(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替制御装置は、前記軸発電機の出力より生成された直流電源に励磁電源を切り替えた後、前記励磁側電圧検出器からの第2信号をもとに異常を検出した場合、励磁電源を前記軸発電機の出力より生成された直流電源から切り離して前記船内母線に切り替え、前記励磁側高調波フィルタの出力電圧が定格電圧に到達した後に、励磁電源から前記船内母線を切り離し、前記軸発電機の出力より生成された直流電源に励磁電源を切り替える請求項1記載の軸駆動発電装置。
【背景技術】
【0002】
船舶の主機軸により駆動される軸駆動発電装置は、特許文献1及び特許文献2に示されるように一般によく知られている。
【0003】
船舶において、主機軸又は減速機を介した軸に発電機を接続して、回転エネルギーを電気エネルギーに変換して電力回収を行うことでエネルギーの有効利用する軸駆動発電機などは一般によく実装されている。
【0004】
図9には、特許文献1で示される従来技術による主機軸に発電機を接続した軸駆動発電装置の一例を示している。
図9において、1はプロペラ、2は軸発電機、3は主機、4は界磁巻線、5は励磁用コンバータ、7は変圧器、8は電圧形コンバータ、9は電圧形インバータ、11は直流中間部、17はディーゼル発電機、18は船内母線、19は船内負荷、28は変圧器、30a,30b,30c,30dは遮断器である。
【0005】
図9に示す軸駆動発電装置において、軸発電機2は、主機3によりプロペラ1と同軸にて駆動され、船内母線18から変圧器7に電気エネルギーが入力され、励磁用コンバータ5に変圧器7によってレベル変換された電気エネルギーが入力され、励磁用コンバータ5により軸発電機2の出力電圧が一定になるように界磁巻線4に入力される電力が調整される。
【0006】
一方、軸発電機2によって発生する交流電力は、電圧形コンバータ8に入力され、電圧形コンバータ8によって電力変換された直流電力が直流中間部11を介して電圧形インバータ9に入力され、電圧形インバータ9によって直流電力から交流電力に電力変換され、電力変換された交流電力が変圧器28によってレベル変換され、船内母線18に接続された船内負荷19に給電される。
【0007】
図10には、特許文献2で示される従来技術による主機軸に発電機を接続した軸駆動発電装置の一例を示している。
図10において、1はプロペラ、2は軸発電機、3は主機、4は界磁巻線、5は励磁用コンバータ、8は電圧形コンバータ、9は電圧形インバータ、11は直流中間部、29は第2の電圧形インバータ、17はディーゼル発電機、18は船内母線、19は船内負荷、30a,30b,30c,30d,30eは遮断器である。
【0008】
図10に示す軸駆動発電装置では、システム始動時は、ディーゼル発電機17で電源構成される船内母線18を励磁電源として軸発電機2を立ち上げ、電圧形コンバータ8で交直変換することで、直流中間部11の電圧が立ち上がった後、第2の電圧形インバータ29を始動することで励磁電源を船内母線18と第2の電圧形インバータ29の出力とを突き合せた状態で運転され、電圧形インバータ9で直流中間部11より電力変換した交流電力は船内母線18を通じて船内負荷19に給電される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態における軸駆動発電装置の構成の一例を示す図である。
【0021】
図1において、1は船舶を推進させるための主機軸により駆動されるプロペラ、2はプロペラ1と同軸に接続された主機3により駆動される軸発電機、3は主機軸に接続されたプロペラ1と軸発電機2を駆動する主機、4は軸発電機2の界磁巻線、5は軸発電機2の界磁巻線4に励磁電力を供給する励磁用コンバータ、6は励磁用コンバータ5の位相を制御して軸発電機2の出力電圧を一定に保つ自動電圧調整器、7は励磁用コンバータ5の入力電源電圧をレベル変換する変圧器、8は軸発電機2の出力交流電力を直流電力に変換する電圧形コンバータ、9は電圧形コンバータ8の直流電力を交流電力に変換する電圧形インバータ、10は電圧形インバータ9の出力電圧波形を正弦波に成形して遮断器30aを介して船内母線18に接続する母線側高調波フィルタ、11は直流中間部、12は電圧形コンバータ8と電圧形インバータ9の直流中間部11の直流電力を第2の交流電力に変換する励磁用インバータ、13は励磁用インバータ12の出力側に接続され出力電圧波形を正弦波に成形する励磁側高調波フィルタ、14は変圧器7の入力電源となる船内母線18との接続を開閉する母線側開閉器、15は励磁側高調波フィルタ13の出力先となる変圧器7及び母線側開閉器14との接続を開閉する励磁側開閉器、16は母線側電圧検出器20で検出した電圧値V1を示す電圧信号V1及び励磁側電圧検出器21で検出した電圧値V2を示す電圧信号V2が入力され、電圧信号V1,V2に基づいて母線側開閉器14及び励磁側開閉器15の開閉制御を行う切替制御装置、17はディーゼル発電機、18は船内母線、19は船内負荷、20は船内母線18の電圧を検出する電圧検出器、21は励磁側高調波フィルタの出力部の電圧を検出する励磁側電圧検出器、30a,30b,30c,30dは遮断器である。ディーゼル発電機17は、一台乃至複数台が設けられる。
図1では、2台のディーゼル発電機17を示しており、それぞれ遮断器30b,30cを介して船内母線18と接続され、また船内負荷等と接続される。船内母線18には、遮断器30dを介して船内負荷19が接続される。
【0022】
(作用)
図1において、船内の電気系統では、ディーゼル発電機17から遮断器30b,30cを介して船内母線18へ電力供給され、遮断器30dを介して船内母線18に接続された船内負荷19に給電されている。なお、船内母線18の電力供給源は、必ずしもディーゼル発電機17である必要はなく、ガスタービン発電機等などの他の発電機であってもよい。
【0023】
ここで、本実施形態における軸駆動発電装置のメカニズムを説明する。軸発電機2の出力電圧は、軸発電機2の界磁巻線4に対して励磁用コンバータ5により励磁電力を供給することによって発生する。励磁用コンバータ5の入力電源電圧は、変圧器7を介してレベル変換されている。変圧器7の入力電源は、母線側開閉器14を介して船内母線18より供給される。軸発電機2の出力電圧は、自動電圧調整器6の信号を元に励磁用コンバータ5の出力電力を調整することで一定に制御されている。尚、レベル変換のための変圧器7は構成上なくてもよい。軸発電機2の出力電圧は、電圧形コンバータ8により交直変換され、直流中間部11に直流電圧が印加される。直流中間部11は、電圧形インバータ9に接続されている。直流中間部11の直流電圧は、電圧形インバータ9により直交変換され、母線側高調波フィルタ10を介して交流電圧に変換される。母線側高調波フィルタ10は、遮断器30aを介して船内母線18と接続され、軸発電機2で主機軸より回収したエネルギーが電力変換して船内母線18へ給電する。尚、主機軸構成において、軸発電機2は、プロペラ1と共に主機軸に同軸で接続されて駆動される構成に限らず、主機3を駆動源とした減速機等を介して駆動される構成としてもよい。船内負荷19を軸駆動発電装置の出力電力で賄える場合は、ディーゼル発電機17を停止し、軸駆動発電装置の単独給電としてもよい。
【0024】
一方、直流中間部11には励磁用インバータ12が接続されており、直流中間部11の直流電圧が励磁用インバータ12により第2の交流電力に直交変換され、励磁側高調波フィルタ13を介して交流電圧に変換される。交流電圧に変換された電力は、励磁側開閉器15を介して、変圧器7と母線側開閉器14の接続部に供給される。
【0025】
電圧検出器20は、船内母線18の電圧を検出し、その電圧を示す電圧信号V1を切替制御装置16に出力する。また、電圧検出器21は、励磁側高調波フィルタ13の出力電圧を検出し、その電圧を示す電圧信号V2を切替制御装置16に出力する。切替制御装置16は、電圧信号V1及び電圧信号V2の状態に応じて、母線側開閉器14及び励磁側開閉器15をオン(閉状態)/オフ(開状態)する切替制御をする。
【0026】
ここで、第1の実施形態における切替制御装置16の詳細説明として切替制御の一例を、
図2のタイムチャートを用いて説明する。
図2では、切替制御装置16の入出力信号の変化をタイムチャートによって表現している。
図2に示すタイムチャートでは、横軸が時間軸を示しており、左から右に流れるものとする。
図2(A)(B)にそれぞれ示すV1とV2は、電圧信号V1及び電圧信号V2が示す電圧値(電圧値V1及び電圧値V2)の変化を示し、縦軸の上方向に行くと数値が高くなるものとする。
図2(C)(D)にそれぞれ示す14、15は、母線側開閉器14と励磁側開閉器15に対してオンあるいはオフにするためのオン/オフ信号の変化を示すものとする。
【0027】
図3は、第1の本実施形態における軸駆動発電装置の一連の動きを示すフローチャートである。
【0028】
システム始動時は、軸発電機2を始動させるための励磁電源を供給するために、少なくとも1つのディーゼル発電機17と船内母線18とを遮断器30b,30cにより接続し、ディーゼル発電機17の運転を開始させる。ディーゼル発電機17の運転に伴い、船内母線18への電力供給が開始され、船内母線18の電圧値V1が上昇していく。そして、船内母線18の電圧が定格電圧まで上昇することにより電源確立する。
【0029】
電圧検出器20は、電圧値V1を示す電圧信号V1を切替制御装置16に出力している。切替制御装置16は、電圧信号V1をもとに電圧の定格電圧までの上昇を検知して、船内母線確立を検出する(ステップA1)(
図2(A):船内母線確立(T11))。また、主機3により主機軸が回転される(ステップA2)。
【0030】
船内母線が確立したことを検知すると、切替制御装置16は、母線側開閉器14に対してオン信号を出力して、母線側開閉器14をオン(閉)にする(
図2(C))(ステップA3)。これにより船内母線18と変圧器7とが接続され、変圧器7に対して電源供給される。なお、この時、励磁側開閉器15は、オフ状態にある(
図2(D))。
【0031】
船内母線18から供給される電源は、変圧器7によりレベル変換されて励磁用コンバータ5に出力される。これにより、励磁用コンバータ5から界磁巻線4に対して励磁電力が供給される(ステップA4)。
【0032】
界磁巻線4に励磁電力が供給されることにより、軸発電機2が立ち上がり、軸発電機2の電圧が確立される(
図2:(T13))(ステップA5)。軸発電機2により発生された交流電力は、電圧形コンバータ8により直流電力に変換され(ステップA6)、また、電圧形コンバータ8が始動することで直流電圧が確立され(ステップA7)、電圧形インバータ9を始動して、電圧形コンバータ8の直流電力を交流電力に変換する(ステップA8)。また、直流電力は、直流中間部11を通じて励磁用インバータ12に供給される。励磁用インバータ12が始動することで(
図2(B):励磁用インバータ始動(T12))(ステップA11)、電圧値V2が上昇して定格電圧に至る。
さらに、電圧形インバータ9の交流電力出力は、母線側高調波フィルタ10を介して正弦波の交流電圧に成形され、船内母線18と同期させて接続されることで発電出力が可能となる(ステップA9,A10)。
【0033】
ここで、船内母線18から供給される電力に、軸発電機2により発生され、励磁用インバータ12及び励磁側高調波フィルタ13を介して供給される電力を同期させるため、
図2に示す同期切替101の期間において、周波数を増減変化させて周波数及び位相を一致させる(ステップA12)。また、電圧差が生じている場合は、電圧を合わせる増減操作も行われる。切替制御装置16は、周波数と電圧とが同期した同期点で、励磁側開閉器15に対してオン信号を出力して、励磁側開閉器15をオンにする(
図2(T14))。
【0034】
その後、切替制御装置16は、母線側開閉器14に対してオフ信号を出力し、母線側開閉器14をオフすることで、励磁電源の供給源の切替えを完了させる。
【0035】
このように、第1の実施形態の軸駆動発電装置によれば、界磁巻線4に対する励磁電源の供給源を船内母線18から軸発電機2の出力(直流中間部11)に適切に切り替えることができ、安定した軸発運転が可能となる。
【0036】
こうして、励磁電源を軸発電機2(直流中間部11)の出力に切り替えた後の発電動作中に、船内母線18に短絡などの異常が発生したものとする(
図2:船内母線異常時(T16))。
【0037】
この場合、母線側開閉器14がオフ状態にあり、船内母線18から励磁電源が供給されていないため、船内母線18に発生した異常に影響を受けることなく軸発電機2の運転を継続させることが可能である。
【0038】
さらに、励磁電源の切替完了後、励磁用インバータ12の出力に瞬断などの異常が発生したものとする(
図2:励磁用インバータ12出力異常時(T19))。励磁用インバータ12の出力に瞬断が発生すると電圧値V2が低下する。切替制御装置16は、励磁側電圧検出器21からの電圧信V2をもとに、電圧値V2が定格電圧から予め設定された基準値を越えて低下したことを検知すると、励磁側開閉器15に対してオフ信号を出力して励磁側開閉器15をオフして、励磁用インバータ12からの励磁電源の供給を停止させる(
図2:(T17))(ステップA13)。切替制御装置16は、励磁側開閉器15をオフした後、母線側開閉器14に対してオン信号を出力して、母線側開閉器14をオンする(
図2:(T18))(ステップA14)。これにより、切替制御装置16は、
図2に示す瞬断切替102の期間において、界磁巻線4への電力供給源を軸発電機2(直流中間部11)から船内母線18に切り替えることができる。
【0039】
この時、軸発電機2の慣性により出力が即座に低下しない特性によって、励磁用インバータ12の出力に発生した瞬断などの異常に影響を受けることなく、電力供給源を切り替えて軸発電機2の運転を継続させることが可能である。
【0040】
その後、電圧値V2が再復帰すると(
図2(T110))、切替制御装置16は、前述した同期切替101における切替制御と同様にして、
図2に示す同期切替103の期間において、船内母線18から供給される電力と、軸発電機2により発生され、励磁用インバータ12及び励磁側高調波フィルタ13を介して供給される電力とを同期させる。その後、切替制御装置16は、励磁側開閉器15に対してオン信号を出力して、励磁側開閉器15をオンにし、母線側開閉器14に対してオフ信号を出力し、母線側開閉器14をオフにすることで、励磁電源の供給源の切替えを完了させる(ステップA15)。
【0041】
こうして、励磁用インバータ12の出力に異常が発生した場合であっても、界磁巻線4への電力供給源を船内母線18に切り替え、励磁用インバータ12の出力が正常に戻った後に軸発電機2(直流中間部11)に切り替えることで、界磁巻線4への電力供給源を軸発電機2とした運転を継続させることが可能である。
【0042】
(効果)
以上の構成により、第1の実施形態における軸駆動発電装置では、界磁巻線4の電力供給源を、軸駆動発電装置始動後に、軸発電機2の出力電圧を電圧形コンバータ8によって交直変換した直流中間部11の直流電力に切り替えることで、船内母線18において短絡などの異常が発生した場合であっても異常の影響を受けずに発電運転を継続することができ、安定した船内電力の供給を維持することが可能となる。
【0043】
[第2の実施形態]
(構成)
図4は、本発明の第2の実施形態における軸駆動発電装置の構成の一例を示す図である。
【0044】
図4において、
図1と同じ符号1〜4、6、8〜11、14〜19を付した構成要素は、第1の実施形態の構成要素と同様であるものとして詳細な説明は省略する。
図4に示す軸駆動発電装置の構成では、
図1に示す構成から変圧器7、励磁用インバータ12、励磁側高調波フィルタ13が削除されている。22はDC/DCコンバータ、23は第2の励磁用コンバータ、24は第1の直流電圧検出器、25は第2の直流電圧検出器である。DC/DCコンバータ22は、
図1に示す励磁用コンバータ5に代えて設けられている。
【0045】
第2の実施形態の軸駆動発電装置は、第1の実施形態に対して、励磁電源の回路構成が異なっている。船内母線18には第2の励磁用コンバータ23が接続され、船内母線18からの電力が交直変換されて、母線側開閉器14を介して直流電源部が生成される。この変換後の直流電源部は、DC/DCコンバータ22に接続され、レベル調整されて界磁巻線4に電力供給する。また、直流電源部は、軸発電機2の出力を電圧形インバータ8によって交直変換された直流中間部11と励磁側開閉器15を介して接続されている。
【0046】
第1の直流電圧検出器24は、第2の励磁用コンバータ23と母線側開閉器14との間に接続され、第2の励磁用コンバータ23により交直変換された電圧値V3を検出し、電圧値V3を示す電圧信号V3を切替制御装置16に出力する。第2の直流電圧検出器25は、直流中間部11と接続され、電圧形コンバータ8により交直変換された電圧値V4を検出し、電圧値V4を示す電圧信号V4を切替制御装置16に出力する。
【0047】
切替制御装置16は、第1の直流電圧検出器24で検出した電圧値V3を示す電圧信号V3及び第2の直流電圧検出器25で検出した電圧値V4を示す電圧信号V4が入力され、電圧信号V3,V4に基づいて母線側開閉器14及び励磁側開閉器15の開閉制御を行う。
【0048】
(作用)
第1の実施形態の軸駆動発電装置では、交流電源を突き合せて励磁電源を切替える仕組みとなっていた。このため、電源を切り替える前に電圧、周波数、位相条件を合わせて同期投入する必要があり、投入までに時間がかかっていた。そこで第2の実施形態の軸駆動発電装置では、この投入時間を削減することができる構成を設けている。以下、第2の実施形態の軸駆動発電装置について動作を説明する。なお、第1実施形態と共通する動作については詳細な説明を省略し、第2実施形態に特徴的な動作について説明する。
【0049】
第2の実施形態における軸駆動発電装置では、船内母線18を電源として第2の励磁用コンバータ23で交直変換し、母線側開閉器14を介して、DC/DCコンバータ22に入力する。軸発電機2の出力電圧は、界磁巻線4にDC/DCコンバータ22で電力供給することによって発生し、自動電圧調整器6の信号を元にDC/DCコンバータ22によって一定に制御されている。母線側開閉器14とDC/DCコンバータ22の接続部と直流中間部11は、励磁側開閉器15を介して接続されている。
【0050】
第1の直流電圧検出器24は、第2の励磁用コンバータ23の直流出力電圧を検出し、その電圧値を示す電圧信号V3を切替制御装置16に出力する。また、第2の電圧検出器25は、直流中間部11の直流電圧を検出し、その電圧を示す電圧信号V4を切替制御装置16に出力する。切替制御装置16は、電圧信号V3及び電圧信号V4の状態に応じて、母線側開閉器14及び励磁側開閉器15をオン/オフする切替制御をする。
【0051】
ここで、第2の実施形態における切替制御装置16の詳細説明として切替制御の一例を、
図5のタイムチャートを用いて説明する。
図5では、第1の実施形態における
図2と同様にして、切替制御装置16の入出力信号の変化を、タイムチャートによって表現している。
【0052】
図6は、第2の実施形態における軸駆動発電装置の一連の動きを示すフローチャートである。
【0053】
システム始動時は、第1の実施形態と同様にして、軸発電機2を始動させるための励磁電源を供給するために、ディーゼル発電機17の運転を開始させる。ディーゼル発電機17の運転に伴い、船内母線18が確立する(ステップB1)。また、主機3により主機軸が回転される(ステップB2)。
【0054】
第2の励磁用コンバータ23を始動することにより(ステップB3)、切替制御装置16は、第1の直流電圧検出器24からの電圧信号V3をもとに、電圧値V3が定格電圧まで上昇して直流励磁電源が確立したことを検知する(
図5(A):直流励磁電源確立(T21))。その後、切替制御装置16は、直流励磁電源が確立したことを検出すると、母線側開閉器14に対してオン信号を出力して、母線側開閉器14をオン(閉)する(
図5(C))(ステップB4)。これにより船内母線18と第2の励磁用コンバータ23を介してDC/DCコンバータ22とが接続される。船内母線18から供給される電源は、DC/DCコンバータ22によりレベル変換されて界磁巻線4に対して励磁電力が供給される(ステップB5)。なお、この時、励磁側開閉器15は、オフ状態にある(
図5(D))。
【0055】
この後、軸発電機2が立ち上がり(ステップB6)、電圧形コンバータ8を始動することで(ステップB7)(
図5(B):電圧形コンバータ始動(T22))、直流中間部11に電圧が印加され、電圧値V4が上昇して定格電圧に至り、直流電圧が確立され(ステップB8)、電圧形インバータ9を始動して、電圧形コンバータ8の直流電力を交流電力に変換する(ステップB9)。
【0056】
ここで、切替制御装置16は、第2の直流電圧検出器25からの電圧信号V4をもとに電圧値V4が定格電圧に到達したことを検知すると(
図5(B):(T23))、電圧値V3と電圧値V4があらかじめ同一レベルに設定されていることを条件として、励磁側開閉器15をオンする。
【0057】
第2の実施形態では、界磁巻線4に対して直流電源を供給する構成とすることで、第1の実施形態のように周波数、位相条件を合わせて同期投入する必要がないため、切替時間を短縮できる。なお、第2の励磁用コンバータ23の出力と電圧形コンバータ8(直流中間部11)の出力に電位差がある場合は電圧の増減操作を行うようにしても良い。
【0058】
その後、
図5に示す瞬時切替104の電源切替期間を経て、切替制御装置16は、母線側開閉器14をオフして、励磁電源切替を完了する(
図5:(T24))。
また、直流電圧確立後(ステップB8)、母線側高調波フィルタ10で正弦波の交流電圧に成形された電圧と船内母線18とを同期させて接続されることで発電出力が可能となる(ステップB10,B11)。
【0059】
こうして、励磁電源を軸発電機2(直流中間部11)の出力に切り替えた後の発電動作中に、船内母線18に短絡などの異常が発生したものとする(
図5:船内母線異常時(T25))。
【0060】
この場合、母線側開閉器14がオフ状態にあり、船内母線18から励磁電源が供給されていないため、船内母線18に発生した異常に影響を受けることなく軸発電機2の運転を継続させることが可能である。
【0061】
さらに、励磁電源の切替完了後、電圧形コンバータ8の出力(電圧値V4)に瞬断などの異常が発生した場合であっても、第1の実施形態と同様にして、界磁巻線4への電力供給源を船内母線18に切り替え、電圧値V4が正常に戻った後に軸発電機2(直流中間部11)に切り替えることで、界磁巻線4への電力供給源を軸発電機2とした運転を継続させることが可能である(ステップB12〜B14)。
【0062】
(効果)
第2の実施形態における軸駆動発電装置は、第1の実施形態の軸駆動発電装置と同等の効果を有しており、さらに励磁電源を直流電源に構成したことによって、交流電源を接続する際に必要な同期投入操作が不要となり、励磁電源切替完了までの始動時間を短縮することができる。
【0063】
[第3の実施形態]
(構成)
図7は、本発明の第3の実施形態における軸駆動発電装置の構成の一例を示す図である。
図7において、
図4と同じ符号1〜4、6、8〜11.17〜19、22〜23は第2の実施形態の説明と同様であるものとして詳細な説明を省略する。
図7に示す軸駆動発電装置の構成では、
図4に示す構成から母線側開閉器14、励磁側開閉器15、第1の直流電圧検出器24、第2の直流電圧検出器25が削除されている。26〜27はダイオードである。
【0064】
(作用)
第2の実施形態の軸駆動発電装置では、船内母線18を電源とした直流電圧と軸発電機2の出力を交直変換して作られた直流電圧に電位差が生じた場合、電位差に応じて横流が流れて機器の過電流や逆流を招く恐れがあるため、電圧レベルの調節及び電源切替が必要であった。これを改良するために第3の実施形態の軸駆動発電装置は、第2の実施形態における母線側開閉器14と励磁側開閉器15とをダイオード26,27でそれぞれ置き換えた構成としている。軸駆動発電装置は、始動時において船内母線18を電源として第2の励磁用コンバータ23で直流変換した直流電圧を、ダイオード26を介して励磁電源として供給して、軸発電機2並びに電圧形コンバータ8を駆動することで直流中間部11を確立した後は、ダイオード27を介して自動的にダイオード26からの電源と突き合せる。
【0065】
この構成によると励磁電源の投入制御や切り離し制御を行わずに、軸駆動発電装置を運転することができる。ダイオード26,27は、逆流防止できるサイリスタ等の整流素子であってもよい。
【0066】
図8は、第3の実施形態における軸駆動発電装置の一連の動きを示すフローチャートである。
図8に示すステップC1〜C10に示す処理は、第2の実施形態における
図6に示すフローチャートのステップB3〜B3,B5〜B11と同様にして実行されるものとして詳細な説明を省略する。
【0067】
(効果)
第3の実施形態では、第2の実施形態に対して、2つの励磁電源の電位レベルの調整が不要であるとともに、船内母線18と切り離す切り替え制御を不要とすることで切替時間を削減し、励磁電源を船内母線18と直流中間部11とする冗長性を持たせた軸駆動発電装置を提供できる。
【0068】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【解決手段】軸駆動発電装置の切替制御装置は、システム始動時は、母線側開閉器を閉状態に切り替えて、船内母線を励磁電源として軸発電機を始動して軸発電機の出力電圧を確立させ、直流中間部の電源成立並びに励磁側高調波フィルタの出力電圧が定格電圧に到達した後は、母線側開閉器を開状態に切り替えて励磁電源から船内母線を切り離し、励磁側開閉器を閉状態に切り替えて前記軸発電機の出力より生成された直流電源に励磁電源を切り替える。