グラファイトカバーレイヤーを備えた膜のHe及びH
2の測定された透過率は、2〜3倍大きくなることを示し得た。この効果は、他の場合にはガス分子の輸送を阻害する、酸化グラファイトからグラファイトに変換する際の酸素含有基の除去を用いて説明できる。マクロ孔性セラミック製キャリア、それに適合されたメソ孔性8YSZ含有中間レイヤー及び熱処理されたカバーレイヤーを備えたここで開発された本発明による膜は、これまで既知の酸化グラフェン膜と比べて明らかに向上した特性を示す。ここに記載の膜は、従来既知の酸化グラフェン膜と同様に、150℃未満の低い温度範囲で使用することができる。しかし、本発明による酸化グラファイト膜は、更に、400℃までのより高い温度でも使用でき、そして本発明によるグラファイト膜は、それどころか、900℃までの温度でも使用でき、この際、まさに、この高温範囲がより有利である、というのも、He及びH
2の透過量は、作動温度が高まるにつれ指数関数的に高まるからである。
実施例3:
図7には、実施例2に従うグラファイトベースの膜のHe及びH
2の温度依存性を示している。透過量は、50℃と200℃との間の温度範囲で測定した。He透過量ばかりでなくH
2透過量も指数関数的に温度と共に高まり、それ故、アレニウスの式に従う。直線状の勾配から、活性化エネルギーE
actを決定できる。E
actの実験的に決定された値は、平均して、Heでは18kJmol
ー1であり、H
2では17.3kJmol
−1であった。どちらの活性化エネルギーも、高品質膜の場合に一般的に認められている10kJmol
−1の値よりも明らかに高く、そして熱活性化輸送機序を持つ高品質マイクロ孔性ガス分離膜の成功裏の製造を証明している。
実施例4:
本発明による膜のための更に別の代替的な製造方法は、還元されたグラフェン粒子のコロイド分散液を用いて開始される。カバーレイヤーの堆積の前に、通常は酸化グラフェン粒子をグラフェン粒子に酸化することができる。このような還元は、これまで既知の全ての方法、例えば化学的方法によりまたはマイクロ波を用いて達成できる。
【0127】
代替的に、還元されたグラフェン粒子を含むコロイド分散液を、グラフィン粒子から直接生成することもできる。しかし、グラフェン粒子は疎水性であるため、このような分散液は、普通は、有機溶媒を用いて得られる。
【0128】
メソ孔性8YSZ中間レイヤーから出発して、コーティングを、他の箇所に既に記載したディップコート法により施与することができる。そうして、結果として、積層されたグラフェン層からなる構造がカバーレイヤーとして得られる。このカバーレイヤーは、次いで、真空中で、不活性ガスまたは還元性条件下(例えば、Ar/H
2混合物)に、1000℃までの温度で熱処理することができる。
実施例5:
本発明の更なる一形態では、酸化グラフェン粒子からなるドープしたコロイド分散液を原料として使用する。カバー層の堆積の前に、分散液を、ドープ物質、例えばCa
2+またはMg
2+と混合する。カバーレイヤーの施与及び熱処理は、実施例1と類似して行う。そうして、結果として、層間の中間空間中に主として配置されているドープ物質を有する積層された酸化グラフェン層からなる構造がカバーレイヤーとして得られる。慣用の架橋剤をドープ物質として使用する場合に、個々の層をこのように結合できる。次いで、カバー層を実施例2に記載のように還元でき、この際、架橋されたグラフェン層を持つ構造が得られる。
実施例6:
酸化グラファイトは、酸素含有基を持つsp
3炭素原子を高割合で含むために、既知のように、比較的弱い電気伝導体である。しかし、酸化グラフェン層からこのような酸素含有基を除去することによって及びsp
2炭素原子の形成によって、これをグラファイト類似材料にまで転換できることが知られている。それ故、熱処理の後のカバー層の伝導率の測定は、グラファイト類似材料の形成を証明するための適切な手段である。
【0129】
それ故、勾配付けしたメソ孔性8YSZ中間レイヤー上に、実施例1に従い酸化グラファイトカバーレイヤーを施与した。実施例2に類似して、これを、熱処理により、極めて薄いグラファイトカバーレイヤーに変えた。吸着水による寄与を排除するために、水不含雰囲気(<1ppmH
2O)中でこのカバーレイヤーの伝導率を約25℃で求めた。空気中300℃で熱処理した後、このカバーレイヤーは、約300S/mの電気伝導率を有する半導体の挙動を示した。3%のH
2及び97%のArからなる混合物中での750℃での熱処理の後、このカバーレイヤーは、約15000S/mの電気伝導率を示した。この値は、グラファイトバルク材と比較でき、それゆえグラファイトカバーレイヤーの形成の指標となる。
【0130】
本発明による膜は、纏めると、特に以下に記載の利点を示す:
a)該膜装置は、25℃と800℃との間の温度で熱的に安定している。
b)該膜装置は、分子篩のように、他のより大きな分子からHe及びH
2を分離するのに適している。
c)該膜装置のガス透過率は、製造の間の熱処理の変更によって変えることができる。
d)該膜装置の親水性/疎水性の特性は、製造の間の熱処理の変更によって変えることができる。
e)親水性膜装置は、他の溶媒からH
2Oを分離するのに適している。
f)該膜装置においては、カバーレイヤーの個々の酸化グラフェンレイヤーの間隔を、含水率の変更によって変えることができる。
g)該膜装置においては、カバーレイヤーの個々の酸化グラフェンレイヤーの間隔を、追加的にまたは代替的に、ドープ物質としての架橋剤の使用によって変えることができる。h)該膜装置は、Ar/3%H
2中、750℃で熱処理した後に十分に電気伝導性であり、特に少なくとも15000S/mの電気伝導率を示す、ミクロ孔性カバー層を含む。
i)本発明による膜装置は、有利に、He、H
2、CO
2、N
2または水などの小さなガス分子を、相互から及び/または固体、液体もしくはガスの形の他のより大きな分子からも分離することができる。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
マクロ孔性セラミックキャリアレイヤー上に、少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤーが施与されており、及びその上に、酸化グラファイトもしくは少層酸化グラフェンを含むミクロ孔性カバーレイヤーが施与されている膜装置の製造方法であって、前記ミクロ孔性カバーレイヤーがコロイド分散液を用いてディップコート法により施与され、次いで200℃までの温度で乾燥される、前記方法。
2.
粒径が10nmと5μmとの間の酸化グラフェン粒子を含むコロイド分散液が使用される、上記1に記載の方法。
3.
コロイド分散液1リットル当たり20mgと2gとの間の酸化グラフェン粒子の固形物含有率を有する希釈されたコロイド分散液が使用される、上記1または2に記載の方法。
4.
前記マクロ孔性セラミックキャリアレイヤー上に、イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウムを含む少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤーが施与される、上記1〜3のいずれか一つに記載の方法。
5.
乾燥ステップの後に、熱処理が200℃と1000℃との間の温度で行われる、上記1〜4のいずれか一つに記載の方法。
6.
5〜1000層の酸化グラフェンを含むミクロ孔性カバーレイヤーが形成される、上記1〜5のいずれか一つに記載の方法。
7.
少なくとも部分的にグラフェンを含むミクロ孔性カバーレイヤーが形成される、上記1〜6のいずれか一つに記載の方法。
8.
ミクロ孔性カバー層の熱処理が、還元性雰囲気下にまたは不活性ガス下にまたは真空下に行われ、及びカバーレイヤーの酸化グラフェンが少なくとも部分的にグラフェンに還元される、上記1〜7のいずれか一つに記載の方法。
9.
乾燥ステップの後にまたは熱処理の後に、カバーレイヤーの化学的還元が200℃までの温度で行われ、この際、カバーレイヤーの酸化グラフェンが少なくとも部分的にグラフェンに還元される、上記1〜8のいずれか一つに記載の方法。
10.
−孔径が>50nmの孔を持つ少なくとも一つのマクロ孔性セラミックキャリアレイヤー、
−その上に配置された、平均孔径が2nm〜50nmの孔を持つ少なくとも一つのメソ孔性中間レイヤー、
−及び、前記メソ孔性中間レイヤー上に配置された、平均孔径が<0.5nmの孔を持つ少なくとも一つのミクロ孔性カバーレイヤー
を含む、上記1〜9のいずれか一つに従い製造できるマルチレイヤー型膜装置であって、
前記ミクロ孔性カバーレイヤーが、酸化グラファイト、部分的に還元された酸化グラファイトまたはグラファイトを含むこと、及び前記膜が分子篩特性を有することを特徴とする、前記マルチレイヤー型膜装置。
11.
少なくとも二つのメソ孔性中間レイヤーを備えた上記10に記載の膜装置であって、カバーレイヤーの方向に、粒径及び粗さ、並びに孔径も減少している、前記膜装置。
12.
少なくとも二つのメソ孔性中間レイヤーを備えた上記10または11に記載の膜装置であって、これらの中間レイヤーのうち第一のメソ孔性中間レイヤーが、マクロ孔性キャリアレイヤーと接触しており、そして第二のメソ孔性中間レイヤーが、ミクロ孔性カバーレイヤーと接触しており、かつ少なくとも一つの中間レイヤーが、5nm未満の平均孔径を持つ孔を含む、前記膜装置。
13.
α−Al2O3、TiO2、ZrO2、YSZ、SiO2、CeO2、MgO、Y2O3、Gd2O3、ムライト、コーディエライト、ゼオライト、BaTiO3、金属成分、炭素、SiC、Si3N4、SiOC、SiCN、AlNまたは上記材料の混合物を含むマクロ孔性キャリアレイヤーを備えた、上記12に記載の膜装置。
14.
少なくとも一つのセラミック製メソ孔性中間レイヤーを備えた、上記10〜13のいずれか一つに記載の膜装置。
15.
γ−Al2O3、TiO2、ZrO2、YSZ、SiO2、CeO2、MgO、Y2O3、Gd2O3、ZnO、SnO2、ムライト、コーディエライト、ゼオライト、有機金属フレームワーク材料(MOF)、粘土、BaTiO3、炭素、SiC、Si3N4、AlN、SiOC、SiCN、AlNまたは上記の材料の混合物を含むメソ孔性中間レイヤーを備えた、上記14に記載の膜装置。
16.
第一のメソ孔性中間レイヤーが、1μmと20μmとの間のレイヤー厚を有する、上記10〜15のいずれか一つに記載の膜装置。
17.
第二のメソ孔性中間レイヤーが、0.1μmと2μmとの間のレイヤー厚を有する、上記10〜16のいずれか一つに記載の膜装置。
18.
ミクロ孔性カバー層が、3nmと2μmとの間の、有利には5nmと300nmとの間のレイヤー厚を有する、上記10〜17のいずれか一つに記載の膜装置。
19.
ミクロ孔性カバーレイヤーが、5層と1000層の間の酸化グラフェン層を含む、上記10〜18のいずれか一つに記載の膜装置。
20.
カバーレイヤーが、少なくとも部分的にグラフェンを含む、上記10〜19のいずれか一つに記載の膜装置。
21.
ミクロ孔性カバーレイヤーが、5層と1000層との間の酸化グラフェンまたはグラフェン層を含む、上記19または20に記載の膜装置。
22.
ミクロ孔性カバーレイヤーが、Ar/3%H2中、750℃で熱処理した後に、少なくとも15000S/mの電気伝導率を有する、上記10〜21のいずれか一つに記載の膜装置。