(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6723737
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/704 20060101AFI20200706BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20200706BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20200706BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20200706BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
A61K31/704
A61P17/16
A61P37/08
A61P43/00 105
A61P17/00
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-242745(P2015-242745)
(22)【出願日】2015年12月12日
(65)【公開番号】特開2017-105741(P2017-105741A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594045089
【氏名又は名称】オリザ油化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】単 少傑
(72)【発明者】
【氏名】下田 博司
(72)【発明者】
【氏名】村井 弘道
【審査官】
平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−072604(JP,A)
【文献】
特開2009−221127(JP,A)
【文献】
特開2002−265346(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101756866(CN,A)
【文献】
国際公開第2013/012117(WO,A1)
【文献】
特開2006−199633(JP,A)
【文献】
特開2001−002574(JP,A)
【文献】
フレグランスジャーナル,1994年 5月15日,Vol.22, No.5
【文献】
新化粧品ハンドブック,2006年10月30日,pp.729-731
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00〜 9/72
31/00〜31/80
33/00〜33/44
47/00〜47/69
8/00〜 8/99
A61P 1/00〜43/00
A61Q 1/00〜90/00
A23C 1/00〜23/00
A23G 1/00〜 9/52
A23L 2/00〜 2/84
5/00〜 5/49
33/00〜33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-シトステロール配糖体を有効成分とするセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進用経口剤。
【請求項2】
β-シトステロール配糖体を有効成分とするグルコシルセラミドシンターゼ遺伝子発現促進用経口剤。
【請求項3】
β-シトステロール配糖体を有効成分とするスフィンゴミエリンシンターゼ遺伝子発現抑制用経口剤。
【請求項4】
β-シトステロール配糖体はβ-シトステロールグルコシドである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の経口剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤に関する。本発明は、機能性食品、皮膚外用剤に広く利用される。
【背景技術】
【0002】
肌のきれいな状態、 いわゆる美肌の条件の中でも保湿は特に重要なファクターである。今日の化粧品や機能性食品市場においても、 肌に潤いをもたらす作用を謳った製品が多数見受けられる。皮膚の最外層である表皮は、 内側より基底層、 有棘層、 顆粒層、 角質層から構成され、 特に外部と直接触れ合う角質層には保湿に関与する様々な分子が局在している。これらの分子が欠けることなく正常に働くことによって、 外部からの異物の侵入や体内の水分の過剰な蒸散を防ぐ角質バリアー機能を発揮することができる。
セラミドは、細胞膜組織の生体膜成分として普遍的に存在しており、とりわけ皮膚の角層の主要な脂質成分として存在し、バリアー機能や水分の保持に関わっている。セラミドは正式にはスフィンゴ脂質と呼ばれる脂質の一種であるが、 グルコシルセラミドなど部分的にセラミド構造を有する化合物も包括する広義の言葉として使われている。また、植物由来のグルコシルセラミドの摂取が表皮角質の水分保持やバリアー機能を改善することが証明されており、植物性セラミドの利用が広がっている(非特許文献1及び非特許文献2)。
【0003】
スフィンゴ脂質の生合成経路は、よく研究されている。先ず、スフィンゴ脂質合成の一番最初の工程として、セリンとパルミトイルCoAを出発物質とし、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ酵素(SPT)によって、パルミトイルCoAと非必須アミノ酸L−セリンが縮重合し、4段階の工程を経てセラミドが有棘層で合成される。そして、スフィンゴミエリンシンターゼによりスフィンゴミエリンとなって顆粒層に蓄積し、その後、酸性スフィンゴミエリナーゼにより再び角質層でセラミドが合成される(
図1の右の経路)。
【0004】
また、有棘層で合成されたセラミドは、グルコシルセラミドシンターゼによりグルコシルセラミドに変化して、顆粒層に蓄積し、その後、グルコセレブロシダーゼにより再び角質層でセラミドが合成される(
図1の左の経路)。
【0005】
また、セラミドにはセラミド(EOS、NS、NP、EOH、AS、AP、AH、NH、EOP)まで10種類あり、これらのうちセラミド(EOS)は、アシルセラミドと呼ばれ、皮膚のバリアー機能を有する。そして、アトピー性皮膚炎の罹患者では皮膚の細胞間脂質に多く存在する セラミド(EOS)(アシルセラミド)の量が正常人の約1/10と少ないので、皮膚のバリアー機能が低下する。したがって、セラミドEOSの合成を促進することによりアトピー性皮膚炎の症状を改善することができる。
【0006】
また、セラミド(NS)は、皮膚の水分保持機能に寄与し、毛髪に多いことが知られている。また、セラミド(NP)は、水分保持機能に寄与することが知られている。さらに、セラミド(EOH)及び(AS)は、角質の脂質バリアー層の構築、維持に関与することが知られている。
セラミド(AP)I及び(AP)IIは、水分保持機能、ターンオーバーの促進、シワを軽減する機能を有することが知られている。また、セラミド7は、細胞の増殖分化をコントロールし、皮膚にある菌のバランスを整える。セラミド(NH)及び(EOP)の機能については未だ報告されていない。
特に、セラミド(EOS)、(NP)、(AP)の不足は肌の乾燥や敏感肌、アトピー性皮膚炎への影響が特に強いといわれている。
【0007】
ここで、セラミド(EOS、NS、NP、EOH、AS、AP)は、
図1におけるグルコシルセラミドを得る左の経路で生成される。
これに対し、スフィンゴミエリンを得てセラミドを生成する右の経路においてはセラミド(NS)及び(AS)しか生成しない。したがって、セラミド(EOS、NS、NP、EOH、AS、AP)をバランスよく、合成するためには、グルコシルセラミドを得る左の経路でセラミドを生成することが好ましく、これにより、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの遺伝子及びグルコシルセラミドシンターゼの遺伝子を発現することが必要である。
【0008】
一方、b-シトステロールグルコシド等のβ-シトステロール配糖体は、米胚芽をはじめ,様々な植物種(小麦、ビート、こんにゃく、トウモロコシ等)に含まれていることが知られている(非特許文献3〜非特許文献5)。
【0009】
【非特許文献1】J. Duan et al., Experimental Dermatol., 21, 448-452 (2012)
【非特許文献2】Shimoda H. et al., J. Med. Food., 15, 1064-1072 (2012)
【非特許文献3】Mira A. et al., Molecules, 20, 4813-4832 (2015)
【非特許文献4】Badria FA et al., Z. Naturforsch C., 62, 656-660 (2007)
【非特許文献5】Chung I. M. et al., J. Chem. Ecol., 2005, 31(6), 1339-1352
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような背景の下、本発明者は、β-シトステロール配糖体にセリンパルミトイルトランスフェラーゼの遺伝子及びグルコシルセラミドシンターゼ(皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子)の発現を促進する作用を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、新規な、皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤及びそれを用いた皮膚バリアー機能及び保湿機能改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の技術的特徴は以下のとおりである。
1.β-シトステロール配糖体を有効成分とするセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進剤。
2.β-シトステロール配糖体を有効成分とするグルコシルセラミドシンターゼ遺伝子発現促進剤。
3.β-シトステロール配糖体を有効成分とするスフィンゴミエリンシンターゼ遺伝子発現抑制剤。
4.β-シトステロール配糖体はβ-シトステロールグルコシドである上記1.〜3に記載の剤。
5.上記1.〜4.に記載の剤を有効成分とする皮膚バリアー機能改善剤。
6.上記1.〜4.に記載の剤を有効成分とする保湿機能改善剤。
7.上記1.〜4.に記載の剤を有効成分とするアトピー性皮膚炎改善剤。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】皮膚におけるセラミドの合成経路を示す模式図である。
【
図2】β-シトステロールグルコシドのSPTLC2遺伝子に及ぼす影響を示すグラフである。
【
図3】β-シトステロールグルコシドのGCS遺伝子に及ぼす影響を示すグラフである。
【
図4】β-シトステロールグルコシドのSMS遺伝子に及ぼす影響を示すグラフである。
【
図5】β-シトステロールグルコシドのセラミド関連遺伝子発現に及ぼす作用を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、β-シトステロール配糖体を有効成分とすることを特徴とする。
【0014】
β-シトステロール配糖体は特に限定されず、例えば、β-シトステロールグルコシド、β-シトステロールルチノイド、β-シトステロールサンブビオシド等が挙げられるが、特にβ-シトステロールグルコシドが好ましい。
β-シトステロールグルコシドを得る方法は特に限定されず、市販品のものを使用してもよいし、植物から抽出してもよい。市販品としては和光純薬工業株式会社製の「シトステロール-3-O-グルコシド, β- (AHP Verified)」を用いることができる。
【0015】
β-シトステロールグルコシドを得るための植物原料は特に限定されないが、例えば、コメ、小麦、ビート、こんにゃく、トウモロコシ等が挙げられる。これらのうちコメが好ましい。
コメからβ-シトステロールグルコシドを得るために使用する部位は特に限定されないが、特に米糠、米胚芽を用いることが好ましい。
【0016】
米糠や米胚芽からβ-シトステロールを得る方法は特に限定されないが、例えば、米糠や米胚芽を発酵させて発酵物を得て、その後、この発酵物を非極性溶媒で抽出し発酵物抽出液を得て、その後、この発酵物抽出液を分配することにより得ることができる。また、オリザ油化株式会社製の「オリザセラミド」(登録商標)から、抽出することができる。
【0017】
本発明は、前述の効果を目的として、様々な用途に適用することができる。用途として、医薬品、試薬(研究用、テストキット用)、経口摂取用組成物(たとえば、健康食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメント、特定用途食品、及びペット用サプリメント等)が挙げられる。
【0018】
本発明の皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤を含む医薬組成物は、賦形剤、担体又は添加剤を含んでいてもよい。賦形剤、担体及び添加剤としては、通常使用され、かつ薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、その種類及び組成は、適宜変更が可能である。
【0019】
賦形剤としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられ、担体としては、滅菌水、生理食塩水、及び各種緩衝液等が挙げられる。添加剤としては、粘ちょう剤、緩衝材、保存剤、防腐剤等が挙げられる。
【0020】
医薬用組成物の剤型としては特に制限されるものではなく、必要に応じて適宜選択すればよいが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤;注射剤、坐剤、塗布剤等の非経口剤が挙げられる。
【0021】
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、トレハロース、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される、これらの製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。この種の製剤には、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜使用することができる。
【0022】
非経口剤の場合、患者の年齢、体重、疾患の程度等に応じて用量を調節し、例えば、静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射等によって投与する。この非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤等を加えてもよい。また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤等を加えてもよい。その他の非経口剤の例として、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、これらも常法に従って製造される。
【0023】
本発明を健康食品(機能性表示食品、特定保健用食品、健康飲料及びサプリメントを含む)に用いる場合、各種健康食品の原材料として本発明の化合物を健康食品に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、デンプン等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品を製造することができる。
【0024】
健康食品に配合される皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤の配合割合は、該皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤の期待される効果が得られるのであれば特に制限されないが、通常、1回あたりの摂取量が0.0001〜2000mg程度である。
【0025】
これらの健康食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。さらに、健康維持機能をもった皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤には、他の抗酸化物質や健康食品素材などの配剤、例えば、抗酸化物質(還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セサミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス、健康食品素材(V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン 、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、コンドロイチン、ウコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、シジミエキス、スッポン、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ 、ローズマリー、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、 甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、セージ、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グルコサミン、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、コンドロイチン硫酸、亜鉛、鉄、セラミド、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、L-システイン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、カテキン、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、トコトリエノール、ラクトフェリン、シナモン、韃靼ソバ、ココア、ユズ種子エキス、シソの実エキス、ライチ種子エキス、月見草エキス、黒米エキス、α−リポ酸、生コーヒー豆エキス、温州みかんエキス、トリテルペノイド、キウイ種子エキス、赤ショウガエキス、アスタキサンチン、クルミエキス、レスベラトロール、赤米エキス、白キクラゲ多糖体、イチゴ種子エキス、ニラ種子エキス、リンゴンベリーエキス、桜の花エキス、ササクレヒトヨダケエキス、マキベリーエキス、米ポリアミン、小麦ポリアミン)なども配合することができる。
【0026】
本発明は、皮膚外用剤(化粧品、医薬品および医薬部外品を含む。)として用いることができる。
本発明の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
また、本発明を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0027】
上記形態の皮膚外用剤には、本発明の他に、本発明の機能を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0028】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、キウイ種子油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0029】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0030】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0031】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0032】
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0033】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0034】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0035】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0036】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、免疫賦活剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の免疫賦活剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス、プラセンタ、ユズ種子エキス、ブルーベリーエキス、リンゴンベリーエキス、カンカニクジュヨウエキス、黒米エキス、生コーヒー豆エキス、レスベラトロール、キウイ種子エキス、イチゴ種子エキス、桜エキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0037】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0038】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
試験方法
実験には,ヒト表皮三次元培養モデル(LabCyte EPI-MODEL 6D (J-TEC社製)) を用いた。培地にb-シトステロールグルコシド (1, 10 μg/mL)を添加して,1日おきに培地交換を行いながら培養を行い,培養2日目および4日目で組織を回収した。回収した組織から抽出した遺伝子を用いて定量PCRによるセラミド合成関連遺伝子の発現を調べた。
【0040】
結果及び実施例の効果
b-シトステロールグルコシドはセリンパルミトイルトランスフェラーゼ(serine palmitoyltransferase2(SPTLC2))遺伝子発現を有意に増加させた(
図2)。また,10 μg/mLでグルコシルセラミドシンターゼ(glucosylceramide synthase(GCS))遺伝子発現を有意に増加させた(
図3)。その一方で,スフィンゴミエリンシンターゼ(sphingomyelin synthase(SMS))遺伝子発現を有意に減少させた(
図4)。これらの結果から,b-シトステロールグルコシドはセラミド合成反応の律速酵素であるSPTLC2やグルコシルセラミドを合成するGCSの発現を増加させることにより,皮膚中のセラミドを増加させていることが確認された(
図5)。
以上により、本発明は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進剤、グルコシルセラミドシンターゼ遺伝子発現促進剤として有用であることが確認され、さらに、スフィンゴミエリンシンターゼ遺伝子発現抑制剤として有用であるところから、β-シトステロールグルコシドは、グルコシルセラミドを生成する経路(
図5の左側の経路)を経てセラミドを生成することが確認された。したがって、セラミド(EOS、NS、NP、EOH、AS、AP)の生成を万遍なく促進することが分かった。これにより、皮膚バリアー改善剤として機能し、アトピー性皮膚炎の予防、治療剤として有用であることが確認された。
【0041】
以下により、本発明の皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤(β-シトステロールグルコシド)の配合例を挙げるが、下記配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 52.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
β-シトステロールグルコシド 0.5
100.0wt%
【0042】
配合例2:グミ
還元水飴 38.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
キウイ果汁 4.0
キウイフレーバー 0.6
色素 0.02
イチゴ種子エキス 1.0
グルコシルセラミド 1.0
β-シトステロールグルコシド 1.0
100.0wt%
【0043】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.2
有機酸 2.0
香料 0.2
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 0.4
100.0wt%
【0044】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0045】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
イチゴ種子エキス 0.05
グルコシルセラミド 0.05
β-シトステロールグルコシド 0.05
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0046】
配合例6:ソフトカプセル
米胚芽油 86.0wt%
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
乳化剤 12.0
β-シトステロールグルコシド 1.0
100.0wt%
【0047】
配合例7:錠剤
乳糖 53.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
β-シトステロールグルコシド 1.0
100.0wt%
【0048】
配合例8:顆粒内服剤(医薬品)
β-シトステロールグルコシド 1.0wt%
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
乳糖 30.0
コーンスターチ 60.0
結晶セルロース 7.0
ポリビニールピロリドン 1.0
100.0wt%
【0049】
配合例9:錠菓
砂糖 75.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
β-シトステロールグルコシド 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0050】
配合例15:キャットフード
とうもろこし 33.0wt%
小麦粉 35.0
ミートミール 15.0
牛脂 8.9
食塩 1.0
かつおエキス 4.0
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
β-シトステロールグルコシド 1.0
タウリン 0.1
ビタミン類 0.5
ミネラル類 0.5
100.0wt%
【0051】
配合例16:ドッグフード
とうもろこし 30.0wt%
肉類(チキン) 15.0
脱脂大豆 10.0
小麦粉 24.0
糟糠類 5.0
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
β-シトステロールグルコシド 5.0
動物性油脂 8.9
オリゴ糖 0.1
ビタミン 0.5
ミネラル 0.5
100.0wt%
配合例1:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0052】
配合例2:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 0.1
精製水 残余
100.0wt%
【0053】
配合例3:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 1.0
1、3−ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0054】
配合例4:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L−アルギニン 1.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0055】
配合例5:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
配合例6:シャンプー
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム
(E.O2モル) 15.0
ヤシ油脂肪族ジエタノールアミド 5.0
グリセリン 3.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 0.4
エタノール 5.0
香料及び防腐剤 適量
イオン交換水 残余
全体 100wt%
【0056】
配合例7:ヘヤークリーム
流動パラフィン 20.0wt%
固形パラフィン 3.0
ポリオキシエチレンセチル エーテル
(E.O15モル) 2.0
ソルビタンセスキオレート 1.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 0.2
エタノール 10.0
水酸化カリウム 0.1
グリセリン 3.0
香料及び防腐剤 適量
全体 100wt%
【0057】
配合例8:軟膏剤
サラシミツロウ 5.0wt%
精製ラノリン 5.0
イチゴ種子エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
β-シトステロールグルコシド 1.0
香料 0.1
ワセリン 残余
全体 100wt%
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上、説明したように、本発明は、β-シトステロール配糖体を用いることにより、安全であり、副作用が少ない、皮膚におけるグルコシルセラミド生成及び代謝遺伝子発現促進剤を提供することができる。