特許第6723927号(P6723927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6723927
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】増幅器システムにおける電流制限
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/52 20060101AFI20200706BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   H03F1/52
   H03F3/45
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-565496(P2016-565496)
(86)(22)【出願日】2015年5月1日
(65)【公表番号】特表2017-515404(P2017-515404A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2015028701
(87)【国際公開番号】WO2015168497
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年4月20日
(31)【優先権主張番号】14/267,515
(32)【優先日】2014年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】大谷 大二郎
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 啓太
【審査官】 渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−127037(JP,A)
【文献】 特開2004−023555(JP,A)
【文献】 特開2001−126420(JP,A)
【文献】 実開平01−162923(JP,U)
【文献】 特開2001−160721(JP,A)
【文献】 特表2003−533074(JP,A)
【文献】 特開2006−203435(JP,A)
【文献】 米国特許第05907262(US,A)
【文献】 米国特許第06208208(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/52
H03F 3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器システムであって、
差動入力電圧に応答して利得電流を導通するように構成される利得段であって、前記差動入力電圧が第1の入力電圧と第2の入力電圧とを含む、前記利得段と、
前記利得段に結合され、前記利得電流をソース又はシンクし、電流制限状態の間に前記利得電流の制限振幅を規定するように構成される、電流制限段であって、
前記第1の入力電圧と前記第2の入力電圧との間の負の差に基づいて前記利得段を介して前記利得電流をソースするように構成される第1の電流制限段と、
前記第1の入力電圧と前記第2の入力電圧との間の正の差に基づいて前記利得段を介して前記利得電流をシンクするように構成される第2の電流制限段と、
を含む、前記電流制限段と、
前記利得段に結合され、前記利得電流に応答して出力ノードを介して出力電流を導通するように構成される出力段であって、前記出力電流が電流制限状態の間に前記制限振幅に比例する最大振幅を有する、前記出力段と、
を含む、増幅器システム。
【請求項2】
増幅器システムであって、
入力電圧に応答して利得電流を導通するように構成される利得段であって、クロス結合されたトランジスタ配置として構成される複数のトランジスタを含み、前記複数のトランジスタが、シンク電流制限状態の間に前記クロス結合されたトランジスタ配置の第1のトランジスタの対を介して前記利得電流をシンクし、ソース電流制限状態の間に前記クロス結合されたトランジスタ配置の第2のトランジスタの対を介して前記利得電流をソースするように構成される、前記利得段と、
前記利得段に結合され、前記利得電流をソース又はシンクし、電流制限状態の間に前記利得電流の制限振幅を規定するように構成される、電流制限段と、
前記利得段に結合され、前記利得電流に応答して出力ノードを介して出力電流を導通するように構成される出力段であって、前記出力電流が電流制限状態の間に前記制限振幅に比例する最大振幅を有する、前記出力段と、
を含む、増幅器システム。
【請求項3】
請求項に記載の増幅器システムであって、
前記第1のトランジスタの対の第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの対の第1のトランジスタとがそれぞれの所定の基準電圧により制御され、前記第1のトランジスタの対の第2のトランジスタと前記第2のトランジスタの対の第2のトランジスタとが前記入力電圧により制御される、増幅器システム。
【請求項4】
請求項に記載の増幅器システムであって、
それぞれの電流ミラーとして前記第1のトランジスタの対の前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの対の前記第1のトランジスタとに結合される基準段であって、基準電流に基づいて前記所定の基準電圧の大きさを設定するように構成される、前記基準段を更に含む、増幅器システム。
【請求項5】
請求項に記載の増幅器システムであって、
前記入力電圧が第1の入力電圧と第2の入力電圧とを含む差動電圧であり、
前記増幅器システムが、
前記第1の入力電圧に関連付けられ、前記所定の基準電圧の第2の基準電圧を介して制御される第1の基準トランジスタのソースに結合される、第1の制御ノードと、
前記第2の入力電圧に関連付けられ、前記所定の基準電圧の前記第2の基準電圧を介して制御される第2の基準トランジスタのソースに結合される、第2の制御ノードと、
を更に含み、
前記第1のトランジスタの対の前記第2のトランジスタが、前記第1の入力電圧に応答して前記第1の基準トランジスタの活性化を介して制御され、前記第2のトランジスタの対の前記第2のトランジスタが、前記第2の入力電圧に応答して前記第2の基準トランジスタの活性化を介して制御される、増幅器システム。
【請求項6】
請求項に記載の増幅器システムであって、
前記利得段が第1の利得段であり、
前記増幅器システムが、第1の利得段電流ミラーと第2の利得段電流ミラーとを含む第2の利得段を更に含み、
前記第1のトランジスタの対の第1のトランジスタが前記第1の利得段電流ミラーに結合され、前記第2のトランジスタの対の第1のトランジスタが前記第2の利得段電流ミラーに結合され、
前記利得電流が前記それぞれの第1及び第2の利得段電流ミラーを介して前記出力電流の大きさを制御するように、前記出力段が前記第1の利得段電流ミラーと前記第2の利得段電流ミラーとに結合される、増幅器システム。
【請求項7】
請求項に記載の増幅器システムであって、
前記出力段が、第1の出力トランジスタと第2の出力トランジスタと出力制御トランジスタとダイオードとを含み、
前記第1の出力トランジスタと前記出力制御トランジスタとが、ソースフォロワ構成に配され、
前記第1の出力トランジスタと前記出力制御トランジスタとが、前記ソース電流制限状態に応答して前記出力ノードから流すために前記出力電流を導通するように構成され、
前記第2の出力トランジスタと前記ダイオードとが、前記シンク電流制限状態に応答して前記出力ノードから提供される前記出力電流を導通するように構成される、増幅器システム。
【請求項8】
電圧増幅器システムであって、
入力電圧に応答してシンク電流とソース電流との少なくとも一方を導通するように構成される複数のトランジスタを含む利得段であって、前記複数のトランジスタが、クロス結合されたトランジスタ配置として構成され、シンク電流制限状態の間に前記クロス結合されたトランジスタ配置の第1のトランジスタの対を介して前記シンク電流を導通し、ソース電流制限状態の間に前記クロス結合されたトランジスタ配置の第2のトランジスタの対を介して前記ソース電流を導通させるように構成される、前記利得段と、
前記シンク電流と前記ソース電流との前記少なくとも一方を提供し、電流制限状態の間に前記シンク電流と前記ソース電流との少なくとも一方の振幅制限を規定するように構成される電流ミラーを含む、少なくとも1つの電流制限段と、
前記利得段に結合され、出力ノードにおいて出力電圧を提供するために前記シンク電流と前記ソース電流との少なくとも一方に応答して前記出力ノードを介して出力電流を導通するように構成される出力段であって、前記出力電流が、電流制限状態の間に前記制限振幅に比例する最大振幅を有する、前記出力段と、
を含む、電圧増幅器システム。
【請求項9】
請求項に記載の電圧増幅器システムであって、
前記第1のトランジスタの対の第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの対の第1のトランジスタとが、それぞれの所定の基準電圧により制御され、前記第1のトランジスタの対の第2のトランジスタと前記第2のトランジスタの対の第2のトランジスタとが、前記入力電圧により制御される、電圧増幅器システム。
【請求項10】
請求項に記載の電圧増幅器システムであって、
前記利得段が第1の利得段であり、
前記電圧増幅器システムが、第1の利得段電流ミラーと第2の利得段電流ミラーとを含む第2の利得段を更に含み、
前記第1のトランジスタの対の前記第1のトランジスタが前記第1の利得段電流ミラーに結合され、前記第2のトランジスタの対の前記第1のトランジスタが前記第2の利得段電流ミラーに結合され、
前記シンク電流と前記ソース電流とが前記それぞれの第1及び第2の利得段電流ミラーを介する前記出力電流の大きさを制御するように、前記出力段が前記第1の利得段電流ミラーと前記第2の利得段電流ミラーとに結合される、電圧増幅器システム。
【請求項11】
請求項10に記載の電圧増幅器システムであって、
前記出力段が、第1の出力トランジスタと第2の出力トランジスタと出力制御トランジスタとダイオードとを含み、
前記第1の出力トランジスタと前記出力制御トランジスタとが、ソースフォロワ構成に配され、
前記第1の出力トランジスタと前記出力制御トランジスタとが、前記ソース電流制限状態に応答して前記出力ノードから流すために前記出力電流を導通するように構成され、
前記第2の出力トランジスタと前記ダイオードがと、前記シンク電流制限状態に応答して前記出力ノードから提供される前記出力電流を導通するように構成される、電圧増幅器システム。
【請求項12】
ハードディスクドライブ(HDD)システムであって、
データをストアするように構成される磁気ディスクと、
前記磁気ディスクの回転を制御するように構成されるスピンドルモーターと、
前記磁気ディスクにデータを書き込み、前記磁気ディスクからデータを読み出すように構成されるヘッドと、
入力電圧と基準電圧とに応答して利得電流を導通するように構成される利得段と、
前記利得段に結合される基準段であって、基準電流に基づいて前記基準電圧の大きさをセットするように構成される、前記基準段と、
前記利得段に結合され、前記利得電流をソース及び/又はシンクし、電流制限状態の間に前記利得電流の制限振幅を規定するように構成される、電流制限段と、
前記利得段に結合され、前記利得電流に応答して出力ノードを介して出力電流を導通するように構成される出力段であって、前記出力電流が、前記電流制限状態の間に前記制限振幅に比例する最大振幅を有する、前記出力段と、
前記出力ノードに生成される出力電圧に応答して前記磁気ディスクに関して前記ヘッドを位置づけるために音声コイルモーターと協働するように構成されるデュアルステージアクチュエータと、
を含む、HDDシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のHDDシステムであって、
前記入力電圧が、第1の入力電圧と第2の入力電圧とを含む差動入力電圧であり、
前記電流制限段が、
前記第1の入力電圧と第2の入力電圧との間の正の差に基づいて前記利得段を介して前記利得電流をシンクするように構成される第1の電流制限段と、
前記第1の入力電圧と前記第2の入力電圧との間の負の差に基づいて前記利得段を介して前記利得電流をソースするように構成される第2の電流制限段と、
を含む、HDDシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のHDDシステムであって、
前記出力段が、前記電流制限状態の間に前記出力ノードから又は前記出力ノードへ提供される前記出力電流をソース及び/又はシンクするように、前記出力段が、トランジスタのソースフォロワ配置を含む、HDDシステム。
【請求項15】
請求項12に記載のHDDシステムであって、
前記電流制限段が、電流ミラーとして配置される第1のトランジスタと第2のトランジスタと、電流源とを含み、前記電流源から前記第1のトランジスタを介して所定の電流が提供され、前記第2のトランジスタが、前記第1のトランジスタを介して前記所定の電流に基づいて前記利得電流をソース及び/又はシンクするように構成される、HDDシステム。
【請求項16】
請求項12に記載のHDDシステムであって、
前記利得段が、クロス結合されたトランジスタ配置として構成される第1及び第2のトランジスタの対を含み、前記第1のトランジスタの対がシンク電流制限状態の間に前記利得電流をシンクし、前記第2のトランジスタの対がソース電流制限状態の間に前記利得電流をソースする、HDDシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のHDDシステムであって、
前記第1のトランジスタの対が第1及び第2のトランジスタを含み、前記第2のトランジスタの対が第3及び第4のトランジスタを含み、
前記第1及び第3のトランジスタがそれぞれの所定の基準電圧により制御され、前記第2及び第4のトランジスタが前記入力電圧により制御される、HDDシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のHDDシステムであって、
それぞれの電流ミラーとして前記第1及び第3のトランジスタに結合され、基準電流に基づいて前記所定の基準電圧の振幅を設定するように構成される基準段を更に含む、HDDシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のHDDシステムであって、
前記入力電圧が、第1の入力電圧と第2の入力電圧とを含む差動電圧であり、
前記HDDシステムが、
前記第1の入力電圧に関連付けられ、前記所定の基準電圧の第2の基準電圧を介して制御される第1の基準トランジスタのソースに結合される第1の制御ノードと、
前記第2の入力電圧に関連付けられ、前記所定の基準電圧の前記第2の基準電圧を介して制御される第2の基準トランジスタのソースに結合される第2の制御ノードと、
を更に含み、
前記第2のトランジスタが、前記第1の入力電圧に応答して前記第1の基準トランジスタの活性化を介して制御され、前記第4のトランジスタが、前記第2の入力電圧に応答して前記第2の基準トランジスタの活性化を介して制御される、HDDシステム。
【請求項20】
ハードディスクドライブ(HDD)システムであって、
データをストアするように構成される磁気ディスクと、
前記磁気ディスクの回転を制御するように構成されるスピンドルモーターと、
前記磁気ディスクへデータを書き込み、前記磁気ディスクからデータを読み出すように構成されるヘッドと、
出力電圧に応答して前記磁気ディスクに関して前記ヘッドを位置づけるために音声コイルモーターと協働するように構成されるデュアルステージアクチュエータと、
増幅器システムと、
を含み、
前記増幅器システムが、
入力電圧と基準電圧とに応答して利得電流を導通するように構成される利得段と、
前記利得段に結合される基準段であって、基準電流に基づいて前記基準電圧の大きさをセットするように構成される、前記基準段と、
前記利得段に結合され、前記利得電流をソース及び/又はシンクし、電流制限状態の間に前記利得電流の制限振幅を規定するように構成される、電流制限段と、
前記利得段に結合され、前記出力ノードにおいて前記出力電圧を提供するために前記利得電流に応答して出力ノードを介して出力電流を導通するように構成される、出力段であって、前記出力電流が、電流制限状態の間に前記制限振幅に比例する最大振幅を有する、前記出力段と、
を含む、HDDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して電子回路システムに関し、更に具体的には増幅器システムにおける電流制限に関連する。
【背景技術】
【0002】
増幅器システムは、出力信号を生成する際に入力信号の振幅を増大させるために種々の電子回路用途に実装され得る。例えば、電流増幅器は、その振幅がそれぞれの入力電流の振幅より大きい出力電流を生成し得る。同様に、電圧増幅器は、その振幅がそれぞれの入力電圧の振幅より大きい出力電圧を生成し得る。増幅器システムの一つの例示の応用例が、ハードディスクドライブ(HDD)におけるデュアルステージアクチュエータなどの、機械的構成要素の動きのためのサーボ制御である。例えば、入力信号は、データを読み出す及び書き込むためにヘッドの位置決め制御のために提供され得、そのため、増幅器は、ヘッドを移動させるために出力信号を提供し得る。
【発明の概要】
【0003】
記載される例において、増幅器システムが、入力電圧に応答して利得電流を導通するように構成される利得段を含む。増幅器システムはまた、利得段に結合される電流制限段を含み、電流制限段は、利得電流をソース及び/シンクするように、及び、電流制限状態の間、利得電流の制限振幅を規定するように構成される。増幅器システムは、利得段に結合される出力段を更に含み、出力段は、利得電流に応答して出力ノードを介して出力電流を導通するように構成され、出力電流は、制限振幅に比例する電流制限状態の間、最大振幅を有する。
【0004】
別の実施例において、利得段が、入力電圧に応答してシンク電流及びソース電流の少なくとも一方を導通するように構成される複数のトランジスタを含む。このシステムはまた、少なくとも一つの電流制限段を含み、電流制限段は、シンク電流及びソース電流の少なくとも一方を提供するように、及び、電流制限状態の間、シンク電流及びソース電流の少なくとも一方の制限振幅を規定するように構成される電流ミラーを含む。システムは更に、利得段に結合される出力段を含み、出力段は、出力ノードにおいて出力電圧を提供するためにシンク電流及びソース電流の少なくとも一方に応答して出力ノードを介して出力電流を導通するように構成され、出力電流は、制限振幅に比例する電流制限状態の間、最大振幅を有する。
【0005】
別の実施例が、ハードディスクドライブ(HDD)システムを含む。HDDシステムは、データをストアするように構成される磁気ディスク、及び磁気ディスクの回転を制御するように構成されるスピンドルモーターを含む。HDDシステムはまた、磁気ディスクにデータを書き込み及び磁気ディスクからデータを読み出すように構成されるヘッドを含む。HDDシステムは、増幅器システムにより生成される出力電圧に応答して磁気ディスクに関してヘッドを位置づけるために音声コイルモーターと協働するように構成されるデュアルステージアクチュエータを更に含む。増幅器システムは、入力電圧に応答して利得電流を導通するように構成される利得段を含む。増幅器システムはまた、利得段に結合される電流制限段を含み、電流制限段は、利得電流をソース及び/シンクするように、及び、電流制限状態の間、利得電流の振幅制限を規定するように構成される。増幅器システムは、利得段に結合される出力段を更に含み、出力段は、出力ノードにおいて出力電圧を提供するために利得電流に応答して出力ノードを介して出力電流を導通するように構成され、出力電流は、制限振幅に比例する電流制限状態の間、最大振幅を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】増幅器システムの一例を図示する。
【0007】
図2】増幅器回路の一例を図示する。
【0008】
図3】ハードディスクドライブ(HDD)システムの一例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一例において、増幅器システムは、入力電圧の増幅されたバージョンである出力電圧を生成するように構成される電圧増幅器であり得る。例えば、入力電圧は、フィードバックを介して提供される差動電圧であり得る。増幅器システムは、利得段、電流制限段、及び出力段を含み得る。利得段は、入力電圧に基づいて、シンク電流又はソース電流などの利得電流を導通するように構成され得る。例えば、入力電圧は、利得電流を導通させるために利得段における一つ又は複数のトランジスタを活性化し得る。出力段は、利得段に結合され、利得電流に基づく出力電流を生成するように、及び出力電流に基づいて出力電圧を提供するように構成される。
【0010】
電流制限段は、電流制限状態に関連付けられる利得電流の制限振幅を規定するように構成され得、電流制限状態は、出力電流に関連付けられる電流振幅制限に対応する。例えば、電流制限段は、差動入力電圧を構成する2つの電圧間の差に基づいて利得電流をシンク及び/又は利得電流をソースするように構成される電流制限段を含み得る。例えば、利得段は、電流制限状態の間、それぞれ、シンク利得電流又はソース利得電流を導通させるため相互に排他的に活性化される、クロス結合されたトランジスタのセットを含み得る。電流制限段は、利得電流(例えば、シンク及び/又はソース電流)を生成するように構成され、出力電流が、利得電流の規定された制限に比例する振幅制限を有するように、電流ミラーを介する利得電流に関連付けられる制限振幅を規定し得る。
【0011】
図1は、増幅器システム10の一例を図示する。増幅器システム10は、入力電圧VINに関連して増大された振幅を有する出力電圧VOUTを提供するように実装され得るなど、電圧増幅器に対応し得る。例えば、増幅器システム10は、ハードディスクドライブ(HDD)システムにおけるデュアルステージアクチュエータドライバ用など、種々の電子機器用途において実装され得る。
【0012】
増幅器システム10は、それぞれ、電圧VDD及び接地として図1に示す高電圧レール及び低電圧レールに基づいて、少なくとも一つの所定の基準電圧を設定するように構成される基準段12を含む。例えば、電圧VDDは約5ボルトであり得る。増幅器システム10はまた、複数のトランジスタ16を含む少なくとも一つの利得段14を含む。利得段14は、入力電圧VINに基づいて生成される利得電流を導通するように構成される。例えば、トランジスタ16は、利得電流を導通させるため入力電圧及び基準電圧に基づいて活性化され得る。また、例えば、トランジスタ16は、利得段14の第1の利得段の一部として2対のクロス結合されたトランジスタを含み得、各対の第1のトランジスタが一つ又は複数の基準電圧の一つにより制御され、各対の第2のトランジスタが入力電圧VINに基づいて制御される。例えば、入力電圧VINは、フィードバックを介して提供される第1の電圧及び第2の電圧を有する差動入力電圧VINであり得る。
【0013】
利得段14の第1の利得段が、入力電圧VINに基づいてシンク利得電流又はソース利得電流として利得電流を導通するように構成され得る。例えば、利得段14の第1の利得段は、入力電圧VINの差動電圧間の正の差に基づいてソース利得電流として、又は入力電圧VINの差動電圧間の負の差に基づいてシンク利得電流として、利得電流を提供し得る。また、例えば、利得段14の第1の利得段は、差動入力電圧VINの第1及び第2の電圧間の差が所定の閾値を超えることに応答して、トランジスタ16のクロス結合されたトランジスタの所与の一対を相互に排他的に活性化するように構成され得る。
【0014】
増幅器システム10はまた、利得電流に基づいて出力電流を生成するように構成される出力段18を含む。例えば、出力段18は、少なくとも一つの電流ミラーを含む利得段14の第2の利得段に結合され得、ミラーされた利得電流が出力段18における少なくとも一つのトランジスタを制御し得るように、トランジスタ16におけるクロス結合されたトランジスタにおける対の各々において第1のトランジスタからの利得電流を導通するように構成され得る。出力段18は、ミラーされた利得電流により制御されるトランジスタのソースフォロワ配置を含み得、そのため、トランジスタのソースフォロワ配置が、入力電圧VINの増大された大きさに対応する出力電圧VOUTを提供するために出力ノード20(それぞれ、電圧Vによりソースされるか又は電圧Vまでシンクされるなど)を介して出力電流を導通するように構成され得る。例えば、電圧Vは、約17.5Vなど、電圧VDDの振幅より大きい振幅を有し得る。例えば、出力電流は、利得段14におけるトランジスタ間のそれぞれのゲート幅と、出力段18におけるトランジスタのソースフォロワ配置とに基づく利得電流に比例し得る。また、出力段18におけるトランジスタのソースフォロワ配置は、或る電圧増幅器用途において要求され得るなどの、出力ノード20に関して低い出力インピーダンスを提供し得る。
【0015】
図1の例において、増幅器システム10は、増幅器システム10又は関連する電子機器への損傷を実質的に防ぐために、電流制限状態の間、出力電流の振幅を制限するように構成される少なくとも一つの電流制限段22を更に含む。電流制限状態において、出力電流は、出力ノード20から低電圧レール(例えば、接地)への短絡又は非常に低い抵抗電流経路に応答するなど、増幅器システム10から出力ノード20を介して、又は、最大振幅で出力段18を介し、出力ノード20を介し、増幅器システム10内に、流れる。電流制限段22は、利得段14が導通する利得電流を提供するように、及び利得電流の振幅制限を規定し、そのため、利得電流に関した出力電流の比例関係に基づいて出力電流の振幅を制限し得るように、構成される電流ミラーを含み得る。
【0016】
例えば、電流制限段22は、利得段14を介して利得電流を導通するようにそれぞれ構成される、ソース電流制限段及びシンク電流制限段を含み得る。ソース及びシンク電流制限段22の各々は、利得電流の最大振幅を規定し得る所定の電流を導通する電流ミラーを含み得る。従って、出力電流が利得電流に比例するので、出力電流は、電流制限段22により規定されるように、利得電流の振幅制限に比例する最大振幅を有し得る。従って、電流制限状態に応答して、出力電流は電流制限段22により設定される最大振幅を有し得る。
【0017】
図2は、増幅器回路50の一例を図示する。増幅器回路50は、図2において第1の電圧VIN_N及び第2の電圧VIN_として示す差動入力電圧に関連する増大された振幅を有する出力電圧VOUTを提供するために電圧増幅器に対応し得る。例えば、増幅器回路50は、HDDシステムにおけるデュアルステージアクチュエータドライバにおいて実装され得る。また、例えば、増幅器回路50は、図1における増幅器システム10に対応し得る。従って、図1図2の下記の詳細な説明により参照される。
【0018】
図2の例において、第1の入力電圧VIN_N及び第2の入力電圧VIN_Pは、pチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(P−FET)P及びPのそれぞれのゲートに提供される。Pは、電流源52及び第1の制御ノード54を相互接続し、Pは、電流源52及び第2の制御ノード56を相互接続する。電流源52は、VDDからの電流Iを導通するように構成される。入力電圧VIN_P及びVIN_Nは、通常動作状態を確立するためにフィードバックに基づくなど、増幅器回路50の定常状態通常動作状態の間、ほぼ等しくなり得る。別の例において、入力電圧VIN_Pが1ボルト未満(例えば、約900mV)などの所定の振幅に実質的に固定され得、入力電圧VIN_Nが、入力電圧VIN_Pの振幅辺りで変化する振幅(例えば、入力VIN_Pの+/−700mV)を有し得るように、増幅器回路50が反転増幅器として構成され得る。入力電圧VIN_N及びVIN_Pは、それぞれ、第1の制御ノード54上の電圧VSW1及び第2の制御ノード56上の電圧VSW2を提供するために、飽和領域においてP及びPを動作させ得る。
【0019】
増幅器回路50は基準段58を含み、基準段58はnチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(N‐FET)N及びP‐FET Pを含み、これらは、各々、直列にダイオード接続され、第1の基準ノード60及び第2の基準ノード62を相互接続する。電流源64が、電圧VDDからN及びPを介して、及びPに及びN及び接地に結合されるダイオード接続N‐FET Nに結合されるダイオード接続N‐FET Nを介して、基準電流IREFを提供する。電圧VDDと低電圧レール(接地として図2に示す)との間のN、P、N、及びNのダイオード接続に基づいて、基準ノード60及び62は、実質的に一定であるそれぞれの基準電圧VREF1及びVREF2を有する。
【0020】
また、Nのゲートは、N‐FET N及びN‐FET Nのそれぞれのゲートに結合され、Nのゲートは、N‐FET N及びN‐FET Nのそれぞれのゲートに結合される。従って、N及びNは、Nに関して電流ミラーとして配される。N、N4、及びNは、それぞれ、N、N及びNに関してカスコード段として配される。第1の制御ノード54は、Nのソース及びNのドレインを相互接続し、第2の制御ノード56は、Nのソース及びNのドレインを相互接続する。PがPに関して電流ミラーとして配されるように、Nのドレインは、P‐FET Pとの共通ゲート接続及び共通ソース接続(例えば、電圧VDDにおいて)を有するダイオード接続P‐FET Pに結合される。その結果、基準電流IREFは、電流IM1及びIM2が、電流IREFのミラーされたバージョンから通常動作条件における電流Iの2分の1を減じたものとなるように、電流IM1としてP及びNを介して及び電流IM2としてNを介してミラーされる。しかし、それぞれの制御ノード54及び56のN及びNのソースへの結合に基づいて、それぞれの制御ノード54及び56における電圧VSW1及びVSW2の相対的な大きさがN及びNの活性化を制御し得る。そのため、電流IM1及びIM2の相対的な振幅は、それぞれの電圧VSW1及びVSW2の相対的な振幅に基づいて制御され得る。
【0021】
増幅器回路50はまた、第1の利得段66を含む。第1の利得段66は、N‐FET Nとの第1のバイアスノード68における共通ゲート接続を有するダイオード接続N‐FET Nを含み、また、P‐FET Pとの第2のバイアスノード70における共通ゲート接続を有するダイオード接続P‐FET Pを含む。従って、N及びPは、N及びPに関して電流ミラーとして動作する。図2の例において、第1のバイアスノード68はまた、Pのドレインに結合され、電圧VB1を有する。第2のバイアスノード70はまた、Nのドレインに結合され、電圧VB2を有する。更に本願において詳細に説明するように、電圧VB1及びVB2は、電流IM1及びIM2により電圧VSW1及びVSW2を介して制御され、そのため、差動入力電圧VIN_P及びVIN_Νにより制御される。また、第1の利得段66は、それぞれ、基準電圧VREF1及びVREF2により制御されるN‐FET N10及びP‐FET Pを含み、そのため、基準段58におけるN及びPに関して電流ミラーとして配される。Nが、ノード72において共通ソース接続を介してPに結合される。N、N10、P、及びPのソースは全て、電圧VCOMを有するノード74において結合される。従って、N、N10、P、及びPは、トランジスタのクロス結合された対として配され、本願において更に詳細に説明されるように、N及びPが、トランジスタのクロス結合された第1の対を構成し、N10及びPが、クロス結合されたトランジスタの第2の対を構成する。
【0022】
増幅器回路50はまた、第1の電流制限段76及び第2の電流制限段78を含む。第1の電流制限段76は、ソース電流ISRCとして利得電流を生成するように構成され、これが(Nのドレインに提供されることにより)第1の利得段66に提供される。図2の例において、第1の電流制限段76はダイオード接続P‐FET Pを含み、ダイオード接続P‐FET Pは、P‐FET P10との共通ゲート接続を有し、及び電圧VDDへの共通ソース接続を有する。従って、P及びP10は電流ミラーとして協働する。第1の電流制限段76はまた、電流源80を含み、電流源80は、電圧VDDからPを介して接地まで実質的に一定の電流IL1を導通するように構成される。従って、実質的に一定の電流IL1は、電流IL1の振幅に基づいて、及び電流ISRC(例えば、P10を含む)の電流経路におけるトランジスタの相対的なゲート幅に基づいて、電流ISRCのための最大振幅を規定し得る。
【0023】
同様に、第2の電流制限段78は、(Pのドレインから提供されることにより)第1の利得段66から提供されるシンク電流ISNKとして利得電流を生成するように構成される。図2の例において、第2の電流制限段78は、N‐FET N12との共通ゲート接続と接地への共通ソース接続とを有するダイオード接続N‐FET N11を含む。従って、N11及びN12は電流ミラーとして協働する。第2の電流制限段78はまた、電流源82を含み、電流源82は、電圧VDDからN11を介して接地まで実質的に一定の電流IL2を導通するように構成される。従って、実質的に一定の電流IL2は、電流IL2の振幅に基づいて、及び電流ISNK(例えば、N12を含む)の電流経路におけるトランジスタの相対的なゲート幅に基づいて、電流ISNKのための最大振幅を規定し得る。
【0024】
増幅器回路50はまた、出力制御ノード88を介して結合される第2の利得段84及び出力段86を含む。第2の利得段84は、(a)ノード72及び出力制御ノード88を相互接続するキャパシタCと、(b)N10及びPとを介して第1の利得段66に結合される。図2の例において、第2の利得段84は、第1の利得段66におけるPのドレインにおいてN‐FET N14との共通ゲート接続を有し、及び電圧V(例えば、約−17.5ボルトなどの負の電圧)への共通ソース接続を有する、ダイオード接続N‐FET N13を含む。同様に、第2の利得段84は、第1の利得段66におけるN10のドレインにおいてP‐FET P12との共通ゲート接続を有し、及び電圧V(例えば、約17.5ボルトなど、電圧Vに等しく、電圧Vとは反対の電圧)への共通ソース接続を有する、ダイオード接続P‐FET P11を含む。N14及びP12のドレインは、出力制御ノード88に結合される。従って、N13、N14、P11、及びP12はそれぞれ、第1の利得段66を介して利得電流を導通するように、及び出力制御ノード88を介して利得電流をミラーするように構成される電流ミラーとして協働する。例えば、N14及びP12は、固定の割合(例えば、それぞれ、N13及びP11のゲート幅の2倍のゲート幅)に基づくなど、それぞれ、N13及びP11に関連してより大きいゲート幅を有し得る。
【0025】
出力段86は、ソースフォロワ配置に構成されるN‐FET N15及びN‐FET N16を含み、そのため、関連する出力ノード90に関して低い出力インピーダンスを提供し得る。図2の例において、N15は、出力制御ノード88においてダイオード接続され、N15及びN16は、電流ミラー構成を提供するために共通ゲート及び共通ソースを有する。N15及びN16のソースは、出力電圧VOUTを有する出力ノード90に結合され、N16のドレインは電圧Vに結合される。出力段86はまた、N‐FET N17を含み、N‐FET N17は、第2の利得段84におけるN13及びN14のゲートに結合されるゲートを有し、ドレインにおける出力ノード90及びソースにおける電圧Vを相互接続する。従って、N17は、N13に関して電流ミラーとして配される。従って、N16及びN17は、第1の利得段66及び第2の利得段84を介して導通される出力電流に基づいて利得電流を導通するように構成される。例えば、N16は、N15のゲート幅より著しく大きい(例えば、N15のゲート幅の約25倍の)ゲート幅を有し得る。同様に、N17は、N13のゲート幅より著しく大きい(例えば、N13のゲート幅の約50倍の)ゲート幅を有し得る。更に、図2の例において、ダイオードDが、それぞれ、アノードからカソードへN15のソース及びドレインを相互接続する。例えば、ダイオードDは、N15に関して寄生ダイオードとして構成され得る。ダイオードDは、本願において更に詳細に説明されるように、出力ノード90からの出力電流を導通するように構成される。
【0026】
図2の例において、特に、第1の利得段66、第2の利得段84、及び出力段86における、付加的な電流を増幅器回路50に示す。これ以降に記載される電流は、正の振幅に基づく電流フロー方向を有する。従って、本明細書に記載するように、負の振幅電流が、図2に示すものとは反対方向の電流フローを示す。
【0027】
第1の例として、入力電圧VIN_P及びVIN_Nは、ほぼ等しくし得る(例えば、各々約900mVの振幅を有する)。応答において、図2の例を参照して、電圧VSW1及びVSW2は、同様にほぼ等しい電流IM1及びIM2の振幅を提供するようにほぼ等しくし得る。従って、第1及び第2のバイアス電圧VB1及びVB2は、それぞれ、電圧VREF1及びVREF2にほぼ等しくし得、ノード72における電圧は、N及びPの飽和領域活性化を提供するために、電圧VCOMにほぼ等しくし得る。従って、N10及びPのソースにおけるノード74における電圧VCOMの振幅に基づいて、N10及びPもまた、各々飽和領域において活性化される。
【0028】
飽和領域におけるN、N10、P、及びPの活性化に応答して、(a)電流ISRC(例えば、約5μA)が第1の電流制限段76からNを介して提供され、及び(b)電流ICC1(例えば、約39μA)が電圧VからP11を介して提供される。電流ICC1の第1の部分が、P及びN13を介して電流ICC2(例えば、約20μA)として電圧Vまで流れる。電流ICC1の第2の部分が、電流ILK(例えば、約19μA)として図2に示され、Pを介して電流ISNK(例えば、約24μA)として第2の電流制限段78まで流すために、電流ISRCと組み合わさる。また、P11に関連するP12の電流ミラー構成に基づいて、及びN13に関連するN14の電流ミラー構成に基づいて、(a)電流ICC1が、電流IGS1(例えば、約78μA)をP12を介して流し、及び(b)電流ICC2が、電流IGS2(例えば、約40μA)をN14を介して流す。電流IGS2は、電流IGS1の第1の部分であり得、電流IGS1の第2の部分がN15を介して流れ得、これは、図2において、P12及びN14のそれぞれの活性化に基づく、第1の出力電流ΙOT1(例えば、約38μA)として示される。
【0029】
また、N16がN15に関して電流ミラーとして配されるので、及びN17がN13に対する電流ミラーとして配されるので、第2の出力電流ΙOT2がN16を介して流れ、第3の出力電流ΙOT3がN17を介して流れる。更に、出力電流ΙOT2及びΙOT3のそれぞれの部分が出力ノード電流ΙOUTとして提供され、これは図2において、出力ノード90から外部回路構成要素(例えば、キャパシタ)などへ流れるように示される。第3の出力電流ΙOT3及び出力ノード電流ΙOUTは、第2の出力電流ΙOUT2及び第1の出力電流ΙOUTの合計に等しくし得る。負のフィードバック状態において入力電圧VIN_P及びVIN_Nがほぼ等しい例において(例えば、出力電圧VOUTは電圧フォロワ構成で入力電圧VIN_Nとして結合され得る)、増幅器回路50は、外部回路構成要素から如何なる電流もソースすることなく又は外部回路構成要素から出力ノード90に如何なる電流もシンクすることなく、出力電圧VOUTを提供し得る。従って、入力電圧VIN_P及びVIN_Nがほぼ等しい例において、第3の出力電流ΙOT3(例えば、約1mA)が、第2の出力電流ΙOT2(例えば、約962μA)及び第1の出力電流IOT1の合計に等しくし得るように、出力ノード電流ΙOUTはゼロにほぼ等しくし得る。
【0030】
別の例において、出力ノード90は接地又は基準電圧まで短絡し得、入力電圧VIN_P及びVIN_Nは、等しくない振幅を有し得る。例えば、入力電圧VIN_Pは、入力電圧VIN_Nより(例えば、約700mV)大きくし得る。入力電圧VIN_PとVIN_Nとの間の差に基づいて、電圧VSW1は電圧VSW2より大きくなり得、その結果、比較的低い振幅を有する電圧VB1及びVB2となり得る。電圧VB1及びVB2の振幅が減少するにつれて、(a)N10及びPのクロス結合された対のPは、通常動作状態(例えば、前述のもの)の場合よりも強い活性化を有し(例えば、Pは線形領域において動作し、電流ISNKは最大(即ち、制限)振幅を達成し、その結果、より低い活性化抵抗RDS_ONとなる)、及び(b)N10及びPのクロス結合された対のN10は、電流ILKとしてISNKを導通させるためカスコード段として動作する。これは、電圧VREF1及びVB2間の差が増大する一方、電圧VREF1は同じ振幅のままであり、一方、電圧VCOMが低減して、N10及びP両方のゲート・ソース電圧が増大するためである。また、電圧VB1とVREF2との間の差が低減するので、電圧VB1及びVB2の一層低い振幅がN及びPの非活性化となり、これにより、N及びP両方のゲート・ソース電圧が減少する。
【0031】
及びPに関するN10及びPのクロスカップリングに基づいて、電圧VB1及びVB2の低い振幅に応答して電圧VCOMが低減し、そのため、同様にN10及びPを活性化し、N及びPを非活性化する。従って、電流ISRCが非活性化され、利得電流ICC1の全体が、電流ILK及びISNKとして接地までシンクされる(例えば、電流ICC1、ILK、及びISNKは、約1mAの振幅を備えて等しくし得る)。例えば、電流ICC1、ILK、及びISNKの振幅は、第2の電流制限段78においてN11を介して流れる電流IL2によって、及びそれぞれの電流ICC1、ILK、及びISNKが流れるトランジスタのそれぞれのゲート幅に基づいて、規定される最大振幅である振幅を有し得る。
【0032】
11に関連するP12の電流ミラー構成に基づいて、電流ICC1が電流IGS1(例えば、約2mA)をP12を介して流す。Pの非活性化に基づいて、N−FET N13、N14、及びN17も同様に非活性化され得る。従って、電流ICC2、IGS2、及びIOT3はゼロとし得る。従って、電流IGS1は、その全体が、第2の出力電流IOT2(例えば、N16の相対的なゲート幅に基づく約50mA)と組み合わされるべき第1の出力電流ΙOT1としてN15を介して流れ得る。また、従って、出力ノード電流ΙOUTは、第2の電流制限段78により規定されるように、利得電流ISNKの振幅制限(例えば、1mA)に基づいて最大振幅(例えば、約52mA)まで制限された振幅で出力ノード90から流れ得る。従って、第2の電流制限段78により規定された出力ノード電流ΙOUTの振幅制限は、増幅器回路50に対する及び/又は出力ノード90に結合される回路構成要素に対する損傷を実質的に緩和し得る。
【0033】
更に別の例として、出力ノード90は、接地又は基準電圧まで短絡し得、入力電圧VIN_Nは、入力電圧VIN_Pより(例えば、約700mV)大きくし得る。入力電圧VIN_PとVIN_との間の差に基づいて、電圧VSW2は電圧VSW1より大きくなり得、そのため、比較的高い振幅を有する電圧VB1及びVB2となり得る。電圧VB1及びVB2が振幅において増大すると、N及びPのクロス結合された対のNは、通常動作状態の場合(例えば、前述のもの)よりも強い活性化を有し(例えば、Nは線形領域において動作し、電流ISRCは最大(即ち、制限)振幅を達成し、その結果、より低い活性化抵抗RDS_ONとなる)、N及びPのクロス結合された対のPは、(図2の例に関して負の)電流ILKとしてISRCを導通させるためにカスコード段として動作する。これは、電圧VREF2とVB1との間の差が増大する一方、電圧VREF2は同じ振幅のままであり、一方で、電圧VCOMが増大し、その結果、N及びP両方のゲート・ソース電圧が増大するためである。また、電圧VB2とVREF1との間の差が低減するので、電圧VB1及びVB2の一層高い振幅の結果、N10及びPの非活性化となり、これにより、N10及びP両方のゲート・ソース電圧が減少する。
【0034】
及びPに関するN10及びPのクロスカップリングに基づいて、電圧VB1及びVB2の高い振幅に応答して電圧VCOMが増大し、そのため、同様にP及びNを活性化し、N10及びPを非活性化する。従って、電流ISNKが非活性化され、利得電流ISRCが第1の利得段66を介して電流ILK(即ち、図2の例に関して負である)及びICC2(例えば、電流ISRC、ILK、及びICC2は、約1mAの振幅を備えて等しくし得る)として提供される。例えば、電流ICC2、ILK、及びISRCの振幅は、第1の電流制限段76においてPを介して流れる電流IL1によって、及び、それぞれの電流ICC2、ILK、及びISRCが流れるトランジスタのそれぞれのゲート幅に基づいて、規定される最大振幅である振幅を有し得る。
【0035】
13に関連するN14の電流ミラー構成に基づいて、電流ICC2は、電流IGS2(例えば、約2mA)をN14を介して流す。N10の非活性化に基づいて、P-FET P11及びP12も同様に非活性化され得る。従って、N15及びN16も非活性化され得る。従って、電流ICC1、IGS1、及びIOT2はゼロとし得る。従って、電流IGS2は、出力ノード電流ΙOUT(即ち、図2の例に関して負である)の一部として出力ノード90から第1の出力電流ΙOUT(即ち、図2の例に関して負である)としてダイオードDを介して流れ得る。出力ノード電流ΙOUTの残りが第3の出力電流ΙOT3として提供され得る(例えば、N17の相対的なゲート幅に基づいて約50mA)。従って、出力ノード電流IOUTは、第1の電流制限段76により規定されるように、利得電流ISRCの振幅制限(例えば、1mA)に基づいて、最大振幅(例えば、約52mA)まで制限される振幅で出力ノード90に流れ得る。従って、第1の電流制限段76により規定された出力ノード電流IOUTの振幅制限は、増幅器回路50に対する及び/又は出力ノード90に結合される回路構成要素に対する損傷を実質的に緩和し得る。
【0036】
図3は、HDDシステム150の一例を図示する。HDDシステム150は、ハードディスクドライブにデータを書き込むため及びハードディスクドライブからデータを読み出すために種々のコンピュータ用途において実装され得る。HDDシステム150は、データが書き込まれ得る及びデータが読み出され得る回転磁気ストレージ媒体として機能する磁気ディスク152を含む。HDDシステム150はまた、ディスク書き込み/読み出しオペレーションの間、磁気ディスクを回転させるように構成されるスピンドルモーター(SPM)154を含む。ヘッド156が、磁気ディスク152の上の位置決めに基づいて磁気ディスク152に関して読み出し/書き込みオペレーションを実施するように構成される。ヘッド156の位置決めは、音声コイルモーター(VCM)158及びデュアルステージアクチュエータ(DSA)160により正確に提供され得る。DSA160は、HDDシステム150を制御するように構成される制御電子機器164の一部として集積回路(IC)の少なくとも一部として実装され得るなど、サーボコントローラ162からアクチュエータ信号を受け取ることができる。サーボコントローラ162は、VCM158を制御するように構成されるVCMドライバ166、SPM154を制御するように構成されるSPMドライバ168、及びDSA160を制御するように構成されるDSAドライバ170を含む。図3の例において、DSAドライバ170は電圧増幅器172を含む。例えば、電圧増幅器172は、図1の例における増幅器システム10又は図2の例における増幅器回路50に実質的に類似して構成され得る。
【0037】
例えば、DSAドライバ170は、電圧増幅器172により増幅され得るアクチュエータ信号を、磁気ディスク152の上のヘッド156の正確な位置決めを提供するためにDSA160に提供するように構成され得る。従って、電圧増幅器172は、差動入力電圧など、入力電圧に対応する増幅された出力電圧を提供し得る。また、電圧増幅器172は、少なくとも一つの電流制限段を含むことによるなど、出力電流に関する電流制限を示すように構成され得る。従って、過剰電流からの電圧増幅器172への及び/又はDSA160への損傷は、短絡されている電圧増幅器172の関連する出力などに基づいて、実質的に緩和され得る。
【0038】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3