(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6724076
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/15 20190101AFI20200706BHJP
G02F 1/163 20060101ALI20200706BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20200706BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20200706BHJP
【FI】
G02F1/15 502
G02F1/15 507
G02F1/163
H02J50/10
H02J50/20
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-145159(P2018-145159)
(22)【出願日】2018年8月1日
(62)【分割の表示】特願2015-172962(P2015-172962)の分割
【原出願日】2010年12月17日
(65)【公開番号】特開2019-8302(P2019-8302A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】61/289,319
(32)【優先日】2009年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509335373
【氏名又は名称】ビュー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロズビッキ、ロバート
【審査官】
磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−502949(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2005−0089380(KR,A)
【文献】
特表2008−544730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15−1/19
H02J 50/10
H02J 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミックデバイスを有するエレクトロクロミックウィンドウと、
前記エレクトロクロミックウィンドウに対する電力を生成するよう構成された太陽光発電の電源と、
前記エレクトロクロミックデバイスに電力を配電するよう構成された電池であって、前記太陽光発電の電源は、前記電池を充電するよう構成される、前記電池とを備え、
前記エレクトロクロミックデバイスは、ウィンドウコントローラによって無線通信を用いて無色状態と暗くした状態との間で変化するように制御されるよう構成され、
前記ウィンドウコントローラと前記エレクトロクロミックデバイスとの間の前記無線通信は、ネットワークを介して実行され、
前記電池の前記充電は、前記ウィンドウコントローラによって制御される
システム。
【請求項2】
前記エレクトロクロミックウィンドウは、断熱ガラスユニットの形である
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記太陽光発電の電源は、前記断熱ガラスユニットの中または近傍にある
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記太陽光発電の電源は、前記エレクトロクロミックウィンドウ内にある
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
無線送電源から受け取った無線送電を電気エネルギーに変換するよう構成された受電部をさらに備える
請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記エレクトロクロミックデバイスに電力を配電するよう構成された電池を備え、
前記太陽光発電の電源および前記無線送電源の両方が前記電池に電力を配電するよう構成される
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記システムに電力を供給するための外部の配線を有さない
請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記無線送電源は、磁気誘導、無線周波数、マイクロ波エネルギー、またはレーザを利用して送電する
請求項5から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
1または複数のセンサをさらに備える
請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記1または複数のセンサは、動きセンサ、光センサ、熱センサ、および湿度センサのうちの1または複数を有する
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記エレクトロクロミックデバイスは、ガラス基板上に配置された固体且つ無機の積層材料を有する
請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記無線送電源は、送電ネットワークを利用して送電する
請求項5に記載のシステム。
【請求項13】
前記エレクトロクロミックウィンドウは、建築物の自動熱および/またはエネルギー管理システムの構成要素である
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記受電部は、前記ウィンドウコントローラの一部である
請求項5に記載のシステム。
【請求項15】
前記ウィンドウコントローラは、前記エレクトロクロミックデバイスに印加される電位を調整するよう構成されたマイクロプロセッサを有する
請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記マイクロプロセッサは、単独で、または、他のマイクロプロセッサと共に、電池の再充電または遠隔制御部との無線通信を制御する
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記遠隔制御部は、ハンドヘルドデバイスである、または、自動熱および/またはエネルギー管理システムである
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ウィンドウコントローラは、無線通信を介して受信した入力に応じて前記エレクトロクロミックデバイスを制御する
請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記入力は、建築物の自動エネルギー管理システムからのものである
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記エレクトロクロミックウィンドウは、前記自動エネルギー管理システムの構成要素である
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、無線送電技術で結合されるエレクトロクロミック(EC)デバイスに関する。本発明は具体的には、無線送電技術を用いて電力供給されるECウィンドウに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願]
本願は、米国仮特許出願第61/289,319号(出願日:2009年12月22日)の恩恵および当該仮出願に基づく優先権を主張する。当該仮出願の内容は全て、参照により本願に組み込まれる。
【0003】
エレクトロクロミズムは、電子状態が変化すると、通常は、電圧が変化すると、物質の光学特性が可逆的に電気化学的な原因によって変化する現象である。光学特性とは通常、色、透過率、吸収率および反射率のうち1以上である。公知のEC物質の1つに、例えば、酸化タングステン(WO3)がある。酸化タングステンは、電気化学的還元によって色が透明から青色に変化するカソードEC物質である。エレクトロクロミズムは1960年代に発見されたが、ECデバイスならびにECデバイスを備える装置およびシステムの商品化は完全には始まっていない。
【0004】
エレクトロクロミック物質は、例えば、窓に含められるとしてよい。従来のECウィンドウの欠点の1つに、利用する電力が、量は少ないものの、建物の電源までの有線接続が必要である点が挙げられる。これによって、建設業者が、例えば、大量の窓をオフィス向け建築物に設置する場合に問題が生じる。窓に必要な有線接続に対応しなければならないために、建設に際しては現代構造物を建築するために必要な膨大な品目のリストがあるにも関わらず、さらに課題を増やすことになってしまう。また、ECウィンドウは、現代建築物の高熱ゾーンの管理に関して素晴らしい解決策となるが、例えば、自動熱および/エネルギー管理システムによって制御される場合、有線接続された電源が必要となるECウィンドウは、自動エネルギー管理システムへの統合が難しくなる。このため、有線接続に関する設置コストおよび危険性の上昇によって、新しい建築物でのECウィンドウの採用の動きは鈍く、改修の場合には新しく設置するECウィンドウのために配線設備も設置しなければならなくなるので、改修の際に利用されないことが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線送電技術によって電力供給を受けるエレクトロクロミックデバイス、特に、ECウィンドウを説明する。本発明の一の側面は、欠陥が少なく高信頼性のECウィンドウであって、無線送電が可能なECウィンドウである。
【0006】
無線で電力供給されるECウィンドウを実現するべく無線送電技術を組み込んだスケーラブルECウィンドウ技術を説明する。このような技術は任意で、環境センサ、無線制御、および/または、一部の側面では、光起電力を含むとしてよい。本発明によれば、ECウィンドウ技術の全ての利点を生かすことが可能となり、国家レベルで年間に数百トンもの炭素および大量のエネルギーを節約することが可能となる。新しい建築物は無線電力供給ECウィンドウの恩恵を大いに享受し、窓の交換のために配線設置が問題となっていた改修については特に利点が大きい。
【0007】
一実施形態は、無線送電によって電力供給されるECデバイスである。一実施形態によると、ECデバイスはECウィンドウである。無線送電技術を用いて、ECウィンドウの1以上のECデバイスに電力を供給する。無線電力は、ウィンドウ内のECデバイスに直接電力供給するために用いられるとしてもよいし、または、別の実施形態によると、ウィンドウ内のECデバイスのEC遷移および/またはEC状態に電力を供給する内部電池を充電するために用いられるとしてもよい。一実施形態によると、無線送電は、複数のECウィンドウに電力供給する受電部によって受電される。無線電力はさらに、ECウィンドウの一部またはECウィンドウを直接サポートしている他の能動素子、例えば、動きセンサ、光センサ、熱センサ、湿度センサ、無線通信センサ等に電力供給するためにも用いられ得る。無線通信技術はさらに、無線で電力供給されるECウィンドウを制御するためにも用いられ得る。
【0008】
ECウィンドウと組み合わせて用いるには、任意の適切な種類の無線送電技術を利用するとしてよい。無線送電技術には、例えば、これらに限定されるものではないが、誘導、共振誘導、無線周波数送電、マイクロ波送電、および、レーザ送電がある。一実施形態によると、無線周波数を用いて受電部に電力を送電し、当該受電部が、偏波、例えば、円偏波、楕円偏波および/または二重偏波、および/または、さまざまな周波数およびベクトルを利用してこの電力を電流に変換する。別の実施形態によると、磁界の誘導結合を利用して電力を無線で送電する。具体的な実施形態によると、有線接続されている外部電源から電力を受け取る第1の共振器(流れる電気エネルギー、例えば、ACを磁界に変換するコイル)、および、第2の共振器(第1の共振器が生成した磁界に結合されているので、誘導により電気エネルギーを生成するコイル)を用いて電力を無線で送電する。第2の共振器は、第1の共振器および第2の共振器の磁界共振結合によって電流または電位を生成することによって、受電部として機能する。磁気誘導を利用する実施形態は必ずしも磁界共振結合を利用する必要はないが、利用する実施形態では、局所化されたエバネセント磁界パターンによる近接場共振が比較的高効率の無線送電方法となる。
【0009】
一実施形態によると、ウィンドウの受電部はRFアンテナである。別の実施形態によると、RFアンテナは、RF電力を、ECデバイスを機能させるために用いられる電位に変換する。別の実施形態によると、受電部は、第1の共振器に共振結合されている第2の共振器であり、第1の共振器から第2の共振器に無線で電力が送電されるように構成されている。第2の共振器は、無線で送電された電力をECウィンドウに電力供給するための電気に変換する。
【0010】
受電部は通常、RFアンテナまたは二次共振コイルのいずれであろうと、ECウィンドウのフレーム内、例えば、IGUの外側封止部の近傍および/またはウィンドウフレーム内のどこかに配されて、IGUのガラスを通して見ることが可能な領域の邪魔にならないようにする。このため、特定の実施形態によると、受電部のサイズは比較的小さい。一実施形態によると、受電部のサイズは、ウィンドウのユーザが受電部がウィンドウの一部であることを認識しない程度に十分に小さいが、受電部はユーザの視界に入らないように隠されている。
【0011】
一実施形態によると、無線送電は、特定の領域内のウィンドウの受電部に送電する電力ノードを1以上含む無線送電ネットワークを介して実行される。建築物または必要に応じて、1以上の、場合によっては幾つかのノードを利用して、それぞれ対応するウィンドウの受電部に給電する複数の電力ノードから成る電力ノードネットワークを形成する。一実施形態によると、無線周波数を用いて電力を送電し、複数の電力ノードが存在する場合、これら複数の電力ノードでは複数の周波数および/または偏極ベクトルが用いられていて、さまざまなレベルまたは種類の電力が、さまざまなノードから、さまざまな電力需要を持つウィンドウへと送電されている。磁気誘導を用いて無線送電を行う別の実施形態によると、この実施形態でも1以上の電力ノードが存在するが、この実施形態では、電力ノード自体が共振器である。例えば、一実施形態によると、電源から電力を受電する第1の共振器は、第2の共振器に共振結合されており、第2の共振器は、例えば、ECウィンドウに配電する第3の共振器に共振結合されている。このようにして、第2の共振器は、第1の共振器から、第2の共振器へ、そして第3の共振器へと続く送電ネットワーク内の電力ノードとして機能し、第3の共振器は、受電部として機能し、磁界を電力に変換してECウィンドウに電力を送電する。
【0012】
本発明の別の側面は、ECデバイスに電力供給する方法である。当該方法は、無線電力の生成および/または無線電力の受電部への送電を実行して、当該受電部が当該無線電力を、ECデバイスに電力供給するために用いられる電気エネルギー(例えば、電流または電位)に変換する段階i)と、当該電気エネルギーをECデバイスに配電する段階ii)とを備える。一実施形態によると、ECデバイスは、上述したように、ECウィンドウである。別の実施形態によると、段階i)はRFによって実行され、別の実施形態によると、段階i)は磁気誘導によって実行される。一実施形態によると、受電部から出力される電気エネルギーは、ECウィンドウのECデバイスに電力供給するために用いられる電池を充電するために用いられる。一実施形態によると、一のウィンドウは、一の無線電力受電部を備えており、当該受電部が生成する電気エネルギーは、複数のECウィンドウに電力を供給するために用いられる。この電力供給は、直接行われるとしてもよく、および/または、複数のウィンドウに対応付けられている一の電池または電池群を充電することによって行われるとしてもよい。
【0013】
本発明の別の側面は、i)無線電力を送電する無線送電部と、ii)無線電力を受電して当該無線電力を中継する電力ノードと、iii)中継された無線電力を受電して、無線電力を電気エネルギーに変換する受電部と、iv)電気エネルギーを受電して、2以上の光学的状態間の遷移を発生させるために、および/または、一の光学的状態を維持するために電力を供給するECデバイスとを備える無線送電ネットワークである。電気エネルギーは、直接的または間接的にECデバイスによって受電され得る。一実施形態によると、電気エネルギーは、受電部から直接受電されて、別の実施形態によると、電気エネルギーは受電部から電池へと流されて、その後でECデバイスに流される。一実施形態によると、ECデバイスは、ECウィンドウの一部である。
【0014】
特定の実施形態によると、ECデバイスは、電気エネルギーの一部を、上述したように無線電源から受け取り、さらなる電気エネルギーを、任意でECデバイスに(例えば、IGU内またはIGUの近傍、例えば、ウィンドウのフレーム内に)一体化されている太陽光電源から受け取る。このようなシステムでは、ECデバイスに電力供給するための配線、対応するコントローラ、センサ等が必要ないとしてよい。
【0015】
上記およびその他の特徴および利点は、添付図面を参照しつつ、さらに詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に記載する詳細な説明は、添付図面を参照することによって、より深く理解されたい。図面は以下の通りである。
【
図1】無線電力受電部を備えるECウィンドウの製造を説明するための図である。
【
図2A】本明細書で説明する無線送電ネットワークの概略図である。
【
図2B】本明細書で説明する無線送電ネットワークの概略図である。
【
図2C】本明細書で説明する無線送電ネットワークの概略図である。
【
図2D】本明細書で説明する無線送電ネットワークの概略図である。
【
図2E】本明細書で説明する無線送電ネットワークの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明では、広義に解釈すると、無線送電源から電力供給されるECデバイスを説明する。より具体的な実施形態では、ECウィンドウは、無線電源から電力供給される。無線送電は、ECウィンドウへの電力供給に特に適している。これは、ECウィンドウが通常、ECデバイスで遷移を発生させる場合、および/または、ECデバイスの光学的状態を維持する場合に数ボルトのオーダという低い電位を用いて機能するためである。ECウィンドウは通常、1日の間に数回遷移が発生するに過ぎない。また、無線送電を利用して、対応する電池を充電して、無線送電を利用して1以上のECウィンドウに間接的に電力供給することもできる。
【0018】
配線を持つウィンドウを設置する場合、建築家および建設業者にとって考慮すべき事項が増え、改修の場合には、対象となる建築物に以前には設置されていなかった配線設備を追加する必要が出てくるので、配線は特に大きな問題となる。無線送電技術およびECウィンドウという高度な技術を組み合わせることで、上述した問題が解決され、エネルギー節約と共に、ECウィンドウの有線電気接続を一体化するために費やされる時間およびコストが節約されるという相乗効果が得られる。
【0019】
商用および住居用の窓に利用される、動的でECを利用する断熱ガラスユニット(Insulated Glass Unit(IGU))は、低電圧に応じて光透過特性が変化することによって、窓を通過する光および熱の量を制御することができる。ECデバイスは、低い電位を用いて透明(「透明または無色」)状態と、暗くした(「光および/または熱を遮蔽する」)状態との間で変化し、さらに低い電力で光学的状態を維持することができる。動的でECを利用するウィンドウは、当該ウィンドウを通過する光の量を制御することが可能である。一の側面によると、暗くした状態であっても可視性は持つので、変わらず外部環境を視認することが可能である一方、例えば、暑い天気の場合に熱を発生させる太陽光を遮蔽するか、または、寒い天気の場合には断熱性によって建物内に貴重な熱を保持することによって、エネルギーを節約する。
【0020】
このような動的なウィンドウの一例を挙げると、欠陥が少なく高信頼性のECウィンドウであって、固体のEC積層材料を含むECウィンドウがある。このように全体が固体且つ無機の材料で構成されているECデバイス、当該ECデバイスを製造する方法、および、欠陥の基準については、米国特許出願第12/645,111号(発明の名称:「欠陥の少ないエレクトロクロミックデバイスの製造(Fabrication of Low−Defectivity Electrochromic Devices)」、出願日:2009年12月22日、発明者:マーク・コズロウスキ(Mark Kozlowski)他)、米国特許出願第12/645,159号(発明の名称:「エレクトロクロミックデバイス(Electrochromic Devices)」、出願日:2009年12月22日、発明者:ゾンチュン・ワン(Zhongchun Wang)他))、米国特許出願第12/772,055号および第12/772,075号(出願日:2010年4月30日))、米国特許出願第12/814,277号及び第12/814,279号、出願日:2010年6月11日)(最後の4つの出願の発明の名称は、「エレクトロクロミックデバイス(Electrochromic Devices)」、発明者はゾンチュン・ワン(Zhongchun Wang)他)により詳細に記載されている。上記6つの特許出願はそれぞれ、参照により本願に組み込まれる。本発明の一の側面は、例えば、これらに限定されないが、上記の6件の米国特許出願のうちいずれか1つに記載されているECウィンドウ等のECウィンドウに、無線送電技術によって電力供給するというものである。当該ECウィンドウは、受電部によって電気エネルギーを変換した後、無線送電技術を利用して直接電力供給されるとしてよい。および/または、電気エネルギーは、ウィンドウに電力供給するためにも利用される電池を充電するために用いられるとしてもよい。
【0021】
無線送電は、電気エネルギーが電源から電気負荷へと相互接続配線無しで送電される場合のプロセスである。広義では、電流は、大気中、水中または固体物等の環境を、配線を必要とすることなく、通過することができる。しかし、より有用性の高い(制御された)方式の無線送電技術が存在し、例えば、RF、磁気誘導、レーザまたはマイクロ波エネルギーを介して送電する。無線送電は、瞬間的または継続的なエネルギー伝達が必要となるが、相互接続配線があると不便、問題が多い、危険性が高い、または、不可能な場合に特に有用性が高い。無線送電は、電気力学誘導等の誘導を利用したものであるとしてよく、または、無線周波数(RF)、マイクロ波およびレーザ等の他の公知のエネルギー伝達媒体に基づいて行われるとしてよい。
【0022】
一部の実施形態によると、RFを介して電力を送電して、ECデバイス、特に、ECウィンドウと電気的に接続されている受電部で、この電力を電位または電流に変換するとしてよい。RFを利用した送電方法で特に有用性の高いものが、米国特許出願公開公報第2007/0191074号(米国特許出願第11/699,148号、出願日:2007年1月29日、発明の名称:「送電ネットワークおよび送電方法」、ダニエル・ダブリュー・ハリスト(Daniel W. Harrist)他)に記載されている。当該特許文献は、参照により本願に組み込まれる。
【0023】
他の実施形態では、外部電源から電力供給される第1の共振器、および、第1の共振が発生させる磁界エネルギーを、ECウィンドウのECデバイスに供給する電力に変換する第2の共振器を利用して、磁気誘導によって送電を行う。磁気誘導を利用した送電方法で特に有用性の高い方法が、米国特許出願公開公報第2007/0222542号(米国特許出願第11/481,077号、出願日:2006年7月5日、発明の名称:「非放射方式の無線エネルギー伝達」、ジョン・ジョアンナプロス(John Joannapoulos)他)に記載されている。当該特許文献は、参照により本願に組み込まれる。誘導によって無線方式で電力を制御する方法として有用性の高い別の方法は、米国特許第7,382,636号(出願日:2005年10月14日、発明の名称:「負荷に電力供給するシステムおよび方法」、デイビッド・バーマン(David Baarman)他に記載されている。当該特許文献は、参照により本願に組み込まれる。本明細書で説明するECウィンドウは、このような無線送電制御方法を利用可能である。
【0024】
特定の実施形態は、複数の無線送電源を備える。すなわち、本発明は、一の無線送電源が利用される実施形態に限定されない。例えば、無線送電ネットワークが利用される実施形態では、一の無線送電方法、例えば、RF送電方法を、当該ネットワークの一部で利用しつつ、他の方法、例えば、磁気誘導方式を当該ネットワークの別の一部で利用する。
【0025】
本発明の一の側面は、無線送電源から電力供給されるECウィンドウである。一実施形態によると、ECウィンドウのサイズは利用できればどのようなサイズであってもよく、例えば、自動車で用いられる場合、例えば、サンルーフまたはバックミラーで用いられる場合、配線は、車両のフロントガラスを横断する等、不便である。一実施形態によると、ECウィンドウは、当該ウィンドウのECデバイスの基板として、建築用基準のガラスを利用する。建築用ガラスは、建設資材として利用されるガラスである。建築用ガラスは通常、商用の建築物で利用されるが、住居用の建築物でも利用され得ると共に、通常では、必要ではないが、室内環境と屋外環境を分離するために用いられる。建築用ガラスは、少なくとも20インチ×20インチであり、約80インチ×80インチまで大きくすることができる。一部の実施形態によると、ECデバイスは全て、固体且つ無機の材料で形成される。ウィンドウは、例えば、ウィンドウ構造の一部として、RF受電部または共振器等の受電部を備える。
【0026】
図1は、ECウィンドウの製造プロセス100を示す図である。同図に示すウィンドウ構造は、無線送電を受電して、電力を電気エネルギーに変換し、ウィンドウのECデバイスに当該電気エネルギーを直接的または間接的に供給する受電部135を備えている。直接的または間接的な電力供給は、例えば、ECデバイスに直接電力供給するか、または、ECウィンドウに電力供給するために用いられる電池を充電するかである。ECパネル105は、ECデバイス(不図示だが、例えば、表面A)およびECデバイスに電力供給するバスバー110を有しており、別のガラスパネル115と整合させる。IGU125の製造時、セパレータ120は、基板105と基板115との間に挟持され、両基板と合わせられる。IGU125は、セパレータ120に接する基板の面およびセパレータ120の内周面によって画定される内部空間を持つ。セパレータ120は通常、封止セパレータである。つまり、スペーサを有しており、当該スペーサと各基板との間に封止剤を有し、ここにおいて内部領域を気密封止するべく接しているので、湿気等から内部を保護する。通常は、ガラスパネルがセパレータに封着されると、二次封止剤をIGUのセパレータ120の外周端縁の周囲に塗布して、外囲環境からさらに保護するべく封止するだけでなく、IGUの構造強度をさらに高めるとしてよい。IGUは、フレームによって支持されており、ウィンドウ構造130を構成している。ウィンドウフレームを一部切り欠いて、本例では、アンテナを含む無線受電部135を露出して表示している。受電部135は、IGUに近接しており、この例では、ウィンドウ構造130のフレーム内に配されている。無線送電受電部は、ウィンドウコントローラの構成要素であってよい。
【0027】
一実施形態によると、無線送電源は、無線周波数を用いて送電する。このような実施形態に係るECウィンドウは、無線周波数受電部を有しており、無線周波数受電部は、無線周波数を、ECウィンドウ内のECデバイスに電力供給するために用いられる電気エネルギー(例えば、電流または電位)に変換する。ECデバイスへの電力供給は、ECデバイスの光学的状態の維持または光学的状態の遷移を発生させるための電力供給のうち少なくとも1つを含む。一実施形態によると、無線周波数受電部は、ECウィンドウのIGUの内部または近傍に配されている。例えば、受電部は、IGUを支持するウィンドウフレーム内に配されているとしてもよいし、IGUのガラスパネル間を分離しているスペーサの近傍の領域に配されているとしてもよいし、その両方であってもよい。例えば
図1に示すように、受電部はIGUの可視領域の邪魔にならないことが好ましいが必須ではない。
【0028】
別の実施形態によると、磁界の誘導結合によって無線送電を行う。一般的には、一次コイル(当該コイルを流れる電気エネルギー、例えば、ACを磁界に変換する)が、電源から電力供給を受けて磁界を生成し、二次コイルが磁界に結合されることによって誘導により電気エネルギーを生成する。二次コイルが生成した電気エネルギーは、ECデバイス、具体的な実施形態では、ECウィンドウのECデバイスに電力供給するために利用される。共振結合された磁気エネルギーを利用する具体的な実施形態によると、有線接続されている外部電源から電力を受電する第1の共振器、および、第2の共振器を用いて無線送電を実行する。第2の共振器は、第1の共振器および第2の共振器の磁界共振結合を用いて電流を生成することによって、受電部として機能する。磁気誘導を利用する実施形態は必ずしも磁界共振結合を利用する必要はないが、利用する実施形態では、局所化されたエバネセント磁界パターンによる近接場共振が比較的高効率の無線送電方法となる。
【0029】
一実施形態によると、受電部は、RFアンテナまたは共振コイルのいずれであろうと、ECウィンドウのIGUの近傍、例えば、IGUの封止部またはウィンドウフレームの近傍に配されて、IGUのガラスを通して見ることが可能な領域の邪魔にならないようにする。このため、特定の実施形態によると、受電部のサイズは比較的小さい。「サイズが小さい」とは、例えば、ECウィンドウの可視領域の約5%以下を受電部が占めることを意味する。一実施形態によると、受電部は、ECウィンドウのうち可視領域にかかることはない。つまり、受電部は、サイズが十分に小さいので、ウィンドウのユーザは受電部がウィンドウの一部であることに気付かず、受電部はユーザの視界には入らない。例えば、ウィンドウのフレーム内に収納される。一実施形態によると、受電部がIGUの封止領域に収納されている場合、ウィンドウのフレームは、受電部への経路を確保できるように1以上のアクセスポートを含むか、または、受電部はウィンドウフレーム内に恒久的に封止されるとしてよい。また、無線送電に影響を与えないポートおよび/または物質が存在するとしてよい。このため、受電部は、ウィンドウフレームを形成する物質との間で干渉を発生させることなく無線送電を適切に受電することができる。
【0030】
具体的な実施形態によると、ECデバイスに印加される電位を調整するコントローラ、例えば、マイクロプロセッサが設けられている。当該コントローラは任意で、ウィンドウを機能させるために用いられる電池の再充電、ウィンドウコントローラと無線通信する自動熱および/またはエネルギー管理システム、ハンドヘルドデバイス等の遠隔制御部との無線通信等の他の機能を(単独で、または、他のマイクロプロセッサと共に)制御するとしてよい。
【0031】
一実施形態によると、無線送電は、特定領域におけるウィンドウ受電部に送電する電力ノードを1以上備えるネットワークを用いて実行される。本明細書で説明する無線送電ネットワークは、必要に応じて、RF、磁気誘導またはこれらの両方を利用するとしてよい。建築物によっては、1以上、時にはいくつかのノードを利用して、対応するウィンドウ受電部に給電する電力ノードを複数備える電力ノードネットワークを形成する。無線周波数を用いて送電し、複数の電力ノードがある一実施形態によると、電力ノードが用いる周波数および/または偏極ベクトルは複数あるので、さまざまなレベルまたは種類の電力が、さまざまなノードから、さまざまな電力需要を持つウィンドウへと送電される。
【0032】
磁気誘導を用いて無線送電を行う一実施形態によると、この実施形態でも1以上の電力ノードが存在するが、電力ノード自体が共振器である。例えば、一実施形態によると、電源から電力を受電する第1の共振器は、第2の共振器に共振結合されており、第2の共振器は、例えば、ECウィンドウに電力を配電する第3の共振器に共振結合されている。このようにして、第2の共振器は、第1の共振器から、第2の共振器へ、そして第3の共振器へと続く送電ネットワーク内の電力ノードとして機能し、第3の共振器は、受電部として機能して、磁界を電力に変換することによってECウィンドウに電力を送電する。このようにすることで、近接場の磁気エネルギーは長距離にわたり、特定の建築物のECウィンドウの需要が満たされる。
【0033】
別の実施形態は、ECデバイスに電力供給する方法であって、i)無線電力を生成する段階と、ii)無線電力を、無線電力をECデバイスに電力供給するために用いられる電気エネルギーに変換する受電部に送電する段階と、iii)電気エネルギー(例えば、電流または電位)を、ECデバイスおよび/またはECデバイスに電力供給するために用いられる電池に配電する段階とを備える方法である。一実施形態によると、ECデバイスはECウィンドウである。他の実施形態によると、無線電力の生成は、無線周波数を用いて送電を行う無線送電部を用いて実行され、電気エネルギーは電圧である。別の実施形態によると、無線電力の生成は、磁気誘導、より具体的な実施形態によると、共振結合された磁気誘導を用いて送電を行う無線送電部を用いて実行される。他の具体的な実施形態によると、上記の段階ii)および段階iii)は、上述した無線送電ネットワークのうち少なくとも1つを用いて実行される。上述した実施形態のうち一の具体的な実施形態によると、ECデバイスは、ECウィンドウのECパネルの一部である。さらに具体的な実施形態によると、ECパネルは、建築用ガラス規模のものである。別の実施形態によると、段階i)、段階ii)および段階iii)のうち少なくとも1つは無線通信を用いて実行される。一実施形態は、受電部によって、ECデバイスに電力供給するために用いられる電池を充電するべく、無線送電を変換することによって生成される電気エネルギーを利用することを含む。
【0034】
図2Aは、無線送電ネットワーク200を示す概略図である。無線送電ネットワークは、本明細書で説明するように、例えば、RF電力または磁気誘導を用いて、無線電力をECウィンドウ204に送電する無線送電部202を備える。本発明は、ECウィンドウに限定されることはなく、無線送電によって電力供給されるECデバイスであれば本発明の範囲に含まれる。エレクトロクロミックウィンドウ204は、無線送電された電力を、ECウィンドウ内のECデバイスおよび/またはウィンドウコントローラ、センサ等を動作させるために用いられる電気エネルギーへと変換する受電部を備える。一実施形態によると、電気エネルギーは、ECデバイスの光学的状態の遷移および/または維持のために供給される電力として利用される電圧である。ECデバイスは通常、入力に応じてECデバイスを制御および管理するマイクロプロセッサ等のコントローラが対応付けられている。さらに、ECデバイスは、ネットワークを介してECデバイスと通信する外部コントローラによって制御および管理され得る。入力は、直接的または無線通信を介してユーザによって手動で入力されるとしてよい。または、入力は、ECウィンドウが一部を成している建築物の自動熱および/またはエネルギー管理システムからの入力であってもよい。
【0035】
無線送電ネットワークは通常、領域206によって画定されている。つまり、送電は通常、領域206に局所化されているが、必ずしもそうではない。領域206は、1以上のウィンドウが配されており、無線電力が送電される領域を画定しているとしてよい。送電部202は、一部の実施形態では領域206の外部にある(そして、当該領域内に送電する)としてよい。または、
図2Aに示すように領域206内にあるとしてもよい。一実施形態によると、無線受電部は、ECウィンドウのIGUに近接して配されている。受電部は、ECウィンドウを通して見える視界の邪魔にならないことが好ましい。当業者であれば、上記のような無線電力ネットワークは複数のECウィンドウを含み、これら複数のECウィンドウへは1以上の送電部によって無線で電力が供給されるものと認められたい。また、無線電力によって生成される電気エネルギーは、ECウィンドウにおける電池または太陽光発電の電源を増強するために用いられ得る。一実施形態によると、太陽光発電の電源は、無線送電によって実行される電池の充電を増強するために用いられる。
【0036】
図2Bは、別の無線送電ネットワーク201を示す概略図である。ネットワーク201は、送電部202から送電される無線電力が、ECウィンドウ204内の受電部で受電されて、ウィンドウ204だけでなくウィンドウ205に対しても電力供給するために用いられる点を除き、
図2Aを参照して上述したネットワーク200と略同様である。つまり、一のウィンドウの受電部が、無線送電を電気エネルギーに変換して、複数のECウィンドウに対して、直接的に、または、受電部が充電する1以上の電池によって電力供給する。この例では、ウィンドウ204に対応付けられている受電部が無線送電を電気エネルギーに変換して、配線を介して電気エネルギーをウィンドウ205に送電している。これには、ウィンドウ毎に受電部を設置する必要がなく、ある程度の配線は用いられるものの、建築物全体に配線を設置する必要がなく、配線がウィンドウ設置領域に局所的に集中するので、ウィンドウ同士が電気的に接続されるという利点がある。また、ECウィンドウは電力需要が高くないので、この構成は実用性が高い。
【0037】
図2Cは、別の無線送電ネットワーク208を示す概略図である。ネットワーク208は、送電部202から送電される無線電力はECウィンドウ204内の受電部によって直接受電されるのではなく電力ノード210を介して中継される点を除いて、
図2Aを参照しつつ上述したネットワーク200と略同様である。電力ノード210は、受電と同一の方式(例えば、RFアンテナまたは誘導コイルを用いて受電)で電力を中継するとしてもよいし、無線電力を変換して、ウィンドウ204の(最終的な)要求に対してより適切な方式で受電部に送電するとしてもよい。一例を挙げると、電力ノードは、ある方式、例えば、RF誘導または磁気誘導で無線送電を受電して、上記の方式のうち別のいずれかの方式で無線電力をウィンドウ204へ送電する。一実施形態は、電力ノードである。当該電力ノードは、1以上の方式で無線送電を受電して、当該送電を電気エネルギーに変換する無線送電受電部と、電気エネルギーを上記の1以上の方式の無線送電に変換する無線送電部とを備える。一実施形態によると、無線送電部は、電気エネルギーを、無線受電部の受電と同じ方式の無線送電に変換する。方式は同じであるが、例えば、利用している周波数または極性が異なり、電力ノードの受電部は、送電部202からの無線送電と、電力ノード210の送電部からの無線送電とを識別することができる。一実施形態によると、無線送電部は、電気エネルギーを、無線受電部が受電する方式以外の方式の無線送電に変換する。
【0038】
図2Dは、別の無線送電ネットワーク212を示す概略図である。ネットワーク212は、送電部202から送電される無線電力が電力ノード210を介して複数のウィンドウ204に中継される点を除いて、
図2Cを参照しつつ上述したネットワーク208と略同様である。繰り返しになるが、電力ノード210は、受電と同一の方式で電力を中継することも可能であるし(例えば、RFアンテナまたは誘導コイルで受電)、または、無線電力を変換して、ウィンドウ204の(最終的な)要求に対してより適切な方式で受電部に送電するとしてもよい。この例では、送電部202は、領域206の外部に配されている。この例では、複数のウィンドウ204の電力要求は同じになっているが、本発明はこれに限定されない。つまり、ノード210から送電される無線電力は、さまざまな電力需要を持つ複数のECウィンドウの電力要求を満足させるのに十分なレベルであるとしてよい。さまざまな電力需要を持つとは、例えば、電力ノード210からの無線送電を電気エネルギーに適宜変換する構成要素が、各ウィンドウ204の受電部の一部である場合である。
【0039】
一実施形態によると、一の無線送電ネットワーク内の複数のウィンドウの電力要求が異なる場合、電力需要が異なるウィンドウについて複数の異なる電力ノードを利用する。各ノードから中継される電力は、例えば、電力レベルが異なるとしてもよいし、および/または、送電方法が異なるとしてもよい。
図2Eは、このような無線送電ネットワーク214を示す概略図である。ネットワーク214は、送電部202から送電される無線電力が2つの電力ノード210および216を介して中継される点を除き、
図2Dを参照しつつ上述したネットワーク212と略同様である。電力ノード210は、受電と同一の方式で電力を中継するとしてもよいし(例えば、RFアンテナまたは誘導コイルを介して受電)、または、無線電力を変換して、受電部(ウィンドウ204)に、ウィンドウ204の(最終的な)要求に対してより適した方式で送電するとしてもよい。電力ノード216は、電力ノード210とは異なる方法で無線電力を中継する。つまり、電力ノード216は、無線電力を変更して、ウィンドウ218の(最終的な)要求に対してより適切な方式でウィンドウ218内の受電部に送電する。この例では、ウィンドウ218は、自身に電力を供給するとともに、配線を介してウィンドウ220にも電力を供給する。ウィンドウ218は、ノード216から無線送電を受電して、ウィンドウ218の受電部は、無線送電を、ウィンドウ218およびウィンドウ220を動作させるために十分な電力に変換する。このため、本明細書で説明する実施形態は、複数の異なる電力ノードが、例えば、一の送電部から同じ方式で無線エネルギーを受電するが、ECデバイス毎に(対応する受電部を介して)方式を変更して無線エネルギーを中継するとしてよい。この例では、ECウィンドウ毎に、電力要求が異なる。この例では、送電部202は、領域206の外部に配されている。具体的な実施形態によると、一の無線送電部が無線電力を送電し、複数のECウィンドウがそれぞれ、無線電力を、当該ウィンドウに固有の需要に適切な電気エネルギーに変換するように構成されている受電部を有する。別の実施形態によると、各ウィンドウが有する受電部は、無線電力を同じ電気エネルギーに変換するように同じ受電部であるが、この電気エネルギーが、当該受電部に接続されている1以上の電子素子、例えば、整流器、電圧変換器、周波数変換器、変圧器、またはインバータによって、当該ウィンドウに固有の需要に合わせて変換される。
【0040】
一実施形態は、無線送電ネットワークである。当該無線送電ネットワークは、i)無線電力を送電する無線送電部と、ii)無線電力を受電して、当該無線電力を中継する電力ノードと、iii)中継された無線電力を受電して、無線電力を電気エネルギーに変換する受電部と、iv)電気エネルギーを受電するECデバイスとを備える。一実施形態によると、ECデバイスはECウィンドウである。別の実施形態によると、電力ノードはRFアンテナを有する。一実施形態によると、電力ノードは誘導コイルを有する。別の実施形態によると、受電部は、RF受電部である。別の実施形態によると、受電部は、誘導コイルである。他の実施形態によると、電力ノードは、無線電力をECウィンドウに中継する前に、ECウィンドウの要求に応じて、無線電力を変換する。一部の実施形態によると、無線電力ネットワークは、複数の電力ノードを備えている。各電力ノードは、1以上のECウィンドウに電力を中継する。各電力ノードは、それぞれが対応する受電部を備える複数のECウィンドウの要求に応じて無線電力を中継する。
【0041】
上述した本発明は理解し易くなるようにある程度詳細に説明してきたが、説明した実施形態は一例に過ぎず本発明を制限するものではない。特許請求の範囲において変更および変形が可能であることは当業者には明らかであろう。
[項目1]
無線送電源によって電力供給されるエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目2]
前記無線送電源は、無線周波数または磁気誘導を利用して送電する項目1に記載のエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目3]
前記無線送電源からの無線送電を前記エレクトロクロミックウィンドウ内のエレクトロクロミックデバイスに電力供給するために用いられる電気エネルギーに変換する受電部を備える項目2に記載のエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目4]
前記電気エネルギーは、前記エレクトロクロミックデバイスに電力供給するために用いられる電池を充電するために利用される項目3に記載のエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目5]
前記エレクトロクロミックデバイスは、固体且つ無機の材料で構成される項目3に記載のエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目6]
前記無線送電源は、送電ネットワークを用いて送電する項目2に記載のエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目7]
前記送電ネットワークは、前記無線送電源から送電される電力を前記エレクトロクロミックウィンドウに中継する電力ノードを含む項目6に記載のエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目8]
前記エレクトロクロミックウィンドウの機能は、無線通信を用いて制御される項目7に記載のエレクトロクロミックウィンドウ。
[項目9]
エレクトロクロミックデバイスに電力供給する方法であって、
i)無線送電を生成する段階と、
ii)前記無線送電を、前記無線送電を前記エレクトロクロミックデバイスに電力供給するために用いられる電気エネルギーに変換する受電部に送電する段階と、
iii)前記電気エネルギーを、前記エレクトロクロミックデバイスおよび/または前記エレクトロクロミックデバイスに電力供給するために用いられる電池に配電する段階とを備える方法。
[項目10]
前記エレクトロクロミックデバイスは、エレクトロクロミックウィンドウの一部である項目9に記載の方法。
[項目11]
前記無線送電を生成する段階は、RFまたは磁気誘導を利用する無線送電部を用いて実行される項目10に記載の方法。
[項目12]
前記エレクトロクロミックウィンドウは、前記エレクトロクロミックウィンドウのIGUに近接して配されている無線受電部を含む項目11に記載の方法。
[項目13]
前記無線送電部は、無線送電ネットワークを用いて、前記受電部に前記無線送電を送電する項目12に記載の方法。
[項目14]
前記無線送電ネットワークは、前記無線送電部からの前記無線送電を前記受電部に中継する電力ノードを含む項目13に記載の方法。
[項目15]
前記エレクトロクロミックウィンドウの機能は、無線通信を用いて制御される項目10に記載の方法。
[項目16]
無線送電ネットワークであって、
i)無線電力を送電する無線送電部と、
ii)前記無線電力を受電して前記無線電力を中継する電力ノードと、
iii)中継された前記無線電力を受電して前記無線電力を電気エネルギーに変換する受電部と、
iv)前記電気エネルギーを受電するエレクトロクロミックデバイスと
を備える無線送電ネットワーク。
[項目17]
前記エレクトロクロミックデバイスは、エレクトロクロミックウィンドウの一部である項目16に記載の無線送電ネットワーク。
[項目18]
無線電力は、RFまたは磁気誘導を用いて送電される項目17に記載の無線送電ネットワーク。
[項目19]
前記電力ノードは、前記エレクトロクロミックウィンドウの要求に応じて、前記無線電力を前記エレクトロクロミックウィンドウに中継する前に、前記無線電力を変換し、
前記無線電力の変換は、前記無線電力を、電気エネルギー、異なる方式の無線電力、異なる周波数の無線電力、および、異なる極性の無線電力のうち少なくとも1つを変更することを含む項目18に記載の無線送電ネットワーク。
[項目20]
複数の電力ノードをさらに備え、
前記複数の電力ノードはそれぞれ、前記無線電力を1以上の別のエレクトロクロミックウィンドウに中継し、
前記複数の電力ノードはそれぞれ、前記1以上の別のエレクトロクロミックウィンドウの要求に応じて前記無線電力を中継し、
前記1以上の別のエレクトロクロミックウィンドウは、前記複数の電力ノードのそれぞれに対応して受電部を持つ項目19に記載の無線送電ネットワーク。