特許第6724277号(P6724277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6724277屋内空間部の天井用面状体、及び該屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6724277
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】屋内空間部の天井用面状体、及び該屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/02 20060101AFI20200706BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   A63B71/02 E
   E04B9/18 H
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-33336(P2019-33336)
(22)【出願日】2019年2月7日
(65)【公開番号】特開2020-33864(P2020-33864A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年9月19日
(31)【優先権主張番号】特願2018-168319(P2018-168319)
(32)【優先日】2018年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592206156
【氏名又は名称】東田商工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 捷俊
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−017507(JP,A)
【文献】 特開2019−093099(JP,A)
【文献】 特開2019−058646(JP,A)
【文献】 特開2016−169492(JP,A)
【文献】 特開平06−200588(JP,A)
【文献】 特開2010−234044(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3187845(JP,U)
【文献】 特開2018−079286(JP,A)
【文献】 特開平06−157373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/02
E04H 3/14
E04B 9/04
E04B 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内空間部の天井面の形状に応じて形成されるとともに各側辺に形状を維持する補強用ロープが設けられ、落下防止又は防球用として天井面に沿って吊り張りされる面状体より構成された屋内空間部の天井用面状体において、前記面状体が1枚の面状体又は形状、大きさがそれぞれ自在に形成された複数枚の分割面状体で形成され、且つ前記面状体又は分割面状体の対向する側辺側、近接する側辺側、又は各側辺側に沿って補強用ロープを介して取り付ける形設体が取付手段を介して取り付けられ、且つ前記形設体は、直接的又は間接的に天井面の梁部分又は天井側壁に取り付けることを特徴とする屋内空間部の天井用面状体。
【請求項2】
前記面状体、又は前記分割面状体の形設体を利用して、所望の長さを有する垂れ面状体が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の屋内空間部の天井用面状体。
【請求項3】
屋内空間部の天井面の形状に応じて形成されるとともに各側辺に形状を維持する補強用ロープが設けられ、落下防止又は防球を目的とする面状体を天井面に取り付けることで面状体を吊り張りする屋内空間部の天井用面状体吊り張り方法において、前記面状体を1枚の面状体で形成、又は形状、大きさを自在に形成した複数枚の分割面状体で形成し、該面状体又は該分割面状体の対向する側辺側、近接する側辺側、又は各側辺側の補強用ロープに沿って取付手段を介して形設体を一体的に取り付けた後、前記形設体を直接的又は間接的に天井面の梁部分又は天井側壁に取り付けることで天井面に沿って前記面状体又は前記分割面状体を吊り張りすることを特徴とする屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、各種スポーツの練習、試合用として使用する屋内空間部、又は災害時の避難所として使用する屋内空間部の天井面に沿って、防球・防護又は落下防止を目的として吊り張りする屋内空間部の天井用面状体、及び該屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内空間部の天井面に沿って防球・防護又は落下防止を目的とする天井用面状体は、天井面に沿って網目構造状に取り付けるロープ体と、該ロープを利用して直接又は間接的に連結するネット体とから構成され、前記ネット体を天井面に吊り張りする場合は、天井面に沿って(天井の梁部分を利用する場合は、該梁に沿って、及び梁と交差する方向に沿って)複数本のロープ体を網目構造状に架け渡した後、該ロープ体を利用して連結具を介して天井面の形状に応じて形成されたネット体を連結することで、天井面に沿ってネット体を吊り張りする。
【0003】
これにより、梁部分のみでネット体を連結する方法に比し強固に天井面に沿ってネット体の吊り張りができ、防球・防護用として適切に対応することができる。
【0004】
または、天井面に軽量の天井板の設けられた屋内空間部では、前記天井板を固定すべく天井面に固定された吊りボルトを利用して該吊りボルトに直接又は間接的(レール等)にネット体を取り付けることで、天井板の下方側に沿ってネット体を吊り張りする。
【0005】
また、屋内空間部の天井側に固定状態で吊り張りする垂れネット体は、天井の梁部分、又は天井面に沿って取り付けたロープ体を介して一端側を取り付けることで吊り張りされている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記従来の天井用のネット体は、天井面の梁部分、又は天井板を固定する天井面の吊りボルトを利用してネット体を連結するために、ネット体の天井面への連結位置が限定されるという欠点があった。
【0007】
また、ネット体の各側辺側の固定は、ネット体の形状を維持する各側辺側に設けられた補強用ロープと前記ロープ体とを連結するために、前記連結部分の強度が弱く安定した防球・防護用として使用できない欠点があった。
【0008】
しかも、ネット体の側辺側と天井側壁との間に隙間部分が生じる欠点があった。
【0009】
また、前記ネット体の荷重等により、ネット体を持ち上げての梁部分、前記ロープ体及び吊りボルトとネット体との連結作業が煩雑であり、その作業効率が悪いという欠点があった。
【0010】
また、天井面の防球用として径の相違する球技の適切な防球として、また天井面より落下する落下物の大小を確実な防護としては、1枚のネット体のみでは十分な効果を得ることができない欠点があった。
【0011】
さらに、あらゆる屋内空間部でネット体のみを使用しているために、小さな落下物に対しては、落下防止機能が不十分であるという欠点があった。
【0012】
また、天井面に防球・防護用としての垂れネット体を取り付けるとき、垂れネット体の一端側を天井用に沿って直接取り付けるために、その取り付け作業が煩雑であるという欠点があった。
【0013】
そこで、本願発明は屋内空間部において、天井面に沿って容易に面状体、又は垂れ面状体を連結でき、しかも確実に落下防止又は防球・防護用として使用でき、しかも作業効率の優れた屋内空間部の天井用面状体、及び該屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法を提供することを課題とする。
【問題を解決するための手段】
【0014】
本願発明の上記課題を解決する手段としての屋内空間部の天井用面状体は、請求項1に記載のように、屋内空間部の天井面の形状に応じて形成されるとともに各側辺に形状を維持する補強用ロープが設けられ、落下防止又は防球用として天井面に沿って吊り張りされる面状体より構成された屋内空間部の天井用面状体において、前記面状体が1枚の面状体、又は形状、大きさがそれぞれ自在に形成された複数枚の分割面状体で形成され、且つ前記面状体又は前記分割面状体の対向する側辺側、近接する側辺側、又は各側辺側に沿って補強用ロープを介して取り付ける形設体が取付手段を介して取り付けられ、且つ前記形設体には、直接的又は間接的に天井面の梁部分又は天井側壁に取り付けることを特徴とする。
【0015】
また、本願発明の上記課題を解決する手段としての屋内空間部の天井用面状体は、請求項2に記載のように、前記面状体、又は前記分割面状体の形設体を利用して、所望の長さを有する垂れ面状体が取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
また、本願発明の上記課題を解決する手段としての屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法は、請求項3に記載のように、屋内空間部の天井面の形状に応じて形成されるとともに各側辺に形状を維持する補強用ロープが設けられ、落下防止又は防球を目的とする面状体を天井面に取り付けることで面状体を吊り張りする屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法において、前記面状体を1枚の面状体又は形状、大きさを自在に形成した複数枚の分割面状体で形成し、該面状体又は該分割面状体の対向する側辺側、近接する側辺側、又は各側辺側の補強用ロープに沿って取付手段を介して形設体を一体的に取り付けた後、前記形設体を直接的又は間接的に天井面の梁部分又は天井側壁に取り付けることで天井面に沿って前記面状体又は前記分割面状体を吊り張りすることを特徴とする。
【発明の作用効果】
【0017】
次に、本願発明の屋内空間部の天井用面状体、及び該屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法の作用効果を説明する。
【0018】
先ず、請求項1に記載の屋内空間部の天井用面状体は、屋内空間部の天井面の形状に応じて形成され、落下防止又は防球を目的とした面状体と、該面状体を天井面に取り付ける取付手段を介して前記面状体に取り付けられた形設体とから構成されている。
【0019】
前記面状体は吊り張りする天井面に沿って1枚の面状体又は形状、大きさを自在に形成された複数枚の分割面状体で形成され、落下防止又は防球を目的としている。
【0020】
前記形設体は、前記面状体又は前記分割面状体の対向する側辺側、近接する側辺側、又は各側辺側の補強用ロープに沿って取り付けるべき長尺状等所望の長さに形成され、前記取付手段を介して前記形設体と、前記面状体又は前記分割面状体の側辺側とを連結している。これにより、前記形設体と前記面状体又は前記分割面状体は強固に連結することができる。
【0021】
また、前記形設体は、天井面の形状等を考慮して前記面状体又は前記分割面状体のすべての側辺側、或いは対向する側辺側等選択して取り付けることで、天井面又は天井側壁への面状体又は分割面状体の取り付け状態を最適な状態とすべく自在に選択できる。
【0022】
このように、本願請求項1に記載の屋内空間部の天井用面状体は、天井面又は天井側壁へ形設体を介して直接的又は間接的に取り付けるために、強固に面状体又は分割面状体を天井面又は天井側壁に取り付けでき、落下防止又は防球・防護用としての安全性を確保することができる。
【0023】
また、形設体が天井面等へ取付手段を介して面状体又は分割面状体に取り付けられているためにその連結が容易であり、スムーズな取り付け作業を行うことができる。
【0024】
さらに、形設体と面状体又は分割面状体の側辺との取り付け位置を自在に選択でき、あらゆる天井面又は天井側壁に沿って面状体又は分割面状体を吊り張りできる。
【0025】
次に、請求項2に記載の屋内空間部の天井用面状体は、前記請求項1の構成において、天井面に形設体を介して取り付けられた面状体又は分割面状体を利用して、所望の長さを有する垂れ面状体を取り付ける。
【0026】
又は、前記面状体又は前記分割面状体に取り付けた形設体を利用して、所望の長さを有する垂れ面状体を取り付ける。
【0027】
この際、予め前記面状体、前記分割面状体又は前記形設体に垂れ面状体の上端側を連結する連結手段を取り付けておくことで、容易に垂れ面状体を天井面に沿って取り付けできる。
【0028】
このように、本願請求項2に記載の屋内空間部の天井用面状体は、垂れ面状体を前記面状体、前記分割面状体又は前記形設体を利用して安全に且つ容易に取り付けできる。
【0029】
しかも、面状体、分割面状体又は形設体を利用して取り付けるので、垂れ面状体の取り付け位置も自在に選択することができる。
【0030】
また、垂れ面状体を面状体、分割面状体又は形設体に取り付けするために、その形状、又は大きさを選択することができる。
【0031】
次に、請求項3に記載の屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法は、先ず、天井面の形状に応じて1枚の面状体又は複数枚の分割面状体を形成し、落下防止又は防球用を目的として使用する。
【0032】
その後、前記面状体又は前記分割面状体の対向する側辺側、近接する側辺側、又は各側辺側の補強用ロープに沿って取付手段を介して形設体を連結する。これにより、前記面状体又は前記分割面状体の側辺側を強固に固定することができる。
【0033】
そして、前記形設体は直接的又は間接的に天井面に取り付けることで、前記面状体又は前記分割面状体を天井面又は天井側壁に沿って確実に吊り張りすることができる。
【0034】
このように、本願請求項3に記載の屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法は、天井面に沿ってスムーズに取り付けでき、その作業工程が容易であり、優れた作業効率を有する。
【0035】
また、面状体又は分割面状体への形設体の取り付け位置を選択することで、あらゆる天井面に沿って面状体又は分割面状体を確実に吊り張りでき、安全性の面で優れた効果を得ることができる。
【0036】
さらに、形設体を用い天井面に取り付けるために、強固に天井面に沿って面状体を吊り張りでき、落下防止又は防球・防護用としての優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本願発明の屋内空間部の天井用面状体、及び該屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法について図面を用いて説明する。
【0038】
図1は本願発明の屋内空間部の天井用面状体の一実施例を示す概略説明平面図であり、図2は面状体と形設体との取り付けの一実施例を示す概略説明側面図であり、図3は形設体への架設用ロープの取り付けの他実施例を示す概略説明平面図であり、図4は架設用ロープを用いない形設体の他実施例を示す概略説明平面図であり、図5及び図6は形設体の他実施例を示す概略説明平面図であり、図7は天井用面状体の吊り張り状態の一実施例を示す概略説明側面図であり、図8図9及び図10は天井用面状体の吊り張り状態の他実施例を示す概略説明側面図であり、図11は取付具を用いて形設体への面状体の取り付けの一実施例を示す概略説明平面図であり、図12は取付具を用いて形設体への面状体の取り付けの他実施例を示す概略説明平面図であり、図13は分割面状体の一実施例を示す概略説明平面図であり、図14及び図15は分割面状体の他実施例を示す概略説明側面図であり、図16は面状体をネット体とシート体とで構成した一実施例を示す概略説明側面であり、図17図18は面状体をネット体とシート体とで構成した他実施例を示す概略説明平面図であり、図19は面状体に取り付けた垂れ面状体の一実施例を示す概略説明正面図であり、図20は形設体に取り付けた垂れ面状体の一実施例を示す概略説明正面図であり、図21は垂れ面状体の構成の一実施例を示す概略説明正面図である。
【0039】
図22及び図23は本願発明の屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法のフローチャートである。
【0040】
本願発明の屋内空間部の天井用面状体1は、屋内空間部の天井面の形状に応じて矩形状に形成され、各側辺2aに形状を維持する補強手段としての補強用ロープ3の設けられた面状体2と、該面状体2の各側辺2aに沿って取り付けられる形設体4とから構成されている。
【0041】
前記面状体2の補強用ロープ3は、面状本体8の各側辺2aに編み込む、又は筒状に形成した側辺2aに挿通することで面状本体8と一体的に取り付けられている。
【0042】
尚、前記補強手段は補強用ロープ3に限定されるものでなく、帯状の補強体(図示せず)を用いることも可能である。要は面状本体8の各側辺2aに一体的に取り付けられ、面状体2の形状を維持することができるならものならよく、前記補強用ロープ3を使用する場合でも、2本等複数本を取り付けその強度を強化することも可能であり、また帯状の補強体の幅等自在に調整してその強度を強化することができる。
【0043】
前記面状体2は通常1枚の面状本体8で構成されているが、本願発明の面状体2はこれに限定されるものでなく、例えば、密度の相違する2枚の面状本体8をそれぞれが隙間を有して構成、又はそれ以上の枚数が隙間を有して一体的に形成することも可能である。
【0044】
また、密度の相違する2枚の面状本体8を重ねて構成することも可能である。
【0045】
また、天井面の形状、大きさに応じて面状体2又は複数の分割面状体2Aで形成することも可能である。
【0046】
前記各分割面状体2Aの形状、大きさはそれぞれ自在に形成可能であり、これにより、各分割面状体2A毎に天井面に取り付けでき、あらゆる天井面に対応することができる。
【0047】
前記分割面状体2Aへの形設体4の取り付けは、それぞれの分割面状体2Aに個別に取り付け、又は各分割面状体2Aの近接する側辺に沿って一体的に取り付けすることも可能である。
【0048】
また、天井面に天井板10が取り付けられている場合は、一般的には面状体2を天井板10の下方側に吊り張りするが、本願発明において、面状体2の取り付け位置はこれに限定されるものでなく、例えば、天井板10の上下方向にそれぞれ吊り張り、又は天井板10の上方側のみに吊り張りすることも可能である。
【0049】
前記形設体4は矩形状の枠に形成され、前記面状体2の各側辺2Aの補強用ロープ3部分を連結する略L字状の連結部5と前記補強用ロープ3と形設体4とを固定する連結紐6が取り付けられている。
【0050】
尚、補強用ロープ3と形設体4との取付手段は上記連結部5と連結紐6に限定されるものでなく、形設体4に別体のレール(図示せず)を取り付け、該レールに沿って補強用ロープ3を直接的に又は間接的に取り付けることも可能である。要は、形設体4が強固に面状体2に取付又は連結できるなら、その取付手段は問うものではない。
【0051】
又、形設体4への面状体2の取り付けは、上記補強用ロープ3と直接取り付けするのに限定されるものでなく、面状体2の天井面又は天井側壁への取付具20を用いて形設体4へ取り付けることで間接的に取り付けることも可能である。
【0052】
また、上記取付具20を面状体2に取り付けた架設用ロープ7に連結し、該取付具20を介して形設体4に取り付けることも可能である。
【0053】
前記形設体4には、少なくとも1方向に沿って複数本の架設用ロープ7が面状体2に編み込むことで架け渡され、面状体2の吊り張り強度を強化することができる。
【0054】
前記架設用ロープ7の架け渡さす方向は、前記一方向に限定されるものでなく、前記面状体2の面積が大面積である場合は、前記架設用ロープ7を交差する方向に架け渡すことも可能である。
【0055】
前記架設用ロープ7は必須の構成ではなく、面状体2の面積に応じて前記形設体4のみに面状体2を連結することも可能である。
【0056】
また、前記形設体4は前記のように矩形状の形状に限定されるものでなく、面状体2の対向する側辺側2aのみに並行に取り付けることで、屋内空間部の対向する側壁側又は梁部分を利用して形設体4を取り付けることで、面状体2を吊り張りすることも可能である。
【0057】
または、前記形設体4を略L字状に形成し、面状体2の近接する側辺側2aに沿って取り付ける、又は複数本の略L字状の形設体4を組み合わせることで、該側辺側2a側のみを強固にして屋内空間部の側壁側又は梁部分を利用して面状体2を強固に吊り張りすることも可能である。
【0058】
前記面状体2又は前記分割面状体2Aと前記形設体4との取り付けは、前記補強用ロープ3部分の連結に限定されるものでなく、面状体2の補強用ロープ3部分に取り付けられた側壁等への取付具20を介して形設体4に取り付けることも可能である。
【0059】
前記面状体2の構成は、ネット体2Cに限定されるものでなく、ネット体2Cとシート体2Bとで構成することも可能である。この際、ネット体2Cとシート体2Bとの組み合わせは下記のように自在に組み合わせすることができる。
【0060】
即ち、第1の構成としてネット体2Cとシート体2Bとを同形状に形成し、上下に重ねるように構成、又は上下に所望の距離を有して面状体2を構成する。又は複数枚を用いて、例えば2枚のネット体2C間にシート体2Bを位置、又は2枚のシート体2B間にネット体2Cを位置する等、屋内空間部の形状に応じて自在に組み合わせする。
【0061】
又は、第2の構成としてネット体2Cとシート体2Bとの形状が相違する場合は、ネット体2Cの周縁にシート体2Bを取り付け、又はシート体2Bの周縁にネット体2Cを取り付ける。又はネット体2Cの一部にシート体2Bを(帯状、又は矩形状等)取り付ける。
【0062】
このように、面状体2をネット体2Cとシート体2Bとで構成することで、天井面よりの細かな落下物をシート体2Bで防止するとともに、他の落下物をネット体2Cで又はネット体2Cとシート体2Bとで防止することができ、避難時の安全性を確保することができ、また、ネット体2Cとシート体2Bとで打球速度の緩衝材として使用することができ、防球・防護用としても適切に使用することができる。
【0063】
さらに、前記面状体2をシート体2Bのみで構成することで、落下防止効果のみに特化した構成とすることも可能である。
【0064】
このように、前記面状体2の構成は、ネット体2C、ネット体2Cとシート体2B、又はシート体2B等使用目的、使用個所、又は形成する大きさに応じて最適な面状体2を自在に構成することができる。
【0065】
また、前記面状体2としてのネット体2C、又はシート体2Bに、連結手段としての連結具(図示せず、例えば、金具、紐状体等)を介して屋内空間部の天井側上部の形状に応じて形成された垂れ面状体16(前記面状体と同様にネット体2C、ネット体2Cとシート体2B、又はシート体2Bで構成)の上端側を連結することで、固定状態の垂れ面状体16を吊り張りすることも可能である。
【0066】
尚、前記垂れ面状体16は前記面状体2に連結することに限定されるものでなく、分割面状体2Aの場合は前記形設体4を利用して垂れ面状体16を連結することも可能である。
【0067】
本願発明の屋内空間部の天井用面状体1は上記のように構成され、次に、屋内空間部の天井面に沿って天井面状体1を吊り張りする場合について説明する。
【0068】
本願発明の天井用面状体1は、天井面の形状、構造を確認し、天井板10がない場合と天井板10がある場合とにより、その取り付け方法は相違する。
【0069】
実施例1は天井板10がない場合について説明する。
【実施例1】
【0070】
先ず、天井面の形状に応じて面状本体8を形成し、該面状本体8の各側辺側2aに沿って側辺の補強手段としての補強用ロープ3を取り付けることで、面状体2を構成する。
【0071】
前記補強用ロープ3は別体の紐体等を介して一体的に取り付けることで、面状体2の形状を維持することができる。
【0072】
次に、天井面の側壁側又は梁部分に沿って取り付けるための矩形状の形設体4を形成し、該形設体4の内側に形成された連結部5に前記面状体2の補強用ロープ3部分を係止した後、連結紐6で一体的に連結することで、前記形設体4に面状体2を取り付ける。
【0073】
その後、前記形設体4を天井面の側壁側又は梁部分を利用して固定することで、天井面に沿って面状体2を吊り張りすることができる。
【0074】
この際、前記面状体2は前記形設体4を介して天井面に取り付けられているために、強固に天井面に取り付けでき、落下防止、又は防球・防護用としての優れた効果を得ることができる。
【0075】
前記面状体2は1枚の面状本体8で構成されたが、本願発明において、面状体2の枚数は1枚の面状本体8に限定されるものでなく、網目構造の相違する2枚等複数枚の面状本体8を密接して構成することも可能である。
【0076】
この場合、それぞれ網目構造の相違する面状体2を用いることで、天井面よりの種々(寸法の相違する)の落下物を受け止め、屋内空間部を安全に使用することができ、又は打球の緩衝効果を向上することができる。
【0077】
また、屋内空間部の使用目的に応じて最適な面状体を形成することで、より効果的な落下防止効果、又は防球・防護効果を得ることができる。
【0078】
実施例2は天井板10がある場合について説明する。
【実施例2】
【0079】
先ず、天井板10の設けられた天井面の形状に応じて面状本体8を形成し、該面状本体8の各側辺側2aに沿ってそれぞれ補強用ロープ3を取り付けることで、面状体2を構成する。
【0080】
前記補強用ロープ3の面状本体8への取り付けは別体の紐体等を介して一体的に取り付けることで、該補強用ロープ3で面状体2の形状を維持することができる。
【0081】
次に、前記面状体2を天井面に取り付けるために、前記補強用ロープ3を利用して連結紐6を用いて矩形状の形設体4を取り付ける。
【0082】
その後、前記面状体2の設けられた前記形設体4を天井の側壁側に取り付けることで天井板10の下方側に沿って面状体2を吊り張りすることができる。
【0083】
また、前記形設体4の一方向に沿って複数本の架設用ロープ7を架け渡すことで、前記架設用ロープ7は面状体2に取り付けられ、前記架設用ロープ7を用いて前記天井板10に固定した吊りボルト12の延長線上の下端側で連結することで、複数本の吊りボルト12と前記面状体2とを複数箇所で連結でき、確実な面状体2の吊り張りを可能とする。
【0084】
このため、前記面状体2は前記形設体4を介して天井面に取り付けられているために、強固に取り付けできる。
【0085】
また、上記実施例では、前記面状体2は天井板10の下方側に1枚取り付けたが、前記面状体2の枚数は1枚に限定されるものでなく、網目構造の密度の相違する面状本体8を用いて複数枚の面状体2を形成し、それぞれ間隔を有して取り付けることで、天井面よりの径又は面積の相違する落下物を確実に防護することができる。
【0086】
また、上記実施例では、前記面状体2は天井板10の下方側に取り付けたが、面状体2の取り付け位置は上記実施例に限定されるものでなく、天井板10が強固に取り付けられている場合は、該天井板10の上方に面状体2を吊り張りすることで、天井面よりの落下物を前記面状体2で受け止め、天井板10への落下を防止することができる。
【0087】
さらに、前記面状体2を天井板10の上下方向でそれぞれ網目構造の相違する面状体2をそれぞれ吊り張りすることで、天井面よりの落下、及び天井板10よりの落下もそれぞれ別体の面状体2で防護することも可能である。
【0088】
このように、本願発明の屋内空間部の天井用面状体1は、形設体4を介して面状体2を連結するために、その取り付けが強固であり、確実に天井面に沿って面状体2を吊り張りできる。
【0089】
また、形設体4を用いて面状体2を取り付けるために、面状体2を確実に広げた状態で吊り張りできる。
【0090】
また、面状体2の吊り張り作業が容易であり、スムーズな吊り張り作業を行うことができる。
【0091】
実施例3は分割面状体2Aを用いる場合について説明する。
【実施例3】
【0092】
天井面に沿って、面状体2を2又は複数枚の面状本体8で形成し、該各面状本体8の各側辺2aに形状を維持する補強用ロープ3を取り付けることで、分割面状体2Aを形成する。
【0093】
その後、前記各分割面状体2Aの各端辺2aに沿って前記補強用ロープ3を介して形設体4を取り付ける。前記形設体4は略矩形状に形成され、各分割面状体2Aの側辺2aに沿って取り付けできる。
【0094】
前記形設体4の形状は前記略矩形状に限定されるものでなく、各分割面状体2Aの対向する側辺2aに沿って並行に取り付けることも可能である。
【0095】
前記分割面状体2Aはそれぞれ別々に天井面に沿って、又は天井側壁に形設体4を取り付けることで、分割面状体2Aを吊り張りする。
【0096】
また、取付具を介して前記分割面状体2Aを間接的に形設体4に取り付けることで、前記分割面状体2Aが弾性を有した状態で取り付けでき、防護用としての効果的に利用することができる。
【0097】
また、前記形設体4の取り付け位置は前記天井側壁に限定されるものでなく、所望の間隔を有して取り付けることで、天井面の必要とする部分のみに分割面状体2Aを吊り張りすることも可能である。
【0098】
このように、分割面状体2Aを利用することで、あらゆる形状、条件の天井面に沿って吊り張りでき、安全性を確保することができる。
【0099】
また、分割した分割面状体2Aをそれぞれ天井面又は天井側壁に沿って取り付けでき、その作業工程をスムーズに行うことができる。
【実施例4】
【0100】
前記面状体2をネット体2Cとシート体2Bとで構成した場合について説明する。
【0101】
面状体2をネット体2C及びシート体2Bで構成する場合は、ネット体2Cの上方にシート体2Bを吊り張り、又はネット体2Cの下方にシート体2Bを吊り張りする。
【0102】
この際、前記ネット体2Cとシート体2Bとの間の距離は自在に調整可能で、ネット体2Cとシート体2Bとを所望の距離を有して吊り張り、又はネット体2Cとシート体2Bとを密接して吊り張りすることも可能である。
【0103】
ネット体2Cとシート体2Bとを所望の距離を有して吊り張りすると、落下物の大小に応じてネット体2Cとシート体2Bとで防止でき、確実な落下防止効果を得ることができる。
【0104】
また、ネット体2Cとシート体2Bとで二重構造でなり、高い緩衝効果を得ることができ、防球・防護用として使用することができる。
【0105】
また、ネット体2Cとシート体2Bとを密接した状態で吊り張りすることで、その吊り張り作業を簡略化でき、且つ落下防止効果、又は防球・防護効果を向上することができる。
【0106】
前記シート体2Bもネット体2Cも形状維持の補強手段としての補強用ロープ3を周縁部に設けることで、該補強部分を利用して形設体4に一体的に、又はそれぞれ個別に連結することができる。
【0107】
尚、前記ネット体2Cとシート体2Bとの構成は上記構成に限定されるものでなく、ネット体2Cの一部にシート体2Bを取り付ける構成も可能である。
【0108】
即ち、天井面の照明器具の設置位置に沿って前記ネット体2Cに帯状のシート体2Bを取り付けることで、照明器具の落下防止用として構成してもよく、またシート体2Bの周縁部にネット体2Cを取り付けることで、天井面全体の落下防止用として構成することも可能である。
【0109】
また、前記分割面状体2Aは隣合う分割面状体2A間は隙間部分がないが、各分割面状体2A間に空間部が形成される場合(例えば、天井面に取り付けられた照明器具部分)は、各分割面状体2Aの形設体4を利用してシート体2Bを前記空間部に沿って取り付けることで、照明器具の落下防止用として使用することも可能である。
【0110】
また、ネット体2Cとシート体2Bとの枚数は1枚づつに限定されるものでなく、2枚のネット体2C間にシート体2Bを吊り張りする構成でもよく、また2枚のシート体2Bの間にネット体2Cを吊り張りする構成でもよく、落下防止効果、又は防球・防護効果の向上を目的とするならば、その枚数は限定されるものでない。
【0111】
尚、上記実施例では、面状体2をネット体2Cとシート体2Bとで構成したが、本願発明において、面状体2の構成はこれに限定されるものでなく、シート体2Bのみで構成することも可能である。
【0112】
この場合、シート体2Bのみで落下防止、又は防球・防護として使用することができ、また、その取り付け作業を簡略化できる。
【0113】
このように、面状体2を、ネット体2C、ネット体2Cとシート体2B、又はシート体2Bで構成するとともに、その吊り張り位置、枚数を自在に選択することで、あらゆる屋内空間部の形状等に応じて最適な面状体を自在に選択することができる。
【実施例5】
【0114】
前記実施例1又は実施例2において、天井面に沿って垂れ面状体16を取り付ける場合は、前記面状体2に垂れ面状体16の上端側を連結手段(例えば、連結具、又は連結紐等)で連結することで、容易に且つ確実に垂れ面状体16を面状体2に吊り張りできる。
【0115】
また、分割面状体2Aの場合は、複数本の形設体4を利用して垂れ面状体16を取り付けることで、確実に垂れ面状体16を吊り張りできる。
【0116】
前記垂れ面状体16の取り付け方向は、天井面を間仕切りする方向、天井壁面に沿った方向等自在に設定することができる。
【0117】
このように、天井面に沿って面状体2又は分割面状体2Aを吊り張りすることで、天井面の所望の位置に容易に垂れ面状体16を吊り張りすることができ、天井面側の空間部の間仕切りを確実に行え、及び/又は防球用として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】本願発明の屋内空間部の天井用面状体の一実施例を示す概略説明平面図
図2】面状体と形設体との取り付けの一実施例を示す概略説明側面図
図3】形設体への架設用ロープの取り付けの他実施例を示す概略説明平面図
図4】架設用ロープを用いない形設体の他実施例を示す概略説明平面図
図5】形設体の他実施例を示す概略説明平面図
図6】形設体の他実施例を示す概略説明平面図
図7】天井用面状体の吊り張り状態の一実施例を示す概略説明側面図
図8】天井用面状体の吊り張り状態の他実施例を示す概略説明側面図
図9】天井用面状体の吊り張り状態の他実施例を示す概略説明側面図
図10】天井用面状体の吊り張り状態の他実施例を示す概略説明平面図
図11】取付具を用いて形設体への面状体の取り付けの一実施例を示す概略説明平面図
図12】取付具を用いて形設体への面状体の取り付けの他実施例を示す概略説明平面図
図13】分割面状体の一実施例を示す概略説明平面図
図14】分割面状体の他実施例を示す概略説明平面図
図15】分割面状体の他実施例を示す概略説明側面図
図16】面状体をネット体とシート体とで構成した一実施例を示す概略説明側面図
図17】面状体をネット体とシート体とで構成した他実施例を示す概略説明平面図
図18】面状体をネット体とシート体とで構成した他実施例を示す概略説明平面図
図19】面状体に取り付けた垂れ面状体の一実施例を示す概略説明正面図
図20】形設体に取り付けた垂れ面状体の一実施例を示す概略説明正面図
図21】垂れ面状体の構成の一実施例を示す概略説明正面図
図22】本願発明の屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法を示すフローチャート
図23】本願発明の屋内空間部の天井用面状体の吊り張り方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0119】
1…屋内空間部の天井用面状体、2−ネット体、2B−シート体、3…補強用ロープ、4…形設体
図1
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