特許第6723914号(P6723914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6723914光酸発生剤及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6723914
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】光酸発生剤及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20200706BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20200706BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20200706BHJP
   C08K 5/5317 20060101ALI20200706BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   G03F7/004 503A
   C09K3/00 K
   C08L101/00
   C08K5/5317
   G03F7/038 601
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-250713(P2016-250713)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-105957(P2018-105957A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106139
【氏名又は名称】サンアプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118061
【弁理士】
【氏名又は名称】林 博史
(72)【発明者】
【氏名】木津 智仁
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 智幸
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−151347(JP,A)
【文献】 特表2017−535595(JP,A)
【文献】 特開2014−006514(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0135119(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/00;G03F7/004−7/18;7/26−7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とする非イオン系光酸発生剤(A)。
【化1】
[式(1)中、R1とR2とは互いに独立であり、互いに結合して環を形成してもよい有機基または水素原子であり、R3はフッ素原子または炭素数1〜18の炭化水素基(水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてよい)であり、Xは単結合、−O−、−N(L)−(Lは窒素原子上の置換基を表し、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、tert−ブトキシカルボニル基、またはベンジルオキシカルボニル基を表す)、または−S−であり、Yは酸素原子または硫黄原子である。]
【請求項2】
一般式(1)において、R1とR2とが互いに独立であり、互いに結合して環を形成してもよい炭素数1〜10であるアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、または水素原子である請求項1に記載の非イオン系光酸発生剤(A)。
【請求項3】
一般式(1)において、Xが−O−である請求項1又は2に記載の非イオン系光酸発生剤(A)。
【請求項4】
一般式(1)において、R3がCF,C、C、C、またはCである請求項1〜3のいずれかに記載の非イオン系光酸発生剤(A)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の非イオン系光酸発生剤(A)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光酸発生剤及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、紫外線(i線)を作用させて強酸を発生させるのに適する非イオン系光酸発生剤、及びそれを含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、半導体の製造に代表される微細加工の分野では、露光光として波長365nmのi線を用いたフォトリソグラフィー工程が広く用いられている。
フォトリソグラフィー工程に用いられるレジスト材料としては、例えば、カルボン酸のtert−ブチルエステル、又はフェノールのtert−ブチルカーボネートを有する重合体と光酸発生剤とを含有する樹脂組成物が用いられている。光酸発生剤として、トリアリールスルホニウム塩(特許文献1)、ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2)等のイオン系光酸発生剤、及びオキシムスルホネート構造を有する酸発生剤(特許文献3)、スルホニルジアゾメタン構造を有する酸発生剤(特許文献4)等の非イオン系酸発生剤が知られている。このレジスト材料に光を照射することで光酸発生剤が分解して強酸を発生する。さらに露光後加熱(PEB)を行うことで、発生した酸により重合体中のtert−ブチルエステル基、又はtert−ブチルカーボネート基が解離し、カルボン酸、又はフェノール性水酸基が形成され、紫外線照射部がアルカリ現像液に易溶性となる。この現象を利用してパターン形成が行われている。
【0003】
しかしフォトリソグラフィー工程がより微細加工になるに従い、アルカリ現像液により未露光部のパターンが膨潤する影響が大きくなるため、レジスト材料の膨潤を抑制する必要性が生じる。
これらを解決するためにレジスト材料中の重合体に脂環式骨格、又はフッ素含有骨格等を含有させ疎水性を大きくすることで、レジスト材料の膨潤を抑制する方法が提案されている。
【0004】
これら脂環式骨格、及びフッ素含有骨格等を含有する疎水性材料に対し、イオン系光酸発生剤は相溶性が低くレジスト材料中で相分離してしまうため十分なレジスト性能を発揮できず、パターン形成できない問題がある。一方、非イオン系光酸発生剤は疎水性材料に対する相溶性が良好であるが、オキシムスルホネート構造、及びスルホニルジアゾメタン構造を有する酸発生剤は熱安定性に乏しく、PEBで分解するため許容幅が小さい問題がある。また、高い熱安定性を持つナフタルイミド骨格を有する酸発生剤(特許文献5)は、平面性の高い構造のために分子配向しやすくレジスト溶液への溶解性に欠ける。これを改善するべく置換基を導入するとi線に対する透明性が低下し、基盤付近の現像性が悪化する。すなわち溶解性と透明性の両立が困難な問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭50−151997号公報
【特許文献2】特開平9−118663号公報
【特許文献3】特開平6−67433号公報
【特許文献4】特開平10−213899号公報
【特許文献5】再表2011−087011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、i線に高い感度を有し、熱安定性に優れ、疎水性材料への溶解性及び透明性に優れる非イオン系光酸発生剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする非イオン系光酸発生剤(A);及び該非イオン系光酸発生剤(A)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)である。
【0008】
【化1】
【0009】
[式(1)中、R1とR2とは互いに独立であり、互いに結合して環を形成してもよい有機基または水素原子であり、R3はフッ素原子または炭素数1〜18の炭化水素基(水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてよい)であり、Xは単結合、−O−、−N(L)−(Lは窒素原子上の置換基を表し、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、tert−ブトキシカルボニル基、またはベンジルオキシカルボニル基を表す)、または−S−であり、Yは酸素原子または硫黄原子である。]
【発明の効果】
【0010】
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)は、非イオン系であるナフタルイミド骨格上に五価のリン置換基を持つため、ナフタレン環上の電子状態に作用することができ、i線に対する高い透明性、及び感度を持つ。これによりi線を照射することで非イオン系光酸発生剤(A)は容易に分解し、強酸であるスルホン酸を発生することができる。また原子半径が大きいリン原子に複数の有機基を有しているために、ナフタルイミド骨格の平面性を効果的に阻害し溶剤溶解性に優れる。
併せてナフタルイミド骨格を有するために熱安定性に優れ、露光後加熱(PEB)を行うことができる。
【0011】
このため本発明の非イオン系光酸発生剤(A)を含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、i線に対する感度、透明性、及びレジスト溶液への溶解性が良好であり、また露光後加熱(PEB)での許容幅が広いため作業性に優れる。
さらに、本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は塗布した際の膜厚が大きい場合においても露光不良が少なく、良好なレジスト現像性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の非イオン系酸発生剤(A)は下記一般式(1)で表される。
【0013】
【化2】
【0014】
式(1)中、R1とR2とは互いに独立であり、互いに結合して環を形成してもよい有機基または水素原子であり、R3はフッ素原子または炭素数1〜18の炭化水素基(水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてよい)であり、Xは単結合、−O−、−N(L)−(Lは窒素原子上の置換基を表し、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、tert−ブトキシカルボニル基、またはベンジルオキシカルボニル基を表す)、または−S−であり、Yは酸素原子または硫黄原子である。
【0015】
R1とR2とは互いに独立であり、互いに結合して環を形成してもよい有機基または水素原子であり、レジスト溶液への溶解性を向上する効果がある。有機基としては、炭素数1〜10のアルキル基(BR1)、炭素数2〜10のアルケニル基(BR2)、炭素数2〜10のアルキニル基(BR3)、炭素数6〜14のアリール基(BR4)、炭素数3〜12の複素環基(BR5)等が挙げられ、前記BR1〜BR5は置換基(T)を有していてもよく、互いに結合する際は、有機基同士が直接結合していてもよいし、酸素原子等を介していてもよい。結合点は一つ以上でも良い。
【0016】
炭素数1〜10のアルキル基(BR1)としては、直鎖、分枝、又は環状のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、デカニル、デカリニル、ノルボルナニル、アダマンチル等)等が挙げられる。
【0017】
炭素数2〜10のアルケニル基(BR2)としては、直鎖、分枝、又は環状のアルケニル基(エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテン−1−イル、2−ブテン−1−イル、2−メチル−2−プロペニル、1−シクロペンテン−1−イル、1−シクロヘキセン−1−イル、1−デセン−1−イル、ノルボルネニル等)等が挙げられる。
【0018】
炭素数2〜10のアルキニル基(BR3)としては、直鎖、分枝、又は環状のアルキニル基(エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イル、2−ブチン−1−イル、3−ブチン−1−イル、1−ペンチン−1−イル、2−ペンチン−1−イル、3−ペンチン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、3−メチル−1−ブチン−1−イル、1−メチル−2−ブチン−1−イル、1−メチル−3−ブチン−1−イル、1,1−ジメチル−2−プロピン−1−イル、1−デシン−1−イル、1−シクロオクチン−1−イル等)等が挙げられる。
【0019】
炭素数6〜14のアリール基(BR4)としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アズレニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等のアリール基が挙げられる。
【0020】
炭素数3〜12の複素環基(BR5)としては、チエニル基、フラニル基、ピラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、キサンテニル基、チアントレニル基、フェノキサジニル基、フェノキサチイニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、ジベンゾチエニル基、キサントニル基、チオキサントニル基及びジベンゾフラニル基等が挙げられる。
【0021】
置換基(T)としては、例えば、ヒドロキシ基、チオール基、カルボニル基、オキソ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基及びハロゲン原子が挙げられる。置換基(T)は1種でもよいし、2種以上でもよい。
【0022】
アルコキシ基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
【0023】
アルキルカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)2〜18の直鎖又は分枝アルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2−メチルプロピオニル、ヘプタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル及びオクタデカノイル等)等が挙げられる。
【0024】
アリールカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)7〜11のアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
【0025】
アルコキシカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)2〜19の直鎖又は分枝アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、オクチロキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル及びオクタデシロキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0026】
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)7〜11のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0027】
アリールチオカルボニル基としては、炭素数(カルボニル炭素を含む)7〜11のアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
【0028】
アシロキシ基としては、炭素数2〜19の直鎖又は分枝アシロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、テトラデシルカルボニルオキシ及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
【0029】
アリールチオ基としては、炭素数6〜20のアリールチオ基(フェニルチオ、2−メチルフェニルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、2−クロロフェニルチオ、3−クロロフェニルチオ、4−クロロフェニルチオ、2−ブロモフェニルチオ、3−ブロモフェニルチオ、4−ブロモフェニルチオ、2−フルオロフェニルチオ、3−フルオロフェニルチオ、4−フルオロフェニルチオ、2−ヒドロキシフェニルチオ、4−ヒドロキシフェニルチオ、2−メトキシフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ、4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ、4−(フェニルチオ)フェニルチオ、4−ベンゾイルフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−クロロフェニルチオ、4−ベンゾイル−3−メチルチオフェニルチオ、4−ベンゾイル−2−メチルチオフェニルチオ、4−(4−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(2−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−メチルベンゾイル)フェニルチオ、4−(p−エチルベンゾイル)フェニルチオ4−(p−イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ及び4−(p−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
【0030】
アルキルチオ基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
【0031】
アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル及びナフチル等)等が挙げられる。
【0032】
複素環式炭化水素基としては、炭素数4〜20の複素環式炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
【0033】
アリールオキシ基としては、炭素数6〜10のアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
【0034】
アルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝スルフィニル基(メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、tert−ペンチルスルフィニル、オクチルスルフィニル及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0035】
アリールスルフィニル基としては、炭素数6〜10のアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル、トリルスルフィニル及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0036】
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分枝アルキルスルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、tert−ペンチルスルホニル、オクチルスルホニル及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
【0037】
アリールスルホニル基としては、炭素数6〜10のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル、トリルスルホニル(トシル基)及びナフチルスルホニル等)等が挙げられる。
【0038】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0039】
前記R1及びR2としては、合成の容易さ、レジスト溶液への溶解性の観点から、互いに独立であり、互いに結合して環を形成してもよい炭素数1〜10のアルキル基(BR1)、及び炭素数6〜14のアリール基(BR4)及び水素原子が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、及び互いに結合して環を形成するメチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ナフチレン基、及びビフェニレン基がさらに好ましい。
【0040】
Xは単結合、−O−、−N(L)−(Lは窒素原子上の置換基を表し、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、tert−ブトキシカルボニル基、またはベンジルオキシカルボニル基を表す)、または−S−であり、ナフタレン環上の電子状態に作用しi線に対する透明性を制御する効果がある。
【0041】
前記Lの炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0042】
これらXのうち、合成の容易さ、原料の入手しやすさの観点から、−O−、−N(L)−(Lが水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルカルボニル基)及び−S−が好ましく、−O−、−N(L)−(Lが水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基)及び−S−がさらに好ましく、−O−が特に好ましい。
【0043】
R3は、フッ素原子、及び炭素数1〜18の炭化水素基(水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてよい)でありレジスト溶液との相溶性、光分解性、及び発生する酸の強度を制御する効果がある。
炭素数1〜18の炭化水素基は、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基及び複素環式炭化水素基等が挙げられる。置換基としては、前記置換基(T)と同様のものが使用できる。
【0044】
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖、及び分枝アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル及びイソオクタデシル等)、及び炭素数3〜18の環状アルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル及び4−デシルシクロヘキシル、10−カンファーイル等)が挙げられる。
【0045】
アリール基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル、ナフチル及びペンタフルオロフェニル等)が挙げられる。
【0046】
複素環式炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜18の複素環式炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル及びジベンゾフラニル等)が挙げられる。
【0047】
炭素数1〜18の炭化水素基の水素の一部又は全部がフッ素で置換された基としては、CxFyで表される水素原子がフッ素原子で置換された直鎖アルキル基(RF1)、分岐アルキル基(RF2)、環状アルキル基(RF3)、及びアリール基(RF4)等が挙げられる。
【0048】
水素原子がフッ素原子で置換された直鎖アルキル基(RF1)としては、例えば、トリフルオロメチル基(x=1,y=3)、ペンタフルオロエチル基(x=2,y=5)、ヘプタフルオロプロピル基(x=3,y=7)、ノナフルオロブチル基(x=4,y=9)、パーフルオロヘキシル基(x=6,y=13)、及びパーフルオロオクチル基(x=8,y=17)が挙げられる。
【0049】
水素原子がフッ素原子で置換された分岐アルキル基(RF2)としては、例えば、ヘキサフルオロイソプロピル基(x=3,y=7)、ノナフルオロ−tert−ブチル基(x=4,y=9)、及びパーフルオロ−2−エチルヘキシル基(x=8,y=17)が挙げられる。
【0050】
水素原子がフッ素原子で置換された環状アルキル基(RF3)としては、例えば、ヘプタフルオロシクロブチル基(x=4,y=7)、ノナフルオロシクロペンチル基(x=5,y=9)、パーフルオロシクロヘキシル基(x=6,y=11)、及びパーフルオロ(1−シクロヘキシル)メチル基(x=7,y=13)が挙げられる。
【0051】
水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基(RF4)としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基(x=6,y=5)、及び3−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル基(x=7,y=7)が挙げられる。
【0052】
R3のうち、光分解性、フォトレジストの脱保護能、および原料の入手のしやすさの観点から、水素原子がフッ素原子で置換された直鎖アルキル基(RF1)、分岐アルキル基(RF2)、及びアリール基(RF4)が好ましく、直鎖アルキル基(RF1)、及びアリール基(RF4)がさらに好ましく、トリフルオロメチル基(CF)、ペンタフルオロエチル基(C)、ヘプタフルオロプロピル基(C)、ノナフルオロブチル基(C)、及びペンタフルオロフェニル基(C)が特に好ましい。
【0053】
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)の合成方法は目的物を合成できれば特に限定はされないが、例えば、以下に述べる製造方法で製造できる。
【0054】
【化3】
【0055】
上記の反応式中、R1,R2,R3,X,Yは式(1)における定義に同じである。
第1段目の反応は、前駆体(P1)と五価のリン塩化物と塩基とを有機溶剤(アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、DMF等)中、反応温度60〜150℃で1〜48時間反応させる。
【0056】
塩基としては前駆体(P1)中のXHからプロトンを引き抜くことができるものであれば特に限定はされないが、アルカリ金属の水酸化物(KOH、NaOH等)炭酸アニオンのアルカリ金属塩(KCO、NaCO等)、有機塩基(ジアザビシクロウンデセン、トリエチルアミン、ピリジン等)、及びアルカリ金属の水素化物(LiH、NaH等)等が挙げられる。
【0057】
第2段目の反応は、第1段目の反応に引き続いて行ってもよいし、前駆体(P2)を単離(必要に応じて精製)してから行ってもよい。前駆体(P2)と有機溶剤(アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、DMF等)とを混合・攪拌し、この混合物をヒドロキシルアミンと反応させる。反応時間は、10分から10時間、反応温度は、0〜30℃である。反応完了後、反応液を希酸によって中和する。析出する固体を濾過するか、分離する油状物を有機溶剤で抽出後、揮発分を留去することにより前駆体(P3)が得られる。この前駆体(P3)は必要に応じて適当な有機溶剤で洗浄するか、再結晶法にて精製することができる。
【0058】
第3段目の反応は、前駆体(P3)、塩基(イミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、メチルモルホリン等)、R3SOClで表されるスルホン酸塩化物等を有機溶剤(アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF等)中にて混合する。反応温度は−20〜30℃、反応時間は1〜5時間である。反応完了後、希酸で中和し、析出する固体を濾過するか、分離する油状物を有機溶剤で抽出後、揮発分を留去することにより、一般式(1)で表される本発明の非イオン系光酸発生剤(A)が固体として得られる。得られた固体は、必要に応じて適当な有機溶剤で洗浄するか、再結晶することで精製することができる。
【0059】
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)は、レジスト材料への溶解を容易にするため、あらかじめ反応を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
【0060】
溶剤としては、カーボネート(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)、エステル(酢酸エチル、乳酸エチル、β−プロピオラクトン、β―ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等)、エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等)、及びエーテルエステル(エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、プロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル等)等が挙げられる。
【0061】
溶剤を使用する場合、溶剤の使用割合は、本発明の光酸発生剤100重量部に対して、15〜1000重量部が好ましく、30〜500重量部がさらに好ましい。
【0062】
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、非イオン系光酸発生剤(A)を必須成分として含むため、紫外線照射及び露光後加熱(PEB)を行うことで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解性に差がつく。非イオン系光酸発生剤(A)は1種単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)としては、ネガ型化学増幅樹脂(QN)と非イオン系光酸発生剤(A)との混合物;及びポジ型化学増幅樹脂(QP)と非イオン系光酸発生剤(A)との混合物が挙げられる。
【0063】
ネガ型化学増幅樹脂(QN)としては、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)と架橋剤(QN2)から構成される。
【0064】
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)としてはフェノール性水酸基を含有している樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−性水酸基を含有するポリイミド、フェノール性水酸基を含有するポリアミック酸、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂が用いられる。これらのなかでも、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂が好ましい。尚、これらのフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0065】
上記ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得ることができる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、1−ナフトール、2−ナフトールが挙げられる。
また、上記アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0066】
具体的なノボラック樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂が挙げられる。
【0067】
また、上記フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)には、成分の一部としてフェノール性低分子化合物が含有されていてもよい。
上記フェノール性低分子化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−{1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノールが挙げられる。これらのフェノール性低分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0068】
このフェノール性低分子化合物のフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中における含有割合は、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を100重量%とした場合、40重量%以下であることが好ましく、1〜30重量%がさらに好ましい。
【0069】
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の重量平均分子量は、得られる絶縁膜の解像性、熱衝撃性、耐熱性、残膜率等の観点から、2000以上であることが好ましく、2000〜20000がさらに好ましい。
また、ネガ型化学増幅樹脂(QN)中におけるフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合は、溶剤を除いた組成物の全体を100重量%とした場合に、30〜90重量%であることが好ましく、40〜80重量%がさらに好ましい。このフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合が30〜90重量%である場合には、感光性絶縁樹脂組成物を用いて形成された膜がアルカリ水溶液による十分な現像性を有しているため好ましい。
【0070】
架橋剤(QN2)としては、非イオン系光酸発生剤(A)から発生した強酸によりフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を架橋し得る化合物であれば特に限定されない。
【0071】
架橋剤(QN2)としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物及びカルボキシメチル基含有フェノール化合物が挙げられる。
【0072】
これら架橋剤(QN2)のうち、メチロール基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有メラミン化合物、メトキシメチル基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物、メトキシメチル基含有ウレア化合物及びアセトキシメチル基含有フェノール化合物が好ましく、メトキシメチル基含有メラミン化合物(例えばヘキサメトキシメチルメラミン)、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物及びメトキシメチル基含有ウレア化合物等がさらに好ましい。メトキシメチル基含有メラミン化合物は、CYMEL300、CYMEL301、CYMEL303、CYMEL305(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物はCYMEL1174(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、またメトキシメチル基含有ウレア化合物は、MX290(三和ケミカル(株)製)等の商品名で市販されている。
【0073】
架橋剤(QN2)の含有量は、残膜率の低下、パターンの蛇行や膨潤及び現像性の観点から、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中の全酸性官能基に対して、通常、5〜60モル%であり、10〜50モル%が好ましく、15〜40モル%がさらに好ましい。
【0074】
ポジ型化学増幅樹脂(QP)としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はスルホニル基等の1種以上の酸性官能基を含有するアルカリ可溶性樹脂(QP1)中の酸性官能基の水素原子の一部あるいは全部を、酸解離性基で置換した保護基導入樹脂(QP2)が挙げられる。
なお、酸解離性基は非イオン系光酸発生剤(A)から発生した強酸の存在下で解離することができる基である。
保護基導入樹脂(QP2)は、それ自体としてはアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性である。
【0075】
アルカリ可溶性樹脂(QP1)としては、例えば、フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)、カルボキシル基含有樹脂(QP12)、及びスルホン酸基含有樹脂(QP13)等が挙げられる。
フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)としては、上記水酸基含有樹脂(QN1)と同じものが使用できる。
【0076】
カルボキシル基含有樹脂(QP12)としては、カルボキシル基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
【0077】
カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸等]、不飽和多価(2〜4価)カルボン酸[(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸等]、不飽和多価カルボン酸アルキル(炭素数1〜10のアルキル基)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびシトラコン酸モノアルキルエステル等]、並びにこれらの塩[アルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)、アミン塩およびアンモニウム塩等]が挙げられる。
これらのうち重合性、及び入手のしやすさの観点から不飽和モノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がさらに好ましい。
【0078】
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)、及び芳香族炭化水素モノマー(Bb2)等が挙げられる。
【0079】
(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)としては、アルキル基の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等]および脂環基含有(メタ)アクリレート[ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0080】
芳香族炭化水素モノマー(Bb2)としては、例えば、スチレン骨格を有する炭化水素モノマー[スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレンおよびベンジルスチレン等]およびビニルナフタレンが挙げられる。
【0081】
カルボキシル基含有樹脂(QP12)における、(Ba)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10〜100/0〜90であり、現像性の観点から10〜80/20〜90が好ましく、25〜85/15〜75がさらに好ましい。
【0082】
スルホン酸基含有樹脂(QP13)としては、スルホン酸基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、上記と同じものが使用できる。
【0083】
スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらの塩が挙げられる。塩としてはアルカリ金属(ナトリウムおよびカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)塩、第1〜3級アミン塩、アンモニウム塩および第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0084】
スルホン酸基含有樹脂(QP13)における、(Bc)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10〜100/0〜90であり、現像性の観点から10〜80/20〜90が好ましく、25〜85/15〜75がさらに好ましい。
【0085】
アルカリ可溶性樹脂(QP1)のHLB値は、アルカリ可溶性樹脂(QP1)の樹脂骨格によって好ましい範囲が異なるが、4〜19が好ましく、5〜18がさらに好ましく、6〜17が特に好ましい。
HLB値が4以上であれば現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
【0086】
なお、本発明におけるHLB値は、小田法によるHLB値であり、親水性−疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
<HLBの評価方法>
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;または、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
【0087】
保護基導入樹脂(QP2)中の酸解離性基としては、置換メチル基、1−置換エチル基、1−分枝アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基及び環式酸解離性基等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0088】
置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基が挙げられる。
【0089】
1−置換エチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−tert−ブトキシカルボニルエチル基が挙げられる。
【0090】
1−分枝アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基が挙げられる。
【0091】
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、ジイソプロピルメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジ−tert−ブチルメチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリカルビルシリル基が挙げられる。
【0092】
ゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、メチルジイソプロピルゲルミル基、トリイソプロピルゲルミル基、tert−ブチルジメチルゲルミル基、ジ−tert−ブチルメチルゲルミル基、トリ−tert−ブチルゲルミル基、ジメチルフェニルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等のトリカルビルゲルミル基が挙げられる。
【0093】
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
【0094】
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基が挙げられる。
【0095】
環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基が挙げられる。
【0096】
これらの酸解離性基のうち、tert−ブチル基、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、トリメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基及びテトラヒドロチオフラニル基が好ましい。
【0097】
保護基導入樹脂(QP2)における酸解離性基の導入率{保護基導入樹脂(QP2)中の保護されていない酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合}は、酸解離性基や該基が導入されるアルカリ可溶性樹脂の種類により一概には規定できないが10〜100%が好ましく、15〜100%がさらに好ましい。
【0098】
保護基導入樹脂(QP2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は1,000〜150,000が好ましく、3,000〜100,000がさらに好ましい。
【0099】
また、保護基導入樹脂(QP2)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常1〜10であり、1〜5が好ましい。
【0100】
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく非イオン系光酸発生剤(A)の含有量は、0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜15重量%がさらに好ましく、0.05〜7重量%が特に好ましい。
0.001重量%以上であれば紫外線に対する感度がさらに良好に発揮でき、20重量%以下であればアルカリ現像液に対し不溶部分の物性がさらに良好に発揮できる。
【0101】
本発明のフォトグラフィー用樹脂組成物(Q)を用いたレジストは、例えば、所定の有機溶剤に溶解(無機微粒子を含んだ場合は溶解と分散)した樹脂溶液を、スピンコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等公知の方法を用いて基板に塗布後、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させることで形成することができる。
【0102】
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)を溶解させる有機溶剤としては、樹脂組成物を溶解させることができ、樹脂溶液をスピンコート等に適用できる物性(粘度等)に調整できるものであれば特に限定されない。例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン等の公知の溶媒が使用できる。
これらの溶剤のうち、乾燥温度等の観点から、沸点が200℃以下のもの(トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン)が好ましく、単独又は2種類以上組み合わせで使用することもできる。
有機溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて、通常30〜1,000重量%が好ましく、40〜900重量%がさらに好ましく、50〜800重量%が特に好ましい。
【0103】
塗布後の樹脂溶液の乾燥条件は、使用する溶剤により異なるが好ましくは50〜200℃で2〜30分の範囲で実施され、乾燥後のフォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の残留溶剤量(重量%)等で適宜決定する。
【0104】
基板にレジストを形成した後、配線パターン形状の光照射を行う。その後、露光後加熱(PEB)を行った後に、アルカリ現像を行い、配線パターンを形成する。
【0105】
光照射する方法として、配線パターンを有するフォトマスクを介して活性光線により、レジストの露光を行う方法が挙げられる。光照射に用いる活性光線としては、本発明の
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)中の非イオン系光酸発生剤(A)を分解させることができれば特に制限はない。
活性光線としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハロゲンランプ、電子線照射装置、X線照射装置、レーザー(アルゴンレーザー、色素レーザー、窒素レーザー、LED、ヘリウムカドミウムレーザー等)等がある。これらのうち、好ましくは高圧水銀灯及び超高圧水銀灯である。
【0106】
露光後加熱(PEB)の温度としては、通常40〜200℃であって、50〜190℃が好ましく、60〜180℃がさらに好ましい。40℃未満では脱保護反応、又は架橋反応が十分にできないため、紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差が不足しパターンが形成できず、200℃より高いと生産性が低下する問題がある。
加熱時間としては、通常0.5〜120分であり、0.5分未満では時間と温度の制御が困難で、120分より大きいと生産性が低下する問題がある。
【0107】
アルカリ現像する方法としては、アルカリ現像液を用いて配線パターン形状に溶解除去する方法が挙げられる。アルカリ現像液としては、フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差ができる条件であれば特に制限はない。
アルカリ現像液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウム塩水溶液等がある。
これらアルカリ現像液は水溶性の有機溶剤を加えてもよい。水溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等がある。
【0108】
現像方法としては、アルカリ現像液を用いたディップ方式、シャワー方式、及びスプレー方式があるが、スプレー方式が好ましい。
現像液の温度は、好ましくは25〜40℃で使用される。現像時間は、レジストの厚さに応じて適宜決定される。
【実施例】
【0109】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0110】
<製造例1>
<3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]の合成>
3−ヒドロキシ−1,8−ナフタル酸無水物(東京化成工業株式会社製)1.8部、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)1.0部、ジエチルクロロホスフェート(東京化成工業株式会社製)1.6部をアセトニトリル13部に分散させ、50℃で2時間攪拌した。室温に冷却後、水に投入し析出物を濾別して白色固体を得た。この白色固体を水洗し乾燥することで前駆体(P2−1)2.9部を得た。
【0111】
<製造例2>
<N−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]の合成>
製造例1で得られた3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]3.7部をアセトニトリル54部に溶解させ、ヒドロキシルアミン水溶液(東京化成工業株式会社製、50%水溶液)1.0部を加えて室温で2時間攪拌した。反応液を水に投入し析出物を濾別して白色固体を得た。この白色固体を水洗し乾燥することで前駆体(P3−1)3.7部を得た。
【0112】
<製造例3>
<3−ホスホノオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−2)]の合成>
製造例1において、ジエチルクロロホスフェート1.6部を塩化ホスホリル(東京化成工業株式会社製)3.8部、反応温度を0℃、反応時間を1時間としたこと以外は、製造例1と同様な操作を行い前駆体(P2−2)2.4部を得た。
【0113】
<製造例4>
<N−ヒドロキシ−3−ホスホノオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−2)]の合成>
製造例2において、3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]3.7部を3−ホスホノオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−2)]1.9部、アセトニトリル54部を32部としたこと以外は、製造例2と同様な操作を行い前駆体(P3−2)1.7部を得た。
【0114】
<製造例5>
<ジ(2−エチルヘキシル)クロロホスフェートの合成>
リン酸ジ(2−エチルヘキシル)(東京化成工業株式会社製)2.4部をトルエン7.2部に溶解し、攪拌しながらN−クロロスクシンイミド1.0部を3回に分けて加えた。室温で1時間攪拌後、析出した固体を濾別し、濾液を濃縮することで油状のジ(2−エチルヘキシル)クロロホスフェート2.5部を得た。
【0115】
<製造例6>
<3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−3)]の合成>
製造例1において、ジエチルクロロホスフェート1.6部をジ(2−エチルヘキシル)クロロホスフェート3.1部、反応時間を4時間としたこと以外は、製造例1と同様な操作を行い前駆体(P2−3)3.7部を得た。
【0116】
<製造例7>
<N−ヒドロキシ−3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−3)]の合成>
製造例2において、3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]3.7部を3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−3)]5.4部としたこと以外は、製造例2と同様な操作を行い前駆体(P3−3)5.0部を得た。
【0117】
<製造例8>
<3−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−イル)オキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−4)]の合成>
製造例1において、ジエチルクロロホスフェート1.6部を2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン1.3部(東京化成工業株式会社製)としたこと以外は、製造例1と同様な操作を行い前駆体(P2−4)2.5部を得た。
【0118】
<製造例9>
<N−ヒドロキシ−3−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−イル)オキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−4)]の合成>
製造例2において、3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]3.7部を3−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−イル)オキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−4)]3.4部としたこと以外は、製造例2と同様な操作を行い前駆体(P3−4)3.2部を得た。
【0119】
<製造例10>
<3−ジフェノキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−5)]の合成>
製造例1において、ジエチルクロロホスフェート1.6部をクロロリン酸ジフェニル(東京化成工業株式会社製)2.4部、反応時間を4時間としたこと以外は、製造例1と同様な操作を行い前駆体(P2−5)3.6部を得た。
【0120】
<製造例11>
<N−ヒドロキシ−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−5)]の合成>
製造例2において、3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]3.7部を3−ジフェノキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−5)]4.7部としたこと以外は、製造例2と同様な操作を行い前駆体(P3−5)4.3部を得た。
【0121】
<製造例12>
<3−ジメチルカルバモチオイロキシ−1,8−ナフタル酸無水物の合成>
3−ヒドロキシ−1,8−ナフタル酸無水物(東京化成工業株式会社製)1.8部、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)1.1部、塩化N,N−ジメチルカルバモイル(ナカライテスク株式会社製)1.0部をアセトニトリル13部に分散させ、還流条件下2時間攪拌した。室温に冷却後、水に投入し析出物を濾別して淡褐色固体を得た。この固体を水洗し乾燥することで3−ジメチルカルバモチオイロキシ−1,8−ナフタル酸無水物2.3部を得た。
【0122】
<製造例13>
<3−メルカプト−1,8−ナフタル酸無水物の合成>
3−ジメチルカルバモチオイロキシ−1,8−ナフタル酸無水物1.4部をN−メチルピロリドン8.7部に分散させ、180℃で1時間攪拌した。この反応液を10%水酸化ナトリウム水溶液に投入し、50℃で2時間攪拌した。反応終了後、氷浴にて冷却下反応液を塩酸で中和し、析出物を濾別し固体を得た。この固体を水洗し乾燥することで3−メルカプト−1,8−ナフタル酸無水物1.0部を得た。
【0123】
<製造例14>
<3−ジエトキシホスホリルスルファニル−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−6)]の合成>
製造例1において、3−ヒドロキシ−1,8−ナフタル酸無水物1.6部を3−メルカプト−1,8−ナフタル酸無水物2.0部としたこと以外は、製造例1と同様な操作を行い前駆体(P2−6)2.5部を得た。
【0124】
<製造例15>
<N−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルスルファニル−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−6)]の合成>
製造例2において、3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]3.7部を3−ジエトキシホスホリルスルファニル−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−6)]3.9部としたこと以外は、製造例2と同様な操作を行い前駆体(P3−6)3.4部を得た。
【0125】
<製造例16>
<3−ジエトキシチオホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−7)]の合成>
製造例1において、ジエチルクロロホスフェート1.6部をジエチルクロロチオホスフェート1.7部、反応時間を5時間としたこと以外は、製造例1と同様な操作を行い前駆体(P2−7)2.5部を得た。
【0126】
<製造例17>
<N−ヒドロキシ−3−ジエトキシチオホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−7)]の合成>
製造例2において、3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−1)]3.7部を3−ジエトキシチオホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸無水物[前駆体(P2−7)]3.7部としたこと以外は、製造例2と同様な操作を行い前駆体(P3−7)3.5部を得た。
【0127】
<実施例1>
<3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−1)]の合成>
製造例2で得られたN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]2.4部をジクロロメタン13部に分散させてピリジン1.0部を加えた後、氷浴下にトリフルオロメタンスルホン酸塩化物(東京化成工業株式会社製)1.6部を滴下し、1時間攪拌した。反応終了後0℃を保ったまま反応液を氷冷した希塩酸に投入し、水で3回洗浄後、抽出液を濃縮し褐色の固体を得た。この固体をイソプロパノールとシクロヘキサンで洗浄し、乾燥することで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−1)2.6部を得た。
【0128】
<実施例2>
<3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミドノナフルオロブタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−2)]の合成>
実施例1においてトリフルオロメタンスルホン酸塩化物1.6部をノナフルオロブタンスルホン酸塩化物(東京化成工業株式会社製)3.0部とし、反応時間を2時間としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−2)2.9部を得た。
【0129】
<実施例3>
<3−ホスホノオキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−3)]の合成>
実施例1においてN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]2.4部をN−ヒドロキシ−3−ホスホノオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−2)]1.4部、トリフルオロメタンスルホン酸塩化物1.6部を1.1部、及びジクロロメタン13部を8.9部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−3)1.2部を得た。
【0130】
<実施例4>
<3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−4)]の合成>
実施例1においてN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]2.4部をN−ヒドロキシ−3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−3)]3.5部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−4)3.4部を得た。
【0131】
<実施例5>
<3−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−イル)オキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−5)]の合成>
実施例1においてN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]2.4部をN−ヒドロキシ−3−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−イル)オキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−4)]2.2部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−5)2.3部を得た。
【0132】
<実施例6>
<3−ジフェノキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−6)]の合成>
実施例1においてN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]2.4部をN−ヒドロキシ−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−5)]3.0部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−6)3.4部を得た。
【0133】
<実施例7>
<3−ジエトキシホスホリルスルファニル−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−7)]の合成>
実施例1においてN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]2.4部をN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルスルファニル−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−6)]2.5部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−7)2.3部を得た。
【0134】
<実施例8>
<3−ジエトキシチオホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート[非イオン系光酸発生剤(A−8)]の合成>
実施例1においてN−ヒドロキシ−3−ジエトキシホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−1)]2.4部をN−ヒドロキシ−3−ジエトキシチオホスホリルオキシ−1,8−ナフタル酸イミド[前駆体(P3−7)]2.3部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことで本発明の非イオン系光酸発生剤(A−8)2.1部を得た。
【0135】
実施例1〜8で得られた非イオン系光酸発生剤(A−1)〜(A−8)の構造を以下に記載した。
【0136】
【化4】
【0137】
<比較例1>
<非イオン系光酸発生剤(A’−1)の合成>
下記一般式(2)においてRが水素原子である1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネート(Aldrich社製)をそのまま使用した。
【0138】
<比較例2>
<非イオン系光酸発生剤(A’−2)の合成>
下記一般式(2)においてRがブチル基である4−ブチル−1,8−ナフタル酸イミドトリフルオロメタンスルホネートをEP2927216A1記載の方法に従って合成し、使用した。
【0139】
【化5】
【0140】
<比較例3>
<非イオン系光酸発生剤(A’−3)の合成>
特開2016−169173公報に記載の方法に従って下記式(3)で表されるオキシムスルホネート化合物を合成し、使用した。
【0141】
【化6】
【0142】
<実施例1〜8、比較例1〜3>
光酸発生剤の性能評価として、実施例1〜8で得られた非イオン系光酸発生剤(A−1)〜(A−8)、比較のための非イオン系光酸発生剤(A’−1)〜(A’−3)の透明性、溶剤溶解性、耐熱性、及びレジスト現像性について以下の方法で評価し、その結果を表1に記載した。
【0143】
<透明性の評価方法>
合成した光酸発生剤を2.5×10−5mol・L−1アセトニトリル(分光分析用、和光純薬工業株式会社製)溶液に調整し、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV−2550)を用いて吸光度(A)を測定した。測定範囲は200〜500nm、セル長は1cmのものを用いた。下記式からi線(365nm)のモル吸光係数(ε365)を算出した。
ε365L・mol−1・cm−1=A365/(2.5×10−5mol・L−1×1cm)
ここで、光酸発生剤の透明性は、i線に対するモル吸光係数ε365から以下の基準により評価した。
○: モル吸光係数ε365が5000L・mol−1・cm−1以下
×: モル吸光係数ε365が5000L・mol−1・cm−1
【0144】
<溶剤溶解性の評価方法>
合成した光酸発生剤を0.1g試験管にとり、プロピレングリコールモノメチルアセテート(PGMEA)を0.1g加え、酸発生剤濃度が20%になるようにし完全に溶解するか確認した。溶解しない場合、以後酸発生剤濃度が5%ずつ減少するようにPGMEAを加え完全に溶解した濃度を確認した。
溶剤溶解性は、以下の基準により評価した。
○: 完全に溶解した濃度が20%以上
△: 完全に溶解した濃度が20%未満かつ5%以上
×: 完全に溶解した濃度が5%未満
【0145】
<熱安定性の評価方法>
合成した光酸発生剤を示差熱・熱重量同時測定装置(SII社製、TG/DTA6200)を用いて、窒素雰囲気下、30℃から500℃まで10℃/分の昇温条件で重量変化を測定し、2%重量が減少した点を熱分解温度とした。
熱安定性は、測定された熱分解温度から以下の基準により評価した。
○: 熱分解温度が200℃以上
×: 熱分解温度が200℃未満
【0146】
<レジスト現像性>
<露光部硬化性の評価方法>
フェノール樹脂(DIC社製、「フェノライトTD431」)75部、メラミン硬化剤(三井サイアナミッド(株)社製、「サイメル300」)25部、合成した光酸発生剤1部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記する。)100部の樹脂溶液を、10cm角のガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで10秒の条件で塗布した。次いで25℃で5分間真空乾燥した後、100℃のホットプレート上で5分間乾燥させることで、膜厚約40μmのレジストを形成した。このレジストに紫外線照射装置(株式会社オーク製作所社製、HMW−661F−01)を用いて、L−34(株式会社ケンコー光学製、340nm未満の光をカットするフィルター)フィルターによって波長を限定した紫外光を所定量全面に露光した。なお積算露光量は365nmの波長を測定した。次いで、150℃の順風乾燥機で10分間露光後加熱(PEB)を行った後、0.5%水酸化カリウム溶液を用いて60秒間浸漬することで現像し、直ちに水洗、乾燥を行った。このレジストの膜厚を形状測定顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡UK−8550、株式会社キーエンス製)を用いて測定した。ここで現像前後のレジストの膜厚変化が10%以内となる最低露光量から、露光部硬化性を以下の基準により評価した。
○: 最低露光量が1000mJ/cm以下
△: 最低露光量が1000mJ/cm超かつ2000mJ/cm以下
×: 最低露光量が2000mJ/cm
【0147】
<未露光部現像性の評価方法>
露光部硬化性の評価方法において、紫外線の照射を行わない対照条件とした以外同様の操作を行った。
未露光部現像性については以下の基準により評価した。
○: 現像後にレジスト膜が残存していない
×: 現像後に残膜がある
【0148】
【表1】
【0149】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜8の非イオン系光酸発生剤(A)は、透明性かつ、溶剤への溶解性に優れており、従来困難であった透明性と溶解性の両立を実現している。また、熱安定性に優れ、高いレジスト感度を有するためにレジスト露光部、未露光部の現像性に大きなコントラストを有するので、良好なレジストパターンを得ることができるとわかる。
一方、置換基を有さないナフタルイミド骨格からなる比較例1では、ナフチル骨格同士が分子配向しやすく結晶性が高いため、溶け残りが発生し溶剤溶解性が不十分であると分かる。
ナフタルイミド骨格に直接アルキル基を有する比較例2では、透明性が低いため、レジストの深部まで光が届かず、露光部硬化性が悪い。このため露光によりレジストパターンを形成することができないとわかる。
また、オキシムスルホネート構造を持つ非イオン系光酸発生剤を用いる比較例3では、熱安定性が低くPEBで分解し酸を発生するので、未露光部もレジストが硬化し、露光部との間にコントラストが得られず、パターンを形成することができないとわかる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の非イオン系光酸発生剤(A)はi線に対する高い透明性と優れた溶解性を両立し、また必要な熱安定性と光感度を有しているため、半導体の製造に代表される微細加工用のフォトリソグラフィー材料として有用である。