特許第6724042号(P6724042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6724042
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】センサベースの信号送信方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20200706BHJP
   H04M 1/73 20060101ALI20200706BHJP
   H04B 1/3827 20150101ALN20200706BHJP
   H04B 1/04 20060101ALN20200706BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   H04M1/73
   !H04B1/3827 130
   !H04B1/04 E
【請求項の数】25
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-554444(P2017-554444)
(86)(22)【出願日】2016年4月12日
(65)【公表番号】特表2018-522432(P2018-522432A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】US2016027163
(87)【国際公開番号】WO2016190974
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年4月8日
(31)【優先権主張番号】14/721,879
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シンディア,スラージ
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−051919(JP,A)
【文献】 特開2015−061298(JP,A)
【文献】 特表2013−521697(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/029298(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/02−1/06
1/16
1/38−1/58
H04M 1/00
1/24−1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイルセーフ特性を有する信号送信装置であって、
少なくとも第1のパワーレベルで当該装置の通信信号を送信する送信器と、
当該装置の外部のプロセスをモニタし、該プロセスの状態の変化を指し示す出力信号を提供するセンサと、
前記センサ及び前記送信器と通信可能に結合され、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定し、前記決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、前記送信器に、前記通信信号の前記送信を、前記第1のパワーレベルから、前記第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えさせる制御モジュールと、
を有し、
前記閾期間は、当該装置の使用の履歴を有する情報に基づいて決定される、
装置。
【請求項2】
前記センサは近接センサであり、前記センサは、当該装置に対するヒト組織の近接を検出し、前記出力信号は、当該装置に対する前記ヒト組織の、閾距離よりも小さい近接を指し示す、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサは、心拍センサ又は温度センサのうちの1つから選択され、前記センサがプロセスをモニタすることは、当該装置のユーザの生理学的状態をモニタすることを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記通信信号は無線周波数(RF)通信信号を有し、前記第2のパワーレベルは、モバイル装置に関して政府規制機関によって指令される出力信号パワー範囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記送信器は、前記RF通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換するパワーアンプを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御モジュールは、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったとの決定に応答して前記パワーアンプを停止させる又は前記パワーアンプに前記RF通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換させるロジックを有する回路を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記回路は、前記閾期間内に前記センサが前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったことを決定するためのクロックカウンタを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
当該装置は、モバイル装置又はウェアラブル装置のうちの1つから選択される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記制御モジュールは、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかの前記決定の結果に基づいて、前記センサの状態を決定する、請求項1乃至8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記センサは、前記プロセスの状態の変化を検出し、前記プロセスの状態の前記変化は、所定の変化閾値を上回る前記プロセスのモニタされたパラメータにおける変化である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記制御モジュールは、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったとの前記決定に応答して前記センサの状態が故障状態であると決定する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
当該装置は更に、前記外部のプロセスをモニタして前記プロセスの状態の変化を指し示す別の出力信号を提供する少なくとも1つの別のセンサを有し、前記制御モジュールは、少なくとも前記閾期間にわたって前記出力信号及び前記別の出力信号をポーリングして、前記ポーリングの結果に少なくとも部分的に基づいて前記センサ及び前記別のセンサの状態を決定する、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
フェイルセーフ通信方法であって、
通信信号を送信する送信器と、装置の外部のプロセスをモニタするセンサとを含む前記装置の制御モジュールにて、前記センサによって提供された出力信号を受信することと、
前記制御モジュールによって、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定することと、
前記制御モジュールにて受信した前記出力信号に少なくとも部分的に基づいて、制御モジュールによって、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えることと、
を有し、
前記閾期間は、前記装置の使用の履歴を有する情報に基づいて決定される、
方法。
【請求項14】
通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えるようにすることは、前記送信器のパワーアンプを停止させること、又は該パワーアンプを起動して前記通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにすることは、前記制御モジュールによって、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったと決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにすることは、前記制御モジュールによって、モバイル装置に関して政府規制機関によって指令される出力信号パワー範囲内にある前記第2のパワーレベルでの前記通信信号の前記送信を開始することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
センサフェイルセーフティに基づくコンピューティング装置の送信器による通信信号の送信のための命令を格納した1つ以上の非一時的なコンピューティング装置読み取り可能媒体であって、前記命令は、前記コンピューティング装置上での実行に応答して、前記コンピューティング装置に、
前記コンピューティング装置の外部のプロセスをモニタするセンサによって提供された出力信号を受信することと、
前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定することと、
前記決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、前記送信器に、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えさせることと
を行わせ、
前記閾期間は、前記コンピューティング装置の使用の履歴を有する情報に基づいて決定される、
非一時的なコンピューティング装置読み取り可能媒体。
【請求項18】
前記送信器を起動して通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えることを前記コンピューティング装置に行わせる前記命令は更に、前記送信器のパワーアンプを停止させること、又は該パワーアンプに前記通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換させること、を前記コンピューティング装置に行わせる、請求項17に記載の非一時的なコンピューティング装置読み取り可能媒体。
【請求項19】
前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定することを前記コンピューティング装置に行わせる前記命令は更に、前記出力信号が前記閾期間の間に第1のロジック状態から第2のロジック状態へと変化したかを決定すること、を前記コンピューティング装置に行わせる、請求項17に記載の非一時的なコンピューティング装置読み取り可能媒体。
【請求項20】
前記コンピューティング装置は、モバイル装置又はウェアラブル装置のうちの1つである、請求項17に記載の非一時的なコンピューティング装置読み取り可能媒体。
【請求項21】
フェイルセーフ通信のための装置であって、
当該装置の外部のプロセスをモニタするセンサによって提供された出力信号を受信する手段と、
前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定する手段と、
前記決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、当該装置の送信器による通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段と、
を有し、
前記閾期間は、当該装置の使用の履歴を有する情報に基づいて決定される、
装置。
【請求項22】
通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段は、前記送信器のパワーアンプを停止させる手段、又は該パワーアンプを起動して前記通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換する手段を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段は、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったと決定する手段を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段は、モバイル装置に関して政府規制機関によって指令される出力信号パワー範囲内にある前記第2のパワーレベルでの前記通信信号の前記送信を開始する手段を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
当該装置は、モバイル装置又はウェアラブル装置のうちの1つである、請求項21に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、センサ装備デバイスの分野に関し、より具体的には、デバイスに関連付けられたセンサに適用されるフェイルセーフティ技術を使用する信号送信の技術に関する。
【0002】
本出願は、2015年5月26日に出願された“SENSOR BASED SIGNAL TRANSMISSION METHODS AND APPARATUSES”というタイトルの米国特許出願第14/721,879号の優先権を主張するものであり、あらゆる目的でその全体をここに援用する。
【背景技術】
【0003】
例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ、“2in1”モバイルコンピューティング装置、又はウェアラブル装置などのユーザ装置用のセンサハブに、多様なセンサが一般的に使用されている。例えば、近接センサ、ジャイロスコープ、温度センサ、心拍センサ、及びこれらに類するものなどが、これらのユーザ装置で使用され得る。
【0004】
ユーザ装置におけるセンサの役割は、しばしば、ユーザ装置の外部であり得る特定のプロセスの状態の変化を検出することを含み得る。例えば、モバイルコンピューティング装置内の近接センサは、ヒト組織(数ある中でも、手、指、又は顔のようなもの)の存在を、それが例えば連邦通信委員会(Federal Communications Commission;FCC)及び/又は欧州適合(CE)規制などの政府機関によって指令される特定の閾距離よりも近くにあるときに検出し得る。典型的には、ユーザ装置に対して危険な近さにあるヒト組織をセンサが検出したことを受けて、無線周波数(RF)パワーアンプ利得を含めユーザ装置の送信器を制御する回路が、パワーアンプの出力を低下させて(又はオフして)、装置によって放射されるRFパワーが、検出されたヒト組織を損傷してしまわないことを確保し得る。
【0005】
製造上の欠陥又は現場(フィールド)での何らかの環境誘起効果の何れかによる近接センサの不具合があると、ヒト組織の検出がもはや可能でないことがある。現在利用可能な対策は、例えば近接センサなどのセンサが常に機能し得るという仮定に頼っている。結果として、近接センサの不具合、又は近接センサとモバイル装置のオペレーティングシステムを実行するプロセッサとの間の通信チャネルにおける不具合の何れかの場合に、RFパワーアンプがハイパワー出力モードで動作するように構成されていながら、FCC又はCEで指令される閾距離内のヒト組織の存在が検出されないことがある。その結果、ヒト組織が指令閾距離よりも近い場合であっても、モバイル装置によって放射されるRFパワーが高いままとなり、それにより、FCC及びCE規制に違反し得るとともに、ユーザのヒト組織の長期無線周波数パワー曝露によって重大な身体傷害のリスクを高めてしまい得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面とともに以下の詳細な説明を参照することにより実施形態がたやすく理解されることになる。ここでの説明を容易にするため、同様の構成要素は似通った参照符号で指し示す。実施形態は、添付の図面の図への限定としてではなく、例として示されるものである。
図1】一部の実施形態に従った、本開示の教示と組み合わされた一装置例を示すブロック図である。
図2】一部の実施形態に従った、センサフェイルセーフティに基づく装置の通信信号送信を提供するように構成された回路の一実装例の模式図である。
図3】一部の実施形態に従った、装置による信号送信のための複数(例えば、少なくとも2つ)のパワーレベルを提供するように構成された、図1及び2の装置のパワーアンプの一実装例の模式図である。
図4】一部の実施形態に従った、図1及び2の装置の制御モジュールの一回路実装例の模式図である。
図5】一部の実施形態に従った、センサフェイルセーフティに基づく装置による通信信号の送信のためのプロセスフロー図である。
図6】様々な実施形態に従った、図1−4の装置として構成されるのに適した一コンピューティング装置例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、例えばモバイル装置又はウェアラブル装置などの装置の通信信号送信に関する技術及び構成を含む。実施形態によれば、装置は、第1のパワーレベルで当該装置の通信信号を送信する送信器と、当該装置の外部のプロセスをモニタし、該プロセスの状態の変化を指し示す出力信号を提供するセンサと、センサ及び送信器と通信可能に結合された制御モジュールとを有し得る。制御モジュールは、センサによって提供された出力信号が閾期間の間に外部プロセスの変化を指し示したかを決定するように構成され得る。この決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、制御モジュールは、送信器に、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えさせ得る。
【0008】
以下の詳細な説明では、その一部を形成する添付の図面を参照する。図面においては、全体を通して同様の部分は似通った参照符号で指し示され、また、本開示に係る事項が実施され得る実施形態が例として示される。理解されるべきことには、他の実施形態が使用されてもよく、構造的又は論理的な変更が、本開示の範囲を逸脱することなく為され得る。故に、以下の詳細な説明は、限定的な意味でとられるべきでなく、実施形態の範囲は、添付の請求項とその均等範囲によって定められる。
【0009】
本開示の目的では、“A及び/又はB”なる言い回しは、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味する。本開示の目的では、フレーズ“A、B、及び/又はC”は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B及びC)を意味する。
【0010】
本明細書は、例えば、頂部/底部、内/外、上/下、及びこれらに類するものなど、視点に基づく記述を使用することがある。そのような記述は、単に説明を容易にするために使用されるものであり、ここに記載される実施形態の適用を特定の向きに限定することを意図するものではない。
【0011】
本明細書は、“一実施形態において”又は“実施形態において”なる言い回しを使用することがあるが、これらは各々、同じ又は異なる実施形態の1つ以上を指すものであるとし得る。また、“有する”、“含む”、“持つ”、及びこれらに類する用語は、本開示の実施形態に関して使用されるとき、同義語である。
【0012】
用語“結合される”、及びその派生語が、ここで使用されることがある。“結合される”は、2つ以上の要素が直接的に、物理的、電気的、又は光学的に接触していることを意味し得る。しかしながら、“結合される”はまた、2つ以上の要素が、なおも互いに協働あるいは相互作用しながら互いに間接的にコンタクトをとることを意味することもあり、また、互いに結合されると言われる要素間に1つ以上のその他の要素が結合又は接続されることを意味することもある。用語“直接的に結合される”は、2つ以上の要素が直接的に接触していることを意味し得る。
【0013】
図1は、一部の実施形態に従った、本開示の教示と組み合わされた一装置例100を示すブロック図である。装置100は、モバイル装置(例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、1in2コンピューティング装置、及びこれらに類するもの)、又は、ユーザの身体の機能及びユーザの活動に関連する測定を行うためにユーザの身体に取り付け可能であるように構成されたウェアラブル装置を有し得る。
【0014】
装置100は、1つ以上の(例えば、複数の)センサ104、106を含み得る。センサ104、106は、装置100の外部のプロセスをモニタし、プロセスの状態の変化を指し示す出力信号を提供するように構成され得る。例えば、一部の実施形態において、例えば、装置100がウェアラブル装置を有する場合、センサ104、106は、例えば様々なユーザ身体機能などの外部プロセスに関係する読み取りを提供し得る。より具体的には、センサ104、106は、以下に限られないが、筋電図(EMG)センサ、温度センサ、汗化学センサ、モーションセンサ、光フォトダイオード、心電図(ECG)電極、電気皮膚反応(GSR)センサ、圧電結晶、圧力センサ、又はこれらに類するものを含み得る。
【0015】
一部の実施形態において、例えば、装置100がモバイル装置を有する場合、センサ104、106のうちの1つは、装置100に対する例えばヒト組織といった物体の存在などの外部プロセスをモニタして、安全でないと規制機関によって指令され得る距離以内のヒト組織の存在を検出するように構成された近接センサとし得る。
【0016】
なお、センサ104、106は、図1では単に例示のために示されており、装置100の実相を限定するものではない。理解されるように、如何なる個数又はタイプのセンサが装置100で使用されてもよい。
【0017】
一部の実施形態において、装置100は、プロセッサ112と、プロセッサ112上で実行されるときにプロセッサ112に装置100のタスク(そのうちの一部が、図5を参照して後述される)を実行させ得る命令を有するメモリ114と、を有する処理ユニット110を含み得る。装置100は、装置100への、より一般的には装置100のコンポーネントへの、電力供給を提供するように構成されたバッテリー116を含み得る。
【0018】
装置100は、装置100によって提供される通信信号を、例えば外部装置120(例えば、モバイル装置又は静止コンピューティング装置)などの異なる宛先に送信する送信器118を含み得る。送信器118は、パワーアンプ124及びアンテナ126など、所望のパワーレベルで通信信号送信を提供するように構成された回路を含み得る。実施形態において、通信信号は、例えば、センサ読み取りを処理することから得られたデータ、又は装置100によって通信されるべき他のタイプのデータを含み得る。装置100の通信信号は、無線周波数(RF)通信信号を有し得る。
【0019】
装置100は、装置100が機能することのために必要なその他コンポーネント122を含み得る。例えば、その他コンポーネント122は、装置100が、1つ以上の有線若しくは無線ネットワーク上で、且つ/或いは例えば外部装置120などの他の好適デバイスと、通信することを可能にする(1つ以上の)通信インタフェースを含み得る。その他コンポーネント122は更に、送信器118による検知信号の送信前に、例えばノイズ除去、特徴抽出、分類、データ圧縮、及びこれらに類するものなどの信号前処理を実行するように構成され得る。
【0020】
所望のパワーレベルでの信号通信を可能にするため、装置100は、センサ104及び106並びに送信器118と通信可能に結合された制御モジュール130を含むことができ、制御モジュール130は、増幅器124によってアンテナ126に提供される通信信号のパワーを制御するように構成され得る。制御モジュール130は、ハードウェア実装若しくはソフトウェア実装、又はこれらの組み合わせを有し得る。制御モジュール130は、センサ104、106によって提供された出力信号が閾期間の間に外部プロセスの変化を指し示したかを決定し、そして、この決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、送信器118に、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えさせるように構成され得る。
【0021】
一部の実施形態において、第2のパワーレベルは、通信信号送信に関連する電波への連続曝露に起因した、装置100のユーザ134の身体傷害のリスクを低減又は排除するために、例えば、モバイル装置に関して政府規制機関(例えば、FCC又はCE)によって指令されている出力信号パワー範囲内といった、健康に安全なものとし得る。例えば、センサ104(又は106)は、装置100に対するヒト組織の近接を検出するように構成された近接センサとし得る。センサ104が、閾距離よりも小さく装置100に近接したヒト組織の存在を検出した場合、センサ104は、そのようなイベントの検出を指し示す出力信号(又は出力信号の変化)を提供し得る。制御モジュール130は、装置に対するヒト組織の存在の検出を指し示す出力信号をセンサ104から受信して、パワーアンプ124を完全にオフにするように、又はパワーアンプ124に信号送信を安全なパワーレベル(例えば、装置100に関して規制機関によって指令されるレベル)に切り換えさせるように、送信器118を制御し得る。
【0022】
制御モジュール130は更に、ここに記載されるセンサフェイルセーフティ技術を用いた、送信器118による通信信号送信、を可能にするように構成され得る。例えば、センサ104に欠陥がある場合、該センサは、装置に対して危険な近さにあるヒト組織の存在を検出しなかったり、又は検出した存在を出力信号にて報告しなかったりすることがある。制御モジュール130は、センサ104によって提供された出力信号が閾期間の間に外部プロセスの変化を指し示したかを決定するように構成され得る。センサ104からの出力信号が閾期間の間にプロセスの変化(例えば、近接イベント)を指し示さなかった場合、センサ104に欠陥があると推測され得る。従って、制御モジュール130は、パワーアンプ124を完全にオフにするように、又はパワーアンプ124に信号送信を安全なパワーレベルに切り換えさせるように、送信器118を制御し得る。
【0023】
他の一例において、周期的又は連続的な周囲温度又は体温の測定が、例えばウェアラブル装置といった装置100に付随するセンサによって行われ得る。一部の用途では、温度の周期的な変化が予期され得る。そのような用途の一例は、特定の温度プロファイルを走り抜ける集積回路のバーンインチャンバとし得る。別の一例は、体温が変化する(例えば、ユーザの活動時間に対応する日中温度から、ユーザの睡眠時間に対応する夜間温度に)ことが予期されるものであるウェアラブル装置又はモバイル装置を用いた体温測定とし得る。温度センサが故障した場合、該センサは、特定の用途での平均温度変化期間よりも長いものとし得る閾期間にわたって、その出力信号で温度変化を報告し得ないことがある。従って、温度センサに欠陥があると推測され得る。装置100による信号送信が温度読み取りの提供に関係付けられる場合、制御モジュール130は、信号送信を完全にオフにするように又は信号送信をより低いパワーレベルに切り換えるように送信器118を制御して、バッテリー116の電力を節約し得る。
【0024】
一般に、その間にセンサが測定プロセスの変化を検出しなかった(これは、センサに欠陥があることを指し示すことがある)とし得る閾期間は、装置タイプ、使用方法、ユーザの好み、特定の市場セグメント、及びその他要因に応じて異なり得る。閾期間は、特定の期間にわたる装置100又は一群の同様の装置の典型的な使用の統計分析を用いて決定され得る。例えば、装置100(例えば、モバイル装置又はウェアラブル装置)の使用履歴を有する情報が収集されて分析され得る。そのような情報は、所与のタイプの装置がアイドル又はスリープモード(例えば、使用中でない)にとどまっていた期間と、これらの装置の積極的使用期間とについての、或る期間(例えば、一月、一年、又はこれらに類するもの)にわたって収集された統計データを含み得る。そのような情報は更に、特定のタイプの装置における正常センサに対する欠陥センサの比率についての、或る期間にわたって収集された統計データを含み得る。収集された情報に基づいて、装置内の欠陥センサの存在についての最も高い確率に対応する閾期間が決定され得る。閾期間の決定は更に、例えば、所与の市場セグメント、装置タイプ、ユーザグループ、若しくはこれらの組み合わせ、及び/又は他の要因に基づいてもよい。
【0025】
健康に安全なパワーレベルでの信号送信又は電力節減に関する上述の技術は、ユーザの身体運動、汗、周辺光、心電図(ECG)、圧力(例えば、大気圧又は足圧)、及びこれらに類するものを測定するセンサを備えたウェアラブル装置又はモバイル装置に提供され得る。
【0026】
一部の実施形態において、装置100は、2つ以上のセンサ、例えば、上述のセンサ104、106などの複数のセンサを含み得る。装置100に付随するこれら複数のセンサは、同じ外部プロセスをモニタして、該プロセスの状態の変化を指し示すそれぞれの出力信号を提供するように構成され得る。制御モジュール130は、少なくとも閾期間にわたってセンサ104、106からの出力信号をポーリングし、該ポーリングの結果に少なくとも部分的に基づいてセンサ104、106のそれぞれの状態を決定し得る。
【0027】
例えば、装置100は3つの近接センサを含み得る。これらの近接センサのうちの1つが故障した場合、残りの2つのセンサが依然として、同じ読み取りに対応する同じ出力信号を与え得るとともに、故障した1つのセンサは異なる出力信号を与え得る。この場合、“多数派”の読み取りに基づいて、3つのうちの少なくとも1つのセンサが故障しており、他の2つのセンサはが正しい読み取りを提供していると推測され得る。3つのセンサの全てが閾期間にわたって同じ出力信号を与える場合、“多数派”の読み取りに基づいて、それらのセンサは正しい読み取りを提供していて欠陥がない、又は3つのセンサ全てに欠陥があると推測され得る。3つのセンサの全てが異なる出力信号を提供している場合、3つのセンサの全てが故障している、又は少なくとも2つのセンサが故障している、の何れかであると推定され得る。従って、特定の用途に応じて、制御モジュール130は、上述のように、信号送信をオフにするように、又は信号送信をより低い(たとえば安全な)パワーレベルに切り換えるように、送信器118を制御し得る。
【0028】
制御モジュール130によって可能にされるセンサフェイルセーフティに基づく装置100の信号送信の数値例を以下に提示する。装置100(例えば、モバイル装置)における近接センサ104の故障の可能性が0.5であると仮定する。さらに、近接センサ104が故障するたびに、結果として生じる故障が、50%の確率で、パワーアンプ124が安全でないパワーレベルを提供することを引き起こし得ると仮定する。制御モジュール130によって提供されるフェイルセーフ信号送信なしでの、装置100の機能的にフェイルセーフでない動作の可能性は、0.5×50%=0.5×0.5=0.25=25%になり得る。
【0029】
制御モジュール130によって可能にされるフェイルセーフセンサロジックを有する装置100の故障確率にも同じ数字が当てはまると仮定する。近接センサ104の状態をモニタするのに使用される制御モジュール130(デジタルロジック回路又はソフトウェアアプリケーションとして実装される)について、0.01の故障率であるとする。このような仮定は公正であると思われる。何故なら、デジタルロジック又はソフトウェアの実装は、例えば一桁の大きさだけ、センサよりも頑強(例えば、フェイルセーフ)である傾向にあるからである。さらに、制御モジュール130が、50%の確率で、機能的に安全でない状態で故障すると仮定する。
【0030】
制御モジュール130を有する装置100のフェイルセーフでない動作の実効的な可能性は、機能的に安全でない状態の近接センサとは無関係に制御モジュール130が故障する可能性+制御モジュール130が安全な状態で故障するが、機能的に安全でない状態での近接センサ故障と結びつけられる可能性として計算されることができ、これは、0.01×0.50+0.01×0.50×0.25=0.625%に等しい。ここで、0.01は、近接センサ状態をモニタするのに使用されるデジタルロジック回路に起因し得る故障率である。デジタルロジックは近接センサよりも遥かに頑強である傾向にあるため、これは公正な仮定である。
【0031】
従って、モバイル装置又はウェアラブル装置のフェイルセーフでない動作の可能性は、従来装置での25%から、上述の制御モジュール130を有する装置100での1%未満(例えば、0.625%)へと減少し得る。換言すれば、装置100の機能的フェイルセーフティにおける約25倍の改善が達成され得る。
【0032】
図2は、一部の実施形態に従った、センサフェイルセーフティに基づく装置の通信信号送信を提供するように構成された回路の一実装例の模式図である。より具体的には、図2の模式図は、図1の装置100の少なくとも部分的な実装の一例を有する一装置例200を示している。単純化の目的で、図1及び2の同様の要素に、似通った参照符号を付すことがある。
【0033】
図示されるように、装置200は、例えば固体に対して感度を有し得る近接センサなどのセンサ104を、例えば制御モジュール130などの、センサ状態をモニタするロジック回路と結合して含み得る。近接センサ104は、例えば近接センササービス要求(PS_serv_req)などの出力信号を提供することができ、該出力信号が制御モジュール130に入力され得る。PS_serve_req信号は、センサ104の状態を指し示し得る。センサ104の正常な状態は、PS_serve_req信号の状態(例えば、論理ハイ又は論理ロー)によって指し示され得る。信号状態が、上述の閾期間よりも短い或る期間にわたって同じままである場合、制御モジュール130は、sensor_OKなる信号をAND論理ゲート202に提供し得る。AND論理ゲート202へのもう1つの入力信号は、PA_enable制御信号とし得る。
【0034】
実施形態において、PA_enable制御信号は、PS_serv_reqの関数とし得る。例えば、近接センサ104が稼働状態にある場合、信号sensor_OKは論理ハイであるとし得る。ヒト組織が近接センサ104に近づくとき、センサ104は近接イベントを検出して、PS_serv_req信号を発し得る。近接イベントは、装置200に対して安全でない距離にあるヒト組織の存在とし得る。PS_serv_req信号のアクティブ状態は、装置200の送信器(全体として図示されていない)のパワーアンプ124を停止(ディセーブル)させるために必要とされ得る。従って、AND論理ゲート202の入力におけるPA_enable制御信号は、PS_serv_req信号の逆関数とし得る。
【0035】
閾値よりも短い期間にわたってセンサ104による近接イベントの検出がない場合、制御モジュール130は、PA_enable信号をパワーアンプ124に渡すことを可能にするために、sensor_OK信号を発し得る。PA_enable信号が、パワーアンプ124によって入力通信信号P_inが増幅されることを制御することで、送信のためにアンテナ126に送られ得る出力信号PA_outが生成され得る。
【0036】
例えば、PS_serve_reqの論理ハイ状態から論理ロー状態への変化(又はその逆)は、センサ104による近接イベントの検出を指し示し得る。この制御モジュール130は、信号sensor_OKをAND論理ゲート202に送ることができ、次いでそれにより、PA_enable信号をゲートし得る。閾値よりも長い期間にわたって近接イベントが検出されなかった場合、sensor_OK信号は、PA_enable信号がパワーアンプ124に渡ること及びアンテナ126へのPA_out信号の提供を可能にすることをゲートし得る。閾期間は、例えば、図2に示されるような信号System Clkによるシステムクロックを用いて、制御モジュール130によってカウントされ得る。
【0037】
PA_enable信号は、アンテナ126を通じて送信される前にパワーアンプ124によってRF通信信号に加えられ得るパワー利得を制御し得る。図2に示される例では、PA_enable信号は、ゲートされる場合に、パワーアンプ124をシャットオフし得る。
【0038】
一部の実施形態において、PA_enable信号は、入力信号PA_inに対するパワーアンプの複数(例えば、少なくとも2つ)の異なる利得のうちの1つの選択を可能にする2入力マルチプレクサの選択ラインとして機能し得る。これらの利得は、ここに記載されるセンサフェイルセーフティ技術に基づいて制御モジュール130がそれを制御するように構成され得る対象であるRF通信信号の、異なる(例えば、第1及び第2の)パワーレベルに対応し得る。
【0039】
図3は、一部の実施形態に従った、装置による信号送信のための複数(少なくとも2つ)のパワーレベルを提供するように構成された、図1及び2の装置のパワーアンプの一実装例の模式図である。図示されるように、パワーアンプ例300は、高利得(第1のパワーレベルP1)を提供するように構成された増幅器302と、低利得(第1のパワーレベルP1よりも低い第2のパワーレベルP2)を提供するように構成された増幅器304とを含み得る。増幅器入力信号PA_inが、図示のように増幅器302及び304に提供され得る。それぞれの出力信号P1及びP2が、図2を参照して説明したPA_enable信号によって制御されるマルチプレクサ306に提供され得る。PA_enable=1(論理ハイ)のとき、高利得増幅器302の出力P1が選択されて増幅器出力PA_outで利用可能になり得る。PA_enable=0(論理ロー)のときには、低利得増幅器304の出力P2が選択されてPA_outで利用可能になり得る。
【0040】
図4は、一部の実施形態に従った、図1及び2の装置の制御モジュールの一回路実装例400の模式図である。図示されるように、回路実装400は、図2を参照して説明した信号System Clk及びPS_serv_reqが入力され得るカウンタ402を含み得る。カウンタ402は、その間に信号PS_serv_reqが変化していない期間Tカウンタを提供し得る。閾カウント(例えば、閾期間データ値T閾値)は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ)404にて記憶され得る。カウンタ期間値Tカウンタ及び閾値カウント値T閾値は、Tカウンタ値が閾値T閾値に達するまで、図2を参照して説明したようにAND論理ゲート202へのsensor_OK信号を生成する比較器406に入力され得る。Tカウンタ値が閾値T閾値に達した後、比較器406は、sensor_OK信号をキャンセルし、図2を参照して説明したようにパワーアンプ124の出力を制御するPA_enable信号を効果的にシャットオフする。
【0041】
図5は、一部の実施形態に従った、センサフェイルセーフティに基づく装置による通信信号の送信のためのプロセスフロー図である。プロセス500は、図1−4を参照して説明した装置実施形態の一部に適合し得る。これに代わる実施形態では、プロセス500は、より多数又は少数の処理を用いて実施されてもよいし、異なる順序の処理で実施されてもよい。実施形態において、このプロセスは、図1の制御モジュール130として実装され得る。
【0042】
プロセス500は、ブロック502にて開始し、通信信号を送信する送信器と、装置の外部のプロセスをモニタするセンサとを含む装置の制御モジュールによって、センサによって提供された出力信号を受信することを含み得る。上記装置は、RF通信信号を含み得る通信信号を送信するように構成され得る。
【0043】
ブロック504にて、プロセス500は、センサによって提供された出力信号が閾期間の間に外部プロセスの変化を指し示したかを決定することを含み得る。閾期間は、例えばモバイル装置又はウェアラブル装置などの装置の使用履歴を有する情報に基づいて決定され得る。
【0044】
ブロック506にて、プロセス500は、制御モジュールによって、上記決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えさせることを含むことができ、これは、センサによって提供された出力信号が閾期間の間に外部プロセスの変化を指し示さなかったことを決定することを含み得る。通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えさせることは、送信器のパワーアンプを停止させること、又は該パワーアンプを起動して通信信号を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと変換することを含み得る。第2のパワーレベルは、モバイル装置に関してFCC又はCEなどの政府規制期間によって指令される出力信号パワー範囲内とし得る。
【0045】
図6は、様々な実施形態に従った、図1−4の装置として構成されるのに適した一コンピューティング装置例600である。一部の実施形態において、コンピューティング装置例600の様々なコンポーネントを使用して、装置100を構成し得る。一部の実施形態において、コンピューティング装置例600の様々なコンポーネントを使用して、外部装置120を構成し得る。
【0046】
図示されるように、コンピューティング装置600は、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサコア602と、システムメモリ604とを含み得る。請求項を含めて本出願の目的では、用語“プロセッサ”及び“プロセッサコア”は、文脈が明らかに別のことを要求していない限り、同義と見なされ得る。プロセッサ602は、例えば中央演算処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、及びこれらに類するものなど、如何なるタイプのプロセッサを含んでいてもよい。プロセッサ602は、例えばマルチコアマイクロプロセッサなど、複数のコアを持つ集積回路として実装されてもよい。コンピューティング装置600は、大容量ストレージデバイス606(例えば、ソリッドステートドライブ、揮発性メモリ(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など))を含み得る。一般に、システムメモリ604及び/又は大容量ストレージデバイス606は、以下に限られないが、揮発性及び不揮発性のメモリや、光、磁気、及び/又は半導体の大容量ストレージなどを含め、如何なるタイプの一時的及び/又は永続的なストレージともし得る大容量ストレージデバイスを含み得る。揮発性メモリは、以下に限られないが、スタティックランダムアクセスメモリ及び/又はダイナミックランダムアクセスメモリを含み得る。不揮発性メモリは、以下に限られないが、電気的消去プログラム可能な読み出し専用メモリ、相変化メモリ、及び抵抗変化メモリなどを含み得る。システムメモリ604及び/又は大容量ストレージデバイス606は、装置100に関係する処理を実行するように構成されたプログラム命令のそれぞれのコピー(例えば、集合的に計算ロジック622として表記)を含み得る。
【0047】
コンピューティング装置600は更に、入力/出力(I/O)装置608(例えば、ディスプレイ、ソフトキーボード、タッチ検知式スクリーン、画像キャプチャ装置など)と、通信インタフェース610(例えば、ネットワークインタフェースカード、モデム、赤外線受信器、無線受信器(例えば、近距離無線通信(NFC)、Bluetooth(登録商標)、WiFi、4G/6Gロングターム・エボリューション(LTE)など)とを含み得る。
【0048】
通信インタフェース610は、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーション(GSM(登録商標))、ジェネラル・パケット・ラジオ・サービス(GPRS)、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)、ハイ・スピード・パケット・アクセス(HSPA)、エボルブドHSPA(E−HSPA)、又はロングターム・エボリューション(LTE)ネットワークに従って装置600を動作させるように構成され得る通信チップ(図示せず)を含み得る。通信チップはまた、エンハンスト・データレート・フォー・GSM(登録商標)エボリューション(EDGE)、GSM(登録商標) EDGEラジオ・アクセス・ネットワーク(GERAN)、ユニバーサル・テレストリアル・ラジオ・アクセス・ネットワーク(UTRAN)、又はエボルブドUTRAN(E−UTRAN)に従って動作するように構成されてもよい。通信チップは、符号分割多重アクセス(CDMA)、時分割多重アクセス(TDMA)、デジタル・エンハンスト・コードレス・テレコミュニケーションズ(DECT)、エボリューション・データ・オプティマイズド(EV−DO)、これらの派生形、並びに、3G、4G、5G及びそれ以降として指定されるその他の無線プロトコルに従って動作するように構成されてもよい。通信インタフェース610は、他の実施形態において、その他の無線プロトコルに従って動作してもよい。
【0049】
実施形態において、コンピューティング装置600は装置100を有し得る。例えば、コンピューティング装置は、センサ104及び106と、通信インタフェース610に結合された送信器118とを含み得る。一部の実施形態において、装置100は、ここに記載されるコンピューティング装置600として実装される外部装置120と通信可能に結合され得る。
【0050】
上述のコンピューティング装置600の要素は、1つ以上のバスを表し得るものであるシステムバス612を介して互いに結合され得る。複数のバスの場合、それらは1つ以上のバスブリッジ(図示せず)によってブリッジされ得る。これらの要素の各々は、技術的に知られている従来機能を実行し得る。特に、システムメモリ604及び大容量ストレージデバイス606は、例えば図1の制御モジュール130などの、装置100に関連する処理を実装するプログラム命令の作業コピー及び永続コピーを格納するために使用され得る。これら様々な要素は、(1つ以上の)プロセッサ602によってサポートされるアセンブラ命令、又はそのような命令へとコンパイルされ得る高水準言語によって実装され得る。
【0051】
計算ロジック622のプログラム命令の永続コピーは、工場内で、又は例えばコンパクトディスク(CD)などの配布媒体(図示せず)を介して若しくは(配信サーバ(図示せず)から)通信インタフェース610を介してなどで現場で、大容量ストレージデバイス606に置かれ得る。すなわち、エージェントプログラムを実装したものを有する1つ以上の配布媒体が使用して、エージェントを配布し得るとともに、様々なコンピューティング装置をプログラムし得る。
【0052】
要素608、610、612の数、能力、及び/又は容量は、コンピューティング装置600が、例えばセットトップボックス若しくはデスクトップコンピュータなどの静止コンピューティング装置として使用されるのか、あるいは、例えばタブレットコンピューティング装置、ラップトップコンピュータ、ゲームコンソール、若しくはスマートフォンなどのモバイルコンピューティング装置として使用されるのかに応じて異なり得る。それらの構成はその他のところで知られており、従って更には説明しないこととする。
【0053】
複数のプロセッサ602のうちの少なくとも1つが、図1−4を参照して説明した実施形態の態様を実施するように構成された計算ロジック622を有するメモリと共にパッケージングされてもよい。一実施形態において、複数のプロセッサ602のうちの少なくとも1つが、図5のプロセス500の態様を実施するように構成された計算ロジック622を有するメモリと共に、システム・イン・パッケージ(SiP)又はシステム・オン・チップ(SoC)を形成するようにパッケージングされてもよい。少なくとも1つの実施形態において、SoCは例えば、これに限られないが、例えば図1の外部装置120などのコンピューティング装置で利用され得る。他の一実施形態において、SoCは、図1の装置100を形成するように利用されてもよい。
【0054】
様々な実装例において、コンピューティング装置600は、ラップトップ、ネットブック、ノートブック、ウルトラブック、スマートフォン、タブレット、ウルトラモバイルPC、携帯電話、又はウェアラブル装置を有し得る。更なる実装例において、コンピューティング装置600は、データを処理するその他の如何なる電子装置であってもよい。
【0055】
例1は、フェイルセーフ特性を有する信号送信装置であって、少なくとも第1のパワーレベルで当該装置の通信信号を送信する送信器と、当該装置の外部のプロセスをモニタし、該プロセスの状態の変化を指し示す出力信号を提供するセンサと、前記センサ及び前記送信器と通信可能に結合され、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定し、前記決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、前記送信器に、前記通信信号の前記送信を、前記第1のパワーレベルから、前記第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えさせる制御モジュールと、を有する装置である。
【0056】
例2は、前記センサは近接センサであり、前記センサは、当該装置に対するヒト組織の近接を検出し、前記出力信号は、当該装置に対する前記ヒト組織の、閾距離よりも小さい近接を指し示す、例1の事項を含み得る。
【0057】
例3は、前記センサは、心拍センサ、温度センサ、又は位置センサのうちの1つから選択され、前記センサがプロセスをモニタすることは、当該装置のユーザの生理学的状態をモニタすることを含む、例1の事項を含み得る。
【0058】
例4は、前記通信信号は無線周波数(RF)通信信号を有し、前記第2のパワーレベルは、モバイル装置に関して政府規制機関によって指令される出力信号パワー範囲内にある、例1の事項を含み得る。
【0059】
例5は、前記送信器は、前記RF通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換するパワーアンプを含む、例4の事項を含み得る。
【0060】
例6は、前記制御モジュールは、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったとの決定に応答して前記パワーアンプを停止させる又は前記パワーアンプに前記RF通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換させるロジックを有する回路を有する、例5の事項を含み得る。
【0061】
例7は、前記回路は、前記閾期間内に前記センサが前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったことを決定するためのクロックカウンタを含む、例6の事項を含み得る。
【0062】
例8は、当該装置は、モバイル装置又はウェアラブル装置のうちの1つから選択され、前記閾期間は、それぞれ、モバイル装置又はウェアラブル装置の使用の履歴を有する情報に基づいて決定される、例7の事項を含み得る。
【0063】
例9は、前記制御モジュールは、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかの前記決定の結果に基づいて、前記センサの状態を決定する、例1の事項を含み得る。
【0064】
例10は、前記センサは、前記プロセスの状態の変化を検出し、前記プロセスの状態の前記変化は、所定の変化閾値を上回る前記プロセスのモニタされたパラメータにおける差を含む、例9の事項を含み得る。
【0065】
例11は、前記制御モジュールは、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったとの前記決定に応答して前記センサの状態が故障状態であると決定する、例9の事項を含み得る。
【0066】
例12は、当該装置は更に、前記外部のプロセスをモニタして前記プロセスの状態の変化を指し示す別の出力信号を提供する少なくとも1つの別のセンサを有し、前記制御モジュールは、少なくとも前記閾期間にわたって前記出力信号及び前記別の出力信号をポーリングして、前記ポーリングの結果に少なくとも部分的に基づいて前記センサ及び前記別のセンサの状態を決定する、例9の事項を含み得る。
【0067】
例13は、フェイルセーフ通信方法であって、通信信号を送信する送信器と、装置の外部のプロセスをモニタするセンサとを含む前記装置の制御モジュールにて、前記センサによって提供された出力信号を受信することと、前記制御モジュールによって、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定することと、前記制御モジュールにて受信した前記出力信号に少なくとも部分的に基づいて、制御モジュールによって、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えることと、を有する方法である。
【0068】
例14は、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えるようにすることは、前記送信器のパワーアンプを停止させること、又は該パワーアンプを起動して前記通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換することを含む、例13の事項を含み得る。
【0069】
例15は、通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにすることは、前記制御モジュールによって、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったと決定することを含む、例14の事項を含み得る。
【0070】
例16は、通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにすることは、前記制御モジュールによって、モバイル装置に関して政府規制機関によって指令される出力信号パワー範囲内にある前記第2のパワーレベルでの前記通信信号の前記送信を開始することを含む、例14の事項を含み得る。
【0071】
例17は、センサフェイルセーフティに基づくコンピューティング装置の送信器による通信信号の送信のための命令を格納した1つ以上の非一時的なコンピューティング装置読み取り可能媒体であって、前記命令は、前記コンピューティング装置上での実行に応答して、前記コンピューティング装置に、前記コンピューティング装置の外部のプロセスをモニタするセンサによって提供された出力信号を受信することと、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定することと、前記決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、前記送信器に、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えさせることとを行わせる、非一時的なコンピューティング装置読み取り可能媒体である。
【0072】
例18は、前記送信器を起動して通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えることを前記コンピューティング装置に行わせる前記命令は更に、前記送信器のパワーアンプを停止させること、又は該パワーアンプに前記通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換させること、を前記コンピューティング装置に行わせる、例17の事項を含み得る。
【0073】
例19は、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定することを前記コンピューティング装置に行わせる前記命令は更に、前記出力信号が前記閾期間の間に第1のロジック状態から第2のロジック状態へと変化したかを決定すること、を前記コンピューティング装置に行わせる、例17の事項を含み得る。
【0074】
例20は、前記コンピューティング装置は、モバイル装置又はウェアラブル装置のうちの1つである、例17の事項を含み得る。
【0075】
例21は、センサフェイルセーフティに基づく通信信号の送信のための装置であって、当該装置の外部のプロセスをモニタするセンサによって提供された出力信号を受信する手段と、前記センサによって提供された前記出力信号が閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示したかを決定する手段と、前記決定の結果に少なくとも部分的に基づいて、当該装置の送信器による通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段と、を有する装置である。
【0076】
例22は、通信信号の送信を、第1のパワーレベルから、該第1のパワーレベルよりも低い第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段は、前記送信器のパワーアンプを停止させる手段、又は該パワーアンプを起動して前記通信信号を前記第1のパワーレベルから前記第2のパワーレベルへと変換する手段を含む、例21の事項を含み得る。
【0077】
例23は、通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段は、前記センサによって提供された前記出力信号が前記閾期間の間に前記外部のプロセスの変化を指し示さなかったと決定する手段を含む、例22の事項を含み得る。
【0078】
例24は、通信信号の送信を第1のパワーレベルから第2のパワーレベルへと切り換えるようにする手段は、モバイル装置に関して政府規制機関によって指令される出力信号パワー範囲内にある前記第2のパワーレベルでの前記通信信号の前記送信を開始する手段を含む、例22の事項を含み得る。
【0079】
例25は、当該装置は、モバイル装置又はウェアラブル装置のうちの1つである、例21の事項を含み得る。
【0080】
様々な処理が、特許請求に係る事項を理解するに際してとても役立つ手法にて、複数の別個の処理として順番に記載されている。しかしながら、記載の順序は、それらの処理が必ず順序依存であることを意味するように解されるべきでない。本開示の実施形態は、所望のように構成するのに適した如何なるハードウェア及び/又はソフトウェアを用いてシステムに実装されてもよい。
【0081】
ここでは説明目的で特定の実施形態を図示して説明してきたが、本開示の範囲を逸脱することなく、同じ目的を達成するように計算された多様な代替的且つ/或いは均等な実施形態又は実装が、図示して説明した実施形態の代わりに使用され得る。本出願は、ここで議論した実施形態の如何なる適応例又は変形例をもカバーするものである。故に、はっきりと意図されることには、ここに記載された実施形態は請求項及びそれに均等なものによって限定されるのみである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6