特許第6723902号(P6723902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6723902
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20200706BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20200706BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   E06B7/14
   E06B1/18 C
   E06B3/26
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-219138(P2016-219138)
(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公開番号】特開2018-76703(P2018-76703A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】石原 史彬
(72)【発明者】
【氏名】大倉 久礼
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−038574(JP,U)
【文献】 特開2005−256485(JP,A)
【文献】 特開2011−208391(JP,A)
【文献】 実公昭45−007183(JP,Y1)
【文献】 特開平07−317455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00− 1/70
E06B 3/00− 3/46
E06B 7/12− 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠、及び、一対の縦枠により開口部を形成する枠体と、前記開口部に配置されるパネル体と、を備えた建具であって、
前記下枠は、前記一対の縦枠の間で前記パネル体に沿って配置される上面部と、前記パネル体が位置する側の反対側に位置する前記上面部の縁部から上方に向かって形成された段差部と、を有し、
前記縦枠は、前記上面部と前記上枠の間で前記パネル体に沿って配置されて保持部により前記パネル体を保持するとともに、前記段差部との間に隙間を形成する縦押縁と、前記縦押縁が取り付けられる縦枠本体と、前記縦枠本体に設けられて前記隙間から前記縦枠本体側に流れる水が流入する排水口と、を有する建具。
【請求項2】
請求項1に記載された建具において、
前記上面部は、前記縦押縁により遮蔽される遮蔽部に形成されて、前記排水口に流入した水を抜く排水孔を有する建具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された建具において、
前記排水口は、前記上面部に対面する前記縦枠本体の下端部に形成された切欠き部である建具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された建具において、
前記縦枠は、前記縦枠本体に装着される縦装着部材を有し、
前記排水口は、前記縦枠本体の前記縦装着部材により遮蔽される部分に設けられた建具。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された建具において、
前記隙間を形成する前記縦押縁の下端部の外面は、前記段差部に沿って配置される建具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された建具において、
前記隙間の幅は、前記段差部の高さよりも狭い建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体とパネル体を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル体の表面での結露等により、建具の下枠の上面部に水が溜まることがある。そのため、排水孔が下枠の上面部を貫通して形成されて、水が排水孔から排水される。しかしながら、排水孔が露出するときには、排水孔を通して、下枠の内部がみえることがある。また、下枠の上面部で排水孔が目立つことで、建具の外観に影響が生じる虞がある。
【0003】
これに対し、従来、排水口(排水孔)と縦枠の押桟(縦押縁)の間に配置した排水体により、排水孔を塞ぐ排水装置が知られている(特許文献1参照)。
ところが、特許文献1に記載された従来の排水装置では、排水体が、排水孔に挿入される排水弁と、排水弁に収容される球体と、排水弁を係止するキャップを有する。そのため、排水のための部品の数が増加して、排水装置のコストが高くなることがある。また、キャップに形成された水の導入口が露出しており、建具の排水経路が目立つ虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−38574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、縦押縁を備えた建具の排水経路を目立たなくして、排水のための部品の数を増加させずに、下枠の上面部から排水することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上枠、下枠、及び、一対の縦枠により開口部を形成する枠体と、前記開口部に配置されるパネル体と、を備えた建具である。前記下枠は、前記一対の縦枠の間で前記パネル体に沿って配置される上面部と、前記パネル体が位置する側の反対側に位置する前記上面部の縁部から上方に向かって形成された段差部と、を有する。前記縦枠は、前記上面部と前記上枠の間で前記パネル体に沿って配置されて保持部により前記パネル体を保持するとともに、前記段差部との間に隙間を形成する縦押縁と、前記縦押縁が取り付けられる縦枠本体と、前記縦枠本体に設けられて前記隙間から前記縦枠本体側に流れる水が流入する排水口と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縦押縁を備えた建具の排水経路を目立たなくして、排水のための部品の数を増加させずに、下枠の上面部から排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の建具の正面図である。
図2】本実施形態の建具の断面図である。
図3】本実施形態の建具の断面図である。
図4】枠体の下側の角部を示す斜視図である。
図5図4の矢印X1方向からみた下枠の断面図である。
図6図4の矢印X2方向からみた縦枠の断面図である。
図7】他の実施形態の下枠を含む枠体の斜視図である。
図8図7の矢印X3方向からみた下枠の断面図である。
図9図7の矢印X4方向からみた縦枠の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具は、枠体にパネル体が固定された固定窓であり、パネル体により、枠体の開口部を閉鎖する。
【0010】
図1は、本実施形態の建具1の正面図であり、室内からみた建具1を示している。図2図3は、本実施形態の建具1の断面図であり、建具1の概略構成を示している。図2は、建具1を垂直方向(図1の上下方向)に切断した縦断面図であり、図3は、建具1を水平方向(図1の左右方向)に切断した横断面図である。
【0011】
図示のように、建具1は、建築物の開口部に設置されて、建築物の室内と室外の間に配置される。また、建具1は、パネル体2と、パネル体2を囲む枠体3を備えている。パネル体2は、方形状の固定面材であり、枠体3の開口部3Aに配置される。また、パネル体2は、複数枚のガラス板2Aを有する複層ガラスであり、枠体3の内側に嵌め込まれて、枠体3に固定される。
【0012】
枠体3は、方形状の開口枠(窓枠)であり、複数の取付部材4(ここでは、ねじ)により、建築物の開口部を囲む縁部(開口縁部)に取り付けられる。また、枠体3は、枠組みされた4つの枠5〜7(上枠5、下枠6、一対の縦枠7)を有し、枠5〜7により、方形状の開口部3Aを形成する。枠5〜7は、枠体3を構成する長尺部材であり、それぞれパネル体2の縁部(上縁部、下縁部、一対の縦縁部)に沿って配置される。パネル体2の縁部が枠5〜7により保持されて、パネル体2が枠体3の開口部3Aに保持される。
【0013】
枠体3は、4つの枠5〜7のそれぞれに、枠5〜7のベース部材である枠本体5A〜7A(上枠本体5A、下枠本体6A、縦枠本体7A)と、枠本体5A〜7Aに装着される装着部材5B〜7B(上装着部材5B、下装着部材6B、縦装着部材7B)を有する。ここでは、枠本体5A〜7Aは、金属製の枠部材(金属枠部)であり、装着部材5B〜7Bは、合成樹脂製の枠部材(樹脂枠部)である。従って、枠体3は、金属と樹脂からなる複合サッシである。
【0014】
枠本体5A〜7Aは、金属(ここでは、アルミニウム合金)の押出成形により成形されて、方形状に組み合わされる。装着部材5B〜7Bは、合成樹脂の押出成形により成形され、それぞれ枠本体5A〜7Aの取付部に取り付けられて、枠本体5A〜7Aに装着される。装着部材5B〜7Bは、それぞれ枠5〜7の長手方向に沿って配置されて、枠本体5A〜7Aの室内に露出する部分を覆う。
【0015】
上枠5の上装着部材5Bは、上カバー部材10と上押縁20からなり、パネル体2の室内側に配置されるとともに、一対の縦枠7の間に配置される。上カバー部材10は、上押縁20の室内側に配置されて、建築物の開口縁部の表面(ここでは、上額縁の下面)を覆う。上押縁20は、パネル体2と上カバー部材10の間に配置される。上カバー部材10は、係合部である1つの突出部11を有し、屈曲形状に形成されている。上押縁20は、係合部である2つの突出部21と、パネル体2を保持する保持部22を有し、中空状に形成されている。
【0016】
上枠5の上枠本体5Aは、パネル体2を保持する保持部5Cと、カバー取付部5Dと、押縁取付部5Eを有する。保持部5Cは、開口部3Aの内側(パネル体2側)に突出する突出部であり、パネル体2の室外側で、パネル体2の上縁部に沿って配置される。密閉材8が、保持部5Cに取り付けられて、パネル体2の室外側の面に接触する。上カバー部材10の突出部11は、溝状の被係合部であるカバー取付部5Dに挿入されて、カバー取付部5Dに係合する。これにより、上カバー部材10が上枠本体5Aのカバー取付部5Dに取り付けられる。
【0017】
上押縁20の2つの突出部21は、押縁取付部5Eの2つの被係合部の内側に挿入されて、それぞれ押縁取付部5Eの被係合部に係合する。これにより、上押縁20が上枠本体5Aの押縁取付部5Eに取り付けられる。上押縁20は、パネル体2の室内側で、パネル体2の上縁部に沿って配置される。密閉材8が、上押縁20の保持部22に取り付けられて、パネル体2の室内側の面に接触する。パネル体2の上縁部は、上枠本体5Aの保持部5Cと上押縁20の保持部22の間に配置されて、保持部5C、22に保持される。
【0018】
下枠6の装着部材6Bは、下カバー部材30からなり、パネル体2の室内側に配置されるとともに、一対の縦枠7の間に配置される。下カバー部材30は、パネル体2側に位置する第1カバー部31(パネル体側カバー部)と、室内側に位置する第2カバー部32(室内側カバー部)を有する。第1カバー部31は、パネル体2に沿って配置されて、下枠本体6Aの一部(パネル体2よりも室内側の部分)を覆う。第2カバー部32は、第1カバー部31の室内側に配置されて、建築物の開口縁部の表面(ここでは、下額縁の上面)を覆う。
【0019】
下カバー部材30は、係合部である2つの突出部33と、パネル体2を保持する保持部34を有し、屈曲形状に形成されている。下枠6の下枠本体6Aは、パネル体2を保持する保持部6Cと、カバー取付部6Dを有する。保持部6Cは、開口部3Aの内側に突出する突出部であり、パネル体2の室外側で、パネル体2の下縁部に沿って配置される。密閉材8が、保持部6Cに取り付けられて、パネル体2の室外側の面に接触する。
【0020】
下カバー部材30の2つの突出部33は、カバー取付部6Dの2つの被係合部の外側に配置されて、それぞれカバー取付部6Dの被係合部に係合する。これにより、下カバー部材30が下枠本体6Aのカバー取付部6Dに取り付けられる。下カバー部材30は、パネル体2の室内側で、パネル体2の下縁部に沿って配置される。密閉材8が、下カバー部材30の保持部34に取り付けられて、パネル体2の室内側の面に接触する。パネル体2の下縁部は、下枠本体6Aの保持部6Cと下カバー部材30の保持部34の間に配置されて、保持部6C、34に保持される。
【0021】
縦枠7の縦装着部材7Bは、縦カバー部材40と縦押縁50からなり、パネル体2の室内側に配置されるとともに、上枠5と下枠6の間に配置される。縦カバー部材40は、縦押縁50の室内側に配置されて、建築物の開口縁部の表面(ここでは、縦額縁の側面)を覆う。縦押縁50は、パネル体2と縦カバー部材40の間に配置される。縦カバー部材40は、係合部である1つの突出部41を有し、屈曲形状に形成されている。縦押縁50は、係合部である2つの突出部51と、パネル体2を保持する保持部52を有し、中空状に形成されている。
【0022】
縦枠7の縦枠本体7Aは、パネル体2を保持する保持部7Cと、カバー取付部7Dと、押縁取付部7Eを有する。保持部7Cは、開口部3Aの内側に突出する突出部であり、パネル体2の室外側で、パネル体2の縦縁部に沿って配置される。密閉材8が、保持部7Cに取り付けられて、パネル体2の室外側の面に接触する。縦カバー部材40の突出部41は、溝状の被係合部であるカバー取付部7Dに挿入されて、カバー取付部7Dに係合する。これにより、縦カバー部材40が縦枠本体7Aのカバー取付部7Dに取り付けられる。
【0023】
縦押縁50の2つの突出部51は、押縁取付部7Eの2つの被係合部の内側に挿入されて、それぞれ押縁取付部7Eの被係合部に係合する。これにより、縦押縁50が縦枠本体7Aの押縁取付部7Eに取り付けられる。縦押縁50は、パネル体2の室内側で、パネル体2の縦縁部に沿って配置される。密閉材8が、縦押縁50の保持部52に取り付けられて、パネル体2の室内側の面に接触する。パネル体2の縦縁部は、縦枠本体7Aの保持部7Cと縦押縁50の保持部52の間に配置されて、保持部7C、52に保持される。
【0024】
下枠6は、段違いの2つの上面部61、62(第1上面部61、第2上面部62)と、上面部61、62の間に形成された段差部63を有する。上面部61、62は、下枠6の上面を構成する部分であり、上枠5の下面部と対向して配置される。上面部61、62の上側の表面は、下枠6の上面であり、それぞれ平面状に形成されている。上面部61、62は、枠体3の内周部60の一部(下部)であり、パネル体2の室内側で、枠体3の開口部3Aの下部を区画する。ここでは、上面部61、62は、下カバー部材30の上面を含む板状の見込み部であり、下枠6の見込み方向(室内外方向)に沿って配置される。
【0025】
第1上面部61は、第2上面部62に対してパネル体2側に位置するパネル体側上面部であり、第2上面部62は、第1上面部61に対して室内側に位置する室内側上面部である。また、第1上面部61は、第1カバー部31の上面部であり、第2上面部62は、第2カバー部32の上面部である。第1上面部61は、一対の縦枠7の間でパネル体2に沿って配置されて、パネル体2から室内側に向かって形成されている。第2上面部62は、一対の縦枠7の間に配置されて、段差部63から室内側に向かって形成されている。
【0026】
下枠6の第1上面部61と縦枠7の縦押縁50は、パネル体2の室内側に配置されて、パネル体2に隣接する。また、縦押縁50は、第1上面部61と上枠5の間でパネル体2に沿って配置される。縦枠7側に位置する第1上面部61の端部が縦押縁50の下方に配置されて、縦押縁50の下端部53が第1上面部61の端部に接触する。縦押縁50は、第2上面部62及び段差部63に接触せず、第2上面部62及び段差部63よりもパネル体2側に配置される。
【0027】
図4は、枠体3の下側の角部を示す斜視図であり、下枠6と縦枠7が交わる角部を斜め上方からみて示している。図4では、パネル体2と縦枠7の縦カバー部材40を省略し、縦カバー部材40により隠される部分を示している。図5は、図4の矢印X1方向からみた下枠6の断面図であり、図6は、図4の矢印X2方向からみた縦枠7の断面図である。
図示のように、下枠6の第1上面部61は、縦押縁50により遮蔽される遮蔽部64と、枠体3の開口部3Aの内側に露出する露出部65と、下枠6の長手方向に沿って形成された2つの縁部66、67(第1縁部66、第2縁部67)を有する。
【0028】
遮蔽部64は、縦枠7側に位置する第1上面部61の所定部であり、縦枠7側に位置する第1上面部61の端部に設けられている。縦押縁50の下端部53が遮蔽部64に配置されて、遮蔽部64が縦押縁50により隠される。露出部65は、縦押縁50により遮蔽されずに露出する第1上面部61の非遮蔽部である。縦押縁50の下端部53は、露出部65に配置されず、露出部65は、パネル体2の室内側で露出する。
【0029】
第1縁部66は、パネル体2側に位置する第1上面部61のパネル体側縁部であり、パネル体2に対向して配置される。第2縁部67は、パネル体2が位置する側の反対側に位置する第1上面部61の反対側縁部であり、パネル体2側の反対側に配置される。第1縁部66と第2縁部67は、平行に形成されている。ここでは、第1上面部61及び第1縁部66は、パネル体2の室内側で、パネル体2の下縁部に沿って配置される。また、第2縁部67は、室内側に位置する第1上面部61の室内側縁部であり、縦押縁50よりも室内側に配置される。
【0030】
第1上面部61は、第2上面部62よりも下側に位置し、第2上面部62は、第1上面部61よりも上側に位置する。段差部63は、第1上面部61と第2上面部62の段差により、第1上面部61と第2上面部62の間に形成された段部であり、第1上面部61と第2上面部62を連結する。また、段差部63は、第1上面部61の第2縁部67に接続し、第2縁部67から上方に向かって形成されている。
【0031】
縦枠7は、縦枠本体7Aと、縦枠本体7Aに装着される縦装着部材7B(縦カバー部材40、縦押縁50)と、排水口70を有する。縦押縁50は、縦枠本体7Aに取り付けられて、第1上面部61に接触する。その状態で、縦押縁50は、段差部63から離して配置されて、段差部63との間に排水用の隙間71を形成する。隙間71を形成する縦押縁50の下端部53の外面は、段差部63に沿って配置される。隙間71は、縦押縁50の下端部53と段差部63の間に設けられて、縦押縁50の下端部53及び段差部63に沿って延びる。隙間71の幅(縦押縁50と段差部63の距離)は段差部63の高さ(上下方向の段差の距離)よりも狭く、隙間71の幅寸法は段差部63の高さ寸法よりも小さい。
【0032】
隙間71は、縦押縁50と段差部63の間に形成される溝状の排水路であり、第1上面部61の露出部65と縦枠7の排水口70の間に位置する。隙間71により、露出部65と排水口70が連通して、第1上面部61に溜まった水が排水口70まで流れる。排水口70は、隙間71から縦枠本体7A側に流れる水が流入する流入口であり、縦枠本体7Aに設けられている。第1上面部61の水は、隙間71及び排水口70を通って、建具1の外部に排水される。
【0033】
排水口70は、第1上面部61に対面する縦枠本体7Aの下端部に形成された水抜き用の切欠き部であり、縦枠本体7Aの下端部を切欠くことで、第1上面部61の表面の位置に形成される。排水口70は、縦枠本体7Aと第1上面部61の間に形成されて、隙間71から流入する水を排水する。ここでは、縦枠本体7Aの押縁取付部7Eの下端部が切欠かれて、排水口70が押縁取付部7Eと第1上面部61の間に設けられる。排水口70は、縦枠本体7A、第1上面部61、及び、縦押縁50により区画されて、矩形状に形成される。また、排水口70は、縦枠本体7Aの縦装着部材7Bにより遮蔽される部分に設けられて、縦装着部材7Bにより遮蔽される。
【0034】
第1上面部61の水は、隙間71及び排水口70を含む建具1の排水経路を通って、建具1の外部(室外側)に排水される(図4図6の矢印W1参照)。その際、水は、隙間71に流入して、隙間71内を縦枠本体7A側に向かって流れる。続いて、水は、隙間71から流出し、縦枠本体7A側に向かって流れて、排水口70まで移動する。水は、排水口70から第1上面部61の遮蔽部64に流入し、縦押縁50と縦枠本体7Aの間で室外側へ向かって流れる。その後、水は、下枠6の所定の排水経路を通って、室外に排水される。
【0035】
以上説明した建具1では、隙間71及び排水口70により水を排水しており、建具1の排水経路を目立たなくして、建具1の外観を向上させることができる。また、下枠6に必要な排水性能を確保して、下枠6の第1上面部61から確実に排水することができる。排水のための部品の数を増加させることなく、円滑に排水でき、建具1のコストを削減することができる。第1上面部61の表面を平面状に形成して、第1上面部61の表面の凹凸を少なくすることもできる。
【0036】
排水口70が縦枠本体7Aに形成した切欠き部からなるため、排水口70を縦枠7に簡単に設けることができる。排水口70を縦枠本体7Aの縦装着部材7Bにより遮蔽される部分に設けるときには、排水口70を隠すことができる。縦押縁50の下端部53の外面は、段差部63に沿って配置される。これにより、隙間71がより目立たなくなるとともに、水が隙間71内で円滑に流れる。隙間71の幅が段差部63の高さよりも狭いときには、段差部63により隙間71の一部又は全部が隠されることで、隙間71が更に目立たなくなる。
【0037】
なお、第1上面部61の水は、隙間71及び排水口70を通って排水されればよく、隙間71から排水口70に流入した後、種々の排水経路を通って排水される。例えば、水は、下枠6に形成した切欠き部又は孔等を通って、下枠6の外部に排水される。
【0038】
図7は、他の実施形態の下枠6を含む枠体3の斜視図であり、図4と同様に、枠体3の下側の角部を示している。図8は、図7の矢印X3方向からみた下枠6の断面図であり、図9は、図7の矢印X4方向からみた縦枠7の断面図である。
図示のように、ここでは、下枠6の第1上面部61は、排水口70に流入した水を抜く排水孔72を有する。排水孔72は、縦枠7側に位置する第1上面部61の端部に設けられて、縦押縁50の下方に配置される。
【0039】
排水孔72は、第1上面部61から水を抜いて排水する水抜き孔であり、第1上面部61の遮蔽部64に形成されている。排水孔72の全体が、第1上面部61の縦押縁50により遮蔽される部分に形成されて、縦押縁50により遮蔽される。また、排水孔72は、第1上面部61を貫通する矩形状の貫通孔であり、排水口70に対してパネル体2側に配置されて、排水口70に隣接する。排水口70側に位置する排水孔72の縁部(室内側縁部)は、排水口70の下縁部よりも長く形成されて、排水口70の下縁部に沿って配置される。
【0040】
排水口70に流入した水は、排水孔72に流入し、排水孔72を通って、建具1の外部に排水される(図7図9の矢印W2参照)。その際、水は、排水孔72を通って落下して、下枠6の内部に移動する。続いて、水は、下枠6の所定の排水経路を通って、室外に排水される。排水孔72により、排水口70に流入した水を円滑に排水でき、第1上面部61からの排水をより確実に行うことができる。
【0041】
以上、第1上面部61が下カバー部材30の一部である実施形態について説明したが、第1上面部61は、下カバー部材30以外の下枠6の部材(又は、部材の一部)であってもよい。例えば、下枠6が下カバー部材30を有さないときには、第1上面部61は、下カバー部材30以外の装着部材6Bの一部である。或いは、下枠6が装着部材6Bを有さないときには、第1上面部61は、下枠本体6Aの一部である。
【0042】
枠5〜7の枠本体5A〜7Aと装着部材5B〜7Bは、金属製であってもよく、合成樹脂製であってもよい。また、排水口70と排水孔72の形状は、それぞれ水が流入可能な形状(例えば、矩形状、種々の多角形状、円形状)であればよい。排水口70は、縦枠本体7Aの押縁取付部7Eに限定されず、隙間71から水が流入可能な縦枠7の種々の位置に設けることができる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・建具、2・・・パネル体、3・・・枠体、4・・・取付部材、5・・・上枠、6・・・下枠、7・・・縦枠、8・・・密閉材、10・・・上カバー部材、11・・・突出部、20・・・上押縁、21・・・突出部、22・・・保持部、30・・・下カバー部材、31・・・第1カバー部、32・・・第2カバー部、33・・・突出部、34・・・保持部、40・・・縦カバー部材、41・・・突出部、50・・・縦押縁、51・・・突出部、52・・・保持部、53・・・下端部、60・・・内周部、61・・・第1上面部、62・・・第2上面部、63・・・段差部、64・・・遮蔽部、65・・・露出部、66・・・第1縁部、67・・・第2縁部、70・・・排水口、71・・・隙間、72・・・排水孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9