(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動制御手段は、表示画像のスクロール表示に係る表示位置の変更、及び表示画像の点滅動作に係る点灯状態と消灯状態との間での切替のうち少なくとも何れかを行う場合に、フレーム周波数を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置の実施形態である電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
【0011】
この電子時計1は、液晶画面によりデジタル表示を行う小型の電子時計、例えば、電子腕時計であり、CPU41(Central Processing Unit)と、ROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46と、操作受付部47(操作受付手段)と、表示部48と、表示ドライバ49と、電源部50などを備える。
【0012】
CPU41は、電子時計1の全体動作を統括制御する。また、CPU41は、表示ドライバ49に制御信号を出力して表示部48の表示状態に係る制御を行う。
【0013】
ROM42には、電子時計1が各種動作を行うための種々のプログラムや初期設定データが格納されている。ROM42に格納されているプログラムには、表示状態に係る制御動作を行うためのプログラム42aが含まれている。省電力モード(スリープモード)などで表示が休止されている場合以外の場合には、ROM42から読み出されたプログラム42aがRAM43にロードされ、常駐してCPU41により継続的に実行される。ROM42としては、マスクROMの他、内容の書き換え可能な不揮発性メモリ、例えば、フラッシュメモリなどが部分的に用いられても良い。
【0014】
RAM43は、揮発性のメモリであってCPU41に作業用のメモリ空間を提供する。また、RAM43は、各種一時データや設定データを記憶する。
【0015】
発振回路44は、所定の周波数、例えば、32kHzの信号を発振し、当該信号(発振信号)を出力する。この発振回路44は、特には限られないが、例えば、小型低消費電力の水晶発振回路を含むものである。
【0016】
分周回路45は、この発振信号を分周し、必要な周波数信号を生成して出力する。分周回路45は、CPU41からの指令により、適宜に分周比を切り替えて異なる周波数の信号を出力させることが可能となっている。この分周回路45から出力される周波数信号には、計時回路46による計時動作に用いられる周波数信号が含まれる。
【0017】
計時回路46は、例えば、カウンタであり、分周回路45から入力されたパルス信号の回数をカウントして初期設定日時に加算していくことにより現在日時を計数する。この計時回路46に記憶されている現在日時データは、CPU41からの制御命令により修正可能となっている。この計時回路46は、書き換え可能な記憶手段によりソフトウェア的に計数された日時が記憶される構成であっても良い。
【0018】
操作受付部47は、複数のキーや押しボタンスイッチを備え、これらのキーや押しボタンスイッチが操作されると、操作内容を電気信号に変換して入力信号としてCPU41へ出力する。
【0019】
表示部48は、液晶表示を行う液晶画面48a(液晶表示画面;LCD、表示手段)とその駆動回路48b(駆動手段)とを有するデジタル表示部である。表示部48は、CPU41からの制御信号に応じて現在の日時や各種機能動作に係るメニュー、ステータスや選択された機能表示を行う。LCD48aとしては、電子時計1が実行可能な機能動作に応じた表示が可能なものであり、ここでは、所定の文字(例えばアルファベットやカタカナ)や図形の簡単なスクロール表示やアニメーション表示が可能なドットマトリクス方式のものが用いられる。ドットマトリクス方式としては、STN液晶やTFT液晶など具体的な方式には限られないが、各画素に対して駆動回路48bにより印加されるコモン電圧波形とセグメント電圧波形との組み合わせによりデューティ駆動されるものである。
【0020】
表示ドライバ49は、CPU41からの制御信号(LCDの各画素に対応する表示画像データ)を受けて表示部48の駆動回路48bに適切なタイミングで動作信号を出力する。また、本実施形態の電子時計1では、表示ドライバ49は、CPU41からの制御により表示部48の駆動回路48bによるデューティ駆動の周波数(フレーム周波数)を変化させることが出来る。
CPU41と表示ドライバ49とにより駆動制御手段が構成される。
【0021】
電源部50は、CPU41に所定の動作電圧を供給すると共に、表示部48の駆動回路48bがLCD48aを駆動するために必要な各電圧を供給する。例えば、表示部48を1/3B(バイアス)で駆動するには、電源部50は、接地電圧(V0)、及び、3種類の駆動電圧(V3、V2=V3×2/3、V1=V3×1/3)を表示部48に供給する。
【0022】
次に、本実施形態の電子時計1による表示動作について説明する。
この電子時計1の表示部48では、上述のように、ドットマトリクス方式のLCD48aにおいてデューティ駆動が行われて各画素の点灯/消灯状態(即ち、光の透過/非透過)の切替が行われる。また、点灯状態では、複数階調の輝度(透過状態)を取ることが可能であっても良い。なお、ここでは、表示状態全般を点灯状態とし、画素に電圧が無印加の状態で光を透過させる液晶画面が用いられる場合には、電圧が印加されて光を透過させない画素を点灯状態として説明する。
【0023】
ここでは、通常では、電子時計1のユーザによってフリッカが概ね認識されない下限の周波数近辺の周波数、例えば、64Hzのフレーム周波数でデューティ駆動が行われる。必要以上にフレーム周波数を高くしないことで、電力消費量の増大が抑えられる。
【0024】
また、特に、電子腕時計のように液晶画面48aが小型の場合、表示させる文字、例えば、現在位置を示す都市名は、スクロール表示されることで必要な全ての文字が表示される。また、アラーム動作の設定などにおいて、設定対象として選択されている部分が点滅表示される。スクロールの速度は、例えば、8〜16Hz程度に定められ、点滅動作は、例えば、1〜数Hz程度に定められる。
【0025】
このような速度でスクロール表示や点滅動作が行われる場合、画素の点灯/消灯が切り替わる位置において、液晶の応答の遅れから切り替わった直後のフレーム周期において、1回のデューティ駆動では点灯有無が完全に切り替わらない場合がある。また、異なるコモン電圧波形に応じた点灯有無の切り替わりタイミングは、当該コモン電圧波形の違いに応じてばらつきやすい。
【0026】
多くの画素において点灯有無が人間の知覚可能な周波数(即ち、30Hz程度未満)で短時間に繰返し(即ち、2Hz程度以上)一斉に切り替わる場合、このような点灯有無の切り替わりのばらつきが知覚されやすい。そこで、本実施形態では、このような周波数帯での一斉表示切替動作が行われる場合に、その切り替わりタイミングの所定周期前から所定周期後までの間でのみデューティ駆動のフレーム周波数を上昇させる。
【0027】
図2は、スクロール表示時におけるセグメント電圧出力の変更例を示す図である。
上段には、通常のセグメント電圧波形WP1が示されており、下段には、本願発明に係るセグメント電圧波形WP2が示されている。
【0028】
通常では、フレーム周波数は、短時間の範囲内、例えば、同一の表示モード内では、セグメント電圧波形WP1に示すように、一定に保たれる。これに対し、この電子時計1では、セグメント電圧波形WP2に示すように、スクロールなどにより表示させる画像の切り替わりがある場合(タイミング(t2))には、当該タイミングに対し、通常のフレーム周期で所定周期に対応する時間(第1所定時間)前、ここでは、2周期前の先頭であるタイミングt1から、当該通常のフレーム周期で所定周期に対応する時間(第2所定時間)後、ここでは、2周期後の先頭であるタイミングt3までの間、フレーム周波数をこの期間外の2倍(整数倍)としている。このようにスクロール表示の場合には、表示位置を移動させるタイミングが所定の周期で定まるので、当該周期ごとに一時的にフレーム周波数を上昇させる。
【0029】
図3は、液晶表示の点滅時におけるフレーム周波数の変更例を示す図である。
【0030】
液晶画面48aにおいて周期的に表示の点滅動作が行われる場合、当該周期内で2回点灯動作又は消灯動作が行われるそれぞれ所定周期(時間)前から所定周期(時間)後までの間、フレーム周波数が一時的に64Hzから128Hzに切り替えられる。ここでは、点灯期間と消灯期間の長さが等しいとすると、フレーム周波数の変更期間も等間隔で生じる。点灯期間と消灯期間の長さが異なる場合には、点灯動作に係る周波数変更期間から消灯動作に係る周波数変更期間までの間隔と、消灯動作に係る周波数変更期間から点灯動作に係る周波数変更期間までの間隔は異なることになる。
【0031】
ここでは、上述の所定周期が整数となるように定められることで、フレーム周波数を上昇させていない期間と、フレーム周波数の上昇時とで、同期タイミング(各フレーム周期の先頭のタイミング)を同一のクロック信号の先頭タイミングに保つことが望ましい。これにより、フレーム周波数を上昇させる期間には、単純に同一の画像データを2回ずつペアで出力させることで表示内容の制御が容易に行われる。即ち、
図2の例では、タイミングt1からタイミングt2までの間にスクロールによる移動前の画像データが4回出力され、タイミングt2からタイミングt3までの間にスクロールによる移動後の画像データが4回出力される。タイミングt3後には、スクロールによる移動後の画像データがフレーム周期ごとに出力される。
【0032】
また、ユーザ操作により一回のみの表示切替命令が取得された場合にも、同様に当該タイミングの前後でのみフレーム周波数を上昇させることが出来る。この場合、表示切替命令は不規則に続けて入力され得るので、フレーム周波数を戻すタイミングより前に次の表示切替命令が取得された場合には、フレーム周波数を上昇させたまま次の表示に切り替えを行うことが出来る。一回のみの表示切替命令としては、表示モードの切り替えやメニュー画面の選択移動などが挙げられる。
【0033】
図4は、本実施形態の電子時計1における表示駆動制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この表示駆動制御処理は、電子時計1において表示部48による表示が行われている期間に継続的に実施される。
【0034】
表示駆動制御処理が開始されると、CPU41は、所定フレーム後の表示データを取得する(ステップS11)。CPU41は、現在の表示状態が点滅表示中若しくはスクロール表示中、又はユーザ操作による表示切替であるか否かを判別する(ステップS12)。何れでもないと判別された場合には(ステップS12で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS17に移行する。
【0035】
何れかであると判別された場合には(ステップS12で“YES”)、CPU41は、取得されたフレーム表示データと、その一つ前のフレームの表示データとに差があるか否かを判別する(ステップS13)。差があると判別された場合には(ステップS13で“YES”)、CPU41は、フレーム周波数を128Hzとする(ステップS14)。このとき、CPU41は、分周回路45から出力させるクロック周波数自体を変更させることで、必要な場合にのみ高速のフレーム周波数に応じた周波数での動作を行う。それから、CPU41の処理は、ステップS17に移行する。
【0036】
取得されたフレーム表示データとその一つ前のフレーム表示データとに差がないと判別された場合には(ステップS13で“NO”)、CPU41は、所定フレーム数続けて差がなかったか否かを判別する(ステップS15)。所定フレーム数続けて差がなかったと判別された場合には(ステップS15で“YES”)、CPU41は、フレーム周波数を64Hzとする(ステップS16)。それから、CPU41の処理は、ステップS17に移行する。
【0037】
フレーム表示データ間に差がなかったと判別された連続回数が所定フレーム数ではないと判別された場合には(ステップS15で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS17に移行する。
【0038】
ステップS12、S14〜S16の何れかの処理からステップS17の処理に移行すると、CPU41は、設定されているフレーム周波数に応じたクロック周波数で取得されたフレーム表示データを表示ドライバ49に出力する(ステップS17)。それから、CPU41の処理は、ステップS11に戻る。
【0039】
以上のように、本実施形態の電子時計1は、液晶画面48aを有する表示部48と、液晶画面48aに設定されたフレーム周波数で表示を行わせる表示部48の駆動回路48bと、液晶画面48aの表示内容を切り替えるタイミングよりも第1所定時間前から第2所定時間後までの切り替え期間には、フレーム周波数を当該切り替え期間外よりも上昇させる駆動制御手段としてのCPU41及び表示ドライバ49と、を備える。
このように、ちらつきや点灯タイミングのばらつきが目立ちやすい表示内容の切り替え時に限ってフレーム周波数を上げることにより、短時間で2回表示動作を行わせ、また、コモン電圧波形において画素ごとに選択されるタイミングのずれ幅を小さくすることで表示上の問題を抑えつつ、フレーム周波数に依存する電力消費の増加を必要以上に生じさせない。即ち、消費電力の増加を抑えつつ、表示画像の変更時により安定して表示を行うことが出来る。
【0040】
また、駆動制御手段としてのCPU41及び表示ドライバ49は、表示画像のスクロール表示に係る表示位置の変更、及び表示画像の点滅動作に係る点灯状態と消灯状態との間での切替のうち少なくとも何れかを行う場合に、フレーム周波数を上昇させる。
このように、特に、点灯画素位置が間欠的且つ一斉に変化する画像表示を行う場合に、当該タイミングに合わせてフレーム周波数を上げることで、より効率良く電力消費の増加に比して画像表示の安定性を増すことが出来る。
【0041】
また、ユーザ操作を受け付ける操作受付部47を備え、駆動制御手段としてのCPU41及び表示ドライバ49は、操作受付部47が受け付けたユーザ操作の内容に応じた所定の表示内容への切り替えを行う場合にフレーム周波数を上昇させる。
このように、不定期且つ間欠的に行われるユーザ操作に応じた表示画像の切り替えについても、同様に切り替え期間でのみフレーム周波数を上昇させることで、消費電力の低減と安定表示とを両立させることが出来る。
【0042】
また、駆動制御手段としてのCPU41及び表示ドライバ49は、表示画像の切り替え期間におけるフレーム周波数、ここでは、128Hzを当該切り替え期間外のフレーム周波数、ここでは64Hzの整数倍、即ちここでは2倍とする。これにより、表示画像データ間の補間処理やデューティ駆動時の位相の調整などの処理を複雑化することなく容易に切り替えを行うことが出来る。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、画像データを参照してスクロール表示や点滅動作に係る画像の切替タイミングを検出することとしたが、切り替え周波数(切り替え周期)が予め設定されている場合、実際に画像データを参照せず、最初の切り替えタイミングに係るフレーム周波数の切り替え以降の経過時間を計数して、切り替え周期ごとに所定時間ずつフレーム周波数を切り替えることとしても良い。
【0044】
また、上記実施の形態では、フレーム周波数を64Hzと128Hzとの間で変化させたが、他の周波数や他の周波数比であっても良い。
【0045】
また、上記実施の形態で示したスクロール表示、点滅動作及びユーザ操作に伴う一回の画像切り替えの他、表示画像の縮小動作や回転動作、複数種類の表示内容を所定の周期で切り替える動作、或いは、ステータス情報の表示を周期的に更新する場合などについても本発明を効果的に適用することが出来る。また、これらの対象動作に関わらず、表示対象の画像データの変化のみに基づいて周波数を切り替えても良い。この場合、動画などで表示画像が常に変化する場合には、単純にフレーム周波数が上昇したままになるが、動画内でも一時的に画像が変化しない場合や、ユーザが手動で一時停止を行った場合などには、同様にフレーム周波数が通常の低い周波数に戻る。
【0046】
また、上記実施の形態では、電子時計を例に挙げて説明したが、本発明は、液晶画面を用いて表示を行う種々の液晶表示装置に用いることが出来る。例えば、各種センサのデジタル表示画面、各種家電製品のステータスやメニューの表示画面や、電子看板やデジタルフォトフレームなどの複数の静止画像を表示対象とし得る表示画面を有する液晶表示装置などが挙げられる。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、動作の内容や手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0048】
[付記]
<請求項1>
液晶表示画面を有する表示手段と、
前記液晶表示画面に設定されたフレーム周波数で表示を行わせる駆動手段と、
前記液晶表示画面の表示内容を切り替えるタイミングよりも第1所定時間前から第2所定時間後までの切り替え期間には、フレーム周波数を当該切り替え期間外よりも上昇させる駆動制御手段と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
<請求項2>
前記駆動制御手段は、表示画像のスクロール表示に係る表示位置の変更、及び表示画像の点滅動作に係る点灯状態と消灯状態との間での切替のうち少なくとも何れかを行う場合に、フレーム周波数を上昇させることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
<請求項3>
ユーザ操作を受け付ける操作受付手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記操作受付手段が受け付けたユーザ操作の内容に応じた所定の表示内容への切り替えを行う場合にフレーム周波数を上昇させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置。
<請求項4>
前記駆動制御手段は、前記切り替え期間におけるフレーム周波数を当該切り替え期間外のフレーム周波数の整数倍とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液晶表示装置。