特許第6723911号(P6723911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6723911
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】燃料配置確認方法及び燃料配置確認装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/06 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
   G21C17/06 080
   G21C17/06 100
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-244266(P2016-244266)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2018-96931(P2018-96931A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小西 孝明
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】長野 真士
(72)【発明者】
【氏名】李 典燦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 仁
(72)【発明者】
【氏名】園部 正義
【審査官】 関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−257981(JP,A)
【文献】 特開2005−351659(JP,A)
【文献】 米国特許第5912934(US,A)
【文献】 国際公開第2014/010324(WO,A1)
【文献】 特開2013−228798(JP,A)
【文献】 特開2007−049289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T1/00−1/40
3/00−5/50
9/00−9/40
G21C17/00−17/003
17/013
17/02
17/025
17/032−17/10
17/108
17/12−17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰水型原子炉の燃料交換作業に係る燃料配置確認方法であって、
移動装置に取り付けられた撮像機により燃料集合体の上部に刻印された燃料集合体番号を撮像し、
前記移動装置を走査し前記撮像機による撮像を、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体に対し繰り返し実行し、
取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成することにより、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体の全体画像データを生成し、前記全体画像データを表示部に表示することを特徴とする燃料配置確認方法。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料配置確認方法において、
前記移動装置に取り付けられた撮像機は、気中に配された状態で燃料集合体の上部に刻印された燃料集合体番号を撮像することを特徴とする燃料配置確認方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料配置確認方法において、
前記取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成する処理は、前記複数の撮像画像から、視認性低下領域を判定し、当該視認性低下領域以外を合成することにより、前記燃料集合体番号が視認可能な画像データを得ることを特徴とする燃料配置確認方法。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料配置確認方法において、
前記取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成する処理は、前記視認性低下領域の判定に撮像画像中の線分の曲率を用いることを特徴とする燃料配置確認方法。
【請求項5】
請求項3に記載の燃料配置確認方法において、
前記取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成する処理は、撮像画像の輝度コントラストが所定の閾値より小さい領域を視認性低下領域と判定することを特徴とする燃料配置確認方法。
【請求項6】
請求項3に記載の燃料配置確認方法において、
前記取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成する処理は、撮像画像の輝度平均値が所定の閾値より小さい領域を視認性低下領域と判定することを特徴とする燃料配置確認方法。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の燃料配置確認方法において、
前記取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成する処理は、前記複数の撮像画像から、視認性低下領域を判定し、当該視認性低下領域が含まれる場合に、視認性低下領域が含まれなくなるまで前記撮像機による撮像を繰り返し実行することを特徴とする燃料配置確認方法。
【請求項8】
沸騰水型原子炉の燃料交換作業において用いられる燃料配置確認装置であって、
炉心に装荷された燃料集合体の上部に刻印された燃料集合体番号を撮像する撮像機と、
前記撮像機を保持し、前記燃料集合体の上方であって水平面内を走査する移動装置と、
前記移動装置を走査し前記撮像機による撮像を、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体に対し繰り返し実行し、取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成することにより、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体の全体画像データを生成し、前記全体画像データを表示部へ出力する燃料配置確認処理部と、を備えることを特徴とする燃料配置確認装置。
【請求項9】
請求項8に記載の燃料配置確認装置において、
前記撮像機は、気中に配された状態で燃料集合体の上部に刻印された燃料集合体番号を撮像することを特徴とする燃料配置確認装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の燃料配置確認装置において、
前記燃料配置確認処理部は、前記複数の撮像画像から、視認性低下領域を判定し、当該視認性低下領域以外を合成することにより、前記燃料集合体番号が視認可能な画像データを生成する領域選択処理部を備えることを特徴とする燃料配置確認装置。
【請求項11】
請求項10に記載の燃料配置確認装置において、
前記領域選択処理部は、撮像画像中の線分の曲率に基づき、前記複数の撮像画像から、視認性低下領域を判定することを特徴とする燃料配置確認装置。
【請求項12】
請求項10に記載の燃料配置確認装置において、
前記領域選択処理部は、撮像画像の輝度コントラストが所定の閾値より小さい領域を視認性低下領域と判定することを特徴とする燃料配置確認装置。
【請求項13】
請求項10に記載の燃料配置確認装置において、
前記領域選択処理部は、撮像画像の輝度平均値が所定の閾値より小さい領域を視認性低下領域と判定することを特徴とする燃料配置確認装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の燃料配置確認装置において、
前記燃料配置確認処理部は、前記撮像機へ撮像指示を出力すると共に前記撮像機より複数の撮像画像を取得する画像取得部を備え、
前記領域選択処理部は、前記画像取得部からの複数の撮像画像から視認性低下領域を判定し、
前記画像取得部は、前記領域選択処理部により判定される視認性低下領域が含まれなくなるまで前記撮像機へ撮像指令を繰り返し出力し、前記撮像機による撮像を繰り返すことを特徴とする燃料配置確認装置。
【請求項15】
請求項14に記載の燃料配置確認装置において、
前記移動装置は燃料交換機であって、前記撮像機を燃料集合体の方向に向けて固定する固定具が取り付けられていることを特徴とする燃料配置確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉の燃料交換作業に係る燃料配置確認方法及び燃料配置確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の沸騰水型原子炉内に装荷された燃料集合体は、使用後に使用済燃料集合体として保管プールに保管される。使用済燃料集合体の炉心から保管プールへの移動、及び、新しい燃料集合体の炉心への装荷は、定期検査での一工程として実施されている。このとき、所定の位置から燃料集合体が取り出されているか、また、所定の位置に燃料集合体が装荷されたかを確認するため、燃料集合体の上部に設けられたハンドルに刻印された刻印番号を水中カメラなどによって撮像し、撮像画像から人による目視で番号が正しいか判断している。
従来の配置確認では、水中カメラ1体を用いて、多数配列された燃料集合体を1列ごとに確認していたことから、全ての燃料集合体の刻印番号確認には非常に時間が掛かっていた。そこで、時間短縮を可能とする技術として、例えば、特許文献1に記載される技術が提案されている。特許文献1には、撮影装置、投光器、及び投光器角度調整装置を移動装置に設置し、制御装置により移動装置を原子炉内の燃料撮影位置に移動させる燃料集合体装荷確認装置が開示されている。また、撮影装置の撮影高さは、撮影装置の解像度に応じて、認識可能な燃料集合体の数が撮影可能な高さに制御すると同時に、撮影時における移動座標は、撮影燃料がだぶらないように移動制御される。そして、撮影された画像に対し燃料集合体の刻印番号部分の文字強調処理及び燃料集合体全体の輪郭部分の強調処理などを実施し、燃料集合体の刻印番号を文字認識処理する旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-304576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料集合体の刻印番号をより効率的に確認するには、より多くの燃料集合体を一括で撮像できることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載される技術では、燃料集合体の刻印番号を文字認識できない場合には、使用者による燃料集合体の刻印番号の目視による確認及び入力操作を要するものであり、そもそも、水中密度差によって光のランダムな屈折が生じ、光が直進しないことから撮像画像において歪みが発生する、所謂、水ゆらぎについては何ら考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明は、水中撮像距離を大きくし広域を一括撮像すると共に水ゆらぎを考慮し燃料集合体の刻印番号の確認を良好に行い得る燃料配置確認方法及び燃料配置確認装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る燃料配置確認方法は、沸騰水型原子炉の燃料交換作業に係る燃料配置確認方法であって、移動装置に取り付けられた撮像機により燃料集合体の上部に刻印された燃料集合体番号を撮像し、前記移動装置を走査し前記撮像機による撮像を、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体に対し繰り返し実行し、取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成することにより、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体の全体画像データを生成し、前記全体画像データを表示部に表示することを特徴とする。
また、本発明に係る燃料配置確認装置は、沸騰水型原子炉の燃料交換作業において用いられる燃料配置確認装置であって、炉心に装荷された燃料集合体の上部に刻印された燃料集合体番号を撮像する撮像機と、前記撮像機を保持し、前記燃料集合体の上方であって水平面内を走査する移動装置と、前記移動装置を走査し前記撮像機による撮像を、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体に対し繰り返し実行し、取得される複数の撮像画像のうち、画像歪を含まない画像データを選択し合成することにより、少なくとも配置確認の対象となる燃料集合体の全体画像データを生成し、前記全体画像データを表示部へ出力する燃料配置確認処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水中撮像距離を大きくし広域を一括撮像すると共に水ゆらぎを考慮し燃料集合体の刻印番号の確認を良好に行い得る燃料配置確認方法及び燃料配置確認装置を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例に係る燃料配置確認装置の全体構成を確認対象とする燃料集合体と共に概略的に示す図である。
図2図1に示す燃料配置確認装置を構成する燃料配置確認処理部の機能ブロック図である。
図3図2に示す燃料配置確認処理部の処理フロー図である。
図4】改良型沸騰水型原子炉の概略構成図である。
図5】炉心及び燃料貯蔵プールの上部外観を示す図である。
図6】炉心上部の外観を示す図である。
図7】認識率低下領域(視認性低下領域)を含む撮像画像の一例を示す図である。
図8】認識率低下領域(視認性低下領域)及び認識可能領域(刻印文字認識可能領域)の判定結果についての一例を示す図である。
図9】複数の認識可能領域及び選択合成画像データの一例を示す図である。
図10】複数の選択合成画像データをマージ処理し全体画像データを得る一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、沸騰水型原子炉とは、再循環ポンプを備え減速材としての冷却水を原子炉圧力容器外へ通流し再び原子炉圧力容器内のダウンカマへ流入させることで冷却水を循環させる通常の沸騰水型原子炉(BWR)、インターナルポンプを備える改良型沸騰水型原子炉(ABWR)、チムニによる冷却水の自然循環方式を用いることで、BWRにおける再循環ポンプまたはABWRにおけるインターナルポンプを不要とする高経済性単純化沸騰水型原子炉(Economic Simplified Boiling Water Reactor:ESBWR)、資源再利用型沸騰水型原子炉(Resource−Renewable Boiling Water Reactor:RBWR)などを含む。なお、資源再利用型沸騰水型原子炉(RBWR)においては、制御棒の水平断面形状はY字形状を有する。
以下では、本発明に係る燃料配置確認方法及び燃料配置確認装置が適用される沸騰水型原子炉として、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を一例に説明する。
図4は、改良型沸騰水型原子炉の概略構成図である。図4に示すように、改良型沸騰水型原子炉10は、原子炉圧力容器11内に円筒状の炉心シュラウド16が設けられ、炉心シュラウド16内に、複数体の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心12が設置されている。また、原子炉圧力容器11内には、炉心12を覆うシュラウドヘッド20、シュラウドヘッド20に取り付けられ上方へと延伸する気水分離器18、及び気水分離器18の上方に配される蒸気乾燥器19が設けられている。
上部格子板14が、シュラウドヘッド20の下方で炉心シュラウド16内に配され、炉心シュラウド16に取り付けられて炉心12の上端部に位置している。炉心支持板13が、炉心12の下端部に位置して炉心シュラウド16内に配され、炉心シュラウド16に設置されている。また、複数の燃料支持金具15が炉心支持板13に設置されている。
また、原子炉圧力容器11内には、燃料集合体の核反応を制御するため炉心12へ複数の水平断面十字状の制御棒(図示せず)を挿入可能とする制御棒案内管22が設けられている。原子炉圧力容器11の底部より下方に設置された制御棒駆動機構ハウジング(図示せず)内に制御棒駆動機構23を備え、制御棒は制御棒駆動機構23に連結されている。
【0010】
原子炉圧力容器11の底部である下鏡24に、その下方より原子炉圧力容器11の内部へ貫通するよう複数のインターナルポンプ21が設置されている。複数のインターナルポンプ21は、複数の制御棒案内管22の最外周部より外側であって、環状に相互に所定の間隔にて離間し、複数台配されている。これにより、インターナルポンプ21は、制御棒案内管22などと干渉することはない。そして、各インターナルポンプ21のインペラが、円筒状の炉心シュラウド16と原子炉圧力容器11の内面との間に形成される環状のダウンカマ17内に位置付けられている。原子炉圧力容器11内の冷却水は、各インターナルポンプ21のインペラにより、ダウンカマ17を介して、下鏡24側から炉心12へ供給される。炉心12内に流入する冷却水は、燃料集合体(図示せず)の核反応により加熱され気液二相流となり、気水分離器18へ流入する。気水分離器18を通流する気液二相流は、湿分を含む蒸気(気相)と水(液相)に分離され、液相は再び冷却水としてダウンカマ17へ降下する。一方、蒸気(気相)は、蒸気乾燥器19へと導入され湿分が除去された後、主蒸気配管25を介してタービン(図示せず)へ供給される。復水器などを介して給水配管26より原子炉圧力容器11内に流入する冷却水は、ダウンカマ17内を下方へと通流する(降下する)。このように、インターナルポンプ21は、炉心12で発生する熱を効率良く冷却するため、冷却水を炉心12へ強制循環させる。
以下、図面を用いて本発明の実施例である、燃料配置確認方法及び燃料配置確認装置を改良型沸騰水型原子炉10に適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料配置確認装置の全体構成を確認対象とする燃料集合体と共に概略的に示す図であり、図2は、図1に示す燃料配置確認装置を構成する燃料配置確認処理部の機能ブロック図である。
【0012】
図1では、上述の改良型沸騰水型原子炉10の上蓋(図示せず)が取り外され、原子炉圧力容器11内に設置される気水分離器18及び蒸気乾燥器19が取り外された状態を示している。燃料配置確認装置1は、炉心12に装荷された撮像対象である燃料集合体27の上面を撮像する撮像機2、撮像機2を燃料集合体27の方向に向けて固定する固定具4、固定具4が取り付けられオペレーションフロア(運転床)高さを走査する移動装置としての台車5、少なくとも撮像機2により撮像された画像と移動装置としての台車5への制御信号を伝送する伝送ケーブル6、伝送ケーブル6の一方端に接続される燃料配置確認処理部3、入力部7、及び表示部8を備える。入力部7は、例えば、キーボード及び/又はマウスなどの入力装置からなる。検査員(作業員)は、入力部7により、例えば、撮像機2による撮像開始位置の情報、移動装置としての台車5による走査順、撮像機2の撮像視野のサイズ、炉心12内に装荷される全ての燃料集合体27のマップ(座標データ)、各種閾値などを予め入力する。また、表示部8は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機ELディスプレイなどの表示装置を有し、詳細後述する、炉心12に装荷された撮像対象である燃料集合体27の配置の確認結果の画像データを表示する。
なお、図1に示す例では、撮像機2の撮像部が水面付近の水中に位置付けられる場合を示しているが、これに限られず、撮像機2の撮像部が、水面より上部、すなわち、気中に位置付けられるよう構成しても良い。撮像機2の撮像部が気中に位置付けられる場合は、撮像機2の撮像部が水面付近の水中に位置付けられる場合と比較し、水中撮像距離、すなわち、撮像機2の撮像部から撮像対象である燃料集合体27の上面までの距離が大きくなり広域を一括撮像する点で望ましい。換言すれば、撮像機2の撮像部が気中に位置付けられる場合は、撮像機2の撮像部が水面付近の水中に位置付けられる場合と比較し、撮像視野を広げることが可能となる。
【0013】
また、図1に示す例では、撮像機2を燃料集合体27の方向に向けて固定する固定具4が取り付けられオペレーションフロア(運転床)高さを走査する移動装置として、台車5を用いる場合を示しているが、これに限られるものでは無い。例えば、移動装置としての台車5に代えて燃料交換機を用いても良い。移動装置として燃料交換機を用いる場合においては、炉心12内の燃料集合体27の交換作業時に逐次、燃料集合体27の配置を確認することができる。以下では、移動装置の一例として台車5を用いる場合について説明する。なお、移動装置として台車5を用いる場合においては、燃料交換機による炉心12に装荷される燃料集合体27を、例えば4バッチにて交換作業終了後に、台車5を設置し、燃料集合体27の配置の確認作業を行う。
【0014】
図2に示すように、燃料配置確認処理部3は、入出力I/F31、台車制御部32、画像取得部33、領域選択処理部34、画像合成処理部35、及び記憶部36を備え、これらは相互に内部バス37にてアクセス可能に接続されている。燃料配置確認処理部3を構成する、台車制御部32、画像取得部33、領域選択処理部34、及び画像合成処理部35は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、各種プログラムを格納するROM、演算過程のデータを一時的に格納するRAM、外部記憶装置などの記憶装置にて実現されると共に、CPUなどのプロセッサがROMに格納された各種プログラムを読み出し実行し、実行結果である演算結果をRAM又は外部記憶装置に格納する。
【0015】
台車制御部32は、内部バス37を介して記憶部36へアクセスし、記憶部36に予め格納される、撮像機2による撮像開始位置の情報、撮像機2の撮像視野のサイズ及び/又は移動装置としての台車5による走査順を読み出し、入出力I/F31を介して移動装置としての台車5へ制御信号を出力する。これにより、撮像機2を燃料集合体27の方向に向けて固定する固定具4が取り付けられた移動装置としての台車5は、オペレーションフロア(運転床)高さを撮像開始位置まで移動すると共に走査する。
画像取得部33は、入出力I/F31を介して撮像機2へ撮像指示を出力すると共に、入出力I/F31及び内部バス37を介して、撮像機2の撮像部により撮像された炉心12に装荷された撮像対象である燃料集合体27の上面の撮像画像データを取得する。なお、撮像機2の撮像部により撮像される画像は、静止画または動画である。静止画の場合には、移動装置としての台車5により、撮像機2が撮像視野のサイズに応じてステップ的に位置決めされた時点で静止画を撮像する。動画の場合には、移動装置としての台車5にてステップ的に移動される間に撮像される動画中の静止画データが撮像機2の位置(台車5の位置との関係から定まる)と対応付けて画像取得部33に取り込まれると共に、内部バス37を介して記憶部36に格納される。
【0016】
領域選択処理部34は、内部バス37を介して画像取得部33より転送される燃料集合体27の上面の撮像画像データから、画像合成処理に用いる画像領域を選択する。画像合成処理に用いる画像領域の選択の詳細については後述する。
画像合成処理部35は、内部バス37を介して領域選択処理部34より転送される、選択された複数の画像領域を合成する。そして、画像合成処理部35は、合成された全体画像データを記憶部36へ内部バス37を介して格納すると共に、内部バス37及び入出力I/F31を介して表示部8へ出力する。
なお、記憶部36は、更に、上述のように、入力部7を介して予め入力される、例えば、撮像機2による撮像開始位置の情報、移動装置としての台車5による走査順、撮像機2の撮像視野のサイズ、炉心12内に装荷される全ての燃料集合体27のマップ(座標データ)、各種閾値などを格納している。
【0017】
次に、燃料配置確認処理部3による処理の流れについて説明する。図3に燃料配置確認処理部3の処理フロー図を示す。
開始ステップS11において番号確認工程が開始されると、台車移動ステップS12では、台車制御部32は、内部バス37を介して記憶部36へアクセスし、記憶部36に格納される撮像開始位置の情報及び炉心12内に装荷される全ての燃料集合体27のマップ(座標データ)を読み出し、入出力I/F31を介して移動装置としての台車5へ制御信号を出力する。当該制御信号に基づき移動装置としての台車5は、撮像機2が燃料集合体27の刻印番号を撮像する位置(撮像開始位置)となるまで移動する。
台車停止ステップS13では、移動装置としての台車5は、撮像開始位置に到達すると停止する。
複数画像撮像ステップS14では、撮像機2は、入出力I/F31を介して画像取得部33より出力される撮像指示に基づき、撮像対象である燃料集合体27の上面を複数回撮像する。すなわち、撮像機2は、同一撮像位置(ここでは、撮像開始位置)にて複数回撮像を実行する。この撮像された複数の撮像画像は、伝送ケーブル6、入出力I/F31、及び内部バス37を介して画像取得部33へ入力される。
【0018】
画像選択合成ステップS15では、領域選択処理部34は、画像取得部33より転送される、同一撮像位置(ここでは、撮像開始位置)にて複数回撮像された複数の撮像画像データに基づき、詳細後述する、検査員(作業員)により視認可能な領域(認識可能領域)と認識率低下領域とを識別し、上記複数の撮像画像データのなかから認識可能領域を選択し合成することで選択合成画像データを生成する領域選択合成処理を実行する。
【0019】
全領域完了判定ステップS16では、領域選択処理部34は、番号確認対象の燃料集合体の全体領域が撮像されたか否かを判定する。ここで、番号確認対象の燃料集合体の全体領域が撮像されたか否かの判定は、領域選択処理部34が内部バス37を介して記憶部936へアクセスし、記憶部36に予め格納される、撮像機2の撮像視野のサイズ、撮像機2による撮像位置、と炉心12内に装荷される全ての燃料集合体のマップ(座標データ等)を参照し、「番号確認対象の燃料集合体の全体領域」と「走査される撮像機2の撮像視野と撮像位置」との関係から、全領域が完了したか否かを判定する。
全領域完了判定ステップS16における判定結果が「否」の場合には、上述の台車移動ステップS12に戻り、台車制御部32は、内部バス37を介して記憶部36へアクセスし、記憶部36に格納される走査順に基づき次の撮像位置となるまで台車5が移動するよう制御する。そして、台車停止ステップS13、複数画像撮像ステップS14、画像選択合成ステップS15、及び全領域完了判定ステップS16までの処理を繰り返し実行する。
【0020】
一方、全領域完了判定ステップS16における判定の結果、全領域が完了した場合には複数領域画像マージステップS17へ進む。
【0021】
複数領域画像マージステップS17では、画像合成処理部35は、上述の画像選択合成ステップS15にて領域選択処理部34により生成された複数の選択合成画像データを取得し、撮像位置に合わせてマージすることで、全体画像データを生成する。
画像保存・画像表示ステップS18では、画像合成処理部35は、複数領域画像マージステップS17にて生成した全体画像データを、内部バス37を介して記憶部36の所定の記憶領域に格納すると共に、内部バス37及び入出力I/F31を介して表示部8へ生成した全体画像データを出力する。これにより、表示部8の画面上に全体画像データが表示される。
【0022】
以下、上述の各ステップにおける詳細について個別に説明する。
先ず、図5を用いて、撮像機2を搭載した移動装置としての台車5の移動の詳細について説明する。図5は、炉心12及び燃料貯蔵プール9の上部外観を示す図である。移動装置としての台車5は、炉心12及び燃料貯蔵プール9上の平面を、直交する2軸の並行移動の組み合わせによって任意位置に移動可能な構造となっている。具体的には、図5に示すように、炉心12及び燃料貯蔵プール9の上方には、二条平行に相互に所定の間隔にて離間すると共に、炉心12及び燃料貯蔵プール9が設置される領域を跨るよう延伸するレール51が設けられている。また、この二条平行に設けられたレール51に対し直交すると共に、相互に所定の間隔にて離間し移動装置としての台車5が走行可能なレール52が設けられている。二本のレール52上に移動装置としての台車5が載置されると、先ず、二本のレール52は、上記二本のレール51上を炉心12及び燃料貯蔵プール9の上方の所望の位置まで摺動または滑動する。その後、移動装置としての台車5が二本のレール52上を走行することにより、撮像機2を燃料集合体27の方向に向けて固定する固定具4が取り付けられた台車5が所望の位置に位置付けられる。なお、図5に示すように、燃料貯蔵プール9には、相互に隣接する四体の燃料集合体27で構成されるセル単位にて、使用済燃料集合体及び新しい燃料集合体が貯蔵されている。
上述の図3における台車移動ステップS12において、移動装置としての台車5は、予め指定された、撮像する燃料集合体27の上方に撮像機2が配置される位置まで、燃料配置確認処理部3を構成する台車制御部32からの制御信号により移動し、台車停止ステップS13において、燃料配置確認処理部3を構成する台車制御部32からの制御信号により、指定位置で移動装置としての台車5が停止される。
【0023】
次に、図6を用いて、複数画像撮像ステップS14における、撮像機2による撮像の詳細について説明する。図6は炉心上部の外観を示す図であり、炉心12に装荷された燃料集合体27の上部外観の一部を示している。正方に区切られた上部格子板14の中心位置に水平断面十字形状の制御棒28が配置され、制御棒28を囲むよう、その四方に燃料集合体27が一体ずつ装荷されている。燃料集合体27の上部にはハンドル29が取り付けられており、制御棒28のブレード方向と45度をなす角度で、四体の燃料集合体27のハンドル29が制御棒28の中心を囲むように、燃料集合体27が装荷されている。これら四体の燃料集合体27及び制御棒28にて1つのセルが構成される。燃料集合体27のハンドル29の上部に、ハンドル向きに沿って燃料集合体番号が刻印されている。すなわち、炉心12を上部から覗くと、炉心12に装荷されている全ての燃料集合体27の刻印番号を観測することができる。図6に示す例では、左上部に装荷されるセルをなす四体の燃料集合体27の刻印番号は、当該セル内において、左上部に装荷されている燃料集合体27が「A1AA01」、右上部に装荷されている燃料集合体27が「A1AA02」、右下部に装荷されている燃料集合体27が「A1AA03」、及び左下部に装荷されている燃料集合体27が「A1AA04」である。複数画像撮像ステップS14では、画像取得部33からの撮像指示により、撮像機2を用いて、図6と同様の領域の撮像が実施される。すなわち、図6は、撮像機2の撮像部による撮像視野に相当する。このとき、同一位置での撮像を複数回実施する。すなわち、同一の領域を撮像した画像を複数枚取得する。画像取得部33にて取得された複数の撮像画像データは、内部バス37を介して領域選択処理部34へ転送され、領域選択処理部34にて上述の画像選択合成ステップS15が実行される。
次に、図7から図9を用いて、画像選択合成ステップS15にて領域選択処理部34により実行される画像処理の詳細について説明する。図7は認識率低下領域(視認性低下領域)を含む撮像画像の一例を示す図であり、図8は認識率低下領域(視認性低下領域)及び認識可能領域(刻印文字認識可能領域)の判定結果についての一例を示す図であり、図9は複数の認識可能領域及び選択合成画像データの一例を示す図である。
【0024】
領域選択処理部34では、撮像画像データから、刻印文字の認識が可能な領域(認識可能領域)と、水中ゆらぎや外光等の視認性低下要因の影響により刻印文字の認識が困難な領域(認識率低下領域)を、ある指標をもとに判定(識別)する。ここではまず、撮像画像データ中の直線成分を抽出し水中ゆらぎの影響度による判定について説明する。図7は、水中ゆらぎ影響のある領域を含む撮像画像データの例である。水中ゆらぎ環境での撮像を行った場合に、水中密度差によって光のランダムな屈折が起こり、光が直進しないことから、撮像画像データにおいて歪みが発生する。図7に示す撮像画像データでは、右下部の領域に歪みが発生し、上部格子板14や制御棒28、燃料集合体27のハンドル29の直線で構成される構造が曲線状に撮像される。撮像画像データ中の曲線部を抽出することで歪み発生領域を特定し、水中ゆらぎの発生していない刻印文字の認識が可能な領域(認識可能領域)を選択する。画像処理では、まず、輝度二値化処理を用いて上部格子板14の領域を抽出し、細線化する。細線化して得られた線分を、曲率によって直線部と曲線部に切り分ける。次に、図8に示すように、曲線部が含まれる領域について、水中ゆらぎの発生している認識率低下領域41、直線部のみで構成されている領域について、水中ゆらぎの発生していない刻印文字の認識が可能な認識可能領域42と判定する。これにより、撮像画像データにおいて、認識率低下領域41と認識可能領域42とが識別され、刻印文字の認識が可能な領域である認識可能領域42の選択が行われる。
【0025】
なお、ここで説明した方法は一例を示したものであり、同様の効果が得られる別の処理方法を用いても良い。例えば、直線及び曲線判定に用いる領域は上部格子板14に限らず、制御棒28や、燃料集合体27のハンドル29など、直線で構成される構造を持つ領域を用いても良い。また、上記領域の抽出には、輝度二値化処理に限らず、例えばエッジ抽出処理などの輝度変化点を抽出する処理など、同様の効果が得られる別の処理を用いても良い。さらに、刻印文字の認識が可能な領域(認識可能領域42)を判定する指標について、撮像画像データ中の曲線を抽出する処理に限らず、例えば、輝度コントラストなど、水中ゆらぎによって変化する他の指標を用いた処理を用いても良い。
【0026】
輝度コントラストを用いる場合、上部格子板14や制御棒28、燃料集合体27のハンドル29などの輝度値を取得し、輝度の高い領域、輝度の低い領域を設定する。それぞれ、取得画像データのうち特定の範囲について、輝度の高い領域の輝度値をH、輝度の低い領域の輝度値をLとし、コントラストCを、C=(H−L)/(H+L)として求め、予め設定した値よりコントラストCの大きい範囲を刻印文字の認識が可能な領域、予め設定した閾値よりコントラストCが小さい範囲を認識率の低下した領域(認識率低下領域41)と判定する。判定に用いる閾値については、目的に沿った条件に合わせて自由に設定して良く、予め入力部7を介して検査員(作業員)により入力され、入出力I/F31及び内部バス37を介して記憶部36の所定の記憶領域に格納される。
【0027】
上記の他、水中ゆらぎによって変化する別の要因を用いて領域判定を行うよう構成としても良い。またさらには、水中ゆらぎと別の認識率低下要因を対象とし、別の処理を適用しても良い。例えば、外光による認識率低下領域(認識率低下領域41)を判定する場合に、領域毎の輝度値合計や平均値を求め、予め設定した閾値より値の高い領域を認識率低下領域41、予め設定した閾値より値の低い領域を刻印文字認識可能領域(認識可能領域42)とする。判定に用いる閾値は、目的に沿った条件に合わせ自由に設定して良く、また、閾値より高い領域と低い領域について、どちらを刻印文字認識可能領域(認識可能領域42)とするかについても、自由に設定して良い。以上示した方法による刻印文字認識可能領域(認識可能領域42)を、画像取得部33から内部バス37を介して転送される複数の撮像画像データより抽出する。
【0028】
またさらには別の手法として、例えば、予め正規のセル単位の撮像画像データをテンプレートとして記憶部36に格納し、撮像機2により取得された画像に対するエッジ抽出或はエッジ強調処理後の撮像画像データを、記憶部36に格納されるテンプレートを用いてテンプレートマッチング処理を行うよう構成しても良い。この場合、テンプレートと上述の処理が施された撮像画像データとの差分画像データが所定の閾値以内である場合に一致すると判定する。すなわち、視認可能な領域である認識可能領域42と判定する。なお、テンプレートとして、正規のセルの撮像画像データを2分割した画像データ或は4分割した画像データ、若しくは撮像機2の撮像視野に応じて、隣接する2つのセルの撮像画像データをテンプレートとして用いても良い。
【0029】
図9に示すように、それぞれの撮像画像データから得られた刻印文字の認識可能領域42を合成することで、同一の撮像機位置で撮像した領域について、認識率低下領域41を排除した選択合成画像データ43を得ることができる。以上の方法で刻印文字認識可能な選択合成画像データ43を生成し、領域選択処理部34による画像選択合成ステップS15の実行が完了する。
なお、上述の方法においては、複数画像撮像ステップS14及び画像選択合成ステップS15を順に実行する場合について説明したが、認識可能画像を得る方法はこれに限られるものでは無い。例えば、複数画像撮像ステップS14及び画像選択合成ステップS15を繰り返し実行する方法としても良い。この場合、先ず、複数画像撮像ステップS14において、画像取得部33は入出力I/F31を介して撮像機2へ撮像指示を出力し、撮像機2の撮像部により1枚または複数枚の画像を撮像する。その後、画像選択合成ステップS15において、領域選択処理部34は、内部バス37を介して画像取得部33より転送される撮像画像データから刻印文字認識可能な撮像画像データを取得する。このとき、刻印文字認識可能な画像領域(認識可能領域42)が、画像取得部33より転送される撮像画像データの範囲の全体となっていない、すなわち、認識率低下領域41が画像取得部33より転送される撮像画像データの範囲に残存している場合には、複数画像撮像ステップS14に戻り、再び撮像機2の撮像部により1枚または複数枚の画像を撮像し、領域選択処理部34が画像選択合成ステップS15を実行する、というフローを、画像取得部33より転送される撮像画像データの範囲の全体が刻印文字認識可能な領域となるまで繰り返す。以上の方法により、刻印文字認識可能な選択合成画像データ43を生成し、画像選択合成ステップS15までの処理が完了する。
次に、全領域完了判定ステップS16では、領域選択処理部34は、画像選択合成ステップS15で得られた刻印文字認識可能な選択合成画像データ43に、撮像対象である燃料集合体27の撮像領域が全て含まれている場合は、複数画像撮像ステップS14及び画像選択合成ステップS15は完了し、複数の刻印文字認識可能画像を全体画像にマージする複数領域画像マージステップS17に進む。刻印文字認識可能な選択合成画像データ43が、撮像対象である燃料集合体27の撮像領域全体を含んでいない場合は、未だ撮像していない領域に移動し撮像するために、台車移動ステップS12に進み、移動装置としての台車5の移動、撮像機2の撮像部による複数画像撮像ステップS14、及び画像選択合成ステップS15を繰り返し実行する。
【0030】
次に、図10を用いて、述の複数領域画像マージステップS17にて画像合成処理部35により実行される画像処理の詳細について説明する。図10は、複数の選択合成画像データをマージ処理し全体画像データ43を得る一例を示す図である。画像合成処理部35では、画像撮像した際の撮像機2の位置によって、画像取得部33より内部バス37を介して転送される撮像画像データに基づき、領域選択処理部34により作成された選択合成画像データ43をマッピングし、炉心12全体、ひいては、燃料集合体27の全体数の刻印番号が撮像された全体画像データ44を生成する。図10に示す一例では、画像合成処理部35は、領域選択処理部34より内部バス37を介して複数の選択合成画像データ43を撮像位置情報と共に取得する。また、画像合成処理部35は、内部バス37を介して記憶部36へアクセスし、記憶部36に予め格納される炉心12内に装荷される全ての燃料集合体27のマップ(座標データ等)を参照し、マップに基づき複数の選択合成画像データ43を合成し、図10の下図に示すように、全体画像データ44を生成する。
画像合成処理部35は、生成した全体画像データ44を、内部バス37及び入出力I/F31を介して表示部8へ出力し、表示部8の画面上に確認画像として検査員(作業員)に視認できる状態にて表示される。また、画像合成処理部35は、生成した全体画像データ44を確認記録資料として記憶部36の所定の記憶領域に内部バス37を介して格納する。これにより、炉心12に装荷されている燃料集合体27の全体数について、その刻印番号を高速に確認することが可能となる。
なお、本実施例では、刻印番号が撮像された全体画像データ44の記憶部36への格納及び表示部8の画面上に表示する例を説明したが、必ずしもこれに限定されるものでは無い。例えば、選択合成画像データ43、または、全体画像データ44内の刻印文字領域を画像処理により抽出し、抽出された文字を文字認識処理によって認識及び/又は判定処理を含む構成としても良い。
また、本実施例では、領域選択処理部34により作成された選択合成画像データ43をマッピングし、炉心12全体、ひいては、燃料集合体27の全体数の刻印番号が撮像された全体画像データ44を生成する例を説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、4バッチにて燃料交換を行う際に、当該燃料交換された燃料集合体27の刻印番号が撮像された画像データを全体画像データ44としても良い。
【0031】
以上の通り本実施例によれば、水中撮像距離を大きくし広域を一括撮像すると共に水ゆらぎを考慮し燃料集合体の刻印番号の確認を良好に行い得る燃料配置確認方法及び燃料配置確認装置を提供することが可能となる。
また、本実施例によれば、複数の撮像画像データから刻印文字認識可能な選択合成画像データを生成し、生成された複数の選択合成画像データを合成することで全体画像データが得られることから、炉心に装荷されている燃料集合体について、その刻印番号を高速に確認することが可能となる。
また、本実施例によれば、移動装置として燃料交換機を用いることで、燃料交換作業の際に逐次配置確認することも可能となる。
【0032】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
1・・・燃料配置確認装置
2・・・撮像機
3・・・燃料配置確認処理部
4・・・固定具
5・・・台車
6・・・伝送ケーブル
7・・・入力部
8・・・表示部
9・・・燃料貯蔵プール
10・・・改良型沸騰水型原子炉
11・・・原子炉圧力容器
12・・・炉心
13・・・炉心支持板
14・・・上部格子板
15・・・燃料支持金具
16・・・炉心シュラウド
17・・・ダウンカマ
18・・・気水分離器
19・・・蒸気乾燥器
20・・・シュラウドヘッド
21・・・インターナルポンプ
22・・・制御棒案内管
23・・・制御棒駆動機構
24・・・下鏡
25・・・主蒸気配管
26・・・給水配管
27・・・燃料集合体
28・・・制御棒
29・・・ハンドル
31・・・入出力I/F
32・・・台車制御部
33・・・画像取得部
34・・・領域選択処理部
35・・・画像合成処理部
36・・・記憶部
37・・・内部バス
41・・・認識率低下領域
42・・・認識可能領域
43・・・選択合成画像データ
44・・・全体画像データ
51,52・・・レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10