(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6724060
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】プレス成形機
(51)【国際特許分類】
B30B 15/00 20060101AFI20200706BHJP
B30B 15/28 20060101ALI20200706BHJP
B29C 33/02 20060101ALI20200706BHJP
B30B 15/34 20060101ALN20200706BHJP
B30B 7/02 20060101ALN20200706BHJP
【FI】
B30B15/00 C
B30B15/00 H
B30B15/28 M
B29C33/02
!B30B15/34 A
!B30B7/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-78116(P2018-78116)
(22)【出願日】2018年4月16日
(65)【公開番号】特開2019-181542(P2019-181542A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 友和
(72)【発明者】
【氏名】坂野 進一
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−000482(JP,A)
【文献】
特許第5642480(JP,B2)
【文献】
実開昭56−173578(JP,U)
【文献】
特開2017−135375(JP,A)
【文献】
特開2018−013278(JP,A)
【文献】
特開平09−277098(JP,A)
【文献】
特開平05−088261(JP,A)
【文献】
特開2006−334959(JP,A)
【文献】
特開2012−035317(JP,A)
【文献】
実開平01−175805(JP,U)
【文献】
実開平05−013696(JP,U)
【文献】
米国特許第05141586(US,A)
【文献】
米国特許第04521172(US,A)
【文献】
特開2017−110839(JP,A)
【文献】
特開昭61−108523(JP,A)
【文献】
特許第3897551(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00
B29C 33/02
B30B 15/28
B30B 7/02
B30B 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な扉部材が設けられた成形空間内の加熱・冷却される熱板または金型の間で成形品の加圧成形を行うプレス成形機において、
前記成形空間内のいずれかの部分または空間の温度を検出可能な温度センサと、
前記扉部材を施錠または開錠可能かつ施錠状態か開錠状態かを検出可能なロック機構とが備えられ、
成形品を搬入後、プレス成形機の昇温制御工程および加熱制御工程が行われた後、熱板または金型の冷却が行われる冷却工程では少なくとも前記温度センサの検出値を用いて前記扉部材の前記ロック機構による開錠が行われ、
その後に扉部材を開放して加圧成形された成形品の取出しが行われることを特徴とするプレス成形機。
【請求項2】
複数の熱板または金型にはそれぞれ熱板の温度を検出可能な温度センサが備えられ、
全ての熱板または金型の温度センサが所定の条件を満たした際に前記ロック機構の施錠または開錠を行うことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形機。
【請求項3】
前記扉部材の閉鎖状態または開放状態を検出する検出機構が備えられ、
前記扉部材の閉鎖状態が検出された際にしか、熱板または金型の加熱が行えないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレス成形機。
【請求項4】
型開きされた際の成形品の温度を検出可能な温度センサが備えられ、
前記温度センサが所定温度以下または所定の温度を下回った際に前記扉部材の開錠を行うことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形機。
【請求項5】
前記成形空間は真空ポンプにより真空状態を実現可能な真空チャンバであり、
前記真空チャンバの真空度を検出可能な真空センサが備えられ、
前記真空センサにより検出される真空チャンバの真空度の検出値と、前記温度センサの検出値とを用いて前記扉部材の開錠を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプレス成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な扉部材が設けられた成形空間内の
加熱・冷却される熱板または金型の間で成形品の
加圧成形を行う
プレス成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉可能な扉部材が設けられた成形空間内の加熱された熱板または金型の間で成形品の成形を行う成形機は、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1は、真空プレス成形機の例であり、温度検知手段の検知信号によりチャンバの開放口のシャッタの開閉を行ってチャンバ内の温度調整を行う。しかしながら特許文献1は、シャッタにはロック機構が設けられておらず、単に自動的にシャッタの開閉を行うものである。
【0003】
一方、開閉可能な扉部材が設けられた金型の間で成形を行う成形機において扉にロック機構が設けられたものとしては、特許文献2および特許文献3に記載されたものが知られている。特許文献2は、安全ドアを閉めた際に人為的に本体部に対して端子を嵌合することにより電子錠の施錠が行われるものである。また特許文献3は、フロントドアのロックを確認して型締機構を作動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録2556159号公報(請求項1、0007、
図3)
【特許文献2】特開平11−129311号公報(請求項1、0014、
図3)
【特許文献3】特開昭61−32731号公報(請求項1、第2頁右上欄、第1図、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記特許文献2および特許文献3の技術は、扉の施錠に関するものであるが、どういう条件の際に扉が開錠されて扉が開放されるか示されていない。従って操作者が判断ミス等により人為的に扉を開錠して扉を開放した場合、扉開放と同時、または扉開放後に熱板や金型に近接した作業を行う際に前記操作者に危険が及ぶ場合があった。また特に成形空間内または成形空間内の熱板や金型が加熱される成形機の場合は、成形空間内部(熱板や金型を含む)の温度を把握せずに扉を開放すると作業者に火傷の危険が及ぶ場合や工場内の環境を悪化させる場合があった。
【0006】
そこで本発明では、開閉可能な扉部材が設けられた成形空間内の
加熱・冷却される熱板または金型の間で
加圧成形を行う
プレス成形機において、操作者の安全確保または工場内の環境悪化を抑制のいずれかを行うことのできる
プレス成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の
プレス成形機は、開閉可能な扉部材が設けられた成形空間内の
加熱・冷却される熱板または金型の間で成形品の
加圧成形を行う
プレス成形機において、前記成形空間内のいずれかの部分または空間の温度を検出可能な温度センサと、前記扉部材を施錠または開錠可能
かつ施錠状態か開錠状態かを検出可能なロック機構とが備えられ、
成形品を搬入後、プレス成形機の昇温制御工程および加熱制御工程が行われた後、熱板または金型の冷却が行われる冷却工程では少なくとも前記温度センサの検出値を用いて前記扉部材の前記ロック機構による開錠が行われ、その後に扉部材を開放して加圧成形された成形品の取出しが行われることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に記載の成形機は、請求項1において、複数の熱板または金型にはそれぞれ熱板の温度を検出可能な温度センサが備えられ、全ての熱板または金型の温度センサが所定の条件を満たした際に前記ロック機構の施錠または開錠を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に記載の成形機は、請求項1または請求項2において、前記扉部材の閉鎖状態または開放状態を検出する検出機構が備えられ、前記扉部材の閉鎖状態が検出された際にしか、熱板または金型の加熱が行えないことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に記載の成形機は、請求項1において、型開きされた際の成形品の温度を検出可能な温度センサが備えられ、前記温度センサが所定温度以下または所定の温度を下回った際に前記扉部材の開錠を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に記載の成形機は、請求項1または請求項4のいずれか1項において、前記成形空間は真空ポンプにより真空状態を実現可能な真空チャンバであり、前記真空チャンバの真空度を検出可能な真空センサが備えられ、前記真空センサにより検出される真空チャンバの真空度の検出値と、前記温度センサの検出値とを用いて前記扉部材の開錠を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の
プレス成形機は、開閉可能な扉部材が設けられた成形空間内の
加熱・冷却される熱板または金型の間で成形品の
加圧成形を行う
プレス成形機において、前記成形空間内のいずれかの部分または空間の温度を検出可能な温度センサと、前記扉部材を施錠または開錠可能
かつ施錠状態か開錠状態かを検出可能なロック機構とが備えられ、
成形品を搬入後、プレス成形機の昇温制御工程および加熱制御工程が行われた後、熱板または金型の冷却が行われる冷却工程では少なくとも前記温度センサの検出値を用いて前記扉部材の前記ロック機構による開錠が行われ、その後に扉部材を開放して加圧成形された成形品の取出しが行われるので、操作者の安全確保または工場内の環境悪化を抑制のいずれかを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本実施形態のプレス成形機の制御方法を示すフローチャート図である。
【
図4】本実施形態のプレス成形機の制御方法を示すフローチャート図である。
【
図5】別の実施形態のプレス成形機の制御方法を示すフローチャート図である。
【
図6】更に別の実施形態のプレス成形機の制御方法を示すフローチャート図である。
【
図7】更に別の実施形態のプレス成形機の成形工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の開閉可能な扉部材が設けられた成形空間内の加熱された熱板または金型の間で成形品の成形を行う成形機の一種である本実施形態のプレス成形機11の概略について
図1、
図2を用いて説明する。成形機11は、上側の上盤12と下側の下盤13がタイバ14により接続されている。下盤13には圧締シリンダ15が取付けられ、圧締シリンダ15のラム15aは可動盤16の背面に固定されている。圧締シリンダ15は、ポンプや油圧バルブ等を含む作動油供給機構17(詳細は省略する)に接続され、前記作動油供給機構17から作動油が供給されて加圧が行われる。
【0015】
可動盤16の上面に固定される熱板18と、上盤12の下面に固定される熱板18の間には、3枚の中間の熱板18が配設されている。それぞれの熱板18は両面が平滑に形成された矩形の所定板厚の金属板であり、内部に熱媒(油または蒸気)と冷媒(油または水)が流通されるための屈曲した通路21が形成されている。複数設けられる熱板18の枚数は、本実施形態のプレス成形機11(多段式のホットプレス機)では5枚であるが、一例として2枚以上、30枚以下のものが想定される。
【0016】
また熱板18には、ポンプ、バルブ、ヒータ、クーラー等を含む熱媒・冷媒供給機構19(詳細は図示せず)から加熱用の熱媒(油または蒸気等)と冷却用の冷媒(油または水等)が供給可能となっている。熱媒・冷媒供給機構19から供給される熱媒および冷媒は、
図2に示される導入側管路20(分配用のマニホールドブロック等を含む)を経て各熱板18内の通路21に供給される。また各熱板18の通路21から排出される熱媒および冷媒は、排出側管路22(回収用のマニホールドブロック等を含む)を介して熱媒・冷媒供給機構19に還流される。なお熱板18を電気ヒータで直接加熱するタイプのプレス成形機については、熱媒の供給機構は不要であり冷媒の供給機構のみが設けられる。
【0017】
熱板18にはそれぞれ温度センサ23,23と温度センサ24が備えられている。本実施形態では、熱媒と冷媒が流通する各通路21の入口側と出口側に熱板18の温度コントロール用のサーモ―カップル23,23(温度センサ)が備えられ、サーモカップル23,23は熱媒・冷媒供給機構19の図示しない制御部に接続されている。またここでは各熱板18の温度を直接検出するサーモカップル24(温度センサ)が備えられ、サーモカップル24は後述する制御装置25の熱板温度入力部26に接続されている。
【0018】
安全扉34の施錠および開錠の制御に用いる熱板18の温度を検出するサーモカップル24(温度センサ)は、専用のものを設置せずに熱媒・冷媒供給機構19の制御に用いるためのサーモ―カップル23(温度センサ)を使用してもよい。また安全扉34の施錠および開錠の制御に用いる温度センサは、熱板18を含む成形空間A内のいずれかの部分または空間の温度を検出可能なものであればよい。具体的にはチャンバ27や上盤12または可動盤16などの部材の部分の温度を測定する温御センサや、成形空間Aの温度を検出するセンサ、成形品Pの部分の温度を検出するセンサ等であってもよく、それらの複数の組み合わせであってもよい。
【0019】
また前記プレス成形機11には、箱状のチャンバ27が設けられその内部は成形空間Aとなっている。そしてプレス成形機11の下盤13と上盤12の間に設けられる熱板18等は、チャンバ27内の成形空間Aに収容されている。チャンバ27内には管路28を通じて真空機構29の真空ポンプ30に接続されている。またチャンバ27には真空度を計測する真空センサ31が備えられ、真空センサ31の検出値は制御装置25の真空度制御部32に接続されている。なお本発明において真空機構29は、必須のものではなく大気状態や窒素ガス等の大気状態以外の雰囲気化の成形空間Aにおいてプレス成形を行うものでもよい。また本発明において真空とは、絶対真空を指すのではなく真空ポンプ30を用いて大気圧よりも減圧された状態を指す。
【0020】
チャンバ27の前面の開口部33にはプリント基板等の成形品Pの搬入・搬出を行う安全扉34(扉部材)が設けられている。チャンバ27の開口部33の上下には図示しないレールが設けられ、安全扉34は水平方向にスライド式に設けられている。本実施形態では安全扉34は機械的な開閉作動機構は設けられておらず、作業者が安全扉34の前面に取付けられた図示しない取っ手を掴んで操作することにより開閉される。そして安全扉34の裏面側には図示しないシール部材が取付けられ安全扉34を閉鎖した際にチャンバ27内の成形空間Aが密閉されるようになっている。なお安全扉34(扉部材)は、蝶番によりドアのように開閉されるものでもよい。また扉部材は、シリンダやモータ等のアクチュエータ(開閉作動機構)により機械的に開閉されるものでもよい。更に扉部材は、チャンバ27が分割されて内部が開放されるようなものでもよい。
【0021】
安全扉34には、熱板18の温度と連動して扉の施錠および開錠を行うインターロック機構37が組み込まれている。インターロック機構37は具体的には、チャンバ27の開口部33の周囲には安全扉の閉鎖状態または開放状態を検出する検出機構であるリミットスイッチ35(セーフティリミットスイッチ)が設けられている。そして安全扉34のカム等の検出部36にリミットスイッチ35のスイッチ部が接触状態または非接触状態のいずれかとなることにより安全扉34の開放と閉鎖を検出している。リミットスイッチ35は制御装置25の安全扉制御部47に接続されている。なお安全扉34の閉鎖状態または開放状態を検出する検出装置は前記リミットスイッチ35に限定されず、別の種類の検出装置であってもよい。
【0022】
更にインターロック機構37を構成するものとして、安全扉34の開口部33の周囲には、安全扉34の施錠または開錠可能なロック機構38が設けられている。そしてロック機構38は、制御装置25の安全扉制御部47に接続されている。本実施形態においてロック機構38は、電磁ロック式セーフティドアスイッチであり、制御装置25の安全扉制御部47に接続されている。電磁ロック式セーフティドアスイッチにはシャフト部39が設けられている。一方安全扉34には前記シャフト部39が挿入可能な挿入穴部40が設けられている。また電磁ロック式セーフティドアスイッチは、スプリングロック式の安全スイッチを使用しておりシャフト部39はスプリング48により常時前方に向けて付勢されている。そしてスイッチのソレノイド49が励磁されるとシャフト部39がスプリング48を押圧して後退し挿入孔部40から抜けて、安全扉34は開錠可能な状態となる。またスイッチが非励磁状態となるとシャフト部39が挿入穴部40に向けて挿入されて安全扉34は施錠される。また電磁ロック式セーフティドアスイッチは、前記シャフト部39が挿入穴部40に挿入されて施錠状態にあるか、挿入されておらず開錠状態にあるかもドアスイッチ自体により検出可能となっている。
【0023】
なお安全扉34のインターロック機構37は本実施形態に限定されない。ロック機構の駆動源は油圧や空気圧により作動されるシリンダを用いたものでもよい。また信号入力により開錠されるスプリングロック式のもの以外に、信号入力により施錠(ソレノイドロック)されるものでもよい。またロック機構によりロックされることによる通電時しか熱板18の加熱制御等が開始できない回路が組み込まれたインターロックスイッチでもよい。
【0024】
本実施形態のプレス成形機11では、扉部材である安全扉34はチャンバ27に1枚のみもうけられているが、複数枚の安全扉34が設けられたものでもよい。例えばプレス成形機11のチャンバ27に、プリント基板等の成形品Pの搬入または搬出をそれぞれ別に行う安全扉34を別々に設ける場合もある。またチャンバ27の側面や後面にメンテナンス用の安全扉34(扉部材)を設ける場合もある。これら複数の安全扉34を設けたプレス成形機11において、安全扉のインターロック機構は全ての安全扉34に取付けることが好ましいが、作業者が成形品Pの搬出に最も使用する安全扉34など、少なくとも一つの安全扉34にインターロック機構37を取付けてもよい。
【0025】
次にプレス成形機11の制御を行う制御装置25について
図1、
図2のブロック図により説明する。プレス成形機11の制御装置25は、熱板18が加熱・冷却されるプレス成形機11の場合、
図1等のように別置きに設置されることが多いが、プレス成形機11内に組み込まれたものでもよく、いくつかの制御装置に分割されているものでもよい。ブロック図に記載された制御装置25は、各機能を模式的に記載したものであり、実際の基板構成を表したものではない。
【0026】
制御装置25の演算部41は、記憶部42に接続され、記憶部42は各種設定条件が保存されている。ここでは一例として安全扉34の施錠または開錠を行う際に用いる熱板安全温度SVなどが保存されている。演算部41は入出力部43が接続され、入出力部43はタッチパネル等からなる設定表示装置44に接続されている。演算部41は加圧制御部45に接続され加圧制御部45は作動油供給機構17に接続されている。演算部は真空制御部に接続され、真空制御部は、真空機構に接続されている。演算部41は熱板温度制御部46に接続され、熱板温度制御部46は、熱媒・冷媒供給機構19に接続されている。また演算部41は熱板温度入力部26に接続され、熱板温度入力部26はサーモカップル24(熱板の温度センサ)に接続されている。
【0027】
次にプレス成形機11の作動、とりわけ安全扉34のインターロックについて
図3ないし
図6のフローチャート図および
図7のプレス成形の成形工程を示す図により説明する。プレス成形機11の制御開始に際しては設定表示装置44から熱板安全温度SVの設定が先に行われている。
図4のフローチャート図に示されるようにサーモカップル24により測定される熱板検出温度PVが熱板安全温度SV以下であれば(s1=Y)、安全扉制御部47から信号を送り、ロック機構38のソレノイド49が励磁されて安全扉34のロック(施錠)を解除する(s2)。(熱板18の冷却制御工程やプレス成形時以外において既に安全扉34のロックが解除された状態にあり、熱板検出温度PVが熱板安全温度SV以下であればその状態を保つ。)また熱板検出温度PVが熱板安全温度SVよりも高ければ、ロック機構38は安全扉34のロックを行う(s3)。(熱板18の
加熱制御工程および熱板18の冷却制御工程において既に安全扉34がロックされた状態にあり、熱板検出温度PVが熱板安全温度SVよりも高ければその状態を保つ。)
【0028】
なお複数の熱板18(
図1では5枚)にそれぞれ温度を検出可能なサーモ―カップル24(温度センサ)が備えられている場合は、原則として全ての熱板18または金型のサーモカップル24(温度センサ)が所定の条件(熱板安全温度SV≧熱板検出温度)を満たした際に前記ロック機構38の施錠または開錠を行うことが望ましい。また前記各例において、熱板検出温度PVが熱板安全温度SVよりも低い場合(熱板安全温度SV>熱板検出温度)に安全扉34のロック(施錠)を解除し、熱板検出温度PVが熱板安全温度SV以上の場合(熱板安全温度SV≧熱板検出温度)に安全扉34のロックを行うものでもよい。本発明ではこのように熱板安全温度SV以下か、熱板安全温度SVより低温になることにより安全扉34の開錠が行われ、その後でしか安全扉34の開放ができない。従って作業者が熱板18上のプリント基板等の成形品Pを取り出す際やメンテナンスのために熱板18に短時間触っても火傷をすることが防止される。なお上記において可動盤16の作動による熱板下降のタイミングは、安全扉34のインターロック解除前でも解除後でもよく、または安全扉34の開放後でもよい。
【0029】
次に
図4のフローチャート図により安全扉34の閉鎖と熱板18の加熱の関係について説明する。安全扉34が閉鎖されると検出手段であるリミットスイッチ35から閉鎖信号が制御装置25の安全扉制御部47に送られる。そして制御装置25において安全扉34の閉鎖が確認される(S4=Y)と、熱板温度制御部46から熱媒・冷媒供給機構19に熱板加熱ONの信号が送られ(s5)、熱板18の昇温制御工程が開始される。従って安全扉34の閉鎖が確認されてからしか熱板18の加熱が行われないので、前記同様、作業者が安全扉34の開放中に熱板18が昇温されてしまい短時間触っても火傷をするということが無い。
【0030】
次に
図5のフローチャート図により安全扉34の開放とプリント基板等の成形品Pの取出しが自動化された別の実施形態のプレス成形機の制御方法について説明する。
図1等のプレス成形機11の例では、安全扉34は作業者により開閉されるが、
図5の例では安全扉34は図示しない開閉作動機構により自動的に開閉される。安全扉34の開閉作動機構は制御装置25の安全扉制御部47により作動制御される。まず制御装置25の演算部41から安全扉開放指令が出される(s6)と、サーモカップル24により測定され熱板温度入力部26に入力された熱板検出温度PVと熱板安全温度SVの比較がなされる。そして熱板検出温度PVが熱板安全温度SV以下であれば(s7=Y)、安全扉制御部47からの信号によりインターロック機構37のロック機構38により安全扉34を開錠するとともに、開閉作動機構の安全扉開放バルブをONとし(s8)、その後に安全扉34が自動的に開かれる。そして図示しない搬入・搬出装置により成形品Pの搬出および搬入が行われる。なお上記した
図3、
図4のフローチャート図の制御も安全扉34の開閉作動機構を設け自動化されたプレス成形機11に使用可能である。
【0031】
次に
図6のフローチャート図と
図7のプレス成形機の成形工程を示す図により成形空間Aが真空チャンバであるプレス成形機11の安全扉開放について説明する。プレス制御においては圧締シリンダ15により熱板18が上昇され加圧開始されるとともに昇温制御工程と加熱制御工程が行われる。加熱制御工程開始後に所定時間が経過して冷却制御工程の開始時間になると(s9=Y)、熱板18の冷却制御工程が開始される(s10)。次に所定時間が経過して真空チャンバ大気開放時間になると(s11=Y)、真空チャンバの大気開放を行う(s12)。そして真空センサにより真空チャンバが大気圧になると(s13=Y)、サーモカップル24により測定され熱板温度入力部26に入力された熱板検出温度PVと熱板安全温度SVの比較がなされる(s14)。そして熱板検出温度PVが熱板安全温度SV以下であれば(s14=Y)、ロック機構38により安全扉34のロックを解除する(s15)。そして安全扉を開閉作動機構により開放する(s16)。ただし
図6、
図7の例については安全扉34を作業者が手動で開く場合についても有効である。また
図6、
図7の例については、真空チャンバが大気圧であることと熱板検出温度PVが熱板安全温度SV以下(または熱板安全温度SVよりも低温)であることのAND条件のインターロックさえ満たせば、その確認順序や熱板18の下降(型開)のタイミングなどはいずれの順序でよい。
【0032】
本発明のプレス成形機としては、平坦な熱板ではなく、一般的な2個の凸型と凹型からなる加熱金型(固定金型と可動金型)を用いたものでもよい。またプレス成形機により成形される成形品の種類も限定されない。そして本発明では上記したプレス成形機11の各実施形態やその変形例のそれぞれの機構部分や制御部分を適宜に組合せたものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。また本発明の成形機は、プレス成形機以外に射出成形機やダイカスト成形機であってもよい。または型上に成形材料を直接供給するスタンピング成形機、真空成形機、中空成形機、圧縮成形機などであってもよい。いずれの成形機についても熱板または金型の移動方向(型開閉方向)は縦方向でも横方向でもよい。またいずれの成形機についても成形空間は、完全に外界とシールにより隔絶されたものに限定されず、安全面の対策として外界と安全カバーと安全扉で離隔した大気圧の空間であってもよい。
【0034】
上記の各成形機において成形後の成形品の部分の温度を温度センサにより測定しその検出値を用いて、安全扉等の扉部材の開錠を行うものでもよい。具体的には特に手動成形や半自動成形など作業者が成形品を取り出す場合に好適に用いられ、型開された成形品の温度を非接触式等の温度センサにより測定する。そして成形品の温度が所定の温度以下または所定の温度を下回った際に、安全扉を開錠して開放可能とする。そのことにより作業者が安全扉を開けて成形品を手により取り出す際に、火傷を防止することができる。なおこの実施形態は、比較的高温で成形品の成形を行うプレス成形機、ダイカスト成形機、熱硬化性樹脂用の射出成形機などで好適に用いられる。
【符号の説明】
【0035】
11 プレス成形機(成形機)
18 熱板
19 熱媒・冷媒供給機構
24 サーモカップル(温度センサ)
25 制御装置
27 チャンバ
30 真空ポンプ
34 安全扉(扉部材)
35 リミットスイッチ(検出機構)
37 インターロック機構
38 ロック機構
A 成形空間
P 成形品