特許第6724105号(P6724105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6724105APRIL結合ペプチドを得るための方法、そのペプチドを生成するためのプロセス、前記方法/プロセスを用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドおよびAPRIL結合ペプチドの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6724105
(24)【登録日】2020年6月26日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】APRIL結合ペプチドを得るための方法、そのペプチドを生成するためのプロセス、前記方法/プロセスを用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドおよびAPRIL結合ペプチドの使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20200706BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20200706BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20200706BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20200706BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20200706BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20200706BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20200706BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   C07K16/28ZNA
   C12N15/13
   C12P21/08
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N1/21
   C12N5/10
   G01N33/53 D
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2018-206560(P2018-206560)
(22)【出願日】2018年11月1日
(62)【分割の表示】特願2016-540838(P2016-540838)の分割
【原出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2019-55957(P2019-55957A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】2011406
(32)【優先日】2013年9月6日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512333423
【氏名又は名称】アデュロ・バイオテック・ホールディングス・ヨーロッパ・ベスローテン・フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ADURO BIOTECH HOLDINGS, EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン・エーネンナーム,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・エルサス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ドリエッセン,リリアン
(72)【発明者】
【氏名】メデマ,ヤン・パウル
【審査官】 金田 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−519198(JP,A)
【文献】 特表2009−509948(JP,A)
【文献】 特表2004−537290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00−15/90
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS・WPI(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫グロブリンVおよびVドメインを含むAPRIL結合ペプチドであって、
ドメインが、重鎖CDR1の位置に配列番号25で示される相補性決定領域配列、重鎖CDR2の位置に配列番号26で示される相補性決定領域配列および重鎖CDR3の位置に配列番号27で示される相補性決定領域配列を有し、配列番号23で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、
ドメインが、軽鎖CDR1の位置に配列番号28で示される相補性決定領域配列、軽鎖CDR2の位置に配列番号29で示される相補性決定領域配列および軽鎖CDR3の位置に配列番号30で示される相補性決定領域配列を有し、配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、APRIL結合ペプチド。
【請求項2】
ドメインが、配列番号23で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、Vドメインが、配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のAPRIL結合ペプチド
【請求項3】
ドメインが配列番号23で示されるアミノ酸配列を含み、かつ、Vドメインが配列番号24で示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のAPRIL結合ペプチド
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のAPRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列
【請求項5】
請求項4に記載のヌクレオチド配列を含む宿主細胞
【請求項6】
APRIL結合ペプチドを産生するためのプロセスであって、
請求項5に記載の細胞を提供するステップと、
前記APRIL結合ペプチドを発現する、好ましくは分泌するように、前記細胞を培養するステップとを含む、プロセス
【請求項7】
試料中のAPRILの存在またはAPRILの量を検出するための診断試験における、請求項1〜3にいずれか1項に記載のAPRIL結合ペプチドの使用
【請求項8】
前記試料がヒトから得られた組織試料である、請求項7に記載の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医学的/獣医学的診断および医学的/獣医学的研究を含むヒトおよび動物の医学の分野に関する。より詳細には、本発明は、この分野または他の分野において使用するのに適した、モノクローナル抗体を含む、APRIL結合ペプチド(petides)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
APRILは、II型膜貫通タンパク質として発現されるが、他のほとんどのTNFファミリーメンバーとは異なり、主に分泌タンパク質としてプロセシングされ、ゴルジ装置において切断されるものであり、そのゴルジ装置において、フーリンコンバターゼによって切断されて、活性な可溶型が放出される(Lopez−Fraga et al.,2001,EMBO Rep 2:945−51,)。APRILは、タンパク質の折り畳みが他のいくつかのTNFファミリーリガンドと類似の構造的相同性を有する、非共有結合的に連結されたホモ三量体として集合する(Wallweber et al.,2004,Mol Biol 343,283−90)。APRILは、2つのTNFレセプター:B細胞成熟抗原(BCMA)ならびに膜貫通型活性化因子およびカルシウム調節因子およびシクロフィリンリガンド相互作用因子(transmembrane activator and calcium modulator and cyclophilin ligand interactor)(TACI)に結合する(Kimberley et al.,2009,J Cell Physiol.218(1):1−8に概説されている)。さらに、APRILは、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合すると最近示された(Hendriks et al.,2005,Cell
Death Differ 12,637−48)。APRILは、B細胞シグナル伝達に関与すると示されており、インビトロにおいてヒトB細胞およびマウスB細胞の増殖と生存の両方を駆動するとも示されている(Kimberley et al.,2009,J Cell Physiol.218(1):1−8に概説されている)。
【0003】
APRILは、主に、免疫細胞サブセット、例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、好中球、B細胞およびT細胞によって発現され、それらの多くは、BAFFも発現する。さらに、APRILは、非免疫細胞、例えば、破骨細胞、上皮細胞および種々の腫瘍組織によって発現され得る(Kimberley et al.,2009,J Cell
Physiol.218(1):1−8に概説されている)。実際に、APRILは、当初、癌細胞におけるその発現に基づいて同定された(Hahne et al.,1998,J Exp Med 188,1185−90)。APRIL mRNAの高発現レベルが、腫瘍細胞株のパネル、ならびにヒト原発腫瘍、例えば、結腸、およびリンパ系癌腫において見られた。
【0004】
95人の慢性リンパ性白血病(CLL)CLL患者における遡及研究は、血清中のAPRILレベルの上昇を示し、これは、疾患の進行および全体的な患者生存時間と相関し、APRIL血清レベルが高い患者では予後がより不良だった(Planelles et
al.,2007,Haematologica 92,1284−5)。同様に、(高レベルの)APRILが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)および多発性骨髄腫(MM)において発現されると示された(Kimberley et al.
,2009,J Cell Physiol.218(1):1−8に概説されている)。DLBCL患者(NHL)における遡及研究は、癌病変における高いAPRIL発現が、不良な生存率と相関することを示した(Schwaller et al.,2007,Blood 109,331−8)。最近、直腸結腸癌に罹患している患者由来の血清中のAPRIL血清レベルが、陽性の診断価値を有すると示された(Ding et al.,2013,Clin.Biochemistry,http://dx.doi.org/10.1016/j.clinbiochem.2013.06.008)。
【0005】
APRILは、B細胞の生態におけるその役割に起因して、多くの自己免疫疾患にも関与する。APRILの高い血清レベルは、多くのSLE患者において報告されている(Koyama et al.,2005,Ann Rheum Dis 64,1065−7)。遡及的解析から、APRIL血清レベルが、抗dsDNA抗体価と相関する傾向があることが明らかになった。また、炎症性関節炎を有する患者の滑液中でも、変形性関節症などの非炎症性関節炎に罹患している患者のAPRILレベルと比べて有意に高いAPRILレベルが検出された(Stohl et al.,2006,Endocr Metab Immune Disord Drug Targets 6,351−8;Tan et al.,2003,Arthritis Rheum 48,982−92)。
【0006】
いくつかの研究が、全身の免疫に基づくより広範囲のリウマチ性疾患(現在では、シェーグレン症候群、ライター症候群、乾癬性関節炎、多発性筋炎および強直性脊椎炎も含む)に罹患している患者の血清中のAPRILの存在に焦点を当てたところ、これらの患者において有意に高いAPRILレベルが見出されたことから、同様にこれらの疾患におけるAPRILの重要な役割が示唆された(Jonsson et al.,1986,Scand J Rheumatol Suppl 61,166−9;Roschke et al.,2002,J Immunol 169,4314−21)。さらに、上昇したAPRIL血清レベルは、アトピー性皮膚炎に罹患している患者由来の血清でも検出された(Matsushita et al.,2007,Exp.Dermatology 17,197−202)。また、血清APRILレベルは、敗血症においても上昇し、危篤状態の患者における死亡を予測する(Roderburg et al.,J.Critical Care,2013,http://dx.doi.org/10.1016/j.jcrc.2012.11.007)。最後に、上昇したAPRIL発現は、多発性硬化症(MS)にも関連する。APRIL発現は、正常なコントロールと比べて、MS罹患者のアストロサイトにおいて上昇することが見出された。これは、神経膠芽腫および神経膠芽腫患者の血清における、報告されたAPRIL発現と一致する(Deshayes et al.,2004,Oncogene 23,3005−12;Roth et al.,2001,Cell Death Differ 8,403−10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
要旨
疾患、例えば、以下に限定されないが自己免疫疾患、炎症性疾患および悪性疾患に対する重要なマーカーであるAPRILを用いた、ヒト被験体の血清中のAPRILの検出は、重要である。現在利用可能なアッセイは、(明確に定義されておらず、利用可能性が限られている)ポリクローナル抗体の使用を含み(Planelles et al.,2007,Haematologica 92,1284−5)、血清中の報告されたAPRILレベルを再現せず、かつ/またはAPRILの定量は、ヒト血清の存在によって大きく影響され(BioLegend、実施例1を参照のこと)、APRILタンパク質レベルの評価の前に免疫グロブリン吸収工程を必要とする(Matsushita et
al.,2007,Exp.Dermatology 17,197−202)か、または限られた検出限界を示す(R&D systems)。この従来技術の抗APRIL抗体の欠点に鑑みて、本発明の発明者らは、ヒトサンプル、好ましくは、血液由来サンプル、例えば、血清サンプルの状況におけるAPRILの検出に適したAPRIL結合ペプチドを同定し、それを得る方法の開発に着手した。特に、それらの抗体を発現するめったに豊富でないB細胞を、APRILを免疫されたマウスから選択する方法をデザインし、開発した。
【0008】
手短に言えば、APRIL結合ペプチドを得るための本発明の方法は、以下の工程:
・バインダーペプチドのライブラリーを提供する工程;
・固体支持体上に固定化された標的ペプチドを使用する親和性選択を用いて、そのライブラリーからAPRIL結合ペプチドを選択する工程であって、前記標的ペプチドは、APRILの、いくつかのAPRILエピトープおよびAPRILレセプター結合領域を含む、工程
を含み、その標的ペプチドは、APRILレセプターまたはそのAPRIL結合等価物のAPRIL結合領域を含むペプチドであるシールドペプチド(shielding peptide)と相互作用することを特徴とする。この方法を用いて、APRIL結合ペプチドが、入手および/または選択され得る。
【0009】
開発された方法は、広く利用することができ、広範囲のAPRIL結合ペプチド、例えば、APRIL結合抗体を得るために使用することができる。
【0010】
本発明のさらなる態様は、本発明に係る方法を用いて入手可能なAPRIL結合ペプチド、本発明に係るAPRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む細胞、APRIL結合ペプチドを生成するためのプロセス、およびこのプロセスを用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドに関する。さらに、診断検査、好ましくは、エキソビボにおける診断検査における本発明に係るAPRIL結合ペプチドの使用もまた、本発明の範囲内である。
【0011】
配列の簡単な説明
配列表に提示される配列は、本発明の方法を用いて得られる5つの免疫グロブリン(hAPRIL.130、hAPRIL.132、hAPRIL.133、hAPRIL.135、hAPRIL.138)のV鎖およびV鎖のアミノ酸配列およびコードするDNA配列に関する。さらに、これらの免疫グロブリンのV鎖とV鎖の両方のCDR領域のアミノ酸配列が提示される。下記の表1は、配列番号をそれらのそれぞれの配列と相互に関連させている。
【0012】
【表1-1】
【0013】
【表1-2】
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】APRILを検出する商業的に入手可能なアッセイ(Biolegendから得られる)は、血清の存在下ではAPRILの定量を再現しない。直腸結腸癌患者由来のヒト血清は、BCMA−Fcコーティングおよび検出用のポリクローナル抗体に基づくELISAによって検出されたとき(x軸、Planelles et al.,Haematologica.2007年9月;92(9):1284−5によって報告されたようなアッセイ)または市販のBiolegend ELISAを用いて検出されたとき(y軸)、様々な量のヒトAPRILを含む。患者1人あたりの両方の値の間の比較から、Spearman係数(R=0,5964)によって表されるように、限られた相関関係が明らかになる。
図2A】現在商業的に入手可能なアッセイを使用したAPRILの定量は、ヒト血清の存在によって負の影響を受ける。100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.41、0.136および0.04ng/mlという濃度に、PBS+10%ウシ胎仔血清+20%ヒト血清(HS)(PBS−FCS−HSと称される)で希釈されるかまたはPBS/1%BSA(PBS/BSAと称される)で希釈される組換えAPRILを使用して、2つの標準物質(standard curves)を作製した。これらの2つの標準物質の検出は、以下のアッセイにおいて測定された:A)Biolegend ELISA。
図2B】現在商業的に入手可能なアッセイを使用したAPRILの定量は、ヒト血清の存在によって負の影響を受ける。100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.41、0.136および0.04ng/mlという濃度に、PBS+10%ウシ胎仔血清+20%ヒト血清(HS)(PBS−FCS−HSと称される)で希釈されるかまたはPBS/1%BSA(PBS/BSAと称される)で希釈される組換えAPRILを使用して、2つの標準物質(standard curves)を作製した。これらの2つの標準物質の検出は、以下のアッセイにおいて測定された:B)BCMA−FCでコーティングされ、APRILY−5バイオ抗体を用いて検出されるアッセイ。
図2C】現在商業的に入手可能なアッセイを使用したAPRILの定量は、ヒト血清の存在によって負の影響を受ける。100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.41、0.136および0.04ng/mlという濃度に、PBS+10%ウシ胎仔血清+20%ヒト血清(HS)(PBS−FCS−HSと称される)で希釈されるかまたはPBS/1%BSA(PBS/BSAと称される)で希釈される組換えAPRILを使用して、2つの標準物質(standard curves)を作製した。これらの2つの標準物質の検出は、以下のアッセイにおいて測定された:C)Sasha−2でコーティングされ、APRILY−5抗体を用いて検出されるアッセイ。
図2D】現在商業的に入手可能なアッセイを使用したAPRILの定量は、ヒト血清の存在によって負の影響を受ける。100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.41、0.136および0.04ng/mlという濃度に、PBS+10%ウシ胎仔血清+20%ヒト血清(HS)(PBS−FCS−HSと称される)で希釈されるかまたはPBS/1%BSA(PBS/BSAと称される)で希釈される組換えAPRILを使用して、2つの標準物質(standard curves)を作製した。これらの2つの標準物質の検出は、以下のアッセイにおいて測定された:D)R&D ELISA。
図3】血清中での検出を可能にするAPRIL結合ペプチドを同定する選択ストラテジー。磁気DynaBeadsにBCMA−Fc組換えタンパク質を搭載した。それは、十分に洗浄した後も、組換えFLAG−APRILに結合することが可能になっていた。
図4A】本発明のAPRILモノクローナルは、血清の存在下でもAPRILを検出する。A.APRIL結合モノクローナル抗体を使用して、CLL患者の血清中のAPRILを検出した。3人の無関係な患者の血清を使用したところ(CLL1、CLL3およびCLL6)、様々な量のAPRILが示された。すべてのAPRIL結合抗体が、APRILを捕捉するためにコーティングされたBCMA−Fcの量に関係なく、3人の異なる患者において同様のAPRILの検出を示す(500ng/ウェル対100ng/ウェルのBCMA−Fcについて上と下を比較のこと)。
図4B】本発明のAPRILモノクローナルは、血清の存在下でもAPRILを検出する。B.CLL患者の血清中のAPRILの検出を、さらに10人の個体サンプル(CLL11〜20)を使用して抗体hAPRIL.133で測定したところ、様々な量のAPRILが示された。
図5】BCMA−Fcおよび本発明のAPRIL結合ペプチド(hAPRIL.133mAb)を使用したAPRILの定量は、ヒト血清の存在によって影響を受けない。100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.41、0.136および0.04ng/mlという濃度に、PBS+10%ウシ胎仔血清+20%ヒト血清(HS)(PBS−FCS−HSと称される)で希釈されるかまたはPBS/1%BSA(PBS/BSAと称される)で希釈される組換えAPRILを使用して、2つの標準物質を作製した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
APRIL結合ペプチドを得るための本発明の方法において、バインダーペプチドのライブラリーが提供される。用語「ライブラリー」は、当該分野で公知であり、この用語の公知の意味の範囲内で、「バインダーペプチドのライブラリー」は、異なるバインダーペプチドのコレクションまたはアレイを意味すると理解され得る。ペプチドライブラリーの文脈における用語「バインダーペプチド」あるいは「結合ペプチド」は、他の化合物および/または構造、特にエピトープ、より詳細には、ペプチドエピトープに結合する潜在的な能力を有するペプチドのことを指していると理解され得る。本発明の範囲内において、バインダーペプチドは、特に、潜在的なAPRIL結合能を有する。
【0016】
抗体(免疫グロブリン)および抗体の結合フラグメントは、他の化合物および/または構造に結合する潜在的な能力を有する公知のペプチドであり、その構造には、エピトープ、例えば、ペプチドエピトープが含まれる。したがって、本発明の範囲内において、抗体または抗体フラグメントのライブラリーが提供されることが特に想定される。当業者は、抗体または抗体フラグメントのライブラリーをどのようにして得るのかを承知しており、ゆえに、そのようなライブラリーをどのように提供するのかを承知している。
【0017】
抗体または抗体フラグメントは、例えば、ファージライブラリーを使用したマウス抗体およびヒト抗体の単離をそれぞれ説明しているMcCafferty et al.,1
990,Nature,348:552−554.Clackson et al.,1991,Nature,352:624−628およびMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581−597に記載されている手法を用いて作製された抗体ファージライブラリーから単離され得る。その後の刊行物には、チェインシャフリング(chain shuffling)(Marks et al.,1992,Bio/Technology,10:779−783)ならびに非常に大きなファージライブラリーを構築するためのストラテジーとしてのコンビナトリアル感染およびインビボ組換え(Waterhouse et al.,1993,Nuc.Acids Res.21:2265−2266)による高親和性(nM範囲)のヒト抗体の作製が記載されている。
【0018】
抗体または抗体フラグメントは、mRNAディスプレイライブラリーを使用した抗体フラグメントの単離を記載しているFukuda et al.,2006,Nuc.Acids Res.,34:e127に記載されている手法を使用して作製されたmRNAディスプレイライブラリーから単離され得る。
【0019】
あるいは、抗体ライブラリーは、哺乳動物、例えば、非ヒト哺乳動物におけるAPRIL特異的免疫応答の誘発に適した作用物質で免疫されたその哺乳動物から回収されたリンパ球、好ましくは、脾細胞のコレクションを含み得る。(非ヒト)哺乳動物の免疫化および脾細胞(または他のリンパ球)の回収は、当該分野において通常の慣例である。免疫化のために使用される、APRIL特異的免疫応答の誘発に適した作用物質は、特に、精製された形態、最も好ましくは、実質的に純粋な形態の、APRILタンパク質またはその一部であり得る。あるいは、免疫化は、APRILまたはその一部をコードするヌクレオチド配列、好ましくは、cDNA配列を使用するDNAの免疫化によって行われ得る。DNAの免疫化のための方法および手順は、当業者に公知である。DNAの免疫化に対する例示的な手順は、実施例に示される。
【0020】
抗体(または抗体フラグメント)のライブラリーのほかに、非免疫グロブリンタンパク質骨格上で操作された結合ペプチドのライブラリーが提供され得る。そのようなタンパク質骨格の例としては、アドネクチン(Adnectins)、アフィボディ(Affibodies)、アンチカリン(Anticalins)およびDARPinが挙げられるが、これらに限定されない(Gebauer and Skerra,Current opinion Chem.Biol.,2009,13:245−255およびCaravella and Lugovskoy,Current opinion Chem.Biol.,2010,14:520−528)。選択方法としては、例えば、APRIL結合ペプチドを発現するタンパク質骨格を同定するためのファージディスプレイが挙げられる。
【0021】
さらに、コンビナトリアルペプチドライブラリーが、バインダーペプチドライブラリーとして提供され得る。例えば、1ビーズ1化合物(one−bead−one−compound)コンビナトリアルライブラリーは、広範なペプチドセットをビーズ上に発現するライブラリーであり、ここで、1つのビーズが1つのペプチドに結合している。選択手順の後、ビーズを回収し、例えば、質量分析法を使用して、ペプチドを同定する(Lam
et al.,Methods,1996,9:482−93;Xiao et al.,Comb.Chem.High Throughput Screen,2013年3月13日(epub ahead of print)。
【0022】
APRIL結合ペプチドを得るための方法において、APRILに特異的に結合するペプチドは、親和性選択を用いてバインダーペプチドのライブラリーから選択される。親和性選択手順では、固体支持体上に固定化された標的ペプチドが使用される。リガンド/レ
セプター、抗体/抗原または他の結合対について言及するとき、「特異的に」結合するとは、タンパク質および/または他の生物学的物質の不均一な集団におけるそのタンパク質、例えば、APRILの存在を判定する結合プロセスを示す。したがって、指定の条件下において、特定のリガンド/抗原は、特定のレセプター/抗体に結合するが、サンプル中に存在する他のタンパク質には相当量で結合しない。
【0023】
標的ペプチドは、APRILの、いくつかのAPRILエピトープおよびAPRILレセプター結合領域を含む。APRILエピトープは、好ましくは、APRILのAPRILレセプター結合領域の外側の領域に由来するものである。明らかであるように、APRILの、いくつかのAPRILエピトープおよびAPRILレセプター結合領域は、天然のAPRILまたはその誘導体の形態で適切に提供され得る。天然のAprilを標的ペプチドとして使用することが好ましい。
【0024】
選択されるべきバインダーペプチドに対して、固定化されたリガンドを使用する親和性選択手順が、当該分野で公知である。例えば、パニングまたはバイオパニング手順が公知である。公知であるように、また、当業者には明らかであるように、典型的な親和性選択手順は、3つの工程:捕捉、洗浄および捕捉された結合物の同定を含む。
【0025】
本発明の方法において使用される親和性選択手順の場合、捕捉工程は、APRILのAPRILレセプター結合領域を含む標的ペプチドと、ライブラリーのバインダーペプチドとの結合を含む。当該分野で公知であるように、APRILは(現在のところ)、2つの公知の天然のレセプター、すなわち、BCMAおよびTACIを有する。したがって、APRILレセプターという用語は、BCMAまたはTACIのことを意味していると理解され得る。本発明は、大方の場合(to a large extend)、APRILレセプターとしてBCMAを使用することによって例証されるが、TACIの使用も等しく適している。天然のレセプターへの結合に関わるAPRILの領域は、公知である(Hymowitz et al.,2005,J.Biol.Chem.280:7218−7227)。標的ペプチドは、このAPRILのAPRILレセプター結合領域を、APRILレセプター(またはその結合等価物)の結合を可能にする形態で含む。標的ペプチドは、選択された標的と特異的に相互作用するバインダーペプチドの同定および/または単離を可能にするために、固体支持体上に固定化される。用語「固定化される」は、限られた可動性を有すること、すなわち、低い可動性(reduce mobility)を意味すると理解されるべきである。限られた可動性、すなわち低い可動性は、洗浄工程において使用される洗浄媒質に対するものである。「固定化された」標的ペプチドは、固体支持体に直接結合されているかまたは固体支持体と直接相互作用する必要はない。その代わりに、それは、固体支持体に結合されているまたは固体支持体と相互作用する化合物または部分と相互作用し得る。ペプチドの固定化の手段の例としては、プラスチックへの非特異的な粘着、ビーズへのNH2結合、トシル活性化ビーズへの結合またはプロテインAビーズへの結合が挙げられるが、これらに限定されない。固体支持体上にペプチドを固定化するための方法は、当業者には明らかである。
【0026】
本発明の方法において使用される親和性選択手順における標的ペプチドは、APRILのAPRILレセプター結合領域およびいくつかのAPRILエピトープを含む。APRILのAPRILレセプター結合領域は、完全なAPRILタンパク質またはAPRILタンパク質の一部の形態で提示され得る。APRILタンパク質またはその一部の配列は、好ましくは、ヒト起源である。APRILエピトープは、APRILのAPRILレセプター結合領域上または標的ペプチドの異なる部分上に存在し得る。APRILのAPRILレセプター結合領域およびAPRILエピトープの選択は、標的ペプチドとシールドペプチドとの結合相互作用が可能であるようなものである。本明細書および添付の請求項において、いくつかとは、そうでないことが具体的に述べられない限り、使用されるたび
に、1つ以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7つまたはそれ以上のことを意味すると理解されるべきである。
【0027】
APRIL結合ペプチドを得るための本発明の方法において、標的ペプチド(APRILのAPRIL結合領域およびいくつかのAPRILエピトープを含む)は、APRILレセプターのAPRIL結合領域またはそのAPRIL結合等価物を含むシールドペプチドと相互作用した状態で、固体支持体上に固定化される。APRILレセプターのAPRIL結合領域は、完全なAPRILレセプタータンパク質またはAPRILレセプタータンパク質の一部において提示され得る。APRILレセプタータンパク質またはその一部の配列は、好ましくは、ヒト起源である。
【0028】
APRILレセプタータンパク質のAPRIL結合領域に対する代替物として、そのようなAPRILレセプタータンパク質のAPRIL結合等価物のAPRIL結合領域を使用してもよい。APRILレセプタータンパク質のAPRIL結合等価物は、例えば、APRIL−APRILレセプター界面においてAPRILに結合するペプチド、例えば、抗体であり得る。そのようなペプチドは、APRILといくつかのそのレセプター(BCMAまたはTACI)との相互作用を干渉するペプチドから選択され得る。例えば、WO2010/100056に開示されているhAPRIL.01A抗体またはそのアナログ。hAPRIL.01Aのアナログは、本明細書において定義されるような、抗体アナログ、特に、抗体フラグメントである。ある特定のAPRIL結合ペプチド、例えば、APRIL結合抗体がAPRILとAPRILレセプターとの相互作用を干渉するか否かは、WO2010/100056の実施例2における“Receptor Blockade”に記載されている方法に従って判定され得る。
【0029】
標的ペプチドは、シールドペプチドとの相互作用によって固体支持体上に固定化され得ることに注意するべきであり、前記シールドペプチドは、上で例証された公知の手段によって固体支持体上に固定化される。
【0030】
洗浄工程が、捕捉工程の後に続く。この工程では、未結合のエレメント(バインダーペプチドおよび/または標的ペプチドおよび/またはシールドペプチドおよび/または他の任意のエレメント)が、洗浄媒質、例えば、洗浄液を使用することによって、固体支持体から洗浄される。洗浄条件を選択することによって、選択のストリンジェンシーが、選択され得る。そのような方法は、当業者には明らかである。例えば、細胞を含む洗浄手順では、洗浄液としてリン酸緩衝食塩水または培養液が使用され得る。洗浄液は、洗浄手順のストリンジェンシー(イオン強度)に影響する高塩(例えば、1M塩化ナトリウム)または低塩(例えば、50mM塩化ナトリウム)を含み得る。洗浄液は、洗浄手順のストリンジェンシー(疎水性強度)に影響する界面活性剤、例えば、Nonidet P−40も含み得る。
【0031】
洗浄工程の後の同定工程では、洗浄工程の後も標的ペプチドと相互作用した状態のままであるバインダーペプチドが、同定される。同定工程は、固体支持体からのバインダーペプチドの溶出を含み得、その後、溶出されたバインダーペプチドが、任意の好適な公知の方法で同定され得る。当業者は、ペプチドを同定するために質量分析法、バインダーペプチドをコードするRNA分子を同定するためにRNA配列決定、またはバインダーペプチドをコードするcDNA分子を同定するためにDNA配列決定を適用し得る。あるいは、同定は、バインダーペプチドまたは標的ペプチドに連結された標識部分、例えば、蛍光標識を使用することによって行われ得、例えば、バイオマイクロアレイの適用において行われる。
【0032】
ある特定の実施形態によると、本発明の方法は、固体支持体および/またはシールドペ
プチドに結合するペプチドのネガティブ選択の工程をさらに含み得る。ある特定の親和性選択手順では、そのようなネガティブ選択工程の使用は、APRILに対して改善された特異性を有するAPRIL結合ペプチドをもたらし得る。その改善は、ネガティブ選択工程を含まない方法において得られるAPRIL結合ペプチドと比較したときのものである。
【0033】
ネガティブ選択工程では、バインダーペプチドが、標的ペプチドよりもシールドペプチドまたは固体支持体に対して高い親和性を有する場合、そのバインダーペプチドを廃棄する。ネガティブ選択工程は、シールドペプチドと相互作用した状態の標的ペプチドを使用して、捕捉工程の前または後に行われ得る(第1捕捉工程)。ある特定の実施形態によると、ネガティブ選択工程は、標的ペプチドの非存在下における、シールドペプチド(固体支持体上に固定化されたもの)へのライブラリーのバインダーペプチドの結合を含むネガティブ捕捉工程を含めることによって、第1捕捉工程の前に行われる。このネガティブ事前選択工程では、未結合のバインダーペプチドが、第1工程において使用するために選択される。ある特定の他の実施形態によると、ネガティブ選択工程は、標的ペプチドの非存在下におけるシールドペプチド(固体支持体上に固定化されたもの)への、第1捕捉工程において選択されたバインダーペプチドの結合を含むネガティブ捕捉工程を含めることによって、第1捕捉工程の後に行われる。このネガティブ事後選択工程では、未結合のバインダーペプチドが、APRIL結合ペプチドとして選択される。ネガティブ選択工程を行う場合、標的ペプチドの固定化が、シールドペプチドとの相互作用に依存すること(シールドペプチドは、標的ペプチドよりも固体支持体とより強く相互作用すること)が好ましい。この実施形態において、標的ペプチドは、事前選択テストの後に固体支持体上に固定化されたシールドペプチドとの相互作用をもたらし得るか、または標的ペプチドと固定化されたシールドペプチドとの相互作用は、事後選択工程のために妨害され得る。
【0034】
上に記載された本発明の方法の手順において、APRIL結合ペプチドが、同定および/または単離される。APRIL結合ペプチドの生成を促進するために、選択されたAPRIL結合ペプチドのアミノ酸配列、ならびに/またはその方法を用いて同定されたおよび/もしくは得られたAPRIL結合ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を決定することが有益であり得る。これにより、APRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列のトランスフェクションが可能になり、APRIL結合ペプチドを良好な効率で産生できる生物が作出される。使用されるバインダーペプチドのライブラリーに応じて、APRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、当業者に利用可能な様々な方法によって決定および/または単離され得る。
【0035】
ライブラリーが、免疫された哺乳動物から回収されたリンパ球のコレクションである場合、APRIL結合ペプチドは、得られたリンパ球クローンの細胞表面上に提示される免疫グロブリン分子であり得る。APRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、そのリンパ球クローンの培養物からRNAを単離し、免疫グロブリン特異的プライマーを使用してその免疫グロブリン配列を選択的に増幅した後、選択的に増幅された配列を配列決定することによって得られる場合がある。
【0036】
ライブラリーが、ファージのコレクションである場合、選択された結合ペプチドは、ファージの表面上に提示される抗体または抗体フラグメントであり得る。APRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチドは、単離されたファージからDNAを単離した後、そのDNAを配列決定することによって、単離され得る。
【0037】
ライブラリーが、リボソーム上にディスプレイされるmRNAのコレクションである場合、選択された結合ペプチドは、リボソーム上にディスプレイされ得る。APRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチドは、リボソームに結合したmRNAを単離することに
よって単離され得る。その結合ペプチドが何であるか(identity)は、直接的なRNAの配列決定、またはmRNAに相補的なcDNAを生成した後の選択的に増幅された配列の配列決定によって明らかにされる。
【0038】
ライブラリーが、ビーズに結合した結合ペプチドのコレクション(1ビーズ1化合物ライブラリー)である場合、1つの結合ペプチドは、1つのビーズに結合されている。APRIL結合ペプチドが何であるかは、親和性選択手順において選択されたビーズからペプチドを回収した後の質量分析手順によって明らかにされる。
【0039】
APRIL結合ペプチドを得るための本発明の方法では、反応およびプロセス、例えば、結合親和性選択プロセスおよび関連するプロセス、例えば、捕捉工程および洗浄工程は、好適な容器内、例えば、反応容器内、特に、そのようなスクリーニング方法のために実験室規模で使用される容器内で行われ得ることが明らかであろう。
【0040】
本発明はさらに、APRIL結合ペプチドを得るための本発明に係る方法を用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドに関する。本発明の方法を用いると、多数の異なるAPRIL結合ペプチドが得られる場合があることは、当業者には明らかであろう。本発明の方法を用いて入手可能な結合ペプチドは、公知のAPRIL結合ペプチドと比べて、APRILがそのレセプターに結合するのを干渉する程度が低いという共通の特徴を共有する。したがって、それらは、レセプターまたはその結合等価物、例えば、hAPRIL.01Aまたはそのアナログと複合体化したAPRILに、より良好に結合することができる。本発明のAPRIL結合ペプチド、例えば、抗体は、通常、それらの標的(APRIL、好ましくは、ヒトAPRIL)に対して、約10−3M未満、より通常は、10−6M未満、典型的には、10−7M未満、より典型的には、10−8M未満、好ましくは、10−9M未満、より好ましくは、10−10M未満、最も好ましくは、10−11M未満のKを有し得る(例えば、Presta,et al.,2001,Thromb.Haemost.85:379−389;Yang,et al.,2001,Crit.Rev.Oncol.Hematol.38:17−23;Carnahan,et al.,2003,Clin.Cancer Res.(Suppl.)9:3982s−3990sを参照のこと)。ある特定の実施形態によると、標的(APRIL、好ましくは、ヒトAPRIL)に対する本発明のAPRIL結合ペプチド、例えば、抗体のKは、1×10−6〜0.5×10−11M、1×10−7〜0.5×10−11M、1×10−8〜0.5×10−11M、1×10−8〜1×10−11M、好ましくは、5×10−9〜1×10−11M、より好ましくは、5×10−9〜1×10−10Mから選択され得る。結合親和性は、標準的な解析を使用して測定され得る。ある特定の実施形態によると、入手可能なAPRIL結合ペプチドは、少なくとも5×10−9M、好ましくは、1×10−8M超、より好ましくは、1×10−7M超、最も好ましくは、1×10−6M超という、APRILレセプター−APRIL相互作用の阻害に対するIC50を有する。例えば、APRILレセプター−APRIL相互作用の阻害に対するIC50は、5×10−9〜1×10−4M、例えば、5×10−9〜1×10−5M、好ましくは、1×10−8〜1×10−5M、例えば、1×10−8〜1×10−6M、1×10−8〜1×10−7M、1×10−7〜1×10−5Mまたは1×10−7〜1×10−6Mであり得る。
【0041】
ある特定の実施形態によると、入手可能なAPRIL結合ペプチドは、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの結合フラグメントである。本明細書および添付の請求項では、免疫グロブリンおよび抗体という用語は、同義語として使用され、ゆえに、相互交換可能である。用語「抗体」とは、所望の活性、特に、標的に結合する活性を示す任意の形態の抗体のことを指す。標的に結合することによって、ある特定の所望の効果が促進され得る。例えば、抗体に結合されることによって会合される化合物または部分が、その標的の位置
に標的化され得る。本発明では、標的は、APRIL、好ましくは、ヒトAPRILである。APRILを標的とする抗体は、APRILがそのレセプターまたはそのアナログに結合されたとき、APRILに結合し得る。
【0042】
用語「抗体」は、最も広い意味において使用され、詳細には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体および多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を網羅するがこれらに限定されない。本発明において、ある特定の抗体に由来するペプチドは、抗体アナログであると考えられ得る。当業者は、本発明の文脈において抗体アナログが適切に機能するために、得られた抗体(または抗体アナログ)が、その元の抗体の抗原結合領域を含むことを理解するだろう。抗体アナログは、特に、抗体フラグメント、改変されたエフェクター機能を有する抗体、下記で定義されるようなキメラ抗体およびヒト化抗体を含む。
【0043】
「抗体フラグメント」および「抗体結合フラグメント」は、典型的には、親抗体の抗原結合領域または可変領域の少なくとも一部を含む、抗体の抗原結合フラグメントおよび類似の部分のことを意味する。抗体フラグメントは、親抗体の結合特異性の少なくともいくらかを保持する。このために、抗体フラグメントは、いくつかのCDR、特に、V領域のいくつかのCDR、例えば、V領域のCDR1、CDR2およびCDR3を含む。V領域のいくつかのCDRに加えて、抗体フラグメントは、V領域のいくつかのCDR、例えば、V領域のCDR1、CDR2およびCDR3も含み得る。ある特定の実施形態によると、抗体フラグメントは、V領域のCDR1、CDR2およびCDR3とともに、V領域のCDR1、CDR2およびCDR3を含み得る。典型的には、抗体フラグメントは、その活性がモル濃度に基づいて表現されるとき、親の結合活性の少なくとも10%を保持する。好ましくは、抗体フラグメントは、親抗体の、標的に対する結合親和性の少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%もしくは100%またはそれ以上を保持する。ゆえに、当業者にとって明らかであるように、多くの用途における「抗体フラグメント」は、抗体に取って代わることがあり、用語「抗体」は、そのような置き換えが適切であるとき、「抗体フラグメント」を含むと理解されるべきである。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;ダイアボディ;鎖状抗体;一本鎖抗体分子、例えば、sc−Fv、ユニボディ(unibodies)またはデュオボディ(duobodies)(Genmabの技術);ドメイン抗体(Domantisの技術);ナノボディ(Ablynxの技術);および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。操作された抗体バリアントは、Holliger and Hudson,2005,Nat.Biotechnol.23:1126−1136において概説されている。
【0044】
「Fabフラグメント」は、1本の軽鎖ならびに1本の重鎖のCH1および可変領域を含む。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成できない。
【0045】
「Fc」領域は、抗体のC1およびC2ドメインを含む2つの重鎖フラグメントを含む。その2つの重鎖フラグメントは、2つ以上のジスルフィド結合およびC3ドメインの疎水性相互作用によって一体として保持される。
【0046】
「Fab’フラグメント」は、1本の軽鎖、ならびにVドメインおよびC1ドメイン、およびまたC1ドメインとC2ドメインとの間の領域を含む1本の重鎖の一部を含み、鎖間ジスルフィド結合が、2つのFab’フラグメントの2本の重鎖の間に形成されて、F(ab’)分子が形成され得る。
【0047】
「F(ab’)フラグメント」は、2本の軽鎖、およびC1ドメインとC2ドメインとの間の定常領域の一部を含む2本の重鎖を含み、鎖間ジスルフィド結合が、それら
の2本の重鎖の間に形成される。したがって、F(ab’)フラグメントは、その2本の重鎖の間のジスルフィド結合によって一体として保持される2つのFab’フラグメントから構成される。
【0048】
「Fv領域」は、重鎖と軽鎖の両方に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠く。
「一本鎖Fv抗体」(または「scFv抗体」)とは、抗体のVおよびVドメインを含む抗体フラグメントのことを指し、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖として存在する。一般に、Fvポリペプチドは、scFvが抗原結合にとって所望の構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをVドメインとVドメインとの間にさらに含む。scFvの概説については、Pluckthun,1994,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315を参照のこと。国際特許出願公開番号WO88/01649ならびに米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号も参照のこと。
【0049】
「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントである。それらのフラグメントは、同じポリペプチド鎖において軽鎖可変ドメイン(V)に接続された重鎖可変ドメイン(V)(V−VまたはV−V)を含む。短すぎて、同じ鎖上でそれらの2つのドメインの間で対形成ができないリンカーを使用することによって、それらのドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対形成せざるを得ず、2つの抗原結合部位が形成される。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHolliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448により十分に説明されている。
【0050】
「ドメイン抗体フラグメント」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域だけを含む免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントである。場合によっては、2つ以上のV領域が、ペプチドリンカーによって共有結合的に連結されて、二価のドメイン抗体フラグメントが形成される。二価のドメイン抗体フラグメントの2つのV領域は、同じ抗原を標的化してもよいし、異なる抗原を標的化してもよい。
【0051】
本発明の抗体フラグメントは、低下したジスルフィド結合能を有する重鎖の二量体化(または多量体化)を可能にするのに十分な定常領域の一部を含み得、例えば、通常、重鎖間のジスルフィド結合に関わるヒンジシステインの少なくとも1つが、当業者に利用可能な公知の方法を用いて変更される。別の実施形態において、抗体フラグメント、例えば、Fc領域を含む抗体フラグメントは、インタクトな抗体として存在するとき、通常、Fc領域に関連する生物学的機能の少なくとも1つ、例えば、FcRn結合、抗体半減期の調節、ADCC(抗体依存性細胞傷害)機能および/または補体結合(例えば、その抗体が、ADCC機能または補体結合に必要なグリコシル化プロファイルを有する場合)を保持する。
【0052】
本発明では、抗体は、APRIL、好ましくは、ヒトAPRILに対して産生され、ゆえにAPRIL、好ましくは、ヒトAPRILに結合するおよび/またはそれと相互作用する結合ドメインを含む。抗体は、ヒト抗原に対する抗体の誘発に適した非ヒト種の動物において産生され得る。あるいは、抗体は、McCafferty et al.,1990,Nature,348:552−554.Clackson et al.,1991,Nature,352:624−628およびMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581−597に記載されている手法を使用して作製された抗体ファージライブラリーから単離され得る。当業者は、ヒト抗原に対する抗体の誘発に適した非ヒト種を選択できるだろう。例えば、選択は、非ヒト哺乳動物、例えば
、マウス(ラットまたはマウス)もしくはハムスター種を含むげっ歯類、あるいはラクダ科動物種から行われ得る。
【0053】
抗体は、非ヒト種において産生されるとき、好ましくは、「キメラ抗体」を形成するための当該分野で公知の方法および手法によってキメラ化される。
【0054】
用語「キメラ」抗体とは、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種から得られた抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であるが、それらの鎖の残りの部分は、別の種から得られる抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体ならびにそのような抗体のフラグメントにおける対応する配列と同一または相同である抗体のことを指す(例えば、米国特許第4,816,567号およびMorrison et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855を参照のこと)。本発明において、「キメラ抗体」は、好ましくは、「ヒト化抗体」である。
【0055】
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒト化抗体」とは、非ヒト(例えば、マウス)抗体由来の配列ならびにヒト抗体由来の配列を含む抗体の形態のことを指す。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、ここで、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリン配列のそれである。ヒト化抗体は、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部も含み得る。げっ歯類抗体のヒト化型は、親のげっ歯類抗体と同じCDR配列を本質的には含むが、親和性を高めるため、ヒト化抗体の安定性を高めるため、または他の理由のために、ある特定のアミノ酸置換が含められ得る。しかしながら、CDRループ交換によって、元の抗体と同じ結合特性を有する抗体が均一にもたらされることはないので、抗原結合親和性を保存するために、CDRループ支持に関わる残基であるフレームワーク残基(FR)の変更も、ヒト化抗体に導入され得る(Kabat
et al.,1991,J.Immunol.147:1709)。
【0056】
用語「抗体」には、「完全ヒト」抗体、すなわち、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列だけを含む抗体も含まれる。完全ヒト抗体は、マウス、非ヒト細胞(例えば、マウスまたはハムスター)またはマウス細胞由来のハイブリドーマにおいて産生される場合、非ヒト、例えば、マウス(ラットまたはマウス)の糖鎖を含み得る。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」とは、それぞれマウスまたはラットの免疫グロブリン配列だけを含む抗体のことを指す。完全ヒト抗体は、人間において、ヒト免疫グロブリン生殖細胞系列の配列を有するトランスジェニック非ヒト動物において、ファージディスプレイによって、または他の分子生物学的方法によって、生成され得る。また、組換え免疫グロブリンもまた、トランスジェニックマウスにおいて産生され得る。Mendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146−156を参照のこと。Abgenix、Medarex、MeMoおよびKymabの技術も参照のこと。
【0057】
用語「超可変領域」は、本明細書中で使用されるとき、抗原結合に関与する、抗体のアミノ酸残基のことを指す。超可変領域は、配列アラインメントによって定義される「相補性決定領域」または「CDR」のアミノ酸残基、例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3)(Kabat et al.,1991,Sequences of proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public
Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.を参照のこと)、ならびに/または構造的に定義されるような「超可変ループ」(HVL)の残基、例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3)(Chothia and Leskl,1987,J.Mol.Biol.196:901−917を参照のこと)を含む。「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書中で定義されるような超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0058】
ある特定の実施形態によると、入手可能なAPRIL結合ペプチド、例えば、抗体またはそのアナログは、配列番号5、6および7または配列番号15、16および17または配列番号25、26および27または配列番号35、36および37または配列番号45、46および47から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有するCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む免疫グロブリンVドメイン、例えば、配列番号3、13、23、33または43から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有するVドメインを含む。当業者が理解するように、Vドメインは、主に、抗体の結合親和性および特異性の決定において支配的である。したがって、Vドメインの非存在下において、例えば、ラクダ科動物由来の抗体およびラクダ化(camelised)抗体において、有効な結合が得られることがある。
【0059】
前記APRIL結合ペプチド、例えば、抗APRIL抗体またはそのアナログは、配列番号5、6、7、8、9および10または配列番号15、16、17、18、19および20または配列番号25、26、27、28、29および30または配列番号35、36、37、38、39および40または配列番号45、46、47、48、49および50から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有するVCDR1、VCDR2 VCDR3、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列を含む免疫グロブリンVおよびVドメイン、例えば、配列番号3および4または13および14または23および24または33および34または43および44から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有するVドメインとVドメインとの対を含み得る。これらの様々な配列をコードするDNA配列は、遺伝暗号の知識に基づいて、当業者によって決定され得る。下記の表2には、VおよびVアミノ酸配列をコードするいくつかのDNA配列を列挙する。それらの配列は、配列表に提供されている。
【0060】
当業者が理解するように、「配列類似性」とは、個々のヌクレオチド配列またはペプチド配列が似ている程度のことを指す。2つの配列の間の類似性の程度は、保存的変更の程度と組み合わせた同一性の程度に基づく。「配列類似性」のパーセンテージは、同一であるかまたは保存的に変更された、アミノ酸またはヌクレオチドのパーセンテージ、すなわち、「配列類似性」=(%配列同一性)+(%保存的変更)である。
【0061】
本発明の目的で、「保存的変更」および「同一性」は、より広い用語「類似性」の一種であると考えられる。したがって、配列「類似性」という用語が使用されるときは必ず、その用語は、配列「同一性」および「保存的変更」を包含する。
【0062】
用語「配列同一性」は、当業者に公知である。2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列によって共有される配列同一性の程度を測定するために、それらの配列を、最適な比較
目的でアラインメントする(例えば、第2のアミノ酸配列または核酸配列との最適なアラインメントのために、第1のアミノ酸配列または核酸配列の配列にギャップが導入され得る)。そのようなアラインメントは、比較される配列の全長にわたって行われ得る。あるいは、アラインメントは、より短い比較長にわたって、例えば、約20個、約50個、約100個またはそれ以上の核酸/塩基またはアミノ酸にわたって、行われ得る。
【0063】
次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが、比較される。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されているとき、それらの分子は、その位置において同一である。配列間で共有される同一性の程度は、典型的には、2つの配列間の同一性パーセンテージに関して表現され、それらの配列において同一の残基によって共有された同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=対応する位置における同一の残基の数/位置の総数×100)。好ましくは、比較される2つの配列は、同じ長さまたは実質的に同じ長さである。
【0064】
「保存的変更」のパーセンテージは、配列同一性のパーセンテージと同様に測定され得る。しかしながら、この場合、元の残基の機能特性を保存する可能性があるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の特定の位置における変更は、あたかも変更が生じていないようにスコア付される。
【0065】
アミノ酸配列の場合、関係する機能特性は、アミノ酸の物理化学的特性である。本発明のポリペプチドにおけるアミノ酸の保存的置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択され得る。例えば、特定のサイズまたは特徴(例えば、電荷、疎水性および親水性)を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸が、タンパク質の活性を、特に、生物学的活性と直接関連しないそのタンパク質の領域において、実質的に変更することなく、別のアミノ酸の代わりに用いられ得ることは、タンパク質生化学の分野で周知である(例えば、Watson,et al.,Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(第4版、1987)を参照のこと)。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンが挙げられる。極性で中性のアミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられる。正に帯電した(塩基性の)アミノ酸としては、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが挙げられる。負に帯電した(酸性の)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。保存的置換としては、例えば、正電荷を維持するための、Argの代わりのLysおよびその逆;負電荷を維持するための、Aspの代わりのGluおよびその逆;自由な−OHを維持するような、Thrの代わりのSerおよびその逆;ならびに自由な−NHを維持するための、Asnの代わりのGlnおよびその逆が挙げられる。
【0066】
本発明のAPRIL結合ペプチドのアミノ酸配列における例示的な保存的置換は、以下のような下記に示されるものに従って行われ得る:
【0067】
【表2】
【0068】
ヌクレオチド配列の場合、関係する機能特性は、主に、その配列のオープンリーディングフレーム内のある特定のヌクレオチドが有する、転写および/または翻訳の機構に関する生物学的情報である。遺伝暗号が縮重(または冗長性)を有すること、および複数のコドンが、それらがコードするアミノ酸に関して同じ情報を有し得ることは、通常の知識である。例えば、ある特定の種では、アミノ酸であるロイシンは、UUA、UUG、CUU、CUC、CUA、CUGコドン(またはDNAの場合はTTA、TTG、CTT、CTC、CTA、CTG)によってコードされ、アミノ酸であるセリンは、UCA、UCG、UCC、UCU、AGU、AGC(またはDNAの場合はTCA、TCG、TCC、TCT、AGT、AGC)によって特定される。翻訳された情報を変化させないヌクレオチドの変更は、保存的変更であると考えられる。
【0069】
当業者は、種々の数学的アルゴリズムを使用するいくつかの異なるコンピュータプログラムが、2つの配列間の同一性を測定するために利用可能であるという事実を承知している。例えば、NeedlemanおよびWunschアルゴリズム(Needleman
et al.(1970))を用いるコンピュータプログラムが、使用され得る。ある実施形態によると、コンピュータプログラムは、Accelerys GCGソフトウェアパッケージ(Accelerys Inc.,San Diego U.S.A)におけるGAPプログラムである。使用され得る代替行列は、例えば、16、14、12、10、8、6または4というギャップウェイト(gap weight)および1、2、3、4、5または6というレングスウェイト(length weight)を用いる、BLOSUM62行列またはPAM250行列である。当業者は、これらの種々のパラメータのすべてが、わずかに異なる結果をもたらし得るが、異なるアルゴリズムを使用しても、2つの配列の全体的な同一性パーセンテージは有意に変化しないことを認識するだろう。
【0070】
ある実施形態によると、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、Accelrys GCGソフトウェアパッケージ(Accelerys Inc.,San Diego U.S.A)におけるGAPプログラムを使用して測定される。NWSgapdna CMP行列および40、50、60、70または80というギャップウェイトおよび1、2、3、4、5または6というレングスウェイトが使用される。
【0071】
別の実施形態において、2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の同一性パーセントは、PAM120重み付き残基表(weight residue table)、12というギャップ長ペナルティ(gap length penalty)および4というギャップペナルティ(gap penalty)を使用する、ALIGNプログラム(バージョン2.0)(GenestreamサーバーIGH Montpellier France http://vegajgh.mrs.fr/bin align−guess.cgiの配列データを使用してALIGN Queryにおいて利用可能である)に組み込まれたE.MeyersおよびW.Millerのアルゴリズム(Meyers et al.(1989))を使用して測定される。
【0072】
本発明では、ヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の同一性パーセンテージおよび/または類似性パーセンテージを測定するためにBLAST(Basic Local Alignment Tool)を使用することが最も好ましい。
【0073】
Altschul et al.(1990)のBLASTn、BLASTp、BLASTx、tBLASTnおよびtBLASTxプログラムを使用するクエリーは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を介してアクセス可能なBLASTのオンラインバージョンを通じてポストされ得る。あるいは、NCBIのインターネットサイトを通じてもダウンロード可能なBLASTのスタンドアローンバージョン(例えば、バージョン2.2.24(2010年8月23日公開))を使用してもよい。好ましくは、BLASTクエリーは、以下のパラメータを用いて行われる。アミノ酸配列間の同一性パーセンテージおよび/または類似性パーセンテージを測定するために:アルゴリズム:blastp;ワードサイズ:3;スコア行列:BLOSUM62;ギャップコスト:有り(Existence):11、伸長:1;組成調整(compositional adjustments):条件的組成スコアマトリックス調整(conditional compositional score matrix adjustment);フィルター:オフ;マスク:オフ。ヌクレオチド配列間の同一性パーセンテージおよび/または類似性パーセンテージを測定するために:アルゴリズム:blastn;ワードサイズ:11;クエリー範囲内の最大マッチ数:0;マッチ/ミスマッチスコア:2、−3;ギャップコスト:有り:5、伸長:2;フィルター:低複雑領域;マスク:ルックアップテーブルのみに対してマスク。
【0074】
「保存的変更」のパーセンテージは、示されたアルゴリズムおよびコンピュータプログラムを活用して、配列同一性のパーセンテージと同様に測定され得る。いくつかのコンピュータプログラム、例えば、BLASTpは、正(=類似性)の数値/パーセンテージおよび同一性の数値/パーセンテージを示す。保存的変更のパーセンテージは、正/類似性のパーセンテージから同一性のパーセンテージを減算することによって、それらから導き出され得る(保存的変更パーセンテージ=類似性パーセンテージ−同一性パーセンテージ)。
【0075】
APRIL結合ペプチドに対する入手可能な配列情報に基づいて、さらなる操作が可能である。APRIL結合ペプチドが抗体である場合、その抗体DNAは、例えば、ヒト重鎖定常ドメインおよびヒト軽鎖定常ドメインに対するコード配列を相同なマウス配列の代
わりに置換すること(米国特許第4,816,567号;Morrison,et al.,1984,Proc.Natl Acad.Sci.USA,81:6851)または非免疫グロブリン材料(例えば、タンパク質ドメイン)に対するコード配列の全部もしくは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合的に連結することによって、改変され得る。典型的には、そのような非免疫グロブリン材料は、抗体の定常ドメインの代わりに用いられるか、または抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに用いられることにより、ある抗原に対して特異性を有する1つの抗原結合部位および異なる抗原に対して特異性を有する別の抗原結合部位を含むキメラ二価抗体が形成される。
【0076】
ラクダ化抗体は、マウス抗体に由来する重鎖のみの抗体である。ラクダ化は、Tanha et al.,Protein Eng Des Sel.,2006,19:503−9の方法に従って行われ得る。
【0077】
ヒト化抗体は、非ヒトである起源由来の1つ以上のアミノ酸残基を有する。非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「移入(import)」残基と称され、典型的には、「移入」可変ドメインから選び取られる。ヒト化は、通常、Winterおよび共同研究者の方法(Jones et al.,1986,Nature 321:522−525;Riechmann et al.,1988,Nature,332:323−327;Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534−1536)に従って、げっ歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることによって、行われ得る。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、実質的に決してインタクトでないヒト可変ドメインが非ヒト種由来の対応する配列によって置換された抗体である。実際に、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基およびおそらくいくつかのFR残基が、非ヒト抗体、例えば、げっ歯類抗体における類似の部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。
【0078】
ヒト化抗体を作製する際に使用される軽鎖と重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、低抗原性が妥当である場合、非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によると、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。次いで、げっ歯類の配列に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体に対するヒトフレームワーク(FR)として許容する(Sims et al.,1987,J.Immunol.151:2296;Chothia et al.,1987,J.Mol.Biol.196:901)。別の方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークが使用される。同じフレームワークが、いくつかの異なるヒト化抗体に対して使用され得る(Carter et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
89:4285;Presta et al.,1993,J.Immnol.151:2623)。
【0079】
抗原に対する高親和性および他の好ましい生物学的特性を保持した状態で、抗体がヒト化されることがさらに重要である。この目標を達成するために、好ましい方法によると、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化配列の3次元モデルを使用する、親配列および様々な概念上のヒト化産物の解析のプロセスによって調製される。3次元免疫グロブリンモデルが、通常、利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の有望な3次元立体配座構造を図示および表示するコンピュータプログラムが、利用可能である。これらの表示を調べることにより、候補免疫グロブリン配列が機能する際のそれらの残基が担う可能性のある役割の解析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響する残基の解析が可能になる。このようにして、FR残基は、レシピエントから選択され、組み合わされ得、配列を移入し得、所望の抗体特性、例えば、標的抗原に対する高い親和性が達成される。通常、CDR残基は、抗原結合性への影響に直
接かつ最も実質的に関わる。
【0080】
抗体のヒト化は、端的なタンパク質工学の課題である。ほぼすべてのマウス抗体が、抗原結合性の保持をもたらすCDR移植によってヒト化され得る。Lo,Benny,K.C.,editor,in Antibody Engineering:Methods and Protocols,volume 248,Humana Press,New Jersey,2004を参照のこと。
【0081】
ヒト化抗APRIL抗体のアミノ酸配列バリアントは、適切なヌクレオチド変更をヒト化抗APRIL抗体のDNAに導入することによってまたはペプチド合成によって調製される。そのようなバリアントとしては、例えば、ヒト化抗APRIL抗体に対して示されたアミノ酸配列からの欠失および/またはそのアミノ酸配列への挿入および/またはそのアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入および置換の任意の組み合わせが行われることにより、最終的な構築物に到達するが、但し、その最終的な構築物は、所望の特徴を有する。アミノ酸の変更は、ヒト化抗APRIL抗体の翻訳後プロセスも変化させることがあり、例えば、グリコシル化部位の数または位置を変化させることがある。
【0082】
突然変異誘発にとって好ましい位置であるヒト化抗APRIL抗体ポリペプチドのある特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081−1085によって報告された「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的残基のうちの1つの残基または群が、同定され(例えば、荷電残基、例えば、Arg、Asp、His、LysおよびGlu)、中性アミノ酸または負に帯電したアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられることにより、それらのアミノ酸とAPRIL抗原との相互作用に影響を及ぼす。次いで、それらの置換に対して機能感受性を示したアミノ酸残基が、その置換の部位においてまたはその置換の部位の代わりに、さらなるまたは他のバリアントを導入することによって、洗練される。したがって、アミノ酸配列バリエーションを導入するための部位は、あらかじめ決められているが、変異の性質自体は、あらかじめ決められている必要はない。例えば、所与の部位における変異の性能を解析するために、Alaスキャニングまたはランダム突然変異誘発を標的コドンまたは標的領域において行い、発現されたヒト化抗APRIL抗体のバリアントを、所望の活性についてスクリーニングする。
【0083】
通常、ヒト化抗APRIL抗体のアミノ酸配列バリアントは、元のマウス抗体の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列と少なくとも75%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%、98%または99%を有するアミノ酸配列を有し得る。この配列に対する同一性または相同性は、配列をアラインメントし、必要であれば、最大の配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後に、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として見なさないとき、ヒト化残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと本明細書中で定義される。抗体配列に対してN末端、C末端または内部における伸長、欠失または挿入のいずれもが、配列同一性または相同性に影響すると解釈されないものとする。2つの配列の間の同一性のパーセンテージは、SeqManII(DNAstar Inc,バージョン5.05)などのコンピュータアプリケーションを用いて決定され得る。このプログラムを使用し、SmithおよびWatermanの最適なアラインメントアルゴリズム(1981)(Journal of Molecular Biology 147:195−197)を使用して、2つの配列をアラインメントすることができる。2つの配列をアラインメントした後、それらの2つの配列の間で同一のアミノ酸の数を、アラインメントされた配列の長さ−全ギャップの長さで除算することによって、同一性パーセンテージを計算することができる。
【0084】
ヒト化抗APRIL抗体において望ましいと本明細書中で特定された特徴を有する抗体は、インビトロにおける生物学的な阻害活性または好適な結合親和性についてスクリーニングされ得る。ヒトAPRIL上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)に記載されているアッセイなどの通例の交差阻止(cross−blocking)アッセイが行われ得る。同じエピトープに結合する抗体は、そのようなアッセイにおいて交差阻止する可能性があるが、交差阻止は、重複するエピトープに結合する抗体または重複していない近傍のエピトープに結合する抗体による、抗体結合の立体障害に起因し得るので、必ずしもすべての交差阻止抗体が、まったく同じエピトープに結合するわけでない。
【0085】
あるいは、当該抗体が目的のエピトープに結合するか否かを判定するために、例えば、Champe et al.,1995,J.Biol.Chem.270:1388−1394に記載されているような、エピトープマッピングを行うことができる。ヒトAPRILにおけるアミノ酸残基の、Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081−1085によって報告された「アラニンスキャニング突然変異誘発」またはいくつかの他の形態の点突然変異誘発もまた、本発明の抗APRIL抗体に対する機能的エピトープを判定するために使用され得る。抗体のエピトープをマッピングする別の方法は、Medemaら(WO/2010/100056)、Slootstraら(Slootstra et al.,1996,Mol.Diversity 1:87−96)およびTimmermanら(Timmerman et al.,2007,J.Mol.Recognit.20:283−299)によって報告されたようなクレジットカード型ミニPEPSCANカード(credit−card
format mini PEPSCAN cards)を使用してスクリーニングされ得る合成直鎖ペプチドおよびCLIPSペプチドへの抗体の結合を調べるものである。各ペプチドへの抗体の結合は、PEPSCANに基づく酵素結合イムノアッセイ(ELISA)において測定される。
【0086】
本発明の抗体と同じエピトープに結合するさらなる抗体は、例えば、APRILに対して産生された抗体をそのエピトープへの結合についてスクリーニングすること、またはエピトープ配列を含むヒトAPRILのフラグメントを含むペプチドで動物を免疫することによって、得られる場合がある。同じ機能的エピトープに結合する抗体は、類似の生物学的活性、例えば、レセプター結合の阻止を示すと予想され得、そのような活性は、それらの抗体の機能的アッセイによって確認することができる。
【0087】
本発明の抗体と同じエピトープに対する他のAPRIL結合ペプチドは、例えば、本発明の選択技術および結合ペプチドをディスプレイするライブラリーを用いて結合ペプチドをあらかじめ選択することによって、得られる場合がある。同じ機能的エピトープに結合する結合ペプチドは、類似の生物学的活性、例えば、レセプター結合の阻止を示すと予想され得、そのような活性は、それらの抗体の機能アッセイによって確認することができる。
【0088】
APRILに対するAPRIL結合ペプチドの親和性は、標準的な解析を用いて測定され得る。好ましい結合ペプチド、例えば、抗体は、約1×10−7未満;好ましくは、約1×10−8未満;より好ましくは、約1×10−9未満;最も好ましくは、約1×10−10未満または1×10−11M未満というKd値でヒトAPRILに結合するものである。
【0089】
本明細書中で使用されるとき、用語「約」は、当業者によって測定されたときの特定の値に対して許容され得る誤差範囲内の値のことを指し、その誤差範囲は、その値がどのようにして計測または測定されたか、すなわち、計測システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該分野の慣例に従って1以内または1を超える標準偏差のことを意味し得る。あるいは、「約」または「〜を本質的に含む」は、20%までの範囲を意味し得る。さらに、特に生体系または生物学的プロセスに関して、この用語は、ある値の最大1桁または最大5倍を意味し得る。特定の値が、本願および請求項において提供されるとき、別段述べられない限り、「約」または「〜を本質的に含む」の意味は、その特定の値に対する許容され得る誤差範囲内であると見なされるべきである。
【0090】
抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリンから選択され得る。好ましくは、抗体は、IgG抗体である。IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプのIgGを使用することができる。IgGアイソタイプのバリアントも企図される。ヒト化抗体は、2つ以上のクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含み得る。所望の生物学的活性をもたらすのに必要な定常ドメイン配列の最適化は、実施例に記載される生物学的アッセイにおいて抗体をスクリーニングすることによって容易に達成される。
【0091】
同様に、いずれかのクラスの軽鎖を本明細書中の組成物および方法において使用することができる。詳細には、カッパ、ラムダまたはそれらのバリアントが、本組成物および本方法において有用である。
【0092】
本発明のAPRIL結合ペプチド、例えば、抗APRIL抗体またはその抗体アナログは、標識、例えば、フルオロフォア、例えば、希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体を含む、蛍光標識または化学発光(chemilluminescent)標識から選択される標識、イソチオシアネート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド(phthaladehyde)、フルオレサミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム(acridimium)塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識ならびに安定したフリーラジカルと結合体化され得る。
【0093】
Hunter et al.,1962,Nature 144:945;David
et al.,1974,Biochemistry 13:1014;Pain et al.,1981,J.Immunol.Meth.40:219;およびNygren,J.,1982,Histochem.and Cytochem.30:407に記載された方法をはじめとした、タンパク質分子を様々な部分に結合体化するための当該分野で公知の任意の好適な方法が使用され得る。抗体およびタンパク質を結合体化するための方法は、当該分野における慣習的かつ周知のものである。
【0094】
ある特定の実施形態によると、本発明の方法を用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドは、コンビナトリアルペプチドライブラリーから入手可能な結合ペプチドである。そのようなAPRIL結合ペプチドは、抗体構造に基づく必要はなく、ゆえに、非抗体結合ペプチドであり得る。例としては、1ビーズ−1ペプチドライブラリーに由来するAPRIL結合ペプチドが挙げられる。他の例としては、操作されたタンパク質骨格、例えば、アドネクチン、アフィボディ、アンチカリンおよびDARPinに基づくAPRIL結合ペプチドが挙げられる。
【0095】
本発明のさらなる態様は、APRIL結合ペプチドを得るための本発明の方法を用いて
入手可能なAPRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む細胞に関する。上で論じたように、APRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、使用されるバインダーペプチドのライブラリーに応じて、種々の手順を用いて決定および/または単離され得る。このようにして、本発明のAPRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチド配列が得られる場合がある。そのようなヌクレオチド配列は、宿主細胞のトランスフェクションのために使用され得る。したがって、その細胞は、遺伝的に改変された細胞であり得る。特に、その細胞は、APRIL結合ペプチドをコードするヌクレオチドを異種ヌクレオチド配列として含めることによって遺伝的に改変され得る。
【0096】
宿主細胞は、クローニング宿主または発現宿主であり得る。発現宿主として選択されるとき、宿主細胞発現系は、好ましくは、異種ペプチド、例えば、抗体または抗体フラグメントを産生することができ、より好ましくは、その産生が最適化されている。宿主細胞は、単細胞生物に由来してもよいし、多細胞生物に由来してもよく、免疫グロブリンタンパク質またはAPRIL結合ペプチドを別途産生しない、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはミエローマ細胞から選択され得る。トランスフェクションに向けて、単離されたDNAが発現ベクターに挿入され得、次いで、その発現ベクターが宿主細胞にトランスフェクトされる。
【0097】
あるいは、免疫された際に、内因性の免疫グロブリン産生の非存在下においてヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作出することも可能である。例えば、キメラマウスおよび生殖系列変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合性の欠失が、内因性の抗体産生を完全に阻害すると報告されている。そのような生殖系列変異マウスにヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイを移すことにより、抗原チャレンジの際にヒト抗体が産生される。例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551;Jakobovits et al.,1993,Nature 362:255−258;Bruggermann et al.,1993,Year in Immunology 7:33;およびDuchosal et al.,1992,Nature 355:258を参照のこと。
【0098】
本発明に係る細胞を使用して、APRIL結合ペプチドが産生され得る。したがって、本発明のさらなる態様は、APRIL結合ペプチドを生成するためのプロセスに関し、そのプロセスは、本発明に係る細胞を提供する工程、前記細胞を培養する工程、およびそれらの細胞が、APRIL結合ペプチドを発現すること、好ましくは、分泌することを可能にする工程を含む。
【0099】
APRIL結合ペプチドは、宿主細胞発現系から単離され得、このための様々な手順は、当業者には容易に利用可能である。最も適した具体的な手順は、使用される宿主細胞発現系に依存し、当業者は、利用可能な通常の一般的な知識に基づいて好適な選択を行うことができる。
【0100】
組換え法を使用するとき、APRIL結合ペプチド、例えば、抗体(またはアナログ)は、細胞内に産生され得るか、細胞周辺腔において産生され得るか、または培地に直接分泌され得る。APRIL結合ペプチドが、細胞内に産生される場合、第1の工程として、粒状の残屑である宿主細胞または溶解されたフラグメントが、例えば、遠心分離または限外濾過によって除去される。Carter et al.,1992,Bio/Technology 10:163−167には、E.coliの細胞周辺腔に分泌された抗体を単離するための手順が記載されている。簡潔には、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTAおよびフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下において約30分間にわたって融解する。遠心分離によって細胞残屑を除去し得る。APR
IL結合ペプチドが培地に分泌される場合、通常はまず、商業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して、そのような発現系からの上清を濃縮する。タンパク質分解を阻害するためにPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を前述の任意の工程に含めてもよく、外来性の夾雑物の増殖を妨げるために抗生物質を含めてよい。
【0101】
細胞から調製されるAPRIL結合ペプチド組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析およびアフィニティークロマトグラフィを用いて精製することができ、アフィニティークロマトグラフィが特に有益な精製法である。免疫グロブリン(immoglobulins)に対する親和性リガンドとしてのプロテインAの適格性は、そのタンパク質配列に存在する任意の免疫グロブリンFc領域の種類およびアイソタイプに依存する。プロテインAを使用することにより、ヒトIg.ガンマ1、Ig.ガンマ2またはIg.ガンマ4重鎖に基づく抗体を精製することができる(Lindmark et al.,1983,J.Immunol.Meth.62:1−13)。プロテインGは、すべてのマウスアイソタイプおよびヒト.ガンマ.3に対して推奨される(Guss et al.,1986,EMBO J 5:1567−1575)。親和性リガンドが付着したマトリックスは、最も頻繁には、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。機械的に安定したマトリックス、例えば、コントロールドポアガラス(controlled pore glass)またはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンは、アガロースを用いて達成され得るものと比べて、より速い流速およびよい短い処理時間を可能にする。APRIL結合ペプチドが、抗体であり、C3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が、精製に有用である。タンパク質精製に対する他の手法、例えば、イオン交換カラムにおける分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカにおけるクロマトグラフィ、ヘパリンSEPHAROSE(商標)におけるクロマトグラフィ、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)におけるクロマトグラフィ、クロマトフォーカシング、SDS−PAGEおよび硫安塩析もまた、回収される抗体に応じて利用可能である。
【0102】
APRIL結合ペプチドを生成するためのプロセスを用いて入手可能な、APRIL結合ペプチド、例えば、免疫グロブリンの結合フラグメントを含む免疫グロブリンが、本発明のさらなる態様である。このAPRIL結合ペプチドは、通常、APRIL結合ペプチドを得るための方法を用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドの定義の範囲内のペプチド配列を有する。しかしながら、グリコシル化プロファイルなどの翻訳後修飾に関して差異が存在し得る。例えば、コアフコース残基を欠く抗体は、高いADCC活性を示すと示されている。抗体のグリコシル化のパターンの調節は、当業者に公知である。例えば、GlycoFi技術は、所望のレベルのFcエフェクター機能を示すように抗体のグリコシル化を特異的に調節することを可能にする(Beck et al.,Expert Opin Drug Discov.,2010,5:95−111)。
【0103】
APRIL結合ペプチドを生成するためのプロセスを用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドは、単離された抗体であり得る。「単離された」抗体は、同定され、その天然の環境の成分から分離および/または回収されている抗体である。その天然の環境の夾雑物成分は、その抗体に対する診断的または治療的な使用を干渉し得る材料であり、その夾雑物成分としては、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、上記ペプチドは、(1)例えば、Lowry法によって測定されたとき、そのペプチドを含む組成物中のタンパク質の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、好ましくは、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、最も好ましくは、そのペプチドを含む組成物中のタンパク質の95重量%超、例えば、少なくとも99重量%に相当するように、(2)スピニングカッ
プ配列決定装置を使用することによってN末端または内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度にまで、または(3)クマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を用いる、還元条件下または非還元条件下でのSDS−PAGEによって均一になるまで、精製される。その抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイチュの抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0104】
本明細書中で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことを指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いては同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原性部位に対して産生されているので、高度に特異的である。さらに、種々の決定基(エピトープ)に対して産生された種々の抗体を典型的には含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して産生されている。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られているという抗体の性質を指すものであって、任意の特定の方法による抗体の精製を必要とするものと解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,1975,Nature 256:495が初めて報告したハイブリドーマ法によって作製されてもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製されてもよい。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson et al.,1991,Nature 352:624−628およびMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581−597に記載されている手法を使用してファージ抗体ライブラリーからも単離され得る。本明細書中のモノクローナル抗体は、特に、「キメラ」抗体を含む。
【0105】
モノクローナル抗体は、試験被験体にヒトAPRIL抗原を注射し、次いで、所望の配列または機能的特徴を有する抗体を発現しているハイブリドーマを作製するという当該分野の知識および技術に従って作製され得る。それらのモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、それらのモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定される。それらのハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として働く。
【0106】
APRIL結合ペプチド、例えば、抗体またはそのアナログを生成するための本発明のプロセスを用いて入手可能なAPRIL結合ペプチドは、配列番号5、6および7または配列番号15、16および17または配列番号25、26および27または配列番号35、36および37または配列番号45、46および47からそれぞれ選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有するCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む免疫グロブリンVドメイン、例えば、配列番号3、13、23、33または43から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有するVドメインを含み得る。
【0107】
前記APRIL結合ペプチド、例えば、抗APRIL抗体またはそのアナログは、配列番号5、6、7、8、9および10または配列番号15、16、17、18、19および20または配列番号25、26、27、28、29および30または配列番号35、36、37、38、39および40または配列番号45、46、47、48、49および50からそれぞれ選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有す
るVCDR1、VCDR2 VCDR3、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列を含む免疫グロブリンVおよびVドメイン、例えば、配列番号3および4または13および14または23および24または33および34または43および44からそれぞれ選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の配列類似性を有するVドメインとVドメインとの対を含み得る。これらの様々な配列をコードするDNA配列は、遺伝暗号の知識に基づいて、当業者によって決定され得る。下記の表2には、VおよびVアミノ酸配列をコードするいくつかのDNA配列を列挙する。それらの配列は、配列表に提供されている。
【0108】
本発明に係るAPRIL結合ペプチドには、好ましくは、エキソビボ診断方法のための、診断ツールおよび/または分析ツールとしての使用法が見出されている。したがって、本発明のさらなる態様は、APRIL結合ペプチドのそのような使用に関する。例えば、APRIL結合ペプチドは、被験体由来のサンプル、例えば、組織サンプル、全血または血液由来サンプル、例えば、血漿または血清中のAPRILを検出するために使用され得る。あるいは、APRIL結合ペプチドは、特定の細胞上、例えば、組織、血液または培養物に由来する細胞上のAPRILを検出するために使用され得る。そのような検査は、変化したAPRILレベルに関連する症状、例えば、癌、炎症に関連する症状、敗血症、アレルギー、自己免疫疾患または感染症、例えば、菌血症から選択される症状の診断を目的とし得る。その検査は、被験体が、変化したAPRILレベルに関連する症状に罹患しているか否かを判定するための診断において使用され得る。この場合、通常、被験体が、高い(正常値を超える)APRILレベルを有するか否かが評価される。正常なヒト血清APRILレベルに対する現在の標準値は、約1〜10ng/mlである(Planelles et al.,2007,Haematologica 92,1284−5)。したがって、本発明では、変化したAPRILレベルは、高いAPRILレベル、例えば、10ng/mlを超えるAPRILレベル、例えば、15、30、50または100ng/ml超であり得る。または、特定の被験体の正常なAPRILレベルが既知である(例えば、正常なAPRILレベルに関連すると見なされたいくつかの特定の時点において行われたいくつかの測定による)場合、高いAPRILレベルは、その被験体に対して測定された正常なレベルと比べて判定され得る。あるいは、その検査は、被験体が罹患している、変化したAPRILレベルに関連する症状を治癒するためおよび/または安定させるために被験体が受けた処置の成果を評価するために使用され得る。この場合、通常、被験体における高いAPRILレベルが、正常であると見なされるレベルに接近するまで低下しているか否かが評価される。被験体が、変化したAPRILレベル、特に、高いAPRILレベルに関連する症状に罹患していると陽性の診断を受けた後、変化したAPRILレベルに関連する症状を治癒するためおよび/または安定させるために前記被験体が受けた処置の成果を評価するために診断が継続され得ることは明らかだろう。
【0109】
本発明のAPRIL結合ペプチドを使用する検査が有用であり得る癌は、白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、骨髄芽球性 前骨髄球性、骨髄単球性 単球性 赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、バーキットリンパ腫および辺縁帯B細胞リンパ腫、真性多血症 リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、固形腫瘍、肉腫および癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫(chrondrosarcoma)、骨原性肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸肉腫、直腸結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌
、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫(menangioma)、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、鼻咽頭癌、食道癌、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系(CNS)の癌、子宮頸癌、絨毛癌、直腸結腸癌、結合組織癌、消化系の癌、子宮体癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌、上皮内新生物、腎臓癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌(小細胞、大細胞)、メラノーマ、神経芽細胞腫;口腔癌(例えば、唇、舌、口および咽頭)、卵巣癌、膵癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌;呼吸器系の癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌ならびに泌尿器系の癌から選択され得る。
【0110】
本発明のAPRIL結合ペプチドを使用する検査が有用であり得る炎症に関連する症状は、アテローム性動脈硬化症、尋常性ざ瘡、セリアック病、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、再灌流傷害、サルコイドーシス、移植片拒絶、脈管炎、間質性膀胱炎、ならびにマックル・ウェルズ症候群および他の自己炎症障害を含む無菌性炎症に関連する症状である。
【0111】
本発明のAPRIL結合ペプチドを使用する検査が有用であり得る別の症状は、敗血症および/または関連する症状、例えば、全身性炎症反応症候群(SIRS)である。敗血症の病理は、当業者に公知である。特に、当業者は、敗血症が、以下の全身性炎症の特徴:発熱または低体温、白血球増加または白血球減少、頻拍、および頻呼吸または超正常の換気量のうちの2つ以上を含む、感染によって誘導される症候群と定義され得ることを理解しているだろう。当業者は、被験体における敗血症の発症が、全身性炎症反応症候群(「SIRS」)陰性から、SIRS陽性、そして敗血症に進行する経過をたどる場合があり、そして、重篤な敗血症、敗血症性ショック、多臓器機能不全(「MOD」)に進行することがあり、最終的には死に至る場合があることも承知しているだろう。敗血症は、感染した被験体が後にSIRSを発症したときにも、その被験体において発生し得る。したがって、「敗血症」は、SIRS+記述された感染による感染に対する全身性の宿主応答として定義され得る。「重篤な敗血症」は、MOD、低血圧、播種性血管内凝固(「DIC」)、または乳酸アシドーシス、乏尿および精神状態変化を含む灌流低下異常に関連する。「敗血症性ショック」は、一般に、初期蘇生輸液(fluid resuscitation)に抵抗性であり、灌流低下異常がさらに存在した状態で、敗血症によって誘導される低血圧と定義される。
【0112】
本発明のAPRIL結合ペプチドを使用する検査が有用であり得る自己免疫疾患は、多発性硬化症、関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、クローン病および他の炎症性腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体による強皮症、混合結合組織病、多発性筋炎(polypyositis)、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、乾癬性関節炎、インスリン抵抗性、自己免疫性真性糖尿病、自己免疫性肝炎、自己免疫性血友病、自己免疫性疾患症候群(ALPS)、自己免疫性肝炎、自己免疫性血友病、自己免疫性リンパ球増殖性症候群、自己免疫性網膜ブドウ膜炎、ギランバレー(Guillain−Bare)症候群、動脈硬化症およびアルツハイマー病から選択され得る。
【0113】
本発明のAPRIL結合ペプチドを使用する検査に対する例示的なアレルギー性障害としては、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、春季結膜炎および巨大乳頭結膜炎;アレルギー性鼻炎および静脈洞炎を含む鼻アレルギー性障害;エウスタキオ管のそう痒を含む耳ア
レルギー性障害;内因性喘息および外因性喘息を含む上気道および下気道のアレルギー性障害;皮膚炎、湿疹およびじんま疹を含む皮膚のアレルギー性障害;ならびに消化管のアレルギー性障害が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0114】
感染症を引き起こす病原性ウイルスのいくつかの例としては、HIV、肝炎(A、B、C、DまたはE)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV−1、HAV−6、HSV−IIおよびCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス(cornovirus)、呼吸器合胞体ウイルス、耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウイルス脳炎ウイルスが挙げられる。
【0115】
感染症を引き起こす病原菌のいくつかの例としては、クラミジア、リケッチア菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌および淋菌(conococci)、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、桿菌、コレラ、破傷風、ボツリヌス、炭疽、ペスト、レプトスピラ症およびライム病の病原菌が挙げられる。
【0116】
感染症を引き起こす病原性真菌のいくつかの例としては、Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalisなど)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、nigerなど)、Mucorales属(mucor、absidia、rhizophus)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitisおよびHistoplasma capsulatumが挙げられる。
【0117】
感染症を引き起こす病原性寄生生物のいくつかの例としては、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondiおよびNippostrongylus brasiliensisが挙げられる。
【0118】
診断的用途のために、本発明のAPRIL結合ペプチドは、典型的には、検出可能な標識基であるシグナル伝達部分に(直接的または間接的に)連結され得る。一般に以下のカテゴリーに分類され得る数多くの標識部分が利用可能である:ビオチン、蛍光色素、放射性ヌクレオチド、酵素、ヨウ素および生合成標識。また、APRIL結合ペプチドが抗体またはそのアナログである場合、Fc鎖は、標識部分として働き得る。さらにFc鎖は、標識として働く非抗体結合ペプチドに付加され得る。抗マウス抗体および抗ヒト抗体などの様々な種由来のFc鎖を標的としている市販の抗体が数多く存在する。これらは、様々な標識を伴った状態で入手可能であり、本発明の抗APRIL抗体のFc鎖を標的とするために、公知の方法を用いて使用され得る。したがって、抗APRIL抗体が使用される場合、その検査に存在する他のタンパク質(例えば、異種起源からの少なくとも主にタンパク質配列を含むことによって)、例えば、APRILおよびAPRILレセプター(またはその結合等価物)と抗原的に異なることが好ましい。これにより、検出プロセスにおいて、標識された抗体による抗APRIL抗体のFc鎖の標的化が促進される。当業者は
、キメラ抗体の場合、Fc鎖が抗体の抗原性を主に決定することを承知しているだろう。
【0119】
検査方法のある特定の実施形態によると、APRIL結合ペプチドは、被験体由来のサンプル中で検出され、APRIL結合ペプチドの存在は、APRILの存在に対する指標として使用される。これらの実施形態では、APRIL結合ペプチドは、通常、可溶型で使用され得る。検査方法のある特定の他の実施形態によると、APRIL結合ペプチドは、固体支持体上に固定化され、APRILまたはAPRILを含む複合体を捕捉する捕捉物質として使用される。
【0120】
例えば、第1の検査形式では、APRIL結合レセプター(例えば、BCMAまたはTACI)またはその結合等価物、例えば、hAPRIL.01A(WO2010/100056に開示されている)もしくはアナログが、固体支持体上に固定化され得、被験体由来のサンプル、例えば、血清が、その固体支持体に適用される。洗浄した後(未結合の材料、特に、APRILの検出を干渉する未結合の材料を除去するために)、APRIL結合ペプチドが、その固体支持体に加えられ、例えば、APRIL結合ペプチドに付着された標識を検出することによって、またはいくつかの実施形態によると、APRIL結合ペプチド上のFc鎖に特異的な標識された抗体を加えることによって、APRIL結合ペプチドの存在が検出される。検出は、定性的、半定量的または定量的であり得る。定量的な検出が好ましい。標識されたペプチド、例えば、標識された抗体を検出するための方法および手段は、当業者に公知である。例えば、APRIL結合抗体のFc鎖に結合する西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗体が、使用され得る。西洋ワサビペルオキシダーゼによる発色基質(例えば、TMB、DAB、ABTS)の有色産物への変換が、結合したAPRILの測定として使用される。
【0121】
代替の診断形式では、診断検査は、被験体由来のサンプルにおいて、被験体に投与された、APRILレセプター等価物、例えば、hAPRIL.01Aまたはそのアナログと複合体化したAPRILの量を検出するためのものである。この形式では、その検査は、・固体支持体上に固定化されたAPRIL結合ペプチドを提供すること;
・その固体支持体にサンプルを適用し、インキュベートして、サンプル中に存在する複合体が固体支持体に結合することを可能にすること;
・洗浄すること;
・結合した複合体を検出することおよび/または結合した複合体化していないAPRILを検出すること
を含み得る。
【0122】
この検査形式は、例えば、APRIL−APRILレセプター相互作用の遮断物質を用いる、被験体の血清中のAPRILの飽和の測定にとって価値がある。この場合、結合した複合体と結合した複合体化していないAPRILの両方を検出することが好ましい。これは、別個のインキュベーションにおいて複合体化したAPRILおよび複合体化していないAPRILを検出することによって、ならびに/または結合した複合体および結合した複合体化していないAPRILを標的とするときは異なる標識を使用することによって、達成され得る。複合体化していないAPRILは、上に提示された第1の検査形式においても測定され得る。
【0123】
同じインキュベーションにおいて、結合した複合体化したAPRILおよび結合した複合体化していないAPRILを検出する場合、複合体は、APRILレセプター等価物に対して産生された第1の検出ペプチド、例えば、抗体を用いて標的化され得、ここで、前記第1の検出ペプチドは第1の標識に結合され、複合体化されていないAPRILは、APRILに対して産生された第2の検出ペプチド、例えば、抗体によって標的化され得、ここで、前記第2の検出ペプチドは、第1の標識とは異なる第2の標識に結合されている
。第2の検出ペプチドは、例えば、APRILレセプター等価物と同じAPRILの領域に結合するように選択され得る。したがって、それは、APRILレセプターまたはAPRILレセプター等価物として選択され得る。実際に、APRILへの結合に関して、それは、被験体に投与されるレセプター等価物と同一であり得る。したがって、第2の検出ペプチドは、被験体に投与されたレセプター等価物の検出と判別可能な検出を可能にする付着された標識を有することによって、被験体に投与されるレセプター等価物、例えば、hAPRIL.01Aまたはそのアナログと異なり得る。例えば、異なるFc鎖を含めることによって。本発明では、hAPRIL.01Aに対する言及は、そのアナログ、特に、ヒト化アナログを含む。第2の検出ペプチドは、好ましくは、選択されたAPRIL結合ペプチドがAPRILに結合するAPRILの同じ領域に結合するべきでないし、APRILへの結合が、選択されたAPRIL結合ペプチドの結合によって妨害されるべきでないことは明らかだろう。
【0124】
上記検査により、結合した複合体および/または結合した複合体化していないAPRILに対する検出結果、例えば、検出値が得られる。検出結果から、投与されたAPRILレセプター等価物によるAPRIL飽和レベルが測定され得、APRILレセプター等価物、例えば、hAPRIL.01Aまたはそのアナログによる被験体の処置の治療成果が評価され得る。
【0125】
本発明の診断検査の実施形態において、APRIL結合ペプチドまたはAPRIL結合レセプター(またはその結合等価物)は、例えば、実験容器の表面上、例えば、マイクロタイタープレートのウェルの表面上に固定化され得る。サンプルを固体支持体に適用することによって、そのサンプルが、固定化されたApril結合ペプチドに適用されることが明らかだろう。
【0126】
洗浄は、未結合の材料、特に、APRILの検出を干渉する未結合の材料を除去するためであり、当業者に公知の任意の好適な洗浄液を用いて達成され得る。一般に、水溶液が使用される。洗浄液に関連するいくらか一般的な指針も、APRIL結合ペプチドを得るための方法に関して、上に提供されている。
【0127】
本発明の診断検査では、反応およびプロセス、例えば、サンプルを固体支持体に適用すること、インキュベートして、そのサンプル中に存在する複合体がその固体支持体に結合することを可能にすること、洗浄工程および検出工程が、好適な容器内、例えば、反応容器内、特に、診断目的のために実験室規模で使用される容器内で行われ(preformed)得ることが明らかであろう。
【0128】
上に記載された(desscribed)例示的な(examplary)診断形式は、固定化されたペプチド(petides)を有する固体支持体を含む。診断検査の形式が、例えば、時間分解FRET(TR−FRETまたはHTRF)を含む蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)法によって、完全に溶液中でも実行され(excuted)得ることが当業者には明らかだろう。当業者は、上に提示された検査形式を、例えばFRET法を使用することによって完全に溶液中で実行するために、それらの形式を改変する方法を承知しているだろう。また、完全に溶液中で実行される検査形式では、本発明のAPRIL結合ペプチドは、APRILの存在に対する指標として使用され得るので、有用である。
【0129】
当業者は、様々な検査形式において、APRIL−APRILレセプター相互作用によるAPRIL結合ペプチドの干渉が低いことが有益であることを理解するだろう。しかしながら、本発明のペプチドの診断的使用は、これらの例示的な検査形式に限定されないことが強調されるべきである。診断的および分析的な用途において使用するための本発明の
APRIL結合ペプチドの可能性が、実験の項に提示される結果によってさらに支持される。
【0130】
本発明のAPRIL結合ペプチドは、他の任意の公知のアッセイ方法、例えば、競合結合アッセイ、直接および間接的なサンドイッチアッセイならびに免疫沈降アッセイ(Zola,Monoclonal Antibodies.A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC Press,Inc.1987))においても使用され得る。
【0131】
本発明のAPRIL結合ペプチドは、インビボ診断アッセイにも使用され得る。免疫シンチグラフィまたはポジトロン放出断層撮影法を用いて、APRIL抗原またはそれを発現している細胞の場所を突き止めることができるように、通常、APRIL結合ペプチドは、放射性核種で標識される。
【0132】
本発明のAPRIL結合ペプチドは、他の非治療的な使用法も有し得る。APRIL結合ペプチドに対する非治療的な使用法としては、フローサイトメトリー、ウエスタンブロッティング、酵素結合免疫吸着測定法(enzyme linked immunosorbant assay)(ELISA)および免疫組織化学が挙げられる。
【0133】
本発明のAPRIL結合ペプチドは、例えば、プロテインA−セファロースカラムへの固定化を介して、親和性精製試薬としても使用され得る。
【0134】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態を提示する以下の実施例を参照してさらに例証され得る。
【0135】
実施例
【実施例1】
【0136】
商業的に入手可能なAPRIL検出アッセイは、ヒト血清(HS)中のAPRILを確実に検出しない。
【0137】
患者の血清中のAPRILを検出するために、ヒトBCMAによるAPRILの捕捉およびポリクローナルウサギAPRIL特異的抗体を使用する結合した抗体の検出に依存する、ELISAに基づくアッセイが報告されている(Planelles L et al.,Haematologica 2007,92:1284−5)。しかしながら、入手可能なポリクローナル抗体は、ごく限られており、ポリクローナル抗体は、再現性よく得ることができない。この問題を解決するために、商業的に入手可能な抗APRILアッセイを、ポリクローナル抗体に基づくELISAで観察された検出と比較した。ポリクローナルELISAでは、プレートを、4℃のコーティング緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH=6,5)中の100ng/ウェルのBCMA−Fc(R&D systems)でコーティングした。一晩コーティングした後、プレートを、PBS+0.05%Tween20(PBST)で3回洗浄した。次いで、プレートを、室温において1時間、10%ヒト血清を含むPBS(アッセイ希釈剤)でブロッキングした。市販のELISAでは、あらかじめコーティングされたプレートを使用した(Biolegend,San Diego,USA)。組換えヒトAPRIL(R&D systems)を使用するかまたは提供された組換えヒトAPRIL(Biolegend)を使用して、アッセイ希釈剤において、標準物質を作製した。続いて、直腸結腸癌患者由来のヒト血清をアッセイ希釈剤で10倍希釈し、両方のELISAにおいて並行して試験した。次いで、結合したAPRILの検出を、製造者の指示書(Biolegend)に従って、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合された提供されたモノクローナル抗体を用いるかまたはポ
リクローナル抗体を用いた後、ヤギ抗ウサギペルオキシダーゼ(アッセイ希釈剤において1:1,000)を使用する第2の工程によって行った。抗体インキュベーション工程はすべて、室温でのアッセイ希釈剤における1時間であり、その後、PBS/0,05%Tween20で3回洗浄した。
【0138】
図1に提示されるように、商業的に入手可能なAPRIL ELISAは、ポリクローナル抗体に基づくアッセイの結果を再現しない。いくつかの場合では、ポリクローナルELISAを用いたとき、高検出が観察されたが、それは、Biolegend ELISAにおける高発現と一致しない。相反的に、いくつかの場合は、Biolegend ELISAにおいて明確な検出を示すが、APRILは、ポリクローナルELISAにおいて検出されない。Spearman R値を使用する相関関係の解析は、比較的不十分な信頼区間で0,5946という非常に低い相関関係を示す。ゆえに、このELISAは、比較可能なデータを提供しない。
【0139】
さらに、APRILの定量に対するヒト血清の影響を解析するために、APRILにヒト血清を加えることの影響を調べた。野生型APRILを発現する構築物を293T細胞にトランスフェクトすることによって作製された組換えAPRILを使用して2つの標準物質を作製した。この組換えAPRILは、100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.41、0.136および0.04ng/mlという濃度に、PBS+10%ウシ胎仔血清+20%ヒト血清(HS)(Sigma、カタログ番号H4522)で希釈されるかまたはPBS/1%BSAで希釈される。APRILの定量に対する血清添加の影響を調べるために、これらの2つの標準物質の結合を、いくつかの商業的に入手可能な抗体またはELISAキットにおいて試験した。Biolegendによって提供されるAPRIL ELISAである、あらかじめコーティングされたプレートを含むLegend MAX ELISAキット(カタログ番号:439307)に対して、使用前にすべての試薬を室温にした。プレートを、1ウェルあたり少なくとも300μlの1×洗浄緩衝液(製造者によって与えられたもの)で4回洗浄し、プレートを吸収紙の上に逆さにしてしっかりとたたくことによってすべての残留緩衝液を落とした。次に、100μlの標準物質希釈物を加え、キットに含まれているプレートシーラーを用いてプレートを密封し、室温において2時間、200rpmで振盪しながらインキュベートした。この工程の後、プレートを1×洗浄緩衝液で4回洗浄した。次に、100μlのヒトAPRIL/TNFSF13検出抗体溶液を、各ウェルに加え(製造者によって与えられたもの)、プレートを密封し、室温において1時間、200rpmで振盪しながらインキュベートした。インキュベーションの後、プレートを1×洗浄緩衝液で4回洗浄した。各ウェルに100μlのアビジン−HRP A溶液(製造者によって与えられたもの)を加え、室温において30分間、振盪しながらインキュベートすることによって、1次抗体を認識した。最後に、プレートを1×洗浄緩衝液で5回洗浄した。各ウェルに100μlの基質液F(製造者によって与えられたもの)を加え、室温において15分間、暗所でインキュベートすることによって、結合した複合体を可視化した。各ウェルに100μlの停止液(製造者によって与えられたもの)を加えることによって、反応を停止させた。吸光度を450nmで読み出した。図2Aは、ヒト血清の存在下のこのアッセイにおける低いAPRIL検出を示している。上に記載されたポリクローナル抗体アッセイと同様に、BCMA−Fcによる捕捉後の、商業的に入手可能なモノクローナル抗体を使用したAPRILの検出を評価した。図2Bでは、検出モノクローナル抗体としてAPRILY−5を使用したときの、APRILの検出に対するヒト血清の影響が示されている。ELISAプレートを、コーティング緩衝液(上記を参照のこと)中の100μlの0.5μg/ml BCMA−Fc(EBC0512081;R&D)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS/0.2%Tween(先に記載されたもの)で3回洗浄し、150μlのPBS/1%BSAを使用して、37℃において1時間ブロッキングした。PBS/0.2%Tweenで3回洗浄した後、100μlの種々の標準物質を各ウェルに加え
た。標準物質濃度を室温において2時間インキュベートした。そのインキュベーション時間の後、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄した。次に、商業的に入手可能なビオチン化されたAPRILY−5(ALX−804−801−C100,Enzo
Life Sciences BVBA,Antwerpen,Belgium)を、PBS/1%BSAで希釈された100μlの1μg/mlとしてプレートに加え、これを37℃で1時間行った。次に、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄した。その後の工程に、PBS/1%BSAで1:1,000希釈された100μlのストレプトアビジン−HRP(カタログ番号890803,R&D,UK)を37℃で1時間加える工程を含めた。プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、100μlのTMB基質を使用して、結合した免疫複合体を可視化した。100μlの0.5M HSOを用いて反応を停止させ、吸光度を450nmで読み出した。ヒト血清の存在下においてAPRILは検出されなかった。
【0140】
図2Cでは、APRILを捕捉するために商業的に入手可能なSascha−2抗APRIL抗体を使用し、結合したAPRILを検出するためにAPRILY−5バイオ抗体を使用する、ELISAアッセイを使用して、APRILの定量に対するヒト血清の影響を調べた。このアッセイでは、ELISAプレートを、コーティング緩衝液(上記を参照のこと)中の100μlの抗APRIL抗体Sascha−2(804−804−C100,Enzo Life Sciences BVBA,Antwerpen,Belgium)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、37℃において1時間、150μlのPBS/1%BSAでブロッキングした。PBS/0.2%Tweenで3回洗浄した後、100μlの標準物質をインキュベートした。100μlのこれらの標準物質を各ウェルに加え、標準物質濃度を室温において2時間インキュベートした。インキュベーションの後、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄した。次に、商業的に入手可能なビオチン化されたAPRILY−5を、PBS/1%BSAで希釈された100μlの1μg/mlとして、37℃において1時間プレートに加えた。次に、それらのプレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄した。その後の工程に、PBS/1%BSAで1:1,000希釈された100μlのストレプトアビジン−HRPを37℃で1時間加える工程を含めた。プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、100μlのTMB基質を使用して、結合した免疫複合体を可視化した。100μlの0.5M HSOを用いて反応を停止させ、吸光度を450で読み出した。ヒト血清の非存在下または存在下において、APRILの信頼できる検出は観察されなかった。最後に、図2Dにおいて、本発明者らは、第2の商業的に入手可能なAPRIL ELISAである、R&D Systems製のDuo Set ELISA抗ヒトAPRIL/TNFSF13(カタログ番号DY884)の使用を評価した。捕捉抗体(製造者によって与えられるもの、843362)を、PBSに希釈された2μg/mlという最終濃度に希釈することによってプレートをコーティングした。96ウェルプレートを1ウェルあたり100μlでコーティングし、室温において一晩インキュベートした。翌日、プレートを洗浄緩衝液(製造者によって与えられるもの、カタログ番号WA126)で4回洗浄した。各ウェルに300μlの試薬希釈剤(製造者によって与えられるもの、カタログ番号DY995)を加えることによってプレートをブロッキングし、室温において1時間インキュベートした。その後、プレートを4回洗浄した。そして、100μlの標準物質または血清サンプルを加えた。血清サンプルを試薬希釈剤で5倍希釈し、接着性ストリップでカバーし、室温において2時間インキュベートした。次に、プレートを4回洗浄し、各ウェルに対して、試薬希釈剤に希釈された100μlの検出抗体(製造者によって与えられるもの、カタログ番号843363)を使用して、血清中のAPRILを検出し、室温において2時間インキュベートした。プレートを4回洗浄した。その後、100μlのストレプトアビジン−HRP(カタログ番号890803,R&D,UK)の作用希釈液(working dilution)を各ウェルに加え、プレートをカバーし、室温において20分間インキュベートした。プ
レートを4回洗浄した。各ウェルに100μlの基質溶液(製造者によって与えられるもの、DY999)を加えることによって免疫複合体を可視化し、室温において20分間インキュベートした。各ウェルに50μlの停止液を加えることによって反応を停止させた(DY994)。450nmにおける光学濃度によって、結合したAPRILを検出した。APRILは、検出されなかった。
【0141】
まとめると、商業的に入手可能なELISAアッセイまたはモノクローナル抗APRIL抗体のいずれもが、上に記載されたポリクローナル抗体を使用して得られたアッセイの結果を再現せず、すべてが、ヒトAPRILの定量においてヒト血清の大きな干渉を示した。
【実施例2】
【0142】
免疫化および抗APRIL抗体の選択
APRIL cDNAによるマウスの免疫化
ヒト血清の状況においてAPRILの検出を可能にするヒトAPRILタンパク質に対する抗体を単離するために、マウスをhAPRIL cDNAで免疫した。次に、BCMAとの結合相互作用においてヒトAPRILに結合する抗hAPRIL抗体を発現しているB細胞を特異的に単離する選択手順をデザインし、開発した。
【0143】
マウスのcDNA免疫化によって、抗hAPRIL抗体を産生させた。第1に、hAPRILの完全長オープンリーディングフレームをコードするcDNAをpCI−neoベクター(Promega,Madison,WI)にサブクローニングした。293細胞(American Type Culture Collection,Manassas,VA)におけるpCI−neo−hAPRILの一過性のトランスフェクション、およびマウス抗hAPRIL IgG1 Aprily−5(1:5,000)(Alexis,San Diego,CA)に続くヤギ抗マウスIgG1−HRP(1:2,000)(Southern Biotechnology,Birmingham,AL)による免疫ブロット法によって、得られたベクターの発現を確かめた。Helios遺伝子銃(BioRad,Hercules,CA)およびDNAをコーティングされた金弾丸(BioRad)を製造者の指示書に従って使用する遺伝子銃免疫化によって、マウスを免疫した。簡潔には、1μmの金粒子を、pCI−neo−hAPRIL cDNAならびにマウスFlt3LおよびマウスGM−CSFに対する市販の発現ベクター(両方がAldevron,Fargo,ND製)で、2:1:1の比率においてコーティングした。500μgの金粒子をコーティングするために、合計1μgのプラスミドDNAを使用した。
【0144】
詳細には、遺伝子銃を用いて、7〜8週齢の雌BALB/Cマウスの耳に、両耳において3サイクルの発射を与える免疫を行った。3回のDNA免疫化後に、マウス血清におけるELISAによって、およそ1:800〜2,400の抗hAPRIL力価が検出された。そのELISAでは、すべてのインキュベーション工程の後に、PBST(0.01%Tween20を含むPBS)による洗浄工程を行った。Maxisorp96ウェルイムノプレート(Nunc,Rochester,NY)を、4℃において一晩、ウサギ抗FLAGポリクローナル抗体(PBS中の50ng/ウェル)(Sigma,F7425)でコーティングし、RTにおいて1時間、10%ヤギ血清/PBSTでブロッキングした。プレートを、CMVプロモーターが駆動する分泌型のFLAG−hAPRIL(pCR3−hAPRIL)によって一過性にトランスフェクトされた293T細胞からの上清(PBSにおける1:10)とともにRTにおいて1時間インキュベートした後、マウス血清希釈物および1:2,000HRP結合体化ヤギ抗マウスIgG(Southern Biotechnology)とともに、それぞれRTにおいて1時間インキュベートした。最後のPBSTでの洗浄の後、100μlの安定化されたクロマゲン(chro
magen)(Invitrogen,SB02)を用いて、抗hAPRIL免疫反応性を可視化した。100μlの0.5M HSOを用いて反応を停止させ、吸光度を450および620nmにおいて読み出した。hAPRILに対して反応性を示したマウスにおいて最後の3回目の免疫を行い、4日後に屠殺した。
【0145】
赤血球を除去した脾臓およびリンパ節細胞集団を、先に記載されたように(Steenbakkers et al.,1992,J.Immunol.Meth.152:69−77;Steenbakkers et al.,1994,Mol.Biol.Rep.19:125−134)調製し、−140℃で凍結させた。
【0146】
抗APRIL抗体を産生するB細胞の選択
ヒト血清の存在下においてAPRILを検出する抗hAPRIL抗体を産生するB細胞を特異的に選択するために、BCMA−Fcと結合相互作用の状態にあるときのAPRILに結合する抗hAPRIL抗体を発現するB細胞が優先的に結合する選択ストラテジーをデザインし、開発した(図3)。4×10個のM−450トシル活性化磁気Dynabeads(Cat 140.13)を、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4中の20μgの組換えBCMA−Fc(R&D systems、cat#193−13C)とともに、週末にわたって4℃においてインキュベートした。次に、上清を吸引し、4℃での1時間のインキュベーションによってPBS/1%BSAでビーズをブロッキングした。次に、ビーズをPBS/0.1%BSAで3回洗浄した。続いて、4℃での1時間のインキュベーションによって、FLAG−APRIL含有上清(PBS中の1:10、CMVプロモーターが駆動する分泌型のFLAG−hAPRIL(pCR3−hAPRIL)によって一過性にトランスフェクトされた293T細胞由来)とともにビーズをインキュベートした。最後に、ビーズをPBS/0.1%BSAに再懸濁した。
【0147】
低阻止(reduced−blocking)抗hAPRIL抗体を産生するB細胞クローンを選択するために、1.4×10個の赤血球除去脾細胞を融解した(thawn)。それらの脾細胞を、APRIL−BCMAと複合体化したトシル活性化磁気DynaBead上における1:1.5というビーズ:細胞比での選択に供することによって、hAPRIL特異的B細胞を選択した。非特異的に(Aspecific)結合している脾細胞を、5mlのDMEM F12/P/S/10%BCS培地で15回洗浄することによって洗い流した。次に、選択されたB細胞を、Steenbakkers et al.,1994,Mol.Biol.Rep.19:125−134に記載されているように培養した。簡潔には、選択されたB細胞を、7.5%(v/v)T細胞上清および50,000個の照射された(2,500RAD)EL−4 B5栄養細胞と、200μlのDMEM F12/P/S/10%BCSという最終体積で96ウェル平底組織培養プレートにおいて混合した。
【0148】
9日目に、上清をELISAによってhAPRIL反応性についてスクリーニングした。そのELISAでは、すべてのインキュベーション工程の後に、PBST(0.01%Tween20を含むPBS)による洗浄工程を行った。Maxisorp96ウェルイムノプレート(Nunc,Rochester,NY)を、PBS中の0.2μg/ml
BCMA−Fc(R&D Systems,193−13C)(PBS中の50μl/ウェル)で4℃において一晩でコーティングし、RTにおいて1時間、PBS/1%BSAでブロッキングした。プレートを、CMVプロモーターが駆動する分泌型のFLAG−hAPRIL(pCR3−hAPRIL)によって一過性にトランスフェクトされた293T細胞からの上清(PBSにおける1:10)とともにRTにおいて1時間インキュベートした後、B細胞培養物からの50μlの上清および1:5,000HRP結合体化ヤギ抗マウスIgG(Southern Biotechnology)とともに、それぞれRTにおいて1時間インキュベートした。最後のPBSTでの洗浄の後、100μlの
安定化されたクロマゲン(Invitrogen,SB02)を用いて、抗hAPRIL免疫反応性を可視化した。100μlの0.5M HSOを用いて反応を停止させ、吸光度を450nmにおいて読み出した。hAPRIL反応性抗体を発現しているB細胞クローンをELISAによって同定した。
【0149】
続いて、hAPRIL反応性上清のB細胞クローンを、公開されている手順(Steenbakkers et al.,1992,J.Immunol.Meth.152:69−77;Steenbakkers et al.,1994,Mol.Biol.Rep.19:125−34)に従ってミニ電気融合によって不死化した。詳細には、B細胞を10個のSp2/0−Ag14ミエローマ細胞と混合し、DMEM F12培地で洗浄することによって、血清を除去した。細胞をプロナーゼ溶液(Calbiochem、カタログ番号4308070.536)で3分間処理し、電気融合等モル濃度(Electrofusion Isomolar)緩衝液(Eppendorf、カタログ番号53702)で洗浄した。電気融合は、50μlの融合チャンバーにおいて、30s、2MHz、400V/cmの交流電場に続いて、10μs、3kV/cmのスクエア高電場パルス(square,high field pulse)、再度、30s、2MHz、400V/cmの交流電場によって、行った。
【0150】
チャンバーの内容物をハイブリドーマ選択培地に移し、限界希釈条件下で96ウェルプレートにプレーティングした。融合の12日後に、上に記載したように、ハイブリドーマ上清をhAPRIL結合活性についてスクリーニングした。hAPRILを認識した、上清中の抗体を分泌した5つのハイブリドーマを、限界希釈によってサブクローニングすることにより、それらの完全性を保護した。以下の抗hAPRIL抗体をさらなる解析のために選択した:hAPRIL.130、hAPRIL.132、hAPRIL.133、hAPRIL.135、hAPRIL.138。
【0151】
APRIL結合ペプチド(ここでは、B細胞(B)上に発現される免疫グロブリン)を同定するために使用された選択ストラテジーを図3に模式的に示す。この模式図では、BCMA−Fc(シールドペプチドとして作用する)が、固体支持体(ビーズ)に結合され(または固定化され)、BCMAとの相互作用によって、標的ペプチド(APRIL)がその固体支持体に固定化される。しかしながら、上記の説明から明らかであるように、代替の実施形態では、標的ペプチドが、固体支持体に結合されてもよく(または固定化されてもよく)、標的ペプチドとの相互作用によって、シールドペプチドが固体支持体上に固定化されてもよい。
【実施例3】
【0152】
抗APRIL抗体の精製および特徴づけ
抗APRILを産生するハイブリドーマの安定化および抗APRIL抗体の精製
2回の限界希釈によって、hAPRILハイブリドーマに対するクローン細胞集団を得た。安定したハイブリドーマを無血清培地中で7〜10日間培養し;上清を回収し、0.22μmニトロセルロース膜に通して濾過した。mAb Select SuRe ProtA樹脂を製造者の指示書に従って使用して(GE Healthcare、カタログ番号17−5438)、抗体を精製した。PD−10ゲル濾過カラム(GE Healthcare)を使用して、緩衝液をPBSと交換した。分光測定法を用いて抗体を定量した。マウスモノクローナル抗体アイソタイピングテストキット(Roche,#11493027001)を使用して、すべてのhAPRIL抗体の(サブ)−アイソタイプが、IgG1、カッパであると判定された。
【0153】
免疫グロブリンcDNAのクローニング
縮重プライマーPCRに基づく方法を用いて、hAPRILハイブリドーマによって発
現されるマウス抗体:hAPRIL.130、hAPRIL.132、hAPRIL.133、hAPRIL.135およびhAPRIL.138に対する可変領域をコードするDNA配列を決定した。RNeasyミニキット(Qiagen,74106)を製造者の指示書に従って使用して、全RNAを約5×10個のハイブリドーマ細胞から単離し、製造者の指示書に従ってデオキシリボヌクレアーゼI(Invitrogen)で処理した。M−MLV逆転写酵素、RNase H Minus,点変異体キット(Promega、カタログ番号M3683)を製造者の指示書に従って使用して、重鎖および軽鎖に対する遺伝子特異的cDNAを合成した。Novagen式のIgプライマーセット(Novagen,San Diego,CA)およびAccuprime Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を使用して、それらのVおよびV遺伝子をPCR増幅した。500bpという予想アンプリコンサイズとマッチしたすべてのPCR産物をpCR4 TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングし、それらの構築物を、製造者の指示書に従って、サブクローニングに有効なDH5αコンピテントセル(Invitrogen)において形質転換した。
【0154】
ユニバーサルM13順方向および逆方向プライマーを使用するコロニーPCRによってクローンをスクリーニングし、各反応から少なくとも2つのクローンをDNA配列決定解析のために選択した。Kabat規則(Kabat et al.,1991.Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,NIH公開番号91−3242)に従って、CDRを特定した。
【0155】
それらの配列は、添付の配列表に開示されており、上記の表1に列挙されている。
【実施例4】
【0156】
抗APRIL抗体は、ヒト血清およびトランスジェニックマウスにおいてAPRILを検出する
新しく同定されたAPRILモノクローナル抗体、hAPRIL.130、hAPRIL.132、hAPRIL.133、hAPRIL.135およびhAPRIL.138を使用して、CLL患者に由来する血清中のAPRIL血清レベルを定量するために、以下のELISAアッセイを行った。ELISAプレートを、コーティング緩衝液(0,2Mリン酸ナトリウム、pH=6,5)中の100μlの0.5μg/ml BCMA−Fc(EBC0512081;R&D)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次に、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、37℃において1時間、150μlのPBS/1%BSAでブロッキングした。PBS/0.2%Tweenで3回洗浄した後、100μlのサンプルまたは標準物質を加えた。CLL血清サンプルをPBS/10%FCSにおいて5倍希釈した一方で、標準物質をPBS+FCS10%+HS20%において希釈した。サンプルおよび標準物質濃度を室温において2時間インキュベートした。次に、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄した。次に、それらのプレートに、100μlの抗APRILモノクローナル抗体を、PBS/1%BSAに希釈された1μg/mlという濃度で加え、37℃において1時間インキュベートした。続いて、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、PBS/1%BSAにおいて1:1,000希釈された100μlのヤギ抗マウスIgG(H&L)(Southern Biotech、カタログ番号1031−05)を加え、37℃において1時間インキュベートした。プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、100μlのTMB基質(TMB)を加えることによって、結合した免疫複合体を可視化した。その反応体積に等量の1M塩酸を加えることによって、反応を停止させた。450nmにおいて光学濃度を測定することによって、結合したAPRILを定量した。図4Aに示されているように、すべてのモノクローナル抗体が、患者の血清中において同程度にAPRILを示した。
【0157】
次に、hAPRIL.133モノクローナル抗体を使用して、同じELISA設定を用いて、解析を広げた。様々な量のAPRILを有する10人のCLL患者のさらなるサンプルを解析した(図4B)。
【0158】
さらに、BCMA−Fc捕捉および検出用のhAPRIL.133抗体を使用するアッセイ形式を用いて、APRILの定量に対するヒト血清の存在の影響を調べた。APRILwtを発現する構築物を293T細胞にトランスフェクトすることによって作製された組換えAPRILを使用して2つの標準物質を作製した。この組換えAPRILは、100、33.3、11.1、3.7、1.23、0.41、0.136および0.04ng/mlという濃度に、PBS+10%ウシ胎仔血清+20%ヒト血清(HS)(Sigma、カタログ番号H4522)で希釈されるかまたはPBS/1%BSAで希釈される。これらの2つの標準物質の結合を確立した(図5)。ELISAプレートを、コーティング緩衝液(0,2Mリン酸ナトリウム、pH=6,5)中の100μlの0.5μg/ml BCMA−Fc(EBC0512081;R&D)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次に、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、37℃において1時間、150μlのPBS/1%BSAでブロッキングした。PBS/0.2%Tweenで3回洗浄した後、100μlの標準物質を加えた。標準物質濃度を室温において2時間インキュベートした。次に、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄した。次に、それらのプレートに、100μlの抗hAPRIL.133モノクローナル抗体を、PBS/1%BSAに希釈された1μg/mlの濃度で加え、37℃において1時間インキュベートした。続いて、プレートをPBS/0.2%Tweenで3回洗浄し、PBS/1%BSAにおいて1:1,000希釈された100μlのヤギ抗マウスIgG(H&L)(Southern Biotech、カタログ番号1031−05)を加え、37℃において1時間インキュベートした。プレートをPBS/Tween0.2%で3回洗浄し、100μlのTMB基質(TMB)を加えることによって、結合した免疫複合体を可視化した。その反応体積に等量の1M塩酸を加えることによって、反応を停止させた。450nmにおいてODを測定することによって、結合したAPRILを定量した。本発明の方法を用いて得られるAPRIL結合ペプチドを使用するこのアッセイ形式では、ヒト血清の存在の影響は観察されない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]